JP7080607B2 - 食品の軟化抑制剤、これを用いた食品の軟化を抑制する方法及び加熱食品の製造方法 - Google Patents

食品の軟化抑制剤、これを用いた食品の軟化を抑制する方法及び加熱食品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、食品の軟化抑制剤、これを用いた食品の軟化を抑制する方法及び加熱食品の製造方法に関する。
従来、煮物、冷凍野菜、乾燥食品(ドライフルーツ、甘納豆等)といった加熱調理された食品が、缶詰、パウチ等の形態で市販されている。このような加熱食品においては、多くの食品において、加熱により食品が軟化するが、近年、果物の缶詰等においては、加熱後においても適度な歯ごたえを有し、生の果物の食感に近いものが注目されている。そのため、加熱による食品の過度な軟化を抑制する方法が望まれている。また、過度に軟化した食品は、加熱前の形状が崩れてしまい、いわゆる型崩れ又は煮崩れが生じることがある。食品の型崩れが生じると、製品としての価値が損なわれるため、加熱食品の製造においては食品の軟化による型崩れの抑制も求められている。
特許文献1には、食品の保形性を向上させる作用を有する組成物として、α-1,6グルコシド結合を有する3~4糖類を含有する糖組成物が開示されている。特許文献2及び3には、煮崩れを防止する方法として、ニゲロオリゴ糖又はトレハロースを使用する方法がそれぞれ開示されている。
特開2006-304793号公報 特開平11-178514号公報 特開2000-175669号公報
本発明は、加熱による食品の軟化を抑制し、更には、軟化による食品の型崩れをも抑制することができる、新規な食品の軟化抑制剤と、該抑制剤を使用した食品の軟化及び型崩れを抑制する方法、更には、該抑制剤を使用した加熱食品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1の態様として、イソマルツロースを含有する、食品の軟化抑制剤を提供する。
また、本発明は、第2の態様として、軟化抑制剤の存在下で食品を加熱する工程を備える、食品の軟化を抑制する方法を提供する。
食品は、デンプン質の食品であってよい。食品は、野菜類、果実類、又は豆類のいずれかであってもよい。
また、本発明は、第3の態様として、イソマルツロースの存在下で食品を加熱する工程を備える、加熱食品の製造方法を提供する。
本発明によれば、加熱による食品の軟化を抑制し、更には、軟化による食品の型崩れをも抑制することができる、新規な食品の軟化抑制剤と、該抑制剤を使用した食品の軟化及び型崩れを抑制する方法、更には、該抑制剤を使用した加熱食品の製造方法を提供することができる。
試験例1における、実施例及び比較例のリンゴ試料の外観写真である。 試験例2における、実施例及び比較例のニンジン試料の外観写真である。 試験例3における、実施例及び比較例のジャガイモ試料の外観写真である。 試験例4における、実施例及び比較例のダイコン試料の外観写真である。 (a)は試験例5において、カボチャをカットした後の形状を示す写真であり、(b)は実施例及び比較例のカボチャ試料の外観写真である。 試験例7における、実施例及び比較例の黒煮豆の外観写真である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る食品の軟化抑制剤は、イソマルツロースを含有する。
本実施形態における軟化抑制剤が抑制する「食品の軟化」とは、加熱によって食品が過度に軟らかくなり、喫食した際に適度な食感が得られない状態をいう。適度な食感とは、例えば、野菜又は果物のシャキシャキ、サクサクとした歯ごたえ、噛んだときにしっかりとした噛みごたえが感じられる食感等のことをいう。
イソマルツロースは、グルコースとフルクトースとがα-1,6結合した二糖類であり、スクロースの構造異性体である。イソマルツロースは、例えば、天然の蜂蜜中に見出される。工業的には、イソマルツロースは、プロタミノバクター・ルブラム(Protaminobacter rubrum)、セラチア・プリムチカ(Serratia plymuthica)等の細菌に由来するα-グルコシルトランスフェラーゼをショ糖に作用させることにより製造される。
