JP7087480B2 - ダンパ装置 - Google Patents
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Description
そこで、様々な実施形態により、上記従来技術に比べてクラッチハブに対するシートの回転を少なくとも部分的に抑制することが可能なダンパ装置を提供する。
前記収容領域において、前記周方向に沿って摺動可能に設けられ、前記第1の回転部材の前記収容領域を囲む一端面に支持される一端側のシートと、
前記収容領域において、前記周方向に沿って摺動可能に設けられ、前記一端側のシートとの間に1つの弾性部材を挟み、前記第1の回転部材の前記収容領域を囲み前記一端面に対向する他端面に支持される他端側のシートと、
前記第1の回転部材に対して回転するように設けられ、
前記一端側のシートに係合する一端側の係合部、並びに、
前記一端側の係合部との間に、前記一端側のシート、前記1つの弾性部材及び前記他端側のシートを挟み、前記他端側のシートに係合する他端側の係合部、
を有する第2の回転部材と、を具備し、
前記一端側の係合部は、前記一端側のシートに形成された凹部に係合する凸部を有し、
前記凸部は、前記一端側のシートが遠心力を受けて前記一端側の係合部に対して回転する際に回転中心として接する前記一端側の係合部の外縁と前記第2の回転部材の回転中心とを結ぶ境界線に関して両側に延在する、ものである。
図1は、一実施形態に係るダンパ装置が組み込まれたクラッチディスクの構成を模式的に示す上面図であり、図2は、図1に示したクラッチディスクの構成をA-A線からみて模式的に示す断面図である。図3は、図1及び図2に示したクラッチディスクの動作を示す模式図である。
クラッチハブ200は、例えば、金属材料により形成され、全体として略環状に延びる形状を有する。クラッチハブ200は、略環状のハブ202に形成された貫通孔204に、図示しない変速機の入力軸を挿通させてスプライン結合することができる。また、クラッチハブ200は、ハブ202から径方向に延びる略環状のフランジ206を有する。なお、クラッチハブ200については、ハブ202とフランジ206とを一体とした構成、及び、ハブ202とフランジ206とを別体とし、両者間に微小スプリングを配設した構成等を採用することができる。
ディスクプレート100は、例えば、金属材料により形成され、クラッチハブ200の両面にクラッチハブ200と同軸にかつ相対的に回転可能に設けられている。ディスクプレート100は、クラッチハブ200の軸方向両側に設けられる第1のディスクプレート100A及び第2のディスクプレート100Bを含む。第1のディスクプレート100Aと第2のディスクプレート100Bとは、両者の間に、シート部材400、コイルスプリング500及びクラッチハブ200(のフランジ206)を挟んで収容した状態で、それらの外周付近において複数のリベットR等により結合され得る。
スラスト部材300は、クラッチハブ200とディスクプレート100との接触面の間に設けられるワッシャー状の、例えば樹脂からなる部材である。スラスト部材300は、クラッチハブ200と第1のディスクプレート100Aとの間に設けられた第1のスラスト部材300Aと、クラッチハブ200と第2のディスクプレート100Bとの間に設けられた第2のスラスト部材300Bと、を含むことができる。
図1に示した実施形態では、一例として、ディスクプレート100には、4つの収容領域、すなわち、第1の収容領域102a~第4の収容領域102dが形成されるので、これら4つの収容領域の各々に、一例として、図1に示すように、外側のコイルスプリング500A及び内側のコイルスプリング500Bが収容される(別の実施形態では、これらのコイルスプリングのうちのいずれか一方のみが使用される)。
フェーシング600は、各々が耐摩耗性の材料により形成された環状の第1のフェーシング600A及び第2のフェーシング600Bを含むことができる。これら第1のフェーシング600A及び第2のフェーシング600Bは、それらの内周がディスクプレート100の外周に沿って延びるように、公知の手法を用いてディスクプレート100に取り付けられる。これら第1のフェーシング600A及び第2のフェーシング600Bが、上述したように、図示しないフライホイールと図示しないプレッシャープレートとの間で挟圧される。
