本発明に係る集塵装置および電気掃除機の実施形態について図1から図9を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、所謂コードレスタイプである。電気掃除機1は、所謂キャニスタ型であるが、これに限られず、アップライト型、スティック型、またはハンディ型であってもよい。
電気掃除機1は、被掃除面を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な管部3と、を備えている。管部3は、掃除機本体2に流体的に接続されている。
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の左右それぞれの側部に設けられる一対の車輪6と、本体ケース5に着脱可能に装着される集塵装置7と、本体ケース5に収容される電動送風機8と、主に電動送風機8を制御する制御部9と、電動送風機8に供給される電力を蓄える二次電池11と、を備えている。
掃除機本体2は、二次電池11が蓄える電力で電動送風機8を駆動させる。掃除機本体2は、電動送風機8が発生させる負圧を管部3に作用させる。電気掃除機1は、管部3を通じて被掃除面から塵埃を含む空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに塵埃を分離した後の清浄な空気を排気する。
本体ケース5の正面部分には、掃除機本体2の吸込口に相当する本体接続口12が設けられている。本体接続口12は、管部3を着脱可能な継手である。本体接続口12は、管部3と集塵装置7とを流体的に接続されている。
車輪6は、掃除機本体2を走行可能に支えている。掃除機本体2は、一対の車輪6に加えてキャスター(図示省略)によって支えられている。
集塵装置7は、電気掃除機1に吸い込まれる塵埃を蓄積する。集塵装置7は、掃除機本体2に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送る。
電動送風機8は、集塵装置7から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。記憶装置は、予め設定される複数の運転モードに関連する種々の設定(引数)を記憶している。複数の運転モードは電動送風機8の出力に関連付けられている。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値、電動送風機8に流れる電流値)が設定されている。それぞれの運転モードは、管部3で受け付けられる入力に関連付けられている。制御部9は、管部3への入力に対応する任意の運転モードを、予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、読み出した運転モードの設定にしたがって電動送風機8を運転する。
二次電池11は、電動送風機8、および制御部9に電力を供給する。二次電池11は、掃除機本体2に設けられる一対の充電電極14に電気的に接続されている。
管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ導く。管部3は、掃除機本体2に着脱可能な継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続される集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続される手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に設けられる操作部24と、手元操作管22に着脱可能に連結される延長管25と、延長管25に着脱可能に連結される吸込口体26と、を備えている。
接続管19は、本体接続口12に着脱可能な継手である。接続管19は、本体接続口12を通じて集塵装置7に流体的に接続される。
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に流体的に接続されている。集塵ホース21は、接続管19を通じて集塵装置7に流体的に接続されている。
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを中継している。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を通じて集塵装置7に流体的に接続されている。
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状で手元操作管22から突出している。
