以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.適用例および応用例
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、第1の実施の形態に係る通信システム(通信システム1)の一構成例を表すものである。通信システム1は、3つの電圧レベルを有する信号を用いて通信を行うものである。なお、本開示の実施の形態に係る送信方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
通信システム1は、送信装置10と、伝送路110と、受信装置30とを備えている。送信装置10は、3つの出力端子ToutA,ToutB,ToutCを有し、伝送路110は、線路110A,110B,110Cを有し、受信装置30は、3つの入力端子TinA,TinB,TinCを有している。そして、送信装置10の出力端子ToutAおよび受信装置30の入力端子TinAは、線路110Aを介して互いに接続され、送信装置10の出力端子ToutBおよび受信装置30の入力端子TinBは、線路110Bを介して互いに接続され、送信装置10の出力端子ToutCおよび受信装置30の入力端子TinCは、線路110Cを介して互いに接続されている。線路110A~110Cの特性インピーダンスは、この例では約50[Ω]である。
送信装置10は、出力端子ToutAから信号SIGAを出力し、出力端子ToutBから信号SIGBを出力し、出力端子ToutCから信号SIGCを出力する。そして、受信装置30は、入力端子TinAを介して信号SIGAを受信し、入力端子TinBを介して信号SIGBを受信し、入力端子TinCを介して信号SIGCを受信する。信号SIGA,SIGB,SIGCは、それぞれ3つの電圧レベル(高レベル電圧VH、中レベル電圧VM、および低レベル電圧VL)の間で遷移するものである。
図2は、信号SIGA,SIGB,SIGCの電圧状態を表すものである。送信装置10は、3つの信号SIGA,SIGB,SIGCを用いて、6つのシンボル“+x”,“-x”,“+y”,“-y”,“+z”,“-z”を送信する。例えば、シンボル“+x”を送信する場合には、送信装置10は、信号SIGAを高レベル電圧VHにし、信号SIGBを低レベル電圧VLにし、信号SIGCを中レベル電圧VMにする。シンボル“-x”を送信する場合には、送信装置10は、信号SIGAを低レベル電圧VLにし、信号SIGBを高レベル電圧VHにし、信号SIGCを中レベル電圧VMにする。シンボル“+y”を送信する場合には、送信装置10は、信号SIGAを中レベル電圧VMにし、信号SIGBを高レベル電圧VHにし、信号SIGCを低レベル電圧VLにする。シンボル“-y”を送信する場合には、送信装置10は、信号SIGAを中レベル電圧VMにし、信号SIGBを低レベル電圧VLにし、信号SIGCを高レベル電圧VHにする。シンボル“+z”を送信する場合には、送信装置10は、信号SIGAを低レベル電圧VLにし、信号SIGBを中レベル電圧VMにし、信号SIGCを高レベル電圧VHにする。シンボル“-z”を送信する場合には、送信装置10は、信号SIGAを高レベル電圧VHにし、信号SIGBを中レベル電圧VMにし、信号SIGCを低レベル電圧VLにするようになっている。
伝送路110は、このような信号SIGA,SIGB,SIGCを用いて、シンボルのシーケンスを伝える。すなわち、3つの線路110A,110B,110Cは、シンボルのシーケンスを伝える1つのレーンとして機能するようになっている。
(送信装置10)
送信装置10は、図1に示したように、クロック生成部11と、処理部12と、送信部20とを有している。
クロック生成部11は、クロック信号TxCKを生成するものである。クロック信号TxCKの周波数は、例えば3.5[GHz]である。なお、これに限定されるものではなく、例えば、送信装置10における回路を、いわゆるハーフレートアーキテクチャを用いて構成した場合には、クロック信号TxCKの周波数を1.75[GHz]にすることができる。クロック生成部11は、例えばPLL(Phase Locked Loop)を用いて構成され、例えば送信装置10の外部から供給されるリファレンスクロック(図示せず)に基づいてクロック信号TxCKを生成する。そして、クロック生成部11は、このクロック信号TxCKを、処理部12および送信部20に供給するようになっている。
処理部12は、所定の処理を行うことにより、遷移信号TxF0~TxF6,TxR0~TxR6,TxP0~TxP6を生成するものである。ここで、1組の遷移信号TxF0,TxR0,TxP0は、送信装置10が送信するシンボルのシーケンスにおけるシンボルの遷移を示すものである。同様に、1組の遷移信号TxF1,TxR1,TxP1はシンボルの遷移を示し、1組の遷移信号TxF2,TxR2,TxP2はシンボルの遷移を示し、1組の遷移信号TxF3,TxR3,TxP3はシンボルの遷移を示し、1組の遷移信号TxF4,TxR4,TxP4はシンボルの遷移を示し、1組の遷移信号TxF5,TxR5,TxP5はシンボルの遷移を示し、1組の遷移信号TxF6,TxR6,TxP6はシンボルの遷移を示すものである。すなわち、処理部12は、7組の遷移信号を生成するものである。以下、7組の遷移信号のうちの任意の一組を表すものとして遷移信号TxF,TxR,TxPを適宜用いる。
図3は、遷移信号TxF,TxR,TxPとシンボルの遷移との関係を表すものである。各遷移に付した3桁の数値は、遷移信号TxF,TxR,TxPの値をこの順で示したものである。
遷移信号TxF(Flip)は、“+x”と“-x”との間でシンボルを遷移させ、“+y”と“-y”との間でシンボルを遷移させ、“+z”と“-z”との間でシンボルを遷移させるものである。具体的には、遷移信号TxFが“1”である場合には、シンボルの極性を変更するように(例えば“+x”から“-x”へ)遷移し、遷移信号TxFが“0”である場合には、このような遷移を行わないようになっている。
遷移信号TxR(Rotation),TxP(Polarity)は、遷移信号TxFが“0”である場合において、“+x”と“-x”以外との間、“+y”と“-y”以外との間、“+z”と“-z”以外との間でシンボルを遷移させるものである。具体的には、遷移信号TxR,TxPが“1”,“0”である場合には、シンボルの極性を保ったまま、図3において右回りに(例えば“+x”から“+y”へ)遷移し、遷移信号TxR,TxPが“1”,“1”である場合には、シンボルの極性を変更するとともに、図3において右回りに(例えば“+x”から“-y”へ)遷移する。また、遷移信号TxR,TxPが“0”,“0”である場合には、シンボルの極性を保ったまま、図3において左回りに(例えば“+x”から“+z”へ)遷移し、遷移信号TxR,TxPが“0”,“1”である場合には、シンボルの極性を変更するとともに、図3において左回りに(例えば“+x”から“-z”へ)遷移する。
処理部12は、このような遷移信号TxF,TxR,TxPを7組生成する。そして、処理部12は、この7組の遷移信号TxF,TxR,TxP(遷移信号TxF0~TxF6,TxR0~TxR6,TxP0~TxP6)を送信部20に供給するようになっている。
送信部20は、遷移信号TxF0~TxF6,TxR0~TxR6,TxP0~TxP6に基づいて、信号SIGA,SIGB,SIGCを生成するものである。
図4は、送信部20の一構成例を表すものである。送信部20は、シリアライザ21F,21R,21Pと、送信シンボル生成部22と、遷移検出部25と、出力部26とを有している。
シリアライザ21Fは、遷移信号TxF0~TxF6およびクロック信号TxCKに基づいて、遷移信号TxF0~TxF6をこの順にシリアライズして、遷移信号TxF9を生成するものである。シリアライザ21Rは、遷移信号TxR0~TxR6およびクロック信号TxCKに基づいて、遷移信号TxR0~TxR6をこの順にシリアライズして、遷移信号TxR9を生成するものである。シリアライザ21Pは、遷移信号TxP0~TxP6およびクロック信号TxCKに基づいて、遷移信号TxP0~TxP6をこの順にシリアライズして、遷移信号TxP9を生成するものである。
送信シンボル生成部22は、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9およびクロック信号TxCKに基づいて、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3を生成するものである。送信シンボル生成部22は、信号生成部23と、フリップフロップ24とを有している。
信号生成部23は、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9およびシンボル信号D1,D2,D3に基づいて、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3を生成するものである。具体的には、信号生成部23は、シンボル信号D1,D2,D3が示すシンボル(遷移前のシンボルDS)と、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9とに基づいて、図3に示したように遷移後のシンボルNSを求め、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3として出力するようになっている。
フリップフロップ24は、クロック信号TxCKに基づいてシンボル信号Tx1,Tx2,Tx3をサンプリングして、そのサンプリング結果をシンボル信号D1,D2,D3としてそれぞれ出力するものである。
図5は、送信シンボル生成部22の一動作例を表すものである。この図5は、シンボル信号D1,D2,D3が示すシンボルDSと遷移信号TxF9,TxR9,TxP9とに基づいて生成されるシンボルNSを示している。シンボルDSが“+x”である場合を例に挙げて説明する。遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”である場合には、シンボルNSは“+z”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“001”である場合には、シンボルNSは“-z”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”である場合には、シンボルNSは“+y”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“011”である場合には、シンボルNSは“-y”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“1XX”である場合には、シンボルNSは“-x”である。ここで、“X”は、“1”,“0”のどちらであってもよいことを示している。シンボルDSが“-x”である場合、“+y”である場合、“-y”である場合、“+z”である場合、“-z”である場合についても同様である。
このようにして、送信シンボル生成部22は、遷移前のシンボルDSと、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9に基づいて、遷移後のシンボルNSを求める。そして、送信シンボル生成部22は、遷移後のシンボルNSを、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3として出力するようになっている。
遷移検出部25は、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9およびシンボル信号D1,D2,D3に基づいて、遅延制御信号DLA,DLB,DLCを生成するものである。具体的には、遷移検出部25は、図5において実線で囲んだWAで示したように、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボル信号D1,D2,D3が示すシンボルDSが“+y”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボルDSが “-y”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “+y”である場合、および遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “-y”である場合のうちのいずれかの場合に、遅延制御信号DLAを“アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLB,DLCを“非アクティブ”にする。また、遷移検出部25は、図5において破線で囲んだWBで示したように、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボル信号D1,D2,D3が示すシンボルDSが“+z”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボルDSが “-z”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “+z”である場合、および遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “-z”である場合のうちのいずれかの場合に、遅延制御信号DLBを“アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLA,DLCを“非アクティブ”にする。また、遷移検出部25は、図5において一点鎖線で囲んだWCで示したように、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボル信号D1,D2,D3が示すシンボルDSが“+x”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボルDSが “-x”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “+x”である場合、および遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “-x”である場合のうちのいずれかの場合に、遅延制御信号DLCを“アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLA,DLBを“非アクティブ”にする。また、遷移検出部25は、それ以外の場合には、遅延制御信号DLA,DLB,DLCをともに“非アクティブ”にするようになっている。
出力部26は、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3、遅延制御信号DLA,DLB,DLC、およびクロック信号TxCKに基づいて、信号SIGA,SIGB,SIGCを生成するものである。
