JP7425740B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本開示は、タイヤに関する。
タイヤがリムと接する位置にはリムへの固定の役割を担うビード部が設けられている。ビード部にはビードワイヤとして金属製のワイヤが用いられている。
例えば、ビードコアと、ビードコアのタイヤ径方向の外側に位置するビードフィラーとをビード部に埋設した空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)
また、空気入りタイヤの部材を軽量化する等の目的により、樹脂材料で被覆したビードワイヤからなるビードコアが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1:特開2013-86771号公報
特許文献2:特開2011-207157号公報
特許文献1に開示されている空気入りタイヤでは、ビードフィラーがゴム組成物で構成されており、ビードフィラーに樹脂を使用することは考慮されていない。
一方、特許文献2に開示されているビードコアは、ビードワイヤを樹脂材料で被覆しているが、車両に取り付けられたタイヤは、車体による荷重を受け、さらに走行中には衝撃を受けるため、ビード部においては、耐荷重性及び耐衝撃性に優れることが望ましい。
本開示は、上記事情に鑑み、耐荷重性及び耐衝撃性に優れるタイヤを提供することを課題とする。
本開示の要旨は以下の通りである。
<1> ビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向の外側に位置するビードフィラーとを有するビード部材を備え、
前記ビードフィラーが、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーを含み、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaである樹脂組成物で構成されている、タイヤ。
本開示によれば、耐荷重性及び耐衝撃性に優れるタイヤが提供される。
実施形態に係るタイヤの構成の一例についてタイヤ幅方向の断面を示す概略断面図である。 図1に示すタイヤのビード部材を拡大して示す概略断面図である。 ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC1)とポリブチレンテレフタレート(PBT)についてそれぞれの粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示す図である。 TPC1/PBT=80/20(質量比)で配合した樹脂組成物の粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示す図である。 実施例で用いたポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC2)とポリブチレンテレフタレート(PBT)についてそれぞれの粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示す図である。 TPC2/PBT=90/10(質量比)で配合した樹脂組成物の粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示す図である。 図8に示すTanδ曲線に対し、TPC2単独のTanδ曲線と、TPC2とPBTのそれぞれのTanδ曲線を併合した曲線とをフィッティングさせた図である。 TPC2とPBTの配合比を変更した樹脂組成物(比較例)の粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示す図である。 TPC3とPBTの配合比を変更した樹脂組成物(比較例)の粘弾性測定により得られるTanδ曲線と、TPC3とPBTの配合比を変更した樹脂組成物(比較例)の粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示す図である。を示す図である。 TPC2/PBT=90/10(質量比)で配合した樹脂組成物の粘弾性測定により得られるTanδ曲線の半値幅を説明するための図である。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において、単に「樹脂」とは、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、及び熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。また、以下の樹脂の説明において「同種」とは、エステル系同士、スチレン系同士等、樹脂の主鎖を構成する骨格が共通することを意味する。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において「熱可塑性樹脂」とは、温度上昇とともに材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になるが、ゴム状弾性を有しない高分子化合物を意味する。
本明細書において「熱可塑性エラストマー」とは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有する共重合体を意味する。熱可塑性エラストマーとしては、温度上昇とともに材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつゴム状弾性を有するものが挙げられる。熱可塑性エラストマーとして具体的には、例えば、結晶性で融点の高いハードセグメント又は高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーと、を有する共重合体が挙げられる。
なお、上記ハードセグメントは、ソフトセグメントよりも相対的に硬い成分を指す。ハードセグメントは塑性変形を防止する架橋ゴムの架橋点の役目を果たす分子拘束成分であることが好ましい。例えばハードセグメントとしては、主骨格に芳香族基若しくは脂環式基等の剛直な基を有する構造、又は分子間水素結合若しくはπ-π相互作用による分子間パッキングを可能にする構造等のセグメントが挙げられる。
また、上記ソフトセグメントは、ハードセグメントよりも相対的に柔らかい成分を指す。ソフトセグメントはゴム弾性を示す柔軟性成分であることが好ましい。例えばソフトセグメントとしては、主鎖に長鎖の基(例えば長鎖のアルキレン基等)を有し、分子回転の自由度が高く、伸縮性を有する構造のセグメントが挙げられる。
本実施形態に係るタイヤは、ビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向の外側に位置するビードフィラーとを有するビード部材を備え、前記ビードフィラーが、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーを含み、粘弾性測定により得られるTanδ曲線(つまり損失正接曲線)が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaである樹脂組成物で構成されている。
本発明者らの検討の結果、特定の熱可塑性エラストマーと特定の熱可塑性樹脂を配合して、粘弾性と引張弾性率を調整した樹脂組成物によってビードフィラーを形成し、このビードフィラーとビードコアを一体化させたビード部材を備えたタイヤとすることで、タイヤの耐荷重性及び耐衝撃性を両立させることができることがわかった。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
熱可塑性エラストマーのみでビードフィラーを形成した場合、柔軟性に富むビードフィラーとなり、タイヤに耐衝撃性を付与することができる反面、硬度が高めにくいため車体から受ける荷重に対する耐荷重性を向上させにくい。一方、熱可塑性樹脂のみでビードフィラーを形成した場合、硬いビードフィラーとなり、タイヤの耐荷重性を向上させることができる反面、柔軟性を高めにくく、タイヤの耐衝撃性を向上させにくい。
そこで、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂を適度に配合した樹脂組成物によってビードフィラーを形成することが考えられるが、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂との相溶性が高すぎてしまうと、1種の樹脂材料のような挙動を示してそれぞれの材料による特性が十分発揮できない。しかし、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とが海島構造、すなわち、熱可塑性エラストマーが海部、熱可塑性樹脂が島部となるような材料と配合量を選択し、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaとなる樹脂組成物によってビードフィラーを形成することで、主に熱可塑性エラストマーによる耐衝撃性と、主に熱可塑性樹脂による耐荷重性をバランスよく発揮できると考えられる。また、樹脂組成物を構成する熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂がある程度相溶して明確な海島構造を形成しない場合でも、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaとなれば、それぞれの樹脂材料による特性(つまり、耐衝撃性及び耐荷重性)を発揮すると考えられる。