操作部24は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備えている。例えば、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ24bと、吸込口体26への電源供給に対応付けられるブラシスイッチ24cと、を備えている。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、制御部9に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機8の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能する。制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、強運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)、および弱運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
複数の筒体を重ね合わせたテレスコピック構造の延長管25は、伸縮可能である。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱可能な継手を備えている。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて集塵装置7に流体的に接続されている。
吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面を走行可能または滑走可能であり、走行状態または滑走状態において被掃除面に対面する底面に吸込口28を有する。また、吸込口体26は、吸込口28に配置される回転可能な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備えている。吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱可能な継手を備えている。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて集塵装置7に流体的に接続されている。つまり、吸込口体26、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21、接続管19、および集塵装置7は、吸込口28から電動送風機8へ至る吸込風路である。電動機31は、ブラシスイッチ24cから操作信号を受け取る度に運転開始と停止とを交互に繰り返す。
電気掃除機1は、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を始動する。例えば、電気掃除機1は、電動送風機8が停止している状態で起動スイッチ24bが操作されると、先ず電動送風機8を強運転モードで始動し、再び起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を中運転モードで運転し、三度、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モード、および弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機8に対する入力値が小さい。始動した電動送風機8は、集塵装置7から空気を吸込み、集塵装置7内を負圧にする。
集塵装置7内の負圧は、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、延長管25、および吸込口体26を順次に通じて吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用する負圧によって、被掃除面の塵埃を空気とともに吸い込む。集塵装置7は、吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機8へ送る。電動送風機8は、集塵装置7から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
次に、本実施形態に係る電気掃除機1の掃除機本体2について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の掃除機本体の平断面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の掃除機本体の縦断面図である。
なお、図2には、管部3の接続管19が掃除機本体2から取り外されている状態が示されている。図3には、接続管19が掃除機本体2に取り付けられている状態が示されている。
図2および図3に示すように、本発明の実施形態に係る電気掃除機1の掃除機本体2は、本体ケース5の幅方向に横臥させた筒形の後半部と、平面視において筒形の後半部から前方に向けて弧状に膨出する前半部と、を有する本体ケース5を備えている。
