JP7087045B2 - 高純度β-ブロモエチルベンゼン及びその製造方法 - Google Patents
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Description
なお特許文献5の実施例の記述において、副生物としてα-ブロモエチルベンゼン、アセトフェノンの他、C6H5COCH2Br(α-ブロモアセトフェノン)およびC6H5CHBrCH2Br((1,2-ジブロモエチル)ベンゼン)が開示されている。
検討の結果、β-ブロモエチルベンゼンの製造の過程において、従来は十分には把握されていなかったブロモジフェニルブタンが副生することが分かった。さらに副生するブロモジフェニルブタンと直接あるいは間接的に関係するかは不明ではあるものの、得られるβ-ブロモエチルベンゼンの色相が優れないことがあり、その改善が望まれていた。
[1] β-ブロモエチルベンゼン中の(a)α-ブロモエチルベンゼン、(b)スチレン、(c)フェニルエタノール、(d)ジブロモエチルベンゼン及び(e)ブロモジフェニルブタンのガスクロマトグラフィーで求めた各々のピーク面積比が、(a)≦2.00%、(b)≦0.10%、(c)≦0.10%、(d)≦0.10%、及び(e)≦0.10%(但し、β-ブロモエチルベンゼンと(a)~(e)のピーク面積の総和は100)である高純度β-ブロモエチルベンゼン。
[2] さらにβ-ブロモエチルベンゼンのAPHA値≦100である、[1]に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼン。
[3] スチレンと臭化水素が導入された反応器内に電磁波を照射して、ラジカル付加反応によりβ-ブロモエチルベンゼンを製造する方法であって、
照射される電磁波は、ピーク波長が320nm以上450nm以下の範囲にある、[1]又は[2]に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
[4] 照射される電磁波は、二つ以上のピーク波長が320nm以上450nm以下の範囲にある、[3]に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
[5] 電磁波が透過する液深Lと、液深Lに入射する光照度Eの比E/Lが、0.5mW/(cm2・mm)以上となる、[3]又は[4]に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
[6] 電磁波の照射が、紫外線LED、可視光LED、有機EL、無機EL、水銀灯および無水銀灯からなる群から選ばれる少なくとも1種の光源を用いて行なう、[3]~[5]のいずれかに記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
[7] スチレンと臭化水素が導入された反応器内に電磁波を照射する、[3]~[6]のいずれかに記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
[8] 有機溶媒、スチレン及び臭化水素が導入された反応器内に電磁波を照射する、[3]~[7]のいずれかに記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
[9] 有機溶媒が、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン及び1,2-ジクロロエタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の組合せとなる、[8]に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
[10] スチレンと有機溶媒の混合溶液中のスチレン含量が50重量%以上100重量%未満となる混合溶液と臭化水素が導入された反応器内に電磁波を照射する、[8]又は[9]に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
スチレンに臭化水素をラジカル付加してβ-ブロモエチルベンゼンを製造する際、工業的には、ラジカル源として高圧水銀ランプから放射される紫外線が使用されている。高圧水銀ランプから放射される光は、200nmから700nmの幅広い範囲の波長を含む。高圧水銀ランプから放射される光は、254nm、313nm、365nm、405nm及び436nmに強い線スペクトルを示すが、通常用いられる厚さ5ミリを超えるホウ珪酸ガラスを反応器に使用すれば、250nm以下の短波長光はガラスにより遮蔽される。しかし、250nmを超える波長の光はガラスの組成や厚みに応じた割合で透過し、反応に関与する。
光源の具体例としては、例えば紫外線LED、可視光LED、有機EL、無機EL、水銀灯、無水銀灯などを使用することができる。ここで無水銀灯は、メタルハライドランプでの一種であり、水銀の代替として発光金属に亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の金属を用いた光源である。
この内、有機EL、無機EL、水銀灯や無水銀灯を用いる場合にはバンドパスフィルター等の所定波長の光を除去できる装置を装着して、所望のピーク波長を放射し、本発明の製造方法に係る反応において照射することが好ましい。
一方、LEDを使用する場合は波長分布が狭くてバンドパスフィルター等の装置の装着が不要となることもあり、また長寿命であることから、好ましく用いられる。
320nm~450nmの波長領域において、本反応系におけるE/L比の上限はなく、例えば光照度Eが著しく高い場合でも副反応等は発生しない。但し、例えば水銀灯のような320nm未満の波長を有する光源の場合、光源全体の光照度Eを上げると副反応を引き起こす320nm未満の波長強度(水銀灯の場合、中心波長313nmなど)も増加するため、バンドパスフィルターなどを用いて波長領域を制限すればよい。
E/L比を向上させるには、光照度Eを上げるか、液深Lを下げれば良い。
光照度Eを上げる場合、光源の装置設計の許容範囲内において上限なく設定すればよい。工業的に入手可能な光源は、例えばLEDの場合、照射サイズや照射距離にもよるが、中心波長365nmにおいて、光照度1,600mW/cm2~13,000mW/cm2の装置が開発されている(例えば、光技術情報誌ライトエッジNo.34((2020年11月19日検索)https://www.ushio.co.jp/jp/technology/lightedge/201103/)や岩崎電気(株)ホームページ((2020年11月19日検索)https://www.iwasaki.co.jp/lighting/led/)参照)。
また、液深Lを下げる場合、マイクロフローリアクター(以下、チューブリアクターと言うこともある)のような液深Lが短い反応系を持ちいることもできる。マイクロリアクターの場合、微細な反応流路を有していることから、液深Lは1mm以下となることも多いが、例えば液深Lが1mm、照度Eが1,600mW/cm2であった場合、E/Lは1,600mW/(cm2・mm)として反応を実施することが出来る。
すなわち、反応条件における光の強度の基準として、光源から水平方向の反応器を通過する際の直径方向の距離、言いかえれば光が当たる反応器の側面とその反対側面までの水平距離である液深に対する光の照度を下記式で規定することができる。
例えば、液深をL、その単位をmmとし、光の照度をE、その単位をmW/cm2としたとき、液深に対する光強度の比E/L(単位は、mW/(cm2・mm))を測定することで、光を放射する条件を定めることができる。
