JP7080874B2 - 流動層反応装置及び塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

流動層反応装置及び塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、流動層反応装置及び当該流動層反応装置を使用した塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法に関する。
塩化ビニル系樹脂(以下、PVCともいう)を塩素化して得られる塩素化塩化ビニル系樹脂(以下、CPVCともいう)は、PVCの機械的特性及び化学的特性を実質的に損なわずに耐熱性が向上することが知られている。そのため、CPVCは、PVCでは使用できない耐熱パイプ、耐熱継手、耐熱バルブ、耐熱シートなどの用途にも使用されている。
従来から、CPVCの製造方法としては、気相塩素化法による製造方法が知られている(例えば、特許文献1,2)。
特許文献1のCPVCの製造方法は、ナス型フラスコ内にPVCの粉体を入れ、ナス型フラスコ内に塩素ガスを流通させた上で紫外線をPVCの粉体に照射し、ナス型フラスコを回転させる。こうすることで、PVCの粉体が塩素ガスと反応し、塩酸ガスとともにCPVCが形成される。また、特許文献2の塩素化法では、多孔底板などの分散機構を有する反応容器を用い、PVCの粒子を塩素気流によって流動状態に保ちながら、紫外線照射により連続的に塩素化反応を行っている。
特開2002-275213号公報 特公昭52-15638号公報
CPVCを工業的に生産するためには、多量のPVCを均一に塩素ガスと反応させる必要がある。しかしながら、特許文献1の製造方法では、PVCの粉体を回転させて混合するため、大型化が困難であるという問題がある。また、特許文献2の塩素化法では、気体の流入口に分散機構としてろ布を張ったものを使用して実験を行っているが,工業的な耐久性が期待できない。
そこで、本発明者は、CPVCを工業的に生産するべく、図31(a),図31(b)のような反応装置500を試作した。
試作した反応装置500の反応器501は、筐体502内に、ガス供給孔503をもつガス分散板505と、紫外線を照射する発生機506と、伝熱管507が設けられている。そして、CPVCの製造は、筐体502内に原料たるPVC粉末510を導入し、ガス分散板505上にPVC粉末510を載置し、各ガス供給孔503から塩素ガスをPVC粉末510に対して噴射して流動層を形成しながら発生機506から紫外線を照射することで行った。こうすることで、本発明者は、噴射された塩素ガスにより、紫外線発生機506付近で生成したCPVCとPVC粉末510が撹拌され、CPVCと未反応のPVC粉末510が置換されていくので、未反応のPVC粉末510を効率良く反応させることができ、大量生産が可能と考えた。
ここで、紫外線をPVC粉末510に照射し光反応させる場合、CPVCは発熱反応で生成され、その反応場は紫外線の照射範囲となる。そのため、CPVCの反応を進行させ、CPVCの反応効率を向上させるには、反応で生じた反応熱を取り除きつつ、筐体502内で流動するPVC粉末510に紫外線を照射することが必要となる。そこで、試作した反応装置500では、発生機506と伝熱管507を近接させて配置し、発生機506の付近の温度を調節した。こうすることで、PVC粉末510の反応効率の向上を図った。
しかしながら、実際に試作した反応装置500を稼働させると、CPVCとPVC粉末510の撹拌が十分されず、筐体502内においてCPVCとPVC粉末510の分布に偏りが生じていた。そのため、試作した反応装置500では、一定水準以上の品質をもつCPVCを効率良く生成できなかった。
そこで、本発明は、従来に比べて固体原料を効率良く混合でき、一定水準以上の反応生成物を効率良く製造できる流動層反応装置及び塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の試作の結果を鋭意検討し、紫外線を発生する発生機と冷却用の伝熱管の距離に着目し、発生機と伝熱管の距離を変更して検討を行った。その結果、発生機と伝熱管の距離がある一定距離よりも近くなると、伝熱管の存在が発生機付近の立体障害となり、生成したCPVCと原料のPVC粉末が十分に撹拌されず、原料のPVC粉末が発生機付近に流れにくくなることを発見した。また、発生機と伝熱管の距離がある一定距離よりも遠くなると、発生機付近で発生する反応熱を伝熱管で十分に冷却できず、品質が低下することを発見した。
この発見により導き出された本発明の一つの様相は、粉状又は粒状の固体原料が充填される反応器を有し、前記固体原料が充填された状態の前記反応器にガスが供給され、前記ガスによって前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、発光部材と温度調節部材を有し、前記発光部材は、前記反応器内に配され前記固体原料に光を照射する発光側棒状部を有し、前記温度調節部材は、前記反応器内に配され前記固体原料の温度を調節する調節側棒状部を有し、前記発光側棒状部の外周面と、前記発光側棒状部に最近接する前記調節側棒状部の外周面の最短距離は、1.9cm以上15cm以下である流動層反応装置である。
ここでいう「最近接する」とは、最短距離が最も近い位置にある関係をいう。
ここでいう「固体原料が充填された状態」とは、反応器が完全に固体原料で充填された状態だけではなく、反応器の一部が固体原料で充填された状態も含む。
好ましい様相は、前記温度調節部材は、前記反応器内に配され前記固体原料の温度を調節する調節側棒状部を複数有し、最近接する2つの前記調節側棒状部の外周面の最短距離は、1.9cm以上15cm以下であることである。
より好ましい様相は、前記2つの前記調節側棒状部のうち一方の調節側棒状部は、前記複数の調節側棒状部の中で前記発光側棒状部と最近接することである。
好ましい様相は、前記ガスを前記反応器内に噴射するガス供給孔を複数備えたガス分散部を有し、前記複数のガス供給孔のうち、少なくとも一つのガス供給孔は、前記発光部材と前記温度調節部材から離れており、前記ガス分散部は、前記固体原料を充填させたときに、前記固体原料が載置されることである。
より好ましい様相は、前記ガス供給孔の前記ガスの噴射方向は、前記発光側棒状部又は前記調節側棒状部の長手方向に対する直交方向と交差することである。
好ましい様相は、前記発光側棒状部は、光源部と、前記光源部の外周を囲む囲繞部を有し、前記囲繞部は、前記光源部からの光を透過するものであって、前記光源部との間に隙間があり、前記囲繞部は、前記発光側棒状部の外周面を構成することである。
好ましい様相は、前記調節側棒状部は、中空体であって、内部に温度調節用の液体又は気体を通過させて前記固体原料の温度を調節することである。
好ましい様相は、前記発光側棒状部は、前記発光側棒状部の長手方向からみたときに、前記反応器の内壁から離れた位置に配されていることである。
好ましい様相は、前記温度調節部材は、前記反応器内に配され前記固体原料の温度を調節する調節側棒状部を複数有し、少なくとも2つの調節側棒状群を有し、前記2つの調節側棒状群は、2つ以上の前記調節側棒状部が間隔を空けて直線状に並んだ調節側棒状列を有し、前記発光側棒状部は、少なくとも2方向に光を照射可能であり、前記発光側棒状部は、前記2つの調節側棒状群の前記調節側棒状列の間に配され、前記2つの調節側棒状群の前記調節側棒状列側に向かって光を照射可能であることである。
より好ましい様相は、前記温度調節部材は、平面視したときに前記調節側棒状群における前記調節側棒状部が正平面充填形の頂点位置に配されていることである。
ここでいう「正平面充填形」とは、一種類の図形で平面を充填できる正多角形構造であり、例えば、正三角形、正方形、正六角形のいずれかからなる平面充填形をいう。
ここでいう「平面充填形」とは、平面を図形で隙間なく埋めたときの形状をいう。
好ましい様相は、ガス分散部と、前記発光部材と、前記温度調節部材で構成される単位ユニットを複数有し、前記ガス分散部は、前記固体原料が載置されるものであって、前記ガスを前記反応器内に噴射するガス供給孔を備えるものであり、各単位ユニットは、平面状に広がりをもって並設されていることである。
また、本発明者は、CPVCを工業的に生産するべく、図32のような反応装置600も試作した。すなわち、試作した反応装置600は、反応容器601内に、多数のガス供給孔605を設けたハステロイC22製の金属板602、及び紫外線を照射する発生機(図示せず)を設けたものである。そして、CPVCの製造は、金属板602上にPVC粉末610を載置し、各ガス供給孔605から塩素ガスをPVC粉末610に対して噴射し、流動層を形成しながら紫外線を照射することで行った。こうすることで、試作した反応装置600によってPVCと塩素ガスを均一に反応させ、CPVCを大量生産することを試みた。
その結果、製造初期の段階では、効率良くCPVCを製造できたものの、ガス供給孔605から塩素ガス供給側にPVC粉末610が落下してしまい、十分にPVC粉末610が撹拌されず、反応しないPVC粉末610が発生した。そのため、試作結果では、歩留まりが悪いものとなっていた。また、一般的にハステロイC22は、耐食性合金であり、酸性ガスに対する耐性を備えているとされている。しかしながら、試作した反応装置600では、ハステロイC22製の金属板602に塩素ガスや塩酸ガスによる腐食が生じていた。そのため、ハステロイC22製であっても、長期に亘って金属板602を使用できないという問題もあった。
そこで、従来に比べて、ガス供給孔からの固体原料の落下を抑制できる流動層反応装置とするための好ましい様相は、前記反応器は、ガス分散部材と固体原料充填部を備え、前記固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材を介して前記固体原料充填部に前記ガスが供給され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得るものであり、前記ガス分散部材は、前記ガスに対する耐性をもつ板状体であり、前記ガス分散部材は、複数の第1ガス供給孔を有し、前記第1ガス供給孔は、固体原料充填部側の開口が上向きに開くものであって、少なくとも水平方向成分をもつ非鉛直部を有し、さらに下記の(1)又は(2)の条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の流動層反応装置である。