図6は、出力部26の一動作例を表すものである。出力部26は、例えば、シンボルNSが“+x”(シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“100”)である場合には、信号SIGAを高レベル電圧VHにし、信号SIGBを低レベル電圧VLにし、信号SIGCを中レベル電圧VMにする。また、例えば、シンボルNSが“-x”(シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“011”)である場合には、信号SIGAを低レベル電圧VLにし、信号SIGBを高レベル電圧VHにし、信号SIGCを中レベル電圧VMにする。また、例えば、シンボルNSが“+y”(シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“010”)である場合には、信号SIGAを中レベル電圧VMにし、信号SIGBを高レベル電圧VHにし、信号SIGCを低レベル電圧VLにする。また、例えば、シンボルNSが“-y”(シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“101”)である場合には、信号SIGAを中レベル電圧VMにし、信号SIGBを低レベル電圧VLにし、信号SIGCを高レベル電圧VHにする。また、例えば、シンボルNSが“+z”(シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“001”)である場合には、信号SIGAを低レベル電圧VLにし、信号SIGBを中レベル電圧VMにし、信号SIGCを高レベル電圧VHにする。また、例えば、シンボルNSが“-z”(シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“110”)である場合には、信号SIGAを高レベル電圧VHにし、信号SIGBを中レベル電圧VMにし、信号SIGCを低レベル電圧VLにするようになっている。
図7は、出力部26の一構成例を表すものである。出力部26は、ドライバ制御部27と、遅延部28A,28B,28Cと、ドライバ29A,29B,29Cとを有している。
ドライバ制御部27は、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3およびクロック信号TxCKに基づいて、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDAB、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBB、および4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを生成するものである。具体的には、ドライバ制御部27は、図6に示したように、例えば、信号SIGAを高レベル電圧VHにする場合には、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを“1100”にし、信号SIGAを低レベル電圧VLにする場合には、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを“0011”にし、信号SIGAを中レベル電圧VMにする場合には、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを“1010”にする。信号SIGBおよび信号SIGCについても同様である。そして、ドライバ制御部27は、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを遅延部28Aに供給し、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBを遅延部28Bに供給し、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを遅延部28Cに供給するようになっている。
また、ドライバ制御部27は、遅延制御信号DLA,DLB,DLCおよびクロック信号TxCKに基づいて、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1をそれぞれ生成する機能をも有している。具体的には、ドライバ制御部27は、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3に基づいて4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABと、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBと、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBとを生成する際の遅延時間に対応する時間だけ、遅延制御信号DLA,DLB,DLCを遅延させることにより、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1をそれぞれ生成するようになっている。
遅延部28Aは、遅延制御信号DLA1に基づいて、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを遅延させることにより、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1をそれぞれ生成するものである。具体的には、遅延部28Aは、遅延制御信号DLA1が“非アクティブ”である場合には、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを遅延量DL1だけ遅延させることにより、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1を生成する。また、遅延部28Aは、遅延制御信号DLA1が“アクティブ”である場合には、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを遅延量DL1より大きい遅延量DL2だけ遅延させることにより、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1を生成するようになっている。
同様に、遅延部28Bは、遅延制御信号DLB1に基づいて、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBを遅延させることにより、信号PUBA1,PUBB1,PDBA1,PDBB1をそれぞれ生成するものである。また、遅延部28Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを遅延させることにより、信号PUCA1,PUCB1,PDCA1,PDCB1をそれぞれ生成するものである。
ドライバ29Aは、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1に基づいて、信号SIGAを生成するものである。ドライバ29Bは、信号PUBA1,PUBB1,PDBA1,PDBB1に基づいて、信号SIGBを生成するものである。ドライバ29Cは、信号PUCA1,PUCB1,PDCA1,PDCB1に基づいて、信号SIGCを生成するものである。
図8は、ドライバ29A,29B,29Cの一構成例を表すものである。以下に、ドライバ29Aを例に挙げて説明する。なお、ドライバ29B,29Cについても同様である。ドライバ29Aは、M個の回路UA(回路UA1~UAM)と、M個の回路UB(回路UB1~UBM)と、M個の回路DA(回路DA1~DAM)と、M個の回路DB(回路DB1~DBM)とを有している。
回路UA1~UAM,UB1~UBMのそれぞれは、トランジスタ91と、抵抗素子92とを有している。トランジスタ91は、この例では、NチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のFET(Field Effect Transistor)である。回路UA1~UAMのそれぞれにおいて、トランジスタ91のゲートには信号PUAA1が供給され、ドレインには電圧V1が供給され、ソースは抵抗素子92の一端に接続されている。回路UB1~UBMのそれぞれにおいて、トランジスタ91のゲートには信号PUAB1が供給され、ドレインには電圧V1が供給され、ソースは抵抗素子92の一端に接続されている。回路UA1~UAMおよび回路UB1~UBMのそれぞれにおいて、抵抗素子92の一端はトランジスタ91のソースに接続され、他端は出力端子ToutAに接続されている。トランジスタ91のオン状態における抵抗値と、抵抗素子92の抵抗値との和は、この例では“50×2×M”[Ω]である。
回路DA1~DAM,DB1~DBMのそれぞれは、抵抗素子93と、トランジスタ94とを有している。トランジスタ94は、この例では、NチャネルMOS型のFETである。回路DA1~DAM,DB1~DBMのそれぞれにおいて、抵抗素子93の一端は出力端子ToutAに接続され、他端はトランジスタ94のドレインに接続されている。回路DA1~DAMのそれぞれにおいて、トランジスタ94のゲートには信号PDAA1が供給され、ドレインは抵抗素子93の他端に接続され、ソースは接地されている。回路DB1~DBMのそれぞれにおいて、トランジスタ94のゲートには信号PDAB1が供給され、ドレインは抵抗素子93の他端に接続され、ソースは接地されている。抵抗素子93の抵抗値と、トランジスタ94のオン状態における抵抗値との和は、この例では“50×2×M”[Ω]である。
この構成により、出力部26は、出力端子ToutA,ToutB,ToutCにおける電圧を、3つの電圧レベル(高レベル電圧VH、中レベル電圧VM、および低レベル電圧VL)のうちの互いに異なる電圧レベルに、それぞれ設定する。
具体的には、ドライバ制御部27は、図6に示したように、例えば、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“100”である場合には、シンボル“+x”を出力すべきと判断し、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを“1100”にし、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBを“0011”にし、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを“1010”にする。よって、4つの信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1は“1100”になり、4つの信号PUBA1,PUBB1,PDBA1,PDBB1は“0011”になり、4つの信号PUCA1,PUCB1,PDCA1,PDCB1は“1010”になる。
これにより、ドライバ29Aでは、回路UA1~UAM,UB1~UBMにおけるトランジスタ91がオン状態になるとともに、回路DA1~DAM,DB1~DBMにおけるトランジスタ94がオフ状態になる。その結果、信号SIGAの電圧が高レベル電圧VHになるとともに、ドライバ29Aの出力終端抵抗(出力インピーダンス)が約50[Ω]になる。また、ドライバ29Bでは、回路DA1~DAM,DB1~DBMにおけるトランジスタ94がオン状態になるとともに、回路UA1~UAM,UB1~UBMにおけるトランジスタ91がオフ状態になる。その結果、信号SIGBの電圧が低レベル電圧VLになるとともに、ドライバ29Bの出力終端抵抗(出力インピーダンス)が約50[Ω]になる。また、ドライバ29Cでは、回路UA1~UAMにおけるトランジスタ91、および回路DA1~DAMにおけるトランジスタ94がオン状態になるとともに、回路UB1~UBMにおけるトランジスタ91、および回路DB1~DBMにおけるトランジスタ94がオフ状態になる。すなわち、ドライバ29Cでは、回路UA1~UAMおよび回路DA1~DAMによりいわゆるテブナン終端が実現される。その結果、信号SIGCの電圧が中レベル電圧VMになるとともに、ドライバ29Cの出力終端抵抗(出力インピーダンス)が約50[Ω]になる。このようにして、送信部20は、シンボル“+x”を生成するようになっている。他のシンボルについても同様である。
(受信装置30)
図1に示したように、受信装置30は、受信部40と、処理部32とを有している。
受信部40は、信号SIGA,SIGB,SIGCを受信するとともに、この信号SIGA,SIGB,SIGCに基づいて、遷移信号RxF,RxR、RxPおよびクロック信号RxCKを生成するものである。
図9は、受信部40の一構成例を表すものである。受信部40は、抵抗素子41A,41B,41Cと、スイッチ42A,42B,42Cと、アンプ43A,43B,43Cと、クロック生成部44と、フリップフロップ(F/F)45,46と、信号生成部47とを有している。
抵抗素子41A,41B,41Cは、通信システム1の終端抵抗として機能するものであり、抵抗値は、この例では、50[Ω]程度である。抵抗素子41Aの一端は入力端子TinAに接続されるとともに信号SIGAが供給され、他端はスイッチ42Aの一端に接続されている。抵抗素子41Bの一端は入力端子TinBに接続されるとともに信号SIGBが供給され、他端はスイッチ42Bの一端に接続されている。抵抗素子41Cの一端は入力端子TinCに接続されるとともに信号SIGCが供給され、他端はスイッチ42Cの一端に接続されている。
スイッチ42Aの一端は抵抗素子41Aの他端に接続され、他端はスイッチ42B,42Cの他端に接続されている。スイッチ42Bの一端は抵抗素子41Bの他端に接続され、他端はスイッチ42A,42Cの他端に接続されている。スイッチ42Cの一端は抵抗素子41Cの他端に接続され、他端はスイッチ42A,42Bの他端に接続されている。受信装置30では、スイッチ42A,42B,42Cは、オン状態に設定され、抵抗素子41A~41Cが終端抵抗として機能するようになっている。
アンプ43Aの正入力端子は、入力端子TinA、抵抗素子41Aの一端、およびアンプ43Cの負入力端子に接続され、負入力端子は、入力端子TinB、抵抗素子41Bの一端、およびアンプ43Bの正入力端子に接続される。アンプ43Bの正入力端子は、入力端子TinB、抵抗素子41Bの一端、およびアンプ43Aの負入力端子に接続され、負入力端子は、入力端子TinC、抵抗素子41Cの一端、およびアンプ43Cの正入力端子に接続される。アンプ43Cの正入力端子は、入力端子TinC、抵抗素子41Cの一端、およびアンプ43Bの負入力端子に接続され、負入力端子は、入力端子TinA、抵抗素子41Aの一端、およびアンプ43Aの正入力端子に接続される。
この構成により、アンプ43Aは、信号SIGAと信号SIGBとの差分AB(SIGA-SIGB)に応じた信号SABを生成し、アンプ43Bは、信号SIGBと信号SIGCとの差分BC(SIGB-SIGC)に応じた信号SBCを生成し、アンプ43Cは、信号SIGCと信号SIGAとの差分CA(SIGC-SIGA)に応じた信号SCAを生成するようになっている。
