以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施例の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1に示す燃料供給システム1は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関に、燃料タンク4に貯留された軽油等の燃料を供給する。燃料供給システム1は、高圧燃料ポンプ2、低圧燃料ポンプ5、コモンレール6、燃料噴射弁7及び機関制御装置9を含む構成とされている。なお、高圧燃料ポンプ2をサプライポンプと称し、低圧燃料ポンプ5をフィードポンプと称することもできる。
低圧燃料ポンプ5は、通電により作動し、燃料タンク4に貯留された燃料を吸入する電動ポンプである。低圧燃料ポンプ5は、吸入した燃料を所定の低圧値(例えば0.4MPa程度)にまで加圧し、高圧燃料ポンプ2へ向けて吐出する。低圧燃料ポンプ5から吐出された燃料は、低圧燃料通路8を通じて高圧燃料ポンプ2に供給される。低圧燃料通路8は、低圧燃料配管等の配管により形成されている。コモンレール6には、高圧燃料ポンプ2によって昇圧された燃料が供給される。コモンレール6は、高圧燃料ポンプ2から圧送された高圧燃料を蓄圧状態にて保持し、燃料噴射弁7に分配する。燃料噴射弁7は、内燃機関に設けられた複数の気筒毎に1つずつ設置されている。燃料噴射弁7は、内燃機関のヘッド部材に設けられた挿通孔に挿入されており、各燃料室へ向けて、高圧燃料を噴孔7aから噴射する。
機関制御装置9は、マイクロコンピュータ又はマイクロコントローラを主体に構成されている。機関制御装置9は、低圧燃料ポンプ5、高圧燃料ポンプ2及び各燃料噴射弁7と電気的に接続されている。機関制御装置9には、クランクセンサ9a、スロットルセンサ9b及び水温センサ9c等が接続されている。機関制御装置9は、各センサ9a~9c等の検出情報に基づき、低圧燃料ポンプ5、高圧燃料ポンプ2及び各燃料噴射弁7の作動を制御する。
高圧燃料ポンプ2は、内燃機関のクランクシャフトに連結された駆動軸15の回転トルクを駆動源として作動する。図2に示すように、高圧燃料ポンプ2は、加圧通路部材10と、プランジャ11と、吸入弁20と、吸入通路部材23と、軸力付与部材24と、電磁アクチュエータ30と、を備える。
加圧通路部材10の一部は、プランジャ11が摺動する摺動面10aを有するシリンダとして機能し、シリンダ内には加圧室10pが形成されている。プランジャ11は、駆動軸15に取り付けられたカム16によりシリンダ内を往復作動して、加圧室10p内の燃料を加圧する。加圧通路部材10には、低圧通路10bおよび高圧通路10cが形成されている。低圧燃料ポンプ5から供給される低圧燃料は、低圧通路10bを通じて加圧室10pへ吸入される。加圧室10pで加圧された高圧燃料は、高圧通路10cを通じてコモンレール6へ圧送される。
高圧通路10cには逆止弁12が取り付けられている。逆止弁12は、コモンレール6側から加圧室10pへ高圧燃料が逆流することを防止する。逆止弁12は、加圧室10pの燃料圧力が所定の設定圧以上になると開弁する。したがって、加圧室10p内の燃料は設定圧になるまでプランジャ11により加圧される。
加圧通路部材10には、吸入通路部材23が収容配置される収容穴10d、および軸力付与部材24がネジ締結されるネジ穴10eが形成されている。加圧通路部材10および軸力付与部材24は、軸線C方向に延びる円柱形状であり、収容穴10dおよびネジ穴10eは軸線Cと同軸上に位置する。
吸入通路部材23は、軸線C方向において加圧通路部材10と軸力付与部材24との間に挟み付けられている。吸入通路部材23には、貫通穴23aおよび吸入通路23bが形成されている。
貫通穴23aは、軸線C方向に貫通する形状であり、軸線Cと同軸上に位置する。貫通穴23aには、吸入弁20が軸線C方向に往復動可能な状態で配置されている。吸入通路23bは、低圧通路10bと加圧室10pとを連通させる形状であり、かつ、貫通穴23aとも連通する。
吸入弁20は、吸入通路部材23の端面に形成された弁座23sに離着座するシート面20sを有する。吸入弁20が加圧室10pの側へ移動すると、シート面20sが弁座23sから離座して吸入通路23bが開弁され、吸入通路23bと加圧室10pとが連通する。吸入弁20が反加圧室側へ移動すると、シート面20sが弁座23sに着座して吸入通路23bが閉弁され、吸入通路23bと加圧室10pとの連通が遮断される。
吸入弁20にはストッパ21が取り付けられている。ストッパ21は、吸入通路部材23に当接することで吸入弁20の開弁側への移動を規制する。詳細には、ストッパ21は、吸入弁20が挿入される貫通穴を有した円筒形状である。ストッパ21のうち加圧室10pの反対側(反加圧室側)の端面は、吸入弁20に形成された係合部20bに係合し、加圧室側の端面は吸入通路部材23に当接する。したがって、ストッパ21が吸入通路部材23に当接した状態では、係合部20bへのストッパ21の係合により、吸入弁20の加圧室側(開弁側)への移動が規制される。また、ストッパ21は、弾性部材22から付与される弾性力により係合部20bへ押し付けられている。
電磁アクチュエータ30は、電磁コイル31、固定コア32、可動コア33、ロッド34、および弾性部材35を有する。電磁コイル31は、軸線C周りに環状に巻き回されている。固定コア32は、電磁コイル31の径方向内側に配置されている。可動コア33は、軸線C方向において固定コア32の加圧室側に配置されている。
ロッド34は、軸線C方向に延びる形状であり、可動コア33に組み付けられている。可動コア33およびロッド34は一体となって軸線C方向に往復動する。
電磁コイル31への通電が停止された状態では、可動コア33と固定コア32との間にはギャップが形成されている。可動コア33およびロッド34は弾性部材35の弾性力により加圧室側へ移動する。これにより、吸入弁20はロッド34に押され、弾性部材22の弾性力に抗して加圧室側へ移動することで開弁作動する。その結果、吸入弁20のシート面20sは弁座23sから離座し、加圧室10pと低圧通路10bとは吸入通路23bを介して連通した状態となる。
電磁コイル31への通電を開始すると、可動コア33および固定コア32にはギャップを介して磁束が通じることにより、可動コア33には磁気吸引力が作用する。この磁気吸引力により、可動コア33は軸線C方向において反加圧室側へ移動する。これにより、吸入弁20はロッド34から解放され、弾性部材22の弾性力により反加圧室側へ移動(閉弁作動)する。その結果、吸入弁20のシート面20sは弁座23sに着座し、加圧室10pと低圧通路10bとは連通遮断された状態となる。
高圧燃料ポンプ2には、低圧燃料通路8を形成する低圧燃料配管と高圧燃料ポンプ2とを接続する低圧継手40が取り付けられている。図2~図4に示すように、低圧継手40は、燃料が流れる継手流路41を形成する継手ハウジング42と、継手ハウジング42の内部に収容されたフィルタユニット43とを有している。継手流路41は、低圧燃料通路8に含まれており、この低圧燃料通路8の下流端部に配置されていることで低圧通路10bに通じている。なお、低圧継手40がフィルタ装置に相当し、継手流路41が装置流路に相当する。また、フィルタユニット43を濾過ユニットと称し、継手ハウジング42を、フィルタ装置のハウジングを形成する装置ハウジングと称することもできる。
継手流路41は、フィルタユニット43を収容したフィルタ室45を有している。フィルタ室45は、燃料が流入する流入口46と、燃料が流出する流出口47とを有している。フィルタ室45は、継手流路41の下流端部に設けられており、流出口47が低圧燃料通路8に通じている。フィルタ室45はフィルタユニット43の中心線CL1に沿って延びており、フィルタ室45の中心線はフィルタユニット43の中心線CL1に一致している。フィルタユニット43は、全体として円筒状に形成されており、本実施形態では、中心線CL1が延びる方向を軸方向Xと称し、この軸方向Xに直交する方向を径方向Yと称する。流出口47はフィルタ室45の両端部のうち下流側の端部に設けられており、フィルタ室45を軸方向Xに開放している。この場合、流出口47の中心をフィルタ室45の中心線が通っている。
