JP7088955B2 - 非空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、車軸に取り付けられる取り付け体と、該取り付け体に外装される内筒体、及び該内筒体をタイヤ径方向の外側から囲繞する外筒体を備えるリング部材と、前記内筒体と前記外筒体との間にタイヤ周方向に沿って複数配設されるとともに、これらの両筒体同士を相対的に弾性変位自在に連結する連結部材と、を備える非空気入りタイヤが開示されている。
また、下記特許文献1には、非空気入りタイヤのリング部材や連結部材を、-20℃での曲げ弾性率と60℃での曲げ弾性率との倍率を規定した合成樹脂材料で一体的に形成することで、乗り心地を改良できることが開示されている。
一方、安全性の観点から、上述のリング部材や連結部材を合成樹脂材料で形成した非空気入りタイヤにおいても、高い耐久性が求められる。
前記樹脂組成物は、ISO178に準拠した-20℃での曲げ弾性率が1600MPa以下であり、且つ、ISO178に準拠した60℃での曲げ弾性率が150MPa以上であることを特徴とする。
かかる本発明の非空気入りタイヤは、乗り心地の温度依存性が小さく、広い温度範囲に亘って乗り心地が良好であると共に、耐久性に優れる。
また、熱可塑性エラストマーが有するハードセグメントと「同種の樹脂」とは、熱可塑性エラストマーが有するハードセグメントの主鎖を構成する骨格と共通する骨格を有する樹脂をいう。なお、本発明における樹脂(B)は、熱可塑性または熱硬化性を有する樹脂を意味し、天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムは含まない。また、熱可塑性エラストマー(A)も、天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムを包含しない。
前記骨格部材としての、前記内筒、前記外筒及び前記連結部材が、前記樹脂組成物からなる。この場合も、乗り心地の温度依存性が小さく、広い温度範囲に亘って良好な乗り心地を有すると共に、優れた耐久性を有する非空気入りタイヤを得ることができる。
本発明の非空気入りタイヤは、樹脂組成物を骨格部材に用いた非空気入りタイヤである。
ここで、前記非空気入りタイヤの骨格部材とは、タイヤ骨格を構成する部材、より具体的には、タイヤトレッドの形状を維持するため、タイヤ内方から外方へ向かってトレッド部材を支持する部材のことを意味している。例えば、非空気入りタイヤにおける、リング部材(内筒、外筒)及び連結部材(スポーク構造)等のことである。
樹脂組成物の曲げ弾性率は、一般に温度が上昇するに従い低下する傾向があるが、骨格部材に用いる樹脂組成物の60℃での曲げ弾性率が150MPa以上であれば、比較的高い温度でも骨格部材が柔らかくなり過ぎず、例えば、非空気入りタイヤを装着した自転車を漕ぐ際にも、漕ぎが重くなることが無く、乗り心地が良好であり、また、耐久性も十分に確保できる。また、樹脂組成物の曲げ弾性率は、一般に温度が低下するに従い上昇する傾向があるが、骨格部材に用いる樹脂組成物の-20℃での曲げ弾性率が1600MPa以下であれば、比較的低い温度でも骨格部材が硬くなり過ぎることが無いため、乗り心地が良好であり、また、骨格部材が硬くなり過ぎて脆くなることも無く、耐久性に優れる。そのため、本発明の非空気入りタイヤは、乗り心地の温度依存性が小さく、広い温度範囲に亘って良好な乗り心地を有すると共に、優れた耐久性を有する。
ここで、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーは、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になる高分子化合物であり、本明細書では、このうち、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり且つゴム状弾性を有する高分子化合物を熱可塑性エラストマーとし、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり且つゴム状弾性を有しない高分子化合物を熱可塑性樹脂として、区別する。
前記芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
前記ハードセグメントを形成する好適な芳香族ポリエステルの一つとしては、テレフタル酸及び/又はジメチルテレフタレートと1,4-ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートが挙げられ、更に、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸、或いは、これらのエステル形成性誘導体等のジカルボン酸成分と、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール、キシリレングリコール、ビス(p-ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(2-ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-p-ターフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-p-クオーターフェニル等のジオール成分と、から誘導されるポリエステル、或いは、これらのジカルボン酸成分及びジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであってもよい。
前記脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体等が挙げられる。