測定にあたっては、例えば照度計としてUVPad(Opsytec社製)などを使用し、光源から所定の方向、例えば水平方向に当該光線を検出する光検出部を設置し、照度(単位は通常、mW/cm2)を測定する。但し、試料をPYREX(登録商標)ガラスを介して測定する場合は300nm以下の波長はPYREX(登録商標)ガラス吸収されるため検出されないことに留意を要する。
反応器の形状によっては、反応器形状に起因する光散乱や測定機検出器の形状が原因となり、反応器内に入射した直後の光を直接測定することが困難であるため、上記に記載のように反応器内に入射する直前の電磁波を検出すればよい。実際に反応器内に入射する有効光強度は、反応器直前で測定した光強度と比較し、反応器材質や厚みによる減衰が考えられるが、PYREX(登録商標)ガラスのような透過性の高い材質を用いた場合、その影響は無視できるため光強度の基準の一つとすればよい。 また水銀灯の場合は複数のメイン波長(例えば313、365、405、435nm)が存在することがあり、光照度の測定範囲(例えば200nm~440nm)における合計照度を水銀灯の照度とすることができる。
これらラジカル源の量としては、酸素の場合は、酸素と臭化水素の混合ガス中の酸素量が0.2体積%~10.0体積%であり、その他のラジカル源に関しては、スチレン100重量部に対し、0.01重量部~10重量部である。
臭化水素は、反応条件によってはスチレンに対する溶解度が十分ではない場合があるため、スチレンに対する臭化水素(ガス)の量は、溶解度および選択性の観点から1.0当量~1.5当量がとすることが好ましい。また、本系においてガスの溶解度を増加させることは、反応転化率ならびに選択率向上につながるため、反応系に圧力をかけたり、気液の接触面積を増加させればよい。
i)スチレン、臭化水素及び主生成物のβ-ブロモエチルベンゼンが溶解できる溶媒であること
ii)スチレン、臭化水素及び主生成物のβ-ブロモエチルベンゼンが反応溶媒とは反応しないこと、かつ
iii)反応溶媒が光源の波長光を吸収しないこと。
反応溶媒を具体的に例示すれば、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン等の直鎖状脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素類、あるいはその混合物を挙げることができる。
反応溶媒の使用量は、スチレン100重量部に対し、通常、150重量部~5,000重量部とすることが好ましい。さらに、生成するβ-ブロモエチルベンゼンが、反応に用いられる光源より放射される光の波長領域である320nm~450nmに吸収を持つ。このため、反応効率面から、スチレン100重量部に対し、200重量部~300重量部とすることが好ましい。
スチレンに対する臭化水素(ガス)の量は、0.5当量~3.0当量が好ましいが、選択性の観点から1.0当量~1.5当量が特に好ましい。
その他反応条件に関しては反応の選択率の観点から、反応に用いられる光源より放射される光の強度はスチレンの流量1ml/minに対して5mW/cm2以上、水分は300ppm未満、鉄分は1ppm未満であることが好ましい。
すなわち、従来の高圧水銀ランプや無水銀ランプの放射光に含まれている、ピーク波長が450nmを超える波長の光を除去することにより、α-ブロモエチルベンゼンの副生を抑制することができる。また、ピーク波長が320nm未満の短波長光を除去することにより、ブロモジフェニルブタンの副生と着色を抑制することができる。
スチレンへの臭化水素のラジカル付加反応により得られるβ-ブロモエチルベンゼンの着色に関しても、カラムクロマトグラフィーや活性炭への吸着などの一般的に行われる脱色精製操作を行なうと、反応粗生成物の洗浄、各種精製操作、濃縮操作など工程が煩雑になる。さらにこのような工程では大量の溶媒やエネルギーを必要とするため、実用面では改善が求められる課題となっており、本発明の製造方法によりβ-ブロモエチルベンゼンの着色を抑制することは意義がある。
生成物の定量には、GC-2014 (株式会社島津製作所製)を用い、以下の条件で行った。
カラム NB-5(30m × 0.32mm、df = 0.40μm)
カラム温度 100℃ → 250℃ 昇温速度 5℃/min
INJ 220℃ DET 250℃
注入量 反応液0.2μl
注入量 100μl
なお、(e)ブロモジフェニルブタンは、後述するガスクロマトグラフィー質量分析にて分子量289.2に帰属される化合物であり、2-ブロモ-1,4-ジフェニルブタンまたは1-ブロモ-1,4-ジフェニルブタンと推定される。
重合物の有無の確認は、HLC-8320GPC(東ソー株式会社製)を用いて、以下の条件で行った。
カラム TSK guard columm TSK gel G4000Hxl/TSKgel G3000Hxl/TSKgel G2500/TSKgel G2000Hxl/HX-L
溶離液 THF(安定剤含有)
カラム温度 40℃
流量 1.0ml/min
サンプル濃度 1.0wt% (溶離液にて希釈)
生成物に含まれる物質の質量測定並びに構造予想に、GCMS-QP2010(株式会社島津製作所製)を用いて、以下の条件で行った。
カラム NB-5 (30m × 0.32mm、df = 0.40μm)
カラム温度 100℃ ⇒ 250℃ 昇温速度 8℃/min
INJ 220℃ DET 250℃
注入量 反応液 0.2μl
生成物のAPHA値は色差計(日本電色工業株式会社製、OME2000)を用いて以下の手法で測定した。
装置の電源を入れ、10分間暖機させたのち、角セル(10mm×20mm×55mm)に純水を入れて標準校正を行った。その後、生成物を角セルに入れて、APHA値を測定した。
光源として、水銀灯とLEDの2種を使用した。水銀灯は高圧水銀ランプ1(セン特殊光源(株)社製、HB100CH-4)を水銀灯保護用水冷ジャケット(PYREX(登録商標)ガラス製)に挿入して使用した。
LED光源装置として、スポット照射器(ケイエルブイ株式会社製、ALE/1.1)を使用した。用いたピーク波長365nm、385nm、435nmの光は、ピーク強度の50%の波長幅となる半値幅は+/-5nm程度であった。
光源として、水銀灯(高圧水銀ランプ セン特殊光源株式会社製 HB100CH-4)を使用した。暗箱(5cm×5cmの窓付き)の中に、水銀灯保護用水冷ジャケットを取り付け、窓中央からおよそ1cmに水銀灯中央が位置するよう設置した。窓に特定波長光のみを選択的に透過することができるバンドパスフィルターを装着し、波長313nmの光源、波長365nmの光源とした。
(朝日分光社製 5cm×5cm)
照度計として、UVPad(Opsytec社製)を使用した。
光源から水平方向に光検出部を設置し、照度を測定した。
反応器は、水銀灯保護用水冷ジャケットと、中央部にジャケット装着口、その外側に小型の4つ口を有する5つ口円筒型反応器(PYREX(登録商標)ガラス製)の2つを使用し、溶液は光源を覆うように反応器中で撹拌された。
スポット照射器は外付けの冷却が必要無い点光源であり、反応器は500mlの4つ口フラスコ(PYREX(登録商標)ガラス製)を使用し、外部から反応器に光を照射した。
実施例に記載の化合物は下記を使用したが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
スチレン 富士フイルム和光純薬株式会社製 特級
