<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、本発明に係る駐車制御装置を、駐車制御システムに適用した場合を例にして説明する。駐車制御装置は、車載装置と情報の授受が可能な可搬の操作端末(スマートフォン、PDA:Personal Digital Assistantなどの機器)に適用してもよい。また、本発明に係る駐車制御方法は後述する駐車制御装置において使用できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車制御装置100を有する駐車制御システム1000のブロック図である。本実施形態の駐車制御システム1000は、カメラ1a~1dと、測距装置2と、情報サーバ3と、操作端末5と、駐車制御装置100と、車両コントローラ70と、駆動システム40と、操舵角センサ50と、車速センサ60とを備える。本実施形態の駐車制御装置100は、操作端末5から入力された操作指令に基づいて、駐車スペースに制御対象である車両を移動させる(駐車させる)動作を制御する。
本実施形態の駐車制御装置100は、操作者から取得した操作指令に基づき、目標駐車スペース(Parking lot)へ至る第1経路に沿って制御対象である車両を移動させる制御命令(駐車制御命令)を車両の制御装置(ECU:Electric control unit)に実行させる。本実施形態の駐車制御装置100は、操作端末5から入力された操作指令に基づいて、目標駐車スペースに制御対象である車両を移動させる(駐車させる)動作を制御する。本実施形態では操作者Mが車両の外に存在する場合を例に説明するが、車両の車室内に存在してもよい。また、ドライバを含む乗員が車室内に存在し、操作者M(駐車場管理者など)は車外に存在することもある。
操作端末5は、車両の外部に持ち出し可能な携帯型の入力機能及び通信機能を備えるコンピュータである。操作端末5は、駐車のための車両の運転(動作)を制御するための操作者Mの操作指令の入力を受け付ける。運転には駐車(入庫及び出庫)の操作を含む。操作者Mは、操作端末5を介して駐車を実行させるための操作指令を含む命令を入力する。操作指令は、駐車制御の実行・停止、目標駐車位置の選択・変更、駐車経路の選択・変更、その他の駐車に必要な情報を含む。なお、操作者Mは、操作端末5を用いることなく、操作者Mのジェスチャなどにより操作指令を含む命令を、駐車制御装置100に認識させる(入力する)こともできる。操作者Mが、操作端末5を介して入力する操作指令には、駐車を実行させるための操作指令だけではなく、車両を目標駐車スペースから離隔させる退避指令を含む。
操作端末5は通信機を備え、駐車制御装置100、情報サーバ3と情報の授受が可能である。操作端末5は、通信ネットワークを介して、車外で入力された操作指令を駐車制御装置100へ送信し、操作指令を駐車制御装置100に入力させる。操作端末5は、固有の識別記号を含めた信号を用いて、駐車制御装置100と交信する。操作端末5は、ディスプレイ53を備える。ディスプレイ53は、入力インターフェイス、各種情報を提示する。ディスプレイ53がタッチパネル型のディスプレイである場合には、操作指令を受け付ける機能を有する。操作端末5は、本実施形態の駐車制御方法に用いられる操作指令の入力を受け付けるとともに、駐車制御装置100へ向けて操作指令を送出するアプリケーションがインストールされたスマートフォン、PDA:Personal Digital Assistantなどの携帯型の機器であってもよい。
情報サーバ3は、通信可能なネットワーク上に設けられた情報提供装置である。情報サーバは、通信装置31と、記憶装置32を備える。記憶装置32には、読み取り可能な地図情報33と、駐車場情報34と、物体情報35とを備える。駐車制御装置100、操作端末5は、情報サーバ3の記憶装置32にアクセスして各情報を取得できる。
本実施形態の駐車制御装置100は、制御装置10と、入力装置20と、出力装置30とを備える。駐車制御装置100の各構成は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続される。入力装置20は、通信装置21を備える。通信装置21は、外部の操作端末5から送信された操作指令を受信し、入力装置20に入力する。外部の操作端末5に操作指令を入力する主体は人間(ユーザ、乗員、ドライバ、駐車施設の作業員)であってもよい。入力装置20は、受け付けた操作指令を制御装置10に送信する。出力装置30は、ディスプレイ31を含む。出力装置30は、駐車制御情報をドライバに伝える。本実施形態のディスプレイ31は、入力機能及び出力機能を備えるタッチパネル型のディスプレイである。ディスプレイ31が入力機能を備える場合には、ディスプレイ31が入力装置20として機能する。操作端末5から入力された操作指令に基づいて車両が制御されている場合であっても、乗員が入力装置20を介して緊急停止などの操作指令を入力できる。
本実施形態の駐車制御装置100の制御装置10は、駐車制御プログラムが格納されたROM12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、本実施形態の駐車制御装置100として機能する動作回路としてのCPU11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM13とを備える、駐車制御用のコンピュータである。
本実施形態の駐車制御プログラムは、車両の外の操作者から取得した操作指令に基づき、目標駐車スペースへ至る経路に沿って車両を移動させる制御命令を車両に実行させる。さらに、駐車制御プログラムは、操作者の位置を取得し、操作者の位置に基づいて、車両の位置(存在領域)を含む所定領域を設定し、所定領域に属する経路を算出し、目標駐車スペースへ至る経路に沿って車両を移動させる制御命令を車両の制御装置に実行させるプログラムを含む。駐車制御プログラムは本実施形態の駐車制御装置100の制御装置10の処理の下、車両により実行される。所定領域の設定方法は限定されない。操作者の位置と目標駐車スペースの位置とに基づいて所定領域を設定してもよい。操作者の位置から第1距離まで(の範囲内)に所定領域を設定してもよい。このとき、車両の位置から所定方向(所定のX軸/Y軸方向、例えば緯度/経度方向)へ所定距離だけ離隔した位置に仮想境界線を設定し、その仮想境界線よりも車両側に設定してもよい。また、目標駐車スペースの位置から第2距離までの間に所定領域を設定してもよい。
本実施形態の駐車制御装置100は、操作端末5から操作指令を送り、車両の動きを制御して、車両を所定の駐車スペースに駐車させるリモートコントロールタイプのものである。操作端末5を操作する乗員は車室外にいてもよいし、車室内にいてもよい。