(1)前記非鉛直部が水平であるか、水平面に対して45度未満の傾斜角度で傾斜している。
(2)前記固体原料充填部側の開口の外接径が前記固体原料のメディアン径の10倍未満である。
ここでいう「ガスに対する耐性をもつ」とは、反応生成物を生成する際に、質量、寸法、外観、及び物性(機械的性質、電気的性質、熱的性質、光学的性質等)の変化が実質的に生じず、生成する反応生成物の品質に影響するような劣化が起こらないことをいう。
好ましい様相は、前記第1ガス供給孔は、直線状に延び、前記ガス分散部材を斜めに貫通する傾斜孔であることである。
好ましい様相は、前記第1ガス供給孔の前記固体原料充填部側の開口の大部分は、平面視したときに、前記第1ガス供給孔を構成する内壁面と重なっていることである。
好ましい様相は、前記非鉛直部は、水平面に対して傾斜しており、前記非鉛直部の傾斜角度は、ISO902:1976に準ずる前記固体原料の安息角よりも小さいことである。
好ましい様相は、前記第1ガス供給孔の外接径は、前記固体原料のメディアン径の5倍以上20倍以下であることである。
好ましい様相は、前記第1ガス供給孔を少なくとも3つ有し、前記3つの第1ガス供給孔における各第1ガス供給孔間の間隔は、いずれも等間隔であることである。
好ましい様相は、前記第1ガス供給孔は、前記固体原料充填部側の開口形状が円形であることである。
好ましい様相は、前記固体原料充填部は、前記ガス分散部材に対して立ち上がった内壁部を有し、当該内壁部に開閉可能な払出口があり、前記非鉛直部が、前記第1ガス供給孔の前記固体原料充填部側の開口を構成し、前記払出口側を向いて延びていることである。
本発明の一つの様相は、ガス分散部材と固体原料充填部を備えた反応器を有し、粉状又は粒状の固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材を介して前記固体原料充填部にガスが供給され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、前記ガス分散部材は、前記ガスに対する耐性をもつ板状体であり、前記ガス分散部材は、複数の第1ガス供給孔を有し、前記第1ガス供給孔は、固体原料充填部側の開口が上向きに開くものであって、少なくとも水平方向成分をもつ非鉛直部を有し、さらに下記の(1)又は(2)の条件を満たすことを特徴とする流動層反応装置である。
(1)前記非鉛直部が水平であるか、水平面に対して45度未満の傾斜角度で傾斜している。
(2)前記固体原料充填部側の開口の外接径が前記固体原料のメディアン径の10倍未満である。
本発明の一つの様相は、ガス分散部材と固体原料充填部を備えた反応器を有し、粉状又は粒状の固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材から前記固体原料充填部にガスが噴射され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、前記固体原料充填部は、前記ガス分散部材に対して立ち上がった内壁部を備えており、前記ガス分散部材に対して所定の間隔を空けて対向した誘導壁部を有し、前記誘導壁部は、前記ガス分散部材から噴射された前記ガスを遮って少なくとも前記内壁部に沿うように前記ガスを導く流動層反応装置である。
本発明の一つの様相は、ガス分散部材と固体原料充填部を備えた反応器を有し、粉状又は粒状の固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材から前記固体原料充填部にガスが噴射され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、前記固体原料充填部は、前記ガス分散部材に対して立ち上がった第1内壁部と、前記第1内壁部と誘導壁部を介して段差をもって連続する第2内壁部を有し、前記誘導壁部は、前記ガス分散部材と天地方向に所定の間隔を空けて対向しており、前記誘導壁部は、前記ガス分散部材から噴射された前記ガスを遮って少なくとも前記第2内壁部に沿うように前記ガスを導く流動層反応装置である。
本発明の一つの様相は、ガス分散部材と固体原料充填部を備えた反応器を有し、粉状又は粒状の固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材から前記固体原料充填部にガスが噴射され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、前記ガス分散部材に対して所定の間隔を空けて対向した誘導壁部を有し、前記ガス分散部材は、第1ガス供給孔を有し、前記第1ガス供給孔は、少なくとも水平方向成分をもつ非鉛直部を有し、前記非鉛直部が、前記第1ガス供給孔の固体原料充填部側の開口を構成し、前記非鉛直部は、前記誘導壁部に向かって延びている流動層反応装置である。
本発明の一つの様相は、ガス分散部材と固体原料充填部を備えた反応器を有し、粉状又は粒状の固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材から前記固体原料充填部にガスが噴射され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、発光部材と温度調節部材を有し、前記発光部材は、前記固体原料充填部内に配され前記固体原料に光を照射する発光側棒状部を有し、前記温度調節部材は、前記固体原料充填部内に配され前記固体原料の温度を調節する調節側棒状部を有し、前記固体原料充填部は、天地方向の中間部に前記ガス分散部材側の部分に比べて狭窄した狭窄部があり、前記狭窄部に前記発光側棒状部と前記温度調節部材が位置している流動層反応装置である。
本発明の一つの様相は、ガス分散部材と固体原料充填部を備えた反応器を有し、粉状又は粒状の固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材を介して前記固体原料充填部にガスが供給され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、前記固体原料充填部は、前記ガス分散部材に対して立ち上がった内壁部を有し、当該内壁部に開閉可能な払出口があり、前記ガス分散部材は、複数の第1ガス供給孔を有し、前記第1ガス供給孔は、少なくとも水平方向成分をもつ非鉛直部を有し、前記非鉛直部が、前記第1ガス供給孔の固体原料充填部側の開口を構成しており、前記非鉛直部は、前記払出口側を向いて延びている流動層反応装置である。
本発明の一つの様相は、上記の流動層反応装置を使用して塩素化塩化ビニル系樹脂を製造する塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、塩化ビニル系樹脂を前記反応器に充填し、前記反応器に塩素ガスを供給して塩化ビニル系樹脂と塩素ガスを反応させる塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法である。
ここでいう「塩化ビニル系樹脂」とは、塩化ビニル樹脂だけではなく、塩化ビニル樹脂の骨格構造を維持しつつ、その一部のみが他の置換基と置換されたものや、塩化ビニルモノマーと他のモノマーとの共重合体も含む。
ここでいう「塩素化塩化ビニル系樹脂」とは、塩素化塩化ビニル樹脂だけではなく、塩素化塩化ビニル樹脂の基本骨格構造を維持しつつ、その一部のみが他の置換基と置換されたものや共重合体も含む。
本発明の一つの様相は、上記の流動層反応装置を使用して塩化ビニル系樹脂を製造する塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、前記第1ガス供給孔の外接径よりも粒子径が小さい粉状又は粒状の塩化ビニル系樹脂を前記固体原料充填部に充填し、前記ガス分散部材を介して前記固体原料充填部に塩素ガスを供給して塩化ビニル系樹脂と塩素ガスを反応させて形成する塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法である。
本発明の流動層反応装置及び塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法によれば、従来に比べて固体原料を効率良く混合でき、一定水準以上の反応生成物を効率良く製造できる。
本発明の第1実施形態の流動層反応装置を模式的に示した作動原理図である。 図1の反応器及びその付近を模式的に示した斜視図である。 図2の反応器の鉛直方向断面図であり、(a),(b)はそれぞれ異なる方向からみている。 図2の反応器をガス分散部材側からみた水平方向断面図である。 図2の反応器の要部の断面斜視図である。 図2のガス分散部材の説明図であり、(a)はガス分散部材の斜視図であり、(b)は(a)のA-A断面図である。なお、(b)の拡大図については、理解を容易にするためにハッチングを省略している。 図2のガス分散部材の説明図であり、(a)は流動層反応装置のガス分散部材付近の断面斜視図であり、(b)はガス分散部材の平面図である。 図2のガス分散部材の平面図である。 ガス供給孔を傾斜孔とした場合に発生しうる粉体滞留部の説明図である。 図1の反応器において固体原料の払出操作の説明図であり、(a)は閉塞部材を開ける直前の断面図であり、(a)は閉塞部材を開けたときの断面図である。 本発明の第2実施形態の反応器をガス分散部材側からみた断面図である。 図11の要部の斜視図である。 本発明の第3実施形態の反応器を模式的に示した斜視図である。 図13の反応器の要部の断面斜視図である。 本発明の第4実施形態の反応器を模式的に示した断面図である。 図15とは異なる方向の反応器の断面図である。 図16の対向側側壁部付近のガスの流れを表す説明図である。 本発明の第5実施形態の反応器を模式的に示した断面図である。 図18の反応器の断面斜視図である。 図18の誘導部材付近のガスの流れを表す説明図である。 本発明の他の実施形態の流動層反応装置の要部の斜視図である。 本発明の他の実施形態の流動層反応装置の要部の斜視図である。 本発明の他の実施形態のガス分散部材の断面図であり、(a)は他の実施形態のガス分散部材を表し、(b)は(a)とは別の実施形態のガス分散部材を表し、(c)は(a),(b)とは別の実施形態のガス分散部材を表す。 本発明の他の実施形態のガス分散部材の説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のA-A断面図であり、(c)は(a)のB-B断面図である。 本発明の他の実施形態のガス分散部材の平面図である。 本発明の他の実施形態のガス供給部の斜視図である。 本発明の他の実施形態の単位ユニットを模式的に示す平面図であり、第1ガス供給孔の傾斜向きを矢印で示している。 本発明の実施例1を概念的に示した斜視図である。 実施例1,2、比較例1、並びに参考例1の混合度測定試験の測定点の説明図であり、(a)は各測定点を平面視した場合、(b)は各測定点を断面視した場合の図である。 実施例1,2、比較例1、並びに参考例1の混合度測定試験の結果を示すグラフである。 本発明者が試作した反応装置の反応器を模式的に示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 本発明者が試作した反応装置の説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の第1実施形態の流動層反応装置1(以下、単に反応装置1ともいう)は、原料ガスで固体原料100を撹拌しながら、原料ガスと固体原料100との間で化学反応させる化学反応装置である。具体的には、反応装置1は、塩素化塩化ビニル系樹脂(以下、単にCPVCともいう)の製造装置である。反応装置1は、原料ガスたる塩素ガスで固体原料100たる塩化ビニル系樹脂(以下、単にPVC)を撹拌させながら反応させ、反応生成物たるCPVCと、反応生成ガスである塩酸ガスを得るものである。