流入口46は、軸方向Xにおいてフィルタ室45の両端部の間に設けられており、フィルタ室45を径方向Yに開放している。流入口46は中心線CL1を挟んで一対設けられており、各流入口46がフィルタ室45を径方向Yに開放している。一対の流入口46は径方向Yに並んでおり、これら流入口46の各中心を結んだ中心線CL2(図3参照)は、フィルタユニット43の中心線CL1に直交しており、径方向Yに延びている。
フィルタ室45は、流入口46から延びた入口領域45Aと、流出口47から延びた出口領域45Bと、入口領域45Aを挟んで出口領域45Bとは反対側に設けられた反対領域45Cとを有している。これら領域45A~45Cは軸方向Xに並べられており、出口領域45Bと反対領域45Cとの間に入口領域45Aが設けられている。なお、フィルタ室45が濾過室に相当する。
低圧継手40は、加圧通路部材10に取り付けられたホロスクリュ51と、低圧燃料配管に接続されたバンジョーコネクタ52とを有している。低圧継手40においては、これらホロスクリュ51及びバンジョーコネクタ52により継手ハウジング42が形成されている。ホロスクリュ51は、ボルト軸に沿って延びる内部空間を有するボルト部材であり、低圧燃料通路8の内部に入り込んだ状態で加圧通路部材10に羅着されている。ホロスクリュ51の内部空間によりフィルタ室45が形成されている。
バンジョーコネクタ52は、ホロスクリュ51が挿通された挿通部52aと、挿通部52aから延びたアーム部52bとを有している。これら挿通部52a及びアーム部52bは、継手流路41を形成する内部空間を有しており、これら内部空間は、ホロスクリュ51の内部空間に連通している。バンジョーコネクタ52は、ホロスクリュ51により加圧通路部材10に固定されている。
低圧継手40においては、ホロスクリュ51のボルト頭部51aとバンジョーコネクタ52の挿通部52aとの間にガスケット53が設けられており、このガスケット53は、ボルト頭部51aと挿通部52aとの間に挟み込まれた状態になっている。また、バンジョーコネクタ52の挿通部52aと加圧通路部材10との間にもガスケット53が設けられており、このガスケット53は、挿通部52aと加圧通路部材10との間に挟み込まれた状態になっている。
フィルタユニット43は、全体として円筒状に形成されている。フィルタユニット43は、中心線CL1に沿って延びた内部空間43aを有している。フィルタユニット43においては、その両端がいずれも内部空間43aを開放する開放端になっており、これら開放端のうち一方を第1開口43bと称し、他方を第2開口43cと称する。フィルタユニット43は、第1開口43bが流入口46側に配置され且つ第2開口43cが流出口47側に配置される向きで、フィルタ室45に設置されている。この場合、フィルタユニット43の第2開口43cが流出口47に通じている。また、フィルタ室45の流入口46は、第1開口43bと第2開口43cとの間においてフィルタユニット43の外周面に対向している。
図3~図7に示すように、フィルタユニット43は、継手流路41を流れる燃料を濾過するフィルタ60と、フィルタ60を支持するフィルタフレーム70とを有している。フィルタフレーム70は合成樹脂材料により全体として筒状に形成された濾過フレームであり、フィルタ60はフィルタフレーム70の内部に収容されている。フィルタ60の中心線及びフィルタフレーム70の中心線はいずれもフィルタユニット43の中心線CL1に一致している。
フィルタユニット43の外周面は、一部がフィルタフレーム70により形成され、残りの部分がフィルタ60により形成されている。フィルタ室45においては、燃料がフィルタ60を通過してフィルタユニット43の内部空間43aに流れ込み、第2開口43cから流れ出すことで流出口47から流出することになる。フィルタフレーム70は、フィルタ60がフィルタフレーム70に一体化されるようにインサート成型されている。フィルタフレーム70は、燃料が流れる勢いや圧力によりフィルタ60が変形することを規制する規制部材や、フィルタ60を保護する保護部材としての役割も果たしている。
なお、図3には、アーム部52bとフィルタ60とフィルタフレーム70の一部とを除いた低圧継手40の断面が図示されている。フィルタフレーム70については、中心線CL1を境界として上半分を外観図として、下半分を断面図としている。図4には、フィルタユニット43を除いた低圧継手40の断面が図示されている。図5には、フィルタ60を除いたフィルタユニット43の断面が図示されている。
フィルタ60は、板状のメッシュ材である濾材が円筒状になるように曲げられた濾過体であり、濾材の厚み方向に通過する燃料を濾過することが可能になっている。フィルタ60においては、その両端がいずれも開放端になっている。図8に示すように、フィルタ60は経糸65及び緯糸66を有しており、経糸65及び緯糸66が編まれていることで多数の網目67が形成されている。経糸65及び緯糸66は、ステンレス等の金属材料により形成された細長部材であり、互いにほぼ直交している。本実施形態では、経糸65が中心線CL1に沿って延びていることで軸方向Xに延びており、緯糸66がフィルタ60の径方向に延びている。フィルタ60の径方向は軸方向Xに直交している。
図4~図7に示すように、フィルタフレーム70は、第1開口43bを形成する第1フレーム部71と、第2開口43cを形成する第2フレーム部72と、これら第1フレーム部71と第2フレーム部72とを接続する接続フレーム部73を有している。これらフレーム部71~73は、いずれも円筒状に形成されており、これらフレーム部71~73の各中心線は中心線CL1に一致している。フィルタ60においては、一方の開放端が第1フレーム部71の内部に収容され、他方の開放端が第2フレーム部72の内部に収容されている。
接続フレーム部73は、フィルタ60の一部を外周側から覆っているものの、フィルタ60の残りの部分を覆ってはいない。接続フレーム部73は、第1フレーム部71及び第2フレーム部72よりも細くなっており、接続フレーム部73の外周面は、第1フレーム部71及び第2フレーム部72の各外周面に比べてフィルタ室45の内周面から遠い位置に配置されている。このため、流入口46からフィルタ室45に流入した燃料が、接続フレーム部73の外周側において入口領域45Aから出口領域45Bや反対領域45Cに移動しやすくなっている。
第2フレーム部72には、Oリング等のシール部材76が取り付けられている。シール部材76は、第2フレーム部72とフィルタ室45の内周面との間に挟み込まれており、流入口46からフィルタ室45に流入した燃料が第2フレーム部72とフィルタ室45の内周面との隙間を通って流出口47に到達するということを規制している。
第1フレーム部71の外周面71aは、フィルタ室45の内周面に対向した対向面になっており、フィルタ室45の内周面に接触又は接近した状態になっている。フィルタ室45において、流入口46に通じる領域を流入領域SAと称し、流出口47に通じる領域を流出領域SBと称すると、第1フレーム部71はこれら流入領域SAと流出領域SBとを仕切る仕切部になっている。第1フレーム部71は、流入領域SAと流出領域SBとの境界部に配置されている。流入領域SAには、フィルタユニット43の外周面とフィルタ室45の内周面との間の領域が含まれている。流出領域SBには、フィルタユニット43の内部空間43aが含まれている。
本実施形態では、上述したように、第1フレーム部71の外周面がフィルタ室45の内周面に接触又は接近しているため、反対領域45Cのうち第1フレーム部71を挟んで入口領域45Aとは反対側の領域も流出領域SBに含まれている。この場合、流入領域SAから流出領域SBに流れ込む燃料は、フィルタ60を通過するルートの他に、第1フレーム部71の外周面71aとフィルタ室45の内周面との隙間であるフレーム隙間G1を通ることが可能になっている。フレーム隙間G1は、流入口46から流入して流出口47に到達する燃料のうちフィルタ60を通過せずに遠回りする燃料が通る位置に設けられている。
図6に示すように、接続フレーム部73は、中心線CL1の周方向に延びた筒状の帯部73aを有している。帯部73aは、第1フレーム部71と第2フレーム部72との間において、軸方向Xにおいて流入口46に対向する位置に配置されている。軸方向Xにおいて、帯部73aの幅寸法D1は流入口46の内径R1より小さくなっている。この場合、流入口46からフィルタ室45に流入した燃料がフィルタ60に到達するには帯部73aを避ける必要があり、燃料が流入口46からフィルタ60に最短距離で到達する最短経路は、燃料が流入口46のどの部分から流入したかによって異なる。