本実施形態の駐車制御装置100は、操舵操作、アクセル・ブレーキ操作が自動的に行われる自動制御タイプであってもよい。駐車制御装置100は、操舵操作を自動で行い、アクセル・ブレーキ操作をドライバが行う半自動タイプであってもよい。
本実施形態の駐車制御プログラムでは、ユーザが目標駐車位置を任意に選択してもよいし、駐車制御装置100又は駐車設備側が目標駐車位置を自動的に設定してもよい。
本実施形態に係る駐車制御装置100の制御装置10は、操作者の位置を取得する処理、操作者の位置から所定距離以内である所定領域を設定する処理、所定領域に属する経路を算出する処理、車両の外の操作者から取得した操作指令に基づき、目標駐車スペースへ至る経路に沿って車両を移動させる制御命令を車両に実行させる機能を備える。各処理を実現するためのソフトウェアと上述したハードウェアの協働により、上記各処理を実行する。
図2A~図2Eに基づいて、操作者Mの位置を検出する処理を説明する。制御装置10は、操作者Mの位置を取得する。操作者Mの位置は、経路の算出処理に用いられる。操作者Mの位置は、車両Vの移動面における位置の情報を含む。操作者Mの位置は、高さ位置の情報を含む。操作者Mの位置は、車両Vに設けられたセンサからのセンサ信号に基づいて検出してもよいし、操作者Mが所持する操作端末5の位置を検出し、操作端末5の位置に基づいて操作者Mの位置を算出してもよい。操作端末5は、所定の位置に備え付けられていてもよいし、操作者Mが所持してもよい。操作端末5が所定の位置に備え付けられている場合には、操作端末5の配置位置に操作者Mが移動し、操作端末5を使用する。これらの場合は、操作端末5の位置を操作者Mの位置とすることができる。
図2Aに示すように、車両Vに設けられた複数の測距装置2の検出結果及び/又はカメラ1の撮像画像に基づいて操作者Mの位置を検出する。各カメラ1a~1dの撮像画像に基づいて操作者Mの位置を検出できる。測距装置2は、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、超音波レーダーなどのレーダー装置又はソナーを用いることができる。複数の測距装置2及びその検出結果は識別可能であるので、検出結果に基づいて操作者Mの二次元位置及び/又は三次元位置を検出できる。カメラ1についても同様に、測距装置2は、カメラ1a~1dと同じ位置に設けてもよいし、異なる位置に設けてもよい。また、制御装置10は、カメラ1a~1dの撮像画像に基づいて、操作者Mのジェスチャを検出し、ジェスチャの画像の特徴に対応づけられた操作指令を識別することもできる。
図2Bに示すように、車両Vの異なる位置に設けられたアンテナ211のそれぞれと操作端末5との通信電波に基づいて操作端末5又は操作端末5を所持する操作者Mの位置を検出してもよい。複数のアンテナ211が一の操作端末5と通信する場合には、各アンテナ211の受信電波の強度が異なる。各アンテナ211の受信電波の強度差に基づいて、車両Vからの距離を検出できる。また、複数のアンテナ211が受信した電波に基づいて、操作端末5の存在する方向を算出できる。各アンテナ211の受信電波の強度差から、操作端末5又は操作者Mの二次元位置及び/又は三次元位置を算出できる。
車両Vに2つのアンテナ211が搭載されていれば、操作端末5が車両Vに対して前後又は左右のどちらに存在するかを判断できる。図2Cに示すように、車両Vの位置を原点とする座標系の第1~第4象限(QD1~QD4)のいずれの象限に操作端末5が属するかを判断できる。また、車両V1に3つのアンテナ211が搭載されていれば、三角法により車両Vに対する操作端末5の位置を検出できる。受信電波の方向と強度によれば、操作端末5の存在位置を検出できるが、図2Cに示すように、アンテナ211からの距離が大きくなるにつれて、検出される操作端末5(操作者M)の位置情報(分解能)は粗くなり、その検出精度は低くなる。操作端末5の位置情報の正確性を担保する観点から、図2Cに示す距離に応じた分解能(検出精度)が所定値以上となるように、車両Vと操作端末5(操作者M)の距離等の位置関係を制限してもよい(例えば、6m以下又は5m以下など)。もちろん、この手法により取得した位置情報とともに、測距装置2から取得した位置情報を用いて操作端末5(操作者M)の位置を算出してもよい。
図2Dに示すように、車両Vの運転席DSに対して所定の位置(方向・距離:D1,D2)を操作者Mの操作位置又は操作端末5の配置位置として予め指定してもよい。例えば、操作者Mが、指定位置に車両Vを一時停止し、降車して所定位置に設けられた操作端末5を操作する場合には、車両Vに対する操作者M又は操作者Mが所持する操作端末5の初期位置を算出できる。
同様に、図2Eに示すように、車両Vに対する操作位置(操作者Mの立ち位置:Operation Position)を示す画像情報を操作端末5のディスプレイ53に表示する。この表示制御は、操作端末5側にインストールされたアプリケーションにより実行されてもよいし、制御装置10の指令に基づいて実行されてもよい。
図3A,図3Bに基づいて物体の検出処理について説明する。本実施形態における「物体」は、駐車場の壁、柱などの構造物、車両周囲の設置物、歩行者、他車両、駐車車両等を含む。本実施形態においては、駐車処理の実行において考慮されるべき物体を障害物として検出する。
図3Aに示すように、車両Vに設けられた複数の測距装置2の検出結果、カメラ1の撮像画像に基づいて物体を検出する。測距装置2は、レーダー装置の受信信号に基づいて物体の存否、物体の位置、物体の大きさ、物体までの距離を検出する。各カメラ1a~1dの撮像画像に基づいて物体の存否、物体の位置、物体の大きさ、物体までの距離を検出する。なお、物体の検出は、カメラ1a~1dによるモーションステレオの技術を用いて行ってもよい。この検出結果は、駐車スペースが空いているか否か(駐車中か否か)の判断に用いられる。
図3Bに示すように、情報サーバ3の記憶装置32から取得した駐車場情報34に基づいて、駐車場の壁、柱などの構造物を含む物体を検出できる。駐車場情報は、各駐車場(各パーキングロット)の配置、識別番号、駐車施設における通路、柱、壁、収納スペースなどの位置情報を含む。情報サーバ3は駐車場が管理するものであってもよい。
以下、図4に示すフローチャートに基づいて駐車制御の制御手順を説明する。
図4は、本実施形態に係る駐車制御システム1000が実行する駐車制御処理の制御手順を示すフローチャートである。駐車制御処理の開始のトリガは、特に限定されず、駐車制御装置100の起動スイッチが操作されたことをトリガとしてもよい。