図10は、送信部20がシンボル“+x”を送信する場合における、送信部20および受信部40の一動作例を模式的に表すものである。なお、受信部40のスイッチ42A,42B,42Cは、オン状態であるため、図示を省いている。図10において、送信部20の回路UA(回路UA1~UAM)および回路UB(回路UB1~UBM)のうち、実線で示した回路は、トランジスタ91がオン状態になっている回路を示し、破線で示した回路は、トランジスタ91がオフ状態になっている回路を示す。同様に、回路DA(回路DA1~DAM)および回路DB(回路DB1~DBM)のうち、実線で示した回路は、トランジスタ94がオン状態になっている回路を示し、破線で示した回路は、トランジスタ94がオフ状態になっている回路を示す。
送信部20がシンボル“+x”を送信する場合には、上述したように、ドライバ29Aでは、回路UA1~UAM,UB1~UBMにおけるトランジスタ91がオン状態になる。その結果、信号SIGAの電圧が高レベル電圧VHになる。また、ドライバ29Bでは、回路DA1~DAM,DB1~DBMにおけるトランジスタ94がオン状態になる。その結果、信号SIGBの電圧が低レベル電圧VLになる。また、ドライバ29Cでは、回路UA1~UAMにおけるトランジスタ91、および回路DA1~DAMにおけるトランジスタ94がオン状態になる。その結果、信号SIGCの電圧が中レベル電圧VMになる。
この場合には、受信部40では、入力端子TinA、抵抗素子41A、抵抗素子41B、入力端子TinBの順に電流Iinが流れる。そして、アンプ43Aの正入力端子には高レベル電圧VHが供給されるとともに負入力端子には低レベル電圧VLが供給され、差分ABは正(AB>0)になるため、アンプ43Aは“1”を信号SABとして出力する。また、アンプ43Bの正入力端子には低レベル電圧VLが供給されるとともに負入力端子には中レベル電圧VMが供給され、差分BCは負(BC<0)になるため、アンプ43Bは“0”を信号SBCとして出力する。また、アンプ43Cの正入力端子には中レベル電圧VMが供給されるとともに負入力端子には高レベル電圧VHが供給され、差分CAは負(CA<0)になるため、アンプ43Cは“0”を信号SCAとして出力するようになっている。
クロック生成部44(図9)は、信号SAB,SBC,SCAに基づいて、クロック信号RxCKを生成するものである。具体的には、後述するように、クロック生成部44は、シンボルが遷移したときに信号SAB,SBC,SCAのうちの最初に遷移した信号を検出し、その信号の遷移タイミングから始まる所定のパルス幅のクロックパルスPUを生成することにより、クロック信号RxCKを生成するようになっている。
フリップフロップ45は、信号SAB,SBC,SCAを、クロック信号RxCKの1クロック分遅延させ、それぞれ出力するものである。フリップフロップ46は、フリップフロップ45の3つの出力信号を、クロック信号RxCKの1クロック分遅延させ、それぞれ出力するものである。
信号生成部47は、フリップフロップ45,46の出力信号、およびクロック信号RxCKに基づいて、遷移信号RxF,RxR,RxPを生成するものである。この遷移信号RxF,RxR,RxPは、送信装置10における遷移信号TxF9,TxR9,TxP9(図4)にそれぞれ対応するものであり、シンボルの遷移を表すものである。信号生成部47は、フリップフロップ45の出力信号が示すシンボルと、フリップフロップ46の出力信号が示すシンボルに基づいて、シンボルの遷移(図3)を特定することにより、遷移信号RxF,RxR,RxPを生成するようになっている。
処理部32(図1)は、遷移信号RxF,RxR,RxPおよびクロック信号RxCKに基づいて、所定の処理を行うものである。
ここで、遅延部28A,28B,28Cは、本開示における「複数の遅延部」の一具体例に対応する。ドライバ29A,29B,29Cは、本開示における「複数のドライバ」の一具体例に対応する。トランジスタ91は、本開示における「第1のトランジスタ」の一具体例に対応する。トランジスタ94は、本開示における「第2のトランジスタ」の一具体例に対応する。送信シンボル生成部22は、本開示における「信号生成部」の一具体例に対応する。遷移検出部25は、本開示における「制御部」の一具体例に対応する。信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABは、本開示における「第1の信号」の一具体例に対応する。信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBは、本開示における「第2の信号」の一具体例に対応する。信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBは、本開示における「第3の信号」の一具体例に対応する。信号SIGAは、本開示における「第1の伝送信号」の一具体例に対応する。信号SIGBは、本開示における「第2の伝送信号」の一具体例に対応する。信号SIGCは、本開示における「第3の伝送信号」の一具体例に対応する。信号SABは、本開示における「第1の差分信号」の一具体例に対応する。信号SBCは、本開示における「第2の差分信号」の一具体例に対応する。信号SCAは、本開示における「第3の差分信号」の一具体例に対応する。クロック信号RxCKは、本開示における「クロック信号」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の通信システム1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1,4,7,9を参照して、通信システム1の全体動作概要を説明する。送信装置10のクロック生成部11は、クロック信号TxCKを生成する。処理部12は、所定の処理を行うことにより、遷移信号TxF0~TxF6,TxR0~TxR6,TxP0~TxP6を生成する。送信部20(図4)において、シリアライザ21Fは、遷移信号TxF0~TxF6およびクロック信号TxCKに基づいて遷移信号TxF9を生成し、シリアライザ21Rは、遷移信号TxR0~TxR6およびクロック信号TxCKに基づいて遷移信号TxR9を生成し、シリアライザ21Pは、遷移信号TxP0~TxP6およびクロック信号TxCKに基づいて遷移信号TxP9を生成する。送信シンボル生成部22は、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9およびクロック信号TxCKに基づいて、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3を生成する。遷移検出部25は、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9およびシンボル信号D1,D2,D3に基づいて、遅延制御信号DLA,DLB,DLCを生成する。
出力部26(図7)において、ドライバ制御部27は、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3およびクロック信号TxCKに基づいて、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDAB、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBB、および4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを生成する。また、遅延制御信号DLA,DLB,DLCおよびクロック信号TxCKに基づいて、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1をそれぞれ生成する。遅延部28Aは、遅延制御信号DLA1に基づいて、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを遅延させることにより、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1をそれぞれ生成する。遅延部28Bは、遅延制御信号DLB1に基づいて、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBを遅延させることにより、信号PUBA1,PUBB1,PDBA1,PDBB1をそれぞれ生成する。遅延部28Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを遅延させることにより、信号PUCA1,PUCB1,PDCA1,PDCB1をそれぞれ生成する。ドライバ29Aは、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1に基づいて信号SIGAを生成する。ドライバ29Bは、信号PUBA1,PUBB1,PDBA1,PDBB1に基づいて信号SIGBを生成する。ドライバ29Cは、信号PUCA1,PUCB1,PDCA1,PDCB1に基づいて信号SIGCを生成する。
受信装置30の受信部40(図9)において、アンプ43Aは、信号SIGA,SIGBに基づいて、信号SIGAと信号SIGBとの差分AB(SIGA-SIGB)に応じた信号SABを生成し、アンプ43Bは、信号SIGB,SIGCに基づいて、信号SIGBと信号SIGCとの差分BC(SIGB-SIGC)に応じた信号SBCを生成し、アンプ43Cは、信号SIGC,SIGAに基づいて、信号SIGCと信号SIGAとの差分CA(SIGC-SIGA)に応じた信号SCAを生成する。クロック生成部44は、信号SAB,SBC,SCAに基づいて、クロック信号RxCKを生成する。フリップフロップ45は、信号SAB,SBC,SCAを、クロック信号RxCKの1クロック分遅延させ、それぞれ出力する。フリップフロップ46は、フリップフロップ45の3つの出力信号を、クロック信号RxCKの1クロック分遅延させ、それぞれ出力する。信号生成部47は、フリップフロップ45,46の出力信号、およびクロック信号RxCKに基づいて、遷移信号RxF,RxR,RxPを生成する。処理部32(図1)は、遷移信号RxF,RxR,RxPおよびクロック信号RxCKに基づいて、所定の処理を行う。
(詳細動作)
次に、通信システム1の動作について詳細に説明する。送信装置10において、遷移検出部25は、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9およびシンボル信号D1,D2,D3に基づいて、遅延制御信号DLA,DLB,DLCを生成する。そして、遅延部28Aは、遅延制御信号DLA1に基づいて、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABに対する遅延量を設定し、遅延部28Bは、遅延制御信号DLB1に基づいて、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBに対する遅延量を設定し、遅延部28Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBに対する遅延量を設定する。これにより、通信システム1では、受信装置30において生成されるクロック信号RxCKのジッタを低減することができる。以下に、この動作について詳細に説明する。
図11は、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を調節しない場合における通信システム1の一動作例を表すものである。この例では、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を、互いに等しい所定の遅延量DL1に固定している。
送信装置10は、ユニットインターバルUIが経過する度に送信するシンボルを遷移させる。この例では、送信装置10は、6つのシンボル“+x”,“-y”,“-z”,“+z”,“+y”,“-x”をこの順に送信している。このとき、信号SIGAの電圧は、VH,VM,VH,VL,VM,VLのように変化し、信号SIGBの電圧は、VL,VL,VM,VM,VH,VHのように変化し、信号SIGCの電圧は、VM,VH,VL,VH,VL,VMのように変化する。このように、通信システム1では、シンボルの遷移に応じて、3つの信号SIGA,SIGB,SIGCのうち2つ以上の信号の電圧が変化する。
そして、この信号SIGA,SIGB,SIGCに応じて、差分AB,BC,CAもまた変化する。例えば、差分ABは、+2ΔV,+ΔV,+ΔV,-ΔV,-ΔV,-2ΔVのように変化し、差分BCは、-ΔV,-2ΔV,+ΔV,-ΔV,+2ΔV,+ΔVのように変化し、差分CAは、-ΔV,+ΔV,-2ΔV,+2ΔV,-ΔV,+ΔVのように変化する。ここで、ΔVは、3つの電圧レベル(高レベル電圧VH、中レベル電圧VM、および低レベル電圧VL)のうちの隣り合う2つの電圧の差である。
アンプ43Aは、差分ABに基づいて信号SABを生成する。この信号SABは、差分ABが“0”を横切るタイミングで遷移する。同様に、アンプ43Bは、差分BCに基づいて信号SBCを生成する。この信号SBCは、差分BCが“0”を横切るタイミングで遷移する。アンプ43Cは、差分CAに基づいて信号SCAを生成する。この信号SCAは、差分CAが“0”を横切るタイミングで遷移する。このように、通信システム1では、シンボルの遷移に応じて、信号SAB,SBC,SCAのうちの1つ以上の信号が変化する。
そして、クロック生成部44は、信号SAB,SBC,SCAに基づいて、クロック信号RxCKを生成する。具体的には、クロック生成部44は、シンボルが遷移したときに信号SAB,SBC,SCAのうちの最初に遷移した信号を検出し、その信号の遷移タイミングから始まる所定のパルス幅のクロックパルスPUを生成することにより、クロック信号RxCKを生成する。
ここで、上述したように、信号SABが遷移するタイミングは、差分ABが“0”を横切るタイミングに対応し、信号SBCが遷移するタイミングは、差分BCが“0”を横切るタイミングに対応し、信号SCAが遷移するタイミングは、差分CAが“0”を横切るタイミングに対応する。すなわち、信号SAB,SBC,SCAが遷移するタイミングは、差分AB,BC,CAの変化に応じたものとなる。よって、シンボルの遷移に応じて、差分AB,BC,CAのうちの2つ以上が遷移する場合に、それらの遷移タイミングは必ずしも一致しない。よって、クロック信号RxCKの立ち上がりエッジ間の期間(クロック期間PC)の長さにばらつきが生じる。具体的には、図11の例では、シンボル“+x”の次のシンボル“-y”に対応するクロック期間PC1の長さは、ユニットインターバルUIの長さよりも短く、次のシンボル“-z”に対応するクロック期間PC2の長さは、ユニットインターバルUIの長さよりも長い。同様に、そのシンボル“-z”の次のシンボル“+z”に対応するクロック期間PC3の長さは、ユニットインターバルUIの長さよりも短く、次のシンボル“+y”に対応するクロック期間PC4の長さは、ユニットインターバルUIの長さよりも長い。このようにクロック期間PCの長さにばらつきが生じた場合には、クロック信号RxCKのジッタが大きくなるため、通信品質に影響を及ぼすおそれがある。
