JP7080150B2 - ジンバルプロファイル生成装置、ジンバルプロファイル生成プログラム及びジンバルプロファイル生成方法 - Google Patents
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Description
複数のコントロールモーメントジャイロを備える宇宙機の姿勢制御に使用され、第1の遷移区間と、第2の遷移区間と、前記第1の遷移区間と前記第2の遷移区間との間に位置するコースト区間とに分けられるジンバル回転角を持つジンバルプロファイルを生成するジンバルプロファイル生成装置において、
前記宇宙機に要求される姿勢変更量に基づいて前記宇宙機の姿勢レートを計算する姿勢レート計算部と、
前記姿勢レート計算部の計算した前記姿勢レートを用いて前記宇宙機の第1角運動量を計算し、前記コースト区間におけるすべての前記コントロールモーメントジャイロの3軸合計角運動量がゼロの状態を示すジンバル定常状態とコントロールモーメントジャイロの角運動量包絡面とから得られるジンバル回転角に基づいて前記宇宙機の第2角運動量を計算し、前記第1角運動量と前記第2角運動量との差分に角運動量時間微分をジンバル回転角速度に変換する行列を乗じて得られたジンバル回転角変化量をもとに前記中間ジンバル回転角の初期値を計算する逆運動学計算部と、
前記中間ジンバル回転角の初期値の時間積分に基づいて前記宇宙機の姿勢角を計算し、前記姿勢角と前記宇宙機に要求される姿勢角とから、前記宇宙機の姿勢誤差を計算する姿勢誤差計算部と
を備える。
以下の実施の形態には、ベクトル,行列及びテンソルが登場する。
ベクトルは太字で示す。またベクトルは便宜的に<V>のように表記する場合がある。<V>はベクトルVを意味する。
行列とテンソルは太字で示す。また行列とテンソルは便宜的に[W]のように表記する場合がある。[W]は行列WまたはテンソルWを意味する。
以下、図1から図13を参照して実施の形態1のジンバルプロファイル生成装置100を説明する。
図1は、宇宙機の姿勢変更を実現するためのCMGジンバル目標プロファイルの一例を示す。図1のCMGジンバル目標プロファイルは、任意のジンバル角始端θ0からθcoasまでジンバル角を変化させる遷移区間Aと、中間ジンバル角θcoastを維持するコースト区間と、中間ジンバル角θcoastから任意のジンバル角終端までジンバル角を変化させる遷移区間Bとから構成される。θcoastは、以下、中間ジンバル角と称する。
図3は、図1のCMGジンバル目標プロファイル及び図2の姿勢レートプロファイルの場合に、さらに、CMG全体の運動量と姿勢角のグラフと加えた図である。姿勢条件が与えられている場合は、姿勢条件より、姿勢変更始端と姿勢変更終端のジンバル角(以下、始端ジンバル角θ0及び終端ジンバル角θfと称する)は任意の手法を用いて算出することができる。
図4は、ジンバルプロファイル生成装置100によるCMGジンバル目標プロファイルの生成方式に対する比較例である。ステップS01の処理は、任意の手法で中間ジンバル角初期値を計算し、中間ジンバル角ノミナル値の初期値とする。ステップS02の処理は、中間ジンバル角ノミナル値及び中間ジンバル角をノミナル値から微小変化させた値を用いて、中間ジンバル角ノミナル値に対する終端姿勢及び目標姿勢プロファイル、中間ジンバル角を変化させた際の終端姿勢の変化量及び中間ジンバル角の収束方向(終端姿勢が所望の姿勢変更を実現する方向)を求め、中間ジンバル角を収束する方向に更新する。これは、ニュートン法等の数値的な手法である。図4の比較例では、例えば中間ジンバル角θcoastを微小変化させて数値的に収束方向(ジンバル角補正方向)を求める演算手法(ニュートン法等)を用いて、中間ジンバル角θcoastを求めている。図4の比較例では、時間積分により姿勢角を求めることに加え、数値的に収束方向を求める演算による演算負荷が加わる。このため、図4の比較例では処理負荷が高く、数値的な収束演算の収束性の保証が難しいという課題がある。