本体接続口12は、本体ケース5の幅方向の中央、かつ高さ方向の中央を通る線(以下、中心線Cと呼ぶ。)に沿って延び、集塵装置7に達している。図2および図3は、この中心線Cを通る断面図である。
それぞれの車輪6は、本体ケース5の筒形の後半部の左右それぞれの端部に配置され、かつ本体ケース5の筒形の後半部に同心状に配置されている。車輪6の直径は、本体ケース5の上下方向の高さ(筒形の後半部の直径に相当する)よりも大きい。また、掃除機本体2の側面視、つまり車輪6の車軸方向視において、車輪6は、本体ケース5の背面を覆い隠す。このため、掃除機本体2は、本体ケース5の上下(表裏)を反転した状態であっても、本体ケース5の上下(表裏)を反転させる過程であっても、本体ケース5を被掃除面に干渉させることなく、車輪6を被掃除面に接地させることができる。換言すると、本体ケース5は、その背面を被掃除面に干渉させることなく、車輪6の車軸を中心に本体ケース5の上下(表裏)を反転できる。掃除機本体2には、表側を上方に向けた掃除機本体2を車輪6とともに支える補助輪32aが設けられている。接続管19には、裏側を上方に向けた掃除機本体2を車輪6とともに支える補助輪32bが設けられている。
二次電池11は、車輪6の車軸(回転中心線)を挟んで本体接続口12の反対側、つまり本体ケース5の後端中央部に配置されている。つまり、二次電池11は、本体ケース5の筒形の後半部に収容されている。二次電池11は、筒形の後半部の内面に倣って配置される円筒形の複数の素電池11aを有している。
ここで、本体ケース5の筒形の後半部の中心線、および車輪6の回転中心線は、実質的に同一線上にある。この線を中心とする、本体ケース5の筒形の後半部の内側を領域Aと呼ぶ。車輪6は、領域Aを避けている。つまり、車輪6は、領域Aよりも大きい内径を有する円環形を有している。
集塵装置7および電動送風機8は、領域A内に配置され、かつ本体ケース5の幅方向に並べられている。集塵装置7は、領域Aのうち中央部から一方の車輪6(例えば図2における左側の車輪6)に達する領域A1に配置されている。電動送風機8は、領域Aのうち他方の車輪6(例えば図2における右側の車輪6)に偏倚する領域A2に配置されている。
本体ケース5は、集塵装置7を着脱可能に収容する塵埃容器室41と、電動送風機8を収容する電動送風機室42と、を有している。塵埃容器室41は、領域A1を占めている。電動送風機室42は、領域A2を占めている。
電動送風機8は、電動送風機室42に収容されている。電動送風機8の吸込口は、塵埃容器室41に向けられている。
塵埃容器室41は、集塵装置7の形状に準じる筒形の空間を区画している。塵埃容器室41は、本体ケース5の側面に配置される塵埃容器挿抜口41aを有している。塵埃容器挿抜口41aの開口径は、環状の車輪6の内径よりも小さい。塵埃容器挿抜口41aは、掃除機本体2の側面視において、環状の車輪6の内側に配置されている。
集塵装置7は、車輪6の内径よりも小さい外径を有する筒形の外観を有している。集塵装置7は、塵埃容器挿抜口41aを通じて塵埃容器室41に挿抜される。つまり、集塵装置7は、掃除機本体2の幅方向に挿抜される。これによって、集塵装置7は、掃除機本体2に着脱される。
次に、集塵装置7について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る集塵装置の斜視図である。
図5は、本発明の実施形態に係る集塵装置の側面図である。
図6は、図5のVI-VI線における本発明の実施形態に係る集塵装置の断面図である。
図7は、図5の集塵装置の拡大図である。
図2および図3に加え、図4から図7に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の集塵装置7は、吸込口51aが設けられる第一壁部としての側壁部を有し、塵埃を蓄積可能な容器本体51と、容器本体51内に収容される隔壁52と、吸込口51aから容器本体51に吸い込まれる塵埃を含んだ空気から塵埃をろ過分離するフィルター部53と、容器本体51を開閉可能に閉じる第二壁部としての容器蓋55と、容器蓋55に設けられる把手56と、容器本体51に設けられる脚57と、を備えている。
集塵装置7は、電気掃除機1に吸い込まれる塵埃を蓄積する。集塵装置7は、電動送風機8が発生させる負圧によって吸い込まれる、塵埃を含んだ空気から塵埃を分離する分離部61と、分離部61で分離された塵埃を蓄積する集塵部62と、集塵部62から流出する空気を電動送風機8へ導く連絡風路63と、を備えている。