反応装置1は、図1のように、主要構成部材として、反応器2と、脱気装置3と、脱気経路5と、供給経路6とで構成された循環回路7を備えており、本実施形態の反応装置1は反応器2に主な特徴を有している。
反応器2は、固体原料100を反応生成物にする化学反応を実際に生じさせる反応槽である。反応器2は、図1,図2のように、筐体10内に、発光部材11と、温度調節部材12と、ガス分散部材15を備えている。
(筐体10)
筐体10は、図2のように、縦長直方体状であって、天面側壁部40と、側壁部41~44と、底面側壁部45を備えており、これら壁部40~45に囲繞された囲繞空間50を備えている。また、筐体10は、天地方向において、主に固体原料充填部51(以下、単に充填部51ともいう)と、ガス供給部52で構成されている。そして、側壁部41~44は、図3のように、充填部51に属する充填側側壁部141~144と、ガス供給部52に属する供給側側壁部161~164で構成されている。
(発光部材11)
発光部材11は、固体原料100に光エネルギーを与える装置である。具体的には、発光部材11は、紫外線を発生し、固体原料100に紫外線を照射する紫外線照射装置である。発光部材11は、図2のように天地方向(高さ方向,上下方向,鉛直方向)に棒状に延び、延び方向に対して直交する断面の外形形状が円形状となっている。
ここでいう「外形形状」とは、輪郭を構成する輪郭形状をいい、外郭を構成する外面の形状をいう。
発光部材11は、図4,図5から読み取れるように、光源部20と、光源部20の外周を囲む囲繞部21で構成された発光側棒状部22を備えている。
光源部20は、紫外光を照射する光源として機能し、天地方向に棒状に延びた部位である。光源部20は、円柱状であって、その側面にLED23が散りばめられたものである。光源部20は、径方向に紫外線を照射可能となっており、平面視したときに、少なくとも2方向に紫外線を照射可能となっていることが好ましい。本実施形態では、縦横斜めの8方位に紫外線を照射可能となっている。
なお、光源部20の光源は、LED23に限定されない。光源部20の光源は、例えば高圧水銀灯などの他の光源であってもよい。また、光源部20の光源は、LED23のような点光源だけではなく、有機ELや無機EL等の面光源であってもよい。
囲繞部21は、透光性を有した保護部材であり、光源部20から照射された紫外線を透過し、紫外線を実質的に均一に分散させて外側(固体原料100側)に取り出すことが可能となっている。囲繞部21は、図5のように、円筒状の中空体であり、その内部に光源部20が挿入されている。光源部20の外周面と、囲繞部21の内周面との間には隙間25が形成されている。隙間25は、空隙であってもよいし、隙間25に空気以外の気体や液体等の透光性媒体が充填されていてもよい。
(温度調節部材12)
温度調節部材12は、筐体10内を所定の温度に調整し、筐体10内を一定の温度に維持可能な温度調整装置である。本実施形態の温度調節部材12は、固体原料100と原料ガスの反応熱に伴う温度上昇を抑制する空冷式又は水冷式の冷却装置である。
温度調節部材12は、図2のように主に伝熱管で構成され格子状をしている。温度調節部材12は、流出部30と、流入部31と、流出部30と流入部31を繋ぐ調節側棒状群32を備えている。
流入部31は、外部から冷却気体又は冷却液体(冷却媒体)を調節側棒状群32に流入させる部位である。流出部30は、調節側棒状群32で熱交換された冷却気体又は冷却液体を外部に流出する部位である。
調節側棒状群32は、図4のように複数の調節側棒状部35が間隔を空けて直線状に並んだ調節側棒状列33を1列又は複数列備えている。
調節側棒状部35は、図2のように流出部30と流入部31を繋ぎ、天地方向に棒状に延びた筒状体である。本実施形態の調節側棒状部35は、円筒状の中空体である。その内部は冷却気体又は冷却液体を通すことが可能である。
一の調節側棒状列33に属する調節側棒状部35は、それぞれ平行となっている。
図4に示される縦方向Yに最近接する2本の調節側棒状部35,35の側面の最短距離D2は、1.9cm以上であることが好ましく、2.0cm以上であることがより好ましい。また、当該最短距離D2は、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましく、5cm以下であることが特に好ましい。
これらの範囲であれば、固体原料100の流動が調節側棒状部35によって阻害されにくく、十分に固体原料100を混合できる。また、固体原料100を一定温度に保つことができ、固体原料100の温度ムラも抑制できる。
調節側棒状群32は、図4のように、横方向Xに調節側棒状列33を2列以上備え、調節側棒状部35で正平面充填形の頂点を構成している。そのため、固体原料100の温度分布を小さくできる。
本実施形態の調節側棒状群32は、調節側棒状部35が正方形の頂点位置に並んでいる。横方向Xに最近接する2列の調節側棒状列33,33の調節側棒状部35,35の側面の最短距離D3は、縦方向Yに最近接する2本の調節側棒状部35,35の側面の最短距離D2と等しい。すなわち、当該最短距離D3は、1.9cm以上であることが好ましく、2.0cm以上であることがより好ましい。また、当該最短距離D3は、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましく、5cm以下であることが特に好ましい。
(ガス分散部材15)
ガス分散部材15は、図2のように、筐体10内に水平姿勢で設けられ、筐体10の囲繞空間50を充填部51側とガス供給部52側に仕切る板状体である。
ガス分散部材15は、図6のように、本体板部55と、複数のガス供給孔56を備えている。
本体板部55は、四角形状の板体であり、図2のように筐体10の側壁部41~44の天地方向(上下方向)の中間部間を繋ぎ、充填部51の底部を構成する部位である。
ここでいう「中間部」とは、一方向における端部以外の部分であって当該端部の間の部分をいう。
本体板部55は、樹脂製であって、原料ガス及び反応生成ガスに対する耐性を有した板状体である。そのため、酸性雰囲気下であっても金属板のような腐食が生じにくく、安定的な機器運転が可能であり、長期に亘って同一のガス分散部材15を使用できる。
本体板部55の材質としては、原料ガスや反応生成ガスに対する耐性を有するものであれば、特に限定されない。本体板部55は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂、硬質塩素化塩化ビニル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などから構成できる。また、機械強度を担保するために、これらの樹脂にガラス繊維などが添加されてもよい。
本体板部55の厚みは、0.3cm以上10cm以下であることが好ましく、0.5cm以上3cm以下であることがより好ましい。
この範囲であれば、載置する固体原料100の重量に耐え得る十分な強度を確保しつつ、嵩張りすぎず材料費を抑制できる。
ガス供給孔56は、図6(b)のように、充填部51とガス供給部52を連通させる孔であり、本体板部55を貫通した貫通孔である。
ガス供給孔56の開口率は、0.1%以上5%以下であることが好ましい。
この範囲であれば、本体板部55の剛性を維持しつつ、安定した原料ガスの供給が可能である。
ガス供給孔56は、図6,図7のように、第1ガス供給孔150(第1ガス通気孔)と、第2ガス供給孔151(第2ガス通気孔)から構成されている。
第1ガス供給孔150は、少なくとも水平方向成分をもつ非鉛直部152を備え、全体として水平方向成分と、鉛直方向成分をもつ孔である。
本実施形態の第1ガス供給孔150は、非鉛直部152のみで構成され、水平面に対して所定の角度で傾斜した傾斜孔である。すなわち、第1ガス供給孔150は、図6のように、直線状に延び、本体板部55を斜め方向に貫通した傾斜孔である。そのため、第1ガス供給孔150の形成が容易である。
第1ガス供給孔150は、図6のように、充填部51側の開口たる充填側開口145が上向きに開いており、充填側開口145の上方が他の部分で塞がれていない。
第1ガス供給孔150の充填側開口145の大部分は、図7(b)のように、本体板部55を平面視したときに、第1ガス供給孔150を構成する内壁面と重なっている。すなわち、充填側開口145の中心は、平面視したときに供給側開口146の中心からずれている。
充填側開口145は、その90%以上の部分が第1ガス供給孔150を構成する内壁面と重なっていることが好ましい。本実施形態では、充填側開口145は、第1ガス供給孔150を構成する内壁面と完全に重なっており、充填部51側からガス供給部52側の開口たる供給側開口146が視認不能となっている。そのため、固体原料100が第1ガス供給孔150から落下することをより防止できる。
図6(b)に示される第1ガス供給孔150の本体板部55のガス供給部52側の面(水平面)に対する傾斜角度θ1は、ISO902:1976(JIS R 9301-2-2に相当)に準ずる固体原料100の安息角よりも小さいことが好ましく、固体原料100の安息角よりも3度以上小さいことがより好ましい。この範囲であれば、固体原料100が第1ガス供給孔150の傾斜面に沿って落ちることを防止できる。