前記脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの中でも、得られる共重合体の弾性特性の観点から、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを構成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料が挙げられる。
前記脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを構成し、前記ポリオレフィンと該ポリオレフィン以外のオレフィンが非晶性でガラス転移点の低いソフトセグメントを構成している材料が挙げられる。
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのソフトセグメントを構成するポリマーとしては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-4-メチル-ペンテン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、1-ブテン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-4-メチル-ペンテン等が挙げられる。
前記ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、ポリスチレンがハードセグメントを構成し、非晶性のポリマーがガラス転移温度の低いソフトセグメント(例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、ポリ(2,3-ジメチル-ブタジエン)等)を構成している共重合体が挙げられる。
該カルボジイミド化合物として、具体的には分子内に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物であれば如何なるものでもよく、例えばN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’-ジ(o-トルイル)カルボジイミド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド等の一官能カルボジイミド化合物;p-フェニレン-ビス(2,6-キシリルカルボジイミド)、p-フェニレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、p-フェニレン-ビス(メシチルカルボジイミド)、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン-1,4-ビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の二官能カルボジイミド化合物;イソシアネート単量体の縮合物等の多官能カルボジイミド化合物等が挙げられ、その中でも多官能カルボジイミド化合物が好ましい。ここで、多官能カルボジイミド化合物とは、2個以上のカルボジイミド基を有する化合物をさす。該多官能カルボジイミド化合物としては、例えばカルボジライトLA-1(日清紡社製)、カルボジライトHMV-8CA(日清紡社製)、カルボジライトHMV-15CA(日清紡社製)、エラストスタブH01(日清紡社製)、Stabaxol P(RheinChemie社製)等の商品名で一般的に知られている多官能カルボジイミド化合物が挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、1種又は2種以上が使用できる。
また、前記エポキシ化合物として、具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシ-6'-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6'-メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシエチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、3-メチル-5-tert-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、n-ブチル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、n-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エチルヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-tert-ブチル-4,5-エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ-n-ブチル-3-tert-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種又は2種以上が使用できる。
樹脂組成物に、耐湿熱添加剤を添加することで、樹脂組成物の耐湿熱性が向上し、かかる樹脂組成物を骨格部材に用いた非空気入りタイヤは、長期に亘って所望の特性を維持できる。耐湿熱添加剤の添加量は、樹脂組成物の樹脂成分100質量部に対して、1~15質量部の範囲が好ましい。15質量部を超えて耐湿熱添加剤を添加すると、未反応の耐湿熱添加剤が相分離して、ウェルド強度(成形において、モールド内で溶融樹脂が合流して融着した部分の強度)が低下することがある。