ヘプタン 富士フイルム和光純薬株式会社製 特級
臭化水素ガス 東ソー・ファインケム株式会社製
(波長365nmのLEDを光源としたブロモエチルベンゼンの製造法、精製したブロモエチルベンゼンの評価)
<光臭素化反応>
冷却管、温度挿入管、PTFE製チューブアダプターを2つ取り付けた500ml4つ口フラスコに、窒素雰囲気下でヘプタン30.0gを仕込んだ。臭化水素ガスと別途調整した原料混合溶液(スチレン60.0g ヘプタン126.0g混合溶液)を供給するチューブ(PTFE製、内径3.17mm)をアダプターにそれぞれ取り付けた。臭化水素ガスを供給するチューブは、先端が反応液中に浸漬するように設置し、原料溶液を供給するチューブは反応器内に滴下するように設置した。
反応器側面に当たる光強度が300mW/cm2(スチレンのみのフィード流量1ml/minに対して543.6mW/cm2)になる位置にスポット照射器を設置し、光照射を開始した。また、光照射開始と同時に、臭化水素ガスと原料溶液の供給を開始した。それぞれの流量は、臭化水素ガス140.0ml/min、原料溶液2.1ml/minであった。
フィード開始から2時間後に臭化水素ガスと原料溶液の供給を停止し、30分間光照射を継続し、残存したスチレンを反応させた。その後、反応溶液に窒素を流量500ml/minで1時間吹き込むことで、バブリング操作を行い、反応溶液中の臭化水素ガスを取り除いた。
バブリング操作後の反応溶液に水60mlを添加し、分液した後、有機層を加熱濃縮し、ヘプタンを留去した。(80℃、2kPa、1時間)
留去後の試料を以下の分析に用いた。
GC測定の結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが0.076%、(b)スチレンが検出せず(本明細書においては、0.001%を検出限界とし、0.001%未満をn.d.とする。以下も同じ。)、(c)フェニルエタノールが0.030%、(d)ジブロモエチルベンゼンが0.026%、(e)ブロモジフェニルブタンが0.017%、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.851%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また色差計でのAPHA値は43であった。これらの結果を、表1に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
上記の結果より、後述する比較例1の結果と比べて(a)~(e)の不純物(すなわち、副生成物)量、特に(e)ブロモジフェニルブタンの量が少ないこと、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.851%となり、高選択的にβ―ブロモエチルベンゼンを得られること、さらにAPHA値は43であることから得られた生成物に着色がないことが明らかとなった。
(波長385nmのLEDを光源としたブロモエチルベンゼンの製造法、精製したブロモエチルベンゼンの評価)
<光臭素化反応>
実施例1の光臭素化反応を、LEDの波長を385nmにして、同様の手法で行った。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、(a)0.0248%、(b)n.d.(c)0.021%、(d)0.067%、(e)0.067%、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.597%であった。また、色差計でのAPHA値は43であった。GPC測定においても、重質物の生成は確認されなかった。
上記の結果より、後述する比較例1の結果と比べて(a)~(e)の不純物(すなわち、副生成物)量、特に(e)ブロモジフェニルブタンの量が少ないこと、APHA値は43であることから得られた生成物に着色がないことが明らかとなった。
(波長435nmのLEDを光源としたブロモエチルベンゼンの製造法、精製したブロモエチルベンゼンの評価)
<光臭素化反応>
実施例1の光臭素化反応を、LEDの波長を435nmにして、同様の手法で行った。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、(a)1.278%、(b)n.d.(c)0.016%、(d)0.021%、(e)0.010%、(f)β-ブロモエチルベンゼンが98.675%であった。また、色差計でのAPHA値は48だった。GPC測定においても、重質物の生成は確認されなかった。
上記の結果より、後述する比較例1の結果と比べて(a)~(e)の不純物(すなわち、副生成物)量、特に(e)ブロモジフェニルブタンの量が少ないこと、APHA値は48であることから得られた生成物に着色がないことが明らかとなった。
(水銀灯中の波長365nmの光を光源としたブロモエチルベンゼンの製造法、精製したブロモエチルベンゼンの評価)
<光臭素化反応>
冷却管、温度挿入管、PTFE製チューブアダプターを2つ取り付けた500mlの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下でヘプタン25.0gを仕込んだ。臭化水素ガスと別途調整した原料混合溶液(スチレン50.0g ヘプタン105.0g)を供給するチューブ(PTFE製、内径3.17mm)をアダプターにそれぞれ取り付けた。臭化水素ガスを供給するチューブは反応液中に浸けた状態でフィードし、原料混合溶液を供給するチューブは反応器内に滴下するように設置した。
反応器側面に当たる光強度が2mW/cm2(スチレンのみのフィード流量1ml/minに対して10.9mW/cm2)となる位置に光源装置(365nmバンドパスフィルター装着)を設置し、光照射を開始した。
その後、臭化水素ガスを47ml/min、原料混合溶液を0.7ml/minの流量で供給を開始した。フィード開始から5時間後に供給を停止し、30分間光照射を継続し、残存したスチレンを反応させた。照射停止後、反応溶液に窒素を流量100ml/minで1時間吹き込むことでバブリングを行い、反応溶液中の臭化水素ガスを取り除いた。バブリング操作後の反応溶液に純水60mlを添加し、分液した後、有機層を加熱濃縮し、ヘプタンを留去した。(80℃、2kPa、1時間)
留去後の試料を以下の分析に用いた。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、a)1.850%、(b)n.d.(c)0.004%、(d)0.034%、(e)0.032%、(f)β-ブロモエチルベンゼンが98.080%であった。また、色差計でのAPHA値は44であった。GPC測定においても、重質物の生成は確認されなかった。
上記の結果より、同光強度で波長が異なる比較例2(後述)の結果と比べて、特に(e)ブロモジフェニルブタンの量が少ないこと、APHA値は44であることから得られた生成物に着色がないことが明らかとなった。
(水銀灯中の波長365nmの光を光源、臭化水素ガス供給量をスチレンに対し1.5当量としたブロモエチルベンゼンの製造法、精製したブロモエチルベンゼンの評価)
<光臭素化反応>
実施例4の臭化水素ガスの流量を59.0ml/minにして、同様の手法で行った。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、a)1.274%、(b)n.d.(c)0.049%、(d)0.020%、(e)0.007%、(f)β-ブロモエチルベンゼンが98.650%であった。また、色差計でのAPHA値は50であった。GPC測定においても、重質物の生成は確認されなかった。