分離部61は、本体接続口12に接続されている。分離部61は、塵埃を含む空気を直進させて塵埃および空気に作用する慣性力の差で空気から塵埃のうち比較的重い塵埃を分離する第一分離部65と、第一分離部65を通過する比較的軽い塵埃を含む空気から塵埃を分離する第二分離部としてのフィルター部53と、を備えている。
集塵部62は、分離部61および連絡風路63に併設されている。集塵部62は、分離部61で分離される塵埃のうち比較的重い塵埃を蓄積する粗塵集塵室66と、フィルター部53を収容するフィルター室67と、を備えている。フィルター室67は、フィルター部53で分離される比較的軽い塵埃を蓄積する。
容器本体51および容器蓋55は、集塵装置7の容器である。容器本体51は、吸込口51aが設けられる第一壁部としての側壁を有している。容器蓋55は、第一壁部と異なる第二壁部である。つまり、把手56は、吸込口51aが設けられる第一壁部とは異なる第二壁部に設けられている。
容器本体51は、第一分離部65、および集塵室68の外殻である。隔壁52は、粗塵集塵室66とフィルター室67とを区切っている。容器本体51は、全体として筒形である。容器本体51は、筒形の中心線を本体ケース5の幅方向へ向けて領域A1に装着されている。容器本体51には、容器蓋55を開閉可能に固定する蓋ロック機構69が設けられている。蓋ロック機構69は、例えば容器蓋55の爪を引っ掛けて容器蓋55を閉じる、所謂トグルキャッチクランプである。
容器蓋55は、フィルター部53の下流側の風路を区画している。容器蓋55は、車輪6の内側にあって掃除機本体2の外観に露出される。容器蓋55には、集塵装置7を掃除機本体2に固定するための集塵装置ロック機構71が設けられている。集塵装置ロック機構71は、例えば掃除機本体2の溝に挿抜可能な爪73と、この爪73を溝に挿入する方向へばね力を生じる弾性部材74、例えばコイルばねと、を含んでいる。
なお、第一分離部65で分離される比較的重い塵埃を、粗塵と呼ぶ。フィルター部53で分離される比較的軽い塵埃を、細塵と呼ぶ。粗塵集塵室66、およびフィルター室67を一括して集塵室68と呼ぶ。
本体接続口12から集塵装置7に流れ込む含塵空気は、第一分離部65で粗塵とそれ以外(細塵を含んだ空気)とに分離される。分離された粗塵は、粗塵集塵室66に蓄積される。第一分離部65で分離された空気(細塵を含む)は、フィルター室67に流れ込む。粗塵集塵室66に流れ込んだ空気も、フィルター室67に流れ込む。フィルター室67に流れ込んだ空気(細塵を含む)は、フィルター部53で細塵と空気とに分離される。分離された細塵は、フィルター部53に捕捉され、フィルター室67に蓄積される。フィルター部53を通過した清浄な空気は、連絡風路63を経て電動送風機8に吸い込まれる。
第一分離部65は、本体接続口12に接続される第一環部76と、第一環部76を内包する第二環部77と、を備えている。
第一環部76は、集塵装置7の外殻に相当する容器本体51の吸込口51aの開口縁から容器本体51の内側へ延びている。第一環部76は、容器本体51の内側に自由端を有している。第一環部76は、本体接続口12の中心線、つまり実質的に掃除機本体2の中心線Cに沿って徐々に内径が小さくなる、所謂コンバージェントノズルである。
第二環部77は、容器本体51の内側に設けられて第一環部76の外周を囲んでいる。第二環部77は、容器本体51の内面に設けられている。第二環部77は、吸込口51aから離れるほど周長が小さくなる錐台形を有している。第二環部77は、円錐台形または多角錐台形であることが好ましい。第二環部77は、集塵装置7が本体ケース5に装着された状態で、本体接続口12の中心線、つまり実質的に掃除機本体2の中心線Cに沿ってテーパ状に延びている。大径の底部は容器本体51の内面に接し、小径の底部は集塵部62の粗塵集塵室66に接続される粗塵吐出口78を有している。大径の底部の直径は、吸込口51aの開口径よりも大きい。粗塵吐出口78の中心線は、実質的に吸込口51aの中心線に沿い、実質的に本体接続口12の中心線に沿っている。なお、粗塵吐出口78には、吸込口51aから粗塵集塵室66へ向かう空気および塵埃の流れを許可し、粗塵集塵室66から吸込口51aへ向かう空気および塵埃の流れを阻止する逆止弁79が設けられていても良い。
第二環部77は、開口を有する枠体81と、開口に設けられる第一メッシュフィルター82と、を備えている。
第一メッシュフィルター82は、一次フィルター枠体83の側面に配置されている。第一メッシュフィルター82の外側には、フィルター室67に接続される中継風路85が区画されている。
第一分離部65は、第一メッシュフィルター82を通じて電動送風機8に吸い込まれる空気の流れ、および粗塵吐出口78を通じて電動送風機8に吸い込まれる空気の流れによって負圧になる。