また、前記傾斜角度θ1は、45度未満であることが好ましい。この範囲であれば、従来に比べて、固体原料100が第1ガス供給孔150からガス供給部52側に落下することを抑制でき、効率良く固体原料100を撹拌できる。そのため、均等に固体原料100をガスと反応させることができ、良質の流動層を形成できる。
第1ガス供給孔150は、充填側開口145の開口形状が円形であることが好ましく、供給側開口146の開口形状も円形であることが好ましい。このような開口形状とすることで、充填部51内でガスが均一に拡散しやすい。本実施形態の第1ガス供給孔150は、深さ方向全体が同一の開口形状をしている。
第1ガス供給孔150の内径(外接径,最小包含円の径)は、固体原料100のメディアン径の5倍以上であることが好ましく、7倍以上であることがより好ましい。また、第1ガス供給孔150の内径(外接径,最小包含円の径)は、固体原料100のメディアン径の20倍以下であることが好ましく、10倍未満であることがより好ましい。
これらの範囲であれば、固体原料100のガス供給部52側への落下や第1ガス供給孔150への詰まりを抑制しつつ、単位面積当たりの第1ガス供給孔150の数を多く設けることができる。
本実施形態の第1ガス供給孔150の内径は、固体原料100のメディアン径の10倍未満である。そのため、従来に比べて第1ガス供給孔150からガス供給部52側への固体原料100の落下を抑制でき、効率良く固体原料100を撹拌できる。それ故に、良質の流動層を形成でき、均等に固体原料100をガスと反応させることができる。
第2ガス供給孔151は、図6(b)のように、天地方向(鉛直方向)に直線状に延びた鉛直孔であり、開口形状が円形であることが好ましい。
第2ガス供給孔151の内径(外接径,最小包含円の径)は、第1ガス供給孔150の内径(外接径,最小包含円の径)よりも小さいことが好ましく、固体原料100のメディアン径の10倍未満であることがより好ましい。
この範囲であれば、第2ガス供給孔151からガス供給部52側への固体原料100の落下を抑制できる。
第2ガス供給孔151の充填部51側の開口面積は、第1ガス供給孔150の充填側開口145の開口面積よりも小さいことが好ましい。
(充填部51)
充填部51は、固体原料100を収容可能な固体原料収容部であり、下方に向けて開放した筐体である。充填部51は、図3のように天面側壁部40と、ガス分散部材15から立ち上がった充填側側壁部141~144を備えている。
一の充填側側壁部141は、図3(b)のように、開閉部材171によって開閉可能な払出口170が設けられている。
払出口170は、固体原料100や反応生成物を図示しない収容部材に払い出すものであり、充填部51の内外を連通する開口である。
開閉部材171は、図示しない動力源によって閉塞姿勢と開放姿勢との間で姿勢変更され、払出口170を開閉する蓋体である。すなわち、開閉部材171は、閉塞姿勢において充填側側壁部141の内壁面と面一となって払出口170を閉塞し、開放姿勢において充填側側壁部141から離反し、払出口170を開放する部材である。
(ガス供給部52)
ガス供給部52は、上方に向けて開放した筐体であり、図3のように、主に供給側側壁部161~164と、底面側壁部45で構成されている。
ここで、反応器2の各部位の位置関係について説明する。
ガス分散部材15は、図3のように、筐体10内を天地方向に上下に区切っており、充填部51とガス供給部52との境界を構成している。ガス分散部材15のガス供給孔56の軸線は、発光部材11の発光側棒状部22又は温度調節部材12の調節側棒状部35の長手方向に対する直交方向と交差する関係となっている。
発光部材11及び温度調節部材12は、図3のように、充填部51内に一部又は全部が配され、ガス分散部材15よりも上方に位置しており、天地方向に高さをもって延びている。発光部材11の発光側棒状部22は、鉛直方向に延びた鉛直姿勢となっており、光源部20の外側を囲繞部21が囲んでいる。温度調節部材12は、流出部30及び流入部31が水平方向に延びた水平姿勢となり、流出部30及び流入部31を繋ぐ調節側棒状部35が鉛直方向に延びた鉛直姿勢となっている。
発光側棒状部22は、図4のように、平面視したときに、調節側棒状群32,32の間に位置しており、調節側棒状群32,32に挟まれている。
図5に示される発光側棒状部22の外周面と、発光側棒状部22に最近接する調節側棒状部35の側面との最短距離D1は、1.9cm以上であり、2.0cm以上であることが好ましい。また、当該最短距離D1は、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましく、5cm以下であることがさらに好ましい。
これらの範囲であれば、十分に固体原料100を混合でき、調節側棒状部35の外周面から反応により発生した反応熱を吸収し、反応場の温度上昇を防ぐことができる。すなわち、反応場である発光側棒状部22付近の温度を適切な温度に調節しつつ、十分に混合した状態で紫外線を照射できるので、従来に比べて反応効率を向上でき、一定水準以上の品質の反応生成物を大量に製造できる。
ガス分散部材15に対する発光部材11及び温度調節部材12のそれぞれの高さは、1.9cm以上50cm以下であることが好ましく、1.9cm以上20cm以下であることがより好ましい。この範囲であれば、ガス供給孔56が発光部材11及び温度調節部材12によって塞がらず、ガス分散部材15と発光部材11の間の空間及びガス分散部材15と温度調節部材12の間の空間にガスが流れやすくなる。そのため、良質の流動層を形成できる。
第1ガス供給孔150は、図8のように、平面視したときに、最密充填となるように均等に配されており、各第1ガス供給孔150,150間の距離が等間隔となっている。すなわち、第1ガス供給孔150は、正平面充填形の頂点を構成するように均等に配されている。
図8に示される一の第1ガス供給孔150aと隣接する第1ガス供給孔150bの距離D11は、一の第1ガス供給孔150aと隣接する他の第1ガス供給孔150cとの距離D12と等しい。また、当該距離D11は、第1ガス供給孔150bと隣接する他の第1ガス供給孔150cとの距離D13とも等しい。
このように、本実施形態のガス分散部材15は、第1ガス供給孔150が均一に配列されている。そのため、単位面積当たりに、より多くの第1ガス供給孔150をガス分散部材15に形成でき、反応器2内の固体原料100を均一に流動させることもできる。それ故に、非流動部分の発生を抑制しつつ、効率的に反応させることができ、従来に比べて品質を向上できる。
第1ガス供給孔150は、中央側に集まって第1ガス供給孔群を構成している。
第2ガス供給孔151は、当該第1ガス供給孔群の周囲の少なくとも一部又は全部を囲むように配されている。第2ガス供給孔151は、本体板部55の縁に沿って充填部51の内壁たる一の充填側側壁部の近傍に配されている。隣接する第2ガス供給孔151,151間の距離は、等間隔となっている。すなわち、第2ガス供給孔151は、第1ガス供給孔150よりも前記一の充填側側壁部側にあって、当該一の充填側側壁部に沿って配されている。
例えば、図3(b)のように、第1ガス供給孔150がいずれも同一方向を向いて傾いており、充填部51側の開口が一の充填側側壁部141側を向いている場合、第2ガス供給孔151は、充填側側壁部141とは逆側の充填側側壁部143の近傍に少なくとも配置されている。
言い換えると、第2ガス供給孔151は、充填部51側からガス分散部材15を平面視したときに第1ガス供給孔150単体による開口密度(単位面積当たりの開口面積)が小さい部分に少なくとも設けられている。本実施形態では、第2ガス供給孔151は、図3のように、4方全ての充填側側壁部141~144に沿って設けられている。
払出口170は、必要に応じて、図3(b)のようにガス分散部材15よりもやや高い位置に配されており、ガス分散部材15との間に段差があってもよい。この場合、この段差によって堰き止め部が形成されることになり、筐体10内を洗浄する際に、洗浄液が堰き止められて外部に漏れにくく、筐体10内を洗浄しやすい。
第1ガス供給孔150の非鉛直部152は、図3(b)のように払出口170側を向いており、払出口170が設けられた充填側側壁部141に向かって開口している。
残りの構成部材について説明すると、脱気装置3は、原料ガス及び反応生成ガスの混合ガスから、反応生成ガスを脱気し、原料ガスを取り出す装置である。
脱気経路5は、図1のように、反応器2から脱気装置3を繋ぎ、混合ガス等が脱気装置3に向かう往き流路である。脱気経路5は、原料ガスの流れ方向の中流にトラップ装置60が設けられ、反応器2とトラップ装置60を繋ぐ第1経路61と、トラップ装置60と脱気装置3を繋ぐ第2経路62を備えている。
トラップ装置60は、原料ガス及び反応生成ガスの混合ガスと、飛散した固体原料100とを分離する分離装置である。トラップ装置60は、第1経路61とは別途形成され、底部に反応器2に繋がる戻し経路63が接続されている。そのため、トラップ装置60は、混合ガスを第2経路62から脱気装置3側に送り、固体原料100を戻し経路63から反応器2の筐体10内に戻すことが可能となっている。
戻し経路63は、トラップ装置60で分離した固体原料100を反応器2に戻す流路である。戻し経路63は、固体原料100の流れ方向の中流に戻し側弁65を備えている。
供給経路6は、図1のように脱気装置3と反応器2を繋ぎ、脱気装置3によって不純物等が除去された原料ガスを反応器2に戻す戻り流路である。供給経路6は、原料ガスの流れ方向の中流にブロアー80が設けられている。供給経路6は、ブロアー80よりも下流側であって、反応器2よりも上流側に導入流路81が接続されている。
ブロアー80は、原料ガスを加圧して原料ガスを反応器2側に押し出す装置であり、原料ガスを反応器2のガス供給部52に導入することが可能となっている。
導入流路81は、外部から供給経路6に新鮮な原料ガスを導入する流路である。導入流路81は、原料ガスの流れ方向の中流に導入弁82を備えている。
固体原料100は、反応生成物の固形原料であり、粉状又は粒状であって流動性をもっている。本実施形態の固体原料100は、CPVCの原料たるPVCの微細粉末である。
