以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る内周面加工装置1を示している。内周面加工装置1は、円柱状のシリンダボアBが形成されたワーク(工作物)Wの該シリンダボアBを囲むシリンダ部Cの内周面C0を加工するものである。なお、本実施形態1では、内周面加工装置1は、所謂NC工作機械であり、一列に並ぶ4つのシリンダボアBが形成されたエンジンブロックを上記ワークWとし、数値制御によって自動的にシリンダ部Cの内周面C0の研削加工を行うように構成されている。
ここで、シリンダ部Cは、シリンダブロックからなるワークWにおいて4つのシリンダボアBを囲む円筒状の周壁部分を指す。
なお、説明の便宜上、ワークWにおいて一列に並ぶ4つのシリンダ部Cを、順に、第1シリンダ部C1、第2シリンダ部C2、第3シリンダ部C3、第4シリンダ部C4と呼ぶ。
また、以下の説明において、図1に示すように、内周面加工装置1の幅方向(紙面右手前から左奥に向かう方向)をX軸方向、内周面加工装置1の奥行方向(紙面左手前から右奥に向かう方向)をY軸方向、内周面加工装置1の高さ方向(紙面上下方向)をZ軸方向と呼ぶ。また、X軸方向に沿って図1の紙面左側を「左側」、紙面右側を「右側」と呼ぶ。さらに、Y軸方向に沿って図1の紙面手前側を「前側」、紙面奥側を「後側」と呼ぶ。
-構成-
図1に示すように、内周面加工装置1は、ベッド2とコラム3とを備えている。ベッド2は、X軸方向に延びる直方体形状の部材とY軸方向に延びる直方体形状の部材とによってT字状に構成され、水平な設置面に載置されている。コラム3は、Z軸方向に延びる直方体形状の部材によって構成され、ベッド2のY軸方向に延びる部材上に立設されている。ベッド2とコラム3とで内周面加工装置1の支持構造体が構成されている。
また、内周面加工装置1は、研削加工部10と、ワーク搬送部20と、ワーク回転支持部30と、移動機構40(図3参照)と、バランス機構50と、ドレス機構60と、インプロセスゲージ70と、制御部80とを備えている。研削加工部10は、コラム3に設置され、該コラム3に荷重が支持される。ワーク搬送部20は、ベッド2に設置され、該ベッド2に荷重が支持される。ワーク回転支持部30は、ワーク搬送部20に設置され、該ワーク搬送部20に荷重が支持される。移動機構40及びバランス機構50は、ワーク回転支持部30に設置され、ドレス機構60及びインプロセスゲージ70は、ワーク搬送部20に設けられている。制御部80は、ベッド2の内部に設けられている。
以下、各部の構成について詳述する。
〈研削加工部〉
図1に示すように、研削加工部10は、研削砥石11と、研削主軸12と、研削ホルダ13と、研削本体部14と、研削テーブル15と、Z軸ガイド16と、回転モータ17と、昇降モータ18とを有している。
図2に示すように、研削砥石11は、外径がワークWのシリンダ部Cの内径よりも小さい円筒形状に形成されている。
研削主軸12は、Z軸方向に延びる断面が円柱形状の棒状部材によって構成されている。研削主軸12の先端(本実施形態では下端)には、中心線Z1が一致するように研削砥石11が取り付けられている。一方、研削主軸12の基端(本実施形態では上端)は、研削ホルダ13に回転自在に保持されている。
研削ホルダ13は、円筒状に形成され、研削本体部14に保持されている。また、研削ホルダ13は、研削主軸12が自転可能なように、研削主軸12の基端を回転自在に保持している。
研削本体部14は、直方体形状に形成され、前方に研削ホルダ13を保持する一方、後面が研削テーブル15に固定されている。
研削テーブル15は、直方体形状の箱状に形成され、前面に上述の研削本体部14が固定され、後面はZ軸ガイド16に噛み合う形状に形成されている。研削テーブル15は、Z軸ガイド16によってZ軸方向に移動可能に構成されている。研削テーブル15は、Z軸方向に往復移動することにより、研削本体部14をZ軸方向に上下動させる。
Z軸ガイド16は、コラム3の前面に設けられたZ軸方向に長く延びる長尺部材である。本実施形態では、Z軸ガイド16は、Z軸方向に長い矩形の板状体によって構成されている。Z軸ガイド16は、コラム3の上端部から下端部に亘って形成されている。なお、Z軸ガイド16は、研削テーブル15のZ軸方向への移動を案内するものであれば、いかなる形状であってもよい。Z軸ガイド16は、2本のレールによって形成されていてもよい。