なお、上記構成を有するクラッチディスク10のうち、コイルスプリング500、一端側のシート、他端側のシート、ディスクプレート100(のうちコイルスプリング500及び各シートに関連する構成)、並びに、クラッチハブ200(のうちコイルスプリング500及び各シートに関連する構成)を、ダンパ装置と捉えることが可能なものである。
上記構成を有するクラッチディスク10の動作について、図1~図3を参照して説明する。
クラッチディスク10にエンジンから駆動力が伝達されていない状態、すなわち、クラッチディスク10に伝達されるトルクが0である状態が、図3(a)に示されている。図3(a)に示すように、領域Iに対応付けて設けられた第1の一端側のシート400a1は、外側コイルスプリング500A(内側コイルスプリング500B)に付勢されることにより、その基部402がディスクプレート100の一端面104a1により支持され、かつ、その基部402に形成された凹部408が第1の一端側の係合部(凸部)208a1に係合する。なお、上述したように、第1の一端側の係合部(凸部)208a1は、第1のディスクプレート100Aの一端面104a1と第2のディスクプレート100Bの一端面104a1との間に設けられた図示しない間隙Gを通って第1の収容領域102aの内部に侵入して凹部408に係合することができる。
なお、領域Iに関する上記動作は、領域II~IVについても同様に当て嵌まる。以下、領域Iに関して説明する動作は、領域II~領域IVについても同様に当て嵌まるため、領域Iに関してのみ説明し、領域II~領域IVについてはその詳細な説明を省略する。
図4は、図1~図3に示したクラッチハブ200に形成された係合部とこれに対応するシートとの間において行われる動作を説明する模式図である。
図4(a)に示すように、クラッチハブ200のフランジ206に形成された各係合部(凸部)(図4においては凸部208a1が例示されているが他の各凸部も同様である。)は、以下に説明する形状を有するように形成され得る。
図5は、別の実施形態に係るダンパ装置が組み込まれたクラッチディスクにおける各係合部材(各凸部)と対応するシートとの関係を示す模式図である。
図5(a)に示すように、第1の一端側のシート400a1は、凹部408の開口部において角部408Bを有することができる。角部408Bは、第1の一端側のシート400a1が中心Oの周りに紙面上反時計回りに回転しようとするときに、一端側の係合部(凸部)208a1に対して第2の接触点C2において当接して第1の一端側のシート400a1の回転を規制するように機能する。
図6は、別の実施形態に係るダンパ装置が組み込まれたクラッチディスクにおけるシートの構成を示す模式図である。
図6に示すように、例えば第1の一端側のシート400a1は、上述したように、基部402と、挿入部404と、保持部406とを含むものとすることができる。保持部406は、外側のコイルスプリング500Aの一端の外周に当接してこの外側のコイルスプリング500Aが遠心力を受けてクラッチディスク10の径方向外側に向かって移動することを規制することができる。内側のコイルスプリング500Bが用いられる場合には、挿入部404は、内側のコイルスプリング500Bの一端の内周に当接して内側のコイルスプリング500Bが遠心力を受けて径方向外側に向かって移動することを規制することができる。
第1の態様に係るダンパ装置は、
周方向に延びる収容領域を有する第1の回転部材と、
前記収容領域において、前記周方向に沿って摺動可能に設けられ、前記第1の回転部材の前記収容領域を囲む一端面に支持される一端側のシートと、
前記収容領域において、前記周方向に沿って摺動可能に設けられ、前記一端側のシートとの間に1つの弾性部材を挟み、前記第1の回転部材の前記収容領域を囲み前記一端面に対向する他端面に支持される他端側のシートと、
前記第1の回転部材に対して回転するように設けられ、
前記一端側のシートに係合する一端側の係合部、並びに、
