JP7080350B2 - 光学部材用環状オレフィン共重合体組成物、および成形体 - Google Patents

光学部材用環状オレフィン共重合体組成物、および成形体 Download PDF

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Description

本発明は、光学部材用環状オレフィン共重合体、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物、および成形体に関する。
近年、携帯電話や自動車用カメラレンズをはじめとする光学材料において、ガラス代替となる光学特性に優れた樹脂の開発が進んでいる。また、ガラス代替樹脂の中でもPC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)といった樹脂に比べて吸水が低く、寸法変化の少ない環状オレフィン開環重合体水素化物や環状オレフィン付加共重合体が着目されている。
例えば、環状オレフィン開環重合体水素化物について、特許文献1や特許文献2には、テトラシクロドデセンとノルボルネン化合物由来のモノマーを開環メタセシス重合することで高屈折、耐黄変性、成形性に優れる樹脂について述べられている。また、特許文献3には、3員環のシクロペンテンモノマーを開環メタセシス重合することで破断強度が良好な樹脂を得られると述べられている。特許文献4には、芳香環が1モル当量/200g以上であり、重量平均分子量が25000~45000であるノルボルネン系樹脂からなる精密光学レンズは、厚みが小さくても、成形性と機械的強度とに優れると述べられている。また、環状オレフィン開環重合体水素化物の製造について、特許文献5には、3環以上の多環式ノルボルネン系単量体を重合してなる重合体中の脂肪族性炭素-炭素二重結合を、特定の水素化触媒を用いて水素化することを特徴とする重合体水素化物の製造方法が述べられている。
特開2007-137935号公報 国際公開第2016/052302号公報 国際公開第2017/051819号公報 特開2007-206363号公報 特開2006-063141号公報
しかし、本発明者らの検討によれば、上記開示された技術によっては、ガラス転移温度が高く、かつ、屈折率が高い成形体を得ることが可能な環状オレフィン共重合体を得ることはできなかった。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、ガラス転移温度が高く、屈折率が高く、複屈折量が小さく、かつ、熱による変色が少ない成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体を提供するものである。
本発明者らは鋭意検討を行ったところ、芳香環を有する特定の構造単位(A)を含む環状オレフィン共重合体により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明によれば、以下に示す光学部材用環状オレフィン共重合体、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物、及び、成形体が提供される。
[1]
芳香環を有する環状オレフィン共重合体であって、
下記(III)の構造単位(A)を含む、光学部材用環状オレフィン共重合体。
Figure 0007080350000001
(上記式(III)中、nは0、1または2であり、mは1、2または3であり、R55~R68はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またm=1のときR65とR67、R67とR68、R68とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またm=2または3のときR65とR65、R65とR67、R67とR68、R68とR66、R66とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
[2]
[1]に記載の環状オレフィン共重合体において、
前記構造単位(A)の含有量が0.2モル%以上100モル%以下である光学部材用環状オレフィン共重合体。
[3]
[1]または[2]に記載の環状オレフィン共重合体において、
さらに、炭素原子数が2~20のオレフィン由来の構造単位(B)を含む、光学部材用環状オレフィン共重合体。
[4]
[3]に記載の環状オレフィン共重合体において、
前記構造単位(B)が、脂環構造を有する、光学部材用環状オレフィン共重合体。
[5]
[3]または[4]に記載の環状オレフィン共重合体において、
前記構造単位(A)と前記構造単位(B)の合計含有量を100モル%としたとき、前記環状オレフィン共重合体中の前記構造単位(A)の含有量が0.5モル%以上100モル%以下である、光学部材用環状オレフィン共重合体。
[6]
[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の環状オレフィン共重合体において、
示差走査熱量計(DSC)で測定される、前記環状オレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上200℃以下である、光学部材用環状オレフィン共重合体。
[7]
[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の環状オレフィン共重合体において、
前記環状オレフィン共重合体からなる厚さ3.0mmの射出成形シートを作成した時、当該射出成形シートの波長589nmにおける屈折率が1.534以上1.590以下である、光学部材用環状オレフィン共重合体。
[8]
[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の環状オレフィン共重合体において、
前記環状オレフィン共重合体からなる厚さ3.0mmの射出成形シートを作成した時、当該射出成形シートのアッベ数(ν)30以上55以下である、光学部材用環状オレフィン共重合体。
[9]
[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の環状オレフィン共重合体において、
前記構造単位(A)が、ベンゾノルボルナジエンを由来とする、光学部材用環状オレフィン共重合体。
[10]
[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の光学部材用環状オレフィン共重合体を含む光学部材用環状オレフィン共重合体組成物。
[11]
[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の光学部材用環状オレフィン共重合体を含む成形体。
[12]
光学レンズである[11]に記載の成形体。