本実施形態の駐車制御装置100は、車外から取得した操作指令に基づいて、車両Vを自動的に駐車スペースへ移動させる機能を備える。
ステップ101において、駐車制御装置100の制御装置10は、車両周囲の情報を所定周期で取得する。測距信号の取得処理、撮像画像の取得処理は択一的に実行してもよい。制御装置10は、必要に応じて、車両Vの複数個所に取り付けられた測距装置2によって測距信号をそれぞれ取得する。制御装置10は、必要に応じて、車両Vの複数個所に取り付けられたカメラ1a~1dによって撮像された撮像画像をそれぞれ取得する。特に限定されないが、車両Vのフロントグリル部にカメラ1aを配置し、リアバンパ近傍にカメラ1dを配置し、左右のドアミラーの下部にカメラ1b、1cを配置する。カメラ1a~1dとして、視野角の大きい広角レンズを備えたカメラを使用できる。カメラ1a~1dは、車両Vの周囲の駐車スペースの境界線及び駐車スペースの周囲に存在する物体を撮像する。カメラ1a~1dは、CCDカメラ、赤外線カメラ、その他の撮像装置である。
ステップ102において、制御装置10は、駐車可能な駐車スペースを検出する。駐車スペースの位置や大きさなどは、車両Vの駐車制御に影響を与える駐車環境要因である。制御装置10は、カメラ1a~1dの撮像画像に基づいて、駐車スペースの枠(領域)を検出する。制御装置10は、測距装置2の検出データ、撮像画像から抽出された検出データを用いて、空いている駐車スペースを検出する。制御装置10は、駐車スペースのうち、空車(他車両が駐車していない)であり、駐車を完了させるための経路が算出可能である駐車スペースを、駐車可能スペースとして検出する。駐車可能スペースの中から、車両を駐車させる目標駐車スペースを特定する。本実施形態において駐車経路が算出可能であるとは、障害物(駐車車両を含む)を含む物体と干渉することなく、現在位置から目標駐車位置に至る経路の軌跡を路面座標に描けることである。
ステップ103において、制御装置10は、駐車可能スペースを、操作端末5に送信し、そのディスプレイ53に表示し、車両Vを駐車させる目標駐車位置の選択情報の入力を操作者Mに要求する。目標駐車位置は、制御装置10、駐車施設側が自動的に選択してもよい。一の駐車スペースを特定する操作指令が操作端末5に入力された場合には、その駐車スペースを目標駐車位置として設定する。
ステップ104において、制御装置10は、先述した手法により検出された、操作者M又は操作端末5の位置情報(検出結果)を取得する。
ステップ105において、制御装置10は、先述した手法により検出された物体の検出結果を取得する。物体は歩行者、標識、道路構造物、貨物、可動物、駐車スペースを構成する構造物、駐車スペースを区画する縁石などを含む。駐車スペースを構成する構造物は、ガレージ、カーポートなどを構成する建造物である。物体の検出は、駐車制御の実行を妨げる障害物の検出を含む。これらは車両Vの駐車制御に影響を与える駐車環境要因である。
ステップ106において、制御装置10は、目標駐車スペースへ至る経路を算出する。目標駐車スペースへ至る経路の算出処理としては出願時に知られた手法を用いることができる。駐車経路は線として定義されるとともに、車幅に応じた車両Vの占有領域に応じた帯状の領域として定義される。車両Vの占有領域は、車幅と移動のために確保される余裕幅とを考慮して定義される。具体的な手法は後述する。
ステップ107において、制御装置10は、算出した経路の上を車両Vに移動させるための制御命令を生成する。制御命令に必要な車両Vの諸元情報は、予め制御装置10が記憶する。制御命令は、車両Vが駐車経路を走行する際における、タイミング又は位置に対応づけられた車両Vの操舵量、操舵速度、操舵加速度、シフトポジション、速度(ゼロを含む)、加速度、減速度その他の動作命令を含む。制御命令は、車両Vの動作命令の実行タイミング又は実行位置を含むこの駐車経路及び駐車経路に対応づけられた動作命令が車両Vによって実行されることにより、目標駐車位置に車両Vを移動させる(駐車させる)ことができる。
図5は、経路算出処理及び制御命令の算出処理に関する一例を示す。
ステップ201において、制御装置10は、経路の設定範囲を規定する車両Vを含む所定領域を設定する。制御装置10は、ステップ104において取得した操作者Mの位置に基づいて、経路の設定範囲(外延)を規定する車両Vを含む所定領域を設定する。具体的には、操作者Mの位置から第1距離だけ離れた位置に仮想の第1境界線を設定し、その第1境界線よりも車両側の所定領域に属する経路を算出する。第1境界線の位置は、駐車面におけるX方向及び/又はY方向の距離により定義できる。また、第1境界線は、操作者Mの位置から第1距離だけ離れた円弧の境界線(仮想線)としてもよい。所定領域は、駐車場の路面と平行な駐車面において設定される。駐車面は、XY座標(緯度経度)により定義できる。駐車処理の経路算出処理において、所定領域を設定し、所定領域内に属する経路を算出することにより、操作者Mが確認しやすい範囲内で車両Vが移動するようになる。
特に、並列駐車の場合には、駐車経路の設定の自由度が高いため、駐車経路が目標駐車スペースから離れた位置にまで広がることがある。本実施形態では、まず、第1境界線(及び/又は第2境界線)を設定してから、第1境界線よりも車両側に設定された所定領域に属する経路を算出することにより、操作者Mが確認しやすい範囲内で車両Vが移動するようになる。
第1境界線の位置は、所定領域の設定処理(経路の算出処理の前)において、駐車制御の対象となる車両V1の進行方向に沿う方向(例えばY方向)に沿う距離により定義できる。進行方向は、第1経路の算出処理時の進行方向、つまり、駐車制御の開始後、制御命令の実行前のタイミングにおける進行方向である。一例としては、車両Vが駐車場(パーキングロットが配列されている場所)に進入し、目標駐車スペースを決定したタイミングにおける進行方向である。第1境界線の位置は、車両V1の進行方向の奥行方向への第1距離に基づいて定義できる。第1境界線の位置を規定する距離の方向は、駐車経路が算出される座標における基準軸(X軸又はY軸)に沿う方向である。
図6Aに、第1境界線LYの設定方法を示す。図6Aに示す例では、車両V1の操作者Mの位置OP1から第1距離DYに第1境界線LYを設定する。経路を算出する処理を行う際、目標駐車スペースに至る前のタイミングにおける車両V1の進行方向VF1に沿う方向(図中Y方向)に沿う第1距離DYにより第1境界線LYを定義する。
第1境界線LYの設定処理は経路の算出処理の前に行われる。経路RTが設定される所定領域は、第1境界線LYよりも車両V側に設定される。制御装置10は、設定された第1境界線LYを越えて経路の設定を行わない。制御装置10は、第1境界線LYよりもYの値が小さい領域QD1~QD4を所定領域とする。経路RTは、第1境界線LYよりもYの値が大きい領域には含まれない。
