JP7090870B2 - モータ - Google Patents
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Description
特許文献1乃至3に記載のモータでは、含油フェルトから染み出した潤滑油は多孔質含油軸受へと供給され、スリーブ保持部内に十分な量の潤滑油が確保されるため、高温環境下においても潤滑油の枯渇を防止して、長寿命化を図ることができるとされている。
また、特許文献1に記載のモータでは、スリーブ保持部の開口から離れた位置の内周面に環状の凹部を設け、この凹部に含油フェルトを配置した場合には、シャフト(回転軸)が水平方向を向くようにして固定される(すなわち、横向きに固定される)場合でも、潤滑油の外部への飛散を抑制できるとされている。
さらに、特許文献1乃至3に記載のいずれのモータにおいても、スリーブ保持部の内周面に設けた環状の凹部内に含油フェルトを挿入した後、含油フェルトの内周面と多孔質含油軸受の外周面が十分に当接するようにスリーブ保持部の内側に多孔質含油軸受を挿入する必要がある。このため、含油フェルトの内径を多孔質含油軸受の外径よりも小さく設定する必要があり、スリーブ保持部への含油フェルトや多孔質含油軸受の装着に手間が掛かるとともに、含油フェルトの装着状態の管理が難しく、モータの品質が不安定になる恐れがある。
シャフトを有するロータと、前記シャフトの径方向を支持する多孔質含油軸受と、上端が開口し内部に前記多孔質含油軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたモータにおいて、
前記軸受ハウジング内に、前記多孔質含油軸受の下端面に当接する下側含油フェルトと前記多孔質含油軸受の上端面に当接する上側含油フェルトが収容されており、
前記上側含油フェルトは、前記下側含油フェルトよりも密度が小さい、
ことを特徴とする。
また、本発明の他の実施態様は、
シャフトを有するロータと、前記シャフトの径方向を支持する多孔質含油軸受と、上端が開口し内部に前記多孔質含油軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたモータにおいて、
前記軸受ハウジング内に、前記多孔質含油軸受の下端面に当接する下側含油フェルトと前記多孔質含油軸受の上端面に当接する上側含油フェルトが収容されており、
前記上側含油フェルトは、前記下側含油フェルトよりも外径が大きい、
ことを特徴とする。
また、本発明の他の実施態様は、
シャフトを有するロータと、前記シャフトの径方向を支持する多孔質含油軸受と、上端が開口し内部に前記多孔質含油軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたモータにおいて、
前記軸受ハウジング内に、前記多孔質含油軸受の下端面に当接する下側含油フェルトと前記多孔質含油軸受の上端面に当接する上側含油フェルトが収容されており、
前記シャフトの外表面には、径方向から見て前記上側含油フェルトと重なる位置に環状溝が形成されている、
ことを特徴とする。
「前記軸受ハウジングは内面に段差部を有し、前記下側含油フェルトは前記段差部の上に載置されていること」、
「前記軸受ハウジングは内面に段差部を有し、前記段差部の上に抜止め部材が載置され、前記下側含油フェルトは前記抜止め部材の上に載置されていること」、
「前記上側含油フェルトと前記下側含油フェルトは環状部材であること」、
「前記上側含油フェルトの上に樹脂ワッシャが配され、前記軸受ハウジングの上端面にキャップが装着されていること」、
を含む。
また、含油フェルトを多孔質含油軸受の上下の両端面に当接させるようにしているため、軸受ハウジングの内周面に含油フェルトを収容する凹部を設ける必要がなく、軸受ハウジングの加工が容易であり、また、軸受ハウジングとして安価な樹脂の一体成形品を用いることも可能である。
なお、本明細書では、図面の上方向を「上側」と呼び、下方向を「下側」と呼ぶ。また、上下方向は、モータが実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、シャフトの中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を「径方向」と呼ぶ。
本発明の第1の実施形態例を図1及び図2を用いて説明する。
本例のモータは、主に、取付板10と、ステータ20と、ロータ30と、軸受部40で構成されている。
ステータコア21は、中心に開口を有し複数の突極が形成された板状コアの積層体からなり、その表面を絶縁性樹脂からなるコアカバー22で被覆し、このコアカバー22を介して各突極にコイル23が巻かれている。
シャフト31の下端近傍に位置する部分には被係止部31aが形成され、シャフト31の中間よりやや上方に位置する部分には環状溝31bが形成されている。
被係止部31aはシャフト31の外周に形成された断面矩形の環状の凹部で構成されており、環状溝31bはシャフト31の外周に形成された断面三角形の環状の凹部で構成されている。なお、被係止部31aと環状溝31bの断面形状は適宜設計することができる。
軸受ハウジング41の上端部には、上方に突き出た環状突起41cと、環状突起41cの外周部分に位置する嵌め込み溝41dが形成されている。
多孔質含油軸受42の内表面には、周方向に連なる中逃げ部42aと、中逃げ部42aの上に位置し中逃げ部42aよりも内径が小さい上部摺接部42bと、中逃げ部42aの下に位置し中逃げ部42aよりも内径が小さい下部摺接部42cが形成されている。多孔質含油軸受42の内孔に挿入されたシャフト31は、中逃げ部42aには接触せず、上部摺接部42bと下部摺接部42cに摺接して径方向を回転自在に支持される。このような中逃げ部42aを設けることにより、シャフト31との摺動抵抗を減少させてモータが過熱するのを抑制することができる。
