JP7089285B2 - 作物の発育期推定装置および発育期推定方法 - Google Patents

作物の発育期推定装置および発育期推定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7089285B2
JP7089285B2 JP2019011903A JP2019011903A JP7089285B2 JP 7089285 B2 JP7089285 B2 JP 7089285B2 JP 2019011903 A JP2019011903 A JP 2019011903A JP 2019011903 A JP2019011903 A JP 2019011903A JP 7089285 B2 JP7089285 B2 JP 7089285B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
growth
growth period
normal
year
period
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019011903A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019200778A (ja
Inventor
俊和 川方
さゆり 大久保
利拡 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Agriculture and Food Research Organization
Original Assignee
National Agriculture and Food Research Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Agriculture and Food Research Organization filed Critical National Agriculture and Food Research Organization
Publication of JP2019200778A publication Critical patent/JP2019200778A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7089285B2 publication Critical patent/JP7089285B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Description

本発明は、作物の発育期推定装置および発育期推定方法に関し、特に、作物の発育期を日平均気温や日長時間に基づいて推定する装置および方法に用いて好適なものである。
従来、水稲の出穂期を日平均気温や日長時間に基づいて推定する技術が知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。非特許文献1には、30年平年出穂日と30年平年気温と日長時間とから、30年平年田植日の発育指数(DVI)を推定するとともに、気温および日長から日々の発育速度(DVR)を積算し、これらの情報に基づいて水稲の出穂日を推定することが開示されている。また、非特許文献1には、平年出穂日、平年田植日、平年日平均気温を与えることができれば、当年の日平均気温を入力して出穂日を計算することができることや、当該計算した出穂日から平年出穂日を引いた値を出穂の平年差として計算することができることも開示されている。
また、特許文献1には、田植え時の日時、田植え時の幼葉の枚数、日長時間を割り出す緯度情報などの設定を行い、生育予測理論(例えばPRINCESS理論)に従って、温度センサのデータと緯度から算出される日長時間を計算し、日々累積を行うことにより、水稲の生育上重要な幼穂形成期、減数分裂期、出穂期などを推定し、追肥時期が到来したことを予測することが開示されている(段落[0023]参照)。
特開2009-106261号公報
生物と気象17,p77-82 「30年平均の平年出穂日を用いた水稲の出穂日の推定」(川方俊和,2017年10月10日)
上記従来技術のように、田植日を起算日として日平均気温や日長時間を積算することによって水稲の出穂期を推定する場合、田植日は既に水稲の成長がある程度進んでいる状態であるため、日平均気温や日長時間の積算値に関して何らかの初期値を設定することが必要である。しかしながら、正しい初期値を与えることが難しく、そのため、水稲の出穂期を正確に推定することが難しいという問題があった。
また、特許文献1に記載の技術によれば、出穂期の他にも幼穂形成期や減数分裂期などを推定することが可能であるが、これらの発育期を正確に推定することも難しい。水稲は、播種後のある時期までは主に気温に感応して成長し、ある時期から日長にも感応して成長が進んでいくため、一律に田植日を起算日として日平均気温や日長時間を単純に積算するだけでは、出穂期以外の各発育期を正確に推定することが難しいのである。
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、作物の発育期をより正確に推定できるようにすることを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明では、過去数年における作物の発育の状態の実績を表した発育データをもとに平年基準発育期を設定するとともに、発育因子の積算値を関数に適用して当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する。さらに、本発明では、上記のように設定した平年基準発育期から、過去の気象要素に基づく発育因子の平年値を逆積算することにより、起算日における発育因子の積算値に関する初期値を設定する。そして、このようにして設定した起算日および初期値を関数に適用し、当年の気象要素に基づく発育因子を起算日の初期値から積算することにより、当年における作物の発育期を推定するようにしている。
上記のように構成した本発明によれば、起算日から発育因子を積算することによって作物の発育期を推定する場合において、既に作物の成長がある程度進んでいる状態の起算日における発育因子の積算値として、平年基準発育期から過去の気象要素に基づく発育因子の平年値を逆積算することによって算出した適切な初期値を与えることが可能となる。これにより、適切に与えられた起算日における発育因子の積算値の初期値から当年の気象要素に基づく発育因子を積算することにより、当年における作物の発育期をより正確に推定することができる。
第1の実施形態による発育期推定装置の機能構成例を示すブロック図である。 第1の実施形態による初期値設定部の処理内容を説明するための図である。 第1の実施形態による当年発育期推定部の処理内容を説明するための図である。 他平年発育期推定部の処理内容を説明するための図である。 平年差算出部の処理内容を説明するための図である。 第1の実施形態による発育期推定装置の動作例を示すフローチャートである。 第2の実施形態による発育期推定装置の機能構成例を示すブロック図である。 第2の実施形態による初期値設定部の処理内容を説明するための図である。 第2の実施形態による基準発育期推定部の処理内容を説明するための図である。 第2の実施形態による他発育期推定部の処理内容を説明するための図である。 第2の実施形態による発育期推定装置の動作例を示すフローチャートである。 第3の実施形態による発育期推定装置の機能構成例を示すブロック図である。 第3の実施形態による当日発育期推定部の処理内容を説明するための図である。 第3の実施形態による過去平年発育期推定部および当日平年差算出部の処理内容を説明するための図である。 第4の実施形態による発育期推定装置の機能構成例を示すブロック図である。 第4の実施形態による発育期推定装置の機能構成例を示すブロック図である。 第4の実施形態による発育期推定装置の機能構成例を示すブロック図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態による作物の発育期推定装置(以下、単に発育期推定装置という)の機能構成例を示すブロック図である。なお、以下では作物の一例として、水稲の発育期を推定する場合について説明する。
図1に示すように、第1の実施形態による発育期推定装置10は、その機能構成として、平年基準発育期設定部11、起算日設定部12、初期値設定部13、当年発育期推定部14、他平年発育期推定部15および平年差算出部16を備えて構成されている。また、発育期推定装置10には、記憶媒体として、発育実績データ記憶部101、過去気象データ記憶部102および当年気象データ記憶部103が接続されている。
上記各機能ブロック11~16は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~16は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
発育実績データ記憶部101は、過去数年における作物の発育の状態の実績を表した発育データを記憶する。発育データとは、例えば作物が稲の場合、育苗期、分げつ期、幼穂形成期、出穂期、成熟期といった各発育期に達した日付を記録したデータである。また、発育データは、播種日、田植日、基肥日、追肥日、穂肥日、実肥日、落水日、収穫日といった各農作業を行った日付も合わせて記録したデータである。発育実績データ記憶部101は、これらの記録を含む発育データを複数の地域または圃場ごとに、過去数年間分記憶している。