なお、本実施形態に係るタイヤにおけるビード部材のビードフィラーは主に熱可塑性樹脂による耐荷重性を備えているため、本実施形態に係るタイヤを装着した車両のタイヤがパンクしてタイヤ内部の空気圧が低下した場合でも走行継続に寄与することができる。そのため、本実施形態に係るタイヤは、パンクした後でも走行可能なランフラットタイヤとしても有用である。
図面に従って、本開示の実施形態に係るタイヤについて説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ及び形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
図1は、本実施形態に係るタイヤの構成の一例を概略的に示す、タイヤ幅方向の断面図である。図1には、便宜上、タイヤ1が組み付けられるリムRを、破線により示している。
タイヤ1は、図1に示すように、タイヤ赤道面CLに対して両側に配置される一対のビード部12と、一対のビード部12からそれぞれタイヤ径方向外側へ延びる一対のサイド部11と、前記一対のサイド部11をつなぐトレッド部10と、を備えている。一対のビード部12は、それぞれ円環状のビードコア60を含んでいる。
図1の例において、一対のビード部12に含まれるビードコア60の間には、少なくとも一層(図の例では1層)のカーカスプライを含むカーカス20が、トロイド状に延びている。カーカス20のカーカスプライは、例えば、スチール製又は有機繊維製等のコードがゴムにより被覆された構成を有する。
図1の例において、カーカス20は、一対のビードコア60の間をトロイド状に延びる本体部20aと、タイヤ赤道面CLに対する両側のそれぞれにおいて、本体部20aのタイヤ径方向最内端から、ビードコア60の周りでタイヤ幅方向外側に向けて折り返された、一対の折り返し部20bと、を含んでいる。
図1の例において、トレッド部10及びサイド部11の内側には、タイヤの空気漏れを防ぐためのインナーライナー80が配置されている。さらに、トレッド部10の、カーカス20のクラウン域よりもタイヤ径方向外側には、少なくとも1層(図の例では1層)のベルト層からなるベルト30が配置されている。ベルト層は、例えば、樹脂で被覆された補強コードをベルト層に形成する部分に巻きつけて形成される。
<ビード部材>
図1の例において、ビード部12には、スチールコード等の金属製のコードを含むビードコア60と、ビードコア60のタイヤ径方向外側に位置するビードフィラー70とから構成されるビード部材50が配置されている。図1の例では、ビード部材50は、ゴム40内に埋設されている。
[ビードコア]
図2は、図1に示すタイヤ1のビード部材の拡大図である。図2の例において、ビード部材50を構成するビードコア60は、複数のビードワイヤ62aと、ビードワイヤ62aの周囲を被覆する被覆樹脂62と、被覆樹脂62の周囲を被覆する被覆層65と、を有している。図2に示すビードコア60は、複数のビードワイヤ62aを含んでいるが、ビードコア60に含まれるビードワイヤ62aの数は特に制限されず、1本でも複数本でもよい。
図2の例では、ビードコア60の被覆層65がビードフィラー70と同じ材料から一体的に形成されているが、ビードコア60の被覆層65はビードフィラー70と異なる材料から形成されてもよい。さらには、被覆層65は省略されてもよい。
ビードワイヤ62aには、任意の既知の材料を用いることができ、例えばスチールコードを用いることができる。スチールコードは、例えば、スチールのモノフィラメント又は撚り線からなるものとすることができる。また、有機繊維やカーボン繊維等を用いることもできる。
ビードワイヤ62aの周囲を被覆する被覆樹脂62は、ビードワイヤ62aを直接被覆してもよく、接着層(図示せず)を介してビードワイヤ62aを被覆してもよい。被覆樹脂62及び接着層には、任意の既知の材料を用いることができる。例えば、本実施形態におけるビードフィラー70と同じ材料を用いて形成されてもよい。
[ビードフィラー]
図1に示すように、ビードフィラー70は、カースの本体部20aと折返し部20bとの間でビードコア60からタイヤ径方向の外側に向けて延びるようにタイヤ径方向の外側に位置している。本実施形態におけるビードフィラー70は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーを含み、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaである樹脂組成物により形成されている。
以下、ビードフィラーを構成する樹脂組成物について詳細に説明する。
(熱可塑性エラストマー)
ビードフィラーを構成する樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称する場合がある。)に含まれる熱可塑性エラストマーは、分子中にハードセグメントに相当する構造単位とソフトセグメントに相当する構造単位とを有するものであれば特に制限されない。
なお、本明細書において、例えば「ポリエステル系熱可塑性エラストマー」とは、ハードセグメントが主鎖にエステル結合を有する構造単位である熱可塑性エラストマーを意味する。その他の熱可塑性エラストマーについても同様である。
樹脂組成物に含まれる熱可塑性エラストマーは、1種のみでも2種以上であってもよい。
-ガラス転移温度(Tg)-
ビードフィラーの柔軟性(つまり耐衝撃性)を向上させる観点から、熱可塑性エラストマーのガラス転移温度(Tg)は25℃未満であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましく、18℃以下であることがさらに好ましい。なお、熱可塑性エラストマーのガラス転移温度(Tg)の下限は特に限定されないが、耐熱性とのトレードオフの観点から、例えばポリエステル系熱可塑性エラストマーでは-50℃以上であることが好ましく、-40℃以上が更に好ましい。
本明細書における樹脂のTgは、粘弾性測定によるTanδ曲線から求める。例えば、幅6mm、長さ38mm、厚さ2mmの試験片に対し、TAインスツルメンツ社製の粘弾性測定装置(ARES-G2)を用いて、-100℃~150℃の範囲で歪0.28%、35Hzの条件にて、測定ギャップ20mmとしてトーション試験モードで実施して得られる。
-HS/SSの比率-
樹脂組成物のハードセグメント(HS)とソフトセグメント(SS)との質量基準の比率(HS/SS、以下、「HS比率」と称する場合がある。)は、50/50~90/10の範囲であってもよい。
樹脂組成物のHS比率を50質量%以上とすることでビードフィラーの剛性が高くなることでコーナリングパワーが向上する一方、HS比率を90質量%以下に抑えることでビードフィラーの剛性が高くなりすぎず、良好な耐衝撃性が維持されると考えられる。
さらに、樹脂組成物のHS比率を60質量%以上80質量%未満の範囲内とした場合は、樹脂組成物のHS比率を上記範囲外とした場合に比べ、良好な耐衝撃性が維持されることがわかった。その理由は必ずしも明らかではないが、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とが相溶せずに海島構造を形成するためと推測される。
さらに、樹脂組成物のHS比率を60質量%以上とすることで、これを含む樹脂組成物で形成されるビードフィラーは、水蒸気に対するバリア性が向上して耐湿熱性が向上する効果や、耐プランジャー性が向上する効果も期待できる。
本明細書において樹脂組成物のHS比率は、ハードセグメント(HS)とソフトセグメント(SS)の合計に占めるHSの割合であり、下記式により計算される。 HS比率(質量%)={HS/(HS+SS)}×100
樹脂組成物のHS比率は、例えば、核磁気共鳴(NMR)法により下記のようにして測定することができる。具体的には、NMR分析装置として日本電子製のAL400を用い、HFIP-d(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール-d)を溶媒として樹脂を20mg/2gで希釈溶解させたものを測定サンプルとし、室温中にてH-NMR測定を行うことでHS比率を測定することができる。
樹脂組成物のHS比率は、例えば、63質量%以上74.5質量%以下であってもよい。
使用可能な熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーの定義及び分類については、JIS K6418:2007を参照することができる。
良好な耐衝撃性と耐荷重性の向上とを両立する観点からは、熱可塑性エラストマーはポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)及びポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ポリエステル系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