粗塵集塵室66は、第一分離部65で分離される、比較的重い塵埃を蓄積する。粗塵集塵室66は、電動送風機8に吸い込まれる空気の風路の一部である。粗塵集塵室66は、第一分離部65の粗塵吐出口78に繋げられている。粗塵集塵室66は、フィルター室67にも繋げられている。粗塵集塵室66は、本体接続口12の中心線上、つまり実質的に掃除機本体2の中心線C上に配置されている。また、粗塵集塵室66は、電動送風機8から遠ざかる方向、換言すると、フィルター部53に近づく方向へ拡張されている。この拡張部分とフィルター部53が収容されるフィルター室67との間には、複数の粗塵集塵室出口86を有する隔壁52が配置されている。
隔壁52の粗塵集塵室出口86には、第二メッシュフィルター87が設けられている。第二メッシュフィルター87は、粗塵が粗塵集塵室66からフィルター室67へ流出することを防ぎ、かつ通過する空気の流れによって粗塵集塵室66に蓄積された塵埃を圧縮する。第二メッシュフィルター87は、第一メッシュフィルター82と実質的に同じ網目を有している。仮に、第一分離部65で分離されず、粗塵集塵室66に流れ込んだ細塵は、第二メッシュフィルター87を通過してフィルター室67に流れ込み、または粗塵集塵室66内でフィルターのように圧縮された粗塵によって捕捉される。
フィルター部53は、電動送風機8が発生させる負圧によって吸い込まれる、塵埃を含んだ空気(含塵空気)から塵埃、特に第一分離部65を通過する細塵をろ過分離する。
フィルター部53の網の目は、第一分離部65の第一メッシュフィルター82、および粗塵集塵室66の第二メッシュフィルター87よりも細かい。フィルター部53は、例えば不織布である。フィルター部53に捕捉される細塵には、第一メッシュフィルター82、および第二メッシュフィルター87を通過可能な塵埃が含まれている。
フィルター部53は、フィルター88と、フィルター88をフィルター室67内に保持する二次フィルター枠体89と、を備えている。
フィルター88は、例えば、実質的に同じ広さ(間隔)、および同じ深さの複数の折り目を有するプリーツフィルタである。フィルター部53は、付着した塵埃を除去しやすいように、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE、いわゆるテフロン(登録商標))の膜を上流側の面に有するものであっても良い。フィルター88は、単なる多孔質体やHEPAフィルター (High Efficiency Particulate Air Filter)であっても良い。
フィルター室67は、ろ過分離によってフィルター部53に捕捉される細塵を蓄積する細塵集塵室でもある。第一メッシュフィルター82および第二メッシュフィルター87を通過する細塵は、より網目の細かいフィルター部53によって捕捉され、フィルター室67に蓄積される。つまり、集塵室68(粗塵集塵室66、およびフィルター室67)は、フィルター部53よりも上流側に配置されている。
フィルター室67は、電動送風機8に吸い込まれる空気の風路の一部である。フィルター室67は、中継風路85に繋がっている。フィルター室67は、粗塵集塵室66にも繋がっている。
吸込口51aから第一環部76を通じて第一分離部65へ流れ込む含塵空気のうち質量の比較的に大きい粗塵は、第一環部76の自由端側の開口から粗塵吐出口78へ慣性力で直進し粗塵集塵室66へ送られる。粗塵吐出口78から粗塵集塵室66に流れ込む塵埃(粗塵)は、粗塵集塵室66に蓄積される。他方、第一環部76から第一分離部65へ流れ込む含塵空気のうち質量の比較的に小さい細塵および空気は、第一環部76の出口から放射状に拡がって第二環部77の側面に設けられる第一メッシュフィルター82を通過し、中継風路85を経てフィルター室67に流れ込む。粗塵吐出口78から粗塵集塵室66に流れ込む塵埃(粗塵)とともに、粗塵集塵室66に空気の一部も流れ込む。粗塵集塵室66に流れ込んだ空気は、第二メッシュフィルター87を通過し、フィルター室67に流れ込む。第一メッシュフィルター82または第二メッシュフィルター87を通過してフィルター室67へ流れ込む空気(細塵を含んだ空気)に含まれる細塵は、フィルター部53でろ過分離され、フィルター部53の表面に捕捉される。フィルター部53を通過する清浄な空気は、連絡風路63を介して電動送風機8に吸い込まれる。
分離部61のうち第一分離部65、および連絡風路63は、フィルター部53と電動送風機8との間に配置され、かつ相互に併設されている。
一対の車輪6は、電動送風機8、分離部61(第一分離部65およびフィルター部53)、集塵部62(粗塵集塵室66およびフィルター室67)、および連絡風路63を間に挟んでいる。
第一分離部65は、本体ケース5の幅方向中央部に配置され、フィルター部53は、本体ケースの一方の側部、例えば右側部に偏倚され、電動送風機8は、本体ケース5の他方の側部、例えば左側部に偏倚されている。
