JP7089710B1 - 無血清培地中での細胞培養用下地材料 - Google Patents

無血清培地中での細胞培養用下地材料 Download PDF

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Abstract

【課題】生体由来の血清を用いなくても均質で高品質な細胞凝集塊を製造することができる細胞培養の下地膜、それを形成するための下地膜形成剤、及び細胞凝集塊製造用基板を提供する。【解決手段】下記式(I):JPEG0007089710000023.jpg49165[式中、Ua1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、細胞接着性物質、及び溶媒を含む、細胞培養の下地膜形成剤、である。【選択図】図1

Description

本発明は、無血清培地中での細胞培養の下地膜形成剤、前記下地膜を備える細胞凝集塊製造用基板、及び細胞凝集塊の製造方法に関する。
細胞培養を効率的に行うための下地膜形成剤として、様々な材料が提案されている。
特許文献1には、細胞培養の下地膜として使用するポリマーの製造方法及び細胞培養容器が開示されている。特許文献2には、細胞構造体の製造方法が開示されている。
これらの細胞培養の下地膜は、均質な細胞凝集塊の製造(培養)工程においては、細胞の下地膜への均一な接着のために、生体由来の血清を用いる必要があり、個体差による増殖能力をはじめとする品質のばらつきの問題や、人以外の動物由来血清を用いる場合のアレルギー発生やウイルス混入など安全性のリスクが発生するなどの問題があった。
国際公開第2020/040247号 特開2017-143755号公報
細胞凝集塊の量産製造において、生体由来の血清を用いなくても均質で高品質な細胞凝集塊を製造することができる細胞培養の下地膜、それを形成するための下地膜形成剤及び、細胞凝集塊製造用基板を提供することである。
本発明は以下を包含する。
[1] 下記式(I):
Figure 0007089710000002

[式中、
a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、細胞接着性物質、及び溶媒を含む、細胞培養の下地膜形成剤。
[2] 上記ポリマーが、さらに式(II):
Figure 0007089710000003

[式中、
は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含む、[1]に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
[3] 前記ポリマーと、細胞接着性物質の重量比が、100:0.1~100:100である、[1]又は[2]に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
[4] 前記細胞接着性物質が、糖タンパク質を含む、[1]~[3]何れかに記載の細胞培養の下地膜形成剤。
[5] 細胞の付着抑制能を有する基板上に、[1]~[4]何れかに記載の細胞培養の下地膜形成剤で形成した、細胞培養の下地膜のスポットを備える、細胞凝集塊製造用基板。
[6] 細胞の付着抑制能を有する基板上に、下記式(I):
Figure 0007089710000004

[式中、
a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー及び細胞接着性物質を含む、細胞培養の下地膜を形成する工程、次いで細胞を播種する工程を含む、細胞凝集塊の製造方法。
本発明の細胞培養の下地膜形成剤を用いて形成した細胞培養の下地膜は、動物由来の血清不含培養条件において、前記下地膜に対する細胞の均一な接着を実現できるため、良質な細胞凝集塊を製造できる。これより上記細胞培養の下地膜形成剤を用いることで、再生医療分野で用いられる均質で高品質な細胞凝集塊の量産化を達成できる。
試験例1の細胞接着確認試験に付された、実施例1~3、比較例1及び2で作製した細胞凝集塊製造用基板の様子を撮影した実体顕微鏡写真である。 試験例2の細胞接着・細胞凝集塊形成確認試験に付された、実施例4及び6で作製した細胞凝集塊製造用基板の様子を、それぞれ、2時間後及び2日後に撮影した実体顕微鏡写真である。 試験例3の細胞接着確認試験に付された、実施例5及び比較例3で作製した細胞凝集塊製造用基板の様子を撮影した実体顕微鏡写真である。 試験例4の細胞接着確認試験に付された、実施例7で作製した細胞凝集塊製造用基板の様子を撮影した実体顕微鏡写真である。 試験例5の細胞接着・細胞凝集塊形成確認試験に付された、比較例4で作製した細胞凝集塊製造用基板の様子を、2時間後及び2日後に撮影した実体顕微鏡写真である。 試験例6の細胞接着・細胞凝集塊形成確認試験に付された、比較例5で作製した細胞凝集塊製造用基板の様子を、2時間後及び2日後に撮影した実体顕微鏡写真である。
<細胞培養の下地膜形成剤>
本発明の細胞培養の下地膜形成剤は、下記式(I):
Figure 0007089710000005

[式中、
a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、細胞接着性物質及び溶媒を含む。
(ポリマー)
本願の細胞培養の下地膜形成剤が含むポリマーは、上記式(I)表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマーである。
上記ポリマーは、上記式(I)で表されるカチオン性モノマーと共に、下記式(II):
Figure 0007089710000006

[式中、
は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表す]で表されるアニオン性モノマーを重合することで得られるポリマーであることが好ましい。
本明細書において、他に定義のない限り、「炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基又は1-エチルプロピル基が挙げられる。
a1及びRは、それぞれ独立して、水素原子及びメチル基から選ばれることが好ましい。
a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基及びn-ブチル基から選ばれることが好ましいが、メチル基又はエチル基であることが好ましく、メチル基が最も好ましい。
本明細書において、他に定義のない限り、「炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基」としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、ジメチルエチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、1-メチル-テトラメチレン基、2-メチル-テトラメチレン基、1,1-ジメチル-トリメチレン基、1,2-ジメチル-トリメチレン基、2,2-ジメチル-トリメチレン基、1-エチル-トリメチレン基等が挙げられる。これらの中で、Ra2としてはエチレン基及びプロピレン基から選ばれることが好ましい。
したがって、上記式(I)で表されるカチオン性モノマーとしては、2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノメチルメタクリレートなどが挙げられ、2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートが好ましい。上記式(II)で表されるアニオン性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられ、メタクリル酸が好ましい。
前記ポリマー中の式(I)で表されるモノマー由来の単位/式(II)で表されるモノマー由来の単位のモル比が、100/0~50/50である。好ましくは98/2~50/50である。より好ましくは98/2~60/40であり、特に好ましくは98/2~70/30である。
式(II)のモル比が50以下であると、ポリマーのアニオン性による細胞の接着力低下を抑制できる。
(2つ以上の炭素―炭素不飽和結合を有するモノマー)
上記ポリマーは、式(I)/式(II)で表されるモノマーと共に、さらに2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有するモノマーとを重合することで得られるポリマーであってもよい。2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有するモノマーとは、具体的には、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有するモノマーであり、例えば多官能アクリレート化合物、多官能アクリルアミド化合物、多官能ポリエステル、又はイソプレン化合物などが挙げられる。
好ましい具体例としては下記式(III)~(V)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 0007089710000007