熱可塑性エラストマーがポリエステル系熱可塑性エラストマーである場合、熱可塑性エラストマーの例としては、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンナフタレート(PBN)及びポリエチレンナフタレート(PEN)からなる群より選択される少なくとも1種であるものが挙げられる。この場合のソフトセグメントの種類は特に制限されず、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等の脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。
使用可能な熱可塑性エラストマーの具体例を以下に記載する。
(1)ポリエステル系熱可塑性エラストマー
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリエステルが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル又はポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば芳香族ポリエステルが挙げられる。芳香族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールとから形成することができる。芳香族ポリエステルは、好ましくは、テレフタル酸及び/又はジメチルテレフタレートと、1,4-ブタンジオールとから誘導されるポリブチレンテレフタレートであり、更に、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸、或いは、これらのエステル形成性誘導体等のジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p-ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(2-ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-p-ターフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-p-クオーターフェニル等の芳香族ジオール等から誘導されるポリエステル、或いはこれらのジカルボン酸成分及びジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであってもよい。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分、多官能ヒドロキシ成分等を5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエーテル等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの中でも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が好ましい。
ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量は、強靱性及び柔軟性の観点から、300~6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)とソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、99:1~20:80が好ましく、98:2~30:70が更に好ましい。
上述のハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、例えば、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、上述のハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルである組み合わせが好ましく、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであり、ソフトセグメントがポリ(エチレンオキシド)グリコールである組み合わせが更に好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、東レ・デュポン(株)製の「ハイトレル」シリーズ(例えば、3046、5557、6347、4047、4767等)、東洋紡(株)製の「ペルプレン」シリーズ(例えば、P30B、P40B、P40H、P55B、P70B、P150B、P280B、E450B、P150M、S1001、S2001、S5001、S6001、S9001等)等を用いることができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
(2)ポリアミド系熱可塑性エラストマー
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂であって、ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(-CONH-)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いて形成されてもよい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004-346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいて、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーによって生成されるポリアミドを挙げることができる。

一般式(1)
一般式(1)中、Rは、炭素数2~20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数2~20のアルキレン基)を表す。

一般式(2)
一般式(2)中、Rは、炭素数3~20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数3~20のアルキレン基)を表す。
一般式(1)中、Rとしては、炭素数3~18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3~18のアルキレン基が好ましく、炭素数4~15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4~15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10~15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10~15のアルキレン基が特に好ましい。
また、一般式(2)中、Rとしては、炭素数3~18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3~18のアルキレン基が好ましく、炭素数4~15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4~15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10~15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10~15のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω-アミノカルボン酸又はラクタムが挙げられる。また、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω-アミノカルボン酸又はラクタムの重縮合体、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
ω-アミノカルボン酸としては、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、8-アミノオクタン酸、10-アミノカプリン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等の炭素数5~20の脂肪族ω-アミノカルボン酸等を挙げることができる。また、ラクタムとしては、ラウリルラクタム、ε-カプロラクタム、ウデカンラクタム、ω-エナントラクタム、2-ピロリドン等の炭素数5~20の脂肪族ラクタム等を挙げることができる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の炭素数2~20の脂肪族ジアミン等のジアミン化合物を挙げることができる。