次に、クロック期間PCの長さにばらつきが生じる原因について、詳細に説明する。
図12A,12B,12Cは、シンボルの遷移に伴う差分AB,BC,CAの変化を模式的に表すものである。通信システム1では、信号SIGA,SIGB,SIGCは、それぞれ、3つの電圧レベル(高レベル電圧VH、中レベル電圧VM、および低レベル電圧VL)を取り得るため、図12A,12B,12Cに示したように、差分AB,BC,CAは、+2ΔV、+ΔV、-ΔV、-2ΔVの間で遷移する。これらの遷移は、差分AB,BC,CAの変化開始タイミングt0から、その差分信号が“0”を横切るタイミングt1までの時間Δtが異なる、様々な遷移を含んでいる。具体的には、これらの遷移は、例えば、時間Δtが短い遷移WS(図12A)や、時間Δtが中程度である遷移WW,SS(図12B)や、時間Δtが長い遷移SW(図12C)を含んでいる。遷移WS(図12A)は、“+ΔV”から“-2ΔV”に向かう遷移、および“-ΔV”から“+2ΔV”に向かう遷移である。遷移WW(図12B)は、“+ΔV”から“-ΔV”に向かう遷移、および“-ΔV”から“+ΔV”に向かう遷移である。遷移SS(図12B)は、“+2ΔV”から“-2ΔV”に向かう遷移、および“-2ΔV”から“+2ΔV”に向かう遷移である。遷移SW(図12C)は、“+2ΔV”から“-ΔV”に向かう遷移、および“-2ΔV”から“+ΔV”に向かう遷移である。
クロック生成部44は、上述したように、シンボルが遷移したときに信号SAB,SBC,SCAのうちの最初に遷移した信号を検出し、その信号の遷移タイミングから始まる所定のパルス幅のクロックパルスPUを生成することにより、クロック信号RxCKを生成する。ここで、通信システム1では、後述するように、信号SAB,SBC,SCAのうちのいずれかに、時間Δtが長い遷移SWが生じた場合には、信号SAB,SBC,SCAのうちの他のどちらかに、時間Δtが短い遷移WSが生じる。よって、この場合には、時間Δtが短い遷移WSに基づいてクロックパルスPUが生成されるため、時間Δtが長い遷移SWはクロックパルスPUの生成に寄与しない。その結果、時間Δtが短い遷移WS、および時間Δtが中程度である遷移WW,SSが、クロックパルスPUの生成に寄与する。
図13は、クロック期間PCの長さを模式的に表すものである。この図13において、“WS”が記載されたクロックパルスPUは、時間Δtが短い遷移WSに基づいて生成されたものであることを示し、“WW”が記載されたクロックパルスPUは、時間Δtが中程度である遷移WWに基づいて生成されたものであることを示し、“SS”が記載されたクロックパルスPUは、時間Δtが中程度である遷移SSに基づいて生成されたものであることを示す。
例えば、図13(A)に示したように、遷移WSに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、同じ遷移WSに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さとほぼ同じになる。同様に、図13(B)に示したように、遷移WWに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、同じ遷移WWに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さとほぼ同じになり、図13(C)に示したように、遷移SSに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、同じ遷移SSに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さとほぼ同じになる。また、図13(D)に示したように、遷移WWに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、遷移SSに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さとほぼ同じになり、図13(E)に示したように、遷移SSに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、遷移WWに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さとほぼ同じになる。
一方、例えば、図13(F)に示したように、遷移WWに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、その遷移WWよりも時間Δtが短い遷移WSに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さよりも短くなる。同様に、例えば、図13(G)に示したように、遷移SSに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、その遷移SSよりも時間Δtが短い遷移WSに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さよりも短くなる。
また、例えば、図13(H)に示したように、遷移WSに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、その遷移WSよりも時間Δtが長い遷移WWに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さよりも長くなる。同様に、例えば、図13(I)に示したように、遷移WSに基づいてクロックパルスPUが生成された後に、その遷移WSよりも時間Δtが長い遷移SSに基づいてクロックパルスPUが生成された場合には、クロック期間PCの長さは、ユニットインターバルUIの長さよりも長くなる。
このように、隣り合う2つのクロックパルスPUが、遷移WS,WW,SSのうちのどの遷移に基づいて生成されたかに応じて、その2つのクロックパルスPUに係るクロック期間PCの長さが変化する。
そこで、通信システム1では、クロック期間PCの長さが揃うように、遅延部28A,28B,28Cにおける遅延量を調節する。具体的には、遷移検出部25は、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9およびシンボル信号D1,D2,D3に基づいて、シンボル遷移が、時間Δtが短い遷移WSを含むシンボル遷移であるか否かを検出する。そして、遷移検出部25は、時間Δtが短い遷移WSを含むシンボル遷移である場合には、この遷移WSが遅れるように、遅延部28A,28B,28Cにおける遅延量を調節する。これにより、送信装置10は、例えば、図13(F),(G)において、2つめの、遷移WSに基づくクロックパルスPUを遅らせることにより、クロック期間PCの長さをユニットインターバルUIの長さに近付ける。また、送信装置10は、例えば、図13(H),(I)において、1つめの、遷移WSに基づくクロックパルスPUを遅らせることにより、クロック期間PCの長さをユニットインターバルUIの長さに近付ける。
図14A~14Eは、シンボルが“+x”から“+x”以外のシンボルに遷移する場合における通信システム1の一動作例を表すものであり、図14Aは、シンボルが“+x”から“-x”に遷移する場合を示し、図14Bは、シンボルが“+x”から“+y”に遷移する場合を示し、図14Cは、シンボルが“+x”から“-y”に遷移する場合を示し、図14Dは、シンボルが“+x”から“+z”に遷移する場合を示し、図14Eは、シンボルが“+x”から“-z”に遷移する場合を示す。図14A~14Eのそれぞれにおいて、(A)は、送信装置10の出力端子ToutA,ToutB,ToutCにおける信号SIGA,SIGB,SIGCの波形を示し、(B)は、受信装置30における差分AB,BC,CAの波形を示す。また、実線は、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を調節したときの波形を示し、破線は、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を遅延量DL1に固定したときの波形を示す。タイミングt10は、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を遅延量DL1にしたときの、信号SIGA,SIGB,SIGCの変化開始タイミングを示す。
図5に示したように、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“1XX”である場合には、シンボルが“+x”から“-x”に遷移する(図14A)。このとき、遷移検出部25は、図5に示したように、遅延制御信号DLA,DLB,DLC(遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1)をともに“非アクティブ”にする。そして、遅延部28A,28B,28Cは、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1にそれぞれ設定する。これにより、図14Aに示したように、信号SIGAは、タイミングt10において変化を開始して高レベル電圧VHから低レベル電圧VLに変化し、信号SIGBは、タイミングt10において変化を開始して低レベル電圧VLから高レベル電圧VHに変化し、信号SIGCは中レベル電圧VMを維持する。その結果、差分ABは“+2ΔV”から“-2ΔV”に遷移し、差分BC,CAは“-ΔV”から“+ΔV”に遷移する。この差分ABの遷移は、時間Δtが中程度である遷移SSであり、差分BC,CAの遷移は、時間Δtが中程度である遷移WWである。そして、この例では、差分BC(遷移WW)および差分CA(遷移WW)のうちの一方に基づいてクロックパルスPUが生成される。
このように、シンボルが“+x”から“-x”に遷移する場合には、差分AB,BC,CAの遷移は、いずれも時間Δtが短い遷移WSに該当しないので、遷移検出部25は、遅延部28A,28B,28Cにおける遅延量が遅延量DL1になるように制御する。
また、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”である場合には、シンボルが“+x”から“+y”に遷移する(図14B)。このとき、遷移検出部25は、図5に示したように、遅延制御信号DLA,DLB(遅延制御信号DLA1,DLB1)をともに“非アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLC(遅延制御信号DLC1)を“アクティブ”にする。そして、遅延部28A,28Bは、遅延制御信号DLA1,DLB1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定し、遅延部28Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、遅延量を、遅延量DL1より大きい遅延量DL2に設定する。これにより、図14Bに示したように、信号SIGAは、タイミングt10において変化を開始して高レベル電圧VHから中レベル電圧VMに変化し、信号SIGBは、タイミングt10において変化を開始して低レベル電圧VLから高レベル電圧VHに変化し、信号SIGCは、タイミングt10より遅れたタイミングにおいて変化を開始して中レベル電圧VMから低レベル電圧VLに変化する。すなわち、信号SIGA,SIGB,SIGCの全ての電圧が変化する。その結果、差分ABは“+2ΔV”から“-ΔV”に遷移し、差分BCは、大きい遅延量DL2に対応して遅れて“-ΔV”から“+2ΔV”に遷移し、差分CAは“-ΔV”をほぼ維持する。この差分ABの遷移は、時間Δtが長い遷移SWであり、差分BCの遷移は、時間Δtが短い遷移WSである。このように、時間Δtが長い遷移SWは、時間Δtが短い遷移WSとともに現れる。なお、差分CAは“0”を横切らない。そして、この例では、差分BC(遷移WS)に基づいてクロックパルスPUが生成される。
このように、シンボルが“+x”から“+y”に遷移する場合には、差分BCの遷移が遷移WSであるので、遷移検出部25は、遅延部28Cにおける遅延量を、遅延部28A,28Bにおける遅延量DL1よりも大きい遅延量DL2になるように制御する。これにより、遷移WSに対応する差分BCが“0”を横切るタイミングを遅らせることができ、その結果、遷移WSに基づくクロックパルスPUを遅らせることができる。
また、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“011”である場合には、シンボルが“+x”から“-y”に遷移する(図14C)。このとき、遷移検出部25は、図5に示したように、遅延制御信号DLA,DLB,DLC(遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1)をともに“非アクティブ”にする。そして、遅延部28A,28B,28Cは、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定する。これにより、図14Cに示したように、信号SIGAは、タイミングt10において変化を開始して高レベル電圧VHから中レベル電圧VMに変化し、信号SIGBは低レベル電圧VLを維持し、信号SIGCは、タイミングt10において変化を開始して中レベル電圧VMから高レベル電圧VHに変化する。その結果、差分ABは“+2ΔV”から“+ΔV”に遷移し、差分BCは“-ΔV”から“-2ΔV”に遷移し、差分CAは“-ΔV”から“+ΔV”に遷移する。この差分CAの遷移は、時間Δtが中程度である遷移WWである。なお、差分AB,BCは“0”を横切らない。そして、この例では、差分CA(遷移WW)に基づいてクロックパルスPUが生成される。
このように、シンボルが“+x”から“-y”に遷移する場合には、差分AB,BC,CAの遷移は、いずれも遷移WSに該当しないので、遷移検出部25は、遅延部28A,28B,28Cにおける遅延量が遅延量DL1になるように制御する。