本発明によれば、ガラス転移温度が高く、屈折率が高く、複屈折量が小さく、かつ、熱による変色が少ない成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物、および成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では、数値範囲を示す「A~B」はとくに断りがなければ、A以上B以下を表す。
[環状オレフィン共重合体]
まず、本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体(P)について説明する。
本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体(P)は、芳香環を有する環状オレフィン共重合体であって、構造単位(A)を含む環状オレフィン共重合体である。本発明の光学部材用環状オレフィン共重合体によれば、芳香環を有する構造単位(A)を含むことによって、一般に光学部材に求められる特性を備え、かつ、ガラス転移温度が高く、屈折率が高い成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体となる。
なお、本願発明に係る環状オレフィン共重合体(P)は、光学部材用の環状オレフィン共重合体(P)であり、上記の一般に光学部材に求められる特性とは具体的には、成形時の成形性の良さ、その成形体が高い透明性と適度なアッベ数、密度を有すること等を意味する。
以下、光学部材用環状オレフィン共重合体を単に環状オレフィン共重合体とも称する。
以下、本実施形態に係る構造単位(A)について説明する。
本実施形態に係る構造単位(A)は下記(III)の構造単位を含む。
Figure 0007080350000002
上記式(III)中、nは0、1または2であり、mは1、2または3である。R55~R68はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。またm=1のときR65とR67、R67とR68、R68とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またm=2または3のときR65とR65、R65とR67、R67とR68、R68とR66、R66とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
また、炭素原子数1~20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
なお、上記一般式(III)は、それぞれの共鳴構造も含む。
これらの中でも、本実施形態に係る構造単位(A)は、例えば、ベンゾノルボルナジエンを由来とする構造単位であることが好ましい。
なお、ベンゾノルボルナジエンを由来とする構造単位は、具体的には以下の式(A-3)で表される構造単位を意味する。
すなわち、本実施形態に係る構造単位(A)は、下記式(A-3)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 0007080350000003
(炭素原子数が2~20のオレフィン由来の構造単位(B))
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体は、炭素原子数が2~20のオレフィン由来の構造単位(B)を含むこともできる。構造単位(B)は芳香環を有さない環状オレフィン由来の構造単位とすることができる。
上記構造単位(B)は、脂環構造を有することが好ましい。構造単位(B)が脂環構造を有することで、ガラス転移温度が高く、かつ、屈折率が高い成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体とすることができる。
また、上記構造単位(B)は、5員環の脂環構造を有することがより好ましい。構造単位(B)を5員環の脂環構造を有する構造単位とすることで、構造単位(A)を形成する反応に要する時間と、構造単位(B)を形成する反応に要する時間とを同程度にすることができるため、構造単位(A)及び構造単位(B)を有する環状オレフィン共重合体を効率的に製造することができ、生産の都合上好ましい。
本実施形態に係る構造単位(B)としては、ガラス転移温度が高く、かつ、屈折率が高い成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体とする観点から下記式(B-1)で示される化合物由来の構造単位を含むことが好ましい。
Figure 0007080350000004
(上記式[B-1]中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R~R18ならびにRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ、該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。ただし、芳香環を含まない。)
これらの中でも、本実施形態に係る構造単位(B)としては、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(略称:NB)に由来する構造単位、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(略称:TD)に由来する構造単位、ヘキサシクロ[6,6,1,13,6,110,13,02,7,09,14]ヘプタデセン-4に由来する構造単位、エチルノルボルネン(略称:ENB)に由来する構造単位、ジシクロペンタジエン(略称:DCPD)に由来する構造単位、DCPDの水素化物に由来する構造単位およびトリシクロウンデセン(略称;TCU、1,4,4a,5,6,7,8,8a-Octahydro-1,4-methanonaphthalene)に由来する構造単位等から選択される少なくとも一種の構造単位を含むことが好ましく、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンに由来する構造単位およびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンに由来する構造単位から選択される少なくとも一種の構造単位を含むことがより好ましく、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンに由来する構造単位を含むことが特に好ましい。
なお、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンを由来とする構造単位は、具体的には以下の式(B-2)で表される構造単位を意味する。すなわち、本実施形態に係る構造単位(B)は、下記式(B-2)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 0007080350000005
また、DCPDを由来とする構造単位は、具体的には以下の式(B-3)または式(B-4)で表される構造単位を意味する。
Figure 0007080350000006