制御装置10は、第1境界線LYを設定し、第1境界線LYに基づいて所定領域を設定し、その所定領域に経路RTが属するように、経路RTの曲率を算出する。
操作者Mの位置から所定距離に設定された第1境界線LYを越えないように、第1境界線LYよりも車両V側の所定領域に駐車用の経路RTを設定することにより、車外の操作者Mによって車両Vの動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。第1境界線LYを越えないように経路RTを設定する手法として、制御装置10は、第1境界線LYの位置に仮想障害物(仮想壁)を設定してもよい。
所定領域に属する駐車用の経路RTを算出するので、駐車制御中の車両Vは操作者Mから所定距離以下の位置を移動する。これにより、車両Vの動きを操作者Mが監視しやすくすることができる。
制御装置10は、ステップ103において特定された目標駐車スペースの位置を取得する。目標駐車スペースの位置は、カメラ1の撮像画像に基づいて判断してもよいし、通信装置21を介して駐車場情報34から取得してもよい。
制御装置10は、目標駐車スペースの位置に基づいて、経路の設定範囲を規定する、車両Vを含む所定領域を設定する。具体的には、目標駐車スペースの位置から第2距離だけ離れた位置に仮想の第2境界線LXを設定し、第2境界線LXよりも車両V側に所定領域を設定し、その所定領域に属する経路RTを算出する。第2境界線LXの位置は、駐車面におけるX方向及び/又はY方向の距離により定義できる。また、第2境界線は、目標駐車スペースの位置から第2距離だけ離れた円弧の境界線(仮想線)としてもよい。
図6Bに、第2境界線LXの設定方法を示す。図6Bに示す例では、目標駐車スペースPから第2距離DXに第2境界線DXを設定する。経路を算出する処理を行う際、目標駐車スペースに至る前のタイミングにおける目標駐車スペースPから第2距離DXにより第2境界線LXを定義する。第2距離DXの方向は、第1距離DYの方向と直交する方向である。第2距離DXの方向は、経路を算出する処理を行う際における車両V1の進行方向VF1と略直交する方向(図中X方向)である。第2距離DXは、目標駐車スペースPの入出庫口の位置PXと操作者Mの位置OPのX軸との距離である。
第2境界線の位置は、所定領域の設定処理のタイミング(経路の算出処理の前のタイミング)における、目標駐車スペースの位置からの距離により定義できる。第2境界線の位置は、目標駐車スペースの入出庫口と通路の境界から、車両側へ第2距離の位置である。第2距離の方向は、目標駐車スペースの車両入出庫口と車両通路の境界と略直交する方向である。
第2境界線LXの設定処理は経路RTの算出処理の前に行われる。経路RTが設定される所定領域は、第2境界線LXよりも車両V側に設定される。制御装置10は、設定された第2境界線LXを越えて経路RTの設定を行わない。制御装置10は、第2境界線LXよりもXの値が小さい領域QD2,QD3を所定領域とする。経路RTは、第2境界線LXよりもXの値が大きい領域には含まれない。
目標駐車スペースの位置から所定距離に設定された第2境界線LXを越えないように、第2境界線LXよりも車両V側の所定領域に駐車用の経路RTを設定することにより、車外の操作者Mによって車両Vの動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。第2境界線LXを越えないように経路RTを設定する手法として、制御装置10は、第2境界線LXの位置に仮想障害物(仮想壁)を設定してもよい。
第2境界線LXは第1境界線LYと略直交する。所定領域は、第1境界線LYと第2境界線LXにより定義することができる。これにより、第1境界線LY及び第2境界線LXを越えない所定領域内に経路が設定されるので、車外の操作者Mによって車両の動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。
制御装置10は、第2境界線LXを設定し、第2境界線LXに基づいて所定領域を設定し、その所定領域に経路RTが属するように、経路RTの曲率を算出する。
図6Cに示すように、制御装置10は、直交する第1境界線LYと第2境界線LXにより所定領域を定義できる。本例では、第1境界線LYよりもYの値が小さく、かつ第2境界線LXよりもXの値が小さいQD2,QD3を所定領域とすることができる。
本実施形態の経路は、旋回部分、切り返し部分を含む。経路は、旋回開始地点と、切り返し地点を含む。経路を移動する車両Vは、旋回開始地点において旋回を開始する。経路を移動する車両Vは、切り返し地点へ向かって進行し、切り返し地点でシフトポジションをリアに変更し、後退する。
ステップ202において、制御装置10は、旋回開始地点を設定する。
制御装置10は、経路に含まれる旋回開始地点が、操作者Mの位置から所定距離未満となるように経路を設定する。操作者Mから所定距離未満の位置で車両を旋回させることにより、操作者Mが旋回時における車両Vの位置や動きを確認しやすくすることができる。旋回開始地点よりも下流側の経路は、操作者Mから所定距離以下とすることが好ましい。操作者Mと経路との所定距離は、操作者Mが車両Vの動きを目視できる観点から5m程度とすることができ、操作者Mが車両Vの動きを監視し、状況の変化に応じて直ちに停止させることができる観点から3m程度とすることができる。所定距離は、駐車場の設備の充実度や、安全性などを考慮して適宜に設定できる。
並列駐車の目標駐車スペースPと操作者Mとの間に経路が設定される図7Aに示す場合において、一般的な駐車経路を移動する車両Vは操作者Mに接近したのち、旋回開始地点RO1を通過後、操作者Mに接近又は離隔する。
発明者らは、実験等を行い、操作者Mにとって、操作者Mから離隔していく状態の車両Vの動きや位置のほうが、操作者Mに接近していく状態の車両Vの動きや位置よりも相対的に把握しやすいという知見を得た。
図7A及び図7Bに示す例では、経路が操作者Mと目標駐車スペースとの間に所在している。つまり、操作者Mは、車両Vの旋回軌道を含む円弧(旋回軌道を定義する曲率半径の円)の内側に所在する。この場合には、車両Vの旋回位置によって、車両Vが操作者Mを通過した後に、操作者Mに接近するか離隔するかが異なる。旋回開始地点の位置を、操作者Mの横を通過する位置(Y=0)よりも上流側(Yが小さい/Y軸の下側/旋回開始地点RO1よりも手前)に設定すると、車両Vはインコースの経路をとり、操作者Mに接近する可能性が高くなる。他方、旋回開始地点の位置を、操作者Mの横を通過する位置(Y=0:図7Aを参照)又はこの位置(Y=0)よりも下流側(Yが大きい/Y軸の上側/旋回開始地点RO1よりも奥手)の位置(Y=TO2:図7Bを参照)に設定すると、車両Vはアウトインコースの経路をとり、操作者Mに接近する可能性は低くなる。
