JP7081004B1 - 冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置 - Google Patents

冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理物に損傷が生じるのを防止できるとともに、効率良く被処理物のバリ取りを行うことができ、生産性、耐久性及びメンテナンス性に優れた冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置を提供する。【解決手段】冷凍バリ取り装置における処理室の内部空間に配置され、内部に被処理物を収容する冷凍バリ取り装置用バケット3であり、一端側が底部3bとされ、他端側に被処理物が投入される投入口3aが開口した有底筒状とされるとともに、底部3b及び筒部3dに複数の透孔が設けられた収容部30を有し、収容部30における筒部3dの内面3e、及び、底部3bの内面3cの内の少なくとも一方には、被処理物を攪拌する攪拌翼35が1以上で設けられており、攪拌翼35における端部の少なくとも一部が樹脂からなる。【選択図】図5B

Description

本発明は、冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置に関するものである。
従来、樹脂製品や金属製品等(以下、被処理物と称する場合がある。)のバリを除去する装置として、例えば、冷凍した処理室内に配置されたバケット中に被処理物を投入し、ばバケットを回転させながら被処理物に向けてショット材を投射することにより、バリ取りを行う冷凍バリ取り装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載されたように、冷凍バリ取り装置は、冷凍設備によって処理室内を冷却し、回転するバケットに収容された被処理物を冷却しながら、被処理物に向けてショット材を投射して、加工過程で被処理物に残存したバリを除去する。
また、特許文献1の冷凍バリ取り装置においては、バケットの内側面に金属製の攪拌翼が設けられている。この攪拌翼は、バケットが回転する際に、内部に収容された被処理物を攪拌することにより、バリ取り処理の効率を高める働きを有する。
特開2015-062963号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の冷凍バリ取り装置においては、攪拌翼が金属からなるものであることから、特に、デリケートな材料からなる被処理物や、サイズが小さな被処理物のバリ取り処理を行う場合に、被処理物を傷めてしまうおそれがあった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、被処理物に損傷が生じるのを防止できるとともに、効率良く被処理物のバリ取りを行うことができ、生産性、耐久性及びメンテナンス性に優れた冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。この結果、バケット内に設けられる攪拌翼の端部の材質及び構造を最適化することで、被処理物に損傷が生じるのを防止でき、歩留まりが向上するとともに、攪拌翼の耐久性やメンテナンス性も向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、請求項1に係る発明は、冷凍バリ取り装置における処理室の内部空間に配置され、内部に被処理物を収容する冷凍バリ取り装置用バケットであって、一端側が底部とされ、他端側に被処理物が投入される投入口が開口した有底筒状に構成されるとともに、前記底部及び筒部に複数の透孔が設けられている収容部を有し、前記収容部における前記筒部の内面、及び、前記底部の内面の内の少なくとも一方には、前記被処理物を攪拌する攪拌翼が1以上で設けられており、前記攪拌翼は、前記筒部の前記内面、及び、前記底部の内面の内の少なくとも一方に取り付けられる本体部と、前記端部とからなり、前記本体部が金属からなるとともに、前記端部の少なくとも一部が樹脂からなることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
請求項に係る発明は、請求項1に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであって、前記攪拌翼は、前記端部が、前記本体部の少なくとも一部に樹脂が被覆されてなることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
請求項に係る発明は、請求項1に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであって、前記攪拌翼は、前記端部が、前記本体部の少なくとも一部に樹脂製のカバーが装着されてなることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
請求項に係る発明は、請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであって、前記収容部の前記底部及び前記筒部に設けられた前記複数の透孔が、内周面側に開口したエッジ部が断面曲線状とされていることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
請求項に係る発明は、請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであって、前記収容部における前記底部及び前記筒部が、複数の透孔が形成されたパンチングメタルからなることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケットである。
請求項に係る発明は、冷媒によって冷却される処理室と、前記処理室の内部空間に配置されるとともに、被処理物が投入される投入口が開口して設けられ、内部に被処理物を収容するバケットと、前記被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、を備える冷凍バリ取り装置であって、前記バケットが、請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであることを特徴とする冷凍バリ取り装置である。
本発明に係る冷凍バリ取り装置用バケットによれば、収容部の内面側に設けられる攪拌翼が、端部の少なくとも一部が樹脂からなる構成を採用している。