イソマルツロース(isomaltulose)は、パラチノース(palatinose)とも称される。なお、「パラチノース/PALATINOSE」は、三井製糖株式会社の登録商標である。
軟化抑制剤は、イソマルツロースそのものであってもよいし、イソマルツロースを含有する組成物であってもよい。
軟化抑制剤が組成物である場合、これに含まれるイソマルツロースは、イソマルツロース単体として含有されてもよく、いくつかの糖類を含有する市販のイソマルツロース製剤として含有されてもよい。イソマルツロース製剤は、イソマルツロースの他に、トレハロース等のその他の糖類を含むことがある。
イソマルツロースは、結晶粒子として含有されてもよいし、顆粒状粒子として含有されてもよい。顆粒状粒子は、例えば、イソマルツロースの複数の結晶粒子の集合体と、非晶質の糖分とを含み、該糖分が結晶粒子の集合体に内包されている、(球状)粒子であってもよい。このような顆粒状粒子は、例えば、イソマルツロースと非晶質の糖分とを含む糖液からイソマルツロースの結晶粒子を析出させ、該結晶粒子を含む糖液をスプレードライする方法により、得ることができる。あるいは、上記糖液を加熱しながらこれに剪断力を加えてイソマルツロースの結晶核を析出させ、該結晶核を含む混合物を冷却する方法により、イソマルツロースを含む顆粒状の粒子を得ることもできる。上記の糖液は、例えば、ショ糖に酵素を作用させることにより、得ることができる。この場合、糖液及び得られる顆粒状粒子は、トレハロース、フルクトース、グルコース、スクロース及びイソマルトース等を非晶質の糖分として含む。顆粒状粒子は、特開2012-179045号公報等に記載されている固形物であってもよい。
軟化抑制剤がイソマルツロースの結晶粒子を含有する場合、結晶粒子のメジアン径は、レーザー回析粒度分布測定により測定したときに、例えば、5~50μmであってよい。軟化抑制剤がイソマルツロースを含む顆粒状粒子を含有する場合、顆粒状粒子のメジアン径は、レーザー回析粒度分布測定により測定したときに、例えば、60~300μm、又は80~200μmであってよい。顆粒状粒子におけるイソマルツロースの含有割合は、例えば70質量%以上であり、好ましくは70~95質量%である。
軟化抑制剤がイソマルツロースを含有する組成物である場合、イソマルツロースの含有量は、軟化抑制剤全量を基準として、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは100質量%未満であり、より好ましくは70質量%以下である。
軟化抑制剤は、イソマルツロース以外のその他の原料を含むことができる。その他の原料は、トレハロース、フルクトース、グルコース、スクロース、イソマルトース、トレハルロースであってよい。その他の原料の含有量は、軟化抑制剤全量を基準として、0質量%超30質量%以下であってよい。
本実施形態に係る軟化抑制剤は、特に後述する方法で使用されることにより、食品を加熱した際の軟化を抑制することができる。この軟化抑制剤は、過度の軟化によって生じる食品の型崩れ又は煮崩れを抑制することも可能であり、このような観点からは、食品の型崩れ抑制剤又は煮崩れ抑制剤ということもできる。また、この軟化抑制剤は、軟化を抑制する対象となる食品が加熱前に有するシャキシャキ感、サクサク感といった好ましい食感を、加熱後も適度に保持することが可能であり、このような観点からは、食品の食感保持剤ということもできる。
次に、上述した軟化抑制剤を用いた、食品の軟化を抑制する方法を説明する。食品の軟化を抑制する方法は、一実施形態において、上述した軟化抑制剤の存在下で食品を加熱する工程を備える。
軟化抑制剤の存在下で食品を加熱する工程とは、例えば、水等の溶媒に軟化抑制剤を加え、この軟化抑制剤を含有する溶液中で、食品をゆでたり、煮たりすることにより加熱する方法である。加熱する際には、同時に加圧が行われていてもよい。
軟化抑制剤を含有する溶液中で食品を加熱する場合、軟化抑制剤の含有量は、溶液全量を基準として、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。