集塵装置7は、車輪6の内径よりも小さい外径を有する筒形の外観を有している。集塵装置7は、塵埃容器挿抜口41aを通じて塵埃容器室41に挿抜される。つまり、集塵装置7は、掃除機本体2の幅方向に挿抜される。これによって、集塵装置7は、掃除機本体2に着脱される。
把手56は、容器蓋55に揺動可能に設けられている。把手56は、掃除機本体2の塵埃容器挿抜口41aに埋没する収納位置(図5に実線で示す把手56)と、塵埃容器挿抜口41aから突出して集塵装置7の着脱時に使用者が把持可能な使用位置(図5に二点鎖線で示す把手56)との間で揺動する。把手56は、一体化された容器本体51およびフィルター88を運搬可能にする。把手56の揺動中心線は、吸込口51aの開口方向に実質的に直行している。
集塵装置7は、フィルター部53に付着した塵埃を除塵する除塵機構91を備えている。
除塵機構91は、フィルター部53の複数の折り目に直交する方向へ移動可能なスライダー92と、スライダー92を往復移動可能に支持する一対のスライドレール93と、スライダー92に設けられる除塵子94と、を備えている。スライダー92が往復移動すると除塵子94がフィルター部53の折り目を次々に弾き、フィルター部53に付着した塵埃を剥離する。なお、除塵機構91は、手動式であっても良いし、電動機などの駆動源によって駆動するものであっても良い。また、除塵機構91は、容器蓋55の外部から駆動可能であっても良いし、容器本体51から容器蓋55を取り外し、露出した状態で駆動可能になるものであっても良い。さらに、除塵機構91は、把手56が収納位置と使用位置との間を移動する際に、把手56に加えられる力を駆動力に利用するものであっても良い。
脚57は、粗塵吐出口78から粗塵集塵室66の拡張部分へ延びる容器本体51の傾斜壁51bの外面に設けられている。脚57は、傾斜壁51bに沿う収納位置と、把手56を上側に配置し、吸込口51aを下側に配置して集塵装置7を自立させる使用位置との間で揺動する。脚57は、容器本体51から容器蓋55を取り外した状態において、容器本体51単体の把手としても利用できる。
二次電池11は、粗塵集塵室66を囲んでいる。つまり、二次電池11に含まれる複数の素電池11aは、本体ケース5の筒形の後半部の内面に沿って配置され、粗塵集塵室66の周囲を囲んでいる。
使用者は、例えば集塵装置7に所定量の塵埃が溜められて、手入れが必要になった場合、掃除機本体2から集塵装置7を取り外して溜まった塵埃を廃棄する。
使用者は、先ず、把手56を使用位置へ引き起こし、集塵装置ロック機構71を解除する。集塵装置ロック機構71が解除された状態で把手56を引くと、掃除機本体2から集塵装置7が抜け出る。
掃除機本体2から取り出された集塵装置7は、把手56を持って単独で扱われる。なお、集塵装置7が掃除機本体2から取り外されるとき、掃除機本体2は、車輪6の回転中心線が上下方向へ向くよう横倒しされていたり、本体接続口12を上方へ向けて起立していたりすることが好ましい。
図8は、把手を上にしてぶら下げられる本発明の実施形態に係る集塵装置の側面図である。
図9は、把手を上にしてぶら下げられる本発明の実施形態に係る集塵装置の縦断面図である。
図8および図9に示すように、本実施形態に係る集塵装置7は、把手56を上にして容器本体51およびフィルター88をぶら下げることができる。そのとき、容器本体51の吸込口51aは、フィルター部53よりも下方に配置される。粗塵集塵室66は、吸込口51aを含む水平面を上下に跨ぐように配置される。
また、第一分離部65は、フィルター室67の下方に配置される。第一分離部65は、中継風路85を通じてフィルター室67に繋がれている。そのため、集塵装置7の運搬中にフィルター部53から塵埃が剥離すると、細かい塵埃が中継風路85を落下し、第一メッシュフィルター82を通って第一分離部65内に入り込む可能性がある。
そして吸込口51aは、容器の第一壁部としての容器本体51の側壁部に設けられている。そのため、仮に吸込口51aの開口方向が水平方向、または正の俯角(負の仰角)へ向いている場合、吸込口51aから集塵装置7外へ塵埃が漏れ出る虞がある。
そこで、本実施形態に係る集塵装置7は、容器の第二壁部としての容器蓋55に設けられる把手56を上にして容器本体51およびフィルター88をぶら下げたとき、吸込口51aの開口方向が正の仰角へ向ける。換言すると、集塵装置7は、把手56を上にして容器本体51およびフィルター88をぶら下げたとき、吸込口51aの開口方向が正の仰角を向く重心位置を有している。なお、図8および図9中には吸込口51aの中心を通る水平面HSを記載した。
このとき、第一環部76の自由端のうち上側に配置される部分は、下側に配置される部分の真上に庇状に突き出して覆い被さる。