本発明によれば、上記構成を採用することで、被処理物がデリケートな素材からなるものや、サイズが小さなものであっても、被処理物が傷つくのを防止しながら攪拌することが可能になる。これにより、被処理物に損傷が生じるのを防止できるとともに、効率良く被処理物のバリ取りを行うことが可能になり、さらに、攪拌翼の耐久性やメンテナンス性も向上する。
従って、歩留まりを含めた生産性、耐久性及びメンテナンス性に優れた冷凍バリ取り装置用バケットを提供することが可能になる。
また、本発明に係る冷凍バリ取り装置によれば、上述した本発明に係る冷凍バリ取り装置用バケットを備えたものなので、上記同様、歩留まりを含めた生産性、耐久性及びメンテナンス性に優れた冷凍バリ取り装置を提供することが可能になる。
本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットが備えられる冷凍バリ取り装置の一例を模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置全体の外観を示す斜視図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットが備えられる冷凍バリ取り装置の一例を模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置の内部構成を示す破断図で、扉を閉めて処理室の開口部を覆った状態を示す図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットが備えられる冷凍バリ取り装置の一例を模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置の内部構成を示す破断図で、扉を空けて処理室の開口部を開放した状態を示す図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それが備えられる冷凍バリ取り装置について模式的に説明する図であり、バケットの取り付け構造を示す概略図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それが備えられる冷凍バリ取り装置について模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置用バケットが取り付けられるバケット保持部の構造を示す概略図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、冷凍バリ取り装置用バケットを側面側及び底面側から見た概略図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、図5A中に示したA-A断面及びB-B断面を示す断面図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、攪拌翼の端部に樹脂製のカバーが配置された一例を示す平面図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、攪拌翼の端部に樹脂製のカバー又が配置された一例を示す断面図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、図6A中に示した攪拌翼の端部に樹脂製のカバーを取り付ける前の状態を示す平面図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、図6B中に示した攪拌翼の端部に樹脂製のカバーを取り付ける前の状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、攪拌翼の端部に塗装物が配置された例を示す平面図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、攪拌翼の端部に塗装物が配置された例を示す断面図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、収容部におけるパンチングメタルからなる底部及び筒部に設けられた複数の透孔を示す平面図である。 本発明の一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケットについて模式的に説明する図であり、図9A中に示したC-C断面を示す断面図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である冷凍バリ取り装置用バケット、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置について、図1~図9A,図9Bを適宜参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を拡大あるいは簡略化して示している場合がある。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット(以下、単にバケットと略称する場合がある。)、及び、それを用いた冷凍バリ取り装置によってバリ取り処理が施される被処理物としては、特に限定されないが、例えば、プラスチック成型品やゴム成型品等のような樹脂製品、又は、ダイカスト成型品等の金属製品が挙げられる。
本実施形態のバケット及び冷凍バリ取り装置は、上記のような各種の被処理物のうち、特に、プラスチック材料やゴム材料等からなる樹脂成型品のような、硬度が低く傷つきやすい被処理物のバリ取りを行う場合に好適なものである。
<冷凍バリ取り装置の全体構成>
以下、本実施形態の冷凍バリ取り装置の全体構成について詳述する。
図1は、本実施形態の冷凍バリ取り装置1の全体の外観を示す斜視図である。図2及び図3は、冷凍バリ取り装置1の側方から見た内部構成を示す破断図で、図2は、扉5を閉めて処理室2の開口部21を覆った状態を示す図であり、図3は、扉5を空けて処理室2の開口部21を開放した状態を示す図である。図4Aは、バケット(冷凍バリ取り装置用バケット)3の取り付け構造を示す図であり、図4Bは、バケット3が取り付けられるバケット保持部31の構造を示す図である。
本実施形態の冷凍バリ取り装置1は、冷媒によって冷却される処理室2と、処理室2の内部空間Dに配置されるとともに、被処理物M(図5Bを参照(以下同様))が投入される投入口3aが開口して設けられ、内部に被処理物Mを収容するバケット3と、被処理物Mに向けてショット材S(図2を参照(以下同様))を投射するショット機4と、処理室2の開口部21を開閉する扉5と、バケット3に接続されて該バケット3を回転させる回転軸81を有し、扉5に取り付けられたモータ8と、を備え、概略構成される。
また、本実施形態の冷凍バリ取り装置1には、上記の各構成に加え、さらに、移動機構9と、排気部11と、制御パネル12とが備えられている。