軟化抑制剤の存在下で食品を加熱する場合、加熱温度は、60℃以上、80℃以上、又は100℃以上であってよく、また、121℃以下であってよい。加熱時間は、1分以上、3分以上、又は5分以上であってよい。軟化抑制剤の存在下で食品を加熱する場合、加熱温度及び加熱時間は、例えば、60℃で100分、80℃で30分、100℃で15分、又は121℃で1分であってよい。
本実施形態に係る軟化を抑制する方法の対象となる食品は、野菜類、果実類、イモ類、豆類等であってよい。野菜類は、ダイコン、ニンジン、カブ、ユリネ、ビーツ等の根菜類、カボチャ等の塊状野菜、キャベツ等の葉野菜、わかめ、昆布、茎わかめ、もずく等の海藻類、米、小麦、トウモロコシ等の穀類などであってよい。果実類は、リンゴ、バナナ、イチゴ、ブドウ、モモ、メロン、あんず、イチジク、ミカン、パイナップル、ナシ等であってよい。イモ類は、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤツガシラ、エビイモ等であってよい。豆類は、黒豆、小豆、インゲン豆、大豆、サヤエンドウ等であってよい。
軟化を抑制する方法の対象となる食品は、加熱後の軟化をより抑制させやすいという観点から、好ましくはデンプン質の食品であることが好ましい。デンプン質の食品とは、デンプンを主成分とする食品であり、より具体的には、デンプンを可食部に対して3質量%以上含む食品をいう。デンプン質の食品は、例えば、カボチャ、ジャガイモ等である。
本実施形態に係る方法によれば、食品を加熱することによる過度な軟化を抑制することができる。この方法は、加熱に伴い食品が軟化することにより引き起こされる食品の型崩れ又は煮崩れを抑制することを可能とする方法でもあり、このような観点からは、食品の型崩れ又は煮崩れを抑制する方法ということもできる。さらにこの方法は、軟化を抑制する対象となる食品が加熱前に有するシャキシャキ感、サクサク感といった好ましい食感を、加熱後も適度に保持することを可能とする方法でもあり、このような観点からは、食品の食感を保持する方法ということもできる。加えて、本実施形態に係る方法は、加熱後に過度な軟化が抑制された加熱食品、型崩れ又は煮崩れが抑制された加熱食品、又は、加熱前の食品の食感が保持された加熱食品を製造する方法であるということもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験例1:リンゴの加熱試験]
イソマルツロースの存在下でリンゴを加熱した場合の硬さ及び型崩れを評価した。まず、表1に示す組成に基づき3種類のシロップを調製し、各シロップのpHを3.7に調整した。次に、リンゴを略1/8等分のくし形切りにし、皮と芯を除去した。カットされたリンゴを、2個(約55g)ずつ延伸ナイロンフィルム/ポリプロピレン製の袋に入れ、更に、調製したシロップを、それぞれ、リンゴの質量の1.2倍量ずつ添加した。その後、袋を密閉して85℃の熱湯で15分間又は30分間ボイルして加熱することにより、実施例及び比較例に係る各リンゴ試料を得た。各実施例及び各比較例のリンゴ試料と調製条件との対応関係を、表2に示す。なお、試験に使用した水としては、家庭用浄水フィルターを通した水道水を用い、これは以下の全ての試験例において同様である。
Figure 0007080607000001
Figure 0007080607000002
(硬さ、型崩れの評価)
各実施例のリンゴ試料について、比較例のリンゴ試料と比較としたときの硬さ及び型崩れを、官能評価により評価した。表3に示す評価基準に基づいて、実施例1-1及び実施例1-2のリンゴ試料については、比較例1のリンゴ試料を比較対象とし、実施例2-1及び実施例2-2のリンゴ試料については、比較例2のリンゴ試料を比較対象として評価した。官能評価は6人のパネルにより実施され、得られた評価点の平均値を表4に示す。また、実施例及び比較例のリンゴ試料の外観写真を、図1に示す。
Figure 0007080607000003
Figure 0007080607000004
表4に示すように、イソマルツロースを含有しないシロップ3を使用した比較例1,2のリンゴ試料に比べて、イソマルツロースを含有するシロップ1又は2を使用した実施例1-1~2-2のリンゴ試料の方が、硬く好ましい歯ごたえがあり、型崩れしていないと評価された。加熱時間が15分である実施例1-1及び1-2よりも、加熱時間が30分である実施例2-1及び2-2の方が、比較例と実施例の差が大きい傾向であった。