ジカルボン酸は、HOOC-(R)m-COOH(R:炭素数3~20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2~20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε-カプロラクタム、又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル等が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ポリエーテルの末端にアンモニア等を反応させることによって得られるポリエーテルジアミン等も用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。

一般式(3)
一般式(3)中、x及びzは、それぞれ独立に1~20の整数を表す。yは、4~50の整数を表す。
一般式(3)において、x及びzは、それぞれ独立に1~18の整数が好ましく、1~16の整数がより好ましく、1~14の整数が更に好ましく、1~12の整数が特に好ましい。また、一般式(3)において、yは、5~45の整数が好ましく、6~40の整数がより好ましく、7~35の整数が更に好ましく、8~30の整数が特に好ましい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組合せ、又はラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せが好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せがより好ましい。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリアミド)の数平均分子量は、溶融成形性の観点から、300~15000が好ましい。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び柔軟性の観点から、200~6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50~90:10が好ましく、50:50~80:20がより好ましい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、宇部興産(株)の「UBESTA XPA」シリーズ(例えば、XPA9063X1、XPA9055X1、XPA9048X2、XPA9048X1、XPA9040X1、XPA9040X2、XPA9044等)、ダイセル・エポニック(株)の「ベスタミド」シリーズ(例えば、E40-S3、E47-S1、E47-S3、E55-S1、E55-S3、EX9200、E50-R2等)等を用いることができる。
(3)オレフィン系熱可塑性エラストマー
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリオレフィン、他のポリオレフィン、ポリビニル化合物等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン-α-オレフィンランダム共重合体、オレフィンブロック共重合体等が挙げられ、具体的には、プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-4-メチル-1ペンテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-4-メチル-ペンテン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、1-ブテン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-4-メチル-ペンテン共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、プロピレン-メタクリル酸共重合体、プロピレン-メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン-メチルアクリレート共重合体、プロピレン-エチルアクリレート共重合体、プロピレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-4-メチル-1ペンテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-4-メチル-ペンテン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、プロピレン-メタクリル酸共重合体、プロピレン-メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン-メチルアクリレート共重合体、プロピレン-エチルアクリレート共重合体、プロピレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びプロピレン-酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、及びエチレン-ブチルアクリレート共重合体から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
また、エチレンとプロピレンといったように2種以上のオレフィン樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー中のオレフィン樹脂含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、5000~10000000であることが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量が5000~10000000であると、機械的物性が十分であり、加工性にも優れる。同様の観点から、オレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、7000~1000000であることがより好ましく、10000~1000000が更に好ましい。これにより、機械的物性及び加工性を更に向上させることができる。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び柔軟性の観点から、200~6000が好ましい。更に、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50~95:5が好ましく、50:50~90:10がより好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、公知の方法によって共重合することで合成することができる。
オレフィン熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性エラストマーを酸変性してなるものを用いてもよい。
「オレフィン熱可塑性エラストマーを酸変性してなるもの」とは、オレフィン熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることをいう。
オレフィン熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマーに、酸性基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸(例えば、一般的には、無水マレイン酸)の不飽和結合部位を結合(例えば、グラフト重合)させることが挙げられる。
酸性基を有する不飽和化合物としては、オレフィン熱可塑性エラストマーの劣化抑制の観点からは、弱酸基であるカルボン酸基を有する不飽和化合物が好ましい。酸性基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、三井化学(株)製の「タフマー」シリーズ(例えば、A0550S、A1050S、A4050S、A1070S、A4070S、A35070S、A1085S、A4085S、A7090、A70090、MH7007、MH7010、XM-7070、XM-7080、BL4000、BL2481、BL3110、BL3450、P-0275、P-0375、P-0775、P-0180、P-0280、P-0480、P-0680等)、三井・デュポンポリケミカル(株)製の「ニュクレル」シリーズ(例えば、AN4214C、AN4225C、AN42115C、N0903HC、N0908C、AN42012C、N410、N1050H、N1108C、N1110H、N1207C、N1214、AN4221C、N1525、N1560、N0200H、AN4228C、AN4213C、N035C)等、「エルバロイAC」シリーズ(例えば、1125AC、1209AC、1218AC、1609AC、1820AC、1913AC、2112AC、2116AC、2615AC、2715AC、3117AC、3427AC、3717AC等)、住友化学(株)の「アクリフト」シリーズ、「エバテート」シリーズ等、東ソー(株)製の「ウルトラセン」シリーズ等、プライムポリマー製の「プライムTPO」シリーズ(例えば、E-2900H、F-3900H、E-2900、F-3900、J-5900、E-2910、F-3910、J-5910、E-2710、F-3710、J-5910、E-2740、F-3740、R110MP、R110E、T310E、M142E等)等も用いることができる。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマーと混合した樹脂組成物として粘弾性を測定した場合に得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaとなる熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、相溶性の観点から、熱可塑性エラストマーのハードセグメントと同種の構造単位からなるものであることが好ましい。本明細書において「熱可塑性エラストマーのハードセグメントと同種の構造単位」とは、熱可塑性エラストマーのハードセグメントに相当する構造単位の主鎖を構成する結合様式が同種である構造単位を意味する。例えば、熱可塑性エラストマーのハードセグメントに相当する構造単位がポリエステルである場合は、熱可塑性樹脂はポリエステルとなる。樹脂組成物に含まれる熱可塑性エラストマーは、1種のみでも2種以上であってもよい。