過去気象データ記憶部102は、過去数年における気象要素の推移を表した気象データを記憶する。第1の実施形態では、気象要素として日平均気温を用いる。すなわち、第1の実施形態において用いる過去気象データ記憶部102は、過去数年における日平均気温の推移を表した気象データを記憶したものである。過去気象データ記憶部102は、日本国内の各地域に設定された複数の観測地点における日平均気温の推移を表した気象データを過去数年間分記憶している。
当年気象データ記憶部103は、当年における気象要素(日平均気温)の推移を表した気象データを記憶する。当年における気象データとは、現在が属する年の1月1日から現在までにおける日平均気温の実況値と、現在より先の日付における日平均気温の予報値とを記録したデータである。予報値は、例えば気象庁から公開されているデータとする。当年気象データ記憶部103は、日本国内の各地域に設定された複数の観測地点における当年の日平均気温の推移を表した気象データを記憶している。
なお、気象庁から公開されている予報値が現在から所定期間以内のものに限定され、当年の末日までの予報値が含まれていない場合がある。この場合は、予報値が存在する最終日より先の日付の日平均気温については、発育期の推定に用いる際に、過去気象データ記憶部102に記憶されている過去数年の日平均気温を平均した平年値である平年日平均気温で代用する。
以上の発育実績データ記憶部101、過去気象データ記憶部102および当年気象データ記憶部103は、例えばサーバ装置に備えられ、インターネットや携帯電話網などの通信ネットワークを介して発育期推定装置10に接続される。すなわち、発育期推定装置10は、通信ネットワークを介してサーバ装置にアクセスすることにより、各記憶部101~103に記憶されているデータを適宜ダウンロードすることが可能に構成されている。発育期推定装置10は、基本的に、発育期の推定を行う地域または圃場と同じ地域または圃場に関するデータを各記憶部101~103からダウンロードして利用する。ここで、各記憶部101~103を備えるサーバ装置は、必ずしも単一の装置でなくてもよく、複数の装置により構成されたものであってもよい。また、各記憶部101~103は、LAN(Local Area Network)を介して発育期推定装置10に接続される構成であってもよい。
平年基準発育期設定部11は、発育実績データ記憶部101を参照し、複数の発育期のうち基準とする発育期である基準発育期を任意の期間について平均した平年値を算出し、これを平年基準発育期として設定する。基準発育期は、育苗期、分げつ期、幼穂形成期、出穂期、成熟期の何れに設定することも可能であるが、出穂期を基準発育期として用いるのが好ましい。出穂期における稲の状態は目視により比較的容易に確認が可能で、発育実績データ記憶部101に過去の実績として記憶されている発育データの信頼性が比較的高いと言えるからである。また、平年値を算出する際に用いる発育データの期間は、直近の数年間(例えば、直近5年間)とするのが好ましい。
すなわち、平年基準発育期設定部11は、発育実績データ記憶部101に記憶されている発育データのうち、当年における発育期の推定を行いたい地域または圃場と同じ地域または圃場に関する発育データを参照し、直近5年間の出穂期の日付を取得する。そして、平年基準発育期設定部11は、当該取得した直近5年間の出穂期の日付を平均した平年値を算出し、これを平年基準発育期(以下、平年基準発育期=平年出穂期として説明する)として設定する。
起算日設定部12は、作物の複数の発育期と発育因子の積算値との相関関係を示した関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する。第1の実施形態では、発育因子として日平均気温を用いる。
一般に、作物が各発育期に達する時期は、日平均気温の積算値と相関することが知られている。例えば、発芽日からの日平均気温の積算値がD1[℃日]に達すると分げつ期に至り、発芽日からの日平均気温の積算値がD2[℃日]に達すると幼穂形成期に至り、発芽日からの日平均気温の積算値がD3[℃日]に達すると出穂期に至り、発芽日からの日平均気温の積算値がD4[℃日]に達すると成熟期に至るといったことが知られている。本実施形態では、このような複数の発育期と日平均気温の積算値との相関関係を示した第1の関数を用いて、当年における稲の発育期を推定する。
起算日設定部12は、この第1の関数を用いて当年における稲の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する。積算の起算日には、播種日、田植日、基肥日、追肥日、穂肥日、実肥日、落水日、収穫日といった各農作業日のうち、平年基準発育期(平年出穂期)よりも前となる何れかの日を設定する。例えば、発育実績データ記憶部101に記憶されている過去数年の田植日を任意の期間(例えば、直近5年間)について平均した平年田植日を起算日として設定するのが好ましい。なお、作物の種類によっては、平年播種日を起算日として設定するようにしてもよい。播種日や田植日は、同じ地域であればこれを行う日に大きなばらつきがなく、平年値としての信頼性が比較的高くなると言えるからである。
初期値設定部13は、平年基準発育期設定部11により設定された平年基準発育期(平年出穂期)から、過去気象データ記憶部102から取得した過去の日平均気温の平年値である平年日平均気温を逆積算(値を減らす方へ積算)することにより、起算日設定部12により設定された起算日(例えば、平年田植日)における日平均気温の積算値に関する初期値を設定する。すなわち、起算日設定部12により起算日として設定された平年田植日は、発芽から稲の成長がある程度進んでいる状態であるため、平年田植日に対応する日平均気温の積算値を設定する必要がある。初期値設定部13は、過去気象データ記憶部102に記憶されている過去の日平均気温から平年日平均気温を算出し、この平年日平均気温を用いて、平年田植日に対応する日平均気温の積算値を算出する。そして、算出した積算値を、平年田植日から積算を開始する際の初期値として設定する。
図2は、この初期値設定部13の処理内容を説明するための図である。なお、図2では、ある基準温度以上の日平均気温である有効気温に限定して積算を行う場合の例を示している。また、図2の例では、平年基準発育期設定部11により設定された平年基準発育期(平年出穂期)Hの有効積算気温を0[℃日]とし、平年出穂期Hから起算日(平年田植日)Pまで平年日平均気温を逆積算することにより、当該平年田植日Pにおける有効積算気温を算出し、これを初期値として設定している。したがって、平年出穂期Hよりも前の平年田植日Pの有効積算気温はマイナスの値となる。
当年発育期推定部14は、起算日設定部12により設定された起算日および初期値設定部13により設定された初期値を第1の関数に適用し、当年気象データ記憶部103から取得した当年の日平均気温(有効気温としてもよい)を起算日の初期値から積算することにより、当年の各発育期(分げつ期、幼穂形成期、出穂期、成熟期)を推定する。すなわち、当年発育期推定部14は、起算日(平年田植日)から当年の日平均気温を積算することにより、その積算値が第1の関数で特定される各発育期の有効積算気温に至った日をそれぞれ分げつ期、幼穂形成期、出穂期、成熟期として推定する。
例えば、第1の関数により、発芽日から分げつ期に至るまでに要する日平均気温の積算値(以下、要積算気温という)が特定されるので、当年の日平均気温を起算日(平年田植日)における初期値から積算して、その積算値が分げつ期までの要積算気温に達した日を当年の分げつ期として推定する。また、第1の関数により、発芽日から幼穂形成期に至るまでに要する日平均気温の積算値が特定されるので、当年の日平均気温を起算日(平年田植日)における初期値から積算して、その積算値が幼穂形成期までの要積算気温に達した日を当年の幼穂形成期として推定する。出穂期および成熟期についても同様に推定する。
図3は、この当年発育期推定部14の処理内容を説明するための図である。なお、図3において、図2と同じ要素には同じ符号を付している。なお、図3は、各発育期のうち、幼穂形成期、出穂期および成熟期の3つを推定する例を示している。
図3に示すように、当年発育期推定部14は、起算日設定部12により起算日として設定された平年田植日Pを起点として、初期値設定部13により設定された初期値から当年の日平均気温に基づき特定される有効気温を積算し、その積算値が第1の関数で特定される各発育期の有効積算気温に至った日をそれぞれ幼穂形成期Y、出穂期H、成熟期Mとして推定する。
このように、本実施形態では、過去数年における稲の発育の状態の実績を表した発育データをもとに、日平均気温を積算する起算日を設定し、平年基準発育期から過去の平年日平均気温を逆積算することにより、起算日における日平均気温の積算値に関する初期値を設定する。そして、このようにして設定した起算日および初期値をもとに、当年の日平均気温を積算することにより、当年における稲の各発育期を推定するようにしている。
このように構成した本実施形態によれば、既に稲の成長がある程度進んでいる状態の起算日における日平均気温の積算値として適切な初期値を与えることができる。これにより、適切に与えられた初期値から当年の日平均気温を積算することにより、当年における稲の発育期をより正確に推定することができる。特に、本実施形態では、稲が成長を始める時期が確定できない場合や、既に稲の成長が始まっている段階においても、当年における発育期を推定することが可能である。