上記の各構成要素は、冷凍バリ取り装置1全体の枠組体となる筐体10に組み付けられるか、あるいは、筐体10に収容されるように備えられる。
処理室2は、内部に備えられるバケット3に収容された被処理物Mを冷凍しながら、内部空間Dで被処理物Mのバリ取り処理を実施するものである。
処理室2は、例えば、ステンレス材料からなる内壁板と外壁板との間に発泡スチレンやフォーミング材等の断熱材が介装され、断熱構造を有した複合板2Aによって、図2等に示すような内部空間Dが確保された構成を採用できる。
処理室2には、冷凍バリ取り装置1の前面側に開口した開口部21が設けられ、この開口部21からバケット3が外部に露出することで、バケット3に収容するバリ取り処理前の被処理物Mの搬入、並びに、バリ取り処理が完了した被処理物Mの搬出が可能な構成とされている。即ち、図示例においては、開口部21が、扉5によって開閉可能に覆われており、バケット3への被処理物Mの搬入又は搬出を行う際に、扉5を開閉できるように構成されている。
また、処理室2における開口部21の平面視で外側には、平面視囲繞形状で図視略のプレートが配置されており、このプレートの表面には、後述のシール固定板及びボルトによって図視略のシール材が固定されている。
処理室2の底部側は、排出孔24を有したホッパ25とされており、排出孔24から、被処理物Mから除去された図視略のバリ等の廃棄物、及び、使用したショット材Sの両方を、後述の選別器7に向けて送り込むことが可能な構造とされている。
処理室2には、冷媒供給部28が接続されており、この、冷媒供給部28から処理室2の内部に向けて冷媒を供給することで、処理室2(内部空間D)が冷却される構成とされている。冷媒供給部28としては、例えば、冷媒を貯留するタンクに加え、バルブ28bが介装された冷媒供給管28aと、処理室2内の温度を測定する図視略の温度センサと、該温度センサからの指令によってバルブ28bを開閉操作させ、冷媒の供給量を調整する制御部と、処理室2の内部空間Dに向けて冷媒を噴出するノズル28cとからなるものを採用できる。
上記の冷媒供給部28は、温度センサで測定された処理室2の温度に応じてバルブ28bが自動的に開閉されることで、処理室2の温度を自動調整できる。このような処理室2の温度の調整は、例えば、制御パネル12を操作することで冷却温度を設定することで、図視略の制御手段によって行われる。
処理室2の冷却、ひいては被処理物Mの冷却に用いる冷媒としては、被処理物Mを脆化温度以下に冷却でき、且つ、不活性な物質を使用することができ、例えば、液化窒素、液化炭酸ガス等の液化不活性ガスからなる冷媒が挙げられる。
さらに、本実施形態では、処理室2内で発生した冷媒を含む気化ガスを大気中に放出するための配管からなる排気部11を備えた構成を採用できる。排気部11としては、排気管に加え、さらに、大気の処理室2内への流入を制限する図視略のダンパと、処理室2内で発生した塵埃を集塵する図視略の集塵機とを備えた構成を採用できる。
バケット3は、上述したように、処理室2内に設置され、内部に被処理物Mを収容しながら軸方向で回転する筒状部材である。
本実施形態のバケット3のより詳細な構成については後述する。
扉5は、処理室2の開口部21を開閉するものであり、例えば、図視略の蝶番部材によって開閉自在に構成される。即ち、扉5は、被処理物Mをバケット3内に搬入あるいは搬出する際に、作業者あるいは図視略の自動開閉機構によって開閉動作が行われる。扉5は、処理室2内で被処理物Mにバリ取り処理を施す際、処理室2の開口部21を覆うことで内部空間D並びに被処理物Mの冷却効率を向上させることにより、効果的なバリ取り処理が可能になるという効果を奏する。
また、本実施形態で説明する扉5は、処理室の前記開口部に対して、所謂プルダウン方式で開閉する構造を有している。即ち、扉5は、下端5bが蝶番51によって筐体10に固定され、また、左右の両端5c、5dがスライドレール52及びダンパ53を介して筐体10に固定されていることで、上端5aが揺動して扉5の開閉を行うことが可能な構成とされている。
モータ8は、バケット3を回転させる駆動源であり、回転軸81にバケット3が取り付けられていることで、バケット3を軸方向で正逆転方向に回転させる。図2中に示す例では、モータ8は、扉5の処理室2側と外部(大気)側を跨ぐように、且つ、回転軸81が処理室2側を向くように配置されている。
図2及び図3等に示す例では、モータ8の回転軸81の先端81aに筒状のバケット保持部31が取り付けられている。バケット保持部31のバケット挿入口31aにバケット3が挿入されることで、バケット3がバケット保持部31に対して着脱自在に取り付けられている。これにより、本実施形態では、扉5を閉めた状態において、モータ8、バケット保持部31及びバケット3が、処理室2の内部空間D内に浮かぶように設置されている。
バケット保持部31に対するバケット3の保持方法としては、特に限定されないが、例えば、バケット3を筒状のバケット保持部31内に挿入する方法の他、バケット3を筒状のバケット保持部31内に挿入して嵌合する方法、複数の金具等によってバケット3をバケット保持部31に固定する方法を採用できる。バケット3を筒状のバケット保持部31内に挿入する方法を採用する場合、バケット保持部31に挿入される部分のバケット3の外径は、バケット保持部31の内径よりも小さい径とする。これにより、作業者がバケット3を容易に脱着することが可能となる。
なお、バケット3の固定方法は、図示例のような、バケット保持部31に着脱可能に固定する方法には限定されず、例えば、モータ8の回転軸81の先端81aに、バケット3を直接取り付けることも可能である。
図4A及び図4Bに示すように、バケット保持部31は、金属製の棒材からなる保持フレーム31bと、該保持フレーム31bとモータ8の回転軸81とを連結する連結体31cとから構成される。バケット保持部31の内径、即ち、投入口3aの内径は、バケット3の外径よりも大きく構成され、また、保持フレーム31bの高さは、筒状とされたバケット3の軸方向高さに対して概略半分程度とされている。また、バケット保持部31に開口領域31dが設けられ、ショット材Sやバリがバケット3を通過しやすい構成とされている。
上記のように、バケット3が着脱可能に構成されることで、被処理物Mの種類に適した形状、材質のバケット3を用いてバリ取りを行うことができるので、効率的な処理が可能になる。また、被処理物Mをバケット3に収容した状態で、バケット保持部31にバケット3を挿入、脱着できるので、被処理物Mの紛失や、落下等による汚損を防止することが可能になる。さらに、被処理物Mを、バケット3に収容した状態で管理できるため、工程において、誤って別製品が混入するのを防止することが可能になる。