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)において、上記の構造単位(A)の含有量は0.2モル%以上100モル%以下であることが好ましく、3モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、8モル%以上80モル%以下であることがさらに好ましい。
また、環状オレフィン共重合体(P)において、上記構造単位(A)と上記構造単位(B)の合計含有量を100モル%としたとき、上記環状オレフィン共重合体中の上記構造単位(A)の含有量が0.5モル%以上100モル%以下であることが好ましく、3モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、8モル%以上80モル%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、構造単位(A)及び構造単位(B)の含有量は、例えば、H-NMRまたは13C-NMRによって測定することができる。
環状オレフィン共重合体(P)に含まれる各構造単位の含有量を上記数値範囲内とすることによって、ガラス転移温度が高く、かつ、屈折率が高い成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体とすることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)において、芳香環の含有量は0.01モル%以上71モル%以下であることが好ましく、0.1モル%以上65モル%以下であることがより好ましく、0.2モル%以上60モル%以下であることがさらに好ましい。芳香環の含有量は、H-NMRで検出された全ての水素由来のピークの合計面積に対する、芳香環由来の水素のピーク(6.7~7.3ppm)のピーク面積を計算することで求められる。
環状オレフィン共重合体(P)に含まれる芳香環の含有量を上記数値範囲内とすることによって、ガラス転移温度が高く、かつ、屈折率が高い成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体とすることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)の共重合タイプは特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げることができる。本実施形態においては、ガラス転移温度が高く、かつ、屈折率が高い成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体とする観点から、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)としてはランダム共重合体であることが好ましい。
[環状オレフィン共重合体の製造方法]
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)の製造方法は、上記(III)の構造単位(A)を含む環状オレフィン共重合体を得ることができれば特に制限されないが、例えば、まず、前駆体ポリマーを得る工程(前駆体ポリマー重合工程)、得られた前駆体ポリマーに部分水添する工程(部分水添工程)ことによって得ることができる。
すなわち、環状オレフィン開環重合体の製造においては水添工程を行うことが一般的である。また、水添工程を経る場合、原料モノマーや中間体となる前駆体ポリマーが芳香環(例えばベンジル基)を有していたとしても、該水添工程において、ベンジル基がシクロヘキサン基に還元してしまうため、得られる環状オレフィン共重合体には芳香環が残らなかった。本発明に係る環状オレフィン共重合体(P)は、例えば、原料としてベンジル官能基を有するモノマーを使用し、かつ、部分水添を実施し、主鎖に環状オレフィン共重合体、側鎖にベンジル基を有する特定の構造単位(A)を含む環状オレフィン共重合体を得ることによって、ガラス転移温度が高く、かつ、屈折率が高い成形体を得ることが可能な光学部材用環状オレフィン共重合体を実現することができるものと考えられる。
[前駆体ポリマー重合工程]
本実施形態に係る前駆体ポリマーは、例えば、特開昭60-168708号公報、特開昭61-120816号公報、特開昭61-115912号公報、特開昭61-115916号公報、特開昭61-271308号公報、特開昭61-272216号公報、特開昭62-252406号公報、特開昭62-252407号公報、特開2007-314806号公報、特開2010-241932号公報等の方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
[部分水添工程]
得られた前駆体ポリマーに部分水添する方法は、例えば、StephenF.Hahn,
An Improvemnet Method for the Diimide Hydrogenation of Butadiene and Isoprene Containing Polymers,Journal of Polymer Science PartA:polymerChemistry,30(3)1992に記載の方法や、パラジウムカーボン触媒を用いた高圧水添を挙げることができる。
示差走査熱量計(DSC)で測定される、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)のガラス転移温度(Tg)は、得られる成形体の透明性を良好に保ちつつ、耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以上200℃以下であり、より好ましくは100℃以上190℃以下、さらに好ましくは110℃以上180℃以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、例えば0.05~5.0dl/gであり、好ましくは0.1~4.0dl/gであり、さらに好ましくは0.2~2.0dl/g、特に好ましくは0.3~1.0dl/gである。
極限粘度[η]が上記下限値以上であると、成形体の機械的強度を向上させることができる。また、極限粘度[η]が上記上限値以下であると、成形性を向上させることができる。
[環状オレフィン共重合体組成物]
本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体組成物は本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体(P)を含み、必要に応じて、光学部材用環状オレフィン共重合体(P)以外のその他の成分を含んでもよい。なお、本実施形態において、本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体組成物が光学部材用環状オレフィン共重合体(P)のみしか含まない場合も光学部材用環状オレフィン共重合体組成物と呼ぶ。