図4に示すように、例えば、流入口46において帯部73aに対向する部分から流入する燃料については、帯部73aを避けてフィルタ60に向かうことになるため、径方向Yに対して傾斜した経路が最短経路Sr1になる。この場合、フィルタ60における燃料が到達する部分は、フィルタ60のうち軸方向Xにおいて帯部73aに最も近い部分である。一方、流入口46において帯部73aに対向しない部分から流入する燃料については、帯部73aを避けなくても真っ直ぐにフィルタ60に向かうことができるため、径方向Yに延びた経路が最短経路Sr2になる。この場合、フィルタ60における燃料が到達する部分は、フィルタ60のうち径方向Yにおいて流入口46に対向する部分である。最短経路Sr1,Sr2はいずれも入口領域45Aに含まれている。
図4~図7に示すように、フィルタ60は、所定の濾過性能を有する部分である第1フィルタ部61と、第1フィルタ部61よりも濾過性能が低い部分である第2フィルタ部62とを有している。第2フィルタ部62は、第1フィルタ部61に比べて小さく、軸方向Xにおいて第1フィルタ部61に横並びに設けられている。この場合、流入口46に対して第2フィルタ部62が第1フィルタ部61よりも遠い位置に配置されている。
図4に示すように、フィルタ室45においては、第1フィルタ部61が入口領域45Aと出口領域45Bと反対領域45Cとに跨る位置に配置されている一方で、第2フィルタ部62はその全体が反対領域45Cに収容されている。第1フィルタ部61は、流入口46に対向する位置に設けられている。一方で、第2フィルタ部62は、軸方向Xにおいて流入口46を挟んで流出口47とは反対側に設けられており、流入口46及び流出口47のいずれにも対向しない位置にある。また、第1フィルタ部61において、燃料が流入口46から最短経路Sr1,Sr2等を通って最短距離で到達する部分は、径方向Yにおいて流入口46に対向した部分である。
図8に示すように、第2フィルタ部62の方が第1フィルタ部61よりも目が粗くなっている。具体的には、第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62は、それぞれ目の粗さが均一になっており、第2フィルタ部62の網目67が第1フィルタ部61の網目67より大きくなっている。例えば、第2フィルタ部62において経糸65の離間距離L2は、第1フィルタ部61において経糸65の離間距離L1より大きく、例えば2倍になっている。第2フィルタ部62において緯糸66の離間距離L4は、第1フィルタ部61において緯糸66の離間距離L3より大きく、例えば2倍になっている。また、経糸65の太さ及び緯糸66の太さについても、第2フィルタ部62が第1フィルタ部61の2倍になっている。なお、第1フィルタ部61を第1濾過部と称し、第2フィルタ部62を第2濾過部と称することもできる。
低圧継手40においては、フィルタ60の目詰まりが発生することが懸念される。フィルタ60の目詰まりとしては、燃料に含まれる異物により発生する目詰まりと、燃料のワキシングにより発生する目詰まりとが挙げられる。エンジン始動直後など燃料の温度が低い場合は、燃料のワックス成分が析出するワキシングが生じることがあり、ワキシングが生じると燃料のワックス成分がフィルタ60に付着してフィルタ60の目詰まりが発生しやすくなる。
上述したように、第2フィルタ部62が第1フィルタ部61よりも目が粗くなっているため、第2フィルタ部62の方が第1フィルタ部61よりも目詰まりが発生しにくくなっている。本実施形態では、第1フィルタ部61の網目67は、燃料のワキシングが生じた場合にワックス成分により目詰まりしやすいほどに小さくなっている。一方で、第2フィルタ部62の網目67は、燃料のワキシングが生じてもワックス成分では目詰まりしにくい程度に大きくなっている。このため、燃料のワキシングが生じた場合でも、第2フィルタ部62は第1フィルタ部61に比べて目詰まりしにくくなっている。
次に、フィルタ室45での燃料の流れについて説明する。第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62のいずれにおいても目詰まりが発生していない場合、図3に示すように、流入口46からフィルタ室45に流入した燃料は、最短経路Sr1,Sr2などを通って第1フィルタ部61に到達しやすくなっている。仮に、流入口46から流入した燃料が帯部73aにて跳ね返されたとしても、入口領域45Aや出口領域45Bにて第1フィルタ部61を通過しやすくなっている。このようにして第1フィルタ部61により濾過された燃料は、フィルタユニット43の内部空間43aを通って流出口47から流出する。
また、流入口46から流入領域SAに流入した燃料は、反対領域45Cには流れ込みにくくなっており、その結果、第2フィルタ部62に到達しにくくなっている。このため、フィルタ60にて目詰まりが発生していない場合には、第2フィルタ部62による燃料の濾過が行われにくくなっているため、フィルタ60の濾過性能が低下するということが抑制される。
これに対して、燃料中の異物やワキシングによりフィルタ60の目詰まりが発生しやすい状況になっても、第1フィルタ部61が目詰まりする一方で、第2フィルタ部62が目詰まりしにくくなっている。図9に示すように、第1フィルタ部61が目詰まりし、第2フィルタ部62が目詰まりしていない場合、流入口46からフィルタ室45に流入した燃料は、第1フィルタ部61を通過できず、反対領域45Cに流れ込んで第2フィルタ部62に到達する。そして、入口領域45Aから第2フィルタ部62を通過するという遠回りの経路を通った燃料は、第2フィルタ部62にて濾過された状態でフィルタユニット43の内部空間を通って流出口47から流出する。この場合、第1フィルタ部61により燃料が濾過された場合に比べて、フィルタ60の濾過性能は低くなるものの、フィルタ60全体が目詰まりして流出口47から燃料を流出させることができないという事態を回避できる。なお、図9においては、第1フィルタ部61が目詰まりした部分をドットハッチングにて図示している。
また、第1フィルタ部61が目詰まりした場合には、流入口46から流入した燃料がフレーム隙間G1に到達することも想定される。この燃料は、流入領域SAからフレーム隙間G1を通って流出領域SBに流れ込むという遠回りをすることで、フィルタ60を通過せずに流出口47から流出することになる。このため、例えば、第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62の両方が目詰まりした場合に、フィルタ60による燃料の濾過は行われないものの、流出口47から燃料を流出させることができないという事態をフレーム隙間G1により回避できる。
次に、低圧継手40の製造方法について説明する。まず、フィルタ60がフィルタフレーム70に一体化されるようにフィルタフレーム70をインサート成型することでフィルタユニット43を製造する。シール部材76、ホロスクリュ51、バンジョーコネクタ52及びガスケット53を準備しておき、第1フレーム部71がボルト頭部51a側に配置される向きで、シール部材76を装着した状態のフィルタユニット43をホロスクリュ51の内部空間に挿入する。そして、ホロスクリュ51にバンジョーコネクタ52及びガスケット53を装着し、ホロスクリュ51を加圧通路部材10の低圧通路10bにねじ込むことで、バンジョーコネクタ52を加圧通路部材10に固定する。このようにして低圧継手40を高圧燃料ポンプ2に取り付ける。
ここまで説明した本実施形態によれば、フィルタ室45においては、流入口46に対して第1フィルタ部61の少なくとも一部が第2フィルタ部62よりも近い位置に設けられている。このため、フィルタ60の目詰まりが発生していない場合には、流入口46から流入した燃料が第2フィルタ部62よりも第1フィルタ部61に到達しやすくなっている。この場合、第1フィルタ部61による燃料の濾過が行われるため、第1フィルタ部61によりフィルタ60の濾過性能を高めることができる。換言すれば、多くの燃料が第2フィルタ部62を通過することでフィルタ60の濾過性能が低下するということが生じにくくなっている。