図2及び図3に示す例では、バケット3は、詳細を後述する移動機構9により、モータ8とともに扉5に支持されている。また、バケット3は、移動機構9によって扉5の開閉動作に連動して作動することで、扉5が開口部21を覆って閉じているときは、バケット3の投入口3aが処理室2の開口部21と反対側に位置するように、モータ8とともに配置される。一方、扉5が開口部21を開放しているときは、バケット3の投入口3aが開口部21側に位置するように、モータ8とともに配置される。なお、本明細書で説明する開口部21の反対側とは、開口部21に対して、冷凍バリ取り装置1の内部側を意味する。また、開口部21側とは、開口部21に対して、冷凍バリ取り装置1の外部側を意味する。
図3に示す例においては、バケット3及びモータ8は、扉5が開口部21を開放しているとき、移動機構9によって処理室2の外部に位置するように配置されている。即ち、図示例では、バケット3は、扉5を開放しているとき、バケット保持部31のバケット挿入口31aが鉛直上方を向いて配置される。
図1及び図3に示すように、移動機構9は、レバー91と、スライドレール92と、ダンパ93とを有する。
レバー91は、扉5の下側に設けられた蝶番51と反対側、即ち、扉5の上側における両側の2箇所に設けられ、扉5と筐体10との間を着脱可能に固定できる構造を備える。
冷凍バリ取り装置1において、例えば、扉5を開放状態とする場合には、レバー91を操作して扉5と筐体10との間の固定状態を解消させることで、扉5が蝶番51を支点に回動して開放方向に移動可能となる。一方、扉5を閉じる場合には、蝶番51を支点に扉5を回動させ、開口部21を覆う方向に移動させることで、レバー91の固定構造によって扉5と筐体10とを固定する。
スライドレール92は、扉5における鉛直方向で概略中間の位置で、扉5の両側に設けられ、扉5が所定の角度以上で開放されないように筐体10に対して固定しながら、且つ、扉5を開放自在に支持する構造を備える。
スライドレール92は、詳細な図示を省略するが、例えば、長尺板状の金具と、その両端を扉5又は筐体10に支持するボルトとからなり、上記の金具に長尺方向に沿って形成された長孔に、ボルトが隙間を有して緩く介挿されることで、ボルトが長孔に沿って移動可能に構成される。これにより、スライドレール92は、扉5の開放角度を制限しながら、扉5を筐体10に対して固定するとともに、扉5を開放自在に支持する。
ダンパ93は、扉5の下側における両側、即ち、蝶番51の側方の2箇所に設けられ、スライドレール92と同様、扉5を、その開放角度を制限しながら筐体10に対して固定し、且つ、扉5を開放自在に支持するとともに、扉5を所望の位置で一時的に停止させることが可能なダンパ機能を有する。
ダンパ93は、例えば、介挿状態でスライド可能な大径部と小径部とからなり、作動油等を用いることで、ダンパ機能を有するとともに、伸縮自在とされたものを使用できる。
そして、図2に示すように、扉5に対して、モータ8、バケット保持部31並びにバケット3が所定の角度αで取り付けられていることで、バケット3及びモータ8の位置及び向きの両方が、扉5の開閉動作に連動して作動する。
即ち、図2に示すように、扉5が開口部21を覆って閉じているときは、バケット3の投入口3a及び蓋33が開口部21と反対側に位置するようにバケット3及びモータ8を配置する。このように、扉5が閉じているときは、バケット3の投入口3a及び蓋33が、ショット機4の投射口4aと相対するように配置されることで、ショット材Sによる被処理物Mのバリ取りを効率よく行うことが可能となる。
一方、図3に示すように、扉5が開口部21を開放しているときは、バケット3の投入口3aが、蓋33を取り外した状態で開口部21側に位置するようにバケット3及びモータ8を配置する。即ち、扉5が開放しているときは、バケット3及びモータ8が処理室2の外部に移動し、バケット3の投入口3a及び蓋33が鉛直上方を向くように配置されることで、バケット3のバケット保持部31への着脱や、蓋33の取り外し、あるいは被処理物Mの搬入及び搬出等を容易に行うことが可能となる。
図2に示した断面図のように、扉5を閉めた状態における、扉5の垂直方向に沿った線L1とバケット保持部31の中心軸線L2とがなす角度αは、扉5を閉めたときに、バケット3がバケット保持部31から脱落しない程度の角度に設定することが好ましい。上記の角度αの好ましい反意は、バケット3の保持性並びにバリ取り効率を考慮した場合、下限は40°であり、上限は90°(水平)である。ここで、被処理物Mの撹拌効率が高められ、効率的にバリの除去が可能になる観点からは、上記の角度αは水平(90°)に近づくほど好ましいが、バケット3の保持性及びバリ取り効率を両立させる観点からは、上記の角度αを50~60°程度とすることがより好ましい。
図3に示した断面図のように、移動機構9を構成するレバー91のロックを解除することで、スライドレール92が伸びるとともに、ダンパ93が縮み、扉5を開放することができる。
一方、図2中においては移動機構の図示を省略しているが、扉5を閉めた状態とした場合には、スライドレールが縮むとともに、ダンパが伸びた状態となる。
なお、上記のようなプルダウン方式で開閉する構造を有する扉5の開閉角度は、特に限定されないが、バケット3の蓋33が、筐体10や処理室2の内壁等に対向しない状態、即ち、バケット3が起き上がり、投入口3a及び蓋33が上方に配置されるような角度が好ましい。また、バケット3のバケット保持部31に対する着脱のし易さを考慮し、バケット3の中心軸が鉛直上方を向くような角度であることがより好ましい。
本実施形態においては、扉5が開口部21を開放しているとき、バケット保持部31のバケット挿入口31aが、処理室2の開口部21と対向しない方向を向いて配置されることが好ましい。
さらに、本実施形態では、図3に示す例のように、扉5が開口部21を開放しているとき、バケット保持部31のバケット挿入口31aが鉛直上方を向いて配置されることがより好ましい。
上記のように、扉5が開いているときの、バケット保持部31のバケット挿入口31aの開口方向や位置を最適化することにより、バケット3が、処理室2の内壁や筐体10等に接触・衝突し難くなるので、処理室2の内部空間Dへのバケット3の搬入や搬出が容易になる。
また、バケット保持部31のバケット挿入口31aが鉛直上方を向いていることで、バケット3をバケット保持部31に着脱するときの作業性が向上する。
また、扉5を開放したとき、作業者が、扉5、モータ8、バケット保持部31及びバケット3の両側(左右側)に立って作業することができるので、作業者が作業環境に応じて作業位置を選択することができることから、作業性がより向上する効果が得られる。さらに、バケット保持部31のバケット挿入口31aが鉛直上方を向いていることで、場所を有効活用しながら工程上の作業ラインを構築することが可能になる。