Figure 0007089710000008

Figure 0007089710000009
式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Reは、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し、nは1~50の数を表す。これらの中で、式(III)で表されるモノマーであることが好ましい。
前記ポリマー全体に対する式(III)~(V)で表されるモノマーのモル比は、好ましくは0~50%であり、さらに好ましくは2~25%である。
式(III)~(V)のモル比が50%以下であると、過度な架橋による高分子量化による製造中の固形分のゲル化を抑制でき、製造を容易にできる。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子及びメチル基から選ばれることが好ましい。
はメチレン基、エチレン基及びプロピレン基から選ばれることが好ましく、エチレン基が最も好ましい。
nは1~50の数であるが、nは1~30の数であることが好ましく、nは1~10の数であることが好ましい。
前記ポリマー全体に対する式(II)で表されるモノマーの占めるモル%の値と、前記調製工程時のモノマー仕込み量全体に対する式(II)で表される単量体の占めるモル%の値の差は、0~10モル%である。本願のポリマーは後述する製造方法により、モノマー仕込み比と、製造されたポリマーの実測値との差が少なく、0~10モル%であり、さらに好ましくは0~8モル%である。
前記ポリマーの数平均分子量(Mn)は、20,000~1,000,000であり、50,000~800,000であることがさらに好ましい。
前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)と前記数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.01~10.00であり、1.2~8.0であることが好ましく、1.4~6.0であることが好ましく、1.5~5.0であることが好ましく、1.6~4.5であることが好ましい。
前記数平均分子量(Mn)と数平均分子量(Mn)は、例えば実施例に記載のGel Filtration Chromatographyにより求めることができる。
本願のポリマーを細胞培養の下地膜として利用することで、細胞を接着させた後に剥離させて細胞凝集塊を形成させることが可能である。なお細胞凝集塊とは、細胞が凝集した結果形成する構造体を示し、球状やリング状などのように形状が限定されない。従来の細胞低接着プレート上での非接着培養により作製される細胞凝集塊と比較し、接着面積の規定による細胞凝集塊のサイズ調整(任意の大きさの細胞凝集塊が製造できる)などの点でメリットがある。
国際公開第2020/040247号公報、特願2020-028120号明細書に記載の全開示は、参照として本願に援用される。
(細胞接着性物質)
本発明の細胞培養の下地膜形成剤は、細胞接着性物質を含む。細胞接着性物質を含むことにより、細胞の接着、伸展、増殖及び分化を促進することができる。
細胞接着性物質としては、細胞外基質(ECM)タンパク質、糖タンパク質、ペプチドなどの生物由来物質や、合成化合物(低分子、高分子)等の公知の物質を使用することができるが、生物由来物質でない化合物、例えば合成化合物(低分子、高分子)であることが好ましい。低分子とは、例えば重量平均分子量が2,000以下の化合物であり、高分子とは、例えば重量平均分子量が2,000以上であり、上限は例えば1,000,000である。
細胞外基質(ECM)タンパク質の例としては、コラーゲン(例えばメルク社のI型コラーゲン(品番C9791、C7661、C1809、C2249、C2124)、II型コラーゲン(品番C9301)、IV型コラーゲン(品番C0543、C5533)、エラスチン(例えばメルク社品番:E1625、E6527)、フィブロネクチン(例えばメルク社品番F1141、F0635、F2518、F0895、F4759、F2006)、ラミニン(例えばメルク社品番:L6724、L2020、L4544)、ラミニン断片(例えばマトリクソーム社製:892011)、ビトロネクチン(例えばVTN-N(ギブコ社)、Vitronectin, Human, Recombinant, Animal Free(PeproTech社)、メルク社品番:V0132、V9881、V8379、08-126、SRP3186)が挙げられる。
細胞接着性物質が、糖タンパク質であることが好ましい。具体的にはビトロネクチン、インテグリン、カドヘリン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、オスチオポンチン及び骨シアロタンパク質から選ばれることが好ましい。また、アミノ酸配列としてRGD配列を持つタンパク質であることが好ましい。
ペプチドの例としては、ECMペプチド(Kollodis Bio Sciences社のMAPTrix(登録商標)、RGDペプチド(富士フイルム和光純薬社製:180-01531)が挙げられる。
合成化合物(高分子)の例としては、ポリリジン(例えばメルク社製品:P4707、P4832、P7280、P9155,P6407,P6282,P7405,P5899)、ポリオルニチン(例えばメルク社品番P4975)が挙げられる。合成化合物(低分子)の例としてはアドヘサミン(例えば長瀬産業社製:AD-00000-0201)、合成環状RGDペプチド(例えばIRIS BIOTECH社製:LS-3920.0010)が挙げられる。