また、本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体組成物中の光学部材用環状オレフィン共重合体(P)の含有量は、得られる成形体の透明性、耐熱性、および、密度の性能バランスをより向上させる観点から、当該光学部材用環状オレフィン共重合体組成物の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体組成物は、光学部材用環状オレフィン共重合体(P)を上記の比率で含むことにより、ガラス転移温度が高く、かつ、屈折率が高い成形体を得ることが可能となる。
(その他の成分)
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体組成物には、必要に応じて、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、親水安定剤、金属不活性化剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体組成物は、必要に応じて、ヒンダードアミン系化合物[C]を含んでもよい。
ヒンダードアミン系化合物[C](以下、単に、化合物[C]、あるいは、[C]とも表記する)としては、ヒンダードアミン構造(具体的には、以下の式(b1)で表される部分構造)を、1つまたは2つ以上有する化合物を適宜用いることができる。
式(b1)中、*は、他の化学構造との結合手を表す。
Figure 0007080350000007
化合物[C]として具体的には、公知のヒンダードアミン系光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizers:略称HALS)として知られている化合物などを用いることができる。
化合物[C]としては、例えば、国際公開第2006/112434号の段落0058~0082に記載のヒンダードアミン系化合物、国際公開第2008/047468号の段落0124~0186に記載のヒンダードアミン系化合物、国際公開第2008/047468号の段落0187~0226に記載のピペリジン誘導体またはその塩、特開2006-321793号公報に記載のポリアミン誘導体またはその塩などを例示することができる。
また、Chimassorb 2020、Chimassorb 944、Tinuvin 622、Tinuvin PA144 Tinuvin 765、Tinuvin 770(以上、BASF社製)、Cyasorb UV-3853、Cyasorb UV-3529、Cyasorb UV-3346、Cyasorb UV-531(以上、Cytec社製)、アデカスタブ LA-52、アデカスタブ LA-57、アデカスタブ LA-63P、アデカスタブ LA-68、アデカスタブ LA-72、アデカスタブ LA-77Y、アデカスタブ LA-81、アデカスタブ LA-82、アデカスタブ LA-87(以上、ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。
本実施形態では、化合物[C]は、以下一般式(b2)で表される構造単位を有する化合物であることが好ましい。
この化合物は、典型的にはポリマーまたはオリゴマーである。この化合物のような、ポリマーまたはオリゴマーである化合物[C]を用いることで、環状オレフィン共重合体(P)との相溶性を高められ、組成物をより均一にすることができると考えられる。また、照射により特性吸収を有するような構造に変化しにくいと考えられる。これにより、電子線あるいはガンマ線照射による変色をより少なくし、また、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生をより少なくできると考えられる。
Figure 0007080350000008
一般式(b2)において、XおよびXは、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。
およびXの2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、これらの基が連結された基、などを挙げることができる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、炭素数1~6のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基がより好ましい。
一般式(b2)で表される構造単位を有する化合物については、市販品を用いてもよいし、対応するジオールおよびジカルボン酸などを縮重合させることで得てもよい。
化合物[C]については、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
組成物中の化合物[C]の含有量は、環状オレフィン共重合体(P)の含有量を100質量部としたとき、例えば0.01~2.0質量部、好ましくは0.05~1.5質量部、より好ましくは0.10~1.0質量部である。この範囲とすることで、他の性能(例えば成形性や機械強度など)を維持しつつ、電子線あるいはガンマ線照射による変色、ラジカルの発生などを効果的に低減することができる。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体組成物は、必要に応じて、リン系化合物[D]を含んでもよい。
使用可能なリン系化合物[D](以下、単に、化合物[D]、または、[D]とのみ表記することもある)については、特に制限は無い。例えば、公知のリン系酸化防止剤を用いることができる。
リン系酸化防止剤としては、特に制限はなく、従来公知のリン系酸化防止剤(例えば、ホスファイト系酸化防止剤)を用いることができる。
具体的には、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物;4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシルホスファイト)、4,4'-イソプロピリデン-ビス(フェニル-ジ-アルキル(C12~C15)ホスファイト)、4,4'-イソプロピリデン-ビス(ジフェニルモノアルキル(C12~C15)ホスファイト)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリデシルホスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジメチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。
好ましく用いられる化合物[D]は、3価の有機リン化合物である。より具体的には、化合物[D]は、亜リン酸(P(OH))の3つの水素原子が、各々同一または異なる有機基で置換された構造を有する化合物である。
より具体的には、化合物[D]は、好ましくは、下記一般式(c1)、(c2)または(c3)で表される化合物である。