選別器7は、処理室2に備えられたホッパ25(排出孔24)から下方に落下するバリ等の廃棄物を含んだ状態のショット材Sを、このショット材Sよりもサイズが大きなバリ、ショット材S、及びショット材Sよりもサイズが小さなバリに選別する。
具体的には、図2等に示す選別器7は、詳細な図示を省略するが、大バリ収納タンクを備える大バリ選別用振動篩と、ショット材貯槽73及び小バリ収納タンクを有するショット材選別用振動篩を備えた選別部とを備える。
選別器7は、上記構成により、処理室2からホッパ25を介して落下排出される、バリ等の廃棄物を含んだ状態のショット材Sを、外気に触れることなく選別する。
ショット機4は、上述したように、被処理物Mに向けてショット材Sを投射する。
具体的には、ショット機4は、上述した選別器7に備えられるショット材貯槽73内に収容されたショット材Sを、インペラ42の回転によって吸引ホース41で吸引し、バケット3内に向けて投射する。バリを有する被処理物Mは、ショット材Sの投射に伴う衝撃により、バリが除去される。
ショット機4のケース体には、断熱構造のものを使用することができる。
また、ショット機4によって投射されるショット材Sとしては、一般的なプラスチック材料からなるものが用いられる。
なお、本実施形態では、上述した扉5が開口部21を覆って閉じているときは、ショット機4における投射口4aと、バケット3の投入口3aとが対向するように配置されることがより好ましい。このように、ショット機4の投射口4aと、バケット3の投入口3aとが対向して配置されることで、被処理物Mに対してショット材Sを効率的に投射できるので、効率的なバリ取り処理が可能となる。
なお、本実施形態の冷凍バリ取り装置1においては、扉5によって開口部21が覆われた処理室2(内部空間D)の密閉性を高めるため、図視略のシール材を設けることができる。シール材は、例えば、処理室2の開口部21を取り囲むように配置される図視略のフレームに沿って設置され、全体として平面視で囲繞形状となるように配置される長尺の部材からなる。シール材は、例えば、図視略のフレームに接着されるか、あるいは、フレームとシール固定板との間に狭持されることで、フレームに固定することができる。
シール材は、処理室2の開口部21を扉5で覆ったとき、扉5と図視略のフレームとの間で圧縮されることで、扉5と開口部21との間をシールする作用が得られるものである。
シール材は、長尺状、例えば、平面視で紐状に構成され、耐寒性(耐低温性)に優れる弾性体材料からなる。このようなシール材を構成する弾性体材料としては、特に限定されないが、ニトリルゴムやシリコーンゴム等のゴム材料が挙げられる。
また、シール材は、例えば、長手方向に沿った中空構造とされているとともに、その表面に、シール材の長手方向で連続するように長尺に形成された複数の突起を設けた構成とすることで、扉5を閉めた際にシール材が圧縮され、処理室2(内部空間D)の密閉性をより高めることが可能となる。
本実施形態の冷凍バリ取り装置1の各部材に用いられる材料としては、特に限定されず、適宜選択することが可能である。例えば、本実施形態の冷凍バリ取り装置1が、処理室2及びバケット3、並びにバケット3に収容された被処理物M等を冷却し、さらに、その周辺部材も冷却されるであろうことを考慮すると、各部材の材料には、強度、防錆性及び耐低温特性等の観点から、ステンレス材料を用いることが好ましい。
なお、上述した「平面視囲繞形状」とは、平面視で中心方向を囲むように長尺で配置、形成された形状を含み、例えば、平面視で矩形状や環状の他、これらの中間的な形状も含むものである。
<冷凍バリ取り装置用バケット(バケット)の構成>
以下に、本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット(バケット)3について、主に図5A,図5B,図6A,図6B,図7A,図7Bを参照しながらより詳細に説明するする。
図5Aは、バケット3を側面側及び底面側から示す図で、図5Bは、図5A中のA-A及びB-B断面図である。図6A及び図6Bは、バケット3に設けられる攪拌翼35の端部として樹脂性のカバー35bが配置された一例を示す図であり、図7A及び図7Bは、図6A及び図6B中に示した攪拌翼35からカバー35bを取り外した状態を示す図である。
図5A及び図5Bに示すように、本実施形態のバケット3は、一端側が底部3bとされ、他端側に被処理物Mが投入される投入口3aが開口し、これらの間が筒部3dとされた有底筒状の収容部30を有する。収容部30は、底部3b及び筒部3dに複数の透孔3fが設けられており、収容部30における筒部3dの内面3e、及び、底部3bの内面3cの内の少なくとも一方に、被処理物Mを攪拌する攪拌翼35が設けられ、図示例では内面3e及び内面3cの両方に設けられている。そして、本実施形態のバケット3に備えられる攪拌翼35は、端部の少なくとも一部が樹脂から構成される。
また、バケット3には、投入口3aを覆うように蓋33が備えられ、この蓋33が、ショット機4の投射口4aと対向するように配置される。また、被処理物Mを収容するバケット3と、蓋33とは、締結部34によって結合されている。
収容部30は、上述したように、投入口3a、底部3b及び筒部3dを有してなる。即ち、投入口3a及び底部3bは平面視で円形状であり、筒部3dも、軸方向から見た内外周が円形状とされている。また、収容部30としては、上記のような円形筒状のものには限定されず、中空(筒状)の部材であれば如何なる部材を使用することができ、例えば、多角形の筒状部材を用いることも可能である。また、底部3bは、筒部3dの一端側を覆うように、この筒部3dに固定されている。また、投入口3aは、円形状の内縁及び外縁からなる縁部を有し、蓋33を構成するフレーム部33aと接触する。
底部3b及び筒部3dに設けられた複数の透孔3fは、例えば、上述したショット機4から投射されるショット材Sが透過でき、且つ、被処理物Mが漏れない程度の大きさとされている。このような複数の透孔3fを有する底部3b及び筒部3dには、例えば、金属製の多孔板を用いることができ、具体的には、金属板に孔を打ち抜いたパンチングメタルや金網等を採用することができる。このように、底部3b及び筒部3dにパンチングメタルや金網を用いることで、バケット3の回転時、被処理物Mに損傷が生じるのを抑制できる効果が得られる。
なお、筒部3dにおける投入口3aの近傍には、作業性の確保やバケット3の密封性等を考慮し、複数の透孔3fを設けないことが好ましい。
底部3b及び筒部3dをパンチングメタルから構成する場合には、図9A及び図9Bに示すようなパンチングメタル13を加工して用いることができる。