本発明の細胞培養の下地膜形成剤中の、前記ポリマーと、細胞接着性物質の比(質量基準)は、細胞培養が可能な下地形成剤が形成できれば制限は無いが、100:0.1~100:100であることが好ましい。細胞接着性物質が0.1以上であると、細胞接着性が十分に発揮され、細胞接着性物質が100以下であると、細胞接着後の細胞の凝集(細胞凝集塊の形成)を容易にできる。
本発明の細胞培養の下地膜形成剤は、溶媒を含む。前記溶媒としては、前記ポリマーを溶解できるものであれば限定されないが、水を含む含水溶液であることが好ましい。
含水溶液とは、水、生理食塩水又はリン酸緩衝溶液などの塩含有水溶液、あるいは水又は塩含有水溶液とアルコールとを組み合わせた混合溶媒が挙げられる。アルコールとしては、炭素原子数2~6のアルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール(=ネオペンチルアルコール)、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール(=t-アミルアルコール)、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール及びシクロヘキサノールが挙げられ、単独で又はそれらの組み合わせの混合溶媒を用いてもよい。
含水溶液中の水の含有量は、例えば50質量%~100質量%、80質量%~100質量%、90質量%~100質量%である。
さらに下地膜形成剤は、上記ポリマー、細胞接着性物質及び溶媒の他に、必要に応じて得られる下地膜の性能を損ねない範囲で他の物質を添加することもできる。他の物質としては、pH調整剤、架橋剤、防腐剤、界面活性剤、容器又は基板との密着性を高めるプライマー、防カビ剤及び糖類等が挙げられる。
(細胞)
本発明における細胞とは、動物又は植物を構成する最も基本的な単位であり、その要素として細胞膜の内部に細胞質と各種の細胞小器官をもつものである。この際、DNAを内包する核は、細胞内部に含まれても含まれなくてもよい。例えば、本発明における動物由来の細胞には、精子や卵子などの生殖細胞、生体を構成する体細胞、幹細胞(多能性幹細胞等)、前駆細胞、生体から分離された癌細胞、生体から分離され不死化能を獲得して体外で安定して維持される細胞(細胞株)、生体から分離され人為的に遺伝子改変が成された細胞、生体から分離され人為的に核が交換された細胞等が含まれる。生体を構成する体細胞の例としては、以下に限定されるものではないが、線維芽細胞、骨髄細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、好中球、赤血球、血小板、マクロファージ、単球、骨細胞、骨髄細胞、周皮細胞、樹状細胞、ケラチノサイト、脂肪細胞、間葉細胞、上皮細胞、表皮細胞、内皮細胞、血管内皮細胞、肝実質細胞、軟骨細胞、卵丘細胞、神経系細胞、グリア細胞、ニューロン、オリゴデンドロサイト、マイクログリア、星状膠細胞、心臓細胞、食道細胞、筋肉細胞(たとえば、平滑筋細胞又は骨格筋細胞)、膵臓ベータ細胞、メラニン細胞、造血前駆細胞(例えば、臍帯血由来のCD34陽性細胞)、及び単核細胞等が含まれる。当該体細胞は、例えば皮膚、腎臓、脾臓、副腎、肝臓、肺、卵巣、膵臓、子宮、胃、結腸、小腸、大腸、膀胱、前立腺、精巣、胸腺、筋肉、結合組織、骨、軟骨、血管組織、血液(臍帯血を含む)、骨髄、心臓、心筋、眼、脳又は神経組織などの任意の組織から採取される細胞が含まれる。さらに当該体細胞は、幹細胞又は前駆細胞から分化誘導された細胞が含まれる。
幹細胞とは、自分自身を複製する能力と他の複数系統の細胞に分化する能力を兼ね備えた細胞であり、その例としては、以下に限定されるものではないが、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞、胚性生殖幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞、腸幹細胞、癌幹細胞、毛包幹細胞などが含まれる。多能性幹細胞としては、前記幹細胞のうち、ES細胞、胚性生殖幹細胞、iPS細胞が挙げられる。前駆細胞とは、前記幹細胞から特定の体細胞や生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞である。癌細胞とは、体細胞から派生して無限の増殖能を獲得した細胞である。細胞株とは、生体外での人為的な操作により無限の増殖能を獲得した細胞である。これらの中でも、線維芽細胞、幹細胞、幹細胞の中でも多能性幹細胞がより好ましい。
<細胞凝集塊製造用基板>
本発明の細胞凝集塊製造用基板は、細胞の付着抑制能を有する基板上に、前記細胞培養の下地膜形成剤で形成した、細胞培養の下地膜のスポットを備える。
本発明の細胞凝集塊製造用基板は、細胞の付着抑制能を有する基板を用いて製造される。上記スポット(下地膜)の形成前に、基板が細胞の付着抑制処理を施されたものであってよい。細胞の付着抑制能を有する基板は、市販の細胞低接着処理済みの細胞培養皿、細胞の付着抑制能を有する細胞培養器等を使用してもよく、例えば特開2008-61609号公報に記載されている細胞培養容器が使用できるが、これに限定されるものではない。また例えば公知の細胞の付着抑制能を持つコーティング膜形成用組成物を塗布する工程を経て製造した基板でも良い。上記コーティング膜形成用組成物は例えば、国際公開第2014/196650号公報に記載されているコーティング膜形成用組成物が使用できる。上記コーティング膜形成組成物としては、下記式(a)で表される有機基を含む繰り返し単位と、下記式(b)で表される有機基を含む繰り返し単位とを含む共重合体(P):
Figure 0007089710000010