他平年発育期推定部15は、平年基準発育期設定部11により設定された平年基準発育期(平年出穂期)から、過去数年の平年日平均気温を積算または逆積算することにより、他の平年発育期(例えば、平年分げつ期、平年幼穂形成期、平年成熟期)を推定する。ここで、平年出穂期より後の平年成熟期については、平年出穂期から平年日平均気温を積算することにより、第1の関数で特定される成熟期の積算値に至った日を平年成熟期として推定する。一方、平年出穂期より前の平年分げつ期および平年幼穂形成期については、平年出穂期から平年日平均気温を逆積算することにより、第1の関数で特定される分げつ期および幼穂形成期の逆積算値に至った日をそれぞれ平年分げつ期および平年幼穂形成期として推定する。
図4は、他平年発育期推定部15の処理内容を説明するための図である。なお、図4において、図3と同じ要素には同じ符号を付している。図4は、平年出穂期を基準として平年幼穂形成期および平年成熟期を推定する例を示している。図4に示すように、他平年発育期推定部15は、平年基準発育期設定部11により設定された平年出穂期Hの有効積算気温である0[℃日]から、それよりも後の日付の平年日平均気温を積算することにより、平年出穂期Hから第1の関数で特定される成熟期の積算値に至った日を平年成熟期Mとして推定する。すなわち、第1の関数により、出穂期から成熟期までに要する有効積算気温(要積算気温)が特定されるので、平年日平均気温から特定される有効気温を0[℃日]から積算して、その積算値が成熟期までの要積算気温に達した日を平年成熟期Mとして推定する。
同様に、他平年発育期推定部15は、平年基準発育期設定部11により設定された平年出穂期Hの有効積算気温である0[℃日]から、それよりも前の日付の平年日平均気温を逆積算することにより、平年出穂期Hから第1の関数で特定される幼穂形成期の逆積算値に至った日を平年幼穂形成期Yとして推定する。すなわち、第1の関数により、幼穂形成期から出穂期までに要する有効積算気温(要積算気温)が特定されるので、平年日平均気温から特定される有効気温を0[℃日]から逆積算して、その逆積算値の絶対値が幼穂形成期までの要積算気温に達した日を平年幼穂形成期Yとして推定する。
平年差算出部16は、当年発育期推定部14により推定された当年の各発育期と、平年基準発育期設定部11および他平年発育期推定部15により設定または推定された各平年発育期との差である平年差を算出する。
図5は、平年差算出部16の処理内容を説明するための図である。図5において、グラフ51は、当年発育期推定部14により推定された当年の各発育期(幼穂形成期Y、出穂期H、成熟期M)と当年の日平均気温の積算の様子を示している。グラフ52は、平年基準発育期設定部11および他平年発育期推定部15により設定または推定された平年の各発育期(平年幼穂形成期Y、平年出穂期H、平年成熟期M)と平年日平均気温の積算の様子を示している。
図5に示すように、平年差算出部16は、幼穂形成期Yと平年幼穂形成期Yとの平年差ΔY、出穂期Hと平年出穂期Hとの平年差ΔH、および、成熟期Mと平年成熟期Mとの平年差ΔMをそれぞれ算出する。仮に、当年の日平均気温が平年日平均気温と同じ値で推移する場合、当年の発育期は平年発育期に等しくなり、各発育期の平年差は0になる。そのため、当年の発育期は、平年発育期を中心に変動し、その平年差は、起算日から各発育期までの気温が高ければ高いほど負の値に大きくなり、気温が低ければ低いほど正の値に大きくなる。図5の例は、当年における起算日から各発育期までの気温が平年より低い場合を示している。
このように、各発育期における平年差を算出することにより、当年の発育が平年よりも遅れているか進んでいるか、それがどの程度の差であるのかを把握することが可能となる。
なお、ここでは各発育期の平年差を全て算出する例について説明しているが、何れか1つまたは任意の複数の発育期に関する平年差を算出するようにしてもよい。また、ここでは、平年差を算出する例を示したが、当年の発育期を推定するのみとすることも可能である。この場合、他平年発育期推定部15および平年差算出部16は省略される。
図6は、第1の実施形態による発育期推定装置10の動作例を示すフローチャートである。まず、平年基準発育期設定部11は、発育実績データ記憶部101に記憶されている発育データを参照し、過去数年の基準発育期を任意の期間について平均した平年値を算出し、これを平年基準発育期(平年出穂期)として設定する(ステップS1)。
次に、起算日設定部12は、第1の関数を用いて当年における稲の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する(ステップS2)。また、初期値設定部13は、平年基準発育期(平年出穂期)から過去の平年日平均気温を逆積算することにより、起算日(平年田植日)における日平均気温の積算値に関する初期値を設定する(ステップS3)。
次いで、当年発育期推定部14は、起算日設定部12により設定された起算日および初期値設定部13により設定された初期値を第1の関数に適用し、当年の日平均気温を起算日の初期値から積算することにより、当年の各発育期を推定する(ステップS4)。
さらに、他平年発育期推定部15は、平年基準発育期設定部11により設定された平年基準発育期(平年出穂期)から、過去数年の平年日平均気温を積算または逆積算することにより、第1の関数に基づいて他の平年発育期(平年分げつ期、平年幼穂形成期、平年成熟期)を推定する(ステップS5)。そして、平年差算出部16は、当年発育期推定部14により推定された当年の各発育期と、平年基準発育期設定部11および他平年発育期推定部15により設定または推定された各平年発育期との差である平年差を算出する(ステップS6)。
なお、ステップS5の処理は、ステップS2~S6の間の任意のタイミングで実行するようにしてよい。
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、過去数年における作物の発育の状態の実績を表した発育データをもとに平年基準発育期(例えば、平年出穂期)を設定するとともに、発育因子である日平均気温の積算値を第1の関数に適用して当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する。さらに、第1の実施形態では、上記のように設定した平年基準発育期から、過去の平年日平均気温を逆積算することにより、起算日における日平均気温の積算値に関する初期値を設定する。そして、このようにして設定した起算日および初期値を第1の関数に適用し、当年の日平均気温を起算日の初期値から積算することにより、当年における作物の発育期を推定するようにしている。
このように構成した第1の実施形態によれば、起算日から日平均気温を積算することによって作物の発育期を推定する場合において、既に作物の成長がある程度進んでいる状態の起算日における日平均気温の積算値として、平年基準発育期から過去の平年日平均気温を逆積算することによって算出した適切な初期値を与えることが可能となる。これにより、適切に与えられた起算日における日平均気温の積算値の初期値から当年の日平均気温を積算することにより、当年における作物の発育期をより正確に推定することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。第2の実施形態では、発育期を推定する際の気象要素として日平均気温および日長時間を用いる。また、発育因子として、日平均気温と、日平均気温および日長時間を変数とする関数値である発育速度との2つを用いる。なお、日平均気温および日長時間を変数として発育速度を算出する関数については、公知の技術を適用することが可能である。第2の実施形態は、日平均気温の他に日長時間も発育の状態に影響を与える品種の作物について各発育期を推定する場合に有用なものである。また、第2の実施形態は、同じ地域で田植の時期を大きく変えるような場合(3月と6月など)や、地域が遠く離れていて、同じ品種でも発育速度に違いが生じ得るような場合(北海道と九州など)にも有用である。
図7は、第2の実施形態による発育期推定装置20の機能構成例を示すブロック図である。なお、この図7において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。図7に示すように、第2の実施形態による発育期推定装置20は、図1に示した起算日設定部12および初期値設定部13に代えて、起算日設定部22および初期値設定部23を備えている。また、第2の実施形態による発育期推定装置20は、図1に示した当年発育期推定部14に代えて、基準発育期推定部27および他発育期推定部28を備えている。また、第2の実施形態による発育期推定装置20には、過去気象データ記憶部102および当年気象データ記憶部103に代えて過去気象データ記憶部202および当年気象データ記憶部203が接続されている。
ここで、起算日設定部22、初期値設定部23および基準発育期推定部27は、気象要素として日平均気温および日長時間を用い、発育因子として発育速度を用いる。また、他発育期推定部28は、発育因子および気象要素として日平均気温を用いる。すなわち、第2の実施形態では、起算日設定部22、初期値設定部23および基準発育期推定部27によって基準発育期(例えば、出穂期)を推定する際には発育因子として発育速度を用いる。また、他発育期推定部28によって他の発育期を推定する際には発育因子として日平均気温を用いる。
過去気象データ記憶部202は、過去数年における日平均気温および日長時間の推移を表した気象データを記憶する。過去気象データ記憶部202は、日本国内の各地域に設定された複数の観測地点における日平均気温および日長時間の推移を表した気象データを過去数年間分記憶している。