Figure 0007080350000009
一般式(c1)、(c2)および(c3)中、
は、複数ある場合はそれぞれ独立に、アルキル基を表し、
は、複数ある場合はそれぞれ独立に、芳香族基を表し、
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、
Xは、単結合または2価の連結基を表す。
のアルキル基は、好ましくは炭素数1~10であり、より好ましくはt-ブチル基である。
の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、これらがアルキル基等で置換された基などが挙げられる。
の炭素数は、好ましくは1~30、より好ましくは3~20、さらに好ましくは6~18である。
として好ましくはアリール基またはアラルキル基であり、より好ましくはアラルキル基である。これらアリール基またはアラルキル基は、さらに置換基(例えば、炭素数1~6のアルキル基やヒドロキシ基など)で置換されていてもよい。
Xが2価の連結基である場合、その具体例としては、アルキレン基(メチレン基など)やエーテル基(-O-)などが挙げられる。Xとして好ましくは単結合である。
化合物[D]については、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
組成物中の化合物[D]の含有量は、環状オレフィン共重合体(P)の量を100質量部としたとき、例えば0.01~1.5質量部、好ましくは0.02~1.0質量部、より好ましくは0.05~0.5質量部である。この範囲とすることで、他の性能(例えば成形性や機械強度など)を維持しつつ、電子線あるいはガンマ線照射による変色、ラジカルの発生などを効果的に低減することができる。
一方、別観点として、環状オレフィン共重合体(P)の量を100質量部としたとき、リン系化合物[D]の含有量は、環状オレフィン共重合体(P)の含有量を100質量部としたとき、好ましくは0.05質量部未満、より好ましくは0.03質量部以下、さらに好ましくは0.02質量部以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体組成物は、必要に応じて、耐候安定剤として、フェノール系安定剤を含んでもよい。
フェノール系安定剤としては、例えば、3,3',3",5,5',5"-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a"-(メチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系安定剤;2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-(1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等の特開昭63-179953号公報や特開平1-168643号公報に記載されるアクリレート系フェノール化合物;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデン-ビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、3,9-ビス(2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル-テトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート)、トコフェノール等のアルキル置換フェノール系化合物;6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、2-オクチルチオ-4,6-ビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物;等が挙げられる。
フェノール系安定剤の含有量は、環状オレフィン共重合体(P)の含有量を100質量部としたとき、好ましくは0.05質量部未満、より好ましくは0.03質量部以下、さらに好ましくは0.02質量部以下である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体組成物は、環状オレフィン共重合体(P)およびその他の成分を、押出機およびバンバリーミキサー等の公知の混練装置を用いて溶融混練する方法;環状オレフィン共重合体(P)およびその他の成分を共通の溶媒に溶解した後、溶媒を蒸発させる方法;貧溶媒中に環状オレフィン共重合体(P)およびその他の成分の溶液を加えて析出させる方法;等の方法により得ることができる。
[成形体]
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体(P)を含む成形体である。
また、本実施形態に係る成形体中の光学部材用環状オレフィン共重合体(P)の含有量は、上記の成形体の性能バランスをより向上させる観点から、当該成形体の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
本実施形態に係る成形体は、環状オレフィン共重合体(P)を含む樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得ることができる。環状オレフィン共重合体(P)を含む樹脂組成物を成形して成形体を得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。その用途および形状にもよるが、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、パウダースラッシュ成形、カレンダー成形、発泡成形等が適用可能である。これらの中でも、成形性、生産性の観点から射出成形法が好ましい。また、成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150℃~400℃、好ましくは200℃~350℃、より好ましくは230℃~330℃の範囲で適宜選択される。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)において、環状オレフィン共重合体(P)からなる成形体を作製したとき、JIS K7112に基づき、23℃で、水中置換法で測定した密度は、好ましくは1.010g/cm以上、1.090g/cm以下、より好ましくは1.020g/cmを超え、1.090g/cm以下、さらに好ましくは1.030g/cm以上1.090g/cm以下、さらにより好ましくは1.040g/cm以上1.090g/cm以下である。