[式中、
a11、Ua12、Ub11、Ub12及びUb13は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Anは、ハロゲン化物イオン、無機酸イオン、水酸化物イオン及びイソチオシアネートイオンからなる群から選ばれる陰イオンを表す]
と、溶媒とを含むコーティング膜形成用組成物を容器又は基板の表面に塗布し乾燥する工程を含むことが好ましい。上記コーティング膜は、基板表面の少なくとも一部に含めばよいが、細胞凝集塊を製造する表面(すなわち本願のスポットが存在する表面)全体に渡って、あるいは基板表面全体に渡って塗布されていることが好ましい。
国際公開第2014/196650号公報及び国際公開第2016/093293号公報の全開示は、参照として本願に援用される。
前記細胞の付着抑制能を有するとは、例えば国際公開第2016/093293号公報の実施例に記載した方法で行う蛍光顕微鏡によるコーティング膜無し、又は細胞低吸着処理無しと比較した場合の相対吸光度(WST O.D.450nm)(%)((実施例の吸光度(WST O.D.450nm))/(比較例の吸光度(WST O.D.450nm)))が50%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下であることを意味する。
本発明に係る細胞の付着抑制能を有するコーティング膜として、エチレン性不飽和モノマー、又は多糖類若しくはその誘導体が共重合したものを用いてもよい。エチレン性不飽和モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸及びそのエステル;酢酸ビニル;ビニルピロリドン;エチレン;ビニルアルコール;並びにそれらの親水性の官能性誘導体からなる群より選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和モノマーを挙げることができる。多糖類又はその誘導体の例としては、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース)等のセルロース系高分子、デンプン、デキストラン、カードランを挙げることができる。
親水性の官能性誘導体とは、親水性の官能基又は構造を有するエチレン性不飽和モノマーを指す。親水性の官能性基又は構造の例としては、ベタイン構造;アミド構造;アルキレングリコール残基;アミノ基;並びにスルフィニル基等が挙げられる。
ベタイン構造は、第4級アンモニウム型の陽イオン構造と、酸性の陰イオン構造との両性中心を持つ化合物の一価又は二価の基を意味し、例えば、ホスホリルコリン基:
Figure 0007089710000011

を挙げることができる。そのような構造を有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)等を挙げることができる。
アミド構造は、下記式:
Figure 0007089710000012

[ここで、R16、R17及びR18は、互いに独立して、水素原子又は有機基(例えば、メチル基、ヒドロキシメチル基又はヒドロキシエチル基等)である]
で表される基を意味する。そのような構造を有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。さらに、そのような構造を有するモノマー又はポリマーは、例えば、特開2010-169604号公報等に開示されている。
アルキレングリコール残基は、アルキレングリコール(HO-Alk-OH;ここでAlkは、炭素原子数1~10のアルキレン基である)の片側端末又は両端末の水酸基が他の化合物と縮合反応した後に残るアルキレンオキシ基(-Alk-O-)を意味し、アルキレンオキシ単位が繰り返されるポリ(アルキレンオキシ)基も包含する。そのような構造を有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。さらに、そのような構造を有するモノマー又はポリマーは、例えば、特開2008-533489号公報等に開示されている。
アミノ基は、式:-NH、-NHR19又は-NR2021[ここで、R19、R20及びR21は、互いに独立して、有機基(例えば、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基等)である]で表される基を意味する。本発明におけるアミノ基には、4級化又は塩化されたアミノ基を包含する。そのような構造を有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(t-ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルコリンクロリド等を挙げることができる。
スルフィニル基は、下記式:
Figure 0007089710000013

