JP3695840B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤに関わり、更に詳しくは、軽量化と極低周波域のロードノイズの問題を両立するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の軽量化に伴い、タイヤの軽量化が強く求められている。従来、例えば、ビードフィラーを小型化して軽量化を図る提案があるが、このようにビードフィラーを小さくすると、サイドウォール部の剛性、特に周方向剛性が大幅に低下し、それによって、40Hz付近の周波数帯にある極低周波域のロードノイズが悪化する。
【0003】
そこで、上記解決策として、ビードフィラーの厚さを薄く、かつ細長くし、ビードフィラーを軽量化しながら、周方向剛性も確保するようにした提案がある。しかし、細長くしたビードフィラーは、未加硫状態ではその形状が安定しないため、ビードフィラー頂部が折れ曲がり易く、その結果、剛性が周上で不均一になるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ビードフィラーを小型にして軽量化しても、極低周波域のロードノイズが悪化することなく、かつビードフィラー頂部の折れ曲がりを回避してビードフィラー剛性も周上で均一にすることが可能な空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、左右のビード部に配置したビードコアの外周にビードフィラーを設け、カーカス層の両端部を前記左右のビード部に配置したビードコアの周りに前記ビードフィラーを挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返した空気入りタイヤにおいて、前記ビードフィラーを熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成し、かつ前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性エラストマー組成物のヤング率を50〜500 MPa にし、前記ビードフィラーのタイヤ子午線断面における断面積A (mm 2 ) とビードベースラインLから該ビードフィラーの外周端までのタイヤ径方向高さhF (mm) との比A/hFを0.2 (mm) ≦A/hF≦3.5 (mm) 、前記タイヤ径方向高さhF (mm) とタイヤ断面高さSH (mm) との比hF/SHを0.25≦hF/SH≦0.8にしたことを特徴とする。
【0006】
このようにヤング率を50〜500MPa とゴムよりも大幅に高くした熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からビードフィラーを構成することにより、ゴムで構成した従来のビードフィラーと同等の周方向剛性をより少ない断面積で達成することができる。そのため、ビードフィラーを小さくして軽量化を図るようにしても、40Hz付近の周波数帯にある極低周波域のロードノイズが悪くなることがない。また、ビードフィラー頂部も折れ曲がり難いので、周上でのビードフィラー剛性を均一化することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤの一例を示し、1はトレッド部、2はビード部、3はサイドウォール部である。左右のビード部2に連接してタイヤ径方向外側(外径側)に左右のサイドウォール部3が延設され、この左右のサイドウォール部3間にタイヤ周方向に延在するトレッド部1が設けられている。
【0008】
タイヤ内側にはカーカス層4が1層配設されている。左右のビード部2にはビートコア5がそれぞれ配置され、そのビートコア5の外周にはビードフィラー6が設けられている。カーカス層4の両端部4aがビードフィラー6を包み込むようにしてビートコア5の周りにタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1のカーカス層外周側には、複数のベルト層7が埋設されている。CLはタイヤ赤道線を通るタイヤセンターラインである。
本発明では、上述した構成の空気入りタイヤにおいて、ビードフィラー6がヤング率を50〜500MPa にした熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成されている。
【0009】
このようにゴムよりも大幅にヤング率を高くした柔軟性を有する熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物を用いてビードフィラー6を構成することにより、従来のゴムで構成したビードフィラーと同等の周方向剛性をより少ない断面積で得ることができ、それによって、ビードフィラー6の厚さを薄くしかつ細長くして軽量化しても40Hz付近の周波数帯にある極低周波域のロードノイズが悪化することがなく、しかも、ビードフィラー頂部が折れ曲がり難いため、ビードフィラー6の剛性も周上で均一にすることができる。
【0010】
上記ヤング率が50MPa よりも小さいと、ビードフィラー6の硬度が低くなりすぎて、従来のゴムで構成したビードフィラーと同等の周方向剛性をより少ない断面積で得ることが困難となる。逆に、500MPa を越えると、ビードフィラー6の硬度が高くなりすぎるため、壊れ易くなり、タイヤ故障の原因となる。
上記ビードフィラー6は、そのタイヤ子午線断面における断面積A mm 2 とビードベースラインLからビードフィラー6の外周端6aまでのタイヤ径方向高さhF mm との比A/hFを0.2〔mm〕≦A/hF≦3.5〔mm〕にするのが好ましい。A/hFが3.5を越えると、フィラー重量が多くなり軽量化にならないか、もしくはビードフィラー高さhFが不十分なことによる周方向の剛性不足から、極低周波域ロードノイズが悪化する。A/hFが0.2より小さいと、横方向剛性が不十分となり、操縦安定性が著しく低下する。
【0011】
上記タイヤ径方向高さhFは、ビードベースラインLとタイヤセンターラインCL上におけるトレッド部1のトッレド表面1Aとの間のタイヤ径方向長さで示されるタイヤ断面高さSH mm との関係で、その比hF/SHを0.25≦hF/SH≦0.8にするのがよい。hF/SHが0.25より小さいと、十分な周方向剛性を確保することができず、極低周波ロードノイズが悪化してしまう。逆に0.8よりも大きいと、タイヤ故障の原因となる。
【0012】