回転モータ17は、研削ホルダ13の上部に設けられている。回転モータ17の駆動軸は、研削ホルダ13の内部において、該研削ホルダ13に保持された研削主軸12が自転するように研削主軸12に連結されている。回転モータ17が研削主軸12を自転させると、研削主軸12に取り付けられた研削砥石11が中心線Z1を中心に自転する。つまり、研削主軸12の中心線Z1は、研削砥石11の自転軸となる。
昇降モータ18は、コラム3に設けられている。昇降モータ18は、研削テーブル15がZ軸ガイド16に沿ってZ軸方向に往復移動するように研削テーブル15に連結されている。昇降モータ18が研削テーブル15を上下動させると、研削本体部14、該研削本体部14に保持された研削ホルダ13及び該研削ホルダ13に回転自在に保持された研削主軸12が上下動し、研削砥石11が上下動することとなる。
〈ワーク搬送部〉
ワーク搬送部20は、X軸ガイド21と、搬送テーブル(支持台)22と、搬送モータ23とを有している。
X軸ガイド21は、ベッド2の上面に設けられたX軸方向に長く延びる長尺部材である。本実施形態では、X軸ガイド21は、X軸方向に長い矩形の板状体によって構成されている。X軸ガイド21は、ベッド2のX軸方向の一端部から他端部に亘って形成されている。なお、X軸ガイド21は、搬送テーブル22のX軸方向への移動を案内するものであれば、いかなる形状であってもよい。X軸ガイド21は、2本のレールによって形成されていてもよい。
搬送テーブル22は、直方体形状に形成され、搬送テーブル22の上方に設けられ、下面がX軸ガイド21に噛み合う形状に形成されている。搬送テーブル22は、X軸ガイド21によってX軸方向に移動可能に構成されている。
搬送モータ23は、ベッド2に設けられている。搬送モータ23は、搬送テーブル22がX軸方向に往復移動するように搬送テーブル22に連結されている。搬送モータ23によって搬送テーブル22がX軸方向に移動することにより、搬送テーブル22上に設けられたワークテーブル31がX軸方向に移動し、ワークテーブル31に保持されたワークWがX軸方向に移動することとなる。
〈ワーク回転支持部〉
図1に示すように、ワーク回転支持部30は、ワークテーブル(回転台)31と、モータ(回転機構)32とを備えている。
図3~図6に示すように、ワークテーブル31は、水平方向に拡がるテーブル本体34と、ワークWを保持する保持部35とを有している。テーブル本体34は、円板状に形成され、搬送テーブル22に回転軸ZTを中心に回転自在に支持されている。保持部35は、ワークWの底部が嵌まり込む形状に形成されている。また、保持部35は、テーブル本体34に径方向に移動可能に支持されている。さらに、保持部35は、移動機構40の油圧シリンダ(流体圧アクチュエータ)41に接続され、該油圧シリンダ41によってテーブル本体34上における位置が変更されるように構成されている。以上により、ワークテーブル31は、ワークWを径方向に移動可能に保持するように構成されている。
図1に示すように、モータ32は、ワーク搬送部20の搬送テーブル22に設けられ、ワークテーブル31を回転軸ZT周りに回転駆動する。例えば、ワークテーブル31のテーブル本体34の下面中央に一体に形成した回転軸ZTを中心線とする主軸部にモータ32の回転力が伝達されるように、モータ32の駆動軸と主軸部とが連結されている。
〈移動機構〉
移動機構40は、ワークテーブル31(テーブル本体34)上においてワークWをシリンダ部Cの配列方向に往復移動させ、各シリンダ部Cの中心線ZCとワークテーブル31の回転軸ZTとが一致する各加工位置に配置するものである。
図3~図6に示すように、移動機構40は、油圧シリンダ41と、油圧駆動回路42と、作動部材43と、ストッパ44と、エアシリンダ45と、空気圧駆動回路46とを備えている。
油圧シリンダ41は、シリンダ41aと、該シリンダ41a内を第1室S1と第2室S2とに仕切るピストン41bと、一端が該ピストン41bの第2室S2側に連結されたロッド41cとを有している。ロッド41cの他端は、作動部材43に接続されている。油圧シリンダ41は、ワークテーブル31のテーブル本体34に取り付けられている。具体的には、油圧シリンダ41は、ロッド41cが保持部35の移動方向(テーブル本体34の径方向)に進退するようにテーブル本体34に取り付けられている。