また、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”である場合には、シンボルが“+x”から“+z”に遷移する(図14D)。このとき、遷移検出部25は、図5に示したように、遅延制御信号DLA,DLB(遅延制御信号DLA1,DLB1)をともに“非アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLC(遅延制御信号DLC1)を“アクティブ”にする。そして、遅延部28A,28Bは、遅延制御信号DLA1,DLB1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定し、遅延部28Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、遅延量を、遅延量DL1より大きい遅延量DL2に設定する。これにより、図14Dに示したように、信号SIGAは、タイミングt10において変化を開始して高レベル電圧VHから低レベル電圧VLに変化し、信号SIGBは、タイミングt10において変化を開始して低レベル電圧VLから中レベル電圧VMに変化し、信号SIGCは、タイミングt10よりも遅れたタイミングにおいて変化を開始して中レベル電圧VMから高レベル電圧VHに変化する。すなわち、信号SIGA,SIGB,SIGCの全ての電圧が変化する。その結果、差分ABは“+2ΔV”から“-ΔV”に遷移し、差分BCは“-ΔV”をほぼ維持し、差分CAは、大きい遅延量DL2に対応して遅れて“-ΔV”から“+2ΔV”に遷移する。この差分ABの遷移は、時間Δtが長い遷移SWであり、差分CAの遷移は、時間Δtが短い遷移WSである。このように、時間Δtが長い遷移SWは、時間Δtが短い遷移WSとともに現れる。なお、差分BCは“0”を横切らない。そして、この例では、差分CA(遷移WS)に基づいてクロックパルスPUが生成される。
このように、シンボルが“+x”から“+z”に遷移する場合には、差分CAの遷移が遷移WSであるので、遷移検出部25は、遅延部28Cにおける遅延量を、遅延部28A,28Bにおける遅延量DL1よりも大きい遅延量DL2になるように制御する。これにより、遷移WSに対応する差分CAが“0”を横切るタイミングを遅らせることができ、その結果、遷移WSに基づくクロックパルスPUを遅らせることができる。
また、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“001”である場合には、シンボルが“+x”から“-z”に遷移する(図14E)。このとき、遷移検出部25は、図5に示したように、遅延制御信号DLA,DLB,DLC(遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1)をともに“非アクティブ”にする。そして、遅延部28A,28B,28Cは、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定する。これにより、図14Eに示したように、信号SIGAは高レベル電圧VHを維持し、信号SIGBは、タイミングt10において変化を開始して低レベル電圧VLから中レベル電圧VMに変化し、信号SIGCは、タイミングt10において変化を開始して中レベル電圧VMから低レベル電圧VLに変化する。その結果、差分ABは“+2ΔV”から“+ΔV”に遷移し、差分BCは“-ΔV”から“+ΔV”に遷移し、差分CAは“-ΔV”から“-2ΔV”に遷移する。この差分BCの遷移は、時間Δtが中程度である遷移WWである。なお、差分AB,CAは“0”を横切らない。そして、この例では、差分BC(遷移WW)に基づいてクロックパルスPUが生成される。
このように、シンボルが“+x”から“-z”に遷移する場合には、差分AB,BC,CAの遷移は、いずれも遷移WSに該当しないので、遷移検出部25は、遅延部28A,28B,28Cにおける遅延量が遅延量DL1になるように制御する。
なお、この例では、シンボルが“+x”から“+x”以外のシンボルに遷移する場合について説明したが、シンボルが“-x”から“-x”以外のシンボルに遷移する場合、シンボルが“+y”から“+y”以外のシンボルに遷移する場合、シンボルが“-y”から“-y”以外のシンボルに遷移する場合、シンボルが“+z”から“+z”以外のシンボルに遷移する場合、シンボルが“-z”から“-z”以外のシンボルに遷移する場合についても同様である。
図15は、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を調節する場合における通信システム1の一動作例を表すものである。この例では、送信装置10は、図11の場合と同様に、6つのシンボル“+x”,“-y”,“-z”,“+z”,“+y”,“-x”をこの順に送信している。
シンボルが“-y”から“-z”に遷移するとき、遷移検出部25は、図5に示したように、遅延制御信号DLB,DLC(遅延制御信号DLB1,DLC1)をともに“非アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLA(遅延制御信号DLA1)を“アクティブ”にする。そして、遅延部28B,28Cは、遅延制御信号DLB1,DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定し、遅延部28Aは、遅延制御信号DLA1に基づいて、遅延量を、遅延量DL1より大きい遅延量DL2に設定する。これにより、信号SIGAは、信号SIGB,SIGCよりも少し遅れて、中レベル電圧VMから高レベル電圧VHに変化する。その結果、差分CAは、信号SIGAの遅延分に応じて遅れて、“+ΔV”から“-2ΔV”に遷移する。これにより、差分CAが“0”を横切るタイミングが遅れるので、信号SCAが遷移するタイミングが遅れ、その結果、クロック期間PC1,PC2の長さをユニットインターバルUIの長さに近付けることができる。
また、シンボルが“+z”から“+y”に遷移するとき、遷移検出部25は、図5に示したように、遅延制御信号DLA,DLC(遅延制御信号DLA1,DLC1)をともに“非アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLB(遅延制御信号DLB1)を“アクティブ”にする。そして、遅延部28A,28Cは、遅延制御信号DLA1,DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定し、遅延部28Bは、遅延制御信号DLB1に基づいて、遅延量を、遅延量DL1より大きい遅延量DL2に設定する。これにより、信号SIGBは、信号SIGA,SIGCよりも少し遅れて、中レベル電圧VMから高レベル電圧VHに変化する。その結果、差分BCは、信号SIGAの遅延分に応じて遅れて、“-ΔV”から“+2ΔV”に遷移する。これにより、差分BCが“0”を横切るタイミングが遅れるので、信号SBCが遷移するタイミングが遅れ、その結果、クロック期間PC3,PC4の長さをユニットインターバルUIの長さに近付けることができる。
図16Aは、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を調節した場合における差分AB,BC,CAのアイダイアグラムを表すものであり、図16Bは、そのときのクロック信号RxCKの立ち上がりエッジを表すものである。図17Aは、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を調節しない場合における差分AB,BC,CAのアイダイアグラムを表すものであり、図17Bは、そのときのクロック信号RxCKの立ち上がりエッジを表すものである。図16B,17Bにおいて、矢印で示した幅がクロック信号RxCKのジッタJに対応する。
通信システム1では、シンボル遷移が、時間Δtが短い遷移WSを含むシンボル遷移である場合において、この遷移WSが遅れるように、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を調節するようにした。これにより、通信システム1では、図16Aに示したように、遅延量を調節しない場合(図17A)に比べて、アイ開口を広くすることができ、また、図16Bに示したように、遅延量を調節しない場合(図17B)に比べて、クロック信号RxCKのジッタJを低減することができる。これにより、通信システム1では、通信品質を高めることができる。
また、通信システム1では、遷移検出部25が、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9およびシンボル信号D1,D2,D3に基づいて特定のシンボル遷移を検出し、遅延部28A,28B,28Cが、その検出結果に基づいて遅延量を調節するようにした。これにより、通信システム1では、例えば、クロック信号RxCKのジッタJが増大するおそれがあるシンボル遷移のみに対して、動的にタイミング調節を行うことができるため、効果的にジッタJを低減することができる。
また、通信システム1では、シンボルが遷移したときに、時間Δtが長い遷移SWと時間Δtが短い遷移WSとがともに現れる場合には、信号SIGA,SIGB,SIGCのうち、遷移SWに影響を及ぼさない信号に対する遅延量を大きくしたので、アイ開口を確保しつつ、ジッタJを低減することができる。具体的には、例えば、図14Bに示したように、シンボルが“+x”から“+y”に遷移する場合には、遅延部28Cの遅延量が、遅延部28A,28Bの遅延量よりも大きくなるように、遅延部28A,28B,28Cの遅延量を設定した。これにより、時間Δtが長い遷移SWに対応する差分ABの遷移を遅らせることなく、時間Δtが短い遷移WSに対応する差分BCの遷移を遅らせることができるため、アイ開口を確保しつつ、クロック信号RxCKのジッタJを低減することができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、シンボル遷移が、時間Δtが短い遷移WSを含むシンボル遷移である場合において、この遷移WSが遅れるように、遅延部の遅延量を調節するようにしたので、受信装置において生成されるクロック信号のジッタを低減することができる。
本実施の形態では、遷移検出部が、遷移信号およびシンボル信号に基づいて特定のシンボル遷移を検出し、遅延部が、その検出結果に基づいて遅延量を調節するようにしたので、効果的にジッタを低減することができる。
[変形例1-1]
上記実施の形態では、ドライバ29A,29B,29Cは、いわゆるテブナン終端を実現することにより中レベル電圧VMを出力したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例に係る通信システム1Aについて説明する。通信システム1Aは、送信装置10Aを有している。送信装置10Aは、上記第1の実施の形態の送信装置10の送信部20(図7)と同様に、ドライバ制御部27Aを有している。ドライバ制御部27Aは、図18に示すように、例えば、信号SIGAを中レベル電圧VMにする場合に、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを“0000”にし、信号SIGBを中レベル電圧VMにする場合に、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBを“0000”にし、信号SIGCを中レベル電圧VMにする場合に、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを“0000”にする。
ドライバ制御部27Aは、例えば、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“100”である場合には、シンボル“+x”を出力すべきと判断し、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを“1100”にし、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBを“0011”にし、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを“0000”にする。よって、4つの信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1は“1100”になり、4つの信号PUBA1,PUBB1,PDBA1,PDBB1は“0011”になり、4つの信号PUCA1,PUCB1,PDCA1,PDCB1は“0000”になる。
これにより、図19に示したように、ドライバ29Aでは、回路UA1~UAM,UB1~UBMにおけるトランジスタ91がオン状態になる。その結果、信号SIGAの電圧が高レベル電圧VHになるとともに、ドライバ29Aの出力終端抵抗(出力インピーダンス)が約50[Ω]になる。また、ドライバ29Bでは、回路DA1~DAM,DB1~DBMにおけるトランジスタ94がオン状態になる。その結果、信号SIGBの電圧が低レベル電圧VLになるとともに、ドライバ29Bの出力終端抵抗(出力インピーダンス)が約50[Ω]になる。また、ドライバ29Cでは、回路UA1~UAM,UB1~UBMにおけるトランジスタ91がオフ状態になるとともに、回路DA1~DAM,DB1~DBMにおけるトランジスタ94がオフ状態になる。すなわち、ドライバ29Cの出力終端抵抗(出力インピーダンス)はハイインピーダンスになる。このとき、受信部40では、抵抗素子41Aの一端に高レベル電圧VHが印加され、抵抗素子41Bの一端に低レベル電圧VLが印加されるため、これらの抵抗素子41A,41Bにより分圧された電圧(中レベル電圧VM)が、抵抗素子41Cを介してドライバ29Cの出力端子ToutCに供給される。このようにして、ドライバ29Cの出力端子ToutCの電圧は、受信部40により、中レベル電圧VMに設定される。
[変形例1-2]
上記実施の形態では、遷移WSに基づくクロックパルスPUを遅らせることにより、クロック期間PCの長さを揃えるようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、遷移WW,SSに基づくクロックパルスPUを進めることにより、クロック期間PCの長さを揃えるようにしてもよい。以下に、本変形例について詳細に説明する。
本変形例に係る通信システム1Bは、図1に示したように、送信部20Bを有する送信装置10Bを備えている。この送信部20Bは、図4に示したように、遷移検出部25Bと、出力部26Bとを有している。この出力部26Bは、図7に示したように、遅延部48A,48B,48Cを有している。