制御装置10は、車両Vが旋回後に操作者Mから離隔していく状態とするために、旋回開始地点が、操作者Mの横を通過する位置(Y=0)又はこの位置(Y=0)よりも下流側(Yが大きい/Y軸の上側/旋回開始地点RO1よりも奥手)の値RO2(Y)に設定することができる。操作者Mの横を通過する位置よりも下流側で車両Vを旋回させることにより、旋回後に操作者Mから車両を離隔させることができるので、操作者Mは車両Vの動きや位置を正確に確認できる。
具体的に、図7Aに示すように、制御装置10は、経路に含まれる旋回開始地点RO1については、車両Vが操作者Mの横を通過する位置に設定する。車両Vから見て、車両Vの前方に位置していた操作者Mが、車両Vの進行に伴い車両Vの横に位置するタイミングの通過ポイントが旋回開始地点RO1である。つまり、経路を定義する平面座標において、旋回開始地点RO1のY値は、操作者Mの位置OP1のY値は同じ値である経路における旋回開始地点RO1は、曲率が所定値以上となる。
操作者Mにとって、接近する車両の動きや位置を正確に把握することが難しい。本例では、操作者Mを横切る位置で(操作者Mを通過する位置で)、車両Vに旋回させる。図7Aに示す位置関係においては、車両Vは旋回開始地点RO1において操作者Mに最も接近する。本例の旋回開始地点RO1において操作者Mを横切った後は、車両Vは操作者Mから離隔する。車両Vが操作者Mから離れる方向に移動する経路上に、旋回開始地点RO1を設定することにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。本実施形態の経路は、操作者Mから所定距離以内に設定される。この考え方は、後述する図7Bに示す例においても同様である。目標駐車スペースPへ至る経路に含まれるすべての地点が操作者Mから所定距離以内とするために、切り返し地点CS1も操作者Mから所定距離以内に設定し、必要であれば、複数の切り返し地点CS1を設定する。ただし、切り返し地点CS1が所定数以上となると、駐車処理に長い時間を要し、操作者Mに不安を与えるので、そのような場合には旋回開始地点RO1の位置を変更する、目標駐車スペースを変更するなど駐車経路の再計算を試みる。
本例では、旋回開始地点RO1よりも上流側では予め設定された所定パターンの経路を導入する。所定パターンは直進のみの経路や、直進経路と停止状態で転舵をするすえ切り操作、例えば、直進経路と、最大操舵角に応じた曲線又は固定転舵角に応じた曲線とを含む経路とすることができる。旋回開始地点RO1を通過後、つまり旋回開始地点RO1よりも下流側では、切り返し地点に向かって曲率半径が徐々に大きくなる経路を算出してもよい。
制御装置10は、図7Bに示すように、経路に含まれる旋回開始地点を、車両Vが操作者Mの横を通過する位置よりも下流側(第1境界線LY側)に設定する。つまり、旋回開始地点RO2のY値は、操作者Mの位置OP2のY値よりも車両Vの進行方向VF1側の値RO2(Y)である。操作者Mに接近してくる車両Vの動きは、操作者Mの視野角の面積が広がる方向への動きとなるため、操作者Mは、接近してくる車両Vの動きを把握しにくい。言い換えると、接近してくる車両Vを視認するときに、操作者Mは視野角の面積を広げなければならない。つまり、操作者Mにとって、操作者Mから離隔する車両Vの動きや位置を把握する困難性よりも、接近する車両Vの動きや位置を把握する困難性のほうが高い。言い換えると、接近する車両Vよりも、離隔する車両Vの動きや位置を把握することのほうが操作者Mにとって容易である。本願発明はこの点に着目する。操作者Mを横切った後(操作者Mを通過後)であり、操作者Mから車両Vが離隔するときに車両Vを旋回させることにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。
ただし、図7Cに示すように、操作者Mが経路と目標駐車スペースとの間に所在している場合、つまり、操作者Mは、車両Vの旋回軌道を含む円弧(旋回軌道を定義する曲率半径の円)の外側に所在する場合には、旋回しながら移動する車両Vは操作者Mから離隔する。上述したように、操作者Mにとって、操作者Mから離隔していく状態の車両Vの動きや位置のほうが、操作者Mに接近していく状態の車両Vの動きや位置よりも相対的に把握しやすい。
操作者Mが経路と目標駐車スペースとの間に所在している場合には、車両Vは操作者Mを通過した後は、操作者Mから離隔していく状態となるので、旋回開始地点の位置を、操作者Mの横を通過する位置(Y=0)よりも上流側(Yが小さい/Y軸の下側)の値RO3(Y)に設定することができる。操作者Mの横を通過する位置よりも上流側で車両Vが旋回しても、操作者Mから離隔していく状態となるので、操作者Mは車両Vの動きや位置を正確に確認できる。
ステップ203において、制御装置10は、旋回開始地点を含め、経路上の各地点における曲率を設定する。旋回開始地点よりも上流側の第1曲率は、旋回開始地点よりも下流側の第2曲率よりも小さい。
ステップ204において、制御装置10は、切り返し地点を設定する。制御装置10は、操作者Mから所定距離未満の位置に設定された切り返し地点を含む経路を算出する。特に限定されないが、制御装置10は、操作者Mから所定距離未満の位置に切り返し地点を設定する。これにより、操作者Mから所定距離未満の位置で車両を切り返させることにより、操作者Mが切り返し時における車両Vの位置や動きを確認しやすくすることができる。
ステップ205において、制御装置10は、切り返し地点の数、つまり切り返し操作の回数が所定回数未満であることを確認する。切り返し回数が所定回数以上である場合には、旋回開始地点を再設定し、切り返し回数が所定回数以下(例えば3回以下)の経路を算出する。切り返し回数が所定回数未満である経路が算出できた場合には、ステップ206において、制御装置10は、その経路を算出結果として決定する。
ステップ207において、制御装置10は、算出した経路に沿って車両Vを移動させるための操舵量を算出する。ステップ208において、制御装置10は、移動しながら操舵する場合には、制御装置10は、移動しながらクロソイド曲線を算出する。クロソイド曲線は、曲率半径の変化に不連続が生じる場合に、直線と円弧とを曲率半径の変化が滑らかになるように導入される緩和曲線である。クロソイド曲線の導入は、本願出願時に知られたシミュレーション手法に基づくソフトウェアを用いて実行することができる。