一方、フィルタ60の目詰まりが発生しやすい場合には、第1フィルタ部61が目詰まりしても、第1フィルタ部61より目が粗い第2フィルタ部62は目詰まりしにくくなっている。このため、第1フィルタ部61が目詰まりしたとしても、第1フィルタ部61を通過できない燃料は、遠回りすることで第2フィルタ部62を通過することができる。この場合、フィルタ60全体が目詰まりして燃料がフィルタ60を通過することができないという事態を回避した上で、フィルタ60は第2フィルタ部62により最低限の濾過性能を発揮することができる。
以上のように、フィルタ60の濾過性能を高めつつ、燃料がフィルタ60よりも下流側に流れないということを抑制できる。すなわち、フィルタ60の濾過性能の向上と、フィルタ60の目詰まりに対するロバスト性向上とを両立することができる。
本実施形態によれば、第1フィルタ部61が流入口46に対向する位置に設けられている一方で、第2フィルタ部62は流入口46に対向する位置から離間した位置に設けられている。このため、第1フィルタ部61の目詰まりが生じていない場合に、流入口46から流入した燃料が第2フィルタ部62に到達しにくくなっている。したがって、第2フィルタ部62に到達する燃料を極力少なくすることができる。
本実施形態によれば、第2フィルタ部62が流入口46を挟んで流出口47とは反対側に設けられている。このため、第1フィルタ部61の目詰まりが生じていない場合に、流入口46から流入した燃料が第2フィルタ部62に到達するということをより確実に抑制できる。
本実施形態によれば、フィルタ60の軸線方向において第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とが横並びに設けられているため、これらフィルタ部61,62のそれぞれを筒状に形成することで筒状のフィルタ60を容易に製造することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とがフィルタ60の軸線方向に並べられていたが、第2実施形態では、第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とがフィルタ60の径方向に並べられている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図10に示すように、第2フィルタ部62が第1フィルタ部61を挟んでバンジョーコネクタ52のアーム部52bとは反対側に設けられている。この場合、これら第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とは径方向Yに並べられている。一対の流入口46のうちアーム部52b側の流入口46を上流側流入口46aと称し、反対側の流入口46を下流側流入口46bと称すると、第1フィルタ部61が上流側流入口46a側に配置され、第2フィルタ部62は下流側流入口46b側に配置されている。この場合、第1フィルタ部61が上流側流入口46aに対向し、第2フィルタ部62が下流側流入口46bに対向している。
図11に示すように、第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とは、フィルタ60の周方向に並べられた状態になっている。第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62は、いずれも中心角が180度の断面半円状になっており、互いに周方向の長さ寸法は同じになっている。なお、フィルタ60が全体として円筒状になっていれば、第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とが互いの中心角が同じになっていなくてもよい。すなわち、第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62のうち一方の中心角が他方の中心角より大きくなっていてもよい。
フィルタ60において目詰まりが発生していない場合、図10に示すように、燃料は下流側流入口46bよりも上流側流入口46aの方からフィルタ室45に流入しやすくなっている。これは、上流側流入口46aからフィルタ室45に流入する燃料が、第1フィルタ部61を通過してフィルタユニット43の内部空間43aに流れ込むことができ、バンジョーコネクタ52の内部やフィルタ室45において下流側流入口46bまで回り込む必要がないためである。このように、第1フィルタ部61を挟んで上流側流入口46aとは反対側に第2フィルタ部62が設けられていることで、第1フィルタ部61にて目詰まりが発生していない場合には、燃料が第2フィルタ部62に到達しにくくなっている。この場合、上記第1実施形態と同様に、第2フィルタ部62に到達する燃料を極力少なくできるため、第2フィルタ部62の存在によりフィルタ60の濾過性能が低下するということを抑制できる。
これに対して、第1フィルタ部61の目詰まりが発生し、第2フィルタ部62の目詰まりが発生していない場合、図12に示すように、上流側流入口46aからフィルタ室45に流入した燃料は第1フィルタ部61を通過できず、遠回りして第2フィルタ部62に到達する。この場合、燃料はフィルタ室45においてフィルタ60の外周面に沿って遠回りした後に第2フィルタ部62を通過し、フィルタユニット43の内部空間43aを通じて流出口47から流出する。また、継手流路41を流れる燃料は、上流側流入口46aからフィルタ室45に流入する前の段階でバンジョーコネクタ52の内部で遠回りして下流側流入口46bからフィルタ室45に流入し、第2フィルタ部62を通過することもある。
(第3実施形態)
第3実施形態では、フィルタ室45において燃料が第2フィルタ部62に到達することを規制する到達規制部が設けられている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図13に示すように、低圧継手40は到達規制部81を有している。到達規制部81は、金属材料等により円環状に形成されており、フィルタユニット43の外周面に沿ってフィルタ60の周方向に延びている。到達規制部81は、フィルタ室45の内周面に取り付けられていることで、フィルタ室45の内周面から内周側に突出した状態になっている。到達規制部81は、軸方向Xにおいて流入口46と第1フレーム部71との間に設けられており、接続フレーム部73に対向した状態になっている。この場合、到達規制部81は、反対領域45Cにおいてフィルタユニット43の外周面とフィルタ室45の内周面との隙間を低減した状態になっており、到達規制部81の内周面とフィルタユニット43の外周面との隙間を燃料が通りにくくなっている。
フィルタ60にて目詰まりが発生していない場合、流入口46からフィルタ室45に流入した燃料が第2フィルタ部62に到達することが到達規制部81により規制されている。流入口46から流入した燃料は、到達規制部81に当たって跳ね返された状態になることで流出口47側に向けて進むと考えられる。また、到達規制部81とフィルタユニット43との間の隙間が小さくなっているため、燃料はこの隙間に進入すると到達規制部81により第1フィルタ部61側に押し付けられた状態になることで、第1フィルタ部61を通過することになると考えられる。
本実施形態によれば、フィルタ室45に流入した燃料が第2フィルタ部62に到達することが到達規制部81により規制される。このため、第1フィルタ部61にて目詰まりが発生していない場合に、第2フィルタ部62に到達する燃料が到達規制部81により低減される。この場合、多くの燃料が第2フィルタ部62を通過することでフィルタ60の濾過性能が低下するということを抑制できる。
なお、本実施形態では、到達規制部81がフィルタユニット43に含まれていてもよい。例えば、フィルタユニット43の接続フレーム部73が径方向外側に突出していることで到達規制部81が形成された構成とする。この構成では、到達規制部81が中心線CL1の周方向に延びていることで円環状になっており、到達規制部81が、フィルタフレーム70の外周面とフィルタ室45の内周面との隙間を低減した状態になっている。このため、到達規制部81の外周面とフィルタ室45の内周面との隙間を燃料が通りにくくなっている。また、到達規制部81は、第2フィルタ部62に燃料が到達することを規制する構成になっていれば、入口領域45Aと反対領域45Cとの境界部を跨ぐ位置に設けられていてもよい。