図示例のパンチングメタル13は、複数の透孔3fが、内周面側に開口したエッジ部3gが断面曲線状とされている。
例えば、ステンレス等の金属板を打ち抜き加工して透孔を形成する場合、一般に、打ち抜き加工によってバリ(図9B中の符号3hを参照)が生じる一方、このバリ3hが生じる面と反対側の面においては、「ダレ」と呼ばれる断面曲線状の変形箇所が、透孔のエッジ部3gに生じる。
本実施形態においては、例えば、金属板を打ち抜き加工して複数の透孔3fを形成することで、図9Bに示すようなパンチングメタル13とする。その後、加工後のパンチングメタル13で収容部30を作製するときに、上記のバリ3hが生じた面を収容部30の外面側に配置するとともに、断面曲線状のダレが形成されたエッジ部3gが、収容部30の内面(3c,3e)側に配置されるように作製する。
一般に、バケット3が回転するのに伴い、収容部30内の被処理物Mが底部3bの内面3cや筒部3dの内面3eに接触する。このとき、従来のバケットを用いた場合、収容部の内面側における透孔のエッジがバリによって角ばっているために、被処理物Mに損傷が生じることがある。
これに対し、図9Bに示すように、収容部30の内面側に配置されるエッジ部3gが断面曲線状とされていることにより、被処理物Mが、角ばった透孔と接触することがないので、被処理物Mに損傷が生じるのを効果的に抑制できる。
なお、収容部30を構成する各部材の材料としては、機械的強度や防錆性等の観点から、例えば、ステンレス鋼を用いることが好ましい。
攪拌翼35は、筒部3dの内面3e、及び、底部3bの内面3cの内の少なくとも一方に1以上で配置され、バケット3の回転に伴い、収容部30に収容された被処理物Mを攪拌するものである。また、図5A及び図5B、並びに、図6A及び図6Bに示す例の攪拌翼35は、本体部35aの端部に樹脂性のカバー35bが配置されており、図示例では、端部全体にカバー35bが配置されている。
攪拌翼35は、図5B中に示す例では、収容部30内の計4箇所に設けられ、これら4箇所の攪拌翼35が、収容部30(バケット3)の軸方向から見たとき、内面3eの周方向に沿って均等な距離で配置されている。また、図5Bに示した、4箇所に設けられた攪拌翼35は、収容部30の中心軸を介して相対する攪拌翼35A,35B同士が、収容部30の軸方向、即ち、バケット3の高さ方向の位置が同じ位置になるように配置されている。即ち、図示例においては、攪拌翼35Aと攪拌翼35Bが、筒部3dの内面3eと底部3bの内面3cとの間に跨がるように固定されている。また、図5B中では詳細な図示を省略するが、収容部30の中心軸を介して相対する攪拌翼35Cと攪拌翼35Dとの間の配置関係も、上述した攪拌翼35Aと攪拌翼35Bとの配置関係と同様とされている。
攪拌翼35を構成する本体部35aは、図示例においては、平面視で矩形状とされた略L字状部材からなり、この本体部35aが、例えば、ボルト締めや溶接等の方法で、収容部30の筒部3dにおける内面3e、及び/又は、底部3bの内面3cに固定される。
また、攪拌翼35は、その攪拌効率を考慮し、略L字状とされた本体部35aが、バケット3の正転方向に向かって、筒部3dの底部3b側から投入口3a側に向かって延びるように配置される。
一方、攪拌翼35の本体部35aは、上述したようなバケット3の正転方向に向かって延びるような配置形態に限定されるものではなく、例えば、バケット3の逆転方向に向かって延びるように配置してもよい。
また、攪拌翼35は、図5B中に示す攪拌翼35Bのように、その長手側が、収容部30の底部3b側から投入口3a側に向かって延びるように配置してもよいし、あるいは、長手側が底部3bに沿って延びるように配置しても構わない。
さらに、攪拌翼35は、図5B中に示す攪拌翼35Bのように、短手側が収容部30の底部3b側に配置されていてもよいし、あるいは、攪拌翼35Aのように、端手側が投入口3a側に配置されていても構わない。
なお、本明細書で説明する「バケット3の正転方向」とは、被処理物Mからバリを除去するときの、バケットの回転方向である。
攪拌翼35の本体部35aは、例えば金属板を曲げ加工したもの等を採用できるが、端部に設けられるカバー35bと同様、樹脂材料からなる成形品を採用しても構わない。このように、本体部35aを樹脂製とする場合には、端部に設けるカバー35bとの一体成形が可能になるので、工程の削減やコストダウンが可能になる。
また、被処理物Mが損傷するのを可能な限り抑制する観点からは、上記のように、攪拌翼35全体を樹脂から構成することがより好ましい。
上記のカバー35bに用いる樹脂材料、並びに、本体部35aを含めた攪拌翼35全体を樹脂から構成した場合の樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、JIS K7216:1980「プラスチックのぜい化温度試験方法」により定義される脆化温度が、処理室2内の温度(冷却温度)よりも低いことが好ましい。このような樹脂材料としては、例えば、脆化温度が-140℃である超高分子ポリエチレン等が挙げられる。
また、本体部35aを金属から構成する場合、その金属材料としては、特に限定されないが、耐低温性及び耐食性に優れる金属材料が好ましい。このような金属材料としては、収容部30と同様ステンレス鋼等が挙げられる。
本体部35aを金属から構成することで、攪拌翼35全体の耐久性が向上する効果が得られる。
また、攪拌翼35の端部、即ち、カバー35bの形状は、被処理物Mに損傷が生じるのを抑制する観点から、図6Bに示すような丸みをおびた形状に加工されていることが好ましい。
上記の本体部35aの端部にカバー35bを組み付ける場合には、例えば、図7A及び図7Aに示すように、金属板からなる本体部35a、及び、樹脂からなるカバー35bを準備する。カバー35bは、スリット35cが形成され、本体部35aの端部に沿うような平面視L字状とされている。なお、カバー35bの平面視形状は、本体部35aの端部に沿う形状であれば、他の形状であっても構わない。また、カバー35bは、複数の部材が組み合わされた構成とされていてもよいが、本体部35aに対する固定強度を確保する観点から、単一の部材であることが好ましい。
図7Bに示すように、カバー35bには、本体部35aに組み付けられる側にスリット35cが形成されている。
図示例のように、カバー35bを本体部35aに組み付ける前のスリット35cの幅aを、本体部35aの厚さbよりも小さく構成することで、本体部35aとカバー35bとが嵌合によって固定され、一体化される。
但し、本体部35aとカバー35bとの組付方法は、上記のような嵌合によるものには限定されず、例えば、接着剤で固定する方法であってもよいし、嵌合及び接着を併用した方法を採用しても構わない。