操作者Mを通り過ぎた後の経路におけるタイヤ角の変化量は、操作者Mの位置を通り過ぎる前の経路におけるタイヤ角の変化量よりも大きくする。車両Vが操作者Mに接近するほど、操作者Mの位置の検出精度は正確になる。操作者Mを通り過ぎて操作者Mの位置が正確に特定される従い、タイヤ角の変化量を大きくすることができる。特に、旋回開始地点が操作者Mの横を通過する位置よりも下流側に設定された場合には、操作者Mの正確な位置に基づいた適切な経路に沿って車両Vを移動させることができる。
制御装置10は、同じく、ステップ207において、車両Vを停止させてからすえ切りする操舵量を算出してもよい。ステップ208において、制御装置10は、すえ切りする操舵量を算出する。本処理において、制御装置10は、車両Vをいったん減速乃至停止させ、車両Vを操舵させて、タイヤを切り込む。このように、すえ切りをすることにより、車両Vを経路に追従させる精度を高くすることができる。
ステップ209において、制御装置10は、速度を設定する。制御装置10は、操舵量/すえ切りのタイヤ切り角に応じた速度を算出する。特に限定されないが、制御装置10は、旋回開始地点と操作者Mの横を通過する位置との距離が長いほど(上流側であるほど)、制御命令における速度を低く設定する。車両Vが接近する場合には、操作者Mは車両Vの動きや位置を把握しにくい。車両Vが旋回しながら接近する距離が長いほど、車両Vの動きや位置を把握しにくくなるので、車両Vの速度を低く設定することにより、車両Vの動きや位置の把握がしやすいようにすることができる。
ステップ210において、制御装置10は、決定した制御命令を車両コントローラ70へ送出する。
図4に戻り、ステップ108において、制御装置10は、操作者から制御命令の実行命令の入力を受け付ける。実行命令が入力されたらステップ109に進んで制御命令の実行を開始する。実行命令は操作端末5のデッドマンスイッチへの入力であってもよい。デッドマンスイッチとは、操作者がスイッチに力を加えている間だけ駐車制御処理の実行を継続し、スイッチに与えている力を除けば駐車制御処理の実行を中断又は中止する機能を有するスイッチである。操作端末5のデッドマンスイッチを押圧している間、駐車制御処理が継続的に実行される。
本実施形態の駐車制御装置100は、車両Vが駐車経路に沿って移動するように、制御命令に従い、車両コントローラ70を介して駆動システム40の動作を制御する。駐車制御装置100は、計算された駐車経路に車両Vの走行軌跡が一致するように操舵装置が備える操舵角センサ50の出力値をフィードバックしながらEPSモータなどの車両Vの駆動システム40への指令信号を演算し、この指令信号を駆動システム40又は駆動システム40を制御する車両コントローラ70へ送出する。
本実施形態の駐車制御装置100は、駐車制御コントロールユニットを備える。駐車制御コントロールユニットは、AT/CVTコントロールユニットからのシフトレンジ情報、ABSコントロールユニットからの車輪速情報、舵角コントロールユニットからの舵角情報、ECMからのエンジン回転数情報等を取得する。駐車制御コントロールユニットは、これらに基づいて、EPSコントロールユニットへの自動操舵に関する指示情報、メータコントロールユニットへの警告等の指示情報等を演算し、出力する。制御装置10は、車両Vの操舵装置が備える操舵角センサ50、車速センサ60その他の車両Vが備えるセンサが取得した各情報を、車両コントローラ70を介して取得する。
本実施形態の駆動システム40は、駐車制御装置100から取得した制御指令信号に基づく駆動により、車両V1を現在位置から目標駐車位置に移動(走行)させる。本実施形態の操舵装置は、車両Vの左右方向への移動を行う駆動機構である。駆動システム40に含まれるEPSモータは、駐車制御装置100から取得した制御指令信号に基づいて操舵装置のステアリングが備えるパワーステアリング機構を駆動して操舵量を制御し、車両Vを目標駐車位置へ移動する際の操作を制御する。なお、駐車をさせるための車両Vの制御内容及び動作手法は特に限定されず、出願時において知られた手法を適宜に適用できる。
本実施形態における駐車制御装置100は、車両Vの位置と目標駐車位置の位置とに基づいて算出された経路に沿って、車両Vを目標駐車位置へ移動させる際に、アクセル・ブレーキが指定された制御車速(設定車速)に基づいて自動的に制御されるとともに、ステアリング装置の操作が車速に応じて自動で車両Vの動きを制御する。
ステップ110において、制御装置10は、車両Vが切り返し位置に到達するまで、車両周囲の駐車環境の変化を監視する。車両Vが切り返し位置に到達したら、ステップ112において、制御命令に含まれるシフトチェンジを実行する。その後、ステップ113において制御命令を継続的に実行することで駐車制御を完了させる。
本発明の第1実施形態の駐車制御方法は、駐車制御装置において以上のように使用されるので、以下の効果を奏する。本実施形態の駐車制御装置100は、以上のように構成され動作するので、以下の効果を奏する。
[1]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、本発明は、遠隔操作により車両を駐車させる際に、操作者Mの位置を取得し、操作者Mの位置に基づいて、車両の位置を含む所定領域を設定し、所定領域にする経路を算出することにより、車外の操作者によって車両の動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。
[2]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、操作者Mの位置と目標駐車スペースの位置とに基づいて、所定領域を設定し、所定領域にする経路を算出することにより、車外の操作者Mにとって目標駐車スペースへ移動する車両の動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。
[3]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、操作者Mの位置から第1距離までの間(操作者Mの位置から第2距離までの範囲内)に所定領域を設定し、所定領域にする経路を算出することにより、車外の操作者によって車両の動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。
また、本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、経路に含まれる旋回開始地点が、操作者Mの位置から所定距離未満となるように経路を設定することができる。操作者Mから所定距離未満の位置で車両を旋回させることにより、操作者Mが旋回時における車両Vの位置や動きを確認しやすくすることができる。