図20は、遷移検出部25Bの一動作例を表すものである。遷移検出部25Bは、図20において実線で囲んだWBCで示したように、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボル信号D1,D2,D3が示すシンボルDSが“+y”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボルDSが “-y”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “+y”である場合、および遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “-y”である場合のうちのいずれかの場合に、遅延制御信号DLB,DLCを“アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLAを“非アクティブ”にする。また、遷移検出部25Bは、図20において破線で囲んだWCAで示したように、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボル信号D1,D2,D3が示すシンボルDSが“+z”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボルDSが “-z”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “+z”である場合、および遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “-z”である場合のうちのいずれかの場合に、遅延制御信号DLA,DLCを“アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLBを“非アクティブ”にする。また、遷移検出部25Bは、図20において一点鎖線で囲んだWABで示したように、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボル信号D1,D2,D3が示すシンボルDSが“+x”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”でありかつシンボルDSが “-x”である場合、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “+x”である場合、および遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”でありかつシンボルDSが “-x”である場合のうちのいずれかの場合に、遅延制御信号DLA,DLBを“アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLCを“非アクティブ”にする。また、遷移検出部25Bは、それ以外の場合には、図20において破線で囲んだWABCで示したように、遅延制御信号DLA,DLB,DLCをともに“アクティブ”にするようになっている。
遅延部48Aは、遅延制御信号DLA1に基づいて、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを遅延させることにより、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1をそれぞれ生成するものである。具体的には、遅延部48Aは、遅延制御信号DLA1が“非アクティブ”である場合には、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを遅延量DL1だけ遅延させることにより、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1を生成する。また、遅延部48Aは、遅延制御信号DLA1が“アクティブ”である場合には、4つの信号PUAA,PUAB,PDAA,PDABを遅延量DL1より小さい遅延量DL0だけ遅延させることにより、信号PUAA1,PUAB1,PDAA1,PDAB1を生成するようになっている。
同様に、遅延部48Bは、遅延制御信号DLB1に基づいて、4つの信号PUBA,PUBB,PDBA,PDBBを遅延させることにより、信号PUBA1,PUBB1,PDBA1,PDBB1をそれぞれ生成するものである。また、遅延部48Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、4つの信号PUCA,PUCB,PDCA,PDCBを遅延させることにより、信号PUCA1,PUCB1,PDCA1,PDCB1をそれぞれ生成するものである。
通信システム1Bにおいても、クロック期間PCの長さが揃うように、遅延部48A,48B,48Cにおける遅延量を調節する。具体的には、送信装置10Bは、例えば、図13(F),(G)において、1つめの、遷移WW,SSに基づくクロックパルスPUを進めることにより、クロック期間PCの長さをユニットインターバルUIの長さに近付ける。また、送信装置10Bは、例えば、図13(H),(I)において、2つめの、遷移WW,SSに基づくクロックパルスPUを進めることにより、クロック期間PCの長さをユニットインターバルUIの長さに近付ける。
図21A~21Eは、シンボルが“+x”から“+x”以外のシンボルに遷移する場合における通信システム1Bの一動作例を表すものである。
図20に示したように、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“1XX”である場合には、シンボルが“+x”から“-x”に遷移する(図21A)。このとき、遷移検出部25Bは、図20に示したように、遅延制御信号DLA,DLB,DLC(遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1)をともに“アクティブ”にする。そして、遅延部48A,48B,48Cは、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1に基づいて、遅延量を、遅延量DL1より小さい遅延量DL0に設定する。これにより、図21Aに示したように、信号SIGAは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して高レベル電圧VHから低レベル電圧VLに変化し、信号SIGBは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して低レベル電圧VLから高レベル電圧VHに変化し、信号SIGCは中レベル電圧VMを維持する。これにより、この例では、差分BC(遷移WW)および差分CA(遷移WW)の一方に基づいてクロックパルスPUが生成される。このように、遅延部48A,48B,48Cの遅延量を、遅延量DL1より小さい遅延量DL0に設定したので、遷移WWに基づくクロックパルスPUが進む。
また、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“010”である場合には、シンボルが“+x”から“+y”に遷移する(図21B)。このとき、遷移検出部25Bは、図20に示したように、遅延制御信号DLC(遅延制御信号DLC1)を“非アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLA,DLB(遅延制御信号DLA1,DLB1)をともに“アクティブ”にする。そして、遅延部48Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定し、遅延部48A,48Bは、遅延制御信号DLA1,DLB1に基づいて、遅延量を、遅延量DL1より小さい遅延量DL0に設定する。これにより、図21Bに示したように、信号SIGAは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して高レベル電圧VHから中レベル電圧VMに変化し、信号SIGBは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して低レベル電圧VLから高レベル電圧VHに変化し、信号SIGCは、タイミングt10において変化を開始して中レベル電圧VMから低レベル電圧VLに変化する。これにより、この例では、差分BC(遷移WS)に基づいてクロックパルスPUが生成される。
また、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“011”である場合には、シンボルが“+x”から“-y”に遷移する(図21C)。このとき、遷移検出部25Bは、図20に示したように、遅延制御信号DLA,DLB,DLC(遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1)をともに“アクティブ”にする。そして、遅延部48A,48B,48Cは、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1より小さい遅延量DL0に設定する。これにより、図21Cに示したように、信号SIGAは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して高レベル電圧VHから中レベル電圧VMに変化し、信号SIGBは、低レベル電圧VLを維持し、信号SIGCは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して中レベル電圧VMから高レベル電圧VHに変化する。これにより、この例では、差分CA(遷移WW)に基づいてクロックパルスPUが生成される。このように、遅延部48A,48B,48Cの遅延量を、遅延量DL1より小さい遅延量DL0に設定したので、遷移WWに基づくクロックパルスPUが進む。
また、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“000”である場合には、シンボルが“+x”から“+z”に遷移する(図21D)。このとき、遷移検出部25Bは、図20に示したように、遅延制御信号DLC(遅延制御信号DLC1)を“非アクティブ”にするとともに、遅延制御信号DLA,DLB(遅延制御信号DLA1,DLB1)をともに“アクティブ”にする。そして、遅延部48Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定し、遅延部48A,48Bは、遅延制御信号DLA1,DLB1に基づいて、遅延量を、遅延量DL1より小さい遅延量DL0に設定する。これにより、図21Dに示したように、信号SIGAは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して高レベル電圧VHから低レベル電圧VLに変化し、信号SIGBは、タイミングt10よりも前のタイミングにおいて変化を開始して低レベル電圧VLから中レベル電圧VMに変化し、信号SIGCは、タイミングt10において変化を開始して中レベル電圧VMから高レベル電圧VHに変化する。これにより、この例では、差分CA(遷移WS)に基づいてクロックパルスPUが生成される。
また、シンボルDSが“+x”であり、遷移信号TxF9,TxR9,TxP9が“001”である場合には、シンボルが“+x”から“-z”に遷移する(図21E)。このとき、遷移検出部25Bは、図20に示したように、遅延制御信号DLA,DLB,DLC(遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1)をともに“アクティブ”にする。そして、遅延部48A,48B,48Cは、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1に基づいて、遅延量を遅延量DL1に設定する。これにより、図21Eに示したように、信号SIGAは高レベル電圧VHを維持し、信号SIGBは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して低レベル電圧VLから中レベル電圧VMに変化し、信号SIGCは、タイミングt10より前のタイミングにおいて変化を開始して中レベル電圧VMから低レベル電圧VLに変化する。これにより、この例では、差分BC(遷移WW)に基づいてクロックパルスPUが生成される。その際、遅延部48A,48B,48Cの遅延量を、遅延量DL1より小さい遅延量DL0に設定したので、遷移WWに基づくクロックパルスPUが進む。
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る通信システム2について説明する。本実施の形態は、複数(この例では3つ)のレーンを用いて、通信を行うものである。なお、上記第1の実施の形態に係る通信システム1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図22は、通信システム2の一構成例を表すものである。通信システム2は、送信装置50と、伝送路120と、受信装置60とを備えている。通信システム2は、伝送路120を介して、送信装置50から受信装置60に対して信号を伝送するものである。送信装置50は、出力端子Tout1A,Tout1B,Tout1Cと、出力端子Tout2A,Tout2B,Tout2Cと、出力端子Tout3A,Tout3B,Tout3Cとを有している。伝送路120は、線路121A,121B,121Cと、線路122A,122B,122Cと、線路123A,123B,123Cとを有している。受信装置60は、入力端子Tin1A,Tin1B,Tin1Cと、入力端子Tin2A,Tin2B,Tin2Cと、入力端子Tin3A,Tin3B,Tin3Cとを有している。送信装置50の出力端子Tout1Aおよび受信装置60の入力端子Tin1Aは線路121Aを介して互いに接続され、送信装置50の出力端子Tout1Bおよび受信装置60の入力端子Tin1Bは線路121Bを介して互いに接続され、送信装置50の出力端子Tout1Cおよび受信装置60の入力端子Tin1Cは線路121Cを介して互いに接続されている。同様に、送信装置50の出力端子Tout2Aおよび受信装置60の入力端子Tin2Aは線路122Aを介して互いに接続され、送信装置50の出力端子Tout2Bおよび受信装置60の入力端子Tin2Bは線路122Bを介して互いに接続され、送信装置50の出力端子Tout2Cおよび受信装置60の入力端子Tin2Cは線路122Cを介して互いに接続されている。また、送信装置50の出力端子Tout3Aおよび受信装置60の入力端子Tin3Aは線路123Aを介して互いに接続され、送信装置50の出力端子Tout3Bおよび受信装置60の入力端子Tin3Bは線路123Bを介して互いに接続され、送信装置50の出力端子Tout3Cおよび受信装置60の入力端子Tin3Cは線路123Cを介して互いに接続されている。線路121A,121B,121C,122A,122B,122C,123A,123B,123Cの特性インピーダンスは、この例では約50[Ω]である。
線路121A,121B,121Cは、レーンLN1を構成し、線路122A,122B,122Cは、レーンLN2を構成し、線路123A,123B,123Cは、レーンLN3を構成する。そして、通信システム2は、レーンLN1を用いて、線路121Aを介して信号SIG1Aを伝送し、線路121Bを介して信号SIG1Bを伝送し、線路121Cを介して信号SIG1Cを伝送する。同様に、通信システム2は、レーンLN2を用いて、線路122Aを介して信号SIG2Aを伝送し、線路122Bを介して信号SIG2Bを伝送し、線路122Cを介して信号SIG2Cを伝送する。また、通信システム2は、レーンLN3を用いて、線路123Aを介して信号SIG3Aを伝送し、線路123Bを介して信号SIG3Bを伝送し、線路123Cを介して信号SIG3Cを伝送する。以下、信号SIG1A,SIG1B,SIG1C、信号SIG2A,SIG2B,SIG2C、および信号SIG3A,SIG3B,SIG3Cのうちの任意の一組を表すものとして、信号SIGA,SIGB,SIGCを適宜用いる。信号SIGA,SIGB,SIGCは、上記第1の実施の形態の場合(図2)と同様に、それぞれ3つの電圧レベル(高レベル電圧VH、中レベル電圧VM、および低レベル電圧VL)の間で遷移するものである。
