JP7085856B2 - 鋼製セグメント及びシールドトンネル - Google Patents
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Description
しかしながら、例えば、2つの鋼製セグメントから形成されるシールドトンネルを、その中央で鋼製のセグメントからなる切り開き部にて連結するような構成の大断面トンネルでは、トンネルの全構成部材が鋼製セグメントであることから、それぞれの鋼製セグメントが自身の負担すべき荷重を負担しなければ、他の鋼製セグメントに影響を与えてしまう。すなわち、施工過程において、または施工完了の状態において、曲げモーメントが過大になる部位が生じる場合でも、当該部位においてこの過大な曲げモーメントに対処する必要がある。
また、本態様によれば、各種ボルトの締結を行った後からコンクリートを充填し硬化体を形成できるので、コンクリートの重量を除いた比較的軽量な鋼製セグメントの状態で運搬、組み立て作業等の施工を行うことができる。
また、一般に、セグメント組み立て前に、コンクリート硬化体が形成された状態で各種ボルトの締結を行うためには、各種ボルトの挿入及び締結治具の作業空間確保のためにボルトボックス等の箱抜きが必要となるが、本態様のコンクリート硬化体は、各種ボルトを埋め殺すように、リング継ぎボルト及びセグメント継ぎボルトの露出部分、すなわち前者であれば主桁、後者であれば継手板からそれぞれ突出しているボルト,ナット,ワッシャ部分を直接被覆するように複数の主桁間に一体的に充填されることで形成されるため、ボルトボックス等の断面欠損を考慮することなく、コンクリート硬化体の全断面を有効とした高耐力かつ高じん性なセグメントを実現できる。
したがって、本態様はボルトが密集する場合に特に有利な構造である。
さらに、本態様によれば、コンクリートの打設時期を任意に設定できるので、コンクリートを打設する前の鋼製セグメントのみが受け持つ応力と、コンクリート硬化体が形成された後のコンクリート硬化体を一体に形成した鋼製セグメントが受け持つ応力とを施工状況に応じて適切に計画、制御することが可能となる。
また、鋼製セグメント内面にコンクリートが配設されるため、ボルト及び鋼材の腐食を防ぐことができ、重防食塗装を省略することにより工費を減らすことが可能となる。
なお、本態様の鋼製セグメントは、2つの桁を有する2主桁タイプの鋼殻構造を有していてもよいし、3つ以上の桁を有する3主桁以上タイプの鋼殻構造を有していてもよい。
本態様によれば、桁とスキンプレートとを有する一般的な鋼製セグメントを使用し、桁の端部領域の桁高のみを高くし、この高さの継手板を桁の端部に接続することにより、この改良に伴う鋼製セグメントの製作コストの増加を可及的に抑制することができる。
本態様によれば、桁の剛性と同程度の剛性もしくはそれ以上の剛性のフランジが、スキンプレートに代わって桁の外周側に取付けられていることにより、鋼製セグメント全体の剛性を高めることができる。そして、桁の端部領域と高剛性のフランジの双方に継手板が接続されることにより、鋼製セグメントの接続部の剛性をより一層高めることができる。
本態様によれば、フランジが桁同士を繋ぐ幅を有していないことより、フランジの材料費を低減しながら、剛性の高い鋼製セグメントを形成できる。なお、フランジが桁同士を繋いでいないことより、双方のフランジの外側に土砂の浸入を防止するスキンプレートが必要になる。
本態様によれば、継手板が、桁の近傍においてセグメント継ぎボルト孔を備えていることにより、セグメント継ぎボルト孔に挿通されて鋼製セグメント同士を繋ぐセグメント継ぎボルトを介して伝達されてきた軸力を、効果的に桁に伝達させることができる。
本態様によれば、縦リブによって鋼製セグメントの剛性を高めることができる。この縦リブは、周方向に所定間隔を置いて複数配設されるのが好ましい。
まず、第1の実施形態に係る鋼製セグメントについて説明する。図3は、第1の実施形態に係る鋼製セグメントの斜視図である。図3に示すように、鋼製セグメント10は、周方向に延設する所定の曲率を備えた2つの桁1と、2つの桁1の外周側(形成されるセグメントリングの外側(地山側))において桁1同士を繋いで周方向に延設するフランジ2A(鋼製プレート2)と、桁1及びフランジ2Aの両端部に取付けられている継手板3とを有する。そして、鋼製セグメント10はさらに、箱型の鋼殻の内部に、コンクリート硬化体7を備えており、桁1、スキンプレート2B、継手板3、及び縦リブ4とコンクリートが一体となっている合成セグメントを形成している。
次に、第2の実施形態に係る鋼製セグメントについて説明する。図5は、第2の実施形態に係る鋼製セグメントの斜視図である。図5に示すように、鋼製セグメント20は、周方向に延設する所定の曲率を備えた2つの桁1と、2つの桁1を繋ぐスキンプレート2B(鋼製プレート2)と、桁1及びスキンプレート2Bの両端部に取付けられている継手板3とを有する。すなわち、図3に示す鋼製セグメント10との相違点は、フランジ2Aに代わって、一般のスキンプレート2Bを適用し、さらに、2つの桁1間の幅をより広くしている点である。