本発明では、上記ビードフィラー6に用いられる熱可塑性樹脂としては、ヤング率を50〜500MPa にすることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば、6−ナイロンのメトキシメチル化物、6−610−ナイロンのメトキシメチル化物、612−ナイロンのメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、酢酸ビニル、ポエビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
【0013】
上記熱可塑性エラストマー組成物は、上述した熱可塑性樹脂の成分にエラストマー成分を混合して構成することができ、これもヤング率を50〜500MPa となるようにブレンドしたものであれば、その材料の種類や混合比等は特に限定されるものではない。
前記エラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、NR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBR及び低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、IIR、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ボリアミド系エラストマー)等を好ましく使用することができる。
【0014】
前記した特定の熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分との相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマー成分との界面張力が低下し、その結果、分散層を形成しているゴム粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマー成分の両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマー成分と反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマー成分の種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマー成分との合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
【0015】
熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドする場合の特定の熱可塑性樹脂成分(A)とエラストマー成分(B)との組成比は、特に限定はなく、ヤング率、ビードフィラーの断面積により適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比90/10〜30/70である。
本発明に係るポリマー組成物には、上記必須ポリマー成分に加えて、本発明のタイヤ用ポリマー組成物の必要特性を損なわない範囲で前記した相溶化剤ポリマーなどの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマー成分との相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。本発明に係るポリマー組成物には、更に一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等を上記ヤング率の要件を損なわない限り任意に配合することもできる。
【0016】
また、前記エラストマー成分は熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマー成分の組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオン系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr 〔ゴム成分(ポリマー)100重量部あたりの重量部〕程度用いることができる。
【0017】
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ビクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr 程度用いることができる。
【0018】
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr 程度用いることができる。
その他として、亜鉛華(5phr 程度)、酸化マグネシウム(4phr 程度) 、リサージ(10〜20phr 程度) 、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr 程度) 、メチレンジアニリン(0.2〜10phr 程度) が例示できる。
【0019】
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr 程度用いることができる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
【0020】
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr 程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr 程度)等が使用できる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマー成分を分散させることによる。エラストマー成分を加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマー成分を動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練およびエラストマー成分の動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500Sec -1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で作製されたポリマー組成物は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法によって所望の形状にすればよい。
【0021】
このようにして得られるビードフィラーは、熱可塑性樹脂(A)のマトリクス中にエラストマー成分(B)が不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、ビードフィラーに十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマー成分の多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。
【0022】