上記の結果より、比較例2(後述)の結果と比べて、特に(e)ブロモジフェニルブタンの量が少ないこと、APHA値は50であることから得られた生成物に着色がないことが明らかとなった。
また、スチレンに対し、過剰量(1.5当量)の臭化水素ガスを用いても、副生成物の生成を抑制することが可能であることが明らかであり、これは光源の波長領域を制限した効果によるものと考えられる。
実施例1において、ヘプタンをヘキサンに変更する以外は同様の手法によって、光臭素化反応を行った。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、(a)0.080%、(b)0.007%、(c)0.041%、(d)0.005%、(e)0.023%、(f)β-ブロモエチルベンゼン99.844%であった。また、色差計でのAPHA値は64であった。加えて、GPC測定を行ったが、重質物の生成は確認されなかった。
実施例1において、ヘプタンをトルエンに変更する以外は同様の手法によって、光臭素化反応を行った。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、(a)0.160%、(b)0.008%、(c)0.040%、(d)0.005%、(e)0.056%、(f)β-ブロモエチルベンゼン99.731%であった。また、色差計でのAPHA値は85であった。加えて、GPC測定を行ったが、重質物の生成は確認されなかった。
実施例1において、ヘプタンを四塩化炭素に変更する以外は同様の手法によって、光臭素化反応を行った。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、(a)0.181%、(b)0.091%、(c)0.023%、(d)0.093%、(e)0.088%、(f)β-ブロモエチルベンゼン99.524%であった。また、色差計でのAPHA値は60であった。加えて、GPC測定を行ったが、重質物の生成は確認されなかった。
実施例1において、ヘプタンをクロロベンゼンに変更する以外は同様の手法によって、光臭素化反応を行った。
GC測定の結果、(a)1.315%、(b)0.044%、(c)0.067%、(d)0.090%、(e)0.089%、(f)β-ブロモエチルベンゼン98.405%であった。また、色差計でのAPHA値は86であった。加えて、GPC測定を行ったが、重質物の生成は確認されなかった。
(水銀灯を光源としたブロモエチルベンゼンの製造法、精製したブロモエチルベンゼンの評価)
<光臭素化反応>
水銀灯保護用水冷ジャケット、還流冷却管、温度計挿入管、PTFEチューブアダプター2つを取り付けた5つ口円筒型反応に、窒素雰囲気下でヘプタン60.0gを仕込んだ。臭化水素ガスと別途調整した原料混合溶液(スチレン120.0g ヘプタン256.4g混合溶液)を供給するチューブ(PTFE製、内径3.17mm)をアダプターにそれぞれ取り付けた。臭化水素ガスを供給するチューブは、先端が反応液中に浸漬するように設置し、原料溶液を供給するチューブは反応器内に滴下するように設置した。
水銀灯をジャケットに挿入し、光照射を開始した。このとき、ジャケット外側から測定した光強度は90mW/cm2(スチレンのみのフィード流量1ml/minに対して81.5mW/cm2)であった。
光照射開始と同時に、臭化水素ガスと原料溶液の供給を開始した。それぞれの流量は、臭化水素ガス279.6ml/min、原料溶液4.3ml/minであった。フィード開始から2時間後、臭化水素ガスと原料溶液の供給を停止し、30分間水銀灯照射を継続し、残存したスチレンを反応させた。その後、反応溶液に窒素を流量500ml/minで1時間吹き込むことで、バブリング操作を行い、反応溶液中の臭化水素ガスを取り除いた。バブリング操作後の反応溶液に水60mlを添加し、分液した後、有機層を加熱濃縮し、ヘプタンを留去した。(80℃、2kPa、1時間)
留去後の試料を以下の分析に用いた。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、(a)0.054%、(b)n.d.(c)0.034%、(d)0.054%、(e)0.187%、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.596%であった。また、色差計でのAPHA値は347であった。GPC測定においても、重質物の生成は確認されなかった。
上記の結果より、光源が異なる実施例1の結果と比べて(a)~(e)の副生成物に関し、不純物(すなわち、副生成物)量、特に(e)ブロモジフェニルブタンの量が多いこと、APHA値は347であることから得られた生成物に着色が顕著に見られることが明らかとなった。
水銀灯の光源スペクトル中に含まれる、主に313nm付近の低波長領域の光が、各化合物の励起状態を変化させ、副反応や着色を引き起こしたと考えられる。
(水銀灯中の波長313nmの光を光源としたブロモエチルベンゼンの製造法、精製したブロモエチルベンゼンの評価)
<光臭素化反応>
実施例4の光臭素化を、光源装置(313nmバンドパスフィルター装着)を用い、反応器側面に当たる光強度を同様に2mW/cm2(スチレンのみのフィード流量1ml/minに対して10.9mW/cm2)になる位置に光源装置を設置し、同様の手法で行った。
GC測定の結果、各生成物の生成量は、a)0.944%、(b)n.d.(c)0.004%、(d)0.034%、(e)0.106%、(f)β-ブロモエチルベンゼンが98.892%であった。APHA値は、131であった。加えて、GPC測定を行ったが、重質物の生成は確認されなかった。
上記の結果より、同光強度で波長が異なる実施例4の結果と比べて、特に(e)ブロモジフェニルブタンの量が多いこと、APHA値は131であることから得られた生成物に着色が顕著に見られることが明らかとなった。
本結果は、同光強度においても低波長の光と用いることで、反応系内での各化合物の励起状態が変化し、副反応や着色を引き起こしたことに起因すると考えられる。
実施例1~9と比較例1~2の結果を表1に、(e)ジブロモジフェニルブタンの収率とAPHA値を図3に纏めた。表1及び図3より、実施例1~9から得られたβ―ブロモエチルベンゼンは、(a)~(e)の副生成物に対し、高純度かつ着色がないことは明らかである。
LEDを用いることで波長の領域を限定した実施例1~3と、広範囲に波長領域をもつ水銀灯を使用した比較例1を比べると、比較例1の場合、光臭素化反応によって得られるβ―ブロモエチルベンゼンは、ブロモジフェニルブタンの副生量が多くなり、かつ、着色が激しくなることが明白であった。
また実施例4と比較例2から、水銀灯に含まれる波長313nmの光が、ジブロモフェニルブタンの副生量の増加、着色を引き起こす可能性が高いことは明らかである。
なお、表1中、「n.d.」は0.001面積%を検出限界として示した。
なお、ガスクロマトグラフィー(GC)測定、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定、APHA値の測定、及び使用試薬は、前記したA.実施例1~9、比較例1~2と同じである。
照度計として、UVPad(Opsytec社製)を使用した。光源から水平方向に光検出部を設置し、照度(mW/cm2)を測定した。図6および図7に面照射LEDと水銀灯の相対照度を示すが、これは、反応器材質と同様のPYREX(登録商標)ガラスを介した測定結果であり、300nm以下の波長はPYREX(登録商標)ガラスに吸収されているため、検出されていない。