次に、第3の実施形態に係る鋼製セグメントについて説明する。図6は、第3の実施形態に係る鋼製セグメントの斜視図である。図6に示すように、鋼製セグメント30は、周方向に延設する所定の曲率を備えた2つの桁1と、2つの桁1の外周側において、桁1同士を繋がずに周方向に延設するフランジ2Cと、外周側の左右のフランジ2Cの外周側に配設されたスキンプレート2Bと、桁1及びフランジ2Cの両端部に取付けられている継手板3とを有する。
次に、第4の実施形態に係る鋼製セグメントについて説明する。図7は、第4の実施形態に係る鋼製セグメントの斜視図である。図7に示すように、鋼製セグメント40は、周方向に延設する所定の曲率を備え、左右および中央に配設された3つの桁1と、3つの桁1の外周側に配設されてこれらの桁1に接続されるスキンプレート2Bと、桁1及びスキンプレート2Bの両端部に取付けられている継手板3とを有する。例えば、図5に示す鋼製セグメント20よりも幅の広い鋼製セグメント40であり、従って、鋼製セグメント40の剛性を高めるべく、3つの桁1を有している。なお、桁1の数は4つ以上であってもよい。
次に、実施形態に係るシールドトンネルについて説明する。図9は、実施形態に係るシールドトンネルを有する大断面トンネルを説明する断面図である。図11に示す大断面トンネル300は、シールドトンネルからなる本線トンネル100と、シールドトンネルからなるランプトンネル200と、これら本線トンネル100とランプトンネル200を繋ぐ切り開きトンネルCTと、を有する。
1 :桁
1a :リング継ぎボルト孔
2 :鋼製プレート
2A,2C :フランジ
2B :スキンプレート
3,3A,3B :継手板
3a :セグメント継ぎボルト孔
4 :縦リブ
5A,5B :桁高増しピース
5C,5D :桁高増しピース
5a :テーパー部
5b :水平部
5c :湾曲部
6A :継手部(高剛性継手部)
6B :継手部
7 :コンクリート硬化体
11 :端部領域
12 :他の領域
100 :シールドトンネル(本線トンネル)
200 :シールドトンネル(ランプトンネル)
300 :大断面トンネル
S :鋼製セグメント
J :継手部
ST1 :シールドトンネル(本線トンネル)
ST2 :シールドトンネル(ランプトンネル)
CT :切り開きトンネル
SP1、SP2 :補強梁
SP3、SP4 :補強梁
Claims (5)
- トンネルの周方向と該周方向に直交する軸方向に、リング継ぎボルト及びセグメント継ぎボルトを介して連結され、該トンネルを形成する鋼製セグメントであって、
前記周方向に延設するとともに、前記軸方向に間隔を置いて並設される、リング継ぎボルト孔を備えた複数の桁と、
前記周方向に延設するとともに、前記桁の外周側に取付けられている鋼製プレートと、
前記桁及び前記鋼製プレートの両端部に取付けられていて、セグメント継ぎボルト孔を備えている継手板と、
前記複数の桁の間に形成されたコンクリート硬化体と、を少なくとも有し、
前記鋼製セグメントに隣接する他の鋼製セグメントと前記リング継ぎボルト及び前記セグメント継ぎボルトとによって締結された状態で前記コンクリート硬化体が前記リング継ぎボルト及び前記セグメント継ぎボルトの露出部分を直接覆うように充填されて形成されており、
前記継手板の板厚が、前記桁内面から該桁に最近接する前記セグメント継ぎボルトの反力図心までの距離以上となるように該セグメント継ぎボルト孔および該セグメント継ぎボルトが配設されていることを特徴とする、鋼製セグメント。 - 前記鋼製プレートがフランジであり、該フランジは、その剛性が前記桁の剛性と大きく異ならない、もしくは、その剛性が前記桁の剛性と同じかそれ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼製セグメント。
- 前記鋼製プレートがフランジとスキンプレートとを含み、
前記フランジは、前記桁の外周側の側面から側方に所定幅だけ張出して他方の桁まで延びておらず、該フランジの外側に前記スキンプレートが取付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の鋼製セグメント。 - 前記継手板が、前記桁の近傍において、該桁に沿う方向に複数のセグメント継ぎボルト孔を備えていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鋼製セグメント。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複数の鋼製セグメントが前記周方向の少なくとも必要な領域に配設され、対向する二つの前記継手板のそれぞれの対応する前記セグメント継ぎボルト孔に前記セグメント継ぎボルトが取付けられてセグメントリングが形成され、
複数の前記セグメントリングが前記軸方向において少なくとも必要な領域に配設され、対向する前記桁のそれぞれの対応する前記リング継ぎボルト孔同士に前記リング継ぎボルトが取付けられて形成されていることを特徴とする、シールドトンネル。
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