JP7085661B1 - 鉄基焼結合金製バルブシート - Google Patents
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Abstract
Description
[1]基地相と、
前記基地相中に分散した、互いに異なる成分組成を有する第1硬質粒子及び第2硬質粒子と、
を有する鉄基焼結合金製バルブシートであって、
前記基地相は、0.1~5.0質量%のWを含有し、
前記第1硬質粒子がFe-Mo合金粒子であり、
前記第2硬質粒子がCrを10質量%以上含有する高Cr含有Fe系合金粒子である、
ことを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
(i)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:4~20%、及びC:3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo合金粒子
(ii)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:8~20%、W:5~20%、及びC:3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo-W合金粒子
(iii)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:4~6%、Si:0.5~2.0%、及びC:1.0~2.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo-Si-C合金粒子
基地相は、W含有合金粉を必須で含み、さらに純鉄粉及び低合金粉の一方又は両方を任意で含む原料粉末を加圧・焼結してなる鉄基焼結合金である。
SKH50は、質量%で、C:0.77~0.87%、Si:0.70%以下、Mn、0.45%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:3.50~4.50%、Mo:8.00~9.00%、W:1.40~2.00%、V:1.00~1.40%、及びCu:0.25%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する。
SKH51は、質量%で、C:0.80~0.88%、Si:0.45%以下、Mn、0.40%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:3.80~4.50%、Mo:4.70~5.20%、W:5.90~6.70%、V:1.70~2.10%、及びCu:0.25%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する。
SKH52は、質量%で、C:1.00~1.10%、Si:0.45%以下、Mn、0.40%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:3.80~4.50%、Mo:5.50~6.50%、W:5.90~6.70%、V:2.30~2.60%、及びCu:0.25%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する。
SKH53は、質量%で、C:1.15~1.25%、Si:0.45%以下、Mn、0.40%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:3.80~4.50%、Mo:4.70~5.20%、W:5.90~6.70%、V:2.70~3.20%、及びCu:0.25%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する。
SKH54は、質量%で、C:1.25~1.40%、Si:0.45%以下、Mn、0.40%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:3.80~4.50%、Mo:4.20~5.00%、W:5.20~6.00%、V:3.70~4.20%、及びCu:0.25%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する。
SKH58は、質量%で、C:0.95~1.05%、Si:0.70%以下、Mn、0.40%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:3.50~4.50%、Mo:8.20~9.20%、W:1.50~2.10%、V:1.70~2.20%、及びCu:0.25%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する。
本実施形態において、第1硬質粒子はFe-Mo合金粒子であり、好ましくは、質量%で、Mo:40~70%、Si:2.0%以下、及びC:0.1%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Mo合金粒子である。この第1硬質粒子は、腐食環境下での200℃以下の低温における耐摩耗性の向上に寄与する。なお、Si量は0.4質量%以上であることが好ましい。
本実施形態において、第2硬質粒子は、Crを10質量%以上含有する高Cr含有Fe系合金粒子であることが肝要である。第2硬質粒子として、Crを10質量%以上含有する高Cr含有Fe系合金粒子を採用しつつ、既述のとおり、基地相中に所定量のWを含有させることによって、第2硬質粒子から基地相へのCrの拡散が抑制され、第2硬質粒子の硬度低下が抑制される。その結果、腐食環境下での低温から高温までの広温度域での耐摩耗性を向上させることができる。
(i)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:4~20%、及びC:3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo合金粒子
(ii)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:8~20%、W:5~20%、及びC:3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo-W合金粒子
(iii)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:4~6%、Si:0.5~2.0%、及びC:1.0~2.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo-Si-C合金粒子
第2硬質粒子のCr量は20質量%以上であることが好ましく、上記(i)~(iii)の粒子においてもCr量は20質量%以上であることが好ましい。
腐食環境下での耐摩耗性をより十分に向上させる観点から、第1硬質粒子及び第2硬質粒子の総含有量は20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。また、焼結性を悪化させず、十分な強度を確保する観点から、第1硬質粒子及び第2硬質粒子の総含有量は40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態において、自己潤滑効果を得る観点から、基地相は固体潤滑剤をさらに含んでもよい。固体潤滑剤は、C、BN、MnS、MoS2、CaF2、WS2、及びSiO2から選択される少なくとも一種であることが好ましい。なお、高温環境下での高い耐摩耗性を阻害しない観点から、固体潤滑剤の含有量は、鉄基焼結合金製バルブシートの全体に対して0.5~3.0質量%であることが好ましい。
