JP7082537B2 - トンネルのタイル撤去方法及び補修用加熱装置 - Google Patents
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Description
そして、磁器タイルをコンクリート壁面に貼る施工方法として、モルタル貼りに比べて養生時間が不要で作業性に優れ、低温化での硬化性も良いものとして、例えば、エポキシ樹脂系接着剤を使用して直接壁面に貼る直貼り工法が実施されてきている。
特に、コンクリート躯体の接着拘束は、タイル貼り壁面の端部よりも中央部が大きく、前述の伸縮の発生に基づいて、端部から剥離が発生しやすいということが確認されている。
これに対し、最近、トンネルのコンクリート内壁面に貼られた磁器タイルを、コンクリート躯体から取り外して、それらの磁器タイルを撤去したコンクリート躯体の内側壁面を、再び内装できる様にするトンネルのタイル撤去方法が考えられている。その上、多数の箇所や、多数枚に亘って剥離、剥落が発生している長いトンネルにおいては、今後の安全のためにも、広範囲又は全面的に磁器タイルを撤去しなければならない。
そこで従来、コンクリート躯体の内壁面から磁器タイルを取り外すのには、電動チッパーによる人力作業で撤去するハツリ処理が一般的で、接着剤による接着力の強さが大きい所も含めて磁器タイルを撤去するには、トンネル内の長い距離に亘り多大の労力が必要であった(適切な文献が見当たらない)。
従って、本発明の目的は、上述した従来のトンネルのコンクリート躯体から、少ない労力でトンネルの道路に沿って長距離に亘って貼られた多数枚の磁器タイルを短時間で撤去して、再びコンクリート躯体の内側壁面を内装できるようにするところにある。
その上、磁器タイルを撤去することで、経時変化で磁器タイルが剥落する等の危険な状況は防止でき、安全を確保できる。
図1、図2に、道路1に沿ったコンクリート躯体2の内側壁面の内、特に横側面に、合成樹脂接着剤3としてエポキシ樹脂系接着剤を介して多数枚の磁器タイル4を直接貼ってある磁器タイル4直貼りトンネルを示してある。
そのトンネルの左右横側面の内の少なくとも一側方のコンクリート躯体2の一部には、道路1に沿った所定間隔置きに火災検知器を取り付けると共に、消火栓、消火器の設置部(図外)を設けてあり、且つ、道路1に沿って交通監視員の通行用の段部5が設けてあり、前記通行用の段部5には、道路1に沿った所定間隔置きにハンドホール6が形成してある。
[トンネル直貼りタイル撤去工程]
1、 試験施工に先立ち、施工範囲の円形水路にタイルが落下しないように鉄板を用いて養生すると共に、火災検知器に養生を行う。
2、 火災検知器を施設制御室において、連動状態から不連動状態に切換え連絡すると共に、各1km毎に監視員を配置し、作業開始まで待機する。
3、 既設内装タイルの一部を電動チッパー19を用いて撤去して、背面エポキシ樹脂接着剤の接着状況の確認を行い、タイルの表面加熱による熱伝導を実施した場合との比較データとしての基礎データの収集を行う。
4、 壁面補修用加熱装置7における加熱装置10としての遠赤外線ヒーターに着火し、遠赤外線ヒーターを始動させる。
5、 遠赤外線ヒーターを、既設内装タイル前面に移動させ、約300℃前後に加熱し、背面エポキシ樹脂接着剤の接着強度の低下状況を確認する(図3)。
6、 監視員通路内の施設ハンドホール6を開口し、ハンドホール6内のコンクリート温度を測定確認し、コンクリート温度が40℃以上になった場合は、作業を中止する。
7、 遠赤外線ヒーターにより温めた既設内装タイルを、電動チッパー19を用いて既設内装タイルを撤去する(図6)。
8、 施工予定箇所のタイルの撤去が終了した段階で、遠赤外線ヒーターを消灯し、施設制御室に火災検知器の不連動状態から連動状態に切り替えるように連絡すると共に、各1km毎に配置した監視員による監視を解除する。
9、 路面等に飛散したタイルなどを清掃し、片付けを実施する。
[壁面補修用加熱装置]
図2~図5に示すように、前記多数枚の磁器タイル4をその表面側から加熱する壁面補修用加熱装置7であって、道路1に沿って走行移動可能な走行装置8を備えた走行基台9を設け、多数枚の磁器タイル4の表面に遠赤外線を照射する遠赤外線ヒーターからなる加熱装置10を設け、その加熱装置10をタイル貼り壁面に沿って上下位置変更調整可能な平行4連アーム11を設けた高さ調整機構12を介して、前記走行基台9に取り付けてある。
前記高さ調整機構12は、上下軸心P回りに左右に旋回自在に走行基台9に取り付けてある支柱16を設け、その支柱16の上端部に平行4連アーム11を取り付け、平行4連アーム11の先端部に、複数枚の燃焼加熱板14が取り付けてある。