当年気象データ記憶部203は、当年における日平均気温および日長時間の推移を表した気象データを記憶する。当年における気象データは、現在が属する年の1月1日から現在までにおける日平均気温および日長時間の実況値と、現在より先の日付における日平均気温および日長時間の予報値とを記録したデータである。当年気象データ記憶部203は、日本国内の各地域に設定された複数の観測地点における当年の日平均気温および日長時間の推移を表した気象データを記憶している。なお、予報値が存在する最終日より先の日付の日平均気温および日長時間を発育期の推定に用いる際に、過去気象データ記憶部202に記憶されている過去数年の日平均気温および日長時間を平均した平年値で代用することは、第1の実施形態と同様である。
起算日設定部22は、作物の複数の発育期と発育速度の積算値との相関関係を示した第2の関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する。上述した第1の実施形態では、発育因子として日平均気温を用いており、日平均気温を変数とする第1の関数に基づいて当年の出穂期を含む各発育期を推定していた。これに対し、第2の実施形態では、当年の基準発育期(出穂期)を推定する際の発育因子として発育速度を用いており、当該発育速度を変数とする第2の関数に基づいて当年の出穂期を推定する。そのため、起算日設定部22は、第1の関数ではなく、第2の関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する。なお、起算日設定部22は、第1の実施形態で説明した起算日設定部12と同様、例えば平年田植日または平年播種日を起算日として設定する。
初期値設定部23は、平年基準発育期設定部11により設定された平年基準発育期(平年出穂期)から、過去気象データ記憶部202から取得した過去の日平均気温および日長時間から求まる過去の発育速度の平年値である平年発育速度を逆積算することにより、起算日設定部22により設定された起算日(例えば、平年田植日)における発育速度の積算値に関する初期値を設定する。初期値の算出の仕方は、第1の実施形態で説明した初期値設定部13と同様である。
図8は、この初期値設定部23の処理内容を説明するための図である。なお、図8の例では、平年基準発育期設定部11により設定された平年基準発育期(平年出穂期)の発育速度積算値を1[1/日]とし、平年出穂期Hから平年田植日Pまで平年発育速度を逆積算することにより、当該平年田植日Pにおける発育速度積算値を算出し、これを初期値として設定している。したがって、平年出穂期Hよりも前の平年田植日Pの発育速度積算値は“1”より小さい値となる。
基準発育期推定部27は、起算日設定部22により設定された起算日および初期値設定部23により設定された初期値を第2の関数に適用し、当年気象データ記憶部203から取得した当年の日平均気温および日長時間から求まる当年の発育速度を起算日の初期値から積算することにより、当年の基準発育期を推定する。すなわち、基準発育期推定部27は、起算日(平年田植日)から当年の発育速度を積算することにより、その積算値が平年出穂期の発育速度積算値(1[1/日])と同じ値に達する日を当年の出穂期として推定する。
図9は、この基準発育期推定部27の処理内容を説明するための図である。なお、図9において、図8と同じ要素には同じ符号を付している。図9に示すように、基準発育期推定部27は、起算日設定部22により起算日として設定された平年田植日Pを起点として、初期値設定部23により設定された初期値から当年の発育速度を積算し、その積算値が第2の関数で特定される出穂期の積算値に至った日、つまり平年出穂期Hと同じ発育速度積算値である1[1/日]に達する日を当年の出穂期Hとして推定する。
他発育期推定部28は、基準発育期推定部27により推定された当年の基準発育期(出穂期)から、当年の日平均気温を積算または逆積算することにより、第1の関数に基づいて当年における作物の他の発育期(例えば、分げつ期、幼穂形成期、成熟期)を推定する。ここで、出穂期より後の成熟期については、出穂期から当年の日平均気温を積算することにより、第1の関数で特定される成熟期の積算値に至った日を成熟期として推定する。一方、出穂期より前の分げつ期および幼穂形成期については、出穂期から当年の日平均気温を逆積算することにより、第1の関数で特定される分げつ期および幼穂形成期の逆積算値に至った日をそれぞれ分げつ期および幼穂形成期として推定する。
図10は、他発育期推定部28の処理内容を説明するための図である。なお、図10において、図9と同じ要素には同じ符号を付している。図10は、出穂期を基準として幼穂形成期および成熟期を推定する例を示している。図10に示すように、他発育期推定部28は、基準発育期推定部27により推定された当年の出穂期Hの有効積算気温である0[℃日]から、それよりも後の日付の当年の日平均気温を積算することにより、出穂期Hから第1の関数で特定される成熟期の積算値に至った日を成熟期Mとして推定する。すなわち、第1の関数により、出穂期から成熟期までに要する有効積算気温(要積算気温)が特定されるので、当年の日平均気温から特定される有効気温を0[℃日]から積算して、その積算値が成熟期までの要積算気温に達した日を当年の成熟期Mとして推定する。
同様に、他発育期推定部28は、基準発育期推定部27により推定された当年の出穂期Hの有効積算気温である0[℃日]から、それよりも前の日付の当年の日平均気温を逆積算することにより、出穂期Hから第1の関数で特定される幼穂形成期の逆積算値に至った日を幼穂形成期Yとして推定する。すなわち、第1の関数により、幼穂形成期から出穂期までに要する有効積算気温(要積算気温)が特定されるので、当年の日平均気温から特定される有効気温を0[℃日]から逆積算して、その逆積算値の絶対値が幼穂形成期までの要積算気温に達した日を当年の幼穂形成期Yとして推定する。
図11は、第2の実施形態による発育期推定装置20の動作例を示すフローチャートである。まず、平年基準発育期設定部11は、発育実績データ記憶部101に記憶されている発育データを参照し、過去数年の基準発育期を任意の期間について平均した平年値を算出し、これを平年基準発育期(平年出穂期)として設定する(ステップS11)。
次に、起算日設定部22は、第2の関数を用いて当年における稲の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する(ステップS12)。また、初期値設定部23は、平年基準発育期(平年出穂期)から過去の平年発育速度を逆積算することにより、起算日(平年田植日)における発育速度の積算値に関する初期値を設定する(ステップS13)。
次いで、基準発育期推定部27は、起算日設定部22により設定された起算日および初期値設定部23により設定された初期値をもとに、当年の発育速度を起算日の初期値から積算することにより、当年の基準発育期(出穂期)を推定する(ステップS14)。また、他発育期推定部28は、基準発育期推定部27により推定された当年の基準発育期(出穂期)から、当年の日平均気温を積算または逆積算することにより、当年における他の発育期を推定する(ステップS15)。
さらに、他平年発育期推定部15は、平年基準発育期設定部11により設定された平年基準発育期(平年出穂期)から、過去数年の平年日平均気温を積算または逆積算することにより、第1の関数に基づいて他の平年発育期(平年分げつ期、平年幼穂形成期、平年成熟期)を推定する(ステップS16)。そして、平年差算出部16は、基準発育期推定部27および他発育期推定部28により推定された当年の各発育期と、平年基準発育期設定部11および他平年発育期推定部15により設定または推定された各平年発育期との差である平年差を算出する(ステップS17)。
なお、ステップS16の処理は、ステップS12~S17の間の任意のタイミングで実行するようにしてよい。
以上詳しく説明したように、第2の実施形態によれば、発育因子として発育速度を用いて基準発育期推定部27により推定された出穂期を基準として、発育因子として日平均気温を用いて他の発育期を推定することが可能である。水稲は、日平均気温の他に日長時間にも反応する時期に穂が分化する。その後、穂の成長、出穂、成熟へと発育が進むが、この段階での発育の進み方は、温度反応とみなせる。これを踏まえて第2の実施形態では、上述のように、出穂期の推定方法と、他の発育期の推定方法とを分離している。これにより、日長時間が発育に影響する作物の各発育期をより正確に推定することが可能となる。
なお、上記第1および第2の実施形態では、水稲の発育期として分げつ期、幼穂形成期、出穂期および成熟期を推定する例について説明したが、これ以外の発育期(例えば、育苗期、育苗期と分げつ期との間の活着期、成熟期を細かく分けた乳熟期、黄熟期、完熟期など)を推定することも可能である。
また、上記第2の実施形態では、発育速度を発育因子として基準発育期(出穂期)を推定する段階と、日平均気温を発育因子として他の発育期を推定する段階とを分ける例について説明したが、発育速度を発育因子として、第1の実施形態と同様に1段階の処理で各発育期を推定するようにしてもよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。第3の実施形態は、図9のように当年における作物の基準発育期(例えば、出穂期)を推定するところまでは第2の実施形態と同様である。これに対して、第3の実施形態は、出穂期以外の他の発育期および平年差を算出するところが第2の実施形態と異なる。第3の実施形態では、他の発育期として当日の発育期を推定し、平年差として当日の発育期と過去の平年発育期との差を算出する。