[試験例2:ニンジンの加熱試験]
イソマルツロースの存在下でニンジンを加熱した場合の硬さ及び型崩れを評価した。まず、ニンジンを厚さ約1cmの輪切りにした。次に、表5に示す組成のゆで汁をそれぞれ800gずつ鍋に入れて蓋をして加熱し、沸騰したところで輪切りされたニンジンを6切れ(約90g)ずつ鍋に投入した。蓋をして更に加熱し、沸騰してから5分経過後、15分経過後、30分経過後にニンジンを2切れずつ引き上げることにより、実施例及び比較例に係るニンジン試料を得た。各実施例及び各比較例のニンジン試料と調製条件との対応関係を、表6~表7に示す。
Figure 0007080607000005
Figure 0007080607000006
Figure 0007080607000007
(硬さ、型崩れの評価)
試験例1と同様の方法により、ニンジン試料の硬さ及び型崩れを評価した。実施例3-1、実施例3-2及び比較例3-2のニンジン試料については、比較例3-1のニンジン試料を、実施例4-1、実施例4-2及び比較例4-2のニンジン試料については、比較例4-1のニンジン試料を、実施例5-1、実施例5-2、及び比較例5-2のニンジン試料については、比較例5-1のニンジン試料をそれぞれ比較対象として評価した。官能評価は5人のパネルにより実施され、得られた評価点の平均値を表8に示す。また、実施例及び比較例のニンジン試料の外観写真を、図2に示す。
Figure 0007080607000008
表8に示すように、イソマルツロースを含有しないゆで汁3を使用した比較例3-1、4-1、5-1のニンジンに比べて、イソマルツロースを含有するゆで汁1又は2を使用した実施例3-1~5-2のニンジンの方が、硬く好ましい歯ごたえがあり、型崩れしていないと評価された。比較例に対する実施例の硬さ及び型崩れの差は、加熱時間が長い方が大きい傾向であった。また、グラニュ糖も含有しない比較例3-2、4-2、5-2のニンジンは、より型崩れしやすい傾向にあった。また、ニンジン試料の外観を観察すると、各比較例のニンジンに比べて、各実施例のニンジンの方が、色が濃く見えた。
[試験例3:ジャガイモの加熱試験]
イソマルツロースの存在下でジャガイモを加熱した場合の硬さ及び型崩れを評価した。まず、皮のついたジャガイモを厚さ約1cmの輪切りにした。次に、上述した表5に示す組成のゆで汁をそれぞれ800gずつ鍋に入れて蓋をして加熱し、沸騰したところで輪切りされたジャガイモを5切れ(約135g)ずつ鍋に投入した。蓋をして更に加熱し、沸騰してから10分経過後に2切れ、25分経過後に3切れ引き上げることにより、実施例及び比較例に係るジャガイモ試料を得た。各実施例及び各比較例のジャガイモ試料と調製条件との対応関係を、表9に示す。
Figure 0007080607000009
(硬さ、型崩れの評価)
試験例1と同様の方法により、ジャガイモ試料の硬さ及び型崩れを評価した。実施例6-1、実施例6-2及び比較例6-2のジャガイモ試料については、比較例6-1のジャガイモ試料を、実施例7-1、実施例7-2及び比較例7-2のジャガイモ試料については、比較例7-1のジャガイモ試料をそれぞれ比較対象として評価した。官能評価は7人のパネルにより実施され、得られた評価点の平均値を表10に示す。また、実施例及び比較例のジャガイモ試料の外観写真を、図3に示す。
Figure 0007080607000010
表10に示すように、イソマルツロースを含有しないゆで汁3を使用した比較例6-1、7-1のジャガイモ試料に比べて、イソマルツロースを含有するゆで汁1又は2を使用した実施例6-1~7-2のジャガイモ試料の方が、硬く好ましい歯ごたえがあり、型崩れしていないと評価された。比較例に対する実施例の硬さ及び型崩れの差は、加熱時間が長い方が大きい傾向であり、リンゴ及びニンジンにおける差よりも大きい傾向であった。また、グラニュ糖も含有しない比較例6-2、7-2のジャガイモは、比較例6-1又は比較例7-1よりもやわらかく歯ごたえが感じられず、型崩れしやすい傾向であった。
[試験例4:ダイコンの加熱試験]