前記一端側の係合部との間に、前記一端側のシート、前記1つの弾性部材及び前記他端側のシートを挟み、前記他端側のシートに係合する他端側の係合部、
を有する第2の回転部材と、を具備し、
前記一端側の係合部は、前記一端側のシートに形成された凹部に係合する凸部を有し、
前記凸部は、前記一端側のシートが遠心力を受けて前記一端側の係合部に対して回転する際に回転中心として接する前記一端側の係合部の外縁と前記第2の回転部材の回転中心とを結ぶ境界線に関して両側に延在するものである。
この態様によれば、一端側の係合部に形成された凸部は、境界線Lに関して、クラッチディスクの周方向に沿って両側に存するように形成されている。これにより、かかる凸部は、対応する一端側のシートに形成された凹部を囲む側壁に対して食い込むため、対応する一端側のシートが遠心力を受けてそれ以上回転することを抑えることができる。
この態様によれば、各凸部が、対応するシートを2点間で保持して固定することにより、対応するシートの回転をより効果的に規制することができる。
この態様によれば、他端側の係合部に形成された凸部は、境界線Lに関して、クラッチディスクの周方向に沿って両側に存するように形成されている。これにより、かかる凸部は、対応する他端側のシートに形成された凹部を囲む側壁に対して食い込むため、対応する他端側のシートが遠心力を受けてそれ以上回転することを抑えることができる。
この態様によれば、各凸部が、対応するシートを2点間で保持して固定することにより、対応するシートの回転をより効果的に規制することができる。
この態様によれば、外保持部は、遠心力を受けた1つの弾性部材の移動がクラッチディスクの径方向外側に向かう移動を規制することにより、1つの弾性部材とディスクプレートとが接触して摩耗するという事態の発生を抑えることができる。
この態様によれば、遠心力を受けた別の弾性部材(1つの弾性部材の内側に収容されるよう配置された弾性部材)が、クラッチディスクの径方向外側に移動して、1つの弾性部材(上記別の弾性部材を収容するように配置された弾性部材)に接触して干渉することにより、両者の間に摺動が生ずるという事態の発生を抑えることができる。
この態様によれば、加速時及び減速時(例えばエンジンブレーキによる減速時)のいずれの状態であっても、トルクの変動に起因する捩り方向の振動を吸収して減衰させつつ、エンジンからの駆動力が、第1の回転部材、一端側のシート、他端側のシート、弾性部材、第2の回転部材、及び、変速機の入力軸に対して順次伝達される。
100 ディスクプレート(第1の回転部材)
100A 第1のディスクプレート
100B 第2のディスクプレート
102a 第1の収容領域
102b 第2の収容領域
102c 第3の収容領域
102d 第4の収容領域
104a1 第1の一端面
104a2 第1の他端面
104b1 第2の一端面
104b2 第2の他端面
104c1 第3の一端面
104c2 第3の他端面
104d1 第4の一端面
104d2 第4の他端面
200 クラッチハブ(第2の回転部材)
202 ハブ
204 貫通孔
206 フランジ
206a 第1の切り欠き
206b 第2の切り欠き
206c 第3の切り欠き
206d 第4の切り欠き
208a1 第1の一端側の係合部(凸部)
208a2 第1の他端側の係合部(凸部)
208b1 第2の一端側の係合部(凸部)
208b2 第2の他端側の係合部(凸部)
208c1 第3の一端側の係合部(凸部)
208c2 第3の他端側の係合部(凸部)
208d1 第4の一端側の係合部(凸部)
208d2 第4の他端側の係合部(凸部)
O 凸部の回転中心(外縁)
L 境界線
C1 第1の接触点
C2 第2の接触点
300 スラスト部材
300A 第1のスラスト部材
300B 第2のスラスト部材
400 シート部材
402 基部
404 挿入部(内保持部)
406 保持部(外保持部)
408 凹部
408A 側壁
408B 角部
500 コイルスプリング(弾性部材)
500A 外側のコイルスプリング(1つの弾性部材)
500B 内側のコイルスプリング(別の弾性部材)
Claims (7)
- 周方向に延びる収容領域を有する第1の回転部材と、