タイヤ骨格体に対する良好な接着性を確保する観点からは、熱可塑性エラストマーのハードセグメントと熱可塑性樹脂の構造は近いほど好ましい。例えば、熱可塑性エラストマーのハードセグメントがポリブチレンテレフタレートである場合の熱可塑性樹脂としてはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート等が好ましく、ポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
本明細書において熱可塑性樹脂が「熱可塑性エラストマーのハードセグメントと同種の構造単位からなる」には、熱可塑性エラストマーのハードセグメントと同種の構造単位のみからなる場合と、熱可塑性樹脂を構成する構造単位の80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上が熱可塑性エラストマーのハードセグメントと同種の構造単位である場合の両方を意味する。熱可塑性エラストマーのハードセグメントに相当する構造単位が2種以上である場合は、その中で比率が最も大きい構造単位と同種の構造単位からなるものを熱可塑性樹脂とする。
-ガラス転移温度(Tg)-
ビードフィラーの剛性を向上させる観点から、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、45℃以上であることがさらに好ましい。なお、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)の上限は成形加工性の観点から、200℃以下であることが好ましい。
使用可能な熱可塑性樹脂としては、上述した熱可塑性エラストマーのハードセグメントに相当する構造単位からなるポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性樹脂、オレフィン系熱可塑性樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。使用可能な熱可塑性樹脂として、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性樹脂及びオレフィン系熱可塑性樹脂の具体例を以下に記載する。
(1)ポリエステル系熱可塑性樹脂
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、上述したポリエステル系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリエステルを挙げることができる。具体的には、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ-3-ブチル酪酸、ポリヒドロキシ-3-ヘキシル酪酸、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステルなどを例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の観点から、ポリエステル系熱可塑性樹脂は芳香族ポリエステルが好ましく、ポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
ポリエステル系熱可塑性樹脂の市販品としては、例えば、ポリプラスチックス(株)製の「ジュラネックス」シリーズ(例えば、201AC、2000、2002等)、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の「ノバデュラン」シリーズ(例えば、5010R5、5010R3-2等)、東レ(株)製の「トレコン」シリーズ(例えば、1401X06、1401X31等)等を用いることができる。
(2)ポリアミド系熱可塑性樹脂
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、上述したポリアミド系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリアミドを挙げることができる。具体的には、ε-カプロラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド6)、ウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド11)、ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド12)、ジアミンと二塩基酸とを重縮合したポリアミド(アミド66)、メタキシレンジアミンを構成単位として有するポリアミド(アミドMX)等を例示することができる。
アミド6は、例えば、{CO-(CH-NH}で表すことができる。アミド11は、例えば、{CO-(CH10-NH}で表すことができる。アミド12は、例えば、{CO-(CH11-NH}で表すことができる。アミド66は、例えば、{CO(CHCONH(CHNH}で表すことができる。アミドMXは、例えば、下記構造式(A-1)で表すことができる。ここで、nは繰り返し単位数を表す。
アミド6の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、1022B、1011FB等)を用いることができる。アミド11の市販品としては、例えば、アルケマ(株)製の「Rilsan B」シリーズを用いることができる。アミド12の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、3024U、3020U、3014U等)を用いることができる。アミド66の市販品としては、例えば、旭化成(株)製の「レオナ」シリーズ(例えば、1300S、1700S等)を用いることができる。アミドMXの市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製の「MXナイロン」シリーズ(例えば、S6001、S6021、S6011等)を用いることができる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂は、上記の構成単位のみで形成されるホモポリマーであってもよく、上記の構成単位と他のモノマーとのコポリマーであってもよい。コポリマーの場合、各ポリアミド系熱可塑性樹脂における上記構成単位の含有率は、40質量%以上であることが好ましい。
(3)オレフィン系熱可塑性樹脂
オレフィン系熱可塑性樹脂としては、上述したオレフィン系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリオレフィンを挙げることができる。具体的には、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂、ポリブタジエン系熱可塑性樹脂等を例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の点からは、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系熱可塑性樹脂の具体例としては、プロピレンホモ重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等が挙げられる。α-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素数3~20程度のα-オレフィン等が挙げられる。
(粘弾性)
本実施形態における樹脂組成物は、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有する。
粘弾性測定により得られるTanδ曲線がピークを2つ以上有する場合は、2種以上の樹脂成分が相溶せずに樹脂組成物中に存在している(すなわち、海島構造を形成している)と判断できる。
また、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が少なくも1つピークと1つのショルダーを有する場合は、2種以上の樹脂成分が相溶せずに樹脂組成物中に存在している(すなわち、海島構造を形成している)か、明確な海島構造を形成していないとしても完全には相溶せずに樹脂組成物中に存在している、と判断できる。