油圧駆動回路42は、第1流路47及び第2流路48によって油圧シリンダ41に接続され、油圧シリンダ41の第1室S1及び第2室S2に作動油を給排することにより、油圧シリンダ41のロッド41cを駆動するように構成されている。油圧駆動回路42は、搬送テーブル22に設けられ、該油圧駆動回路42と油圧シリンダ41とを接続する第1流路47及び第2流路48は、それぞれ一部がワークテーブル31のテーブル本体34の回転軸ZT上に設けられたロータリージョイント90内の2本の流路によって構成されている。つまり、テーブル本体34と共に回転する油圧シリンダ41と、搬送テーブル22に設けられて回転しない油圧駆動回路42とは、内部に第1流路47及び第2流路48の一部を構成する作動油の流路が形成されたロータリージョイント90を介して接続されている。なお、詳細については後述するが、本実施形態では、ロータリージョイント90には、エアシリンダ45と空気圧駆動回路46とを接続する第3流路49の一部を構成する空気流路も形成されている。
油圧駆動回路42は、例えば、作動油が貯留されるタンクと、該タンクに接続されて作動油が流通する供給路及び排出路と、供給路に設けられてタンクから油圧シリンダ41へ作動油を搬送する油圧ポンプと、供給路及び排出路に跨がるように設けられた切換弁とを有している。切換弁には、シリンダ41a内の第1室S1に接続された第1流路47とシリンダ41a内の第2室S2に接続された第2流路48とが接続され、供給路及び排出路と第1流路47及び第2流路48との接続を切り換えるように構成されている。切換弁は、供給路を第1流路47に接続すると共に排出路を第2流路48に接続してタンク内の作動油を油圧シリンダ41の第1室S1に供給する一方、第2室S2の作動油をタンク内に回収する第1の状態と、供給路を第2流路48に接続すると共に排出路を第1流路47に接続してタンク内の作動油を油圧シリンダ41の第2室S2に供給する一方、第1室S1の作動油をタンク内に回収する第2の状態とに切り換え可能に構成されている。
作動部材43は、略L字状の長尺部材によって構成され、長尺の略長方形状の板状体からなる作動本体43aと、該作動本体43aの先端部から該作動本体43aに直交する方向に突出した短尺の略直方体形状の突出部43bとを有している。作動部材43は、ワークテーブル31のテーブル本体34に、保持部35の移動方向(テーブル本体34の径方向)に移動自在に取り付けられている。作動部材43は、作動本体43aが保持部35に対して移動しないように該保持部35の底面に固定されている。また、作動部材43は、作動本体43aの基端部に、互いの長手方向が一致する又は平行になるように、上記油圧シリンダ41のロッド41cが連結されている。このような構成により、作動部材43は、油圧シリンダ41のロッド41cの進退に伴って、同方向に往復移動し、回転するテーブル本体34において保持部35を該テーブル本体34の径方向に移動させる。
ストッパ44は、第1~第4ストッパ44a~44dと連結部44eとを有している。第1~第4ストッパ44a~44dは、作動部材43の側方において、作動本体43a及び油圧シリンダ41のロッド41cに平行な方向に、基端側から先端側へ、第1ストッパ44a、第2ストッパ44b、第3ストッパ44c、第4ストッパ44dの順に並んでいる。連結部44eは、作動部材43の移動方向に平行な方向に延び、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cを連結している。
具体的には、第1ストッパ44a及び第4ストッパ44dは、作動部材43の突出部43bの移動経路上に配置され、作動部材43の突出部43bと当接して作動部材43がそれ以上移動しないように移動を規制するように構成されている。これにより、突出部43bは、第1ストッパ44aと第4ストッパ44dとの間でのみ移動可能に構成され、これにより、作動部材43の可動範囲が制限される。