[ここで、R22は、有機基(例えば、炭素原子数1~10の有機基、好ましくは、1個以上のヒドロキシ基を有する炭素原子数1~10のアルキル基等)である]
で表される基を意味する。そのような構造を有するポリマーとして、特開2014-48278号公報等に開示された共重合体を挙げることができる。
(スポット)
本発明の細胞凝集塊製造用基板が備える、スポット、好ましくは複数のスポット(下地膜)の総面積の割合、各スポットの直径やスポット間の間隔は、用いる細胞や基板の種類、細胞凝集塊の所望のサイズ等に応じて、所定の範囲から適宜選択することができるが、基板の表面積に対するスポットの総面積の割合は、30%以上、40%以上、50%以上であることが好ましく、かつ99%以下であることが好ましく、各スポットの直径は、50~5000μmであり、300~3000μmであることが好ましく、スポット間の間隔は、30~1000μmであり、50~800μmであり、80~600μmであり、90~500μmであることが好ましい。
本発明は、細胞の付着抑制能を有する基板上に、細胞が接着し得る独立したマイクロサイズの領域(スポット)を、高密度で、好ましくは規則的に配することにより、均一なサイズのスフェロイドを一つの基板(容器)で一度に複数形成できる。
上記スポットは、上記下地膜形成剤を塗布することにより形成することができる。下地膜形成剤の塗布の方式としては、例えばインクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法、ロール・トゥー・ロール法等を用いることが出来るが、好ましくはインクジェット法又はスクリーン印刷等の印刷技術で行われる。
別の塗布方法としては、例えば場合によりスポットの非形成箇所を保護した基板を上記下地膜形成剤に浸漬する、下地膜形成剤を場合によりスポットの非形成箇所を保護した基板(容器)に添加し、所定の時間静置する等の方法が用いられるが、基板、一態様として細胞培養容器の場合は、下地膜形成剤を場合によりスポットの非形成箇所を保護した容器に添加し、所定の時間静置する方法によって行われる。添加は、例えば、容器の全容積の0.5~1倍量の下地膜形成剤を、シリンジ等を用いて添加することによって行うことができる。静置は、容器又は基板の材質や細胞培養の下地膜形成剤の種類に応じて、時間や温度を適宜選択して実施されるが、例えば、1分から24時間、好ましくは5分から3時間、10~80℃で実施される。これにより、細胞凝集塊製造用基板を製造することができる。
また、かかる方法により得られる基板の表面のスポットは、乾燥工程を経ずにそのまま、あるいは水又は細胞培養に付される試料の媒質(例えば、水、緩衝液、培地等)を用いての洗浄後に、細胞凝集塊製造用基板として使用することができる。
すなわち、上記基板の表面のスポットの形成後、48時間以内、好ましくは24時間以内、さらに好ましくは12時間以内、さらに好ましくは6時間以内、さらに好ましくは3時間以内、さらに好ましくは1時間以内に乾燥工程を経ずにそのまま、あるいは水又は細胞培養に付される試料の媒質(例えば、水、緩衝液、培地等、特に好ましくは培地(例えば、DMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地))を用いての洗浄後に、細胞凝集塊製造用基板として使用することができる。
細胞凝集塊製造用基板は、乾燥工程に付してもよい。乾燥工程は、大気下又は真空下にて、好ましくは、温度-200℃~200℃の範囲内で行なう。乾燥工程により、上記下地膜形成剤中の溶媒を取り除くことで、基体へ完全に固着する。
スポットは、例えば室温(10℃~35℃、好ましくは20℃~30℃、例えば25℃)での乾燥でも形成することができるが、より迅速にスポットを形成させるために、例えば40℃~80℃にて乾燥させてもよい。乾燥温度が-200℃未満であると、一般的ではない冷媒を使用しなければならず汎用性に欠けることと、溶媒昇華のために乾燥に長時間を要し効率が悪い。乾燥温度が200℃超であると、ポリマーの熱分解が生じる。より好ましい乾燥温度は10℃~180℃、より好ましい乾燥温度は20℃~150℃である。本願の細胞凝集塊製造用基板は、以上の簡便な工程を経て製造される。
また、スポット(下地膜)に残存する不純物、未固着のポリマー等を無くすために、水及び電解質を含む水溶液から選ばれる少なくとも1種の溶媒で洗浄する工程を実施してもよい。洗浄は、流水洗浄又は超音波洗浄等が望ましい。上記水及び電解質を含む水溶液は例えば40℃~95℃の範囲で加温されたものでもよい。電解質を含む水溶液は、PBS、生理食塩水(塩化ナトリウムのみを含むもの)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水及びベロナール緩衝生理食塩水が好ましく、PBSが特に好ましい。固着後は水、PBS及びアルコール等で洗浄してもコーティング膜は溶出せずに基体に強固に固着したままである。
本願のスポット(下地膜)の膜厚は、最大膜厚と最小膜厚が1~1000nmの範囲であり、好ましくは5~500nmの範囲である。
(基板)
前記下地膜形成剤を基板の表面に塗布し乾燥することにより、本発明の細胞凝集塊製造用基板が製造できる。ここで「表面」とは、細胞又は細胞培養液などの内容物と接する面を指す。
基板表面の形状は、平面であっても凹凸があってもよいが、平面形状であることが好ましい。
基板の材質は、例えば、ガラス、金属、金属含有化合物若しくは半金属含有化合物、活性炭又は樹脂を挙げることができる。金属は、典型金属:(アルミニウム族元素:Al、Ga、In;鉄族元素:Fe、Co、Ni;クロム族元素:Cr、Mo、W、U;マンガン族元素:Mn、Re;貴金属:Cu、Ag、Au等が挙げられる。金属含有化合物若しくは半金属含有化合物は、例えば基本成分が金属酸化物で、高温での熱処理によって焼き固めた焼結体であるセラミックス、シリコンのような半導体、金属酸化物若しくは半金属酸化物(シリコン酸化物、アルミナ等)、金属炭化物若しくは半金属炭化物、金属窒化物若しくは半金属窒化物(シリコン窒化物等)、金属ホウ化物若しくは半金属ホウ化物等の無機化合物の成形体等の無機固体材料、アルミニウム、ニッケルチタン、ステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L等)が挙げられる。
樹脂としては、天然樹脂若しくはその誘導体、又は合成樹脂いずれでもよく、天然樹脂若しくはその誘導体としては、セルロース、三酢酸セルロース(CTA)、ニトロセルロース(NC)、デキストラン硫酸を固定化したセルロース等、合成樹脂としてはポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、エチレンビニルアルコール(EVAL)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)又はテフロン(登録商標)が好ましく用いられる。
本発明の細胞凝集塊製造用基板の製造では、下地膜を形成する際に、高温での処理を要しないため、耐熱性が低い樹脂等も適用可能である。
基板の材質は1種類であっても2種類以上の組み合わせであってもよいが、本願の細胞凝集塊製造用基板は、例えば、細胞培養凝集塊を大量製造するために、該基板がベルトコンベアーのように巻き取り(ロール方式)できるような柔軟性を有する基板であってもよい。上記ロール方式に用いられる基板の材質としては、合成樹脂、天然高分子が挙げられる。
又、本願の基板は、いわゆる細胞培養器で使用される基板であってもよい。細胞の培養に一般的に用いられるペトリデッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュなどのシャーレ又はディッシュ、細胞培養フラスコ、スピナーフラスコ、多段フラスコなどのフラスコ、プラスチックバッグ、テフロン(登録商標)バッグ、培養バッグなどのバッグ、マイクロプレート、マイクロウェルプレート、マルチプレート、マルチウェルプレートなどのプレート、チャンバースライド、チューブ、トレイ、ローラーボトルなどのボトル等が挙げられる。
<細胞凝集塊の製造方法>
本発明の細胞凝集塊の製造方法は、細胞の付着抑制能を有する基板上に、下記式(I):
Figure 0007089710000014