図6は、ジンバルプロファイル生成装置100のハードウェア構成を示す。図6を用いてジンバルプロファイル生成装置100の構成を説明する。ジンバルプロファイル生成装置100はコンピュータである。ジンバルプロファイル生成装置100は、プロセッサ10を備えるとともに、メモリ20、補助記憶装置30、入力インタフェース40及び出力インタフェース50といった他のハードウェアを備える。プロセッサ10は、信号線60を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
図8は、ジンバルプロファイル生成装置100のCMGジンバル目標プロファイルの生成の動作を示すフローチャートである。図8には図7の処理ステップの対応を示している。図7に示すステップS10からステップS40は、以下のようである。ステップS10では、中間ジンバル角初期値が逆運動角を用いて計算される。また量子化することで、収束性が保証される。ステップS20ではヤコビ行列を用いて補正が実施される。ステップS30では、ステップS10及びステップS20で補償しきれなかった誤差分を誤差補正プロファイルとしてコースト区間に重畳する。ステップS40では、ステップS10、S20、S30でも補償しきれなかった誤差分は目標姿勢始端に加算し、駆動終了までにフィードバック制御により誤差を抑制する。
平均値にて得られた一定角加速度と所望の姿勢変更量から、台形速度プロファイルにおける最大姿勢レートを算出する。前記にて算出された最大姿勢レートに宇宙機の慣性テンソルを乗じて角運動量を算出する。前記にて算出された角運動量に対応するジンバル角を、ゼロ角運動量とジンバル定常状態の組合せ、又はCMG角運動量包絡面(近傍で良い)に相当する角運動量とCMG角運動量包絡面から求めたジンバル角(の近傍の値で良い)の組合せを始点とし、逆運動学(式5)を用いて算出する。
前記算出過程において、姿勢駆動方向及び台形速度プロファイルにおける最大姿勢レート(と最大姿勢レートから計算される角運動量)は所望の姿勢変更量から算出されるため任意の値を本来は取り得るが、一定の刻みで量子化を施して算出を行う。
前記量子化により、任意の所望の姿勢変更量に対し、前記算出に対する算出条件は有限の数に抑制される。有限の数に抑制された算出条件に対し、全条件にて収束性(解が求められること)を事前に検証/確認を行うことで、収束性を保証可能となる。
次に、前記の説明をもとに図7、図8、図10、図11、図12を参照してジンバルプロファイル生成装置100の動作を説明する。ジンバルプロファイル生成装置100の動作は、ジンバルプロファイル生成方法に相当する。また、ジンバルプロファイル生成装置100の動作は、ジンバルプロファイル生成プログラムの処理に相当する。
図11は、ステップS20の内容を示す。
図12は、ステップS30とステップS40の内容を示す。図11、図12において実線の矢印は処理の流れを示し、点線の矢印は情報の出力及び入力を示す。黒の菱型は姿勢誤差計算部97の判定処理を表している。姿勢誤差計算部97は姿勢誤差が規定値以内かを判定し、規定値以内であれば処理を完了してもよいことを示している。
図7、図8、図10を参照してステップS10を説明する。ステップS10では、ジンバルプロファイル生成装置100は、逆運動学を用いて中間ジンバル角初期値を計算する。逆運動学を用いる際に、量子化を用いることで、中間ジンバル角初期値計算収束性が保証される(全条件での事前検証を可能とする)。以下にステップS10を説明する。
以下の(1)~(7)が、中間ジンバル角初期値95aの算出過程である。
(2)姿勢レート計算部91は、宇宙機に要求される姿勢変更量に基づいて宇宙機の姿勢レートを計算する。具体的は以下のようである。