水銀灯に関しては、複数のメイン波長(313、365、405、435nm)が存在するが、測定範囲(200nm~440nm)における合計照度を水銀灯の照度として採用した。
反応条件における光の強度の基準として、液深(光源から水平方向の反応器直径)に対する光の強度を下記式で規定した。
(液深に対する光強度:mW/(cm2・mm)= E/L
E:照度(mW/cm2)
L:光源から水平方向の反応器直径(mm)
反応装置は、反応光源、反応器、送液装置、送ガス装置を組み合わせて使用し、それぞれ以下の条件にて使用した。
光源として、水銀灯1種とLED2種を使用した。
〔水銀灯〕
水銀灯は、以下の組み合わせの光源を反応装置内に挿入し検討を実施した。
ランプモデル HB100CH-4(セン特殊光源(株)社製、高圧水銀灯)
保護管 水銀灯保護用水冷ジャケット(PYREX(登録商標)ガラス製)
〔面照射LED〕
メイン波長365nmのLEDに関しては、以下の組み合わせの面照射タイプの光源を使用し、反応装置外部(側面)から照射し検討を実施した。
ランプモデル HLDL-200U6-1UCLKPSC(シーシーエス株式会社製)
ピーク波長 365nm(ピーク強度の50%の波長幅となる半値幅は+/-5nm程度)
放射面サイズ 200mm×200mm正方面
冷却方式 強制FAN空冷
電源 PSCC-60048(A)(シーシーエス株式会社製)
〔スポット照射LED〕
365nm以外の波長のLED光源装置として、LEDスポット照射器(ケイエルブイ株式会社製、ALE/1.1)を使用した。用いたピーク波長は、385nm、435nmであり、ピーク強度の50%の波長幅となる半値幅は+/-5nm程度であり、波長の裾野の幅とすると45nn(この場合は345nm~390nm)程度であった。
光源の形状および反応条件に合わせて4種の反応器を用いた。
〔水銀灯を用いる場合(バッチ反応)〕
5つ口共通摺合接続部(中央部ジャケット装着口×1、対角線上にその他取り付け口×4)を有した800ml円筒型反応器(PYREX(登録商標)ガラス製)に対し、中央部には光源ユニット〔水冷ジャケット付き保護管に高圧水銀灯を挿入したもの〕を挿入し、残る四つ口には、温度計挿入管、ガス導入管、原料導入管、ジムロート冷却管を取り付けた。
〔水銀灯を用いる場合(連続反応)〕
反応器側面に抜出口と、5つ口共通摺合接続部(中央部ジャケット装着口×1、対角線上にその他取り付け口×4)を有した200ml円筒型反応器(PYREX(登録商標)ガラス製)を用いて反応を実施した。反応器側面の抜出口は、共通摺合接続部を有したガラス管であり(反応器側面に対し、下向き75°の角度となるように設置)、反応液の容積が154mlを超えるとオーバーフローが発生する位置に取り付けた。中央部には光源ユニット〔水冷ジャケット付き保護管に高圧水銀灯を挿入したもの〕を挿入し、残る四つ口には、温度計挿入管、ガス導入管、原料導入管、ジムロート冷却管を取り付けた。
また、連続的に供給した原料および反応液がオーバーフローした混合溶液の受器として、反応器側面の抜出口に接続した200ml四つ口フラスコを設置した。
〔LEDを用いる場合(バッチ反応)〕
四つ口共通摺合接続部を有した500mlフラスコ(PYREX(登録商標)ガラス製)に、温度計挿入管、ガス導入管、原料導入管、ジムロート冷却管を取り付け、LED光源は反応器側面から水平方向に照射されるように設置した。
〔LEDを用いる場合(連続反応)〕
反応器側面に抜出口を有した1000ml円筒型セパラブルフラスコ(PYREX(登録商標)ガラス製)を用いて反応を実施した。反応器側面の抜出口は、共通摺合接続部を有したガラス管であり(反応器側面に対し、下向き75°の角度となるように設置)、反応液の容積が600mlを超えるとオーバーフローが発生する位置に取り付けた。また、セパラブルフラスコ外周部には熱媒が通液可能なジャケット(PYREX(登録商標)ガラス製)をフラスコと一体型となるように設置した。
セパラブルカバー(反応器上部)は、5つ口共通摺合接続部を有したものを使用し、温度計挿入管、ガス導入管、原料導入管、ジムロート冷却管、活栓を取り付けた。セパラブルフラスコとカバーはセパラブルフラスコ用のクランプで固定し、LED光源は反応器側面から水平方向に照射されるように設置した。また、連続的に供給した原料および反応液がオーバーフローした混合溶液の受器として、反応器側面の抜出口に接続した2000ml四つ口フラスコを設置した。
液体原料に関しては、定量ポンプ(FEM1.02FT.18S、ケーエヌエフ社製)を用いた。耐腐食性の観点から、ポンプヘッド及び送液チューブはPTFE製とした。
ガス原料に関しては、3Lガスボンベに腐食性ガス用減圧弁 ML-1VR-3X7G-P2N1 (日酸TANAKA(株)製)とデジタルマスフローコントローラ SEC-Z500X(堀場製作所製)、送ガス末端にはPTFE製チューブ取り付けて使用した。
(滞留時間100分、スチレン濃度100%条件でのブロモエチルベンゼンの連続製造法)
<反応>
反応器側面に抜出口を有した1000ml円筒型セパラブルフラスコ(PYREX(登録商標)ガラス製)に、ジムロート冷却管、温度計挿入管、PTFE製チューブアダプターを2つ取り付けたセパラブルカバーを取り付けてクランプで固定し、反応器側面の抜出口には、オーバーフローした混合溶液の受器として、反応器側面の抜出口に接続した2000ml四つ口フラスコ(以下、「オーバーフロー槽」ともいう。)を設置した。この反応容器に、窒素雰囲気下、スチレン(815.4g/7829.1mmol)と臭化水素ガス(760.2g/9394.9mmol、スチレンに対し1.2倍モル量)を供給するチューブ(PTFE製、内径3.17mm)をアダプターにそれぞれ取り付けた。臭化水素ガスを供給するチューブは、先端が反応液中に浸漬するように設置し、原料溶液を供給するチューブは反応器内に滴下するように設置した。このとき、反応の液深となる反応器直径(光が当たる側面とその反対側面までの水平距離)は、80mmであった。
光源側の水平方向反応器側面に当たる光強度が111mW/cm2(液深に対する光強度は、1.39mW/(cm2・mm))になる位置にLED面照射器を設置し、光照射を開始した。また、光照射開始と同時に、臭化水素ガスと原料溶液の供給を開始した。それぞれの流量は、臭化水素ガス1532ml/min、スチレン6ml/minであった。
フィード開始から100分後にオーバーフローが始まり、フィード開始から合計で150分間後に、原料のフィードを終了した。オーバーフローしてきた反応液を10分毎に6mlバイアル管に1mlサンプリングし、各反応液は水1mlで分液水洗したのち、有機層を分析した。
オーバーフロー後の反応液組成の経時変化は図5のようになった。図5の結果より、反応を終了した140分後には反応組成が安定していることが分かる。また、反応終了時(150分後)のサンプリング品をGC測定した結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが0.190%、(b)スチレンがn.d.(本明細書においては、0.001%を検出限界とし、0.001%未満をn.d.とする。以下も同じ。)、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンがn.d.、(e)ブロモジフェニルブタンがn.d.、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.810%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。色差計でのAPHA値は62であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