[式中、
a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー及び細胞接着性物質を含む、細胞培養の下地膜を形成する工程、次いで細胞を播種し細胞を培養する工程を含む。細胞の播種・培養工程は、特に限定はなく、細胞の種類に応じて適切な公知の方法で行うことができる。細胞の付着抑制能を有する基板、下地膜の形成工程(製造方法)、細胞の詳細は前述の通りである。
本発明の細胞凝集塊の製造方法は、細胞の播種・培養工程を生体由来の血清の存在下又は不在下で行うことができ、特に、培地中の生体由来の血清が低濃度(例えば、5質量%未満、特には3質量%未満)であっても又は不存在であっても、高品質な細胞凝集塊の製造を行うことができる点で優れる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<重量平均分子量の測定方法>
下記合成例に示す重量平均分子量はGel Filtration Chromatography(以下、GFCと略称する)による結果である。
(測定条件)
・装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
・GFCカラム:TSKgel G 6000 + 3000 PWXL-CP
・流速:1.0mL/min
・溶離液:塩含有の水/有機混合溶媒
・カラム温度:40℃
・検出器:RI
・注入濃度:ポリマー固形分0.05質量%
・注入量:100μL
・検量線:三次近似曲線
・標準試料:ポリエチレンオキサイド(Agilent社製)×10種
<合成例1>
メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル(東京化成工業(株)製)24.00g、メタクリル酸(東京化成工業(株)製)1.46g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業(株)製)5.09g、ジメチル 1,1′-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)(VE-073、富士フイルム和光純薬(株)製)0.31g、2-プロパノール111.09gを混合し、リフラックス温度とした2-プロパノール166.62gに対して滴下重合することでポリマーを合成した。反応生成物を貧溶媒であるヘキサンで再沈殿させ、析出物を濾過により回収し減圧乾燥させた。
GFCによるこのポリマーの重量平均分子量は228,000であった(以下、「合成例ポリマー1」と称す)。
<合成例2>
メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル(東京化成工業(株)製)8.00g、メタクリル酸(東京化成工業(株)製)1.88g、エチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業(株)製)1.98g、ジメチル 1,1′-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)(VE-073、富士フイルム和光純薬(株)製)0.12g、2-プロパノール43.10gを混合し、リフラックス温度とした2-プロパノール64.65gに対して滴下重合することでポリマーを合成した。反応生成物を貧溶媒であるヘキサンで再沈殿させ、析出物を濾過により回収し減圧乾燥させた。
GFCによるこのポリマーの重量平均分子量は438,000であった(以下、「合成例ポリマー2」と称す)。
<実施例1>
上記合成例1で得られたポリマー0.0025gに、純水99.5g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)0.5mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。インクジェット装置((株)マイクロジェット製、型番:LaboJet-600)、及びインクジェットヘッド(型番:500-S-C)を用いて、細胞の付着抑制能を有する培養ディッシュ(直径:35mm)(住友ベークライト株式会社、MS9035X)の培養表面に、下地膜形成剤を適量塗布した。70℃の恒温乾燥機で1日間乾燥させて細胞凝集塊製造用基板を調製した。
<実施例2>
上記合成例1で得られたポリマー0.0025gに、純水99g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)1mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。実施例1と同様にインクジェット装置を用いて下地膜形成剤を塗布して乾燥させ、細胞凝集塊製造用基板を調製した。
<実施例3>
上記合成例2で得られたポリマー0.005gに、純水99g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)1.0mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。実施例1と同様にインクジェット装置を用いて下地膜形成剤を塗布して乾燥させ、細胞凝集塊製造用基板を調製した。
<実施例4>
上記合成例1で得られたポリマー0.005gに、純水99g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)1.0mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。実施例1と同様にインクジェット装置を用いて下地膜形成剤を塗布して乾燥させ、細胞凝集塊製造用基板を調製した。
<実施例5>
上記合成例1で得られたポリマー0.015gに、純水94g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)6.0mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。インクジェット装置((株)マイクロジェット製、型番:LaboJet-600)、及びインクジェットヘッド(型番:IJHBS-1000)を用いて、細胞の付着抑制能を有する培養プレート(住友ベークライト株式会社、PrimeSurface(登録商標)プレート24F、型番: MS-90240)の培養表面に、下地膜形成剤を適量塗布した。70℃の恒温乾燥機で1日間乾燥させて細胞凝集塊製造用基板を調製した。ガンマ線を25kGy照射することで滅菌を行った。
<実施例6>
上記合成例1で得られたポリマー0.005gに、純水98g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)2.0mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。インクジェット装置((株)マイクロジェット製、型番:LaboJet-600)、及びインクジェットヘッド(型番:IJHBS-1000)を用いて、細胞の付着抑制能を有する培養プレート(住友ベークライト株式会社、PrimeSurface(登録商標)プレート24F、型番: MS-90240)の培養表面に、下地膜形成剤を適量塗布した。70℃の恒温乾燥機で1日間乾燥させて細胞凝集塊製造用基板を調製した。ガンマ線を25kGy照射することで滅菌を行った。
<実施例7>
上記合成例1で得られたポリマー0.005gに、純水31.3g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)2.0mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。インクジェット装置((株)マイクロジェット製、型番:LaboJet-600)、及びインクジェットヘッド(型番:200-S-C)を用いて、細胞の付着抑制能を有する培養プレート(住友ベークライト株式会社、PrimeSurface(登録商標)プレート24F、型番: MS-90240)の培養表面に、下地膜形成剤を適量塗布した。70℃の恒温乾燥機で1日間乾燥させて細胞凝集塊製造用基板を調製した。ガンマ線を25kGy照射することで滅菌を行った。
<比較例1>
上記合成例1で得られたポリマー0.0025gに、純水100.0gを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。実施例1と同様にインクジェット装置を用いて下地膜形成剤を塗布して乾燥させ、細胞凝集塊製造用基板を調製した。
<比較例2>
上記合成例2で得られたポリマー0.005gに、純水100.0gを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤を調製した。実施例1と同様にインクジェット装置を用いて下地膜形成剤を塗布して乾燥させ、細胞凝集塊製造用基板を調製した。
<比較例3>
上記合成例1で得られたポリマー0.005gに、純水33.3gを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤10を調製した。インクジェット装置((株)マイクロジェット製、型番:LaboJet-600)、及びインクジェットヘッド(型番:200-S-C)を用いて、細胞の付着抑制能を有する培養ディッシュ(直径:35mm)(住友ベークライト株式会社、MS9035X)の培養表面に、下地膜形成剤を適量塗布した。70℃の恒温乾燥機で1日間乾燥させて細胞凝集塊製造用基板を調製した。ガンマ線を25kGy照射することで滅菌を行った。
<比較例4>