また、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)において、得られる成形体の透明性をより向上させる観点から、環状オレフィン共重合体(P)からなる厚さ3.0mmの射出成形シートを作製したとき、JIS K7136に準拠して測定される上記射出成形シートのヘイズが好ましくは5%未満である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)において、環状オレフィン共重合体(P)からなる厚さ3.0mmの射出成形シートを作製したとき、ASTM D542に準じて測定される上記射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)は好ましくは1.534以上1.590以下であり、好ましくは1.538以上1.590以下であり、より好ましくは1.540以上1.590以下である。

屈折率が上記範囲内であると、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)を用いて得られる成形体の光学特性を良好に保ちつつ、厚みをより薄くすることができる。
光学部材において、光学設計上、屈折率の制御は精密さが要求され、小数点以下3桁目さらに4桁目まで制御することがある。本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)において、要求する屈折率に精密に制御することができる。
また、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)において、得られる成形体のアッベ数(ν)をより適した範囲に調整する観点から、環状オレフィン共重合体(P)からなる厚さ3.0mmの射出成形シートを作製したとき、上記射出成形シートのアッベ数(ν)は、好ましくは30以上55以下、より好ましくは33以上53以下、さらに好ましくは35以上51以下である。
上記射出成形シートのアッベ数(ν)は、当該射出成形シートの23℃下での波長486nm、589nmおよび656nmの屈折率から、下記式を用いて算出することができる。
ν=(nD-1)/(nF-nC)
nD:波長589nmでの屈折率
nC:波長656nmでの屈折率
nF:波長486nmでの屈折率
また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体(P)において、得られる成形体の複屈折量をより適した範囲に調整する観点から、環状オレフィン系共重合体(P)からなる厚さ3.0mmの射出成形シートを作製したとき、上記射出成形シートの複屈折量は、好ましくは-20nm以上20nm以下である。
本実施形態において、上記射出成形シートの複屈折量は、フォトニックラティス社製ワイドレンジ複屈折評価システムWPA-200を用いて、測定波長523nm、543nm、575nmで測定した位相差の平均値である。
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係る光学部材用環状オレフィン共重合体(P)を含むため、成形時の成形性の良さ、高い透明性と適度なアッベ数、密度を有することに加え、優れた耐熱性、および、高い屈折率を有する成形体となる。そのため、光学部材用途に好適である。本実施形態に係る成形体は、例えば光学レンズとすることができる。
光学部材用途としては、例えば、眼鏡レンズ、fθレンズ、ピックアップレンズ、撮像用レンズ、各種センサー用のレンズ、プリズム、導光板、車載カメラレンズ等の光学レンズとして好適に用いることができ、高い屈折率を有しつつ、従来の樹脂材料よりも低いアッベ数を示すため、撮像用レンズとして特に好適に用いることができる。
本実施形態に係る成形体は、レンズ形状、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状等の種々の形態で使用することができる。
本実施形態に係る光学レンズは、上記光学レンズとは異なる光学レンズと組み合わせて光学レンズ系としてもよい。
すなわち、本実施形態に係る光学レンズ系は、本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)を含む成形体により構成された第1の光学レンズと、上記第1の光学レンズとは異なる第2の光学レンズと、備える。
上記第2の光学レンズとしては特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリオレフィン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂やガラスにより構成された光学レンズを用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。
<環状オレフィン共重合体の製造>
まず、以下の方法で、環状オレフィン共重合体の前駆体ポリマーを得た。
[製造例1]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にテトラシクロドデセン8.7mlとベンゾノルボルナジエン(以下式(3)参照、以下BNBDとも称する)6.7mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRTD-BNBD50と呼称する。
[製造例2]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にテトラシクロドデセン8.7mlとベンゾノルボルナジエン(以下式(3)参照、以下BNBDとも称する)0.2mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRTD-BNBD1と呼称する。
[製造例3]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にベンゾノルボルナジエン16mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRBNBDと呼称する。
[製造例4]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にテトラシクロドデセン(テトラシクロ[6.2.1.1(3,6).0(2,7)]ドデカ-4-エン、以下式(1)参照)17.3mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRTDと呼称する。
[製造例5]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にテトラシクロドデセン15.6mlと、インデンノルボルネン(1,4,4a,9aテトラヒドロ1,4メタノフルオレン、以下式(2)参照、以下IndNBとも称する)1.9mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRTD-IndNB10と呼称する。
[製造例6]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にテトラシクロドデセン13.9mlとインデンノルボルネン3.8mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRTD-IndNB20と呼称する。
