JP6576727B2 - ブラシレスモータ - Google Patents
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Description
このようなブラシレスモータでは、ロータのシャフト(回転軸)と、シャフトを径方向を支持する軸受との間に所定のクリアランスが設けられ、表面張力の作用によってオイルのシールを行っているが、回転するシャフトによるポンピング作用によって軸受内のオイルが軸受の内周面に滲み出してくる。軸受の内周面に滲み出したオイルの量が多くなると、回転するシャフトの遠心力によって周囲に飛散し、軸受の寿命が低下してしまう。
特許文献1に記載のモータによれば、仮にシャフトを伝わって一時的にロータ側にオイルが染み出した場合であっても、このオイルがロータ側から軸受ハウジングの上端面に落下すると、オイルは上記傾斜面に沿って内径方向に流れ軸受に戻される。したがって、軸受から漏れたオイルによって他の部品が汚染されることやモータの寿命が低下するのをある程度防止することができる。
特許文献2に記載のモータによれば、軸受から滲み出たオイルは上記オイル空間に飛散し、飛散したオイルはオイル空間を通して軸受の一端面から軸受内部に浸透する。このため、飛散によるオイルの減少を抑え、軸受の寿命を長く保つことができる。
しかしながら、特許文献2に記載のモータでは、モータを水平状態で使用した場合、オイル空間に飛散したオイルを効率良く軸受内部に循環させることが困難である。また、シャフトを伝わるオイルは例えばモータが静止した後にオイル空間の外部に達する危険性が有り、一度オイル空間の外部に達したオイルは、その後のシャフトの回転によって外部に飛散してしまい、軸受に戻ることができず、モータの寿命が低下してしまう危険性がある。
シャフトを有するロータと、オイルを媒介として前記シャフトの径方向を支持する筒状の軸受と、上端が開口し内部に前記軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたブラシレスモータにおいて、
前記シャフトの外表面には、前記軸受から前記軸受ハウジングの開口側に突出した部分に、周方向に連なる環状溝が形成されており、
前記軸受ハウジングの内表面には、径方向から見て前記環状溝と少なくとも一部が重なる位置に下方へ拡大傾斜した第一傾斜面と、前記第一傾斜面の下側に下方へ縮小傾斜した第二傾斜面が形成されている、
ことを特徴とする。
「前記第一傾斜面の下端は、前記軸受の上端よりも低い位置にあること」、
「前記第一傾斜面の上端は、前記環状溝の上端よりも高い位置にあること」、
「前記軸受ハウジングの前記開口に環状部材が装着されており、前記環状部材の下面は前記環状溝の上端よりも高い位置にあること」、
「前記第一傾斜面と前記第二傾斜面が連続していること」、
「前記第一傾斜面と前記第二傾斜面の間にこれらを連絡する連絡面が形成されていること」、
を含む。
なお、本明細書では、図面の上方向を「上側」と呼び、下方向を「下側」と呼ぶ。また、上下方向は、モータが実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、シャフトの中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を「径方向」と呼ぶ。
本発明の第1の実施形態例を図1及び図2を用いて説明する。
本例のブラシレスモータは、主に、取付板10と、ステータ20と、ロータ30と、軸受部40で構成されている。
ステータコア21は、中心に開口を有し複数の突極が形成された板状コアの積層体からなり、その表面を絶縁性樹脂からなるコアカバー22で被覆し、このコアカバー22を介して各突極にコイル23が巻かれている。
シャフト31の下端近傍に位置する部分には被係止部31aが形成され、シャフト31の中間よりやや上方に位置する部分には環状溝31bが形成されている。この被係止部31aと環状溝31bは、いずれもシャフト31の外周に形成された断面矩形の環状の凹部で構成されている。