上記のように、攪拌翼35の端部に樹脂製のカバー35bを配置し、嵌合又は接着によって固定されていることで、必要に応じてカバー35bを引っ張ることで、本体部35aからカバー35bを分離することが可能になる。これにより、カバー35bの交換作業を行う際は、バケット3を各構成部材に分離することなく、カバー35bのみを交換することが可能になる。従って、仮に、使用過程においてカバー35bの一部が損傷した場合であっても、交換修理作業が容易であるため、バケット3のメンテナンス性が向上する効果が得られる。
なお、本実施形態では、攪拌翼35の端部に樹脂製のカバー35bを配置した構成を説明しているが、これには限定されず、例えば、本体部35aの端部に樹脂を塗布して被覆する方法を採用してもよい。
また、図8A及び図8Bに示す例の攪拌翼35Eのように、本体部35aの全体にわたって樹脂を塗布して被覆することにより、攪拌翼Eの全体にわたって被覆層35dを設けた構成を採用しても構わない。
蓋33は、投入口3aを覆うものであり、図5A及び図5Bに示すように、投入口3aの内縁及び外縁と接するフレーム部33aと、平面視でフレーム部33aに囲まれるように配置される窓部33bとから構成される。
フレーム部33aは、平面視で円環状に構成され、上下面及び内外周面を有した断面多角形状とされており、下面側が収容部30の投入口3aの縁部に接触している。
なお、フレーム部33aは、図示例のような平面視円環状の部材には限定されず、バケット3の蓋33としての機能を維持できる範囲で、他の形状の部材を採用することも可能である。
窓部33bは、円環状のフレーム部33aによって囲まれた領域であり、フレーム部33aの内周面によって開口された円形状の領域を覆うように、フレーム部33aに固定される。また、窓部33bは、収容部30における底部3bや筒部3dと同様、複数の透孔が、平面視で全体にわたって設けられている。
窓部33bの材料としても、上述した収容部30の底部3bや筒部3dと同様、例えば、パンチングメタルや金網等を何ら制限無く用いることができる。
なお、窓部33bは、図示例のような平面視円形状には限定されず、フレーム部33aの内周面の形状を変更することにより、平面視多角形状とすることも可能である。
締結部34は、蓋33を、収容部30の投入口3aに対して開閉可能に締結する。
締結部34としては、蓋33を投入口3aに対して押圧できる構造のものが好ましく、例えば、パッチン錠等を採用できるが、ボルトを用いて固定する方法を採用しても構わない。
また、締結部34は、蓋33の外周方向で2箇所以上に設けられていることが好ましい。
さらに、締結部34を複数で設けた場合、これらが同一構造である必要は無い。例えば、一の締結部34がパッチン錠からなり、他の締結部34が蝶番からなる構成を採用することも可能である。
<冷凍バリ取り装置の運転方法>
次に、上述した本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット3を備える冷凍バリ取り装置1を用いて、被処理物Mのバリ取り処理を行う手順について、上記と同じ図面を参照しながら説明する。
まず、制御パネル12を操作し、処理室2に向けて、冷媒供給部28から液体窒素等の冷媒を供給して内部空間Dの冷却を開始し、所望の温度に冷却する。この際の冷却温度は、被処理物Mが脆化する温度以下とする。被処理物Mが樹脂やゴムからなる場合には、ガラス転移温度以下に冷却することが好ましいが、脆化温度以上の冷却温度であってもよい。
次に、バケット3の収容部30に被処理物Mを投入する。この際、蓋33の下面側が収容部30における投入口3aに接触した状態で締結部34を操作することにより、蓋33をバケット3に締結した状態とする。これにより、バケット3の内部が閉空間となる。
次に、処理室2が十分に冷却されたことを確認し、レバー91のロックを解除して扉5を開放することで処理室2の開口部21を開放した状態とする。この際、バケット保持部31は、バケット挿入口31aが鉛直上方を向いた状態で、処理室2の外部に搬出された状態となる。
そして、被処理物Mが収容されたバケット3をバケット保持部31にセットし、扉5を閉めて開口部21を覆う。このとき、バケット3の投入口3a側は、ショット機4の投射口4aと相対するように配置される。
次いで、被処理物Mの温度が脆化温度以下になった後、所定の回転速度でショット機4に備えられるインペラ42を回転させる。これにより、ショット材Sがショット材貯槽73から吸引ホース41を介して吸い上げられ、投射口4aからバケット3に向けて投射される。このとき、ショット材Sは、収容部30の底部3b及び筒部3dに形成された複数の透孔3f、及び、蓋33の窓部33bに形成された複数の透孔を透過して被処理物Mに衝突し、この被処理物Mのバリが除去される。
この際、バケット3がモータ8の回転によって所定の速度で回転するのに伴い、内部に収容された被処理物Mが、攪拌翼35によって攪拌される。
ショット機4で投射されたショット材Sと、被処理物Mから除去されたバリは、ホッパ25から選別器7に向けて落下し、選別器7に備えられる図視略の大バリ選別用振動篩において、大きなバリを大バリ収納タンクへ回収する。一方、大バリ選別用振動篩を通過したショット材Sや小さなバリは、図視略のショット材選別用振動篩においてショット材Sと小さなバリに選別し、ショット材Sをショット材貯槽73へ、小さなバリを図視略の小バリ収納タンクへ収納する。
上記のような、篩を備える各選別手段としては、公知のものを何ら制限無く用いることができる。
上記の手順により、ショット材Sは、ショット材貯槽73、吸引ホース41、ショット機4、処理室2、ホッパ25及び選別器7の間で循環して使用され、ショット機4及び選別器7が連動して作動するので、ショット材Sが経路中に滞留することなく、高効率で処理できる。
ショット材Sの投射により、バケット3内の被処理物Mからバリが除去された後、ショット機4,選別器7(ショット材貯槽73を含む)の駆動を停止させる。
次いで、レバー91のロックを解除して扉5を開放することで、再び、処理室2の開口部21が開放した状態とする。この際、バケット保持部31は、バケット3を取り付けるときと同様、バケット挿入口31aが鉛直上方を向いた状態で、モータ8及びバケット3とともに処理室2の外部に搬出された状態となる。
次いで、バリ取り処理が終了した被処理物Mが収容された状態のバケット3を、そのままバケット保持部31から取り外す。
次に、バケット保持部31から取り外したバケット3から蓋33を取り外し、バケット3内からバリが除去された被処理物Mを取り出した後、次にバリ取り処理を予定する被処理物Mをバケット3内に収容し、再び投入口3aを蓋33で覆う。