滞留時間(min)=(オーバーフロー容量(ml))÷(原料溶液のフィード速度(ml/min))
その他の実施例、比較例においても同様に算出した。
(滞留時間160分、スチレン濃度100%条件でのブロモエチルベンゼンの連続製造法)
<反応>
オーバーフローが始まる時間が160分となる(フィード流量:臭化水素ガス958ml/min、スチレン3.8ml/min)ようにすること以外は、実施例1と同様の方法で反応を実施し、フィード開始から合計で220分間後に、原料のフィードを終了した。オーバーフローしてきた反応液を10分毎に6mlバイアル管に1mlサンプリングし、各反応液は水1mlで分液水洗したのち、有機層を分析した。実施例10と同様の手法であるため、液深に対する光強度は、1.39mW/(cm2・mm)であった。
オーバーフロー後の反応液組成の経時変化を追跡した結果、反応を開始した180分後には反応組成が安定していることが分かった。反応終了時(220分後)のサンプリング品をGC測定した結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが0.771%、(b)スチレンが0.081%、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンがn.d.、(e)ブロモジフェニルブタンがn.d.、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.148%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また色差計でのAPHA値は55であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
(滞留時間130分、スチレン濃度80重量%条件でのブロモエチルベンゼンの連続製造法)
<反応>
反応器側面に抜出口を有した1000ml円筒型セパラブルフラスコ(PYREX(登録商標)ガラス製)に、ジムロート冷却管、温度計挿入管、PTFE製チューブアダプターを2つ取り付けたセパラブルカバーを取り付けてクランプで固定し、反応器側面の抜出口には、オーバーフローした混合溶液の受器として、反応器側面の抜出口に接続した2000ml四つ口フラスコ(以下、オーバーフロー槽ともいう)を設置した。この反応容器に、窒素雰囲気下、原料混合溶液〔スチレンとヘプタンの混合溶液のうち、スチレン濃度が80重量%とした溶液〕と臭化水素ガス(スチレンに対し1.2倍モル量)を供給するチューブ(PTFE製、内径3.17mm)をアダプターにそれぞれ取り付けた。臭化水素ガスを供給するチューブは、先端が反応液中に浸漬するように設置し、原料溶液を供給するチューブは反応器内に滴下するように設置した。この時、反応の液深となる反応器直径(光が当たる側面とその反対側面までの水平距離)は、80mmであった。
光源側の水平方向反応器側面に当たる光強度が111mW/cm2(液深に対する光強度は、1.39mW/(cm2・mm))になる位置にLED面照射器を設置し、光照射を開始した。また、光照射開始と同時に、臭化水素ガスと原料溶液の供給を開始した。それぞれの流量は、臭化水素ガス943ml/min、原料混合溶液4.6ml/minであった。
フィード開始から130分後にオーバーフローが始まり、フィード開始から合計で190分間後に、原料のフィードを終了した。オーバーフローしてきた反応液を10分毎に6mlバイアル管に1mlサンプリングし、各反応液は水1mlで分液水洗したのち、有機層を分析した。
オーバーフロー後の反応液組成の経時変化を追跡した結果、反応を開始した150分後には反応組成が安定していることが分かった。反応終了時(190分後)のサンプリング品をGC測定した結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが0.166%、(b)スチレンがn.d.、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンがn.d.、(e)ブロモジフェニルブタンがn.d.、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.834%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また、別途水洗操作を行った反応終了時(190分後)のサンプリング品(反応液10mlに対し、水10mlで分液水洗した有機層)をエバポレーターにてヘプタン留去(80℃、2kPa、1時間)した溶液を色差計にて分析した結果、APHA値は62であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
(滞留時間80分、スチレン濃度50重量%条件でのブロモエチルベンゼンの連続製造法)
<反応>
原料混合溶液のスチレン濃度が50重量%となるようにすること以外は、実施例12と同様の方法で反応を実施し、フィード開始から合計で140分間後に、原料のフィードを終了した。オーバーフローしてきた反応液を10分毎に6mlバイアル管に1mlサンプリングし、各反応液は水1mlで分液水洗したのち、有機層を分析した。実施例12と同様の手法であるため、液深に対する光強度は、1.39mW/(cm2・mm)であった。
オーバーフロー後の反応液組成の経時変化を追跡した結果、反応を開始した130分後には反応組成が安定していることが分かった。反応終了時(140分後)のサンプリング品をGC測定した結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが%、(b)スチレンが0.990%、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンがn.d.、(e)ブロモジフェニルブタンがn.d.、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.010%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また、別途水洗操作を行った反応終了時(140分後)のサンプリング品(反応液10mlに対し、水10mlで分液水洗した有機層)をエバポレーターにてヘプタン留去(80℃、2kPa、1時間)した溶液を色差計にて分析した結果、APHA値は65であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
(波長365nmのLEDを光源としたブロモエチルベンゼンのバッチ式製造法)
<反応>
ジムロート冷却管、温度計挿入管、PTFE製チューブアダプターを2つ取り付けた500ml4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、スチレン(180.0g/1728.3mmol)と臭化水素ガス(167.8g/2073.9mmol、スチレンに対し1.2倍モル量)を供給するチューブ(PTFE製、内径3.17mm)をアダプターにそれぞれ取り付けた。臭化水素ガスを供給するチューブは、先端が反応液中に浸漬するように設置し、原料溶液を供給するチューブは反応器内に滴下するように設置した。この時、反応の液深となる反応器直径(光が当たる側面とその反対側面までの距離)は、10mmであった。