なお、Tanδ曲線におけるショルダーとは、Tanδ曲線において樹脂組成物に含まれる特定の樹脂成分に由来するピークトップから低温側及び高温側にそれぞれ下降する曲線において他の樹脂成分に由来するピークが重なり、当該他の樹脂成分に由来するピークは明確に現れていないが、前記他の樹脂成分に由来するピークに相当する位置において前記曲線が隆起している部分であり、例えば、後述する図8に示すTanδ曲線において矢印Aで示される部分である。
上記Tanδ曲線は、熱可塑性エラストマーに由来するピーク又はショルダーを低温側に、熱可塑性樹脂に由来するピーク又はショルダーを高温側に有することが好ましい。
さらに、熱可塑性エラストマーに由来するピーク又はショルダーが30℃以下の温度範囲に存在することが好ましい。熱可塑性エラストマーに由来するピーク又はショルダーが30℃以下の温度範囲に存在していると、熱可塑性エラストマーの剛性が高すぎず、耐衝撃性が維持される傾向にある。熱可塑性エラストマーに由来するピーク又はショルダーが存在する温度範囲の下限は特に制限されないが、例えば、-25℃以上であることが好ましい。
熱可塑性樹脂に由来するピーク又はショルダーが存在する温度範囲は特に制限されないが、例えば、45℃~150℃の温度範囲に存在することが好ましい。
本明細書において粘弾性測定によるTanδ曲線は、例えば、幅6mm、長さ38mm、厚さ2mmの試験片に対し、TAインスツルメンツ社製の粘弾性測定装置(ARES-G2)を用いて、-100℃~150℃の範囲で歪0.28%、35Hzの条件にて、測定ギャップ20mmとしてトーション試験モードで実施して得られる。
なお、上記Tanδ曲線は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに由来するピークと、ポリエステル系熱可塑性樹脂に由来するピークとを少なくとも有することが好ましい。粘弾性測定により得られるTanδ曲線がポリエステル系熱可塑性エラストマーに由来するピークと、ポリエステル系熱可塑性樹脂に由来するピークとを有する場合は、両者が相溶せずに樹脂組成物中に存在している(すなわち、海島構造を形成している)と判断できる。
なお、上記Tanδ曲線におけるピーク又はショルダーの有無の判別が難しい場合は、フィッティングによって判定することができる。詳細方法は下記方法となる。
<解析方法詳細>
・解析温度域:-40~100℃
・フィッティング関数:Voigt関数(フォークト関数)
:ピーク高さ、a:ピーク位置、a:ガウス幅、a:ローレンツ幅
(フィッティングパラメータ)
・1関数フィッティング→中心値:13.7(熱可塑性エラストマーのTg(℃))
・2関数フィッティング→中心値:13.7(熱可塑性エラストマーのTg(℃))、50(熱可塑性樹脂のTg(℃))
※ピーク高さ・ピーク幅は、中心値を設定後、フィッティング時にソフトウェアが自動で設定
(解析手順)
(1)記フィッティングパラメータを用いてフィッティング
(2)アウトプットデータと生データ各点の差の二乗和を計算
(3)上記で算出した二乗和を比較し、値の小さい方が高精度フィットであると判断
-半値幅-
本実施形態における樹脂組成物は、粘弾性測定により得られるTanδ曲線の半値幅が、70℃以上であることが好ましい。Tanδ曲線の半値幅が70℃以上であれば、主に熱可塑性樹脂による剛性と、主に熱可塑性エラストマーによる柔軟性の両方の特性をバランスよく有することになる。かかる観点から、Tanδ曲線の半値幅が、80℃以上であることがより好ましく、85℃以上であることがさらに好ましい。なお、上記Tanδ曲線の半値幅は以下のように算出する。
(1)-100℃~150℃付近のTanδ曲線の最低値からピークトップまでを高さとする。
(2)上記高さの半分の値のTanδの値を求める。
(3)上記高さの半分の値のTanδにおいて、高温側-低温側の温度値の幅を半値幅とする。
上記Tanδ曲線の半値幅の上限に特に制限はないが、半値幅が広過ぎると材料の発熱の観点で不利であるため、上記Tanδ曲線の半値幅は、100℃以下であってもよい。
なお、-100℃~150℃付近のTanδ曲線にピークが2つ以上存在する場合でも、全てのピークのうち、-100℃~150℃付近において最も高いピークのピークトップと最低点の差を高さとして上記(2)、(3)の手順で半値幅を求めればよい。
(引張弾性率)
本実施形態における樹脂組成物は、引張弾性率が400~1100MPaである。樹脂組成物の引張弾性率が400MPa以上であることで、樹脂組成物の剛性(つまり耐荷重性)が高められる。一方、樹脂組成物の引張弾性率が1100MPa以下であることで、耐衝撃性が改善する効果が発揮される。樹脂組成物の引張弾性率は、好ましくは400~1100MPaであり、より好ましくは450~1050MPaであり、さらに好ましくは490~1000MPaである。
なお、樹脂組成物の引張弾性率の測定は、JIS K7113:1995に準拠して行う。
具体的には、例えば、島津製作所社製、島津オートグラフAGS-J(5KN)を用い、引張速度を100mm/minに設定し、引張弾性率の測定を行う。
(配合比)
熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂との配合比は、配合して得られた樹脂組成物が、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaとなる割合で配合すればよい。使用する樹脂にもよるが、熱可塑性エラストマー/熱可塑性樹脂の配合比(質量基準)は、通常は65/35~95/5であり、好ましくは70/30~90/10である。
(他の成分)
樹脂組成物は、必要に応じて熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、ゴム、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材、架橋剤等が挙げられる。
樹脂組成物が熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂以外の他の成分を含む場合、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂が樹脂組成物全体に占める割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るタイヤは、前述のビード部材を備える。本実施形態に係るタイヤのビード部材以外の構成は特に限定されず、カーカスを備えたゴムタイヤでもよいし、タイヤ骨格体を備えた樹脂タイヤでもよい。
ここで、本実施形態に係るタイヤを構成するカーカス又はタイヤ骨格体について説明する。
<タイヤ骨格体又はカーカス>
本開示において「カーカス(carcass)」とは、ゴムタイヤの骨格をなす部材であり、いわゆるラジアルカーカス、バイアスカーカス、セミラジアルカーカス等が含まれる。カーカスは一般に、コード、繊維等の補強材がゴム材料で被覆された構造を有する。
本開示において「タイヤ骨格体(tire frame)」とは、ゴムタイヤのカーカスに相当する部材であって、樹脂材料から形成される部材(いわゆる樹脂タイヤ用のタイヤ骨格体)を意味する。
カーカスを形成する弾性材料としては後述するゴム材料が挙げられ、タイヤ骨格体を形成する弾性材料としては後述する樹脂材料が挙げられる。
(弾性材料:ゴム材料)
カーカスを構成するゴム材料は、ゴム(ゴム成分)を少なくとも含んでいればよく、本実施形態の効果を損なわない範囲で、添加剤等の他の成分を含んでもよい。ただし、前記ゴム材料中におけるゴム(ゴム成分)の含有量は、ゴム材料の総量に対して、50質量%以上が好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
ゴム成分としては、特に限定はなく、従来より公知のゴム配合に使用される天然ゴム及び各種合成ゴムを、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。例えば、下記に示す様なゴム、もしくはこれらの2種以上のゴムブレンドを使用することができる。
上記天然ゴムとしては、シートゴムでもブロックゴムでもよく、RSS#1~#5の総てを用いることができる。
上記合成ゴムとしては、各種ジエン系合成ゴムやジエン系共重合体ゴム及び特殊ゴムや変性ゴム等を使用できる。具体的には、例えば、ポリブタジエン(BR)、ブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体(例えばSBR、NBRなど)、ブタジエンと他のジエン系化合物との共重合体等のブタジエン系重合体;ポリイソプレン(IR)、イソプレンと芳香族ビニル化合物との共重合体、イソプレンと他のジエン系化合物との共重合体等のイソプレン系重合体;クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X-IIR);エチレン-プロピレン系共重合体ゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン系共重合体ゴム(EPDM)及びこれらの任意のブレンド物等が挙げられる。