前記ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸及び3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖及び直鎖アルキル)のエステル化合物、オクチル3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートおよび2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル-3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-〔5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル〕-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス〔6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール〕、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、2-[2-ヒドロキシ-3-(3、4、5,6-テトラヒドロフタルイミド-メチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]等が挙げられる。
前記アミン系化合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-N,N’-ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジオールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノールの反応物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジオールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノールの反応物、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート等が挙げられる。
樹脂組成物に、耐候老化防止剤を添加することで、樹脂組成物の耐候性が向上し、かかる樹脂組成物を骨格部材に用いた非空気入りタイヤは、長期に亘って所望の特性を維持できる。耐候老化防止剤の添加量は、樹脂組成物の樹脂成分100質量部に対して、1~5質量部の範囲が好ましい。
樹脂組成物に、耐熱老化防止剤を添加することで、樹脂組成物の耐熱性が向上し、かかる樹脂組成物を骨格部材に用いた非空気入りタイヤは、長期に亘って所望の特性を維持できる。耐熱老化防止剤の添加量は、樹脂組成物の樹脂成分100質量部に対して、1~5質量部の範囲が好ましい。
また、樹脂組成物の調製方法は、特に限定されず、樹脂成分を混合した後、添加剤を添加しても、樹脂成分と添加剤を一度に混合してもよいし、また、添加剤が予め添加された樹脂成分を複数混合しても、添加剤が添加された樹脂成分と添加剤が添加されていない樹脂成分を混合してもよい。
前記樹脂組成物は、種々の成形法を利用して、所望の形状の骨格部材に加工できる。ここで、成形法としては、射出成型が好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る非空気入りタイヤの構成を模式的に示す、タイヤ側面から見た説明図である。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。
図1に示すように、非空気入りタイヤ1は、車軸に取り付けられるホイール部2と、ホイール部2の外周に配置されたタイヤ部7と、を具えている。
この非空気入りタイヤ1は、自転車、二輪車、車椅子、ゴルフカート、自動車等(以下、これらの総称を単に車両という)に用いられる。
本実施形態では、装着筒部2a、複数のリブ2b、及び外装筒部2cは、熱可塑性樹脂により一体に形成されている。これにより、ホイール部2は、ボス8上に射出成形により成形することが可能であり、量産に適している。
なお、ボス8、装着筒部2a、複数のリブ2b、及び外装筒部2cは、それぞれ別体に形成されていてもよい。また、装着筒部2a、複数のリブ2b、及び外装筒部2cは、熱可塑性樹脂以外の材質により形成されていてもよい。
なお、内筒6、連結部材3、及び外筒4は、それぞれ別体に形成されていてもよい。
前記内筒6、外筒4及び連結部材3を、上述した樹脂組成物から形成することで、乗り心地の温度依存性が小さく、広い温度範囲に亘って良好な乗り心地を有しつつ、耐久性に優れた非空気入りタイヤを提供できる。
図2は、本発明の他の一実施形態に係る非空気入りタイヤの構成を模式的に示す、タイヤ側面から見た説明図であり、また、図3は、図2の一部を拡大して示す説明図である。なお、図3では、理解し易いように、後述する複数の第1弾性連結板21及び複数の第2弾性連結板22のうち、それぞれ一つの第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22のみを、実線で強調して描いている。
ここで、ホイール部11、内筒12、外筒13、及びトレッド部材16は、それぞれ共通軸と同軸に、また、タイヤ幅方向の中央部を互いに一致させて配置されており、この共通軸を軸線O、軸線Oに沿う方向をタイヤ幅方向、軸線Oに直交する方向をタイヤ径方向、軸線O回りに周回する方向をタイヤ周方向という。
装着筒部17、外リング部18、及びリブ19は、例えば、アルミニウム合金等の金属材料で一体的に形成されている。装着筒部17及び外リング部18は、それぞれ、円筒状に形成され軸線Oと同軸に配設されている。また、複数のリブ19は、周方向に同等の間隔をあけて配置されている。
なお、複数の連結部材15は、リング部材14における内筒12と外筒13との間において、軸線Oを基準に軸対称となる位置に各別に配置されている。また、全ての連結部材15は、互いに同形同大となっている。さらに、連結部材15のタイヤ幅方向幅は、外筒13のタイヤ幅方向幅より小さくなっている。
なお、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22のそれぞれのタイヤ幅方向幅は、互いに同等になっている。また、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22のそれぞれのタイヤ側面視における厚さも、互いに同等になっている。