固体原料100のメディアン径は、40μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上200μm以下であることが好ましい。なお、本発明の固体原料100のメディアン径は、レーザー回折・散乱式粒子径測定装置にて測定される体積基準における粒度分布の中央値を意味する。
続いて、本実施形態の反応装置1を用いたCPVCの製造方法の一例とともに原料ガス等の流れについて説明する。
まず、図1のように、反応器2内のガス分散部材15の上面に直接接触する状態で固体原料100を反応器2内の充填部51に充填し、ガス分散部材15上に固体原料100を載置する。
このとき、充填部51の容量の5%以上70%以下で固体原料100を充填することが好ましい。この範囲であれば、撹拌時に流動層を形成しやすい。
続いて、ブロアー80を駆動して循環回路7内のガスを循環させ、導入弁82と図示しない排気弁を開状態にする。こうすることで、原料ガスたる塩素ガスを導入しながら循環回路7内のガスを外部に排気して、循環回路7内のガスを塩素ガスで置換していき、反応器2内を塩素ガス雰囲気下とする。
循環回路7内が十分に塩素ガス雰囲気になると、図示しない排気弁を閉じ、塩素ガスが循環回路7を循環する循環運転とする。
温度調節部材12を駆動し、筐体10内の温度が一定の範囲に収まるように制御しながら、発光部材11の発光側棒状部22によって固体原料100に紫外線を照射する。そして、ブロアー80により、ガス供給孔56から噴射される塩素ガスで固体原料100を撹拌させながら混合し流動化する。こうすることで、固体原料100を原料ガス中に懸濁浮遊させた状態、すなわち、流動層となった状態で、塩素ガスの塩素基がPVCの水素基と置換され、反応生成物たるCPVCと反応生成ガスたる塩酸ガスが発生する。
発生した塩酸ガスは、ガス供給孔56からの原料ガスの噴射等によって、原料ガスたる塩素ガスや固体原料100の一部とともに第1経路61に流れる。これらがトラップ装置60まで至ると、トラップ装置60によって、固体原料100と、塩酸ガスと塩素ガスの混合ガスに分離される。そして、固体原料100は、戻し経路63から重力によって反応器2に戻され、混合ガスは第2経路62から脱気装置3に流れる。
混合ガスが脱気装置3に至ると、脱気装置3内で反応生成ガスたる塩酸ガスと、原料ガスたる塩素ガスに分離され、塩酸ガスは水等の液体に吸収させて図示しない排出口から外部に排出される。
一方、塩素ガスは、供給経路6を流れ、ブロアー80によって、反応器2のガス供給部52に導入され、ガス分散部材15から固体原料100に噴射される。
このとき、脱気装置3で塩酸ガスが除去されていくと、循環回路7の内圧が下がるため、循環回路7の内圧を維持するように導入流路81から塩素ガスが供給され続ける。
本実施形態の反応装置1によれば、図1,図2のように、ガス分散部材15のガス供給孔56が発光部材11及び温度調節部材12から離れており、ガス分散部材15上に固体原料100が載置される。そのため、原料ガスにより吹き上げられた固体原料100の重力落下を利用して撹拌でき、より固体原料100と反応生成物を混合しやすい。また、対流により、筐体10内の固体原料100と反応生成物を均熱化しやすい。
本実施形態の反応装置1では、図3のように、ガス供給孔56からのガス噴射方向が発光部材11の発光側棒状部22又は温度調節部材12の調節側棒状部35の長手方向に対する直交方向と交差する関係となっている。そのため、原料ガスが発光側棒状部22又は調節側棒状部35の側面に直角に当たりにくく、当該側面に遮られにくい。
本実施形態の反応装置1によれば、図5のように、光源部20と囲繞部21の間に隙間25があり、光源部20から照射された光が隙間25で拡散し、囲繞部21の内周面に入射する際に屈折等しながら囲繞部21を透過する。そのため、囲繞部21で均された実質的に均一な光を充填部51内の固体原料100に照射できる。
本実施形態の反応装置1によれば、調節側棒状部35内を冷却用の液体又は気体が通過して固体原料100の温度を調節する。そのため、固体原料100が温度調節用の液体又は気体に晒されることなく、熱交換できる。
本実施形態の反応装置1によれば、図4のように、発光部材11の発光側棒状部22の長手方向からみたときに、発光側棒状部22が筐体10の内壁たる側壁部41~44から離れた位置に配されている。そのため、複数方向に紫外線を照射できる。
本実施形態の反応装置1によれば、図4のように、発光部材11が複数方向に紫外線を照射可能であって、発光部材11の発光側棒状部22が調節側棒状列33,33の間に配されている。そのため、各調節側棒状列33,33に向かって同時に紫外線を照射可能であり、広範囲の固体原料100を反応させることができる。
ここで、反応装置1では、図3(b)のように、第1ガス供給孔150がいずれも同一方向を向いて傾いており、充填部51側の開口がいずれも一の充填側側壁部141側を向いている。すなわち、充填部51側の開口が一方方向(一の充填側側壁部141に向かう方向)側に偏って設けられ、一方方向に原料ガスが集中して供給される。
そのため、ガス分散部材15の供給孔56が傾斜孔たる第1ガス供給孔150のみで構成される場合、一の充填側側壁部141と対向する充填側側壁部143(以下、対向側側壁部143ともいう)付近には原料ガスが流れにくくなる。そのため、対向側側壁部143付近の固体原料100の流動性が低くなるという問題がある。
すなわち、図9のように、噴射されるガスの流れが一方向に偏り、特に傾斜方向と反対側の充填側側壁部143付近において、粉体滞留部180が生じてしまうおそれがある。粉体滞留部180が生じると、粉体滞留部180の固体原料100が流動不良となり、焼け樹脂(スケール)等が発生する可能性がある。
そこで、反応装置1では、図7(a)のように、少なくとも対向側側壁部143付近に第2ガス供給孔151が設けられている。そのため、一の充填側側壁部141側(図3(b)参照)に比べて、ガス流動性の低い対向側側壁部143付近であっても流動性を確保できる。それ故に焼け樹脂(スケール)等の発生を抑制できる。
また、本実施形態の反応装置1では、第2ガス供給孔151の開口径は、第1ガス供給孔150の開口径よりも小さくなっており、固体原料100がほとんど落下しない程度の大きさとなっている。そのため、天地方向に延びた第2ガス供給孔151が混在していても、第2ガス供給孔151から固体原料100が落下しにくい。
なお、本実施形態のように、対向側側壁部143以外の充填側側壁部141,142,144付近に第2ガス供給孔151をさらに設けてもよい。
本実施形態の反応装置1によれば、図3(b)のように開閉部材171により開閉可能な払出口170が設けられ、非鉛直部152が払出口170側を向いている。そのため、例えば、図10(a)のように払出口170を閉塞した状態でガス供給孔150,151から反応生成物及び固体原料100と反応しない非反応ガスを噴射し、図10(b)のように非反応ガスの噴射状態を維持したまま払出口170を開放する。こうすることで、非反応ガスにより充填部51内の反応生成物及び/又は固体原料100が払出口170側に押し出され、ガス供給孔150,150の間やガス供給孔150,151の間、すなわち、ガス供給孔150,151が設けられていない部分でも反応生成物及び/又は固体原料100が流動化する。そのため、充填部51内の反応生成物及び/又は固体原料100の全部又は大部分を図示しない収容部材に容易に払い出すことができ、充填部51の洗浄等のメンテナンスが容易である。
本実施形態のCPVCの製造方法によれば、固体原料100と反応生成物が常時流動化される。そのため、フレッシュな固体原料100が発光部材11付近に供給され、従来に比べて高品質のCPVCを製造できる。また、歩留まりよくCPVCを製造できる。
続いて、本発明の第2実施形態の反応装置200について説明する。なお、第1実施形態の反応装置1と同様の構成は、同様の付番をして説明を省略する。以下、同様とする。
第2実施形態の反応装置200は、図11のように、発光部材11と温度調節部材12とガス分散部材15で構成される複数の単位ユニット202(202a~202i)を備えている。
単位ユニット202は、図11,図12のように、平面視したときに縦横方向に平面状に広がりをもって並べられている。
本実施形態の反応装置200は、同一の構成要素からなる単位ユニット202が繰り返し縦横に並んでいる。具体的には、反応装置200は、横方向X及び縦方向Yにおいて、3×3の9個の単位ユニット202a~202iが並んでいる。
図12に示される縦方向Yに隣接する単位ユニット202a,202bのガス分散部材15a,15bは、一つの平面を構成して面一となっており、ガス分散部材15a,15bの端面同士が対向し接続されている。
図11に示される縦方向Yに並設された各単位ユニット202の発光部材11の発光側棒状部22の間隔は、等間隔となっている。すなわち、縦方向Yに隣接する単位ユニット202a,202bの発光側棒状部22,22の間隔は、縦方向Yに隣接する単位ユニット202b,202cの発光側棒状部22,22の間隔と等しい。
同様に、図11,図12に示される横方向Xに隣接する単位ユニット202a,202dのガス分散部材15a,15dは、一つの平面を構成して面一となっており、ガス分散部材15a,15dの端面同士が対向し接続されている。
図11に示される横方向Xに並設された各単位ユニット202の発光部材11の発光側棒状部22の間隔は、等間隔となっている。すなわち、横方向Xに隣接する単位ユニット202a,202dの発光側棒状部22,22の間隔は、横方向Xに隣接する単位ユニット202d,202gの発光側棒状部22,22の間隔と等しい。
横方向Xに並設された各単位ユニット202a,202d,202gの温度調節部材12,12,12の調節側棒状列33,33,33は、それぞれ互いに平行となっている。
第2実施形態の反応装置200によれば、図11のように、発光部材11と温度調節部材12とガス分散部材15が単位ユニット202を構成し、同一の単位ユニット202a~202iが並設される。そのため、容量の拡張が容易であり、拡張時の設備コストも低減できる。
続いて、本発明の第3実施形態の反応装置300について説明する。
第3実施形態の反応装置300は、図13,図14のように、温度調節部材301の一本の伝熱管が波状に折れ曲がって調節側棒状列302を形成している。調節側棒状列302は、天面側折り返し部303、調節側棒状部305、底面側折り返し部306の順に繰り返されて構成されている。