ゴム材料は、目的に応じてゴムに添加物等の他の成分を加えてもよい。
添加物としては、例えば、カーボンブラック等の補強材、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、脂肪酸又はその塩、金属酸化物、プロセスオイル、老化防止剤等が挙げられ、これらを適宜配合することができる。
ゴム材料で形成されるカーカスは、未加硫のゴム材料を加熱によってゴムを加硫することで得られる。
(弾性材料:樹脂材料)
タイヤ骨格体を構成する樹脂材料は、樹脂(樹脂成分)を少なくとも含んでいればよく、本実施形態の効果を損なわない範囲で、添加剤等の他の成分を含んでもよい。ただし、前記樹脂材料中における樹脂(樹脂成分)の含有量は、樹脂材料の総量に対して、50質量%以上が好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
樹脂材料に含まれる樹脂(樹脂成分)としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、及び熱硬化性樹脂が挙げられる。走行時の乗り心地の観点から、樹脂材料は、熱可塑性エラストマーを含むことが好ましく、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含むことがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系熱硬化性樹脂、ユリア系熱硬化性樹脂、メラミン系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、オレフィン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、塩化ビニル系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂等を例示することができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、及びオレフィン系熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリアミド系熱可塑性樹脂及びオレフィン系熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。なお、走行時に必要とされる弾性、製造時の成形性等を考慮すると、樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、熱可塑性エラストマーを用いることが更に好ましい。
タイヤ骨格体を形成する樹脂材料としては、ビード部材に含まれる同種の樹脂を含むものを用いることが好ましい。例えば、ビードフィラーにポリエステル系の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを含む場合、タイヤ骨格体にもポリエステル系の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを用いることが、接着性の観点で好ましい。
(他の成分)
弾性材料(ゴム材料又は樹脂材料)は、所望に応じて、ゴム又は樹脂以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材等が挙げられる。
-弾性材料の物性-
弾性材料として樹脂材料を用いる場合(つまり樹脂タイヤ用のタイヤ骨格体の場合)、樹脂材料に含まれる樹脂の融点は、例えば100℃~350℃程度が挙げられ、タイヤの耐久性及び生産性の観点から、100℃~250℃程度が好ましく、120℃~250℃が更に好ましい。
弾性材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113:1995に規定される引張弾性率は、50MPa~1000MPaが好ましく、50MPa~800MPaが更に好ましく、50MPa~700MPaが特に好ましい。弾性材料の引張弾性率が、50MPa~1000MPaであると、タイヤ骨格体の形状を保持しつつ、リム組みを効率的に行なうことができる。
弾性材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張強さは、通常、15MPa~70MPa程度であり、17MPa~60MPaが好ましく、20MPa~55MPaが更に好ましい。
弾性材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張降伏強さは、5MPa以上が好ましく、5MPa~20MPaが更に好ましく、5MPa~17MPaが特に好ましい。弾性材料の引張降伏強さが、5MPa以上であると、走行時等にタイヤにかかる荷重に対する変形に耐えることができる。
弾性材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張降伏伸びは、10%以上が好ましく、10%~70%が更に好ましく、15%~60%が特に好ましい。弾性材料の引張降伏伸びが、10%以上であると、弾性領域が大きく、リム組み性を良好にすることができる。
弾性材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113(1995)に規定される引張破断伸びは、50%以上が好ましく、100%以上が更に好ましく、150%以上が特に好ましく、200%以上が最も好ましい。弾性材料の引張破断伸びが、50%以上であると、リム組み性が良好であり、衝突に対して破壊し難くすることができる。
弾性材料(タイヤ骨格体)自体のISO 75-2又はASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)は、50℃以上が好ましく、50℃~150℃が更に好ましく、50℃~130℃が特に好ましい。弾性材料の荷重たわみ温度が、50℃以上であると、タイヤの製造において加硫を行う場合であってもタイヤ骨格体の変形を抑制するこができる。
図1に示す本実施形態に係るタイヤ1は、ビード部12をリムRに装着することでタイヤ1とリムRとの間で空気室を形成する、いわゆるチューブレスタイヤであるが、本実施形態はこの態様に限定されず、完全なチューブ形状であってもよい。
また、本実施形態に係るタイヤを製造する方法は、ビード部材のビードフィラーを前述した樹脂組成物で形成すること以外は特に限定されず、ビードフィラーの材料以外は公知の製造方法を適用することができる。
以上、本開示の実施形態について説明したが、上述した実施形態は一例であり、本開示は、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加えて実施することができる。また、本開示の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
上記の通り、本開示によれば以下のタイヤが提供される。
<1> 本開示の第1の観点によれば、
ビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向の外側に位置するビードフィラーとを有するビード部材を備え、
前記ビードフィラーが、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーを含み、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaである樹脂組成物で構成されている、タイヤが提供される。
<2> 本開示の第2の観点によれば、
前記Tanδ曲線の半値幅が、70℃以上である、前記第1の観点によるタイヤが提供される。
<3> 本開示の第3の観点によれば、
前記熱可塑性エラストマーのガラス転移温度が、25℃未満である、前記第1又は第2の観点によるタイヤが提供される。
<4> 本開示の第4の観点によれば、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、40℃以上である、前記第1~第3のいずれか1の観点によるタイヤが提供される。
<5> 本開示の第5の観点によれば、
前記熱可塑性エラストマーが、ポリエステル系熱可塑性エラストマーである、前記第1~第4のいずれか1の観点によるタイヤが提供される。
<6> 本開示の第6の観点によれば、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル系熱可塑性樹脂である、前記第1~第5のいずれか1の観点によるタイヤが提供される。
<7> 本開示の第7の観点によれば、
前記樹脂組成物に含まれる前記熱可塑性エラストマーの含有量と前記熱可塑性樹脂の含有量との質量比(熱可塑性エラストマーの含有量/熱可塑性樹脂の含有量)が、65/35~95/5である、前記第1~第6のいずれか1の観点によるタイヤが提供される。
以下、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
[実施例1~、比較例1~5]
表1に記載の材料を各表に示す量(質量部)で混合して実施例1~、比較例1~5の樹脂組成物を得た。各表に示す材料の詳細は、下記の通りである。
<配合材料>
(熱可塑性樹脂)