(送信装置50)
送信装置50は、図22に示したように、処理部54と、送信部51,52,53と、電圧生成部55とを有している。
処理部54は、所定の処理を行うことにより、遷移信号TxF10~TxF16,TxR10~TxR16,TxP10~TxP16と、遷移信号TxF20~TxF26,TxR20~TxR26,TxP20~TxP26と、遷移信号TxF30~TxF36,TxR30~TxR36,TxP30~TxP36とを生成するものである。そして、処理部54は、遷移信号TxF10~TxF16,TxR10~TxR16,TxP10~TxP16を送信部51に供給し、遷移信号TxF20~TxF26,TxR20~TxR26,TxP20~TxP26を送信部52に供給し、遷移信号TxF30~TxF36,TxR30~TxR36,TxP30~TxP36を送信部53に供給するようになっている。
送信部51は、遷移信号TxF10~TxF16,TxR10~TxR16,TxP10~TxP16に基づいて、信号SIG1A,SIG1B,SIG1Cを生成するものである。送信部52は、遷移信号TxF20~TxF26,TxR20~TxR26,TxP20~TxP26に基づいて、信号SIG2A,SIG2B,SIG2Cを生成するものである。送信部53は、遷移信号TxF30~TxF36,TxR30~TxR36,TxP30~TxP36に基づいて、信号SIG3A,SIG3B,SIG3Cを生成するものである。
図23は、送信部51の一構成例を表すものである。なお、送信部52,53についても同様である。送信部51は、シリアライザ21F,21R,21Pと、送信シンボル生成部22と、遷移検出部25と、出力部56とを有している。出力部56は、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3、遅延制御信号DLA,DLB,DLC、クロック信号TxCK、および信号Vdcに基づいて、信号SIG1A,SIG1B,SIG1Cを生成するものである。
図24は、出力部56の一構成例を表すものである。出力部56は、ドライバ制御部57と、遅延部58A,58B,58Cと、ドライバ59A,59B,59Cとを有している。
ドライバ制御部57は、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3およびクロック信号TxCKに基づいて、3つの信号PUA,PMA,PDA、3つの信号PUB,PMB,PDB、および3つの信号PUC,PMC,PDCを生成するものである。
図25は、ドライバ制御部57の一動作例を表すものである。ドライバ制御部57は、例えば、信号SIG1Aを高レベル電圧VHにする場合には、3つの信号PUA,PMA,PDAを“100”にし、信号SIG1Aを低レベル電圧VLにする場合には、3つの信号PUA,PMA,PDAを“001”にし、信号SIG1Aを中レベル電圧VMにする場合には、3つの信号PUA,PMA,PDAを“010”にする。信号SIG1Bおよび信号SIG1Cについても同様である。そして、ドライバ制御部57は、3つの信号PUA,PMA,PDAを遅延部58Aに供給し、3つの信号PUB,PMB,PDBを遅延部58Bに供給し、3つの信号PUC,PMC,PDCを遅延部58Cに供給するようになっている。
また、ドライバ制御部57は、上記第1の実施の形態に係るドライバ制御部27と同様に、遅延制御信号DLA,DLB,DLCおよびクロック信号TxCKに基づいて、遅延制御信号DLA1,DLB1,DLC1をそれぞれ生成する機能をも有している。
遅延部58Aは、遅延制御信号DLA1に基づいて、3つの信号PUA,PMA,PDAを遅延させることにより、信号PUA1,PMA1,PDA1をそれぞれ生成するものである。具体的には、遅延部58Aは、遅延制御信号DLA1が“非アクティブ”である場合には、3つの信号PUA,PMA,PDAを遅延量DL1だけ遅延させることにより、信号PUA1,PMA1,PDA1を生成する。また、遅延部58Aは、遅延制御信号DLA1が“アクティブ”である場合には、3つの信号PUA,PMA,PDAを遅延量DL1より大きい遅延量DL2だけ遅延させることにより、信号PUA1,PMA1,PDA1を生成するようになっている。
同様に、遅延部58Bは、遅延制御信号DLB1に基づいて、3つの信号PUB,PMB,PDBを遅延させることにより、信号PUB1,PMB1,PDB1をそれぞれ生成するものである。また、遅延部58Cは、遅延制御信号DLC1に基づいて、3つの信号PUC,PMC,PDCを遅延させることにより、信号PUC1,PMC1,PDC1をそれぞれ生成するものである。
ドライバ59Aは、信号PUA1,PMA1,PDA1に基づいて、信号SIG1Aを生成するものである。ドライバ59Bは、信号PUB1,PMB1,PDB1に基づいて、信号SIG1Bを生成するものである。ドライバ59Cは、信号PUC1,PMC1,PDC1に基づいて、信号SIG1Cを生成するものである。
図26は、ドライバ59A,59B,59Cの一構成例を表すものである。以下に、ドライバ59Aを例に挙げて説明する。なお、ドライバ59B,59Cについても同様である。ドライバ59Aは、M個の回路UA(回路UA1~UAM)と、M個の回路UB(回路UB1~UBM)と、M個の回路DA(回路DA1~DAM)と、M個の回路DB(回路DB1~DBM)と、トランジスタ95とを有している。
回路UA1~UAM,UB1~UBMのそれぞれは、トランジスタ91と、抵抗素子92とを有している。回路UA1~UAM,UB1~UBMのそれぞれにおいて、トランジスタ91のゲートには信号PUA1が供給され、ドレインには電圧V1が供給され、ソースは抵抗素子92の一端に接続されている。抵抗素子92の一端はトランジスタ91のソースに接続され、他端は出力端子Tout1Aに接続されている。トランジスタ91のオン状態における抵抗値と、抵抗素子92の抵抗値との和は、この例では“50×2×M”[Ω]である。
回路DA1~DAM,DB1~DBMのそれぞれは、抵抗素子93と、トランジスタ94とを有している。回路DA1~DAM,DB1~DBMのそれぞれにおいて、抵抗素子93の一端は出力端子Tout1Aに接続され、他端はトランジスタ94のドレインに接続されている。トランジスタ94のゲートには信号PDA1が供給され、ドレインは抵抗素子93の他端に接続され、ソースは接地されている。抵抗素子93の抵抗値と、トランジスタ94のオン状態における抵抗値との和は、この例では“50×2×M”[Ω]である。
トランジスタ95は、この例では、NチャネルMOS型のFETであり、ゲートには信号PMA1が供給され、ドレインは出力端子Tout1Aに接続され、ソースには中レベル電圧VMに対応する電圧を有する信号Vdcが供給されている。
この構成により、ドライバ制御部57は、図25に示したように、例えば、シンボル信号Tx1,Tx2,Tx3が“100”である場合には、シンボル“+x”を出力すべきと判断し、3つの信号PUA,PMA,PDAを“100”にし、3つの信号PUB,PMB,PDBを“001”にし、3つの信号PUC,PMC,PDCを“010”にする。よって、3つの信号PUA1,PMA1,PDA1は“100”になり、3つの信号PUB1,PMB1,PDB1は“001”になり、3つの信号PUC1,PMC1,PDC1は“010”になる。
これにより、ドライバ59Aでは、回路UA1~UAM,UB1~UBMにおけるトランジスタ91がオン状態になる。その結果、信号SIG1Aの電圧が高レベル電圧VHになるとともに、ドライバ59Aの出力終端抵抗(出力インピーダンス)が約50[Ω]になる。また、ドライバ59Bでは、回路DA1~DAM,DB1~DBMにおけるトランジスタ94がオン状態になる。その結果、信号SIG1Bの電圧が低レベル電圧VLになるとともに、ドライバ59Bの出力終端抵抗(出力インピーダンス)が約50[Ω]になる。また、ドライバ59Cでは、トランジスタ95がオン状態になる。その結果、信号SIG1Cの電圧が中レベル電圧VMになる。
電圧生成部55(図22)は、中レベル電圧VMに対応する電圧を有する信号Vdcを生成するものである。
図27は、電圧生成部55の一構成例を表すものである。電圧生成部55は、M個の回路UC(回路UC1~UCM)と、M個の回路DC(回路DC1~DCM)とを有している。回路UCは、ドライバ59A,59B,59Cにおける回路UA,UB(図26)と同様の構成を有するものであり、回路DCは、ドライバ59A,59B,59Cにおける回路DA,DB(図26)と同様の構成を有するものである。回路UC1~UCMにおけるトランジスタ91のゲート、および回路DC1~DCMにおけるトランジスタ94のゲートには電圧V1が供給されている。これにより、回路UC1~UCMにおけるトランジスタ91はオン状態になるとともに、回路DC1~DCMにおけるトランジスタ94はオン状態になる。回路UC1~UCMによる合計抵抗値は約100[Ω]であり、回路DC1~DCMによる合計抵抗値は約100[Ω]である。よって、電圧生成部55では、電源(電圧V1)から接地に向かって、回路UC1~UCMおよび回路DC1~DCMを介して直流電流IMが流れる。このようにして、電圧生成部55は、中レベル電圧VMに対応する電圧を有する信号Vdcを生成するとともに、電圧生成部55の出力インピーダンスは、約50[Ω]になる。
(受信装置60)
図22に示したように、受信装置60は、受信部61,62,63と、処理部64とを有している。
受信部61は、信号SIG1A,SIG1B,SIG1Cを受信するとともに、この信号SIG1A,SIG1B,SIG1Cに基づいて、遷移信号RxF1,RxR1,RxP1およびクロック信号RxCK1を生成するものである。受信部62は、信号SIG2A,SIG2B,SIG2Cを受信するとともに、この信号SIG2A,SIG2B,SIG2Cに基づいて、遷移信号RxF2,RxR2,RxP2およびクロック信号RxCK2を生成するものである。受信部63は、信号SIG3A,SIG3B,SIG3Cを受信するとともに、この信号SIG3A,SIG3B,SIG3Cに基づいて、遷移信号RxF3,RxR3,RxP3およびクロック信号RxCK3を生成するものである。受信部61,62,63は、例えば、上記第1の実施の形態に係る受信部40(図9)と同様の構成を有するものである。
図28は、送信部51がシンボル“+x”を送信する場合における、送信部51および受信部61の一動作例を表すものである。なお、電圧生成部55において、回路UCは、トランジスタ91がオン状態になっているので、実線で示しており、回路DCは、トランジスタ94がオン状態になっているので、実線で示している。また、トランジスタ95を、その動作状態を示すスイッチで示している。
送信部51がシンボル“+x”を送信する場合には、上述したように、ドライバ59Aでは、回路UA1~UAM,UB1~UBMにおけるトランジスタ91がオン状態になる。その結果、信号SIG1Aの電圧が高レベル電圧VHになる。また、ドライバ59Bでは、回路DA1~DAM,DB1~DBMにおけるトランジスタ94がオン状態になる。その結果、信号SIG1Bの電圧が低レベル電圧VLになる。また、ドライバ59Cでは、トランジスタ95がオン状態になる。その結果、信号SIG1Cの電圧が中レベル電圧VMになる。
この場合には、受信部61では、入力端子Tin1A、抵抗素子41A、抵抗素子41B、入力端子Tin1Bの順に電流Iinが流れる。そして、アンプ43Aの正入力端子には高レベル電圧VHが供給されるとともに負入力端子には低レベル電圧VLが供給され、差分ABは正(AB>0)になるため、アンプ43Aは“1”を信号SABとして出力する。また、アンプ43Bの正入力端子には低レベル電圧VLが供給されるとともに負入力端子には中レベル電圧VMが供給され、差分BCは負(BC<0)になるため、アンプ43Bは“0”を信号SBCとして出力する。また、アンプ43Cの正入力端子には中レベル電圧VMが供給されるとともに負入力端子には高レベル電圧VHが供給され、差分CAは負(CA<0)になるため、アンプ43Cは“0”を信号SCAとして出力するようになっている。
処理部64(図22)は、遷移信号RxF1,RxR1,RxP1およびクロック信号RxCK1と、遷移信号RxF2,RxR2,RxP2およびクロック信号RxCK2と、遷移信号RxF3,RxR3,RxP3およびクロック信号RxCK3とに基づいて、所定の処理を行うものである。
ここで、遅延部58A,58B,58Cは、本開示における「複数の遅延部」の一具体例に対応する。ドライバ59A,59B,59Cは、本開示における「複数のドライバ」の一具体例に対応する。トランジスタ91は、本開示における「第1のトランジスタ」の一具体例に対応する。トランジスタ94は、本開示における「第2のトランジスタ」の一具体例に対応する。トランジスタ95は、本開示における「第3のトランジスタ」の一具体例に対応する。信号PUA,PMA,PDAは、本開示における「第1の信号」の一具体例に対応する。信号PUB,PMB,PDBは、本開示における「第2の信号」の一具体例に対応する。信号PUC,PMC,PDCは、本開示における「第3の信号」の一具体例に対応する。信号SIG1Aは、本開示における「第1の伝送信号」の一具体例に対応する。信号SIG1Bは、本開示における「第2の伝送信号」の一具体例に対応する。信号SIG1Cは、本開示における「第3の伝送信号」の一具体例に対応する。
通信システム2では、レーンLN1,LN2,LN3のそれぞれにおいて、通信システム1と同様に、クロック期間PCの長さが揃うように、遅延部58A,58B,58Cにおける遅延量を調節する。これにより、通信システム2では、通信システム1と同様に、クロック信号RxCK1~RxCK3のジッタJを低減することができ、その結果、通信品質を高めることができる。
また、通信システム2では、図22に示したように、送信装置50の電圧生成部55が、信号Vdcを、送信部51だけでなく、送信部52,53にも供給するようにした。言い換えれば、送信装置50では、3つの送信部51,52,53に対して1つの電圧生成部55を設けた。これにより、通信システム2では、消費電力を低減することができる。
以上のように本実施の形態では、複数の送信部に対して1つの電圧生成部を設けるようにしたので、消費電力を低減することができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
<3.適用例および応用例>
次に、上記実施の形態および変形例で説明した通信システムの適用例および応用例について説明する。
(適用例)