すなわち、基準発育期推定部27により推定された当年の出穂期から現在(推定を行っている当日)までの有効気温を積算することにより、現在の発育期を推定する。また、平年出穂期から現在までの平年有効気温を積算することにより、現在と同時期の平年発育期を求め、現在の発育期との平年差を求めることにより、現在の発育が平年よりも遅れているか進んでいるかを把握できるようにする。
図12は、第3の実施形態による発育期推定装置30の機能構成例を示すブロック図である。なお、この図12において、図7に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。図12に示すように、第3の実施形態による発育期推定装置30は、図7に示した他平年発育期推定部15、平年差算出部16および他発育期推定部28に代えて、過去平年発育期推定部32、当日平年差算出部33および当日発育期推定部31を備えている。
ここで、起算日設定部22、初期値設定部23および基準発育期推定部27は、気象要素として日平均気温および日長時間を用い、発育因子として発育速度を用いる。これは第2の実施形態と同様である。これに対し、当日発育期推定部31および過去平年発育期推定部32は、発育因子および気象要素として日平均気温を用いる。
当日発育期推定部31は、基準発育期推定部27により推定された当年の基準発育期(出穂期)から推定を行っている当日まで、当年の気象要素に基づく発育因子(日平均気温)を積算または逆積算することにより、当年における作物の推定当日の発育期を推定する。ここで、推定を行う当日が出穂期より後の場合は積算を行い、出穂期より前の場合は逆積算を行う。以下では、推定当日が出穂期より後であるものとして説明する。なお、以下では、この積算によって求まる日平均気温の積算値を「当年積算値」という。
図13は、当日発育期推定部31の処理内容を説明するための図である。この図13において、図9と同じ要素には同じ符号を付している。図13に示すように、当日発育期推定部31は、基準発育期推定部27により推定された当年の出穂期Hの有効積算気温である0[℃日]から、それよりも後の日付の当年の日平均気温を推定当日まで積算することにより、推定当日の発育期Nを推定する。この推定当日の発育期Nにおける有効積算気温∫T[℃日]が「当年積算値」に相当する。
このように、第3の実施形態によれば、基準発育期推定部27により推定された当年の出穂期Hから現在までの日平均気温を積算することにより、推定を行いたい任意の時点で現在の発育期を推定することが可能となる。
過去平年発育期推定部32は、平年基準発育期設定部11により設定された平年基準発育期(平年出穂期)から過去数年の発育因子の平年値(平年日平均気温)を積算し、その積算結果である過去平年積算値が当年積算値∫T[℃日]に達する時点を過去の平年発育期として推定する。過去平年発育期推定部32が推定する過去の平年発育期は、推定当日と同時期の平年発育期である。
図14は、過去平年発育期推定部32の処理内容を説明するための図である。なお、図14において、図13と同じ要素には同じ符号を付している。図14に示すように、過去平年発育期推定部32は、平年基準発育期設定部11により設定された平年出穂期Hの有効積算気温である0[℃日]から、それよりも後の日付の平年日平均気温を積算する。この積算は、その積算結果である過去平年積算値が、当日発育期推定部31が当年の基準発育期(出穂期H)から推定当日の発育期Nまで当年の日平均気温を積算した結果である当年積算値∫T[℃日]に達するまで行う。そして、過去平年積算値が当年積算値∫T[℃日]に達した時点を過去の平年発育期Nとして推定する。
当日平年差算出部33は、当日発育期推定部31により推定された推定当日の発育期と、過去平年発育期推定部32により推定された過去の平年発育期との差である当日平年差を算出する。
上記図14は、過去平年発育期推定部32の処理内容に加えて当日平年差算出部33の処理内容も示している。図14に示すように、過去平年発育期推定部32は、推定当日の発育期Nと過去の平年発育期Nとの差である当日平年差ΔNを算出する。図14の例は、当年における起算日から当日の発育期までの気温が平年より低い場合を示している。
このように、推定当日の発育期Nと過去の平年発育期Nとの差である当日平年差ΔNを算出することにより、当年の発育が当日時点(現時点)で平年よりも遅れているか進んでいるか、それがどの程度の差であるのかを把握することが可能となる。
なお、上記第3の実施形態では、基準発育期推定部27が当年の出穂期Hを推定する際に、第2の実施形態と同様に第2の関数を適用する例について説明したが、第1の実施形態と同様に第1の関数を適用するようにしてもよい。
また、上記第3の実施形態では、図7に示した他平年発育期推定部15、平年差算出部16および他発育期推定部28に代えて、過去平年発育期推定部32、当日平年差算出部33および当日発育期推定部31を備える例について説明したが、他平年発育期推定部15、平年差算出部16および他発育期推定部28に加えて、過去平年発育期推定部32、当日平年差算出部33および当日発育期推定部31を備えるようにしてもよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。第4の実施形態は、発育期の推定を地域別に面的に行うようにしたものである。地域別とは、例えば1km平方の矩形メッシュ領域別である。このメッシュ領域は、公知の作柄表示地帯別よりも狭い領域とする。作柄表示地帯とは、水稲収穫量調査結果の提供および利用のため、水稲の作柄を表示する区域として、都道府県の区域を水稲の生産力(地形、気象、栽培品種等)により分割したものである。作柄表示地帯の平年出穂日は、同じ作柄表示地帯内であればその変動が小さいことが知られている。このことから、本実施形態では、作柄表示地帯内に含まれる各メッシュ領域の平年出穂日は、作柄表示地帯単位の平年出穂日に等しいと仮定する。
図15は、第4の実施形態による発育期推定装置40の機能構成例を示すブロック図である。図15に示すように、第4の実施形態による発育期推定装置40は、その機能構成として、平年基準発育期設定部41、起算日設定部42、初期値設定部43、当年発育期推定部44、他平年発育期推定部45および平年差算出部46を備えて構成されている。また、発育期推定装置40には、記憶媒体として、発育実績データ記憶部401、過去気象データ記憶部402および当年気象データ記憶部403が接続されている。
発育実績データ記憶部401は、過去数年における作物の発育の状態の実績をメッシュ領域ごとに表した発育データを記憶する。発育データの内容は、第1の実施形態と同様である。すなわち、発育実績データ記憶部401は、複数のメッシュ領域ごとに、発育データを過去数年間分記憶している。この発育実績データ記憶部401に記憶されるメッシュ領域ごとの発育データは、例えば、農林水産庁等の公的機関または民間の調査機関から提供されている作柄表示地帯別の発育データをもとに作成することが可能である。
あるいは、人工衛星からの水田のリモートセンシング画像や、空中移動体(飛行機、ヘリコプター、ドローンなど)からの水田の空中撮影画像、または、複数のメッシュ領域に設置したカメラなどによる水田の撮影画像を数年間蓄積し、これらの撮影画像を解析することによってメッシュ領域ごとの発育データを作成するようにしてもよい。
過去気象データ記憶部402は、過去数年における気象要素(日平均気温)の推移をメッシュ領域ごとに表した気象データを記憶する。気象データの内容は、第1の実施形態と同様である。すなわち、過去気象データ記憶部402は、複数のメッシュ領域ごとに、日平均気温の推移を表した気象データを過去数年間分記憶している。
当年気象データ記憶部403は、当年における気象要素(日平均気温)の推移をメッシュ領域ごとに表した気象データを記憶する。当年における気象データの内容は、第1の実施形態と同様である。すなわち、当年気象データ記憶部403は、複数のメッシュ領域ごとに、当年の日平均気温の推移を表した気象データを記憶している。
平年基準発育期設定部41は、発育実績データ記憶部401を参照し、複数の発育期のうち基準とする発育期である基準発育期を任意の期間について平均した平年値をメッシュ領域ごとに算出し、これをメッシュ領域ごとの平年基準発育期(例えば、平年出穂期)として設定する。
起算日設定部42は、作物の複数の発育期と発育因子の積算値との相関関係を示した関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日をメッシュ領域ごとに設定する。第4の実施形態でも第1の実施形態と同様、発育因子として日平均気温を用いる。すなわち、起算日設定部42は、複数の発育期と日平均気温の積算値との相関関係を示した第1の関数を用いて当年における稲の発育期を推定する際における積算の起算日(例えば、平年田植日または平年播種日)を、メッシュ領域ごとに設定する。
初期値設定部43は、平年基準発育期設定部41により設定されたメッシュ領域ごとの平年基準発育期(平年出穂期)から、過去気象データ記憶部402から取得した過去の日平均気温の平年値である平年日平均気温を逆積算することにより、起算日設定部42により設定された起算日(例えば、平年田植日または平年播種日)における日平均気温の積算値に関する初期値をメッシュ領域ごとに設定する。