第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cは、本実施形態では、連結部44eと一体に形成され、該連結部44eの長手方向の一端部(第1ストッパ44a側の端部)と他端部(第4ストッパ44d側の端部)とから作動部材43側へ突出している。このような構成により、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cは、連結部44eによって略コ字状に連結されている。また、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cは、エアシリンダ45により、後述する前進位置(図4及び図5参照)と後退位置(図3及び図6参照)とに移動可能に構成されている。前進位置は、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cが、作動部材43の突出部43bの移動経路上に配置されて該突出部43bと当接する位置であり、後退位置は、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cが、作動部材43の突出部43bの移動経路上から後退して該突出部43bと当接しない位置である。
なお、第1ストッパ44aが作動部材43の突出部43bと当接するとき、作動部材43が固定された保持部35に保持されたワークWは、第1シリンダ部C1の中心線ZCとワークテーブル31のテーブル本体34の回転軸ZTが一致する第1加工位置に配置される。同様に、第2ストッパ44bが突出部43bと当接するとき、ワークWは、第2シリンダ部C2の中心線ZCとテーブル本体34の回転軸ZTが一致する第2加工位置に配置され、第3ストッパ44cが突出部43bと当接するとき、ワークWは、第3シリンダ部C3の中心線ZCとテーブル本体34の回転軸ZTが一致する第3加工位置に配置され、第4ストッパ44dが突出部43bと当接するとき、ワークWは、第4シリンダ部C4の中心線ZCとテーブル本体34の回転軸ZTが一致する第4加工位置に配置される。
エアシリンダ45は、シリンダ45aと、該シリンダ45a内を第1室S11と第2室S12とに仕切るピストン45bと、一端が該ピストン45bの第2室S12側に連結されたロッド45cと、バネ45dとを有している。ロッド45cの他端は、ストッパ44の連結部44eの長手方向の中央部分に該連結部44eに垂直な方向に延びるように連結されている。バネ45dは、第1室S11に設けられてピストン45bを第2室S12側に付勢している。
エアシリンダ45は、ワークテーブル31のテーブル本体34に取り付けられ、ストッパ44に対して作動部材43の反対側に設けられている。エアシリンダ45は、ロッド45cを進退させることによって、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cの位置を、作動部材43の突出部43bの移動経路上にある前進位置(図4及び図5参照)と、作動部材43の突出部43bの移動経路上から後退させた後退位置(図3及び図6参照)とに切り換えるように構成されている。具体的には、図4及び図5に示すように、エアシリンダ45のロッド45cが前進すると、連結部44eが作動部材43側へ押され、これに伴って第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cが作動部材43の突出部43bの移動経路上に配置される。一方、図3及び図6に示すように、エアシリンダ45のロッド45cがシリンダ45aの内側へ退くと、連結部44eが作動部材43から離れる方向へ引っ張られて後退し、これに伴って第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cが作動部材43の突出部43bの移動経路上から後退させられる。
空気圧駆動回路46は、第3流路49によってエアシリンダ45に接続され、エアシリンダ45の第2室S12に空気を給排することにより、エアシリンダ45のロッド45cを駆動するように構成されている。空気圧駆動回路46は、搬送テーブル22に設けられ、該空気圧駆動回路46とエアシリンダ45とを接続する第3流路49は、一部がワークテーブル31のテーブル本体34の回転軸ZT上に設けられたロータリージョイント90内の空気流路によって構成されている。つまり、テーブル本体34と共に回転するエアシリンダ45と、搬送テーブル22に設けられて回転しない空気圧駆動回路46とは、内部に第3流路49の一部を構成する空気流路が形成されたロータリージョイント90を介して接続されている。なお、上述のように、本実施形態では、ロータリージョイント90には、油圧シリンダ41と油圧駆動回路42とを接続する第1流路47及び第2流路48の一部を構成する作動油の流路も形成されている。