軸受41の内表面には、周方向に連なる切欠部41aと、切欠部41aの上に位置し切欠部41aよりも内径が小さい上部摺接部41bと、切欠部41aの下に位置し切欠部41aよりも内径が小さい下部摺接部41cが形成されている。軸受41の内孔に挿入されたシャフト31は、切欠部41aには接触せず、上部摺接部41bと下部摺接部41cに接して径方向を回転自在に支持される。
軸受ハウジング42の開口端近傍の内表面には、下方へ拡大傾斜した第一傾斜面42cと、下方へ縮小傾斜した第二傾斜面42dが形成されている。
第一傾斜面42cは、軸受ハウジング42の内径が下側ほど大きくなるように、軸方向に対して所定角度だけ傾斜した傾斜面であり、全周に亘って形成されている。また、第二傾斜面42dは、第一傾斜面42cの下側に位置し、軸受ハウジング42の内径が下側ほど小さくなるように、軸方向に対して所定角度だけ傾斜した傾斜面であり、全周に亘って形成されている。
また、軸受ハウジング42の内表面には第一傾斜面42cと第二傾斜面42dが形成されており、第一傾斜面42cは径方向から見て環状溝31bと一部が重なるように配されている。具体的には、本例では第一傾斜面42cの上端は環状溝31bの上端よりも距離H2だけ上方に位置している。そして、環状溝31bと第一傾斜面42cとの間には所定の空間Sが形成されている。
このため、本例のブラシレスモータでは、シャフト31の回転によって軸受41の内周面に滲み出したオイルは、軸受41の上端面を超えるとシャフト31の回転に伴う遠心力によって空間Sを介して第一傾斜面42c側に飛ばされる。
本例のブラシレスモータが直立状態で使用された場合には、第一傾斜面42c側に飛ばされたオイルは、第一傾斜面42cと第二傾斜面42dを伝わって流下し軸受41に戻される。また、ブラシレスモータが水平状態(シャフト31が水平の状態)で使用された場合には、第一傾斜面42cが下方へ拡大傾斜していることにより、第一傾斜面42c側に飛ばされたオイルは、第一傾斜面42cの傾斜に沿って軸受41側に流下する。また、第二傾斜面42dが下方へ縮小傾斜していることにより、第二傾斜面42dの下方ほど軸受41との隙間が小さくなるため表面張力が大きく働き、軸受41側に流下したオイルは効率良く軸受41側に留まることができる。
また、本例のブラシレスモータでは、モータが静止し遠心力によって飛ばされずにシャフト31の表面に残ったオイルは、モータを直立状態で用いた場合には軸受41側にそのまま流下する。一方、モータを水平状態で用いた場合には、シャフト31の表面に残ったオイルを環状溝31bで保持することができ、環状溝31bに保持されたオイルはモータが駆動されるとシャフト31の回転に伴う遠心力によって空間Sを介して第一傾斜面42c側に飛ばされる。
したがって、本例のブラシレスモータは、直立状態に限らず水平状態で使用する場合にも軸受から滲み出たオイルを軸受に効率良く循環させることができ、周囲へのオイルの飛散や、モータの寿命低下を抑制することができる。
このような環状部材45を設けることにより、特にモータを水平状態で用いる場合において、シャフト31の回転に伴う遠心力によって第一傾斜面42c側に飛ばされるオイルの量が多い場合であっても、周囲へのオイルの飛散や、モータの寿命低下を抑制することができる。
また、本例では環状部材45の表面を撥油処理しているため、より一層周囲へのオイルの飛散を抑制することができる。
本発明の第2の実施形態例を図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4において、図1及び図2中の部材と同等の部材には同一の符号を付しており、重複する部分については説明を省略する。
第一傾斜面42cの上端は環状溝31bの上端よりも距離H2だけ上方に位置し、第一傾斜面42cの下端は軸受41の上端よりも距離H3だけ下方に位置している。
樹脂ワッシャ46とキャップ47は、中央に貫通口を有し、この貫通口の直径はいずれもシャフト31の外径よりも若干大きく、シャフト31と樹脂ワッシャ46及びキャップ47との間に僅かな隙間が設けられている。
また、本例では第一傾斜面42cと第二傾斜面42dを連絡する連絡面42eを設けたことにより、これらの面と軸受外表面との距離を適正に保ち、表面張力の作用によってオイルのシールを行いつつ、オイル溜め空間をより広く確保することができる。