光源側の水平方向反応器側面に当たる光強度が50mW/cm2(液深に対する光強度は、5.0mW/(cm2・mm))になる位置にLED面照射器を設置し、光照射を開始した。また、光照射開始と同時に、臭化水素ガスと原料溶液の供給を開始した。それぞれの流量は、臭化水素ガス423.0ml/min、スチレン1.7ml/minであった。
フィード開始から120分後に臭化水素ガスと原料溶液の供給を停止し、30分間光照射を継続し、残存したスチレンを反応させた。その後、反応溶液に窒素を流量500ml/minで1時間吹き込むことで、バブリング操作を行い、反応溶液中の臭化水素ガスを取り除いた。
バブリング操作後の反応溶液に水180mlを添加し、分液した後、有機層の分析をしたところ以下のような結果になった。
GC測定の結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが0.110%、(b)スチレンが0.030%、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンがn.d.、(e)ブロモジフェニルブタンがn.d.、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.860%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また色差計でのAPHA値は50であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
(波長385nmのLEDを光源としたブロモエチルベンゼンのバッチ式製造法)
<反応>
ジムロート冷却管、温度計挿入管、PTFE製チューブアダプターを2つ取り付けた500ml4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、スチレン(180.0g/1728.3mmol)と臭化水素ガス(167.8g/2073.9mmol、スチレンに対し1.2倍モル量)を供給するチューブ(PTFE製、内径3.17mm)をアダプターにそれぞれ取り付けた。臭化水素ガスを供給するチューブは、先端が反応液中に浸漬するように設置し、原料溶液を供給するチューブは反応器内に滴下するように設置した。この時、反応の液深となる反応器直径(光が当たる側面とその反対側面までの距離)は、10mmであった。
光源側の水平方向反応器側面に当たる光強度が300mW/cm2(液深に対する光強度は、30.0mW/(cm2・mm))になる位置にLEDスポット照射器(メイン波長385nm)を設置し、光照射を開始した。また、光照射開始と同時に、臭化水素ガスと原料溶液の供給を開始した。それぞれの流量は、臭化水素ガス423.0ml/min、スチレン1.7ml/minであった。
フィード開始から120分後に臭化水素ガスと原料溶液の供給を停止し、30分間光照射を継続し、残存したスチレンを反応させた。その後、反応溶液に窒素を流量500ml/minで1時間吹き込むことで、バブリング操作を行い、反応溶液中の臭化水素ガスを取り除いた。
バブリング操作後の反応溶液に水180mlを添加し、分液した後、有機層の分析をしたところ以下のような結果になった。
GC測定の結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが0.248%、(b)スチレンが0.078%、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンがn.d.、(e)ブロモジフェニルブタンがn.d.、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.674%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また色差計でのAPHA値は55であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
(波長435nmのLEDを光源としたブロモエチルベンゼンのバッチ式製造法)
<反応>
メイン波長を435nm(LEDスポット照射器)とすること以外は、実施例15と同様の方法で反応を実施した。実施例15と同様の手法であるため、液深に対する光強度は、30.0mW/(cm2・mm)であった。フィード開始から120分後に臭化水素ガスと原料溶液の供給を停止し、30分間光照射を継続し、残存したスチレンを反応させた。その後、反応溶液に窒素を流量500ml/minで1時間吹き込むことで、バブリング操作を行い、反応溶液中の臭化水素ガスを取り除いた。バブリング操作後の反応溶液に水180mlを添加し、分液した後、有機層の分析をしたところ以下のような結果になった。
GC測定の結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが0.540%、(b)スチレンが0.098%、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンがn.d.、(e)ブロモジフェニルブタンがn.d.、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.362%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また色差計でのAPHA値は45であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
(滞留時間160分、スチレン濃度50重量%条件でのブロモエチルベンゼンの連続製造法)
<反応>
光源側の水平方向反応器側面に当たる光強度が40mW/cm2(液深に対する光強度は、0.50mW/(cm2・mm))になる位置にLED面照射器を設置すること、オーバーフローが始まる時間が160分となる(フィード流量:臭化水素ガス479ml/min、スチレン3.8ml/min)以外は、実施例3と同様の方法で反応を実施し、フィード開始から合計で220分間後に、原料のフィードを終了した。オーバーフローしてきた反応液を10分毎に6mlバイアル管に1mlサンプリングし、各反応液は水1mlで分液水洗したのち、有機層を分析した。
オーバーフロー後の反応液組成の経時変化を追跡した結果、反応を開始した220分後には反応組成が安定していることが分かった。反応終了時(220分後)のサンプリング品をGC測定した結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが0.490%、(b)スチレンが0.045%、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンがn.d.、(e)ブロモジフェニルブタンがn.d.、(f)β-ブロモエチルベンゼンが99.010%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また、別途水洗操作を行った反応終了時(220分後)のサンプリング品(反応液10mlに対し、水10mlで分液水洗した有機層)をエバポレーターにてヘプタン留去(80℃、2kPa、1時間)した溶液を色差計にて分析した結果、APHA値は64であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
(水銀灯を光源とした滞留時間53分、スチレン濃度80%条件におけるブロモエチルベンゼンの連続製造法)