姿勢レート計算部91は、取得した入力情報90aから、コースト区間の姿勢レート91aを生成する。姿勢レート計算部91は、台形速度パターンの一定角加速度<α>と駆動時間Tと駆動角θrを用いて、解析的に最大角速度ωm(台形速度パターンの速度が一定となる部分の速度)を求める。ここで使われる一定角加速度<α>の求め方が図9で説明した「中間ジンバル値が与えられていない場合の角加速度の算出方式」により求められ、以下の2つの平均値が使用される。
・CMG角運動量包絡面(後述)に相当する姿勢レート÷CMGジンバル変化の制約を満たす時間
・ジンバル角定常状態において姿勢変更方向側に出力可能な角加速度
(3)第1量子化部92は、コースト区間の姿勢レート91aを取得し、任意の刻みで姿勢レート91aを量子化し、量子化された姿勢レート92aを出力する。
(4)第2量子化部93は入力情報90aを取得し、入力情報90aをもとに、オイラー軸(駆動方向)と駆動量とを算出し、任意の刻みで駆動方向と駆動量を量子化した情報93aを出力する。
(5)包絡面計算部94は、第2量子化部93から出力された情報93aを用いて、ジンバル角定常状態及びCMG角運動量包絡面から求めたジンバル角94aを出力する。包絡面計算部94は、ある三軸の方向ベクトル(駆動方向)を入力すると、CMG角運動量包絡面に相当する三軸角運動量とCMGジンバル角を出力する機能である。
(7)逆運動学計算部95は、取得した上記2つのデータを用いて、中間ジンバル角初期値95aを計算する。逆運動学計算部95は、入力である量子化された姿勢レートを<ωIN>としたときに<h>=[I]*<ωIN>にて角運動量を計算する。ここで*は乗算を示す。その<h>に相当するジンバル角を式5で求める。式5の<h(θ0+△θ)>が<h>に相当する。また、式5の<θ0>は2通りあり、ジンバル角定常状態及びCMG角運動量包絡面から求められたジンバル角94aに相当する。実際には、逆運動学計算部95は<h(θ0+△θ)>と<h(θ0)>との間を複数回刻んで計算する。例えば0.1<h>、0.2<h>、...、<h>のように刻んで、徐々にジンバル角を変化させる。
このように、逆運動学計算部95は、姿勢レート計算部91の計算した姿勢レートを用いて宇宙機の第1角運動量である<h(θ0+θ)>を計算する。
逆運動学計算部95は、コースト区間におけるすべてのコントロールモーメントジャイロの3軸合計角運動量がゼロの状態を示すジンバル定常状態とコントロールモーメントジャイロの角運動量包絡面とから得られるジンバル回転角に基づいて宇宙機の第2角運動量である<h(θ0)>を計算する。
逆運動学計算部95は、第1角運動量<h(θ0+θ)>と第2角運動量<h(θ0))>との差分に角運動量時間微分をジンバル回転角速度に変換する行列[A+(θ)]を乗じて得られたジンバル回転角変化量をもとに、中間ジンバル回転角の初期値θを計算する。なお、逆運動学計算部95は、量子化されている姿勢レートを用いて宇宙機の第1角運動量を計算し、量子化されているジンバル回転角に基づいて宇宙機の第2角運動量を計算する。
ステップS20については、中間ジンバル角θcoastが与えられているときの姿勢プロファイル算出方法を利用する。
ステップS20では、中間ジンバル角を用いて終端姿勢を計算する。中間ジンバル角回りのヤコビ行列と、近似姿勢プロファイルを用いて中間ジンバル角を更新する。更新は任意の回数実施する(収束判定不要)。
以下のステップでは、ジンバルプロファイル生成装置100は、ステップS10で得られた中間ジンバル角初期値95aをもとにジンバル目標プロファイルを生成し、このジンバル目標プロファイルの時間積分により終端姿勢を算出する。