空気圧駆動回路46は、例えば、エアタンクと、該エアタンク内の空気圧を所望の圧力に調整するエアポンプと、該エアタンクとエアシリンダ45の第2室S12とを連通させて該第2室S12にエアタンク内の圧力を作用させるオン状態と、エアシリンダ45の第2室S12を大気圧下に開放するオフ状態とに状態を切り換える切換機構とを有している。切換機構によってオン状態に切り換えると、エアシリンダ45の第2室S12内の圧力がエアタンク内の圧力と等しくなり、切換機構によってオフ状態に切り換えると、エアシリンダ45の第2室S12内の圧力が大気圧に等しくなる。そこで、エアタンク内の空気圧をエアシリンダ45のバネ45dの付勢力によってピストン45bに作用する圧力に対応してこの圧力より高くなるように設定する。その結果、切換機構によってオン状態に切り換えると、ピストン45bに作用する圧縮空気による力がバネ45dの付勢力より大きくなり、ピストン45bが第1室S11側へ移動してロッド45cが後退する。逆に、切換機構によってオフ状態に切り換えると、第2室S12の圧力が大気圧に等しくなり、ピストン45bはバネ45dの付勢力よって第2室S12側へ移動してロッド45cが前進する。
〈バランス機構〉
バランス機構50は、一対のバランスウェイト51と、連動機構52とを有している。バランス機構50は、ワークWの位置に応じて、一対のバランスウェイト51を、ワークWに作用する遠心力を相殺する遠心力が作用する位置に移動させるように構成されている。バランス機構50は、ワークテーブル31に設けられている。
一対のバランスウェイト51は、ワークテーブル31のテーブル本体34上に設けられている。一対のバランスウェイト51は、ワークWと等しい重さに構成され、ワークWの両側に、4つのシリンダ部Cの中心線ZCを含む垂直面に対して対称に配置されている。また、一対のバランスウェイト51は、それぞれワークWを保持する保持部35の移動方向(テーブル本体34の径方向)に平行に移動可能に構成されている。
連動機構52は、第1ラック53と、ピニオン54と、第2ラック55とを備えている。第1ラック53は、作動部材43の作動本体43aと兼用される長尺の略長方形状の板状体からなるラック本体53aと、該ラック本体53aの突出部43bとは逆側の側部に形成された歯部53bとを有している。ラック本体53a(作動本体43a)は、保持部35の底面に固定されている。即ち、第1ラック53は、保持部35に連結されて該保持部35と一体となって移動するように構成されている。
ピニオン54は、円環形状の本体部54aと、該本体部54aの外周に形成された歯部54bとを有している。本体部54aは、ワークテーブル31のテーブル本体34に、該テーブル本体34に直交する回転軸周りに回転自在に取り付けられている。歯部54bは、第1ラック53の歯部53bと噛み合い、第1ラック53の移動に伴い、回転軸周りに回転するように構成されている。
第2ラック55は、第1ラック53と同様に構成されている。具体的には、第2ラック55は、長尺の略長方形状の板状体からなるラック本体55aと、該ラック本体55aの第1ラック53とは反対側の側部に形成された歯部54bとを有している。第2ラック55は、歯部54bがピニオン54と噛み合い、該ピニオン54の回転に伴い、第1ラック53に平行に且つ逆方向に移動するように構成されている。ラック本体55aには、上記一対のバランスウェイト51が固定されている。即ち、第2ラック55は、一対のバランスウェイト51が固定されて該一対のバランスウェイト51と一体となって移動するように構成されている。
以上のような構成により、バランス機構50は、移動機構40によって保持部35に保持されたワークWがテーブル本体34の径方向の一方側、例えば、図4の状態から右側へ移動すると、第1ラック53も右側へ移動し、ピニオン54が反時計回りに回転する。これにより、第2ラック55が図4における左側へ移動し、一対のバランスウェイト51が第2ラック55と同方向、即ち、ワークWの移動方向と逆方向に移動する。このようにして、バランスウェイト51は、ワークWに作用する遠心力を相殺する位置に配置される。