天面側折り返し部303は、隣接する調節側棒状部305,305の上端部同士を接続し、「U」字状に折り返された部位である。調節側棒状部305は、折り返し部303,306を繋ぎ、直線状に延びた棒状部位である。底面側折り返し部306は、隣接する調節側棒状部305,305の下端部同士を接続し、「U」字状に折り返された部位である。
隣接する調節側棒状部305,305は、その内部を通過する冷却気体又は冷却液体の流れ方向が逆向きとなっている。
図14に示される調節側棒状部305の外周面と発光部材11の外周面の最短距離D1、同一の調節側棒状列302に属し最近接する調節側棒状部305,305の外周面間の最短距離D2、及び隣接する調節側棒状列302,302の調節側棒状部305,305の外周面間の最短距離D3は、第1実施形態の調節側棒状部35と発光部材11の関係、最近接する調節側棒状部35,35の関係、及び隣接する調節側棒状列33,33の関係と同様であるため、説明を省略する。
続いて、本発明の第4実施形態の反応装置700について説明する。
第4実施形態の反応装置700の筐体701は、図15のように、ガス分散部材702によって充填部703とガス供給部52に区切られている。
充填部703の充填側側壁部741~744は、図15,図16のように、第1内壁部710と、第2内壁部711と、接続壁部712を備えている。
第1内壁部710と第2内壁部711は、図16のように、接続壁部712を介して段差をもって連続している。接続壁部712は、ガス分散部材702から噴射されたガスを遮って第2内壁部711に沿うようにガスを導く誘導壁部である。
一の充填側側壁部741には、開閉部材726によって開閉可能な払出口725が設けられている。払出口725は、第1内壁部710、第2内壁部711、及び接続壁部712に跨って形成されている。
ガス分散部材702は、図15,図16のように、本体板部55(図2参照)と、複数のガス供給孔720を備えている。
ガス供給孔720は、第1ガス供給孔150のみで構成されており、第2ガス供給孔151がない。
続いて、反応装置700の各部材の位置関係、特に筐体701の各部材の位置関係について詳細に説明する。
接続壁部712は、図16の拡大図のようにガス分散部材702と天地方向に間隔を空けて対向している。接続壁部712は、ガス供給孔720の噴射方向の投影面上に位置している。すなわち、ガス供給孔720は、接続壁部712に向かって延びている。接続壁部712とガス供給孔720の充填部703側の開口との間には、流入空間715がある。流入空間715は、固体原料100からの荷重が小さく、他の部分に比べて圧力損失が小さい空間であり、ガスが流入しやすい空間である。
図16に示されるガス分散部材702と接続壁部712との最短距離D20、すなわち、ガス分散部材702に対する接続壁部712の高さは、0.1cm以上であることが好ましく、5cm以下であることが好ましい。この範囲であれば、固体原料100からのガスへの重力荷重を抑制でき、流入空間715におけるガスの流動を維持しやすい。
別の観点からみると、充填部703は、図16のように、天地方向の中間部から上部にかけて狭窄部730が設けられている。狭窄部730は、ガスの流れ方向の上流側(ガス分散部材702側)に比べて断面積が小さい部位であり、ガスの噴射時において、天地方向によってガス流速が異なる。狭窄部730には、発光部材11及び温度調節部材12が配されている。
本実施形態のガス分散部材702は、傾斜孔たるガス供給孔720のみで構成されている。そのため、上記したように、対向側側壁部143付近において、粉体滞留部180(図9参照)が生じてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態の反応装置700では、図17のように対向側側壁部743のガス供給孔720から噴射されたガスを遮る位置に接続壁部712があり、ガス供給孔720と接続壁部712との間に流入空間715が存在する。言い換えると、ガス供給孔720は、接続壁部712に向かって延びており、ガス供給孔720から噴射されるガスは、固体原料100による重力荷重が小さい流入空間715に流れる。そのため、流入空間715内にガスが入りやすく、第2内壁部711に沿ってガスが流れやすい。それ故に、充填側側壁部743の第2内壁部711付近に粉体滞留部180が形成されにくく、焼け樹脂等の発生を抑制できる。
本実施形態の反応装置700によれば、図15,図16のように、ガスの流れ方向の上流側に比べて断面積が小さくガス流速が速い狭窄部730に、発光部材11と温度調節部材12が配されている。そのため、より多量の固体原料100を反応させることができる。
続いて、第5実施形態の反応装置800について説明する。
第5実施形態の反応装置800は、図18のように、充填部51内に発光部材11及び温度調節部材12に加えて誘導部材801が設けられている。
誘導部材801は、特定の充填側側壁部143の近傍であってガス分散部材702と天地方向に離間して設けられ、ガス分散部材702から噴射されたガスを遮って分散されたガスが特定の充填側側壁部143に沿うようにガスを導く部材である。
誘導部材801は、図18,図19のように、底面が直角三角形の三角柱状の部材であり、側面が壁部802~804で構成されている。
第1壁部802は、ガス分散部材702から噴射されたガスを遮り、第2壁部803と特定の充填側側壁部143との間の空間に導く誘導壁部である。
第2壁部803は、第1壁部802に対して直交し、特定の充填側側壁部143と対向する直立壁部である。
第3壁部804は、第1壁部802に対して傾斜する傾斜壁部であり、第2壁部803とともに一つの角部を構成する壁部である。
誘導部材801は、樹脂製であって、原料ガス及び反応生成ガスに対する耐性を有している。
誘導部材801は、ガス分散部材702を平面視したときの大きさが第1ガス供給孔150の充填側開口145の開口面積よりも大きい。
誘導部材801は、固体原料100及び反応生成物が載置される部分に実質的に凹部がない。すなわち、第2壁部803と第3壁部804には、実質的に凹部がない。
ここでいう「実質的に凹部がない」とは、完全に平滑な場合だけではなく、固体原料100及び反応生成物が引っ掛からない程度の凹部を許容するものであり、例えば、深さが固体原料100の1/10以下の大きさであることをいう。
続いて、反応装置800の各部材の位置関係について説明する。
誘導部材801は、図18のように、図示しない支持部材によって第1壁部802がガス分散部材702と間隔を空けて対向するように配されている。すなわち、誘導部材801は、第2壁部803と第3壁部804でなす角部が頂部を構成している。充填部703は、天地方向の中間部から上部にかけて誘導部材801の存在によって狭窄部830が形成されている。第1壁部802は、ガス分散部材702との間に流入空間806を形成しており、第1ガス供給孔150のガスの噴射方向の延長上に位置している。第2壁部803は、特定の充填側側壁部143と間隔を空けて対向しており、特定の充填側側壁部143との間に流路空間805が形成されている。
図18に示されるガス分散部材702と第1壁部802との最短距離D21は、0.1cm以上であることが好ましく、0.5cm以上であることがより好ましい。また、当該最短距離D21は、5cm以下であることが好ましく、1cm以下であることがより好ましい。
この範囲であれば、固体原料100からのガスへの重力荷重を抑制でき、流入空間806におけるガスの流動を維持しやすい。
第5実施形態の反応装置800によれば、図20のように充填部51内に誘導部材801が設けられ、第1ガス供給孔150からの噴射方向に遮る第1壁部802があり、第1壁部802と、ガス分散部材702との間に流入空間806が形成されている。そのため、第1壁部802で遮られたガスの一部が流路空間805に流れやすく、対向側側壁部143付近に粉体滞留部180が形成されにくい。それ故に、焼け樹脂(スケール)等の発生を抑制できる。
第5実施形態の反応装置800によれば、図20のように、誘導部材801は、第2壁部803と第3壁部804でなす角部が頂部を構成している。
そのため、誘導部材801上の固体原料100から受ける重力荷重は第2壁部803及び第3壁部804に沿って分散される。それ故に、固体原料100から誘導部材801に加わる重力荷重を抑制できる。
上記した実施形態では、発光部材11は、延び方向に対して直交する断面の外形形状が円形状であったが、本発明はこれに限定されない。同様に、温度調節部材12の調節側棒状部35は、円筒状であって延び方向に対して直交する断面の外形形状が円形状であったが、本発明はこれに限定されない。発光部材11や調節側棒状部35の延び方向に対して直交する断面の外形形状は、それぞれ円形以外の形状、例えば、三角形状や四角形状、六角形状等の多角形状であってもよいし、楕円状やオーバル状であってもよい。
上記した実施形態では、調節側棒状群32が2列の調節側棒状列33で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。調節側棒状群32は、1列の調節側棒状列33で構成されてもよいし、3列以上の調節側棒状列33で構成されてもよい。
上記した実施形態では、平面視したときに、発光部材11の両側に調節側棒状群32が配されていたが、本発明はこれに限定されない。発光部材11の片側のみに調節側棒状群32が配されてもよい。
上記した実施形態では、平面視したときに、調節側棒状列33が直線状に並んでいたが、本発明はこれに限定されない。調節側棒状列33は、曲線状や環状に並んでもよい。例えば、調節側棒状列33は、図21のように発光部材11を中心に、発光部材11を囲むように周方向に並んでもよい。
上記した実施形態では、調節側棒状部35は、直線状に延びていたが、本発明はこれに限定されない。調節側棒状部35は、図22のように、全体として直線状に延びていれば、波状に屈曲してもよい。
上記した実施形態では、調節側棒状群32は、4つの調節側棒状部35で正方形の頂点を構成する正方配列であったが、本発明はこれに限定されない。調節側棒状群32は、例えば、3つの調節側棒状部35で正三角形の頂点を構成する配列であってもよい。
上記した第1実施形態では、発光部材11は一つの発光側棒状部22を備えていたが、本発明はこれに限定されない。発光部材11は複数の発光側棒状部22を備えてもよい。