(第4実施形態)
第4実施形態では、フィルタ室45において燃料を第1フィルタ部61に向けて案内する案内部が継手流路41に設けられている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、案内部をガイド部と称することもできる。
図14に示すように、低圧継手40は、案内部として継手ハウジング42に取り付けられたハウジング案内部82を有している。ハウジング案内部82は、流入口46に対して一対取り付けられている。これらハウジング案内部82は、流入口46において軸方向Xに並べられており、一方は流入口46における流出口47側の端部に設けられ、他方は第2フィルタ部62側の端部に設けられている。各ハウジング案内部82は、いずれもフィルタユニット43側の端部がアーム部52b側の端部よりも軸方向Xにおいて流出口47側に配置されるように径方向Yに対して傾斜した板部であり、互いに平行に延びている。継手流路41において一対のハウジング案内部82の間を通る燃料は、ハウジング案内部82によりフィルタ室45において流出口47側に向けて案内される。換言すれば、ハウジング案内部82によりフィルタ室45において第2フィルタ部62とは反対側に向けて案内される。
ハウジング案内部82は、一対の流入口46のうちアーム部52b側の流入口46だけに設けられている。また、ハウジング案内部82は、流入口46よりもフィルタ室45の内部に突出した状態になっている。さらに、ハウジング案内部82が案内部に相当する。
本実施形態によれば、フィルタ室45に流入した燃料が、ハウジング案内部82により第1フィルタ部61に向けて案内されることで第2フィルタ部62に到達しにくくなっている。このため、第1フィルタ部61にて目詰まりが発生していない場合に、ハウジング案内部82の存在によって第2フィルタ部62に燃料が到達しにくくなっている。この場合、第1フィルタ部61を通過する燃料が増加しやすいため、第2フィルタ部62を通過する燃料が増加することでフィルタ60の濾過性能が低下するということを抑制できる。しかも、ハウジング案内部82が継手ハウジング42に取り付けられているため、フィルタユニット43に案内部を取り付けるという設計変更を行わなくても、第2フィルタ部62の存在によりフィルタ60の濾過性能が低下するということを抑制できる。
(第5実施形態)
第5実施形態では、第4実施形態と同様に、フィルタ室45において燃料を第1フィルタ部61に向けて案内する案内部が継手流路41に設けられている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図15に示すように、フィルタユニット43は、案内部としてフィルタフレーム70により形成されたユニット案内部83を有している。ユニット案内部83は、フィルタフレーム70の帯部73aの外周面に含まれており、この外周面が中心線CL1に対して傾斜した部分である。ユニット案内部83は、帯部73aの外周面において燃料を第2フィルタ部62とは反対側に向けて案内する案内面であり、軸方向Xにおいて流出口47側を向いていることで第2フィルタ部62とは反対側を向いている。また、径方向Yにおいてユニット案内部83は流入口46に対向する位置に設けられており、流入口46からフィルタ室45に流入した燃料は、ユニット案内部83に沿って流れることで進む向きが変わりやすくなる。この場合、流入口46から流入してユニット案内部83に到達又は接近した燃料は、第2フィルタ部62とは反対側に向けて案内されることで、第1フィルタ部61に到達しやすくなる。
ユニット案内部83は、中心線CL1の周方向に延びていることで円環状になっている。この場合、ユニット案内部83は一対の流入口46のそれぞれに対向している。また、ユニット案内部83において、第2フィルタ部62側の端部は流出口47側の端部よりも径方向外側に配置されている。
本実施形態によれば、フィルタ室45に流入した燃料が、ユニット案内部83により第1フィルタ部61に向けて案内されることで第2フィルタ部62に到達しにくくなっている。したがって、上記第4実施形態と同様に、第2フィルタ部62を通過する燃料が増加することでフィルタ60の濾過性能が低下するということを抑制できる。しかも、ユニット案内部83がフィルタユニット43に含まれているため、継手ハウジング42に案内部を取り付けるという設計変更を行わなくても、第2フィルタ部62の存在によりフィルタ60の濾過性能が低下するということを抑制できる。
(第6実施形態)
上記第1実施形態では、フィルタ室45において流入口46に対向する位置に第1フィルタ部61が設けられていたが、第6実施形態では、流出口47に対向する位置に第1フィルタ部61が設けられている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図16に示すように、フィルタユニット43の一部が低圧継手40の内部に収容されている。具体的には、フィルタユニット43において第1フレーム部71と接続フレーム部73の一部とが継手ハウジング42に収容されている一方で、第2フレーム部72と接続フレーム部73の残りの部分とは継手ハウジング42からはみ出した状態になっている。この構成では、フィルタユニット43において継手ハウジング42からはみ出した部分が、加圧通路部材10の低圧通路10bに直接的に入り込んだ状態になっており、フィルタ室45は、継手ハウジング42の内部空間と低圧通路10bとにより形成されている。
本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、高圧燃料ポンプ2に低圧継手40が取り付けられているのではなく、高圧燃料ポンプ2が低圧継手40を有しており、低圧継手40ではなく高圧燃料ポンプ2がフィルタ装置に相当する。また、低圧継手40の継手流路41と加圧通路部材10の低圧通路10bとが装置流路を構成しており、この装置流路においてフィルタユニット43を収容した部分が濾過室としてのフィルタ室45になっている。
上記第1実施形態と同様に、フィルタ室45はフィルタユニット43の中心線CL1に一致している。一方で、上記第1実施形態とは異なり、流入口46は、フィルタ室45の両端部のうち上流側の端部に設けられており、フィルタ室45を軸方向Xに開放している。この場合、流入口46をフィルタ室45の中心線が通っている。流出口47は、軸方向Xにおいてフィルタ室45の両端部の間に設けられており、フィルタ室45を径方向Yに開放している。流出口47の中心線CL3は中心線CL1に直交している。本実施形態では、流出口47は、フィルタ室45を径方向Yに開放している。なお、本実施形態では、ホロスクリュ51の内部空間がホロスクリュ51を軸方向Xに貫通している。
フィルタ室45は、上記第1実施形態と同様に入口領域45A及び出口領域45Bを有していることに加えて、反対領域45Cに代えて、出口領域45Bを挟んで入口領域45Aとは反対側に設けられた反対領域45Dを有している。入口領域45Aは、上記第1実施形態とは異なり流入口46から軸方向Xに延びており、入口領域45Aの中心線は中心線CL1に一致している。出口領域45Bは、上記第1実施形態とは異なり流出口47から中心線CL3に沿って延びている。出口領域45Bは、軸方向Xにおいて入口領域45Aと反対領域45Dとの間に配置されている。
フィルタユニット43においては、軸方向Xにおいて第1開口43bが流入口46に対向している。また、径方向Yにおいてフィルタ60が流出口47に対向している。本実施形態では、フィルタユニット43において流出口47に対向する部分に帯部73aが設けられておらず、フィルタ60を通過した燃料が流出口47に最短距離で到達する最短経路としては、流出口47の中心線CL3に平行な最短経路Sr3がある。本実施形態では、いずれの最短経路も出口領域45Bに含まれている。