そして平行4連アーム11の上下動は、支柱16と平行4連アーム11とに亘って取り付けた伸縮アクチュエーター17によって操作可能にしてある。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 図7~図11に示すように、前記高さ調整機構12には、加熱装置10による遠赤外線の照射方向をトンネルの内壁面に対向すべく上下搖動自在に照射角度変更部15を設けてもよい。この場合、トンネル内の垂直壁面はもとより、上部の曲面の内側壁面に対しても照射角度変更部15で加熱装置10による遠赤外線の照射方向を変更でき(特に図10、図11)、そのために、トンネルの上部の曲面部に貼ってある磁器タイル4に対しても取り外し作業を簡単に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
〈2〉 前記燃焼加熱板14は、図11に示すように4枚を上下に併設して隣接する物同士を互いに上下搖動自在に連結し、上下両端部の物同士に亘って連結した伸縮ロッド18の伸縮操作で、磁器タイル4の貼られた湾曲壁面の曲率に合わせて全体として赤外線放射曲面を形成可能に構成してあっても良い。
〈3〉 前記壁面補修用加熱装置7は、走行基台9として、例えばバックホウ等の走行装置として自走式の動力を備えるものでもよい。自走式の走行装置8を備えることにより、長距離のトンネルの内壁面のタイル撤去作業を、より労力少なく楽に行えるようになる。
〈4〉 前記加熱装置10は、燃焼加熱式遠赤外線ヒーター以外に、燃焼バーナーや電気温風ヒーターによるタイル表面の直接温風加熱装置、電熱加熱式遠赤外線照射ヒーター、蒸気加熱装置等、から構成してあっても良い。
2 コンクリート躯体
3 合成樹脂接着剤
4 磁器タイル
Claims (5)
- 道路に沿った上部が略半円筒状のコンクリート躯体の内側壁面に、合成樹脂接着剤を介して多数枚の磁器タイルを貼ってあるトンネルにおいて、
前記道路に沿って多数枚の磁器タイルを前記コンクリート躯体の内側壁面における曲面部から取り外して、それらの磁器タイルを撤去したコンクリート躯体の内側壁面を、再び内装できる様にするトンネルのタイル撤去方法であって、
前記コンクリート躯体の内側壁面における曲面部から前記磁器タイルを取り外す前に、加熱装置に設けた加熱板によって前記曲面部の曲率に合わせて全体として赤外線放射曲面を形成して、前記多数枚の磁器タイルを貼ってある曲面部のタイル貼り壁面を、その表面側から加熱して前記多数枚の磁器タイルと前記合成樹脂接着剤との界面を昇温させた後に、前記多数枚の磁器タイルを前記コンクリート躯体から機械的に剥離し、
磁器タイルを撤去した前記コンクリート躯体の内側壁面を、再び内装できる様にするトンネルのタイル撤去方法。 - 前記合成樹脂接着剤がエポキシ樹脂接着剤であって、磁器タイルの背面温度を100℃~200℃に昇温させる請求項1に記載のトンネルのタイル撤去方法。
- 前記多数枚の磁器タイルを加熱しながら、前記タイル貼り壁面の表面加熱部近傍のコンクリート躯体に形成された側溝又はハンドホールの温度を測定して、前記コンクリート躯体の昇温管理を行い、前記コンクリート躯体が設定温度以上になると、前記タイル貼り壁面の加熱を中止又は抑制する請求項1または2に記載のトンネルのタイル撤去方法。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のトンネルのタイル撤去方法において、前記多数枚の磁器タイルをその表面側から加熱する補修用加熱装置であって、道路に沿って走行移動可能な走行装置を備えた走行基台を設け、
前記多数枚の磁器タイルの表面に遠赤外線を照射する加熱装置を設け、
前記加熱装置を前記タイル貼り壁面に沿って上下位置変更調整可能な高さ調整機構を介して前記走行基台に取り付け、
前記加熱装置を構成するのに、複数枚の加熱板を上下方向に併設して取り付けると共に、それらの上下に隣接する物同士を互いに上下揺動自在に連結し、
前記複数枚の加熱板の上下揺動操作によって前記曲面部の曲率に合わせて全体として赤外線放射曲面を形成可能に構成してあるトンネルのタイル撤去方法に使用する補修用加熱装置。 - 前記高さ調整機構には、前記加熱装置による遠赤外線の照射方向をトンネルの前記曲面部に対向すべく上下搖動自在に照射角度変更部を設けてある請求項4に記載のトンネルのタイル撤去方法に使用する補修用加熱装置。
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