当年発育期推定部44は、起算日設定部42によりメッシュ領域ごとに設定された起算日および初期値設定部43によりメッシュ領域ごとに設定された初期値を第1の関数に適用し、当年気象データ記憶部403から取得した当年の気象要素に基づく発育因子(日平均気温)を起算日の初期値から積算することにより、当年における作物の各発育期(分げつ期、幼穂形成期、出穂期、成熟期)をメッシュ領域ごとに推定する。
以上のように、複数のメッシュ領域ごとにそれぞれ作物の発育期を推定することにより、作物の発育期を面的に推定することができる。
他平年発育期推定部45は、平年基準発育期設定部41によりメッシュ領域ごとに設定された平年基準発育期(平年出穂期)から、過去数年のメッシュ領域ごとの平年日平均気温を積算または逆積算することにより、他の平年発育期(例えば、平年分げつ期、平年幼穂形成期、平年成熟期)をメッシュ領域ごとに推定する。
平年差算出部46は、当年発育期推定部44によりメッシュ領域ごとに推定された当年の各発育期と、平年基準発育期設定部41および他平年発育期推定部45によりメッシュ領域ごとに設定または推定された各平年発育期との差である平年差をメッシュ領域ごとに算出する。
このように、複数のメッシュ領域ごとに平年差を算出することにより、当年の各発育期と平年の各発育期との差である平年差を面的に推定することができる。
なお、上記第4の実施形態では、第1の実施形態にて説明した内容をベースとして、複数のメッシュ領域ごとに作物の発育期を推定するとともに、複数のメッシュ領域ごとに平年差を算出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図16のように第2の実施形態にて説明した内容をベースとして、または図17のように第3の実施形態にて説明した内容をベースとして、複数のメッシュ領域ごとに作物の発育期を推定するとともに、複数のメッシュ領域ごとに平年差を算出するようにしてもよい。
図16において、図15に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。過去気象データ記憶部402’は、過去数年における気象要素の推移を地域(メッシュ領域)ごとに表した気象データを記憶する。当年気象データ記憶部403’は、当年における気象要素の推移を地域ごとに表した気象データを記憶する。
基準発育期推定部47は、起算日設定部42により地域ごとに設定された起算日および初期値設定部43により地域ごとに設定された初期値をもとに、当年気象データ記憶部403’から取得した当年の気象要素に基づく発育因子を起算日の初期値から積算することにより、当年における作物の基準発育期を地域ごとに推定する。他発育期推定部48は、基準発育期推定部47により地域ごとに推定された当年の基準発育期(例えば、出穂期)から、当年の気象要素に基づく発育因子を積算または逆積算することにより、当年における作物の他の発育期(例えば、分げつ期、幼穂形成期、成熟期)を地域ごとに推定する。
図17において、図15および図16に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。当日発育期推定部61は、基準発育期推定部47により地域ごとに推定された当年の基準発育期から推定当日まで、当年の気象要素に基づく発育因子を積算または逆積算することにより、当年における作物の推定当日の発育期を地域ごとに推定する。
過去平年発育期推定部62は、平年基準発育期設定部41により地域ごとに設定された平年基準発育期から過去数年の発育因子の平年値を地域ごとに積算または逆積算し、その積算結果である過去平年積算値が、当日発育期推定部が当年の基準発育期から推定当日まで当年の気象要素に基づく発育因子を積算または逆積算した結果である当年積算値に達する時点を地域ごとに過去の平年発育期として推定する。
当日平年差算出部63は、当日発育期推定部61により地域ごとに推定された推定当日の発育期と、過去平年発育期推定部62により地域ごとに推定された過去の平年発育期との差である当日平年差を地域ごとに算出する。
また、上記第1~第4の実施形態では、水稲の発育期を推定する例について説明したが、これ以外の作物の発育期も同様に推定することが可能である。
その他、上記第1~第4の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
10,20,30,40 作物の発育期推定装置
11,41 平年基準発育期設定部
12,22,42 起算日設定部
13,23,43 初期値設定部
14,44 当年発育期推定部
15,45 他平年発育期推定部
16,46 平年差算出部
27 基準発育期推定部
28 他発育期推定部
31 当日発育期推定部
32 過去平年発育期推定部
33 当日平年差算出部

Claims (14)

  1. 過去数年における作物の発育の状態の実績を表した発育データを記憶した発育実績データ記憶部を参照し、複数の発育期のうち基準とする発育期である基準発育期を任意の期間について平均した平年値を算出し、平年基準発育期として設定する平年基準発育期設定部と、
    上記作物の複数の発育期と発育因子の積算値との相関関係を示した関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する起算日設定部と、
    上記平年基準発育期設定部により設定された上記平年基準発育期から、過去数年における気象要素の推移を表した気象データを記憶した過去気象データ記憶部から取得した過去の気象要素に基づく上記発育因子の平年値を逆積算することにより、上記起算日設定部により設定された上記起算日における上記発育因子の積算値に関する初期値を設定する初期値設定部と、
    上記起算日設定部により設定された上記起算日および上記初期値設定部により設定された上記初期値をもとに、当年における気象要素の推移を表した気象データを記憶した当年気象データ記憶部から取得した当年の気象要素に基づく上記発育因子を上記起算日の上記初期値から積算することにより、当年における作物の発育期を推定する当年発育期推定部とを備えたことを特徴とする作物の発育期推定装置。
  2. 上記発育因子および上記気象要素として日平均気温を用い、
    上記起算日設定部は、上記作物の複数の発育期と上記日平均気温の積算値との相関関係を示した第1の関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定し、
    上記初期値設定部は、上記平年基準発育期設定部により設定された上記平年基準発育期から、過去数年における日平均気温の推移を表した気象データを記憶した上記過去気象データ記憶部から取得した過去の日平均気温の平年値である平年日平均気温を逆積算することにより、上記起算日設定部により設定された上記起算日における上記日平均気温の積算値に関する初期値を設定し、
    上記当年発育期推定部は、上記起算日設定部により設定された上記起算日および上記初期値設定部により設定された上記初期値を上記第1の関数に適用し、当年における日平均気温の推移を表した気象データを記憶した上記当年気象データ記憶部から取得した当年の日平均気温を上記起算日の上記初期値から積算することにより、上記当年の各発育期を推定することを特徴とする請求項1に記載の作物の発育期推定装置。
  3. 上記気象要素として日平均気温および日長時間を用い、上記発育因子として上記日平均気温および上記日長時間を変数とする関数値である発育速度を用い、
    上記起算日設定部は、上記作物の複数の発育期と上記発育速度の積算値との相関関係を示した第2の関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定し、
    上記初期値設定部は、上記平年基準発育期設定部により設定された上記平年基準発育期から、過去数年における日平均気温および日長時間の推移を表した気象データを記憶した上記過去気象データ記憶部から取得した過去の日平均気温および日長時間から求まる過去の発育速度の平年値である平年発育速度を逆積算することにより、上記起算日設定部により設定された上記起算日における上記発育速度の積算値に関する初期値を設定し、
    上記当年発育期推定部は、上記起算日設定部により設定された上記起算日および上記初期値設定部により設定された上記初期値を上記第2の関数に適用し、当年における日平均気温および日長時間の推移を表した気象データを記憶した上記当年気象データ記憶部から取得した当年の日平均気温および日長時間から求まる当年の発育速度を上記起算日の上記初期値から積算することにより、少なくとも上記当年の基準発育期を推定することを特徴とする請求項1に記載の作物の発育期推定装置。
  4. 上記当年発育期推定部は、基準発育期推定部および他発育期推定部を備え、
    上記基準発育期推定部は、上記起算日設定部により設定された上記起算日および上記初期値設定部により設定された上記初期値を上記第2の関数に適用し、当年における日平均気温および日長時間の推移を表した気象データを記憶した上記当年気象データ記憶部から取得した当年の日平均気温および日長時間から求まる当年の発育速度を上記起算日の上記初期値から積算することにより、上記当年の基準発育期を推定し、
    上記他発育期推定部は、上記基準発育期推定部により推定された当年の基準発育期から、上記当年の気象要素に基づく上記発育因子を積算または逆積算することにより、当年における作物の他の発育期を推定することを特徴とする請求項3に記載の作物の発育期推定装置。
  5. 上記起算日設定部、上記初期値設定部および上記基準発育期推定部は、上記気象要素として日平均気温および日長時間を用いるとともに、上記発育因子として上記日平均気温および上記日長時間を変数とする関数値である発育速度を用いる一方、上記他発育期推定部は、上記発育因子および上記気象要素として日平均気温を用い、