本実施形態では、フィルタ60において、流出口47に対向する部分に第1フィルタ部61が配置され、径方向Yにおいて中心線CL1を挟んで第1フィルタ部61とは反対側に第2フィルタ部62が配置されている。また、第2フィルタ部62は、軸方向Xにおいて流出口47を挟んで流入口46とは反対側において反対領域45Dに設けられた部分も有している。これにより、第2フィルタ部62は、軸方向Xにおいて入口領域45Aと出口領域45Bと反対領域45Dとにかけ渡された状態になっている。この場合、第2フィルタ部62は、流出口47に対向する位置から離間した位置に設けられている。換言すれば、第1フィルタ部61は、流出口47に対向する部分を有しており、この部分よりも流出口47に対して遠い位置に第2フィルタ部62が設けられている。
本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、シール部材76が第1フレーム部71に取り付けられている。このシール部材76は、第1フレーム部71の外周面とフィルタ室45の内周面との間に挟み込まれている。このため、流入口46からフィルタ室45に流入した燃料が第1フレーム部71とフィルタ室45の内周面との隙間を通って流入領域SAに直接的に流れ込むということがシール部材76により規制されている。
本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、フィルタユニット43の内周側の領域が流入口46に通じる流入領域SAになっており、フィルタユニット43の外周側の領域が流出口47に通じる流出領域SBになっている。このため、第2フレーム部72の外周面72aは、フィルタ室45の内周面に対向した対向面になっており、フィルタ室45の内周面に接触又は接近した状態になっている。第2フレーム部72は、流入領域SAと流出領域SBとの境界部に設けられており、これら流入領域SAと流出領域SBとを仕切る仕切部になっている。この場合、流入領域SAから流出領域SBに流れ込む燃料は、フィルタ60を通過するルートの他に、第2フレーム部72の外周面72aとフィルタ室45の内周面との隙間であるフレーム隙間G2を通ることが可能になっている。
フィルタ60において目詰まりが発生していない場合、流入口46から第1開口43bを通じてフィルタユニット43の内部空間43aに流れ込んだ燃料は、第1フィルタ部61を通過して流出口47から流出する。この場合、第2フィルタ部62が、第1フィルタ部61を挟んで流出口47とは反対側や、流出口47を挟んで流入口46とは反対側に設けられていることに起因して、燃料は第2フィルタ部62に到達しにくくなっている。これは、フィルタユニット43の内部空間43aにある燃料が第1フィルタ部61を通過して流出口47に到達することができ、第2フィルタ部62を通過するという遠回りをする必要がないためである。
これに対して、第1フィルタ部61の目詰まりが発生し、第2フィルタ部62の目詰まりが発生していない場合、図17に示すように、フィルタユニット43の内部空間43aに流れ込んだ燃料は、第1フィルタ部61を通過できず、遠回りして第2フィルタ部62を通過する。第2フィルタ部62において中心線CL1を挟んで流出口47とは反対側の部分を通過した燃料は、フィルタ室45においてフィルタ60の外周面に沿って遠回りして流出口47に到達する。また、第2フィルタ部62において反対領域45Dに配置された部分を通過した燃料は、反対領域45Dから出口領域45Bに流れ込むことで流出口47に到達する。
第1フィルタ部61が目詰まりした場合には、流入口46から流入領域SAに流入した燃料が、フレーム隙間G2を通って流出領域SBに流れ込むという遠回りをすることで、フィルタ60を通過せずに流出口47から流出することになる。このため、例えば、第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62の両方が目詰まりした場合に、フィルタ60による燃料の濾過は行われないものの、流出口47から燃料を流出させることができないという事態をフレーム隙間G2により回避できる。
本実施形態によれば、フィルタ室45においては、流出口47に対して第1フィルタ部61の少なくとも一部が第2フィルタ部62よりも近い位置に設けられている。このため、フィルタ60の目詰まりが発生していない場合には、流出口47に到達する燃料が第1フィルタ部61を通過しやすくなっている。この場合、上記第1実施形態と同様に、第1フィルタ部61による燃料の濾過が行われるため、多くの燃料が第2フィルタ部62を通過することでフィルタ60の濾過性能が低下するということが生じにくくなっている。一方、第1フィルタ部61が目詰まりしたとしても、第1フィルタ部61を通過できない燃料は、遠回りして第2フィルタ部62を通過することで流出口47に到達できる。したがって、上記第1実施形態と同様に、フィルタ60の濾過性能を高めつつ、燃料がフィルタ60よりも下流側に流れないということを抑制できる。
本実施形態によれば、第1フィルタ部61が流出口47に対向する位置に設けられている一方で、第2フィルタ部62は流出口47に対向する位置から離間した位置に設けられている。このため、第1フィルタ部61の目詰まりが生じていない場合に、流出口47に到達する燃料が第2フィルタ部62を通過しにくくなっている。したがって、第2フィルタ部62を通過する燃料を極力少なくすることができる。
本実施形態によれば、第2フィルタ部62が流出口47を挟んで流入口46とは反対側に設けられている。このため、第1フィルタ部61の目詰まりが生じていない場合に、流出口47に到達する燃料が第1フィルタ部61を通過しているということをより確実に抑制できる。
(第7実施形態)
上記第1実施形態では、フィルタ60が目の粗さが異なる2つのフィルタ部61,62を有していたが、第7実施形態では、フィルタ60の目の粗さが均一化されている。本実施形態では、フィルタユニット43の第1フレーム部71が流入領域SAと流出領域SBとを連通する連通部を有しており、フィルタ60の目詰まりが発生した場合は燃料がこの連通部を通るようになっている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図18に示すように、フィルタユニット43は、第1フレーム部71において軸方向Xに延びるフレーム溝部85を有しており、このフレーム溝部85が連通部に相当する。フレーム溝部85は、第1フレーム部71の外周面71aが凹むことで形成された溝であり、中心線CL1に沿って延びている。フレーム溝部85は、図4等に示す流入領域SAと流出領域SBとを連通しており、第1フレーム部71の外周面71aとフィルタ室45の内周面との間のフレーム隙間G1を局所的に拡張している。フレーム溝部85は、第1フレーム部71の周方向において所定間隔で複数設けられている。各フレーム溝部85は、流入口46から流入して流出口47に到達する燃料のうちフィルタ60を通過せずに遠回りする燃料が通る位置に設けられていることになる。また、フレーム溝部85はフィルタ60の網目67(図8参照)より大きくなっている。このため、フレーム溝部85がワックス成分等により塞がれて燃料がフレーム溝部85を流れなくなるということが、フィルタ60が目詰まりすることに比べて発生しにくくなっている。
なお、本実施形態では、第1フレーム部71がフィルタ室45の内周面に嵌合された状態になっていることなどにより、第1フレーム部71の外周面71aとフィルタ室45の内周面との間にフレーム隙間G1が形成されていなくてもよい。この場合でも、第1フレーム部71にフレーム溝部85が設けられていることで、流入領域SA内の燃料がフレーム溝部85を通って流出領域SBに流れ込むことが可能になっている。
本実施形態によれば、フィルタ室45においては、流入口46に対してフィルタ60の少なくとも一部がフレーム溝部85よりも近い位置に設けられている。このため、フィルタ60の目詰まりが発生していない場合には、流入口46から流入した燃料がフレーム溝部85よりもフィルタ60に到達しやすくなっている。この場合、フィルタ60による燃料の濾過が行われるため、フレーム溝部85がフィルタフレーム70に設けられていることでフィルタユニット43の濾過性能が低下するということが生じにくくなっている。
また、フィルタ60に比べてフレーム溝部85が詰まりにくくなっているため、フィルタ60が目詰まりした場合でも、燃料は遠回りしてフレーム溝部85を通過することで流入領域SAから流出領域SBに流れ込むことができる。このため、フィルタ室45において燃料を流出口47から流出させることができないという事態を回避できる。したがって、上記第1実施形態と同様に、フィルタ60の濾過性能を高めつつ、燃料がフィルタ60よりも下流側に流れないということを抑制できる。