前記収容領域において、前記周方向に沿って摺動可能に設けられ、前記第1の回転部材の前記収容領域を囲む一端面に支持される一端側のシートと、
前記収容領域において、前記周方向に沿って摺動可能に設けられ、前記一端側のシートとの間に1つの弾性部材を挟み、前記第1の回転部材の前記収容領域を囲み前記一端面に対向する他端面に支持される他端側のシートと、
前記第1の回転部材に対して回転するように設けられ、
前記一端側のシートに係合する一端側の係合部、並びに、
前記一端側の係合部との間に、前記一端側のシート、前記1つの弾性部材及び前記他端側のシートを挟み、前記他端側のシートに係合する他端側の係合部、
を有する第2の回転部材と、を具備し、
前記一端側の係合部は、前記一端側のシートに形成された凹部に係合する凸部を有し、
前記凸部は、前記一端側のシートが遠心力を受けて前記一端側の係合部に対して回転する際に回転中心として接する前記一端側の係合部の外縁と前記第2の回転部材の回転中心とを結ぶ境界線に関して両側に延在し、
前記凸部は、遠心力を受けて前記回転中心の周りに回転した前記一端側のシートに接触する、前記境界線に関して前記他端側のシートの存する側にある、接触点を有する、ように構成される、ダンパ装置。 - 前記一端側のシートは、前記一端側の係合部に形成された前記凸部に当接して前記一端側の係合部に対する前記一端側のシートの回転を抑制する角部を、前記一端側のシートに形成された前記凹部の開口部において有する、請求項1に記載のダンパ装置。
- 前記他端側の係合部は、前記他端側のシートに形成された凹部に係合する凸部を有し、
前記凸部は、前記他端側のシートが遠心力を受けて前記他端側の係合部に対して回転する際に回転中心として接する前記他端側の係合部の外縁と前記第2の回転部材の回転中心とを結ぶ境界線に関して両側に延在する、請求項1又は請求項2に記載のダンパ装置。 - 前記他端側のシートは、前記他端側の係合部に形成された前記凸部に当接して前記他端側の係合部に対する前記他端側のシートの回転を規制する角部を、前記他端側のシートに形成された前記凹部の開口部において有する、請求項3に記載のダンパ装置。
- 前記一端側のシートが、前記1つの弾性部材の一端の外周に当接して前記1つの弾性部材が前記第1の回転部材の径方向外側に向かって移動することを規制する一端側の外保持部を有し、及び/又は、
前記他端側のシートが、前記1つの弾性部材の他端の外周に当接して前記1つの弾性部材が前記径方向外側に向かって移動することを規制する他端側の外保持部を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のダンパ装置。 - 前記一端側のシートと前記他端側のシートとの間において前記1つの弾性部材の内部に配置された別の弾性部材をさらに具備し、
前記一端側のシートが、前記1つの弾性部材の内周と前記別の弾性部材の外周との間に所定の間隔をおくように、前記別の弾性部材の一端の内周に当接して前記別の弾性部材が前記径方向外側に向かって移動することを規制する一端側の内保持部を有し、及び/又は、
前記他端側のシートが、前記1つの弾性部材の内周と前記別の弾性部材の外周との間に所定の間隔をおくように、前記別の弾性部材の他端の内周に当接して前記別の弾性部材が前記径方向外側に向かって移動することを規制する他端側の内保持部を有する、請求項5に記載のダンパ装置。 - 前記第1の回転部材が第1の方向に回転したときに、前記他端面が、前記他端側のシートを前記1つの弾性部材に抗して前記他端側の係合部から離間させ前記一端側の係合部に近づく方向に摺動させることにより、前記第2の回転部材が前記第1の方向に回転し、
前記第1の回転部材が前記第1の方向とは逆である第2の方向に回転したときに、前記一端面が、前記一端側のシートを前記1つの弾性部材に抗して前記一端側の係合部から離間させ前記他端側の係合部に近づく方向に摺動させることにより、前記第2の回転部材が前記第2の方向に回転する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のダンパ装置。
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