上記した第1実施形態では、温度調節部材12は、天地方向において、流入部31が流出部30に対して底面側に位置する姿勢となっていたが、本発明はこれに限定されない。温度調節部材12は、天地が逆転してもよい。すなわち、温度調節部材12は、天地方向において、流入部31が流出部30に対して天面側に位置する姿勢となってもよい。
上記した第2実施形態では、9つの単位ユニット202a~202iを備えていたが、本発明はこれに限定されない。複数の単位ユニット202で構成されていれば、8つ以下の単位ユニット202で構成されてもよいし、10つ以上の単位ユニット202で構成されてもよい。また、上記した第2実施形態では、9つの単位ユニット202a~202iが縦横に敷き詰められていたが、単位ユニット202は、一列に並んでもよい。
上記した実施形態では、第1ガス供給孔150は、平面視したときに、充填側開口145と供給側開口146がずれていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図23(a)のように一部に非鉛直部152をもっていれば、充填側開口145と供給側開口146が厚み方向(天地方向)に一致してもよい。
上記した実施形態では、第1ガス供給孔150及び第2ガス供給孔151は、それぞれ孔の内径が深さ方向において同一であったが、本発明はこれに限定されない。第1ガス供給孔150及び第2ガス供給孔151は、それぞれ孔の内径が深さ方向において異なってもよい。例えば、第1ガス供給孔150は、図23(b)のように深さ方向に内径が大きくなり、充填側開口145の開口面積が供給側開口146の開口面積よりも小さくなってもよい。また、その逆であってもよい。すなわち、深さ方向に内径が小さくなり、充填側開口145の開口面積が供給側開口146の開口面積よりも大きくなってもよい。
上記した実施形態では、各第1ガス供給孔150はそれぞれ中心軸が平行となるように傾いていたが、本発明はこれに限定されない。各第1ガス供給孔150の軸方向は、図23(c)のようにランダムであってもよい。
上記した実施形態では、各第1ガス供給孔150は中心軸が同一方向を向くように傾いていたが、本発明はこれに限定されない。各第1ガス供給孔150は、中心軸が異なる方向を向いてもよく、例えば、図24のように中心軸が中心側に向いてもよい。
上記した実施形態では、各第1ガス供給孔150が正三角形の頂点となるように並んでいたが、本発明はこれに限定されない。各第1ガス供給孔150は、図25のように正方形の頂点となるように碁盤状に並んでもよい。すなわち、第1ガス供給孔150aと横方向に隣接する第1ガス供給孔150bとの距離D14は、第1ガス供給孔150aと縦方向に隣接する第1ガス供給孔150cとの距離D15と等しくてもよい。
上記した実施形態では、第1ガス供給孔150及び第2ガス供給孔151の開口形状は円形であったが、本発明はこれに限定されない。第1ガス供給孔150及び第2ガス供給孔151の開口形状は、それぞれ円形以外であってもよく、例えば、楕円形であってもよいし、多角形であってもよいし、オーバル状や長穴状であってもよい。
上記した第1~第3実施形態では、ガス供給孔56は、第1ガス供給孔150と第2ガス供給孔151の二種類の供給孔が混在していたが、本発明はこれに限定されない。ガス供給孔56は、第4,5実施形態のように第1ガス供給孔150のみで構成されてもよいし、第2ガス供給孔151のみで構成されてもよい。また、ガス供給孔56は、第1ガス供給孔150と第2ガス供給孔151以外にも他の種類の供給孔が混在してもよい。
上記した実施形態では、筐体10は縦長直方体状であったが、本発明はこれに限定されない。筐体10の形状は、縦長直方体状以外であってもよく、例えば、円柱状であってもよいし、多角形を底面とする角柱状であってもよい。
上記した実施形態では、ガス供給部52の外郭形状が直方体形状の場合について例示したが、本発明はこれに限定されない。ガス供給部52の外郭形状は、例えば、逆三角錐、逆四角錐、逆六角錐などの逆多角錐形状や逆円錐形状であってもよい。また、ガス供給部52の内部は、図26のように、ガスの導入口880からガス分散部材15に向かって広がったテーパー形状となってもよい。
上記した実施形態では、ガス分散部材15の骨格をなす本体板部55の形状は四角形状であったが、本発明はこれに限定されない。筐体10内をガス分散部材15で仕切る部分(充填部51とガス供給部52の境界部分)の形状等によって適宜変更可能である。例えば、筐体10の断面形状が円柱状であって充填部51とガス供給部52の境界部分が円形状である場合は、本体板部55の形状は円形状であってもよい。
上記した第2実施形態の応用例として各単位ユニット202のガス分散部材15の第1ガス供給孔150の向きを調整し、固体原料100が払出口170側に向くようにしてもよい。例えば、図27のように、払出口170が属する充填側側壁部141に隣接する単位ユニット202のガス分散部材15の第1ガス供給孔150の傾斜方向を払出口170側に向け、その他の単位ユニット202のガス分散部材15の第1ガス供給孔150の傾斜方向を充填側側壁部141側に向くようにしてもよい。
上記した第4,5実施形態では、ガス分散部材702から噴射されるガスを遮る壁部712,802は、平面状に広がっていたが、壁部712,802の形状はこれに限定されない。例えば、壁部712,802は曲面状や波状に広がっていてもよい。
上記した第5実施形態では、誘導部材801は、三角柱状であったが、本発明はこれに限定されるものではない。四角柱や五角柱、六角柱などの他の多角柱状であってもよいし、円柱状などの曲面をもつものであってもよい。
なお、誘導部材は、第5実施形態と同様、固体原料100及び反応生成物が載置される部分が下り傾斜面又は下り傾斜曲面で構成されることが好ましい。こうすることで、誘導部材801上の固体原料100から受ける重力荷重が下り傾斜面又は下り傾斜曲面によって分散することができる。
上記した実施形態では、発光部材11が充填部51内に配されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。発光部材11は、充填部51内の固体原料100に紫外線を照射できれば、充填部51の外部に設けられていてもよい。例えば、充填部51の壁面を透明とすることで充填部51の外部に発光部材11を設けても充填部51内の固体原料100に紫外線を照射できる。
上記した実施形態では、本体板部55や誘導部材801は、樹脂製であったが、本発明はこれに限定されるものではない。本体板部55や誘導部材801は、反応ガスに耐性を有していれば、ガラス等のセラミック製であってもよいし、フッ素ゴム等のゴム製であってもよい。
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
例えば、第4実施形態の反応装置700の充填部703に第5実施形態の反応装置800の誘導部材801を挿入してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。
(実施例1)
実施例1では、図28のように縦25cm×横25cmのガス分散部材400を底板とする容器401に、円筒状の伝熱管402を縦方向に一列に並べて横方向の中央に配置した。また、最近接する伝熱管402,402の側面の最短距離Dが2.4cmとなるように、各伝熱管402を鉛直姿勢で容器401に挿入した。使用した伝熱管402は、外径3.2cm、長さ110cmの円筒状の管であり、ガス分散部材400から上方10cm離れた位置に鉛直姿勢で配置した。
(実施例2)
実施例2では、最近接する伝熱管402,402の側面の最短距離Dが2.1cmとなるように鉛直姿勢で挿入し、それ以外は、実施例1と同様とした。
(比較例1)
比較例1では、最近接する伝熱管402,402の側面の最短距離Dが1.5cmとなるように各伝熱管402を鉛直姿勢で挿入し、それ以外は、実施例1と同様とした。
(参考例1)
参考例1では、縦25cm×横25cmのガス分散部材400を底板とする容器401に伝熱管402を挿入せず、それ以外は、実施例1と同様とした。
(混合度測定試験)
実施例1,2、比較例1、並びに参考例1において、容器401にPVC粒子403とトレーサー粒子405を粉体層高が50cmとなるように収容した。そして、容器401のガス分散部材400のガス供給孔406から線速0.4m/sで流動ガスを噴射して、14.7秒間PVC粒子403とトレーサー粒子405を混合させた。
このとき、トレーサー粒子405は、全粒子の2重量%となるように添加量を調整し、容器401の一つの側面と平行かつその面に接するトレーサー粒子405の層を形成するように収容した。PVC粒子403は、比重が1.4でメディアン径が40μm以上500μm以下のものを使用し、トレーサー粒子405は、比重が1.2でメディアン径が500μm以上700μm以下のものを使用した。
PVC粒子403とトレーサー粒子405を混合した後、図29(a)に示される各(1)~(8)の測定点において、ガス分散部材400を底部とする高さ位置(ガス分散部材400からの鉛直方向の距離)が図29(b)に示される(A)10cm、(B)25cm、(C)35cm、及び(D)50cmの各位置での混合粒子を60gサンプリングし、採取した混合粒子に含まれるトレーサー粒子の質量濃度をそれぞれ測定した。すなわち、計32箇所で混合粒子を60gサンプリングし、採取した混合粒子に含まれるトレーサー粒子の質量濃度をそれぞれ測定した。そして、各実験条件でのトレーサー粒子の質量濃度から下記数式(1)により標準偏差σを求め、混合性を表す値として用いた。
Figure 0007080874000001
トレーサー粒子405の濃度のバラツキ(標準偏差σ)が許容範囲内であれば、容器401内の粒子が十分に混合していると評価した。具体的には、伝熱管402を用いない参考例1を基準として標準偏差の差が0.06重量%以下、すなわち、標準偏差が0.20重量%以下のものを十分混合できたものとして「A」と判定し、それ以外を「B」とした。混合後のトレーサー粒子405の粒子濃度の標準偏差の関係を表1に示す。
Figure 0007080874000002
表1のように、実施例1,2では、伝熱管を用いない参考例1と同程度の標準偏差、すなわち、参考例1との標準偏差の差が0.06重量%以下であり、十分に混合できていた。一方、比較例1では、参考例1との標準偏差の差が0.18重量%と大きく、混合が十分でなかった。