純水4.8g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)0.2mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤11を調製した。実施例1と同様にインクジェット装置を用いて下地膜形成剤を塗布して乾燥させ、細胞凝集塊製造用基板を調製した。
<比較例5>
純水2.1g、0.5mg/mLビトロネクチンVTN-N(ギブコ社)1.2mLを加えて十分に攪拌し、下地膜形成剤12を調製した。実施例1と同様にインクジェット装置を用いて下地膜形成剤12を塗布して乾燥させ、細胞凝集塊製造用基板を調製した。
<試験例1:実施例1~3、比較例1~2のFBS不含培地でのマウス線維芽細胞での細胞接着確認試験>
(細胞の調製)
細胞は、マウス胎児線維芽細胞(C3H10T1/T2細胞:DSファーマバイオメディカル(株)製)を用いた。細胞の培養には、基礎培地となるBME培地(Gibco社製)に対しFBS(Sigma-Aldrich社製)を10%、Glutamine/Penicillin/Streptmycin(Gibco社製)を1%となるように添加した培地を用いた。細胞は、37℃/COインキュベーター内にて5%二酸化炭素濃度を保った状態で、直径10cmのシャーレ(培地10mL)を用いて2日間以上静置培養した。引き続き、本細胞をPBS溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)3mLで洗浄した後、トリプシン-EDTA溶液(PromoCell社製)3mLを添加して室温で3分間静置し細胞を剥離した。FBS(ウシ血清)及びGlutamine/Penicillin/Streptmycin不含のBME培地を7mL添加して細胞を回収した。本懸濁液を遠心分離((株)トミー精工製、型番LC-230、200×g/3分、室温)後、上清を除き、上記の培地を添加して細胞懸濁液を調製した。
(細胞接着確認試験)
実施例1~3、比較例1、2で作製した細胞凝集塊製造用基板に対して、細胞懸濁液を2.0mL加えた。細胞密度は実施例1、実施例2、比較例1については1.5×10cells/cm2、実施例3、比較例2については3.0×10cells/cm2となるように播種した。その後、5%二酸化炭素濃度を保った状態で、37℃/COインキュベーター内にて2時間静置した。静置後、非接着細胞と培地を除去し、PBSで洗浄することで接着細胞のみをウェル上へ残した。洗浄後、新しい培地を2.0mL添加し、実体顕微鏡SZX16(オリンパス(株)製)を用いて接着細胞の様子を観察、撮影した。その結果、図1に示すように、実施例1~3及び比較例1、2で作製した基板上の下地膜部分への選択的な細胞の接着が確認された。実施例1~3については細胞接着に間隙はなく均一な接着が起きていた。一方で比較例1~2については細胞接着に間隙があり、不均一に細胞接着していることが分かった。
上記より下地膜形成剤中に細胞の接着や伸展を促進する添加物を含有することで、血清(FBS)不含の培地中において下地膜上に均一な細胞接着を達成できることがわかった。
<試験例2:実施例4、6のFBS不含培地でのマウス線維芽細胞での細胞接着、細胞凝集塊形成確認試験>
(細胞の調製)
試験例1と同様の方法で細胞の調製を実施した。
(細胞接着確認試験)
実施例4、6で作製した細胞凝集塊製造用基板に対して、細胞懸濁液を3.0×10cells/cm2となるように2.0mL加えた。その後、5%二酸化炭素濃度を保った状態で、37℃/COインキュベーター内にて2時間静置した。静置後、非接着細胞と培地を除去し、PBSで洗浄することで接着細胞のみをウェル上へ残した。洗浄後、新しい培地を2.0mL添加し、実体顕微鏡SZX16(オリンパス(株)製)を用いて接着細胞の様子を観察、撮影した。さらに翌日細胞凝集塊形成の有無を観察、撮影した。その結果、図2に示すように、作製した基板上の下地膜部分への選択的な細胞の接着が確認された。また細胞接着に間隙はなく均一な接着が起きていた。さらに2日後の時点では接着した細胞がシャーレから剥がれて凝集し、細胞凝集塊(スフェロイド)を形成していることが確認された。上記より細胞の接着や伸展を促進する添加物を含有した下地膜において均一な細胞接着後に細胞が剥離し細胞凝集塊を形成可能であることが分かった。
<試験例3:実施例5、比較例3のヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた無血清培地での細胞接着確認試験>
(細胞の調製)
細胞は、ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC:セルソース(株)製)を用いた。細胞の培養には、低血清培地Mesenchymal Stem Cell Growth Medium 2(タカラバイオ(株)製:血清濃度2%)を用いた。細胞は、37℃/COインキュベーター内にて5%二酸化炭素濃度を保った状態で、直径10cmのシャーレ(培地10mL)を用いて2日間以上静置培養した。引き続き、本細胞をPBS溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)3mLで洗浄した後、トリプシン-EDTA溶液(PromoCell社製)3mLを添加して室温で3分間静置し細胞を剥離した。無血清培地のMesenchymal Stem Cell Growth Medium DXF培地を7mL添加して細胞を回収した。本懸濁液を遠心分離((株)トミー精工製、型番LC-230、200×g/3分、室温)後、上清を除き、上記の培地を添加して細胞懸濁液を調製した。
(細胞接着確認試験)
実施例5、比較例3で作製した細胞凝集塊製造用基板に対して、細胞懸濁液を3.0×10cells/cm2となるように2.0mL加えた。その後、5%二酸化炭素濃度を保った状態で、37℃/COインキュベーター内にて2時間静置した。静置後、非接着細胞と培地を除去し、PBSで洗浄することで接着細胞のみをウェル上へ残した。洗浄後、新しい培地を2.0mL添加し、実体顕微鏡SZX16(オリンパス(株)製)を用いて接着細胞の様子を観察、撮影した。その結果、図3に示すように、実施例5の場合には作製した基板上の下地膜部分への選択的な細胞の接着が確認された。また細胞接着に間隙はなく均一な接着が起きていた。一方で比較例3については細胞接着に間隙があり、不均一に細胞接着していることが分かった。
上記より下地膜形成剤中に細胞の接着や伸展を促進する添加物を含有することで、ADSCを用いた場合でも、無血清培地中において下地膜上に均一な細胞接着を達成できることがわかった。
<試験例4:実施例7のヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた低血清培地での細胞接着確認試験>
(細胞の調製)
試験例3において細胞剥離後の培養液を低血清培地のMesenchymal Stem Cell Growth Medium 2培地に変えた以外は同様の方法で細胞の調製を実施した。
(細胞接着確認試験)
実施例7で作製した細胞凝集塊製造用基板に対して、試験例3と同様の方法で細胞接着確認試験を実施した。その結果、図4に示すように、作製した基板上の下地膜部分への選択的な細胞の接着が確認された。また細胞接着に間隙はなく均一な接着が起きていた。
上記より下地膜形成剤中に細胞の接着や伸展を促進する添加物を含有することで、ADSCを用いた場合で、低血清培地中においても下地膜上に均一な細胞接着を達成できることがわかった。
<試験例5:比較例4(ポリマー不含で添加物のみ)のFBS不含培地でのマウス線維芽細胞での細胞接着、細胞凝集塊形成確認試験>
(細胞の調製)
試験例1と同様の方法で細胞の調製を実施した。
(細胞接着確認試験)
比較例4で作製した細胞凝集塊製造用基板に対して、試験例2と同様の方法で細胞接着、細胞凝集塊形成確認試験を実施した。その結果、図5に示すように、作製した基板上の下地膜部分への細胞接着は確認されなかった。上記よりポリマー不含で細胞の接着や伸展を促進する添加物のみを含有する下地膜において、細胞接着が達成できないことが分かった。これよりポリマーと添加物を組み合わせることで初めて細胞接着効果が表れることがわかった。
<試験例6:比較例5(ポリマー不含で添加物のみ)のFBS含有培地でのマウス線維芽細胞での細胞接着、細胞凝集塊形成確認試験>
(細胞の調製)
細胞剥離後の培養液をFBS(ウシ血清)10%及びGlutamine/Penicillin/Streptmycin1%含有したBME培地に変えた以外は、試験例1と同様の方法で細胞の調製を実施した。
(細胞接着確認試験)
比較例5で作製した細胞凝集塊製造用基板に対して、試験例2と同様の方法で細胞接着、細胞凝集塊形成確認試験を実施した。その結果、図6に示すように、作製した基板上の下地膜部分への選択的な細胞の接着が確認された。また細胞接着に間隙はなく均一な接着が起きていた。さらに2日後の時点では接着した細胞がシャーレ上に接着したままであることが確認された。上記よりポリマー不含で細胞の接着や伸展を促進する添加物のみを含有する下地膜において、血清培地中では均一な細胞接着は達成されるものの、その後剥離しないため細胞凝集塊の形成が出来ないことが分かった。
本発明の細胞培養の下地膜形成剤は、動物由来の血清含有、不含有いずれの培養条件においても、細胞の均一な接着を実現し、それに引き続き細胞凝集塊を製造できる。これより上記細胞培養の下地膜形成剤を用いることで、再生医療分野で用いられる均質で高品質な細胞凝集塊の量産化を達成できる。