    上記他発育期推定部は、上記基準発育期推定部により推定された当年の基準発育期から、上記当年の日平均気温を積算または逆積算することにより、当年における作物の他の発育期を推定することを特徴とする請求項4に記載の作物の発育期推定装置。
  6. 上記平年基準発育期設定部により設定された上記平年基準発育期から、過去数年の上記発育因子の平年値を積算または逆積算することにより、他の平年発育期を推定する他平年発育期推定部と、
    上記当年発育期推定部により推定された当年の発育期と、上記平年基準発育期設定部により設定された上記平年基準発育期および上記他平年発育期推定部により推定された上記他の平年発育期の少なくとも1つとの差である平年差を算出する平年差算出部とを更に備えたことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の作物の発育期推定装置。
  7. 上記当年発育期推定部は、基準発育期推定部および当日発育期推定部を備え、
    上記基準発育期推定部は、上記起算日設定部により設定された上記起算日および上記初期値設定部により設定された上記初期値をもとに、当年における気象要素の推移を表した気象データを記憶した当年気象データ記憶部から取得した当年の気象要素に基づく上記発育因子を上記起算日の上記初期値から積算することにより、上記当年における作物の基準発育期を推定し、
    上記当日発育期推定部は、上記基準発育期推定部により推定された当年の基準発育期から推定当日まで、上記当年の気象要素に基づく上記発育因子を積算または逆積算することにより、上記当年における作物の上記推定当日の発育期を推定することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の作物の発育期推定装置。
  8. 上記平年基準発育期設定部により設定された上記平年基準発育期から過去数年の上記発育因子の平年値を積算または逆積算し、その積算結果である過去平年積算値が、上記当日発育期推定部が上記当年の基準発育期から上記推定当日まで上記当年の気象要素に基づく上記発育因子を積算または逆積算した結果である当年積算値に達する時点を過去の平年発育期として推定する過去平年発育期推定部と、
    上記当日発育期推定部により推定された上記推定当日の発育期と、上記過去平年発育期推定部により推定された過去の平年発育期との差である当日平年差を算出する当日平年差算出部とを更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の作物の発育期推定装置。
  9. 上記基準発育期は出穂期であり、上記起算日は、上記発育実績データ記憶部に記憶されている過去数年の田植日を任意の期間について平均した平年田植日であることを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の作物の発育期推定装置。
  10. 上記平年基準発育期設定部は、過去数年における作物の発育の状態の実績を地域ごとに表した発育データを記憶した発育実績データ記憶部を参照し、複数の発育期のうち基準とする発育期である基準発育期を任意の期間について平均した平年値を上記地域ごとに算出し、上記地域ごとの平年基準発育期として設定し、
    上記起算日設定部は、上記作物の複数の発育期と発育因子の積算値との相関関係を示した関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を上記地域ごとに設定し、
    上記初期値設定部は、上記平年基準発育期設定部により設定された上記地域ごとの平年基準発育期から、過去数年における気象要素の推移を上記地域ごとに表した気象データを記憶した過去気象データ記憶部から取得した過去の気象要素に基づく上記発育因子の平年値を逆積算することにより、上記起算日設定部により設定された上記起算日における上記発育因子の積算値に関する初期値を上記地域ごとに設定し、
    上記当年発育期推定部は、上記起算日設定部により上記地域ごとに設定された上記起算日および上記初期値設定部により上記地域ごとに設定された上記初期値をもとに、当年における気象要素の推移を上記地域ごとに表した気象データを記憶した当年気象データ記憶部から取得した当年の気象要素に基づく上記発育因子を上記起算日の上記初期値から積算することにより、当年における作物の発育期を上記地域ごとに推定することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の作物の発育期推定装置。
  11. 上記平年基準発育期設定部は、過去数年における作物の発育の状態の実績を地域ごとに表した発育データを記憶した発育実績データ記憶部を参照し、複数の発育期のうち基準とする発育期である基準発育期を任意の期間について平均した平年値を上記地域ごとに算出し、上記地域ごとの平年基準発育期として設定し、
    上記起算日設定部は、上記作物の複数の発育期と発育因子の積算値との相関関係を示した関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を上記地域ごとに設定し、
    上記初期値設定部は、上記平年基準発育期設定部により設定された上記地域ごとの平年基準発育期から、過去数年における気象要素の推移を上記地域ごとに表した気象データを記憶した過去気象データ記憶部から取得した過去の気象要素に基づく上記発育因子の平年値を逆積算することにより、上記起算日設定部により設定された上記起算日における上記発育因子の積算値に関する初期値を上記地域ごとに設定し、
    上記当年発育期推定部は、上記起算日設定部により上記地域ごとに設定された上記起算日および上記初期値設定部により上記地域ごとに設定された上記初期値をもとに、当年における気象要素の推移を上記地域ごとに表した気象データを記憶した当年気象データ記憶部から取得した当年の気象要素に基づく上記発育因子を上記起算日の上記初期値から積算することにより、当年における作物の発育期を上記地域ごとに推定し、
    上記他平年発育期推定部は、上記平年基準発育期設定部により上記地域ごとに設定された上記平年基準発育期から、過去数年の上記地域ごとの発育因子の平年値を積算または逆積算することにより、他の平年発育期を上記地域ごとに推定し、
    上記平年差算出部は、上記当年発育期推定部により上記地域ごとに推定された当年の発育期と、上記平年基準発育期設定部により上記地域ごとに設定された上記平年基準発育期および上記他平年発育期推定部により上記地域ごとに推定された上記他の平年発育期の少なくとも1つとの差である平年差を上記地域ごとに算出することを特徴とする請求項6に記載の作物の発育期推定装置。
  12. 上記平年基準発育期設定部は、過去数年における作物の発育の状態の実績を地域ごとに表した発育データを記憶した発育実績データ記憶部を参照し、複数の発育期のうち基準とする発育期である基準発育期を任意の期間について平均した平年値を上記地域ごとに算出し、上記地域ごとの平年基準発育期として設定し、
    上記起算日設定部は、上記作物の複数の発育期と発育因子の積算値との相関関係を示した関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を上記地域ごとに設定し、
    上記初期値設定部は、上記平年基準発育期設定部により設定された上記地域ごとの平年基準発育期から、過去数年における気象要素の推移を上記地域ごとに表した気象データを記憶した過去気象データ記憶部から取得した過去の気象要素に基づく上記発育因子の平年値を逆積算することにより、上記起算日設定部により設定された上記起算日における上記発育因子の積算値に関する初期値を上記地域ごとに設定し、
    上記当年発育期推定部は、基準発育期推定部および当日発育期推定部を備え、
    上記基準発育期推定部は、上記起算日設定部により上記地域ごとに設定された上記起算日および上記初期値設定部により上記地域ごとに設定された上記初期値をもとに、当年における気象要素の推移を上記地域ごとに表した気象データを記憶した当年気象データ記憶部から取得した当年の気象要素に基づく上記発育因子を上記起算日の上記初期値から積算することにより、上記当年における作物の基準発育期を上記地域ごとに推定し、
    上記当日発育期推定部は、上記基準発育期推定部により上記地域ごとに推定された当年の基準発育期から推定当日まで、上記当年の気象要素に基づく上記発育因子を積算または逆積算することにより、上記当年における作物の上記推定当日の発育期を上記地域ごとに推定することを特徴とする請求項7に記載の作物の発育期推定装置。
  13. 上記平年基準発育期設定部により上記地域ごとに設定された上記平年基準発育期から過去数年の上記発育因子の平年値を上記地域ごとに積算または逆積算し、その積算結果である過去平年積算値が、上記当日発育期推定部が上記当年の基準発育期から上記推定当日まで上記当年の気象要素に基づく上記発育因子を積算または逆積算した結果である当年積算値に達する時点を上記地域ごとに過去の平年発育期として推定する過去平年発育期推定部と、
    上記当日発育期推定部により上記地域ごとに推定された上記推定当日の発育期と、上記過去平年発育期推定部により上記地域ごとに推定された過去の平年発育期との差である当日平年差を上記地域ごとに算出する当日平年差算出部とを更に備えたことを特徴とする請求項12に記載の作物の発育期推定装置。