なお、本実施形態において、連通部は第1フレーム部71を貫通する貫通孔でもよい。例えば、第1フレーム部71においてフィルタ60よりも外周側に貫通孔が設けられた構成とする。この構成の貫通孔は、フレーム隙間G1とは独立して燃料を通過させることになる。
(第8実施形態)
第8実施形態では、上記第7実施形態と同様にフィルタ60の目の粗さが均一化されており、フィルタ60の目詰まりが発生した場合は燃料がフレーム隙間G1(図4参照)を通るようになっている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図19に示すように、第1フレーム部71の外周面71aは、フィルタ室45の内周面に比べて粗い面である粗面86を有している。粗面86は、細かい凹凸を有していることで粗い面になっており、外周面71aのほぼ全体に付与されている。この場合、粗面86は、中心線CL1の周方向に延びていることで円環状になっている。本実施形態では、第1フレーム部71の外周面71aとフィルタ室45の内周面との間のフレーム隙間G1が、粗面86により多数の部分で局所的に拡張された状態になっている。粗面86とフィルタ室45の内周面との離間距離は粗面86の凹凸の存在によってばらついている。このため、粗面86においては、その一部がフィルタ室45の内周面に接触していても、他の部分がフィルタ室45の内周面から離間していることでフレーム隙間G1を形成している。粗面86は、流入口46から流入して流出口47に到達する燃料のうちフィルタ60を通過せずに遠回りする燃料が通る位置に設けられていることになる。本実施形態のフレーム隙間G1を粗面隙間と称することもできる。
粗面86により拡張されたフレーム隙間G1は、フィルタ60の網目(図8参照)より大きくなっている。このため、フレーム隙間G1がワックス成分等により閉鎖されるということが、フィルタ60が目詰まりすることに比べて発生しにくくなっている。
本実施形態によれば、フィルタ室45においては、流入口46に対してフィルタ60の少なくとも一部が第1フレーム部71の粗面86より近い位置に設けられている。このため、フィルタ60の目詰まりが発生していない場合には、流入口46から流入した燃料が粗面86よりもフィルタ60に到達しやすくなっている。この場合、フィルタ60による燃料の濾過が行われるため、第1フレーム部71が粗面86を有していることでフィルタユニット43の濾過性能が低下するということが生じにくくなっている。
また、粗面86とフィルタ室45の内周面との間に確保されたフレーム隙間G1はフィルタ60に比べて詰まりにくくなっている。このため、フィルタ60が目詰まりした場合でも、燃料は遠回りしてフレーム隙間G1を通過することで流入領域SAから流出領域SBに流れ込むことができる。したがって、上記第1実施形態と同様に、フィルタ60の濾過性能を高めつつ、燃料がフィルタ60よりも下流側に流れないということを抑制できる。
(第9実施形態)
第9実施形態では、上記第7実施形態と同様にフィルタ60の目の粗さが均一化されており、フィルタ60の目詰まりが発生した場合は燃料がフレーム隙間G1を通るようになっている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図20に示すように、第1フレーム部71は、外周面71aに対して傾斜した傾斜面87を有している。傾斜面87は、軸方向Xにおいて外周面71aに横並びに設けられており、第1フレーム部71においては、軸方向Xにおいて外周面71aの長さ寸法及びフレーム隙間G1の長さ寸法が傾斜面87の分だけが小さくなっている。傾斜面87は、軸方向Xにおいて外周面71aから接続フレーム部73とは反対側に向けて延びており、接続フレーム部73とは反対側を向いていることで中心線CL1に対して傾斜した傾斜面になっている。傾斜面87は、中心線CL1の周方向に延びていることで円環状のテーパ面になっており、第1フレーム部71は、第2フレーム部72とは反対側に向けて徐々に細くなった先細り形状になっている。傾斜面87は、流入口46から流入して流出口47に到達する燃料のうちフィルタ60を通過せずに遠回りする燃料が通る位置に設けられていることになる。
本実施形態では、上記第1実施形態のように軸方向Xにおいて外周面71aの幅寸法が第1フレーム部71の幅寸法とほぼ同じになっている構成とは異なり、外周面71aの幅寸法が第1フレーム部71の幅寸法より小さくなっている。また、軸方向Xにおいて外周面71aの幅寸法は傾斜面87の幅寸法より小さくなっている。フィルタ室45においては、フレーム隙間G1が軸方向Xにおいて短いほど燃料がフレーム隙間G1を通る際の圧損が小さくなることなどに起因して、燃料がフレーム隙間G1を通りやすくなる。このため、フレーム隙間G1がワックス成分等により閉鎖されるということが、フィルタ60が目詰まりすることに比べて発生しにくくなっている。
本実施形態によれば、フィルタ室45においては、流入口46に対してフィルタ60の少なくとも一部がフレーム隙間G1よりも近い位置に設けられている。このため、フィルタ60の目詰まりが発生していない場合には、流入口46から流入した燃料がフレーム隙間G1よりもフィルタ60に到達しやすくなっている。この場合、フィルタ60による燃料の濾過が行われるため、軸方向Xにおいてフレーム隙間G1の幅寸法が傾斜面87により短くされていても、フィルタユニット43の濾過性能が低下するということが生じにくくなっている。
また、第1フレーム部71が傾斜面87を有していることでフレーム隙間G1がフィルタ60に比べて詰まりにくくなっている。このため、フィルタ60が目詰まりした場合でも、燃料は遠回りしてフレーム隙間G1を通過することで流入領域SAから流出領域SBに流れ込むことができる。したがって、上記第1実施形態と同様に、フィルタ60の濾過性能を高めつつ、燃料がフィルタ60よりも下流側に流れないということを抑制できる。
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(第10実施形態)
上記第1実施形態では、第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62のそれぞれの目の粗さが均一になっていたが、第10実施形態では、第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62のそれぞれの目の粗さが不均一になっている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図21に示すように、経糸65が延びる軸方向Xにおいて、フィルタ60の一端から他端に向けて徐々に目が粗くなっている。具体的には、第1フィルタ部61側の端部から第2フィルタ部62側の端部に向けて網目67が徐々に大きくなっている。この場合、隣り合う経糸65の離間距離L5は、第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とで同じになっており、フィルタ60全体においても均一になっている。隣り合う緯糸66の離間距離L6は、第1フィルタ部61側の端部から第2フィルタ部62側の端部に向けて徐々に大きくなっている。フィルタ60においては、網目67の面積が所定値より大きい部分とその所定値より大きくない部分との境界部を第1フィルタ部61と第2フィルタ部62との境界部とすることで、第2フィルタ部62が第1フィルタ部61より目が粗い構成を実現できる。この場合、第1フィルタ部61において最も大きい網目67であっても、第2フィルタ部62において最も小さい網目67よりも小さくなっている。
本実施形態によれば、第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62のそれぞれの目の粗さが不均一になっている。このため、第1フィルタ部61の目詰まりが発生した場合でも、第2フィルタ部62の少なくとも一部が目詰まりしていない状態を確実に確保することができる。
(第11実施形態)