[4]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、目標駐車スペースの位置から第2距離までの間(目標駐車スペースの位置から第2距離までの範囲内)に所定領域を設定し、所定領域にする経路を算出することにより、車外の操作者によって車両の動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。
また、本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、経路に含まれる旋回開始地点が、目標駐車スペースの位置から所定距離未満となるように経路を設定することができる。目標駐車スペースから所定距離未満の位置で車両を旋回させることにより、目標駐車スペースへ移動する車両を監視する操作者Mにとって、旋回時における車両Vの位置や動きを確認しやすくすることができる。
[5]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、操作者Mの位置から所定距離未満の位置に設定された旋回開始地点を含む経路を算出することにより、車外の操作者によって車両の旋回時における動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。操作者Mにとって、旋回時の車両の動き、障害物との位置関係を正確に把握することが難しい。操作者Mから所定距離未満の範囲で、車両Vに旋回させることにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。
[6]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、経路に含まれる旋回開始地点を、車両Vが操作者Mの横を通過する位置に設定する。操作者Mにとって、接近する車両の動きや位置を正確に把握することが難しい。操作者Mを横切る地点で(操作者Mを通過する地点で)、車両Vに旋回させることにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。
[7]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、経路に含まれる旋回開始地点を、車両Vが操作者Mの横を通過する位置よりも下流側に設定する。操作者Mにとって、接近する車両Vよりも、離隔する車両Vの動きや位置を把握することのほうが容易である。操作者Mを横切った後(操作者Mを通過後)であり、操作者Mから車両Vが離隔するときに車両Vを旋回させることにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。
[8]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置では、操作者Mの位置が経路と目標駐車スペースとの間である場合には、旋回開始地点が、操作者の横を通過する位置よりも上流側に設定された経路を算出する。
操作者Mが経路と目標駐車スペースとの間に所在している場合、つまり、操作者Mは、車両Vの旋回軌道を含む円(旋回軌道を定義する曲率半径の円)の外側に所在する場合には、旋回しながら移動する車両Vは操作者Mから離隔する。このような操作者Mの観察位置は、車両Vの動きや位置を相対的に把握しやすい。操作者Mが経路と目標駐車スペースとの間に所在している場合には、旋回開始地点が、操作者Mの横を通過する位置よりも上流側に設定することができる。操作者Mの横を通過する位置よりも上流側で車両Vが旋回しても、操作者Mは車両Vの動きや位置を確認できる。
[9]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置では、旋回開始地点と操作者Mの横を通過する位置との距離が長いほど(旋回開始地点が上流側であるほど)、制御命令における速度を低く設定する。車両Vが接近する場合には、操作者Mは車両Vの動きや位置を把握しにくい。車両Vが旋回しながら接近する距離が長いほど、車両Vの動きや位置を把握しにくくなるので、車両Vの速度を低く設定することにより、車両Vの動きや位置の把握がしやすいようにすることができる。
[10]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置では、操作者Mから所定距離未満の位置に設定された切り返し地点を含む経路を算出する。操作者Mから所定距離未満の位置に切り返し地点を設定する。これにより、操作者Mから所定距離未満の位置で車両を切り返させることにより、操作者Mが切り返し時における車両Vの位置や動きを確認しやすくすることができる。
[11]上述したとおり、本実施形態の方法が実行される駐車制御装置100においても、上記1から8に記載した作用及び効果を奏する。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、所定領域の設定手法において第1実施形態と異なる。ここでは、異なる点を中心に説明し、共通する点については第1実施形態における記載を援用する。
図8は、第2実施形態における駐車経路の算出処理及び制御命令の算出処理例を示すフローチャートである。
ステップ301において、制御装置10は、操作者Mの位置と目標駐車スペースPの位置とに基づいて、所定領域を設定する。制御装置10は、旋回開始地点を設定する。
旋回開始地点が設定されると、ステップ302において、制御装置10は、目標駐車スペースPに基づいて、車両Vの切り返し位置(目標駐車スペースPに対する傾き)が決定する。つまり、制御装置10は、操作者Mの位置に基づいて設定された旋回開始地点と、目標駐車スペースPの位置とに基づいて所定領域を設定する。
制御装置10は、経路に含まれる旋回開始地点RO1を、車両Vが操作者Mの横を通過する位置に設定する(図7A参照)。旋回開始地点RO1のY値は、操作者Mの位置OP1のY値は同じ値である。車両Vの前方に位置していた操作者Mが、車両Vの進行に伴い車両Vの横に位置するタイミングで、制御装置10は、旋回量が所定値以上となる曲率の経路を算出する。操作者Mにとって、接近する車両の動きや位置を正確に把握することが難しい。操作者Mを横切るときに(操作者Mを通過するときに)、車両Vに旋回させることにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。
制御装置10は、経路に含まれる旋回開始地点を、車両Vが操作者Mの横を通過する位置よりも下流側(第1境界線LY側)に設定する(図7B参照)。旋回開始地点RO2のY値は、操作者Mの位置OP2のY値よりも車両Vの進行方向VF1側の値RO2(Y)である。操作者Mにとって、接近する車両Vよりも、離隔する車両Vの動きや位置を把握することのほうが容易である。操作者Mを横切った後(操作者Mを通過後)であり、操作者Mから車両Vが離隔するときに車両Vを旋回させることにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。