イソマルツロースの存在下でダイコンを加熱した場合の硬さ及び型崩れを評価した。まず、ダイコンを厚さ約1.5cmの輪切りにし、皮を剥いた。次に、上述した表5に示す組成のゆで汁をそれぞれ800gずつ鍋に入れて蓋をして加熱し、沸騰したところで輪切りされたダイコンを2切れ(約120g)ずつ鍋に投入した。蓋をして更に加熱し、沸騰してから15分経過後、30分経過後に1切れずつ引き上げることにより、実施例及び比較例に係るダイコン試料を得た。各実施例及び各比較例のダイコン試料と調製条件との対応関係を、表11に示す。
Figure 0007080607000011
(硬さ、型崩れの評価)
試験例1と同様の方法により、ダイコン試料を放射状に切断し、軸方向の硬さ、側面側の硬さ及び型崩れを評価した。実施例8-1、実施例8-2及び比較例8-2のダイコン試料については、比較例8-1のダイコン試料を、実施例9-1、実施例9-2及び比較例9-2のダイコン試料については、比較例9-1のダイコン試料をそれぞれ比較対象として評価した。官能評価は7人のパネルにより実施され、得られた評価点の平均値を表12に示す。また、実施例及び比較例のダイコン試料の外観写真を、図4に示す。
Figure 0007080607000012
表11に示すように、イソマルツロースを含有しないゆで汁3を使用した比較例8-1、9-1のダイコン試料に比べて、イソマルツロースを含有するゆで汁1又は2を使用した実施例8-1~9-2のダイコン試料の方が、硬く好ましい歯ごたえがあり、型崩れしていないと評価された。比較例に対する実施例の硬さ及び型崩れの差は、加熱時間が長い方が大きい傾向であり、切り口面の中心部から採取した一部分よりも、側面部から採取した一部分の方が大きい傾向であった。また、ゆで汁1を使用した実施例8-1、9-1のダイコン試料よりも、ゆで汁2を使用した実施例8-2、9-2のダイコン試料の方が、より硬く好ましい傾向であった。
[試験例5:カボチャの加熱試験]
イソマルツロースの存在下でカボチャを加熱した場合の硬さ及び型崩れを評価した。まず、カボチャを二等分してから、図5(a)に示す形状になるように8等分した。次に、上述した表5に示す組成のゆで汁をそれぞれ1000gずつ鍋に入れて蓋をして加熱し、沸騰したところでカットしたカボチャを2切れ(約80g)ずつ鍋に投入した。蓋をして更に加熱し、沸騰してから15分経過後に引き上げることにより、実施例及び比較例に係るカボチャ試料を得た。各実施例及び各比較例のカボチャ試料と調製条件との対応関係を、表13に示す。
Figure 0007080607000013
(硬さ、型崩れの評価)
試験例1と同様の方法により、カボチャ試料の硬さを評価した。実施例10-1、実施例10-2及び比較例10-2のカボチャ試料における、実の部分及び皮の部分の硬さについて、比較例10-1のカボチャ試料を比較対象として評価した。官能評価は7人のパネルにより実施され、得られた評価点の平均値を表14に示す。また、目視による観察により、カボチャ試料の型崩れを評価した。実施例及び比較例のカボチャ試料の外観写真を、図5(b)に示す。
Figure 0007080607000014
表14に示すように、イソマルツロースを含有しないゆで汁3を使用した比較例10-1のカボチャ試料に比べて、イソマルツロースを含有するゆで汁1又は2を使用した実施例10-1、10-2のカボチャ試料の方が、硬く好ましい歯ごたえがあると評価された。比較例に対する実施例の硬さの差は、実の部分よりも、皮の部分の方が大きい傾向であった。型崩れに関して、加熱中、比較例10-2のカボチャ試料では、早い段階から実が皮から外れ、ゆで汁にカボチャの実が溶け出していた。図5(b)に示すように、比較例10-1のカボチャ試料は、比較例10-2よりは型崩れが抑えられたが、実施例10-1及び10-2のカボチャにおいては、型崩れがより一層抑えられていた。
[試験例6:バナナの加熱試験]