姿勢誤差計算部97は、入力情報90aと中間ジンバル角初期値95aとを取得する。姿勢誤差計算部97は、中間ジンバル角が与えられているときは、与えられた中間ジンバル角をもとに得られる遷移区間A、コースト区間、遷移区間Bにおける宇宙機の各姿勢変更量を時間積分により算出できる。この場合、中間ジンバルを用いた姿勢角算出方式を使用する。つまり、時間積分では、ジンバル角から式1に基づき角運動量を算出し、算出した角運動量に宇宙機の慣性テンソルの逆行列を乗じ姿勢レートを算出し、算出した姿勢レートを時間積分することで姿勢角を算出する。姿勢誤差計算部97は、入力情報90aに含まれる宇宙機の終端姿勢条件と、ステップS21で求めた姿勢角の相違から、姿勢誤差を計算する。姿勢誤差計算部97は、姿勢誤差97bを出力する。
姿勢誤差計算部97は、計算した姿勢レートと、中間ジンバル回転角の初期値とに基づいて、中間ジンバル回転角の初期値を更新する。
具体的には以下のようである。
ジンバル回転角更新部96は、入力情報90a、姿勢誤差97b、中間ジンバル角初期値95aを取得する。ジンバル回転角更新部96は、姿勢誤差97bを中間ジンバル角の補正によって補償するため、コースト区間の姿勢レート<ωcoast>を式8によって算出する。算出した姿勢レート<ωcoast>と、与えられた中間ジンバル角から算出(ジンバル角から式1に基づき角運動量を算出し、算出した角運動量に宇宙機の慣性テンソルの逆行列を乗じて算出)した姿勢レート<ω>と、宇宙機の慣性テンソル[I]をもとに、ジンバル回転角更新部96は、中間ジンバル角の補正量<△θ>を、式5を変形した式9により算出する。
姿勢誤差計算部97は、計算した姿勢角と、宇宙機に要求される姿勢角とから、宇宙機の姿勢誤差を計算する。具体的には以下のようである。
ステップS24ではジンバル回転角更新部96が計算した中間ジンバル角96aが姿勢誤差計算部97に入力される。
ステップS24において、姿勢誤差計算部97は、入力情報90aと中間ジンバル角96aとを取得する。姿勢誤差計算部97は、中間ジンバル角が与えられているときは、与えられた中間ジンバル角をもとに得られる遷移区間A、コースト区間、遷移区間Bにおける宇宙機の各姿勢変更量を時間積分により算出できる。
この場合、中間ジンバルを用いた姿勢角算出方式を使用する。つまり、時間積分では、ジンバル角から式1に基づき角運動量を算出し、算出した角運動量に宇宙機の慣性テンソルの逆行列を乗じ姿勢レートを算出し、算出した姿勢レートを時間積分することで姿勢角を算出する。姿勢誤差計算部97は、入力情報90aに含まれる宇宙機の終端姿勢条件と、ステップS24で求めた姿勢角の相違から、姿勢誤差を計算する。姿勢誤差計算部97は、姿勢誤差97bを出力する。
つまりステップS25では、ジンバル回転角更新部96は、更新された中間ジンバル回転角から姿勢誤差計算部97によって求められた姿勢誤差が閾値以上の場合に、コースト区間に要する時間と、コースト区間で宇宙機に要求される姿勢変更量とに基づいて、コースト区間に対応する姿勢レートを計算する。ジンバル回転角更新部96は、中間ジンバル回転角と、計算した姿勢レートとに基づいて、中間ジンバル回転角を時間経過で変化しない一定値として更新する。
ステップS30では、ステップS20で得られた中間ジンバル角をもとに終端姿勢と所望の姿勢変更量との誤差を求め、中間ジンバル角回りのヤコビ行列をもとに中間ジンバル角誤差補正プロファイルを求め、中間ジンバル角に対し重畳する(コースト区間に適用)。
図10、図12を参照してステップS30を説明する。ステップS30はステップS31からステップS33からなる。
具体的には以下のようである。