  14. コンピュータの平年基準発育期設定部が、過去数年における作物の発育の状態の実績を表した発育データを記憶した発育実績データ記憶部を参照し、複数の発育期のうち基準とする発育期である基準発育期を任意の期間について平均した平年値を算出し、平年基準発育期として設定する第1のステップと、
    上記コンピュータの起算日設定部が、上記作物の複数の発育期と発育因子の積算値との相関関係を示した関数を用いて当年における作物の発育期を推定する際における積算の起算日を設定する第2のステップと、
    上記コンピュータの初期値設定部が、上記平年基準発育期設定部により設定された上記平年基準発育期から、過去数年における気象要素の推移を表した気象データを記憶した過去気象データ記憶部から取得した過去の気象要素に基づく上記発育因子の平年値を逆積算することにより、上記起算日設定部により設定された上記起算日における上記発育因子の積算値に関する初期値を設定する第3のステップと、
    上記コンピュータの当年発育期推定部が、上記起算日設定部により設定された上記起算日および上記初期値設定部により設定された上記初期値をもとに、当年における気象要素の推移を表した気象データを記憶した当年気象データ記憶部から取得した当年の気象要素に基づく上記発育因子を上記起算日の上記初期値から積算することにより、当年における作物の発育期を推定する第4のステップとを有することを特徴とする作物の発育期推定方法。
JP2019011903A 2018-05-09 2019-01-28 作物の発育期推定装置および発育期推定方法 Active JP7089285B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018090352 2018-05-09
JP2018090352 2018-05-09

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019200778A JP2019200778A (ja) 2019-11-21
JP7089285B2 true JP7089285B2 (ja) 2022-06-22

Family

ID=68613159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019011903A Active JP7089285B2 (ja) 2018-05-09 2019-01-28 作物の発育期推定装置および発育期推定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7089285B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021090815A1 (ja) 2019-11-05 2021-05-14 国立大学法人九州大学 電解液

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007310463A (ja) 2006-05-16 2007-11-29 Hitachi Software Eng Co Ltd 圃場管理支援方法及びシステム
JP2012175920A (ja) 2011-02-25 2012-09-13 Iseki & Co Ltd 作物の優先収穫管理装置
JP2016184232A (ja) 2015-03-25 2016-10-20 株式会社富士通エフサス 予測装置および予測方法
JP2018038322A (ja) 2016-09-07 2018-03-15 株式会社リコー 栽培支援装置、栽培システム、及びプログラム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007310463A (ja) 2006-05-16 2007-11-29 Hitachi Software Eng Co Ltd 圃場管理支援方法及びシステム
JP2012175920A (ja) 2011-02-25 2012-09-13 Iseki & Co Ltd 作物の優先収穫管理装置
JP2016184232A (ja) 2015-03-25 2016-10-20 株式会社富士通エフサス 予測装置および予測方法
JP2018038322A (ja) 2016-09-07 2018-03-15 株式会社リコー 栽培支援装置、栽培システム、及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019200778A (ja) 2019-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9652840B1 (en) System and method for remote nitrogen monitoring and prescription
JP6410130B2 (ja) 農作物の収穫予測装置、収穫予測システム及び収穫予測方法
JP4058544B2 (ja) 作業決定支援装置および方法、並びに記録媒体
JP4202328B2 (ja) 作業決定支援装置および方法、並びに記録媒体
US20130317872A1 (en) Agricultural work support method and apparatus
US20210142484A1 (en) Information processing apparatus, information processing method, and storage medium
JP6954537B2 (ja) 草本植物の生育制御方法、生育制御システム、プログラム及び記憶媒体
JP2013042668A (ja) 情報処理装置、収穫時期予測プログラムおよび収穫時期予測方法
Baragatti et al. Influence of annual climatic variations, climate changes, and sociological factors on the production of the Périgord black truffle (Tuber melanosporum Vittad.) from 1903–1904 to 1988–1989 in the Vaucluse (France)
Sehgal et al. Deriving crop phenology metrics and their trends using times series NOAA-AVHRR NDVI data
KR101820567B1 (ko) 농작업 지원 방법 및 농작업 지원 장치
Meinke et al. Climatic risk to peanut production: a simulation study for Northern Australia
JP5671877B2 (ja) 農作業支援装置、農作業支援方法、及び農作業支援プログラム
JP7089285B2 (ja) 作物の発育期推定装置および発育期推定方法
JP7313056B2 (ja) 施肥量決定装置および施肥量決定方法
US20200250597A1 (en) Information processing apparatus, information processing method, and non-transitory recording medium
JP6863145B2 (ja) 栽培支援プログラム、装置、及び方法
EP2942622B1 (fr) Méthode de détermination de teneurs critiques en azote de cultures
Ruml et al. Predicting apricot phenology using meteorological data
JP2021140759A (ja) 作物の農業気象災害リスク推定装置および農業気象災害リスク推定方法
Kriticos et al. Integrating ecoclimatic niche modelling methods into classical biological control programmes
JP2002136223A (ja) 農作物収穫量予測方法、農作物収穫量予測装置及び記録媒体
Sié et al. Rice crop duration and leaf appearance rate in a variable thermal environment.: I. Development of an empirically based model
JP7386503B2 (ja) 収量推定プログラム、収量推定方法及び収量推定装置
Chakraborty et al. Trends and change-point in satellite derived phenology parameters in major wheat growing regions of North India during the last three decades

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190128

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210706

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220531

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7089285

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150