また、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22の各一端部21a,22aは、外筒13の内周面において、タイヤ幅方向の位置を互いに異ならせて、タイヤ周方向における同一の位置に連結されている。
図示例では、第1湾曲部21d,22dは、第2湾曲部21e,22e及び第3湾曲部21f,22fよりも、タイヤ側面視の曲率半径が大きくなっている。なお、第1湾曲部21d,22dは、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22の延びる方向における中央部に配置されている。
また、両弾性連結板21,22のそれぞれにおいて、図3に示すように、タイヤ側面視で、前述した延びる方向の中央部から一端部21a,22aにわたる一端側部分は、中央部から他端部21b,22bにわたる他端側部分よりも厚さが大きくなっている。これにより、連結部材15の重量の増大を抑えたり、連結部材15の柔軟性を確保したりしながら、第1、第2弾性連結板21,22において大きな負荷がかかり易い一端側部分の強度を高めることができる。なお、これらの一端側部分と他端側部分とは、段差なく滑らかに連なっている。
リング部材14は、内筒12がホイール部11に外嵌された状態で、ホイール部11に固定されている。
前記内筒12、前記外筒13及び前記連結部材15を、上述した樹脂組成物から形成することで、乗り心地の温度依存性が小さく、広い温度範囲に亘って良好な乗り心地を有しつつ、耐久性に優れた非空気入りタイヤを提供できる。
また、本実施形態では、接着層25が、リング部材14の外筒13とトレッド部材16との間に設けられて、外筒13とトレッド部材16の接合を介在している。当該接着層25は、市販の接着剤を用いることができる。例えば、シアノアクリレート系接着剤もしくはエポキシ系接着剤を挙げることができ、具体的にはアロンアルファEXTRA2000(東亜合成株式会社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
図4A及び図4Bは、他の例による連結部材により連結された内筒と外筒を示し、図4Aは側面図、図4Bは斜視図である。図4A及び図4Bに示すように、連結部材23は、第1弾性連結板21及び第2弾性連結板22で構成されている図2及び図3の例の連結部材15とは異なり、第1弾性連結板21のみで構成されている。連結部材23を構成する第1弾性連結板21は、内筒12と外筒13の間にタイヤ周方向に沿って複数配置され、両筒12,13同士を連結している。その他の構成及び作用は、連結部材15と同様である。
表1、表3又は表4中に示す配合処方に従い樹脂成分(ポリマー)と添加剤を混合して、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物に対して、下記の方法で曲げ弾性率を測定した。
ISO178に準拠した3点曲げ試験により、-20℃、0℃、23℃、40℃、60℃における、樹脂組成物の曲げ弾性率を測定した。
各サンプルの非空気入りタイヤについては、内筒6、外筒4及び連結部材3を構成する材料が異なるだけであり、その他の部材については、同様のものを用いた。なお、ボス8は、アルミニウムにより形成されており、装着筒部2a、リブ2b、及び外装筒部2cは、熱可塑性樹脂により一体に形成されている。内筒6、外筒4及び連結部材3を構成する樹脂組成物に含有される材料の種類及びその含有量については、表1~表4に示す通りである。
作製した各サンプルの非空気入りタイヤについて、下記の方法で、初期耐久性、湿熱劣化耐久性、紫外線劣化耐久性と、乗り心地を評価した。
各サンプルのタイヤについて、ドラム耐久試験機に直径20mmの半球状の突起を取り付け、25℃、湿度50%RHの環境下、700Nの荷重を掛け、40km/hで走行させた際の故障に至るまでの走行距離を測定することによって、初期耐久性を評価した。なお、結果については、以下の基準で分類した。評価基準を以下に示す。
走行距離が5000km以上の場合: A
走行距離が3000km以上5000km未満の場合: B
走行距離が3000km未満の場合: C
各サンプルのタイヤを、80℃、相対湿度95%の環境下で9日間保管した。保管後のタイヤについて、ドラム耐久試験機に直径20mmの半球状の突起を取り付け、25℃、湿度50%RHの環境下、700Nの荷重を掛け、40km/hで走行させた際の故障に至るまでの走行距離を測定することによって、湿熱劣化耐久性を評価した。なお、結果については、以下の基準で分類した。評価基準を以下に示す。
走行距離が5000km以上の場合: A
走行距離が3000km以上5000km未満の場合: B
走行距離が3000km未満の場合: C
各サンプルのタイヤに対して、JIS K 7350-2 A法に準拠した紫外線照射を行った。紫外線照射後のタイヤについて、ドラム耐久試験機に直径20mmの半球状の突起を取り付け、25℃、湿度50%RHの環境下、700Nの荷重を掛け、40km/hで走行させた際の故障に至るまでの走行距離を測定することによって、紫外線劣化耐久性(UV劣化耐久性)を評価した。なお、結果については、以下の基準で分類した。評価基準を以下に示す。
走行距離が5000km以上の場合: A
走行距離が3000km以上5000km未満の場合: B
走行距離が3000km未満の場合: C
各サンプルのタイヤを自転車に装着して、5℃、23℃、35℃のそれぞれの環境下で乾燥路面を走行し、乗り心地をライダーのフィーリングで評価した。なお、結果については、以下の基準で分類した。評価基準を以下に示す。
ハンドルやサドルからの振動が気にならない: A
ハンドルやサドルからの振動が激しい: C1
漕ぎが重い: C2