ステップS32において、補正部98は、入力情報90a、姿勢誤差計算部97から姿勢誤差97aと姿勢プロファイルを取得する。補正部98は、算出された誤差を補償するために、コースト区間のジンバル角を、コースト区間の始端と終端のジンバル角を変化させずに、補正する。コースト区間の始端と終端のジンバル角を変化させないことは、コースト区間の始端と終端の姿勢レートを変化させないことに相当する。したがって、コースト区間の始端と終端の姿勢レート(この場合の始端と終端の姿勢レートは同じ)が与えられる条件にて、補正部98は、前記誤差量を補正する誤差補償姿勢プロファイルを算出する。このとき、式11に示したように姿勢レート補正量は微小であり、オイラーレートを用いることができ、式13、式14に示すオイラー角、オイラーレートにて誤差補償姿勢プロファイルを与えることができる。ただし、式13、式14はオイラー角、オイラーレートのうちの1成分のみを表しており、残りの2成分についても同様に表すことができる。また、△φは誤差補償姿勢プロファイル全体の姿勢変更量であり、前記誤差量と一致する。また、tはコースト区間開始からの経過時間を表している。
ステップS30では、コースト区間の始端と終端のジンバル角を補正前後で変化させないため、遷移区間A及び遷移区間Bにおける姿勢変更量を変化させずに、全体の姿勢変更量を変化させることができる。
ステップS40において、
姿勢誤差計算部97は、補正部98によって計算された補正量をジンバル回転角更新部96によって更新された中間ジンバル回転角に反映する。姿勢誤差計算部97は、補正量が反映された中間ジンバル回転角の時間積分に基づいて宇宙機の姿勢角を計算する。姿勢誤差計算部97は、計算した姿勢角と、宇宙機に要求される姿勢角とから、宇宙機の姿勢誤差を計算し、計算した姿勢誤差を、補正量が反映された中間ジンバル回転角を持つジンバルプロファイルの第1の遷移区間におけるジンバル回転角の始点に加える。つまり、姿勢誤差計算部97は、計算した姿勢誤差を、目標姿勢プロファイルの始端に加える。具体的には以下のようである。
ステップS40では、ステップS30で得られたCMGジンバル目標プロファイルをもとに、目標姿勢プロファイルと、終端姿勢と所望の姿勢変更量との誤差を求め、当該誤差を目標姿勢プロファイルに加算する(姿勢変更始端の目標姿勢条件を変更することに相当)。
ステップS40において、姿勢誤差計算部97は、入力情報90a、ステップS20の最終値の中間ジンバル角96aを取得し、及び補正部98から誤差補償姿勢プロファイルに対応するジンバル角98aを取得する。姿勢誤差計算部97は、入力情報90aと中間ジンバル角96aとを取得する。姿勢誤差計算部97は、中間ジンバル角が与えられているときは、与えられた中間ジンバル角をもとに得られる遷移区間A、コースト区間、遷移区間Bにおける宇宙機の各姿勢変更量を時間積分により算出できる。この場合、中間ジンバルを用いた姿勢角算出方式を使用する。つまり、時間積分では、ジンバル角から式1に基づき角運動量を算出し、算出した角運動量に宇宙機の慣性テンソルの逆行列を乗じ姿勢レートを算出し、算出した姿勢レートを時間積分することで姿勢角を算出する。姿勢誤差計算部97は、入力情報90aに含まれる宇宙機の終端姿勢条件と、ステップS24で求めた姿勢角の相違から、姿勢誤差量を計算する。姿勢誤差計算部97は、算出した誤差量を、目標姿勢プロファイルに加算し、最終的な目標姿勢プロファイルとする。具体的には、姿勢誤差計算部97は、算出した誤差量を、目標姿勢プロファイルの始端に加算する。
ジンバルプロファイル生成装置100では時間積分して得られた姿勢角と所望の姿勢変更量を一致させるために、ニュートン法のような数値的に収束方向(ジンバル角補正方向)を求める演算手法を用いるのではなく、式9から式12による近似的な解析解により収束方向(ジンバル角補正方向)を求める演算手法を用いている。よって、演算負荷を従来方式に比べ低減出来る。また、CMGジンバル目標プロファイル生成過程に対し、量子化を施すことで、収束の安定性を保証することが出来る。
ジンバルプロファイル生成装置100では中間ジンバル角が与えられていない場合でも式3から式5を用いてジンバル角プロファイルを生成できる。
ステップS20からステップS40では、ジンバルプロファイル生成装置100は任意の回数の繰り返し演算を行うことは可能であるが、収束演算を実施する必要は無く、収束性を考慮する必要が無い。また、ステップS10では、前記のとおり、量子化により収束性を保証している。以上より、実施の形態1のジンバルプロファイル生成装置100は収束性が保証される