本実施形態による鉄基焼結合金製バルブシート10,21の相構成は、基地相と、第1硬質粒子及び第2硬質粒子からなる硬質相と、硬質相の合金元素が基地相に拡散して形成された合金拡散相と、からなる。基地相及び合金拡散相は、パーライト、マルテンサイト、ベイナイト、ソルバイト、オーステナイト、及び炭化物からなる組織を有し、基地相及び合金拡散相の合計の面積率は30~70%であることが好ましい。基地相は、Cr、Mo、V、W及びFeの1種又は2種以上の二次炭化物を含むことが好ましい。硬質相の面積率は、70~30%であることが好ましい。
本実施形態では、鉄基焼結合金の全体の成分組成が、質量%で、Cr:2.0~7.0%、Ni:0.5~3.0%、Mo:8.0~20.0%、W:0.1~5.0%、V:0.1~2.0%、C:1.5%以下、及びSi:2.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態による鉄基焼結合金製バルブシートを製造するための好適な方法について説明する。まず、基地相となる原料粉末(W含有合金粉、任意で純鉄粉及び低合金粉)と、基地相中に分散させる第1硬質粒子及び第2硬質粒子と、任意の固体潤滑剤粉末とを所定の比率で混合して、混合粉末を得る。
基地相となる原料粉末と、表1に記載の種類、配合量、及び硬度を有する第1硬質粒子と、表1に記載の種類、配合量、及び硬度を有する第2硬質粒子と、表1に記載の種類及び配合量を有する固体潤滑剤の粉末とを混合して、混合粉末を得た。混合粉末の合計量に対して、ステアリン酸塩を0.5質量%、離型剤として添加した。なお、基地相となる原料粉末としては、JIS G 4403(2015)によるSKH鋼粉末と、低合金粉としてのFe-Cr-Mo合金粉と、純鉄粉と、モリブデン粉末と、黒鉛粉末と、を適宜組み合わせて用いた。
各発明例及び比較例のバルブシートサンプルを、80℃の腐食液(pH1の硝酸)に30分間浸漬し、その後、図3に示す単体摩耗試験機による叩き摩耗試験に供した。バルブシートサンプル34は、シリンダヘッド相当材のバルブシートホルダ32に圧入して試験機にセットされる。摩耗試験は、バーナー31によりバルブ33及びバルブシートサンプル34を加熱しながら、カム37の回転に連動してバルブ33を上下させることによって行われる。なお、バルブシートサンプル34には熱電対35,36を埋め込み、バルブシートサンプル34の当たり面が所定の試験温度になるようにバーナー31の火力を調節する。バルブシートサンプル34はバルブ33よって繰り返し叩かれることにより摩耗する。試験前後のバルブシートサンプル34の形状を測定することにより、当たり面の後退量を算出し、摩耗量とした。バルブ33は、上記バルブシートサンプルに適合するサイズのSUH35合金(JIS G 4311)製のものを使用した。試験条件としては、温度150~350℃、力ム回転数3000rpm、試験時間5時間とした。各発明例及び比較例での摩耗量を表1に示す。
10A シート面
20 バルブシート
21 シート層(鉄基焼結合金製バルブシート)
21A シート面
22 支持層
31 バーナー
32 バルブシートホルダ
33 バルブ
34 バルブシートサンプル
35 熱電対(高温側)
36 熱電対(低温側)
37 カム
Claims (8)
- 基地相と、
前記基地相中に分散した、互いに異なる成分組成を有する第1硬質粒子及び第2硬質粒子と、
を有する鉄基焼結合金製バルブシートであって、
前記基地相は、0.1~5.0質量%のWを含有し、
前記第1硬質粒子がFe-Mo合金粒子であり、
前記第2硬質粒子がCrを10質量%以上含有する高Cr含有Fe系合金粒子である、
ことを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。 - 前記第1硬質粒子が、質量%で、Mo:40~70%、Si:2.0%以下、及びC:0.1%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Mo合金粒子である、請求項1に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
- 前記第2硬質粒子が、以下の(i)~(iii)から選択された少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
(i)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:4~20%、及びC:3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo合金粒子
(ii)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:8~20%、W:5~20%、及びC:3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo-W合金粒子
(iii)質量%で、Cr:10~30%、Ni:10~18%、Mo:4~6%、Si:0.5~2.0%、及びC:1.0~2.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有するFe-Cr-Ni-Mo-Si-C合金粒子 - 前記第1硬質粒子及び前記第2硬質粒子の総含有量が20~40質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
- 前記第1硬質粒子の含有量が10質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
- 前記第2硬質粒子の含有量が7質量%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
- 前記鉄基焼結合金の全体の成分組成が、質量%で、Cr:2.0~7.0%、Ni:0.5~3.0%、Mo:8.0~20.0%、W:0.1~5.0%、V:0.1~2.0%、C:1.5%以下、及びSi:2.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
- 固体潤滑剤を0.5~3.0質量%含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
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- 2022-01-18 WO PCT/JP2022/001665 patent/WO2022185758A1/ja active Application Filing
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JPH06172942A (ja) * | 1992-12-04 | 1994-06-21 | Toyota Motor Corp | 耐摩耗性鉄基焼結合金 |
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