[製造例7]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にテトラシクロドデセン8.7mlとインデンノルボルネン9.4mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRTD-IndNB50と呼称する。
[製造例8]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にインデンノルボルネン16mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50°まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRIndNBと呼称する。
[製造例9]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器に、テトラシクロドデセン8.7mLと、メチルフェニルノルボルネン(以下式(4)参照、以下MePhNBとも称する)8.0mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマ―13gを得た。以下このポリマーのことをRTD-MPNB50と呼称する。
[製造例10]
十分に窒素置換された500mlガラス反応器にメチルフェニルノルボルネン(以下式(4)参照、以下MePhNBとも称する))16mlと脱水トルエン140ml、ヘキサジエン0.11mlを入れ、50℃まで昇温して攪拌する。触媒としてGrubbs CatalystTM2nd Generationを5.9mg入れ、攪拌しながら反応させる。10分後、ブチルアルデヒドを1ml滴下して反応を終了させる。
反応後に得られた溶液約150mlをアセトン1400mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。以下このポリマーのことをRMPNBと呼称する。
Figure 0007080350000010
Figure 0007080350000011
Figure 0007080350000012
Figure 0007080350000013
以上の方法で表1記載の前駆体ポリマーを得た。続いて、得られた前駆体ポリマーを以下の方法で部分水添又は全水添した。
(実施例1)
[環状オレフィンポリマーP-1の製造(部分水添)]
十分に窒素置換した1Lガラス反応器にRTD-BNBD50を13gとo-キシレン600mlを入れて溶解、攪拌しながら140℃まで昇温し、還流させた。次いで、p-トルエンスルホニルヒドラジド30.5gとトリ-n-プロピルアミン23.4gを入れて反応を開始した。反応開始から4時間後、温度を常温まで下げて反応を終了し、反応溶液約600mlを得た。上述の製造例と同様に、本反応溶液をアセトン1800mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。
本ポリマーをNMRで観測すると芳香環は残っているが、その他の二重結合が殆どなくなっていた。
(実施例2~3、比較例1~6)
[環状オレフィンポリマーP-2~P-9の製造]
RTD-BNBD50に代えて、表1に記載のポリマーを用いた以外は環状オレフィンポリマーP-1の製造と同様に、部分水添工程を実施し、環状オレフィンポリマーP-2~P-9を得た。環状オレフィンポリマーP-2~P-9について、環状オレフィンポリマーP-1と同様にNMRで観測すると芳香環は残っているが、その他の二重結合が殆どなくなっていた。
(比較例7)
[環状オレフィンポリマーP-10の製造(全水添)]
十分に窒素置換したオートクレーブに、RTDを13gとシクロヘキサン277g、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.08g、エチルビニルエーテル4.7gを入れ、水素圧8気圧をかけ、120°まで昇温して10時間反応を行った。
上述の製造例と同様に、本反応溶液をアセトン1800mlに滴下して晶析し、キリヤマ濾紙(5B)で濾過、80℃で減圧乾燥させることでポリマー13gを得た。
本ポリマーをNMRで観測すると芳香環やその他の二重結合が殆どなくなっていた。
(比較例8~11)
[環状オレフィンポリマーP-11~P-14の製造]
RTDに代えて、表1に記載のポリマーを用いた以外は環状オレフィンポリマーP-10の製造と同様に、水添工程(全水添)を実施し、環状オレフィンポリマーP-11~P-14を得た。環状オレフィンポリマーP-11~P-14について、環状オレフィンポリマーP-10と同様にNMRで観測すると芳香環やその他の二重結合が殆どなくなっていた。
(環状オレフィンポリマーの評価)
[極限粘度]
極限粘度([η])は、135℃、デカリン中で測定した。
具体的には、樹脂(約20mg)をデカリン溶媒(15ml)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5ml)を追加して希釈し、その後、前述のやり方と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、サンプルの濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値を極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
[ガラス転移温度Tg(℃)]
以下の条件でDSC測定を行い求めた。
・装置:エスアイアイナノテクノロジー社製、DSC7000
・測定条件:窒素雰囲気下、室温から10℃/分の昇温速度で260℃まで昇温した後に5分間保持した。次いで、10℃/分の降温速度で30℃まで降温した後に5分保持した。その後、10℃/分の昇温速度で260℃まで昇温する過程のDSC曲線を取得した。
得られたDSC曲線において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度を、ガラス転移温度とした。
H-NMR測定]
以下の方法で、環状オレフィンポリマーのH-NMR測定を行い、芳香環の有無、二重結合の有無を確認した。
日本電子株式会社製H-NMRで0.5ppm~8ppmの測定を行い、芳香環由来の水素のピーク(6.7~7.3ppm)の有無、その他の二重結合由来のピークの有無を確認した。
また、以下の方法で、構造単位(A)と構造単位(B)の合計含有量を100モル%としたときの環状オレフィン共重合体中の上記構造単位(A)の含有量、環状オレフィン共重合体中の芳香環含有量を算出した。
日本電子株式会社製H-NMRで0.5ppm~8ppmに検出された全ての水素由来のピークの合計面積に対する、芳香環由来の水素のピーク(6.7~7.3ppm)のピーク面積を計算することで、ポリマー中に含まれる芳香環の水素量を算出した。
(成形体の評価)
[ペレット化]