制御装置10は、操作者Mが経路と目標駐車スペースとの間に所在している場合、つまり、操作者Mは、車両Vの旋回軌道を含む円の外側に所在する場合には、旋回しながら移動する車両Vは操作者Mから離隔する(図7C参照)。このような操作者Mの観察位置は、車両Vの動きや位置を相対的に把握しやすい。操作者Mが経路と目標駐車スペースとの間に所在している場合には、旋回開始地点が、操作者Mの横を通過する位置(Y=0)よりも上流側(Yが小さい/Y軸の下側)の値RO3(Y)に設定することができる。操作者Mの横を通過する位置よりも上流側で車両Vが旋回しても、操作者Mは車両Vの動きや位置を確認できる。
ステップ303において、制御装置10は、切り返し位置における車両Vの占有範囲及びその余裕幅を考慮して、第1境界線LYと第2境界線LXを求めることができる。これらの第1境界線LYと第2境界線LXから駐車用の経路が属する所定領域を設定できる。
ステップ304において、制御装置10は、旋回開始地点を含め、経路上の各地点における曲率を設定する。旋回開始地点よりも上流側の第1曲率は、旋回開始地点よりも下流側の第2曲率よりも小さい。
ステップ305~310は、第1実施形態の図5のステップ305~310と共通する処理であるので、図5における説明を援用する。
本実施形態によれば、操作者Mの位置と目標駐車スペースの位置から所定領域を設定し、所定領域内に駐車用の経路を設定することにより、車外の操作者Mによって車両の動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。
リモート操作による駐車制御の態様としては、図10Aに示すように、操作者Mの横を通過する態様と、図10Bに示すように、操作者Mの横を通過しない態様とがある。図10Aの態様では、車両Vが操作者Mの前方から後方(又は右側から左側)へ移動する。図10Bの態様では、車両Vが操作者Mの前方又は後方のいずれか一方(又は右側もしくは左側の何れか一方)のみに存在する。
ところで、先述した第1実施形態又は第2実施形態の手法により算出された経路が上記のような態様を含み、目標駐車スペースへ至る経路が複数算出されることがある。そのような場合において、制御装置10は、駐車完了までの時間(駐車制御処理の所要時間)が相対的に短い経路、又は駐車完了までの移動距離が相対的に短い経路を選択する。
本発明の実施形態の駐車制御方法は、駐車制御装置において以上のように使用されるので、以下の効果を奏する。本実施形態の駐車制御装置100は、以上のように構成され動作するので、以下の効果を奏する。
[1]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、操作者Mの位置に基づいて、又は操作者Mと目標駐車スペースの位置に基づいて、車両を含む所定領域を設定し、その所定領域に属する経路を算出する。所定領域内に駐車用の経路を設定することにより、車外の操作者Mによって車両の動きが確認しやすい駐車制御を実行することができる。
[2]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、経路に含まれる旋回開始地点が、操作者Mの位置から所定距離未満となるように経路を設定する。操作者Mから所定距離未満の位置で車両を旋回させることにより、操作者Mが旋回時における車両Vの位置や動きを確認しやすくすることができる。
[3]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、経路に含まれる旋回開始地点を、車両Vが操作者Mの横を通過する位置に設定する。操作者Mにとって、接近する車両の動きや位置を正確に把握することが難しい。操作者Mを横切るときに(操作者Mを通過するときに)、車両Vに旋回させることにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。
[4]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置によれば、経路に含まれる旋回開始地点を、車両Vが操作者Mの横を通過する位置よりも下流側に設定する。操作者Mにとって、接近する車両Vよりも、離隔する車両Vの動きや位置を把握することのほうが容易である。操作者Mを横切った後(操作者Mを通過後)であり、操作者Mから車両Vが離隔するときに車両Vを旋回させることにより、旋回時における車両Vの動きや位置を確認しやすくすることができる。
[5]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置では、操作者Mが経路と目標駐車スペースとの間に所在している場合、つまり、操作者Mは、車両Vの旋回軌道を含む円の外側に所在する場合には、旋回しながら移動する車両Vは操作者Mから離隔する。このような操作者Mの観察位置は、車両Vの動きや位置を相対的に把握しやすい。操作者Mが経路と目標駐車スペースとの間に所在している場合には、旋回開始地点が、操作者Mの横を通過する位置よりも上流側に設定することができる。操作者Mの横を通過する位置よりも上流側で車両Vが旋回しても、操作者Mは車両Vの動きや位置を確認できる。
[6]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置では、旋回開始地点と操作者Mの横を通過する位置との距離が長いほど(旋回開始地点が上流側であるほど)、制御命令における速度を低く設定する。車両Vが接近する場合には、操作者Mは車両Vの動きや位置を把握しにくい。車両Vが旋回しながら接近する距離が長いほど、車両Vの動きや位置を把握しにくくなるので、車両Vの速度を低く設定することにより、車両Vの動きや位置の把握がしやすいようにすることができる。
[7]本実施形態の駐車制御方法又は駐車制御装置では、操作者Mから所定距離未満の位置に設定された切り返し地点を含む経路を算出する。操作者Mから所定距離未満の位置に切り返し地点を設定する。これにより、操作者Mから所定距離未満の位置で車両を切り返させることにより、操作者Mが切り返し時における車両Vの位置や動きを確認しやすくすることができる。
[8]上述したとおり、本実施形態の方法が実行される駐車制御装置100においても、上記1から7に記載した作用及び効果を奏する。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。