これらビードフィラーと相対するゴム層との接着は、通常のゴム系、フェノール樹脂系、アクリル共重合体系、イソシアネート系等のポリマーと架橋剤を溶剤に溶かした接着剤をビードフィラーに塗布し、加硫成形時の熱と圧力により接着させる方法、または、スチレンブタジエンスチレン共重合体(SBS)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、スチレンエチレンブチレンブロック共重合体(SEBS)等の接着用樹脂をビードフィラーと共に共押出、或いはラミネートして多層積層体を作製しておき、加硫時にゴム層と接着させる方法がある。溶剤系接着剤としては、例えば、フェノール樹脂系(ケムロック220・ロード社)、塩化ゴム系(ケムロック205、ケムロック234B)、イソシアネート系(ケムロック402)等を例示することができる。
【0023】
なお、上記実施形態では、ベルト層を配置した空気入りタイヤについて説明したが、本発明は、それに限定されず、ビードコア外周にビードフィラーを配置した空気入りタイヤであれば、いずれにも好適に用いることができることは言うまでもない。
【0024】
【実施例】
ビードフィラーの作製
本発明に用いたビードフィラー用材料を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003695840
ビードフィラーは、予めビードフィラー成形用金型内にビードコアをインサートしておき、それに上記材料を射出成形する方法で作製した。作製されたビードフィラーの断面積は140mm2 であった。
【0026】
上記材料幅で、ヤング率40,50MPa のものについては、表1中組成に亜鉛華、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸をエラストマーに対して、それぞれ0.4phr,2phr,1phr を動的加硫系として2軸混練機で樹脂成分中にゴム成分を分散せしめた後に連続的に添加混練、動的加硫して熱可塑性エラストマーを作製しておいた。
【0027】
ビードフィラーとゴム部材料間の接着剤としては、ビードフィラーに予めケムロック234B(ロード社)を塗布しておいた。
タイヤの作製
上記作製のビードフィラー(ビードコア/ビードフィラー一体物)を用いて、常法に従い、タイヤを成形、加硫した。(本発明タイヤ1〜4,比較タイヤ1,2)
また、比較例として、通常のビードフィラー(ゴム製)を用いた従来タイヤ1と、ビードフィラー(ゴム)の厚さを薄くし、かつ細長くしたタイヤ(従来タイヤ2)も合わせて作製した。作製したタイヤのサイズは205/65R15 94Sである。
【0028】
これら各試験タイヤを以下に示す測定条件により、極低周波域のロードノイズ、ビードフィラー重量、ビードフィラー頂部の折れ曲がり、及び耐久性を調べたところ、表2に示す結果を得た。
極低周波域のロードノイズ(R/N)
各試験タイヤをJATMA標準リムに装着し、空気圧を200kPa にして、排気量3000ccの乗用車に取付け、粗い路面(舗装修復路)を50km/hの速度で走行した時の運転席窓側における40Hz域ロードノイズのフィーリングテストを5人のパネラーにより実施し、その結果を10点法により評価し、5人の各値の平均を評価値とした。その値が大きい程、極低周波域のロードノイズが低い。
ビードフィラー重量
各試験タイヤの成型前のビードフィラーの重量を測定し、その結果を従来タイヤ1のビードフィラーを100とする指数値で評価した。その値が大きい程、重量が大きい。
ビードフィラー頂部の折れ曲がり
タイヤの成型前にビードフィラー頂部の折れ曲がりがあるか否かを調べ、その結果を○×で示した。折れ曲がりが認められた場合を×、折れ曲がりが認められない場合を○とする。
耐久性
各試験タイヤ(従来タイヤを除く)をJATMA標準リムに装着し、空気圧180kPa 、速度81km/hの条件(JISDー4230に基づいた試験条件)で室内ドラム試験を行い、2754km走行後におけるビードフィラーの状態を調べた。○は異常なし、×はビードフィラーに破壊が発生したことを示す。
【0029】
【表2】
Figure 0003695840
【0030】
表2から明らかなように、ヤング率を50〜500MPa にした熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなるビードフィラーを配置した本発明タイヤは、ビードフィラーを小型化して軽量にしても、極低周波域のロードノイズが悪くならず、更にビードフィラーの頂部に折れ曲がりもないため、ビードフィラー剛性を周上で均一にすることができるのが判る。また、ビードフィラーに破壊が生じることがないのも判る。
【0031】
【発明の効果】
上述したように本発明は、左右のビード部に配置したビードコアの外周にビードフィラーを設けた空気入りタイヤにおいて、前記ビードフィラーをヤング率が50〜500MPa の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成したので、ビードフィラーを小型にして軽量化しても、極低周波域のロードノイズが悪化することがなく、かつビードフィラー頂部の折れ曲がりを回避してビードフィラー剛性を周上で均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部 2 ビード部
3 サイドウォール部 4 カーカス層
5 ビードコア 6 ビードフィラー
6a 外周端 7 ベルト層

Claims (1)

  1. 左右のビード部に配置したビードコアの外周にビードフィラーを設け、カーカス層の両端部を前記左右のビード部に配置したビードコアの周りに前記ビードフィラーを挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返した空気入りタイヤにおいて、
    前記ビードフィラーを熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成し、かつ前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性エラストマー組成物のヤング率を50〜500 MPa にし、前記ビードフィラーのタイヤ子午線断面における断面積A (mm 2 ) とビードベースラインLから該ビードフィラーの外周端までのタイヤ径方向高さhF (mm) との比A/hFを0.2 (mm) ≦A/hF≦3.5 (mm) 、前記タイヤ径方向高さhF (mm) とタイヤ断面高さSH (mm) との比hF/SHを0.25≦hF/SH≦0.8にした空気入りタイヤ。
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