実施の形態1ではジンバルプロファイル生成装置100の機能がソフトウェアで実現されるが、変形例として、ジンバルプロファイル生成装置100の機能がハードウェアで実現されてもよい。
図13は、実施の形態1の変形例に係るジンバルプロファイル生成装置100の構成を示す図である。図13の電子回路99は、姿勢レート計算部91、第1量子化部92、第2量子化部93、包絡面計算部94、逆運動学計算部95、ジンバル回転角更新部96、姿勢誤差計算部97及び補正部98の各部の機能、メモリ20、補助記憶装置30、入力インタフェース40及び出力インタフェース50との機能を実現する専用の電子回路である。電子回路99は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、又は、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。ジンバルプロファイル生成装置100の構成要素の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。別の変形例として、ジンバルプロファイル生成装置100の構成要素の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
Claims (9)
- 複数のコントロールモーメントジャイロを備える宇宙機の姿勢制御に使用され、第1の遷移区間と、第2の遷移区間と、前記第1の遷移区間と前記第2の遷移区間との間に位置するコースト区間とに分けられるジンバル回転角を持つジンバルプロファイルを生成するジンバルプロファイル生成装置において、
前記宇宙機に要求される姿勢変更量に基づいて前記宇宙機の姿勢レートを計算する姿勢レート計算部と、
前記姿勢レート計算部の計算した前記姿勢レートを用いて前記宇宙機の第1角運動量を計算し、前記コースト区間におけるすべての前記コントロールモーメントジャイロの3軸合計角運動量がゼロの状態を示すジンバル定常状態とコントロールモーメントジャイロの角運動量包絡面とから得られるジンバル回転角に基づいて前記宇宙機の第2角運動量を計算し、前記第1角運動量と前記第2角運動量との差分に角運動量時間微分をジンバル回転角速度に変換する行列を乗じて得られたジンバル回転角変化量をもとに前記中間ジンバル回転角の初期値を計算する逆運動学計算部と、
前記中間ジンバル回転角の初期値の時間積分に基づいて前記宇宙機の姿勢角を計算し、前記姿勢角と前記宇宙機に要求される姿勢角とから、前記宇宙機の姿勢誤差を計算する姿勢誤差計算部と
を備えるジンバルプロファイル生成装置。 - 前記ジンバルプロファイル生成装置は、
前記姿勢誤差計算部が計算した前記姿勢誤差が閾値以上の場合に、前記コースト区間に要する時間と、前記コースト区間で前記宇宙機に要求される姿勢変更量とに基づいて、前記コースト区間に対応する姿勢レートを計算し、
前記中間ジンバル回転角の初期値と、計算した前記姿勢レートとに基づいて、前記中間ジンバル回転角の初期値を更新するジンバル回転角更新部を備える請求項1に記載のジンバルプロファイル生成装置。 - 前記姿勢誤差計算部は、
前記ジンバル回転角更新部によって更新された中間ジンバル回転角の時間積分に基づいて前記宇宙機の姿勢角を計算し、計算した前記姿勢角と、前記宇宙機に要求される姿勢角とから、前記宇宙機の姿勢誤差を計算する請求項2に記載のジンバルプロファイル生成装置。 - 前記ジンバル回転角更新部は、
更新された中間ジンバル回転角から前記姿勢誤差計算部によって求められた前記姿勢誤差が閾値以上の場合に、前記コースト区間に要する時間と、前記コースト区間で前記宇宙機に要求される姿勢変更量とに基づいて、前記コースト区間に対応する姿勢レートを計算し、前記中間ジンバル回転角と、計算した前記姿勢レートとに基づいて、前記中間ジンバル回転角を時間経過で変化しない一定値として更新する請求項3に記載のジンバルプロファイル生成装置。 - 前記ジンバルプロファイル生成装置は、さらに、