次いで、新たに被処理物Mが収容されたバケット3を、再びバケット保持部31にセットした後、扉5を閉めて開口部21を覆う。
次いで、上記同様、被処理物Mの温度が脆化温度以下になった後、所定の回転速度でショット機4に備えられるインペラ42を回転させることで、ショット材Sをバケット3に向けて投射することで、バケット3に収容された被処理物Mのバリ取り処理を行う。
これにより、上記同様のバリ取り処理作業を繰り返すことができる。
<その他の形態>
以上、実施形態により、本発明に係る冷凍バリ取り装置用バケット及びそれを用いた冷凍バリ取り装置の一例を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
上記の実施形態においては、扉5にモータ8、バケット保持部31及びバケット3が支持され、移動機構9によって扉5の開閉動作と、バケット3の位置及び向きの変化とが連動する冷凍バリ取り装置1を例示して説明したが、本発明に係るバケットを適用できる冷凍バリ取り装置は、これには限定されない。本発明に係るバケットは、例えば、特開平7-100767に開示されたような、バケットの位置及び向きが処理室内で固定された冷凍バリ取り装置にも適用可能である。
また、本実施形態においては、扉5の下側に設けられた蝶番51を支点に扉5が開閉動作を行う、所謂プルダウン方式とされた例を挙げて説明しているが、これには限定されない。扉の開閉構造としては、例えば、扉の左右の何れかの側に蝶番が設けられた片開き方式の構造を採用してもよいし、あるいは、モータ8やバケット保持部31及びバケット3の取り付け形態を最適化することで、両開き方式、即ち、所謂観音開き構造を採用しても構わない。
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット3によれば、収容部30の内面側に設けられる攪拌翼35が、端部の少なくとも一部が樹脂からなる構成を採用している。
上記構成を採用することで、例えば、被処理物Mがデリケートな素材からなるものや、サイズが小さなものであっても、被処理物Mが傷つくのを防止しながら攪拌することが可能になる。これにより、被処理物Mに損傷が生じるのを防止できるとともに、効率良く被処理物Mのバリ取りを行うことが可能になり、さらに、攪拌翼35の耐久性やメンテナンス性も向上する。
従って、歩留まりを含めた生産性、耐久性及びメンテナンス性に優れた冷凍バリ取り装置用バケットを提供することが可能になる。
また、本実施形態の冷凍バリ取り装置1によれば、上述した本実施形態の冷凍バリ取り装置用バケット3を備えたものなので、上記同様、被処理物Mが傷つくのを防止しながら攪拌することができ、歩留まりを含めた生産性、耐久性及びメンテナンス性に優れた冷凍バリ取り装置1を提供することが可能になる。
本発明の冷凍バリ取り装置用バケットは、上記のように、被処理物に損傷が生じるのを防止できるとともに、効率良く被処理物のバリ取りを行うことができ、生産性、耐久性及びメンテナンス性に優れるというものである。従って、本発明の冷凍バリ取り装置用バケットは、例えば、ショットブラスト方式により、樹脂製品や金属製品等の被処理物からバリを除去する冷凍バリ取り装置、並びに、その装置を用いた工程において極めて有用である。
1…冷凍バリ取り装置
2…処理室
2A…複合板
21…開口部
24…排出孔
25…ホッパ
28…冷媒供給部
28a…冷媒供給管
28b…バルブ
28c…ノズル
D…内部空間
3…バケット(冷凍バリ取り装置用バケット)
30…収容部
3a…投入口
3b…底部
3c…内面(底部)
3d…筒部
3e…内面(筒部)
3f…透孔(複数の透孔)
3g…エッジ部
3h…バリ
35,35A,35B,35C,35D…攪拌翼
35a…本体部
35b…端部
35c…スリット
31…バケット保持部
31a…バケット挿入口
31b…保持フレーム
31c…連結体
31d…開口領域
33…蓋
33a…フレーム部
33b…窓部
34…締結部
4…ショット機
4a…投射口
41…吸引ホース
42…インペラ
5…扉
51…蝶番
7…選別器
73…ショット材貯槽
8…モータ
81…回転軸
9…移動機構
91…レバー
92…スライドレール
93…ダンパ
10…筐体
11…排気部
12…制御パネル
13…パンチングメタル
M…被処理物
S…ショット材

Claims (6)

  1. 冷凍バリ取り装置における処理室の内部空間に配置され、内部に被処理物を収容する冷凍バリ取り装置用バケットであって、
    一端側が底部とされ、他端側に被処理物が投入される投入口が開口した有底筒状に構成されるとともに、前記底部及び筒部に複数の透孔が設けられている収容部を有し、
    前記収容部における前記筒部の内面、及び、前記底部の内面の内の少なくとも一方には、前記被処理物を攪拌する攪拌翼が1以上で設けられており、
    前記攪拌翼は、前記筒部の前記内面、及び、前記底部の内面の内の少なくとも一方に取り付けられる本体部と、前記端部とからなり、
    前記本体部が金属からなるとともに、前記端部の少なくとも一部が樹脂からなることを特徴とする冷凍バリ取り装置用バケット。
  2. 前記攪拌翼は、前記端部が、前記本体部の少なくとも一部に樹脂が被覆されてなることを特徴とする請求項1に記載の冷凍バリ取り装置用バケット。
  3. 前記攪拌翼は、前記端部が、前記本体部の少なくとも一部に樹脂製のカバーが装着されてなることを特徴とする請求項1に記載の冷凍バリ取り装置用バケット。
  4. 前記収容部の前記底部及び前記筒部に設けられた前記複数の透孔は、内周面側に開口したエッジ部が断面曲線状とされていることを特徴とする請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケット。
  5. 前記収容部における前記底部及び前記筒部が、複数の透孔が形成されたパンチングメタルからなることを特徴とする請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケット。
  6. 冷媒によって冷却される処理室と、
    前記処理室の内部空間に配置されるとともに、被処理物が投入される投入口が開口して設けられ、内部に被処理物を収容するバケットと、
    前記被処理物に向けてショット材を投射するショット機と、
    を備える冷凍バリ取り装置であって、
    前記バケットが、請求項1~請求項の何れか一項に記載の冷凍バリ取り装置用バケットであることを特徴とする冷凍バリ取り装置。
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