PBT…ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製、「トレコン1401X06」、Tg:64℃)
<熱可塑性エラストマー>
TPC1…ポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レ・デュポン社製、「ハイトレル5557」、Tg:-25℃)
TPC2…ポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レ・デュポン社製、「ハイトレル6347」、Tg:18℃)
TPC2…ポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レ・デュポン社製、「ハイトレル7247」、Tg:25℃)
<評価>
得られた樹脂組成物から射出成形にて試験片を作製し、下記の測定及び評価を実施した。
・引張弾性率の測定
得られた樹脂組成物から厚さ2mmの板を作製し、JIS3のダンベル試験片を打ち抜いた引張弾性率測定用サンプルを用意した。用意した引張弾性率測定用サンプルを用い、前述した方法により引張弾性率の測定を行った。
・シャルピー衝撃試験(常温条件)
得られた樹脂組成物から作製した厚さ2mmの試験片を用い、シャルピー衝撃試験(常温条件)を、以下の方法により行った。
耐衝撃性は、シャルピー衝撃試験(JIS K7111-1:2012に準拠)の結果により評価した。具体的には、デジタル衝撃試験機(DG-UB型、(株)東洋精機製作所製)を用いて、衝撃ハンマー2Jの条件で23℃で試験を実施し、下記基準に従って評価した。
破断せず…A
破断した…B
結果を表1に示す。 なお、表1における「室温NB」は、 シャルピー衝撃試験(常温)で破断が生じなかった場合は空欄とし、破断が生じた場合は衝撃値(単位:kJ/m)を記載した。
・ガラス転移温度
得られた樹脂組成物から作製した厚さ2mmの試験片を用い、前述の方法によりガラス転移温度を測定した。
・粘弾性(Tanδ曲線)
得られた樹脂組成物から作製した厚さ2mmの試験片を用い、前述の方法により粘弾性測定を行ってTanδ曲線を得た。なお、ピーク又はショルダーの存在が定かでない場合は、前述のフィッティングを行ってフィッティングパラメータを求め、ピーク又はショルダーの存在を確認した。
・配合状態(海島構造の有無)
得られた樹脂組成物から作製した厚さ2mmの試験片について、原子間力顕微鏡(AFM)により海島構造の有無を測定した。
結果を表1に示す。

図3は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC1:「ハイトレル5557」)とポリブチレンテレフタレート(PBT:「トレコン1401X06」)についてそれぞれの粘弾性測定により得たTanδ曲線を示している。なお、図3では、横軸は温度(℃)、縦軸はTanδを示し、例えば「ハイトレル5557」は「5557」のように商品名を省略して品番のみを記載した。図4、図5、図8~図12でも同様である。図3に見られるように、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC1)のTanδ曲線は-25℃付近にピークを有し、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のTanδ曲線は60℃付近にピークを有している。
一方、図4は、実施例1として、TPC1/PBT=80/20(質量比)で配合した樹脂組成物の粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示している。図4に示すTanδ曲線は、図3に示すTPC1(ハイトレル5557)とPBT(トレコン1401X06)の各Tanδ曲線の各ピーク位置から若干変動しているが、各ピークに対応した2つのピークが明確に現れていた。また、AFMによる観察では海島構造が認められた。
図5は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC2:「ハイトレル6347」)とポリブチレンテレフタレート(PBT:「トレコン1401X06」)についてそれぞれの粘弾性測定により得たTanδ曲線を示している
図8は、実施例3として、TPC2/PBT=90/10(質量比)で配合した樹脂組成物の粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示している。図8に示すTanδ曲線について、図9に示すように、TPC2単独のTanδ曲線(1ピーク)と、TPC2とPBTのそれぞれのTanδ曲線を併合した曲線(2ピーク)とのフィッティングを行い、フィッティングパラメータを求めた。その結果、1ピークに対しては0.0039であったのに対し、2ピークに対しては0.0004という0に近い値となった。このことから、図8に示すTanδ曲線のAの部分は、TPC2に由来するショルダーであることがわかる。
図10は、比較例2及び5として、TPC2とPBTの配合比(質量比)をそれぞれ60/40、20/80に変更した樹脂組成物の粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示している。図10に示されるように、各Tanδ曲線にはピークが1つのみで、ショルダーは認められなかった。
図11は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC3:「ハイトレル7247」)とポリブチレンテレフタレート(PBT:「トレコン1401X06」)についてそれぞれの粘弾性測定により得たTanδ曲線と、TPC3とPBTの配合比を80/20又は60/40の割合で配合した樹脂組成物(比較例3、4)の粘弾性測定により得られるTanδ曲線を示している。
図11に示される各Tanδ曲線にはピークが1つのみで、ショルダーは認められなかった。
・Tanδ曲線のピーク半値幅
前述の方法により、Tanδ曲線のピーク半値幅を求めた。
図12は、TPC2単独の試験片について粘弾性測定により得たTanδ曲線、実施例3の樹脂組成物の試験片について粘弾性測定により得たTanδ曲線を示している。図12に示すように、TPC2の試験片について粘弾性測定により得たTanδ曲線の-100℃~150℃付近のTanδ曲線の最低値からピークトップまでを高さとし、高さの半分の値のTanδの値において、高温側-低温側の温度値の幅を半値幅として求めたところ、半値幅は69℃であった。
一方、実施例3の樹脂組成物の試験片について粘弾性測定により得たTanδ曲線の半値幅を求めたところ86℃あった。
実施例1~の樹脂組成物から形成した試験片では、弾性率が400~1100MPaの範囲内にあり、剛性(耐荷重性)に優れ、シャルピー衝撃試験(常温)では破断が発生せず、耐衝撃性にも優れていた。
一方、比較例の樹脂組成物から形成した試験片では、PBTのみで試験片を作製した比較例1では、弾性率が1100MPaを超えて剛性(耐荷重性)が強過ぎ、全ての比較例においてシャルピー衝撃試験(常温)で破断が発生し、所望の耐衝撃性が得られなかった。
1:タイヤ、10:トレッド部、11:サイド部、12:ビード部、20:カーカス、20a:本体部、20b:折り返し部、30:ベルト、40:ゴム、50:ビード部材、60:ビードコア、62a:ビードワイヤ、62:被覆樹脂、65:被覆層、70:ビードフィラー、CL:タイヤ赤道面、R:リム
2018年11月8日に出願された日本国特許出願2018-211787の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (5)

  1. ビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向の外側に位置するビードフィラーとを有するビード部材を備え、
    前記ビードフィラーが、ポリブチレンテレフタレートである熱可塑性樹脂及びポリエステル系熱可塑性エラストマーである熱可塑性エラストマーを含み、粘弾性測定により得られるTanδ曲線が、少なくとも2つのピーク又は1つ以上のショルダーを備えた少なくとも1つのピークを有し、引張弾性率が400~1100MPaである樹脂組成物で構成されている、タイヤ。
  2. 前記Tanδ曲線の半値幅が、70℃以上である、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記熱可塑性エラストマーのガラス転移温度が、25℃未満である、請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、40℃以上である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記樹脂組成物に含まれる前記熱可塑性エラストマーの含有量と前記熱可塑性樹脂の含有量との質量比(熱可塑性エラストマーの含有量/熱可塑性樹脂の含有量)が、65/35~95/5である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のタイヤ。
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