表1~表4中に示す配合処方に従い樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物に対して、上記の方法で曲げ弾性率を測定する。各例の曲げ弾性率を、表1~表4中に示す。
また、得られる樹脂組成物を使用して、上記と同様の非空気入りタイヤを作製し、該タイヤに対して、上記の方法で初期耐久性、湿熱劣化耐久性、紫外線劣化耐久性と、乗り心地を評価する。各例の評価を、表1~表4中に示す。
*2 PBT-2:ポリブチレンテレフタレート、東レ社製、商品名「トレコン1401X70」
*3 PBT-3:ポリブチレンテレフタレート、東洋紡社製、商品名「プラナックBT-1000」
*5 TPC-2:ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであるポリエステル系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン社製、商品名「ハイトレル5577R-07」
*6 TPC-3:ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであるポリエステル系熱可塑性エラストマー、東洋紡社製、商品名「ペルプレンP90B」
*7 TPC-4:ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであるポリエステル系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン社製、商品名「ハイトレル3046」
*8 TPC-5:ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであるポリエステル系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン社製、商品名「ハイトレル4767N」
*10 TPA-2:ハードセグメントがナイロン-12であるポリアミド系熱可塑性エラストマー、宇部興産社製、商品名「XPA9048」
*12 PPS: ポリフェニレンサルファイド、DIC社製、商品名「FZ2100」
*14 耐湿熱添加剤-2: エポキシ化合物、アデカ社製、商品名「アデカサイザーO-180A」、エポキシ化アマニ油
*15 耐候老化防止剤-1:BASF社製、商品名「Tinuvin 326」、2-〔5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル〕-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール
*16 耐候老化防止剤-2:BASF社製、商品名「Tinuvin PA144」、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート
*17 耐熱老化防止剤-1:BASF社製、商品名「Irganox 1010」、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
*18 耐熱老化防止剤-2:BASF社製、商品名「Irganox 1098」、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]
また、比較例2、4、6、8、11~13から、骨格部材に用いる樹脂組成物の-20℃での曲げ弾性率が1600MPaを超えると、骨格部材が硬くなり過ぎ、乗り心地及び耐久性が悪化することが分かる。
また、比較例9及び10から、耐湿熱添加剤を過剰に使用して樹脂組成物の60℃での曲げ弾性率を150MPa未満にすると、未反応の耐湿熱添加剤が相分離して、ウェルド強度が低下し、耐久性が低下することが分かる。
また、比較例18及び23から、樹脂成分としてポリアミド樹脂のみ、或いは、ポリフェニレンサルファイドのみを使用して骨格部材に用いる樹脂組成物の-20℃での曲げ弾性率を1600MPa超にすると、骨格部材が硬くなり過ぎ、乗り心地が悪化することが分かる。
Claims (5)
- 樹脂組成物を骨格部材に用いた非空気入りタイヤであって、
前記樹脂組成物は、ISO178に準拠した-20℃での曲げ弾性率が1600MPa以下であり、且つ、ISO178に準拠した60℃での曲げ弾性率が150MPa以上であり、
前記樹脂組成物が、分子中にハードセグメント及びソフトセグメントを有する熱可塑性エラストマー(A)と、該熱可塑性エラストマー(A)以外であって、前記ハードセグメントと同種の樹脂(B)と、を含むことを特徴とする、非空気入りタイヤ。 - 前記熱可塑性エラストマー(A)が、ポリエステル系熱可塑性エラストマーであり、且つ、前記樹脂(B)が、ポリエステル樹脂である、請求項1に記載の非空気入りタイヤ。
- 前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーのハードセグメントが、ポリブチレンテレフタレートであり、
前記ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレートである、請求項2に記載の非空気入りタイヤ。 - 前記熱可塑性エラストマー(A)と前記樹脂(B)との質量比率(A/B)が、60/40~40/60である、請求項1~3のいずれか一項に記載の非空気入りタイヤ。
- 車軸に取り付けられるホイール部と、該ホイール部に外装される内筒と、該内筒をタイヤ径方向の外側から囲繞する外筒と、前記内筒と前記外筒との間にタイヤ周方向に沿って複数配置された、前記両筒同士を連結する連結部材と、前記外筒のタイヤ径方向外側に設けられたトレッド部材と、を具える非空気入りタイヤであって、
前記骨格部材としての、前記内筒、前記外筒及び前記連結部材が、前記樹脂組成物からなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の非空気入りタイヤ。
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