前記ジンバル回転角更新部によって更新された前記コースト区間の中間ジンバル回転角に基づいて前記宇宙機の姿勢角を計算し、計算した前記宇宙機の姿勢角から、更新された前記コースト区間の中間ジンバル回転角の補正量を計算する補正部を備える請求項4に記載のジンバルプロファイル生成装置。 - 前記姿勢誤差計算部は、
補正部によって計算された補正量を前記ジンバル回転角更新部によって更新された前記中間ジンバル回転角に反映し、前記補正量が反映された前記中間ジンバル回転角の時間積分に基づいて前記宇宙機の姿勢角を計算し、計算した前記姿勢角と、前記宇宙機に要求される姿勢角とから、前記宇宙機の姿勢誤差を計算し、計算した前記姿勢誤差を、目標姿勢プロファイルの始端に加える請求項5に記載のジンバルプロファイル生成装置。 - 前記逆運動学計算部は、
量子化されている前記姿勢レートを用いて前記宇宙機の第1角運動量を計算し、量子化されている前記ジンバル回転角に基づいて前記宇宙機の第2角運動量を計算する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のジンバルプロファイル生成装置。 - 複数のコントロールモーメントジャイロを備える宇宙機の姿勢制御に使用され、第1の遷移区間と、第2の遷移区間と、前記第1の遷移区間と前記第2の遷移区間との間に位置するコースト区間とに分けられるジンバル回転角を持つジンバルプロファイルを生成するジンバルプロファイル生成プログラムにおいて、
前記宇宙機に要求される姿勢変更量に基づいて前記宇宙機の姿勢レートを計算する処理と、
計算した前記姿勢レートを用いて前記宇宙機の第1角運動量を計算し、前記コースト区間におけるすべての前記コントロールモーメントジャイロの3軸合計角運動量がゼロの状態を示すジンバル定常状態とコントロールモーメントジャイロの角運動量包絡面とから得られるジンバル回転角に基づいて前記宇宙機の第2角運動量を計算し、前記第1角運動量と前記第2角運動量との差分に角運動量時間微分をジンバル回転角速度に変換する行列を乗じて得られたジンバル回転角変化量をもとに前記中間ジンバル回転角の初期値を計算する処理と、
前記中間ジンバル回転角の初期値の時間積分に基づいて前記宇宙機の姿勢角を計算し、前記姿勢角と前記宇宙機に要求される姿勢角とから、前記宇宙機の姿勢誤差を計算す処理と
をコンピュータに実行させるジンバルプロファイル生成プログラム。 - 複数のコントロールモーメントジャイロを備える宇宙機の姿勢制御に使用され、第1の遷移区間と、第2の遷移区間と、前記第1の遷移区間と前記第2の遷移区間との間に位置するコースト区間とに分けられるジンバル回転角を持つジンバルプロファイルをコンピュータが生成するジンバルプロファイル生成方法において、
コンピュータが、
前記宇宙機に要求される姿勢変更量に基づいて前記宇宙機の姿勢レートを計算し、
計算した前記姿勢レートを用いて前記宇宙機の第1角運動量を計算し、前記コースト区間におけるすべての前記コントロールモーメントジャイロの3軸合計角運動量がゼロの状態を示すジンバル定常状態とコントロールモーメントジャイロの角運動量包絡面とから得られるジンバル回転角に基づいて前記宇宙機の第2角運動量を計算し、前記第1角運動量と前記第2角運動量との差分に角運動量時間微分をジンバル回転角速度に変換する行列を乗じて得られたジンバル回転角変化量をもとに前記中間ジンバル回転角の初期値を計算し、
前記中間ジンバル回転角の初期値の時間積分に基づいて前記宇宙機の姿勢角を計算し、前記姿勢角と前記宇宙機に要求される姿勢角とから、前記宇宙機の姿勢誤差を計算するジンバルプロファイル生成方法。
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