下側含油フェルト43は多孔質含油軸受42の下端面に当接し、上側含油フェルト44は多孔質含油軸受42の上端面に当接し、どちらも円環状に形成されている。
下側含油フェルト43と上側含油フェルト44の外径は、軸受ハウジング41の内径と同一もしくは僅かに大きく設定され、下側含油フェルト43と上側含油フェルト44は軸受ハウジング41内に軽圧入された状態で固定される。
下側含油フェルト43と上側含油フェルト44の内径は、多孔質含油軸受42の上部摺接部42bと下部摺接部42cの内径よりも若干大きく設定され、シャフト31に接触しないようになっている。
なお、下側含油フェルト43は、この抜止め部材46の上に載置されている。
ワッシャ47は、環状突起41cの内側に圧入や接着等によって固定され、キャップ48は嵌め込み溝41dに圧入等によって装着されている。
したがって、本例のモータは、直立状態に限らず水平状態や下向きで使用する場合にも、多孔質含油軸受42から滲み出た潤滑油を含油フェルト43,44を介して多孔質含油軸受42に効率良く循環させることができ、周囲への潤滑油の飛散や、モータの寿命低下を抑制することができる。
そのため、上側含油フェルト44には、下側含油フェルト43よりも密度が小さく気孔径が大きく含油率が高いものを用いることが好ましい。これにより、多孔質含油軸受42のより強い毛管力によって上側含油フェルト44から多孔質含油軸受42側に潤滑油を移動させることでき、上側含油フェルト44から軸受ハウジング外への潤滑油の漏れを効果的に防止することができる。それに加え、下側含油フェルト43の密度を少し高めにすることにより、軸受ハウジング内への多孔質含油軸受42の圧入時に下側含油フェルト43が圧縮変形してしまうのを抑制でき、安定した性能を有するモータを効率良く量産できる。
本発明の第2の実施形態例を、図3を用いて説明する。図3において、図2中の部材と同等の部材には同一の符号を付しており、重複する部分については説明を省略する。
また、本例の上側含油フェルト44は、下側含油フェルト43よりも外径が大きく、体積も大きい。なお、下側含油フェルト43と上側含油フェルト44の密度、気孔径、含油率は同等である。
また、下側含油フェルト43の外径を多孔質含油軸受42の外径と同等とし、上側含油フェルト44の外径だけを多孔質含油軸受42の外径よりも大きくしているため、軸受ハウジング41の内周面に従来のような凹部を設ける必要がなく、軸受ハウジングの加工が容易であり、また、軸受ハウジングとして安価な樹脂の一体成形品を用いることも可能である。
20 ステータ
21 ステータコア
22 コアカバー
23 コイル
30 ロータ
31 シャフト
31a 被係止部
31b 環状溝
32 ロータケース
32a 円筒部
32b 上面部
32c バーリング部
33 駆動用マグネット
40 軸受部
41 軸受ハウジング
41a 鍔
41b 段差部
41c 環状突起
41d 嵌め込み溝
41e 内径拡大部
42 多孔質含油軸受
42a 中逃げ部
42b 上部摺接部
42c 下部摺接部
43 下側含油フェルト
44 上側含油フェルト
45 スラスト板
46 抜止め部材
47 ワッシャ
48 キャップ
Claims (7)
- シャフトを有するロータと、前記シャフトの径方向を支持する多孔質含油軸受と、上端が開口し内部に前記多孔質含油軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたモータにおいて、
前記軸受ハウジング内に、前記多孔質含油軸受の下端面に当接する下側含油フェルトと前記多孔質含油軸受の上端面に当接する上側含油フェルトが収容されており、
前記上側含油フェルトは、前記下側含油フェルトよりも密度が小さい、
ことを特徴とするモータ。 - シャフトを有するロータと、前記シャフトの径方向を支持する多孔質含油軸受と、上端が開口し内部に前記多孔質含油軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたモータにおいて、
前記軸受ハウジング内に、前記多孔質含油軸受の下端面に当接する下側含油フェルトと前記多孔質含油軸受の上端面に当接する上側含油フェルトが収容されており、
前記上側含油フェルトは、前記下側含油フェルトよりも外径が大きい、
ことを特徴とするモータ。 - シャフトを有するロータと、前記シャフトの径方向を支持する多孔質含油軸受と、上端が開口し内部に前記多孔質含油軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたモータにおいて、
前記軸受ハウジング内に、前記多孔質含油軸受の下端面に当接する下側含油フェルトと前記多孔質含油軸受の上端面に当接する上側含油フェルトが収容されており、
前記シャフトの外表面には、径方向から見て前記上側含油フェルトと重なる位置に環状溝が形成されている、
ことを特徴とするモータ。 - 前記軸受ハウジングは、内面に段差部を有し、
前記下側含油フェルトは、前記段差部の上に載置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモータ。 - 前記軸受ハウジングは、内面に段差部を有し、
前記段差部の上に抜止め部材が載置され、
前記下側含油フェルトは、前記抜止め部材の上に載置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモータ。 - 前記上側含油フェルトと前記下側含油フェルトは、環状部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモータ。 - 前記上側含油フェルトの上に樹脂ワッシャが配され、
前記軸受ハウジングの上端面にキャップが装着されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のモータ。
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