イソマルツロースの存在下でバナナを加熱した場合の硬さ及び型崩れを評価した。まず、表15に示す組成に基づき3種類のシロップを調製し、シロップのpHを3.7に調整した。次に、バナナの皮を除去し、両端を切り落とした後、1/3にカットした。カットされたバナナ(約30g)を延伸ナイロンフィルム/ポリプロピレン製の袋に入れ、更に、調製したシロップを、それぞれ、バナナの質量の1.5倍量添加した。その後、袋を密閉して85℃の熱湯で10分間又は15分間ボイルして加熱することにより、実施例及び比較例に係る各バナナ試料を得た。各実施例及び各比較例のバナナ試料と調製条件との対応関係を、表16に示す。
Figure 0007080607000015
Figure 0007080607000016
(硬さ、型崩れの評価)
各実施例のバナナ試料について、比較例のバナナ試料と比較としたときの硬さ及び型崩れを、官能評価により評価した。表3に示す評価基準に基づいて、実施例11-1、実施例11-2及び比較例11-2のバナナ試料については、比較例11のリンゴ試料を比較対象とし、実施例12-1、実施例12-2及び比較例12-2のバナナ試料については、比較例12のバナナ試料を比較対象として評価した。官能評価は6人のパネルにより実施され、得られた評価点の平均値を表17に示す。
Figure 0007080607000017
表17に示すように、イソマルツロースを含有しないシロップ6を使用した比較例11、12のバナナ試料に比べて、イソマルツロースを含有するシロップ4又は5を使用した実施例11-1~12-2のバナナ試料の方が、硬く好ましい歯ごたえがあり、型崩れしていないと評価された。
[試験例7:黒煮豆の調製試験]
イソマルツロースの存在下で黒煮豆を調製した場合の、黒豆の硬さ及び型崩れを評価した。表18に示す組成に基づき、以下の手順で黒煮豆を調製した。まず、水洗いした黒豆、水、塩を鍋に入れ、一晩静置して水戻しをした。この鍋に、グラニュ糖及びイソマルツロース、黒豆の色調を向上させるための鉄材を入れ、紙タオルをかぶせてその上に落とし蓋を乗せた。鍋に蓋をしてから強火で加熱し、沸騰してから弱火にして4時間加熱した。最後に醤油を加えて火を止め、蓋をした状態で冷却させた。
Figure 0007080607000018
(硬さ、型崩れの評価)
試験例1と同様の方法により、黒煮豆の硬さを評価した。実施例13の黒煮豆の実の部分及び皮の部分の硬さについて、比較例13の黒煮豆を比較対象として評価した。官能評価は8人のパネルにより実施され、得られた評価点の平均値を表19に示す。実施例及び比較例の黒煮豆の外観写真を、図6に示す。
Figure 0007080607000019
表19に示すように、イソマルツロースを含有しない比較例13の黒煮豆に比べて、イソマルツロースを含有する実施例13の黒煮豆の方が、硬く好ましい歯ごたえがあると評価された。比較例に対する実施例の硬さの差は、実の部分よりも、皮の部分の方が大きい傾向であった。また、官能評価においては、実施例13の黒煮豆の方が、比較例13の黒煮豆よりも豆の風味が強いという評価も得られた。実施例13と比較例13の黒煮豆の外観を比較すると、実施例13の黒煮豆の方が、赤みを帯びていた。
以上の各試験例の結果より、食品を加熱する場合には、イソマルツロースの存在下で加熱する方が、グラニュ糖の存在下で加熱するよりも好ましい歯ごたえを感じられる硬さがあり、型崩れしにくくなることが分かった。特に、ジャガイモ、カボチャ等、デンプン質の野菜において、その効果が顕著である傾向であった。グラニュ糖の半量をイソマルツロースに置き換えることにより、グラニュ糖の全量をイソマルツロースに置き換えた場合と同程度又は同程度に近い効果がみられ、黒煮豆では、グラニュ糖の含有量のうち20質量%をイソマルツロースに置き換えることにより、黒豆の軟化抑制効果がみられた。また、イソマルツロースはグラニュ糖よりも低甘味であるため、イソマルツロースを使用することにより加熱食品の甘さを抑え、素材の味を引き立てる効果も得られると考えられる。

Claims (2)

  1. イソマルツロースを含有する、食品の軟化抑制剤であって、前記食品が野菜類、果実類、イモ類、又は豆類のいずれかである、前記軟化抑制剤
  2. 請求項1に記載の軟化抑制剤の存在下で食品を加熱する工程を備え、前記食品が野菜類、果実類、イモ類、又は豆類のいずれかである、前記食品の軟化を抑制する方法。
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