また、表1の結果から導かれるグラフを図30に示す。図30のように概ね伝熱管同士の壁距離が1.9cm以上であれば、トレーサー濃度の標準偏差が0.20重量%以下(すなわち、伝熱管を用いない場合に対して標準偏差の差が0.06重量%以下の範囲)に収まることが推定された。
以上により、固体原料100が流動する際の障害物間の隙間が1.9cm以上あれば、固体原料100と反応生成物を均一に混合できることがわかった。
(実施例3)
実施例3では、テフロン(登録商標)製の平板(株式会社栗本鐵工所製)に、直径が0.15cmであって、傾斜角度θ1が30度の第1ガス供給孔をピッチ(中心間距離)が0.7cmとなるように形成し、第1ガス供給孔の周囲に直径が0.1cmの第2ガス供給孔を二列形成したガス分散部材を作製した。
(実施例4)
実施例4では、第1ガス供給孔の直径を0.1cmとし、それ以外は、実施例3と同様とした。
(実施例5)
実施例5では、第1ガス供給孔の傾斜角度θ1を45度とし、それ以外は、実施例4と同様とした。
(比較例2)
比較例2では、第1ガス供給孔の直径を0.15cmとし、傾斜角度θ1を45度とした。それ以外は、実施例3と同様とした。
(落下量測定試験)
実施例3、4、5及び比較例2のガス分散部材上に3.5kgの固体原料を載置し、第1ガス供給孔を通過して落下する固体原料の量及び様子を観察した。載置する固体原料は、粒子径が40μm以上500μm以下であって、メディアン径が150μmのPVC粉末を使用した。この固体原料についてJIS R 9301-2-2(ISO902:1976に相当)に準ずる安息角を測定したところ、35度以上40度以下であった。
落下量測定試験の結果を表1に示す。「C」は固体原料の落下が実質的に生じないものを表す。「D」は固体原料の落下が生じるが、原料の落下速度が遅く製造工程において落下を無視できるものを表す。「E」は固体原料の落下が生じ、固体原料の落下速度が速く製造工程において落下を無視できないものを表す。
Figure 0007080874000003
落下量測定試験の結果、比較例2のガス分散部材では、固体原料を載置すると、ガス分散部材全体から固体原料が落下し、投入した固体原料の全量が各第1ガス供給孔及び第2ガス供給孔から落下した。
一方、実施例3及び実施例4のガス分散部材では、固体原料を載置しても、第1ガス供給孔及び第2ガス供給孔ともに全く落下しなかった。実施例5のガス分散部材では、固体原料を載置するとガス分散部材の一部から、第1ガス供給孔及び第2ガス供給孔の両方から少量ずつ落下するが、その落下スピードは、比較例3に比べてかなり遅かった。
実施例3、4及び比較例2の結果から、第1ガス供給孔の傾斜角度を安息角よりも小さくすることで固体原料の落下を抑制できることがわかった。
実施例5と比較例2の結果から、第1ガス供給孔の直径を小さくすることで固体原料の落下をある程度抑制できることがわかった。
(非流動量測定試験)
実施例3、5及び比較例2のガス分散部材上に上記と同様の固体原料を載置し、この固体原料に着色粒子を添加した。そして、その状態で線速0.125m/sのガスで流動させた後の非流動部分を目視で確認し、非流動となる樹脂原料の量を測定した。なお、上記したように比較例2では、固体原料を載置するとガス供給孔から落下するので、流動化開始速度のエアーを常にガス供給孔から流し、落下を防止した状態で測定を行った。
非流動量測定試験の結果、実施例4及び比較例2では、着色粒子が固体原料とよく混合しており、非流動部分が見られなかった。また実施例5では、微少量の非流動の着色粒子があるものの、品質として実質的に無視できる程度の量であり、ほぼ均一に固体原料と混合していた。
以上の結果から、下記(1)又は(2)の条件を満たすことで固体原料の落下を抑制でき、さらに非流動部分の発生を抑制できることがわかった。
(1)第1ガス供給孔の傾斜角度が45度未満である。
(2)第1ガス供給孔の直径が固体原料のメディアン径の10倍未満である。
1,200,300,700,800 流動層反応装置
2,201 反応器
10,701 筐体
11 発光部材
12,301 温度調節部材
15,702 ガス分散部材(ガス分散部)
20 光源部
21 囲繞部
22 発光側棒状部
25 隙間
32 調節側棒状群
33,302 調節側棒状列
35,305 調節側棒状部
41~44 側壁部
51,703 固体原料充填部
56,720 ガス供給孔
100 固体原料
145 充填側開口
150,150a~150c 第1ガス供給孔
152 非鉛直部
170,725 払出口
202 単位ユニット
710 第1内壁部
711 第2内壁部
712 接続壁部(誘導壁部)
715 流入空間
730 狭窄部
741~744 充填側側壁部
801 誘導部材
802 第1壁部(誘導壁部)

Claims (7)

  1. 粉状又は粒状の固体原料が充填される反応器を有し、前記固体原料が充填された状態の前記反応器にガスが供給され、前記ガスによって前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、
    発光部材と温度調節部材を有し、
    前記発光部材は、前記反応器内に配され前記固体原料に光を照射する発光側棒状部を有し、
    前記発光側棒状部は、鉛直方向に延びた鉛直姿勢となっており、
    前記発光側棒状部は、前記発光側棒状部の長手方向からみたときに、前記反応器の内壁から離れた位置に配されており、
    前記温度調節部材は、前記反応器内に配され前記固体原料の温度を調節する調節側棒状部を複数有し、
    少なくとも2つの調節側棒状群を有し、
    前記2つの調節側棒状群は、2つ以上の前記調節側棒状部が間隔を空けて直線状に並んだ調節側棒状列を有し、
    前記発光側棒状部は、少なくとも2方向に光を照射可能であり、
    前記発光側棒状部は、前記2つの調節側棒状群の前記調節側棒状列の間に配され、前記2つの調節側棒状群の前記調節側棒状列側に向かって光を照射可能であり、
    前記発光側棒状部の外周面と、前記発光側棒状部に最近接する前記調節側棒状部の外周面の隙間の最短距離は、1.9cm以上15cm以下であり、
    最近接する2つの調節側棒状部の外周面の隙間の最短距離は、1.9cm以上であることを特徴とする流動層反応装置。
  2. 前記温度調節部材は、流入部と、流出部を有し、
    前記流入部は、外部から冷却媒体を前記調節側棒状群に流入させるものであり、
    前記流出部は、前記調節側棒状群で熱交換された前記冷却媒体を外部に流出するものであり、
    前記調節側棒状部は、前記流入部と前記流出部を繋ぐ中空体であって、内部に前記冷却媒体を通すことが可能であり、
    前記調節側棒状部は、全体として鉛直方向に延びており、
    前記流入部は、前記流出部に対して鉛直方向下側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の流動層反応装置。
  3. 前記温度調節部材は、平面視したときに前記調節側棒状群における前記調節側棒状部が正平面充填形の頂点位置に配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流動層反応装置。
  4. 前記反応器内に、ガス分散部と、前記発光部材と、前記温度調節部材で構成される単位ユニットを複数有し、
    前記ガス分散部は、前記固体原料が載置されるものであって、前記ガスを前記反応器内に噴射するガス供給孔を備えるものであり、
    各単位ユニットは、平面状に広がりをもって並設されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の流動層反応装置。
  5. ガス分散部材と固体原料充填部を備えた反応器を有し、粉状又は粒状の固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材から前記固体原料充填部にガスが噴射され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、
    前記ガス分散部材は、ガス供給孔を有し、
    前記固体原料充填部は、前記ガス分散部材に対して立ち上がった第1内壁部と、前記第1内壁部と誘導壁部を介して段差をもって連続する第2内壁部を有し、
    前記誘導壁部は、前記ガス分散部材と天地方向に所定の間隔を空けて対向し、前記ガス供給孔の前記固体原料充填部側の開口との間に流入空間があり
    前記誘導壁部は、前記ガス分散部材から噴射された前記ガスを遮って少なくとも前記第2内壁部に沿うように前記ガスを導くことを特徴とする流動層反応装置。
  6. ガス分散部材と固体原料充填部を備えた反応器を有し、粉状又は粒状の固体原料が前記ガス分散部材の上面に接触する状態で前記固体原料充填部に充填され、前記ガス分散部材を介して前記固体原料充填部にガスが供給され、前記ガスによって前記固体原料充填部内の前記固体原料を流動化しつつ前記固体原料と前記ガスを反応させて反応生成物を得る流動層反応装置であって、
    前記固体原料充填部は、前記ガス分散部材に対して立ち上がった内壁部を有し、当該内壁部に開閉可能な払出口があり、
    前記ガス分散部材は、複数の第1ガス供給孔を有し、
    前記第1ガス供給孔は、少なくとも水平方向成分をもって延びる非鉛直部を有し、さらに下記の(1)又は(2)の条件を満たすものであり、
    前記非鉛直部の延び方向の端部が、前記第1ガス供給孔の固体原料充填部側の開口を構成しており、
    前記非鉛直部は、前記払出口側を向いて延びていることを特徴とする流動層反応装置。
    (1)前記非鉛直部が水平面に対して45度未満の傾斜角度で傾斜している。
    (2)前記固体原料充填部側の開口の外接径が前記固体原料のメディアン径の10倍未満である。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の流動層反応装置を使用して塩素化塩化ビニル系樹脂を製造する塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、
    塩化ビニル系樹脂を前記反応器に充填し、前記反応器に塩素ガスを供給して塩化ビニル系樹脂と塩素ガスを反応させることを特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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