環状オレフィンポリマーP-1~P-14をプラスチック工学研究所製の2軸押出機BT-30(スクリュー径30mmφ、L/D=46)を用い、設定温度270℃、樹脂押出量80g/minおよびスクリュー回転数200rpmの条件で造粒し、各種測定用ペレットを得た。
[射出成型]
上記で得られたペレットを、東芝機械社製の射出成形機IS-55を用いて、シリンダ温度=270~290℃、射出速度=70~90%、スクリュー回転数70~100rpm、金型温度120℃の条件にて射出成形し、厚み3.0mm射出角板をそれぞれ作製した。
[透明性]
得られた厚み3.0mmの角板試験片の内部ヘイズを測定し、以下の基準で透明性をそれぞれ評価した。
内部ヘイズは、ヘイズ計(日本電色工業社製NDH-20D)を用い、ベンジルアルコール中でそれぞれ測定した。
〇:内部ヘイズが6.0%未満
×:目視で試験片が白濁しているもの、または内部ヘイズが6.0%以上
[変色]
環状オレフィンポリマーP-1~P-7から得られたペレットの、ペレット化前後の色の変化を目視で観察した。
環状オレフィンポリマーP-1~P-7は無色透明であった。ペレット化時の熱(270℃)による色の変化を観察した。
比較例1~4は、黄色に変色した。変色はIndNBのベンジル位が2級炭素であるため、熱によって変化しやすいためと考えられる。
[密度]
上記で得られた厚み3.0mmの角板試験片について、JIS K7112に基づき、23℃で密度を測定した。なお、密度の測定は、水中置換法で測定した。
[屈折率]
上記で得られた30mm×30mm×厚み3.0mmの角板試験片について、屈折率計(島津サイエンス社製 KPR200)を用いて、ASTM D542に準じて、波長589nmにおける屈折率(nd)を測定した。
[アッベ数(ν)]
上記で得られた30mm×30mm×厚み3.0mmの角板試験片について、アッベ屈折計を用い、23℃下での波長486nm、589nmおよび656nmの屈折率を測定し、さらに下記式を用いてアッベ数(ν)を算出した。
ν=(nD-1)/(nF-nC)
nD:波長589nmでの屈折率
nC:波長656nmでの屈折率
nF:波長486nmでの屈折率
[複屈折量]
環状オレフィンポリマーP-1、P-2、P-3、P-6、P-7、P-12、P-13から得られた30mm×30mm×厚み3.0mmの角板試験片について、フォトニックラティス社製ワイドレンジ複屈折評価システムWPA-200を用いて、測定波長523nm、543nm、575nmで測定した位相差の平均値を算出した。
Figure 0007080350000014
この出願は、2018年12月27日に出願された日本出願特願2018-244496号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (11)

  1. 芳香環を有する環状オレフィン共重合体を含む光学部材用環状オレフィン共重合体組成物であって、
    前記環状オレフィン共重合体は下記(III)の構造単位(A)を含む、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
    Figure 0007080350000015
    (上記式(III)中、nは0、1または2であり、mは1、2または3であり、R55~R68はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またm=1のときR65とR67、R67とR68、R68とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またm=2または3のときR65とR65、R65とR67、R67とR68、R68とR66、R66とR66は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
  2. 請求項1に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物において、
    前記環状オレフィン共重合体中の前記構造単位(A)の含有量が0.2モル%以上100モル%以下である光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
  3. 請求項1に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物において、
    前記環状オレフィン共重合体は、さらに、炭素原子数が2~20のオレフィン由来の構造単位(B)を含む、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
  4. 請求項3に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物において、
    前記環状オレフィン共重合体中の前記構造単位(B)が、脂環構造を有する、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
  5. 請求項3または4に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物において、
    前記環状オレフィン共重合体中の前記構造単位(A)と前記構造単位(B)の合計含有量を100モル%としたとき、前記環状オレフィン共重合体中の前記構造単位(A)の含有量が0.5モル%以上80モル%以下である、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物において、
    示差走査熱量計(DSC)で測定される、前記環状オレフィン共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上200℃以下である、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物において、
    前記環状オレフィン共重合体からなる厚さ3.0mmの射出成形シートを作成した時、当該射出成形シートの波長589nmにおける屈折率が1.534以上1.590以下である、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物において、
    前記環状オレフィン共重合体からなる厚さ3.0mmの射出成形シートを作成した時、当該射出成形シートのアッベ数(ν)30以上55以下である、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物において、
    前記環状オレフィン共重合体中の前記構造単位(A)が、ベンゾノルボルナジエンを由来とする、光学部材用環状オレフィン共重合体組成物
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光学部材用環状オレフィン共重合体組成物を含む成形体。
  11. 光学レンズである請求項10に記載の成形体。
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