図29は、上記実施の形態等の通信システムが適用されるスマートフォン300(多機能携帯電話)の外観を表すものである。このスマートフォン300には、様々なデバイスが搭載されており、それらのデバイス間でデータのやり取りを行う通信システムにおいて、上記実施の形態等の通信システムが適用されている。
図30は、スマートフォン300に用いられるアプリケーションプロセッサ310の一構成例を表すものである。アプリケーションプロセッサ310は、CPU(Central Processing Unit)311と、メモリ制御部312と、電源制御部313と、外部インタフェース314と、GPU(Graphics Processing Unit)315と、メディア処理部316と、ディスプレイ制御部317と、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)インタフェース318とを有している。CPU311、メモリ制御部312、電源制御部313、外部インタフェース314、GPU315、メディア処理部316、ディスプレイ制御部317は、この例では、システムバス319に接続され、このシステムバス319を介して、互いにデータのやり取りをすることができるようになっている。
CPU311は、プログラムに従って、スマートフォン300で扱われる様々な情報を処理するものである。メモリ制御部312は、CPU311が情報処理を行う際に使用するメモリ501を制御するものである。電源制御部313は、スマートフォン300の電源を制御するものである。
外部インタフェース314は、外部デバイスと通信するためのインタフェースであり、この例では、無線通信部502およびイメージセンサ410と接続されている。無線通信部502は、携帯電話の基地局と無線通信をするものであり、例えば、ベースバンド部や、RF(Radio Frequency)フロントエンド部などを含んで構成される。イメージセンサ410は、画像を取得するものであり、例えばCMOSセンサを含んで構成される。
GPU315は、画像処理を行うものである。メディア処理部316は、音声や、文字や、図形などの情報を処理するものである。ディスプレイ制御部317は、MIPIインタフェース318を介して、ディスプレイ504を制御するものである。MIPIインタフェース318は、画像信号をディスプレイ504に送信するものである。画像信号としては、例えば、YUV形式やRGB形式などの信号を用いることができる。MIPIインタフェース318は、例えば水晶振動子を含む発振回路330から供給される基準クロックに基づいて動作するようになっている。このMIPIインタフェース318とディスプレイ504との間の通信システムには、例えば、上記実施の形態等の通信システムが適用される。
図31は、イメージセンサ410の一構成例を表すものである。イメージセンサ410は、センサ部411と、ISP(Image Signal Processor)412と、JPEG(Joint Photographic Experts Group)エンコーダ413と、CPU414と、RAM(Random Access Memory)415と、ROM(Read Only Memory)416と、電源制御部417と、I2C(Inter-Integrated Circuit)インタフェース418と、MIPIインタフェース419とを有している。これらの各ブロックは、この例では、システムバス420に接続され、このシステムバス420を介して、互いにデータのやり取りをすることができるようになっている。
センサ部411は、画像を取得するものであり、例えばCMOSセンサにより構成されるものである。ISP412は、センサ部411が取得した画像に対して所定の処理を行うものである。JPEGエンコーダ413は、ISP412が処理した画像をエンコードしてJPEG形式の画像を生成するものである。CPU414は、プログラムに従ってイメージセンサ410の各ブロックを制御するものである。RAM415は、CPU414が情報処理を行う際に使用するメモリである。ROM416は、CPU414において実行されるプログラムやキャリブレーションにより得られた設定値などを記憶するものである。電源制御部417は、イメージセンサ410の電源を制御するものである。I2Cインタフェース418は、アプリケーションプロセッサ310から制御信号を受け取るものである。また、図示していないが、イメージセンサ410は、アプリケーションプロセッサ310から、制御信号に加えてクロック信号をも受け取るようになっている。具体的には、イメージセンサ410は、様々な周波数のクロック信号に基づいて動作できるよう構成されている。MIPIインタフェース419は、画像信号をアプリケーションプロセッサ310に送信するものである。画像信号としては、例えば、YUV形式やRGB形式などの信号を用いることができる。MIPIインタフェース419は、例えば水晶振動子を含む発振回路430から供給される基準クロックに基づいて動作するようになっている。このMIPIインタフェース419とアプリケーションプロセッサ310との間の通信システムには、例えば、上記実施の形態等の通信システムが適用される。
(応用例)
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図32は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図32に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図32では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
ここで、図33は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図33には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
図32に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(Global System of Mobile communications)、WiMAX、LTE(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図32の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
なお、図32に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
以上説明した車両制御システム7000において、図1を用いて説明した本実施形態に係る通信システム1は、図32に示した応用例における各ブロック間の通信システムに適用することができる。具体的には、例えば、本技術は、撮像部7410(撮像部7910,7912,7914,7916,7918と、車外情報検出ユニット7400との間の通信システムに適用することができる。これにより、車両制御システム7000では、例えば、通信品質を高めることができるため、高い画質の画像を車外情報検出ユニット7400に供給することができる。その結果、車両制御システム7000では、車外情報をより正確に把握することができる。
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびにそれらの適用例および応用例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記の各実施の形態では、本技術を、3つの電圧レベルを有する信号を用いて通信を行う通信システムに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば4つ以上の電圧レベルを有する信号を用いて通信を行う通信システムに適用してもよい。具体的には、例えば、送信装置が、4つの信号SIG1,SIG2,SIG3,SIG4を受信装置に対して送信するように構成することができる。これらの信号SIG1,SIG2,SIG3,SIG4は、それぞれ4つの電圧レベルの間で遷移するものである。これらの信号SIG1,SIG2,SIG3,SIG4は、互いに異なる電圧レベルに設定される。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
(1)遅延量を変更可能な複数の遅延部と、
前記複数の遅延部に対応して設けられ、前記複数の遅延部のうちの対応する遅延部により遅延された信号に基づいて、対応する出力端子における電圧を互いに異なる電圧に設定する複数のドライバを有し、前記複数のドライバを用いて、シンボルのシーケンスを示すデータ信号を送信するドライバ部と、
前記シンボルのシーケンスにおけるシンボルの遷移に基づいて、前記複数の遅延部の前記遅延量をそれぞれ設定する制御部と
を備えた送信装置。
(2)前記複数の遅延部は、第1の遅延部と、第2の遅延部と、第3の遅延部とを有し、
前記複数のドライバは、
第1の出力端子における電圧を、第1の電圧、第2の電圧、および前記第1の電圧と前記第2の電圧の間の第3の電圧のうちのいずれかに選択的に設定する第1のドライバと、
第2の出力端子における電圧を、前記第1の電圧、前記第2の電圧、および前記第3の電圧のうちのいずれかに選択的に設定する第2のドライバと、
第3の出力端子における電圧を、前記第1の電圧、前記第2の電圧、および前記第3の電圧のうちのいずれかに選択的に設定する第3のドライバと
を有し、
前記第1の出力端子、前記第2の出力端子、および前記第3の出力端子における電圧は、互いに異なる
前記(1)に記載の送信装置。
(3)前記制御部は、前記第1の出力端子における電圧、前記第2の出力端子における電圧、および前記第3の出力端子における電圧がともに変化する複数の第1のシンボル遷移において、前記第1の遅延部、前記第2の遅延部、および前記第3の遅延部のうちのいずれか一の遅延部の遅延量を、前記一の遅延部以外の遅延部の遅延量よりも大きくする
前記(2)に記載の送信装置。
(4)前記複数の第1のシンボル遷移のうち、前記第1の出力端子における電圧が前記第3の電圧から前記第1の電圧または前記第2の電圧に変化する第2のシンボル遷移において、前記第1の遅延部における前記遅延量を、前記第2の遅延部における前記遅延量および前記第3の遅延部における前記遅延量よりも大きくする
前記(3)に記載の送信装置。
(5)前記制御部は、前記第2のシンボル遷移における前記第1の遅延部の前記遅延量を、前記第2のシンボル遷移以外の第3のシンボル遷移における前記第1の遅延部の前記遅延量よりも大きくする
前記(4)に記載の送信装置。
(6)前記シンボルの遷移を示す遷移信号に基づいてシンボル信号を生成する信号生成部をさらに備え、
前記第1の遅延部は、前記シンボル信号に応じた第1の信号を遅延させ、
前記第2の遅延部は、前記シンボル信号に応じた第2の信号を遅延させ、
前記第3の遅延部は、前記シンボル信号に応じた第3の信号を遅延させ、
前記制御部は、前記遷移信号に基づいて、前記シンボルの遷移を検出することにより、前記複数の遅延部の前記遅延量をそれぞれ設定する
前記(2)から(5)のいずれかに記載の送信装置。
(7)前記第1の遅延部は、第1のサブ信号および第2のサブ信号を含む第1の信号を遅延させ、
前記第1のドライバは、
第1の電源から前記第1の出力端子への経路上に設けられ、前記第1のサブ信号に基づいてオンオフする第1のトランジスタと、
第2の電源から前記第1の出力端子への経路上に設けられ、前記第2のサブ信号に基づいてオンオフする第2のトランジスタと
を有する
前記(2)から(6)のいずれかに記載の送信装置。
(8)前記第3の電圧を生成する電圧生成部をさらに備え、
前記第1の遅延部は、第1のサブ信号、第2のサブ信号、および第3のサブ信号を含む第1の信号を遅延させ、
前記第1のドライバは、
第1の電源から前記第1の出力端子への経路上に設けられ、前記第1のサブ信号に基づいてオンオフする第1のトランジスタと、
第2の電源から前記第1の出力端子への経路上に設けられ、前記第2のサブ信号に基づいてオンオフする第2のトランジスタと、
前記電圧生成部から前記第1の出力端子への経路上に設けられ、前記第3のサブ信号に基づいてオンオフする第3のトランジスタと
を有する
前記(2)から(6)のいずれかに記載の送信装置。
(9)シンボルのシーケンスにおけるシンボルの遷移に基づいて、複数の遅延部の遅延量をそれぞれ設定し、
前記複数の遅延部に対応して設けられた複数のドライバに対して、前記複数の遅延部のうちの対応する遅延部により遅延された信号に基づいて、対応する出力端子における電圧を互いに異なる電圧に設定させる
送信方法。
(10)送信装置と
受信装置と
を備え、
前記送信装置は、
遅延量を変更可能な複数の遅延部と、
前記複数の遅延部に対応して設けられ、前記複数の遅延部のうちの対応する遅延部により遅延された信号に基づいて、対応する出力端子における電圧を互いに異なる電圧に設定する複数のドライバを有し、前記複数のドライバを用いて、シンボルのシーケンスを示すデータ信号を送信するドライバ部と、
前記シンボルのシーケンスにおけるシンボルの遷移に基づいて、前記複数の遅延部の前記遅延量をそれぞれ設定する制御部と
を有する
通信システム。
(11)前記複数の遅延部は、第1の遅延部と、第2の遅延部と、第3の遅延部とを有し、
前記複数のドライバは、
第1の出力端子における電圧を、第1の電圧、第2の電圧、および前記第1の電圧と前記第2の電圧の間の第3の電圧のうちのいずれかに選択的に設定することにより第1の伝送信号を生成する第1のドライバと、
第2の出力端子における電圧を、前記第1の電圧、前記第2の電圧、および前記第3の電圧のうちのいずれかに選択的に設定することにより第2の伝送信号を生成する第2のドライバと、
第2の出力端子における電圧を、前記第1の電圧、前記第2の電圧、および前記第3の電圧のうちのいずれかに選択的に設定することにより第3の伝送信号を生成する第3のドライバと
を有し、
前記受信装置は、
前記第1の伝送信号および前記第2の伝送信号の差分を増幅することにより第1の差分信号を生成する第1のアンプと、
前記第2の伝送信号および前記第3の伝送信号の差分を増幅することにより第2の差分信号を生成する第2のアンプと、
前記第3の伝送信号および前記第1の伝送信号の差分を増幅することにより第3の差分信号を生成する第3のアンプと、
前記第1の差分信号、前記第2の差分信号、および前記第3の差分信号に基づいてクロック信号を生成するクロック生成部と
を有する
前記(10)に記載の通信システム。
(12)前記クロック生成部は、前記シンボルが遷移したときに前記第1の差分信号、前記第2の差分信号、および前記第3の差分信号のうちの最初に遷移した信号に基づいてクロックパルスを生成することにより、前記クロック信号を生成する
前記(11)に記載の通信システム。
本出願は、日本国特許庁において2016年12月14日に出願された日本特許出願番号2016-241973号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。