<反応>
反応器側面に抜出口を有した200ml円筒型反応器(PYREX(登録商標)ガラス製)に、水銀灯保護用水冷ジャケット、ジムロート冷却管、温度計挿入管、PTFE製チューブアダプターを2つ取り付け、反応器側面の抜出口には、オーバーフローした混合溶液の受器として、反応器側面の抜出口に接続した1000ml四つ口フラスコ(以下、オーバーフロー槽ともいう)を設置した。この反応容器に、窒素雰囲気下、原料混合溶液(スチレン濃度が80重量%となるようにスチレンとヘプタンを混合した溶液)と臭化水素ガス(スチレンに対し1.2倍モル量)を供給するチューブ(PTFE製、内径3.17mm)をアダプターにそれぞれ取り付けた。臭化水素ガスを供給するチューブは、先端が反応液中に浸漬するように設置し、原料溶液を供給するチューブは反応器内に滴下するように設置した。この時、反応の液深となる反応器直径(光が当たる側面とその反対側面までの距離)は、7.5mmであり、中央光源から水平方向反応器側面に当たる光強度は40mW/cm2(液深に対する光強度は、5.33mW/(cm2・mm))であった。水銀灯点灯と同時に水銀灯保護管内に水冷用の水道水の通液を開始し、水銀灯の光強度安定化のため、点灯後、15分間経過したのちに、臭化水素ガスと原料溶液の供給を開始した。それぞれの流量は、臭化水素ガス593.1ml/min、原料混合溶液2.9ml/minであった。
フィード開始から53分後にオーバーフローが始まり、フィード開始から合計で120分間後に、原料のフィードを終了した。オーバーフローしてきた反応液を6mlバイアル管に1mlサンプリングし、各反応液は水1mlで分液水洗したのち、有機層を分析した。
オーバーフロー後の反応液組成の経時変化を追跡した結果、反応を終了した100分後には反応組成が安定していることが分かった。反応終了時(120分後)のサンプリング品をGC測定した結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが4.300%、(b)スチレンが0.198%、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンが0.050%、(e)ブロモジフェニルブタンが0.050、(f)β-ブロモエチルベンゼンが95.402%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また、別途水洗操作を行った反応終了時(120分後)のサンプリング品(反応液10mlに対し、水10mlで分液水洗した有機層)をエバポレーターにてヘプタン留去(80℃、2kPa、1時間)した溶液を色差計にて分析した結果、APHA値は145であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
(水銀灯を光源とした滞留時間53分、スチレン濃度60%条件におけるブロモエチルベンゼンの連続製造法)
<反応>
原料混合溶液のスチレン濃度が50重量%となること以外は、比較例1と同様の方法で反応を実施し、フィード開始から合計で120分間後に、原料のフィードを終了した(液深に対する光強度は、5.33mW/(cm2・mm))。オーバーフローしてきた反応液を6mlバイアル管に1mlサンプリングし、各反応液は水1mlで分液水洗したのち、有機層を分析した。
オーバーフロー後の反応液組成の経時変化を追跡した結果、反応を終了した120分後には反応組成が安定していることが分かった。反応終了時(120分後)のサンプリング品をGC測定した結果、各生成物の生成量(ピーク面積比)は、(a)α-ブロモエチルベンゼンが1.414%、(b)スチレンが0.192%、(c)フェニルエタノールがn.d.、(d)ジブロモエチルベンゼンが0.048%、(e)ブロモジフェニルブタンが0.051、(f)β-ブロモエチルベンゼンが98.295%であった。以下、(a)~(f)の記号は同じ生成物を意味する。また、別途水洗操作を行った反応終了時(120分後)のサンプリング品(反応液10mlに対し、水10mlで分液水洗した有機層)をエバポレーターにてヘプタン留去(80℃、2kPa、1時間)した溶液を色差計にて分析した結果、APHA値は155であった。これらの結果を、表2及び表3に各実施例及び比較例の反応成績として示す。GPC測定においても重質物の生成は確認されなかった。
Claims (9)
- スチレンと臭化水素が導入された反応器内に電磁波を照射して、ラジカル付加反応によりβ-ブロモエチルベンゼンを製造する方法であって、
前記β-ブロモエチルベンゼン中の(a)α-ブロモエチルベンゼン、(b)スチレン、(c)フェニルエタノール、(d)ジブロモエチルベンゼン及び(e)ブロモジフェニルブタンのガスクロマトグラフィーで求めた各々のピーク面積比が、(a)≦2.00%、(b)≦0.10%、(c)≦0.10%、(d)≦0.10%、及び(e)≦0.10%(但し、β-ブロモエチルベンゼンと(a)~(e)のピーク面積の総和は100)であり、
照射される電磁波は、ピーク波長が320nm以上450nm以下の範囲にある、高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。 - さらにβ-ブロモエチルベンゼンのAPHA値≦100である、請求項1に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
- 照射される電磁波は、二つ以上のピーク波長が320nm以上450nm以下の範囲にある、請求項1又は請求項2に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
- 電磁波が透過する液深Lと、液深Lに入射する光照度Eの比E/Lが、0.5mW/(cm2・mm)以上となる、請求項1~3のいずれか一項に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
- 電磁波の照射が、紫外線LED、可視光LED、有機EL、無機EL、水銀灯および無水銀灯からなる群から選ばれる少なくとも1種の光源を用いて行なう、請求項1~4のいずれか一項に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
- スチレンと臭化水素が導入された反応器内に電磁波を照射する、請求項1~5のいずれか一項に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
- 有機溶媒、スチレン及び臭化水素が導入された反応器内に電磁波を照射する、請求項1~6のいずれか一項に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
- 有機溶媒が、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン及び1,2-ジクロロエタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の組合せとなる、請求項7に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
- スチレンと有機溶媒の混合溶液中のスチレン含量が50重量%以上100重量%未満となる混合溶液と臭化水素が導入された反応器内に電磁波を照射する、請求項7又は請求項8に記載の高純度β-ブロモエチルベンゼンの製造方法。
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