上記第1実施形態では、経糸65と緯糸66との交差角度が第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とで同じになっていたが、第11実施形態では、経糸65と緯糸66との交差角度が第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とで異なっている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図22に示すように、第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とでそれぞれの緯糸66が互いに平行に延びているのに対して、経糸65において第2フィルタ部62に含まれた部分は第1フィルタ部61に含まれた部分に対して傾斜している。本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、フィルタ60の周方向において、第2フィルタ部62での経糸65の離間距離L2が第1フィルタ部61での経糸65の離間距離L1と同じになっている。一方で、緯糸66については、上記第1実施形態と同様に、第2フィルタ部62での緯糸66の離間距離L4が第1フィルタ部61での緯糸66の離間距離L2より大きくなっている。
上述したように、第1フィルタ部61の経糸65が第2フィルタ部62の経糸65に対して傾斜していることで第1フィルタ部61の網目67が第2フィルタ部62の網目67より小さくなっている。このため、網目67の大きさが均一な筒状の網部材88を変形させるように加工することで、フィルタ60を製造することが可能になっている。
次に、フィルタ60の製造方法について説明する。図23に示すように、網部材88の各網目67は、第2フィルタ部62の網目67と同じ大きさになっている。具体的には、網部材88において隣り合う経糸65の離間距離L7及び緯糸66の離間距離L8は、第2フィルタ部62での経糸65の離間距離L2及び緯糸66の離間距離L4と同じになっている。この網部材88について、図23に二点鎖線で示すように、筒の一端側を他端側に対して径方向にねじるように変形させることで、各経糸65の一端側を緯糸66の延びる方向に移動させる。これにより、隣り合う緯糸66が互いに近付き、網部材88においてねじるように変形させた部分については、隣り合う経糸65の離間距離L7を小さくさせずに、隣り合う緯糸66の離間距離L8を小さくすることができる。このようにして、図22に示すフィルタ60を製造する。
フィルタユニット43においては、フィルタフレーム70が第1フィルタ部61と第2フィルタ部62とにかけ渡された状態になっている。このため、第2フィルタ部62の経糸65に対する第1フィルタ部61の経糸65の傾斜角度が小さくなることがフィルタフレーム70により規制されている。すなわち、第1フィルタ部61の網目67が大きくなることがフィルタフレーム70により規制されている。
本実施形態によれば、経糸65において第1フィルタ部61に含まれた部分が第2フィルタ部62に含まれた部分に対して傾斜していることで、第1フィルタ部61が第2フィルタ部62よりも目が細かくなっている。このため、網目67の大きさが均一な網部材88を単にねじるように変形させることで、網部材88において一部の網目67を小さくすることができる。このように、網部材88の加工を行うことで、元々の網部材88の網目67よりも小さい網目67を有する第1フィルタ部61と、元々の網部材88の網目67と同じ大きさの網目67を有する第2フィルタ部62とを有するフィルタ60を製造できる。
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1として、上記第1実施形態では、フィルタ60の目の粗さが2段階に異なっていたが、上記第10実施形態のようにフィルタ60の目の粗さが3段階以上に異なっていてもよい。例えば、上記第1実施形態において、フィルタ60が第2フィルタ部62よりも目の粗い第3フィルタ部を有しており、第3フィルタ部が第2フィルタ部62を挟んで第1フィルタ部61とは反対側に設けられた構成とする。この構成でも、流入口46に対して第1フィルタ部61の少なくとも一部が第2フィルタ部62及び第3フィルタ部のいずれよりも近い位置に設けられていることになる。
変形例2として、上記第1実施形態において、流入口46に対して第1フィルタ部61の全体が第2フィルタ部62より近い位置に設けられていてもよい。同様に、第7~9実施形態において、流入口46に対して第1フィルタ部61の全体がフレーム溝部85や粗面86、外周面71aより近い位置に設けられていてもよい。
変形例3として、フィルタ60は両端が開放された筒状ではなく、一端が底部により閉鎖され他端が開放された筒状になっていてもよい。例えば、フィルタ60の底部が流出口47に対向するようにフィルタ60がフィルタ室45に収容された構成とする。この構成では、フィルタ60の底部に第1フィルタ部61が配置されていることで、上記第6実施形態と同様に、第1フィルタ部61が流出口47に対向した構成を実現できる。
また、フィルタ60は板状に形成されていてもよい。例えば、板状のフィルタ60が流入口46を塞ぐように設けられた構成とする。この構成では、フィルタ60において流入口46に対向する部分に第1フィルタ部61が配置され、流入口46及び流出口47のいずれにも対向しない部分に第2フィルタ部62が配置されている。上記第11実施形態において、フィルタ60が板状に形成された構成では、板状の網部材において互いに対向する一対の対向辺のうち一方を他方に対して平行移動させるように網部材を変形させることで、板状のフィルタ60の網目を不均一にすることができる。
変形例4として、フィルタ60は、網部材ではなく、複数の孔を有する板材やシート材により形成されていてもよい。この場合でも、第1フィルタ部61及び第2フィルタ部62のそれぞれにおいて孔の大きさや数を増減させることで、第2フィルタ部62の方が第1フィルタ部61よりも目の粗いフィルタ60を形成できる。
変形例5として、フィルタ室45において、流入口46及び流出口47の両方に第1フィルタ部61が対向するようにフィルタ60が設置されていてもよい。この場合、フィルタ60の濾過性能を第1フィルタ部61により更に高めることができる。
変形例6として、上記第1実施形態では低圧継手40をフィルタ装置とし、上記第6実施形態では高圧燃料ポンプ2をフィルタ装置としたが、ホロスクリュ51やバンジョーコネクタ52、ユニオン継手などをフィルタ装置としてもよい。例えば、フィルタ60の全体がホロスクリュ51に収容された構成では、フィルタ60を収容した状態のホロスクリュ51がフィルタ装置に相当する。
変形例7として、上記第1実施形態において、フィルタ60において燃料が流入口46から最短経路Sr1で到達する部分が第1フィルタ部61に含まれていれば、この第1フィルタ部61は流入口46に対向していなくてもよい。例えば、フィルタユニット43において帯部73aが流入口46に対向する位置に設けられている一方で、第1フィルタ部61が流入口46に対向する位置から離間した位置に設けられた構成とする。この構成では、軸方向Xにおいて、帯部73aの幅寸法D1が流入口46の内径R1と同じ又は内径R1より大きくなっている。この構成でも、燃料が流入口46から最短経路Sr1で到達する部分が第2フィルタ部62ではなく第1フィルタ部61に含まれていれば、第1フィルタ部61が目詰まりしていない場合に燃料が第1フィルタ部61に到達しやすい構成を実現できる。
変形例8として、上記第6実施形態に上記第7~9実施形態を適用してもよい。この場合、第7~9実施形態のフレーム溝部85や粗面86、外周面71aが流入領域SAと流出領域SBとを仕切る第2フレーム部72に設けられていることが好ましい。これにより、上記第6実施形態においてフィルタ60全体が目詰まりした場合に、燃料がフレーム溝部85やフレーム隙間G2を通じて流入領域SAから流出領域SBに流れ込むことが可能になる。
変形例9として、フィルタユニット43やフィルタ60、フィルタフレーム70は、円筒状ではなく矩形筒状など筒状になっていればよい。例えば、フィルタフレーム70においては、第1フレーム部71が円筒状になっている一方で、第2フレーム部72が矩形筒状になっていてもよい。また、フィルタフレーム70などについて、その内周端と外周端とで断面形状が異なっていてもよい。例えば、第1フレーム部71について、その内周端の断面形状が円状になっている一方で、外周端の断面形状が矩形状になっていてもよい。