仮に、粗塵集塵室66内の塵埃が粗塵吐出口78から第一分離部65内に漏れ出てきたり、塵埃が過多に蓄積されて第一分離部65内まで溜められていたりしていても、吸込口51aの開口方向が正の仰角を向いているため、第一分離部65内の塵埃が集塵装置7外へ漏れ出ることがない。なお、集塵装置7は、塵埃が満杯に溜められた場合であっても、吸込口51aの開口方向を正の仰角へ向ける。
また、仮に、フィルター部53から剥離した細かい塵埃が第一メッシュフィルター82を通って第一分離部65内に入り込んだ場合であっても、第一環部76の自由端のうち上側に配置される部分が、細かい塵埃が吸込口51a側へ入り込むことを防ぐ。
なお、集塵装置7は、容器の第一壁部としての容器本体51の側壁部および、容器の第二壁部としての容器蓋55が、一体化されているものであっても良い。また、容器の第一壁部としての容器本体51の側壁部および、容器の第二壁部としての容器蓋55は、必ずしも明確に区分けされている必要は無く、滑らかに連接していても良い。このような場合、把手56が設けられる容器の第二壁部は、把手56を上にして容器およびフィルター88をぶら下げたとき、上方を臨む部位に相当する。また、吸込口51aが設けられる容器の第一壁部は、把手56を上にして容器およびフィルター88をぶら下げたとき、水平方向を臨む部位に相当する。
本実施形態に係る集塵装置7および電気掃除機1は、吸込口51aが設けられる第一壁部(容器本体51の側壁部)、および把手56が設けられる第二壁部(容器蓋55)を有し、把手56を上にして容器本体51およびフィルター88をぶら下げたとき、開口方向が正の仰角へ向く吸込口51aを有している。そのため、集塵装置7および電気掃除機1は、吸込口51aに対するフィルター部53、第一分離部65、粗塵集塵室66、およびフィルター室67の配置をどのように配置しても、集塵装置7が蓄積した塵埃が吸込口51aから漏れ出ることを防ぐ。つまり、集塵装置7および電気掃除機1は、吸込口51aに対するフィルター部53、第一分離部65、粗塵集塵室66、およびフィルター室67の配置の制約、制限を廃し、そのデザインの自由度を向上させる。
また、本実施形態に係る集塵装置7および電気掃除機1は、把手56を上にして容器本体51およびフィルター88をぶら下げたとき、吸込口51aの開口方向が正の仰角を向く重心位置を有している。そのため、集塵装置7および電気掃除機1は、吸込口51aの開口方向を確実に正の仰角へ向ける。
さらに、本実施形態に係る集塵装置7および電気掃除機1は、吸込口51aの開口縁から容器本体51の内側へ延びる第一環部76を備えている。そのため、集塵装置7および電気掃除機1は、吸込口51aへ漏れ出してくる塵埃を堰き止め、集塵装置7が蓄積した塵埃が吸込口51aから漏れ出ることを防ぐ。
さらにまた、本実施形態に係る集塵装置7および電気掃除機1は、第一環部76の外周を囲む第二環部77を備えている。そのため、集塵装置7および電気掃除機1は、第一環部76に接近する塵埃の総量を規制し、集塵装置7が蓄積した塵埃が吸込口51aから漏れ出ることを防ぐ。
また、本実施形態に係る集塵装置7および電気掃除機1は、吸込口51aから離れるほど周長が小さくなる錐台形の第二環部77を備えている。そのため、集塵装置7および電気掃除機1は、塵埃が第一環部76に接近することを妨げ、かつ第一環部76に接近する塵埃の総量をより規制し、集塵装置7が蓄積した塵埃が吸込口51aから漏れ出ることを防ぐ。
さらにまた、本実施形態に係る集塵装置7および電気掃除機1は、把手56を上にして容器本体51およびフィルター88をぶら下げたとき、自由端のうち上側に配置される部分は、下側に配置される部分の真上に庇状に突き出して覆い被さる第一環部76を備えている。そのため、集塵装置7および電気掃除機1は、第一環部76の周囲に細塵が漏れ出てきても、この細塵が吸込口51aから漏れ出ることを防ぐ。
また、本実施形態に係る集塵装置7および電気掃除機1は、揺動可能な把手56を備えている。そのため、集塵装置7および電気掃除機1は、使用者に意図させること無く吸込口51aの開口方向を正の仰角へ向けることができる。
さらに、本実施形態に係る集塵装置7および電気掃除機1は、吸込口51aの開口方向に実質的に直行する把手56の揺動中心線を有している。そのため、集塵装置7および電気掃除機1は、使用者に意図させること無く吸込口51aの開口方向をより確実に正の仰角へ向けることができる。
したがって、本発明に係る集塵装置7、および集塵装置7を備える電気掃除機1によれば、把手56を持って運ぶ際、溜まった塵埃が漏れ出ることを防ぎ、かつデザイン上の制約や制限を緩和できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。