Claims (12)

  1. 下記式(I):
    Figure 0007089710000015

    [式中、
    a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、細胞接着性物質、及び溶媒を含む、細胞培養の下地膜形成剤であって、
    上記ポリマーが、さらに2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有するモノマーとを重合することで得られるポリマーである、細胞培養の下地膜形成剤。
  2. 上記炭素-炭素不飽和結合が、炭素-炭素二重結合である、請求項1に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
  3. 上記2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有するモノマーが、多官能アクリレート化合物、多官能アクリルアミド化合物、多官能ポリエステル又はイソプレン化合物である、請求項1又は2に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
  4. 上記2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有するモノマーが、下記式(III)、(IV)又は(V):
    Figure 0007089710000016

    [式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Reは、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し、nは1~50の数を表す]で表されるモノマーである、請求項1~3何れか1項に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
  5. 上記ポリマーが、さらに式(II):
    Figure 0007089710000017

    [式中、
    は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含む、請求項1~4何れか1項に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
  6. 前記ポリマーと、細胞接着性物質の重量比が、100:0.1~100:100である、請求項1~5何れか1項に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
  7. 前記細胞接着性物質が、糖タンパク質を含む、請求項1~6何れか1項に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
  8. 細胞の付着抑制能を有する基板上に、下記式(I):
    Figure 0007089710000018

    [式中、
    a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、細胞接着性物質、及び溶媒を含む細胞培養の下地膜形成剤で形成した、細胞培養の下地膜のスポットを備える、細胞凝集塊製造用基板。
  9. 細胞の付着抑制能を有する基板上に、下記式(I):
    Figure 0007089710000019

    [式中、
    a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー及び細胞接着性物質を含む、細胞培養の下地膜を形成する工程、次いで細胞を播種する工程を含む、細胞凝集塊の製造方法。
  10. 下記式(I):
    Figure 0007089710000020

    [式中、
    a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー及び細胞接着性物質を含む、細胞培養の下地膜を有する、細胞の付着抑制能を有する基板上で、細胞を播種する工程を含む、細胞凝集塊の製造方法。
  11. 下記式(I):
    Figure 0007089710000021

    [式中、
    a1及びUa2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra1は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表し、Ra2は、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表す]で表されるモノマーと、式(II):
    Figure 0007089710000022

    [式中、
    は、水素原子又は炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐アルキル基を表す]で表されるモノマーとから誘導される繰り返し単位を含むポリマー、細胞接着性物質、及び溶媒を含む、細胞培養の下地膜形成剤であって、前記ポリマー中の式(I)で表されるモノマー由来の単位/式(II)で表されるモノマー由来の単位のモル比が、98/2~60/40である、細胞培養の下地膜形成剤。
  12. 前記ポリマー中の式(I)で表されるモノマー由来の単位/式(II)で表されるモノマー由来の単位のモル比が、98/2~70/30である、請求項11に記載の細胞培養の下地膜形成剤。
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