モータが水平状態で使用された場合には、第一傾斜面42cの傾斜角度が大きいほど、第一傾斜面42c側に飛ばされたオイルは、第一傾斜面42cの傾斜に沿って軸受41側に流下し易くなる。一方、第一傾斜面42cの傾斜角度が大き過ぎると、第一傾斜面42cの軸方向の高さを大きく確保することが難しくなり、シャフト31の回転に伴う遠心力によってオイルが径方向に対して斜めに飛ばされた際に第一傾斜面42cでオイルを受け止めることが難しくなる。したがって、第一傾斜面42cの傾斜角度は、5度〜60度の範囲が好ましく、10度〜45度の範囲がさらに好ましく、10度〜30度の範囲が特に好ましい。
第二傾斜面42dの傾斜角度については、軸受41側に流下したオイルを表面張力によって効率良く軸受41側に留めることができるようにするためには、5度〜45度の範囲が好ましく、5度〜30度の範囲がさらに好ましい。
20 ステータ
21 ステータコア
22 コアカバー
23 コイル
30 ロータ
31 シャフト
31a 被係止部
31b 環状溝
32 ロータケース
32a 円筒部
32b 上面部
32c バーリング部
33 駆動用マグネット
40 軸受部
41 軸受
41a 切欠部
41b 上部摺接部
41c 下部摺接部
42 軸受ハウジング
42a 鍔
42b 段差部
42c 第一傾斜面
42d 第二傾斜面
42e 連絡面
42f 環状突起
42g 嵌め込み溝
43 スラスト板
44 抜止め部材
45 環状部材
46 樹脂ワッシャ
47 キャップ
Claims (6)
- シャフトを有するロータと、オイルを媒介として前記シャフトの径方向を支持する筒状の軸受と、上端が開口し内部に前記軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたブラシレスモータにおいて、
前記シャフトの外表面には、前記軸受から前記軸受ハウジングの開口側に突出した部分に、環状溝が形成されており、
前記軸受ハウジングの内表面には、径方向から見て前記環状溝と少なくとも一部が重なる位置に下方へ拡大傾斜した第一傾斜面と、前記第一傾斜面の下側に下方へ縮小傾斜した第二傾斜面が共に全周にわたって形成されている、
ことを特徴とするブラシレスモータ。 - シャフトを有するロータと、オイルを媒介として前記シャフトの径方向を支持する筒状の軸受と、上端が開口し内部に前記軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたブラシレスモータにおいて、
前記シャフトの外表面には、前記軸受から前記軸受ハウジングの開口側に突出した部分に、環状溝が形成されており、
前記軸受ハウジングの内表面には、径方向から見て前記環状溝と少なくとも一部が重なる位置に下方へ拡大傾斜した第一傾斜面と、前記第一傾斜面の下側に下方へ縮小傾斜した第二傾斜面が形成され、
前記第一傾斜面の下端は、前記軸受の上端よりも低い位置にあることを特徴とするブラシレスモータ。 - シャフトを有するロータと、オイルを媒介として前記シャフトの径方向を支持する筒状の軸受と、上端が開口し内部に前記軸受を支持する軸受ハウジングとを備えたブラシレスモータにおいて、
前記シャフトの外表面には、前記軸受から前記軸受ハウジングの開口側に突出した部分に、環状溝が形成されており、
前記軸受ハウジングの内表面には、径方向から見て前記環状溝と少なくとも一部が重なる位置に下方へ拡大傾斜した第一傾斜面と、前記第一傾斜面の下側に下方へ縮小傾斜した第二傾斜面が形成され、
前記第一傾斜面と前記第二傾斜面の間にこれらを連絡する連絡面が形成されていることを特徴とするブラシレスモータ。 - 前記第一傾斜面の上端は、前記環状溝の上端よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
- 前記軸受ハウジングの前記開口に環状部材が装着されており、前記環状部材の下面は前記環状溝の上端よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
- 前記第一傾斜面と前記第二傾斜面が連続していることを特徴とする請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
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