一方、移動機構40によってワークWがテーブル本体34の径方向の他方側、例えば、図3の状態から左側へ移動すると、第1ラック53が同方向へ移動し、ピニオン54が時計回りに回転する。これにより、第1ラック53が図3における右側へ移動し、一対のバランスウェイト51が第2ラック55と同方向、即ち、ワークWの移動方向と逆方向に移動する。このようにして、バランスウェイト51は、ワークWに作用する遠心力を相殺する位置に配置される。
ドレス機構60は、ドレス部61と、該ドレス部61を支持する支持部62とを有している。ドレス部61は、側面に多数のダイヤモンド片が固定され、研削砥石11をドレス部61の側面に当接させた状態で自転させることにより、研削砥石11の外周面がドレスするように構成されている。支持部62は、L字形状の部材によって構成され、搬送テーブル22の側面に固定されている。支持部62の上端部にドレス部61が取り付けられている。支持部62は、ドレス部61のY軸方向の位置が研削砥石11のY軸方向の位置と等しくなるようにドレス部61を支持している。このような構成により、図1において、搬送テーブル22をX軸方向に移動させると、ドレス部61の側面が研削砥石11の外周面に当接する。このドレス部61の側面が研削砥石11の外周面に当接する位置において、研削砥石11を自転させると、研削砥石11の外周面がドレス部61の側面に固定された多数のダイヤモンド片によって削られ、ドレス(整形)される。
インプロセスゲージ70は、一対のアーム部71と、本体部72と、支持部73とを有している。一対のアーム部71は、先端の測定子が各シリンダ部Cの内周面C0に接触するようにL字状に形成されている。本体部72は、一対のアーム部71の間隔を変更可能に保持している。支持部73は、L字形状の部材によって構成され、搬送テーブル22のドレス機構60が設けられた側面に対向する側面に固定されている。支持部73の上端部に本体部72が取り付けられている。図示を省略しているが、一対のアーム部71は上下動又は揺動するように構成され、各シリンダ部Cに対し、一対のアーム部71の先端の測定子を出し入れできるように構成されている。以上のような構成要素により、インプロセスゲージ70は、シリンダ部C内に一対のアーム部71の先端の測定子を挿入し、一対のアーム部71の間隔を拡げて測定子をシリンダ部Cの内周面C0に当接させることによって、シリンダ部Cの内径を測定するように構成されている。
〈制御部〉
制御部80は、内周面加工装置1の各種機器の作動を制御するものであり、ベッド2の内部に収容されている。本実施形態では、制御部80は、研削加工部10の回転モータ17及び昇降モータ18、ワーク搬送部20の搬送モータ23、ワーク回転支持部30のモータ32、移動機構40の油圧駆動回路42及び空気圧駆動回路46、インプロセスゲージ70の動作を制御する。制御部80は、コンピュータやこれに実装されたプログラム等のソフトウェアで構成されている。制御部80は、動作を制御する各機器と電気的に接続され、各機器を動作させる際に、各機器の速度、位置、作動タイミング等を数値制御する。
-内周面加工動作-
次に、内周面加工装置1によるワークWへの内周面加工動作について説明する。本実施形態では、内周面加工装置1が自動車等のエンジンに用いられるエンジンブロックの製造ラインで用いられ、等間隔で一列に並ぶ4つのシリンダ部(第1~第4シリンダ部C1~C4)を有するエンジンブロックを、加工対象(ワークW)とする場合における内周面加工動作について説明する。なお、本実施形態では、内周面加工装置1は、ワークWに対し、第1シリンダ部C1、第3シリンダ部C3、第2シリンダ部C2、第4シリンダ部C4の順に内周面C0の研削を行う。
〈第1シリンダ部の内周面研削〉
制御部80は、以下の手順で第1シリンダ部C1の内周面C0の研削加工を行う。
まず、制御部80は、ワーク搬送部20の搬送モータ23の動作を制御して、搬送テーブル22を搬出入位置に移動させる。なお、搬出入位置は、図示しないワーク交換装置によってワークWが搬入、搬出される位置である。本実施形態では、搬送テーブル22がX軸ガイド21の左側端部付近にあるとき、搬送テーブル22は搬出入位置に配置され、図示しないワーク交換装置によってワークテーブル31の保持部35に保持された処理後のワークWが取り除かれ、未処理のワークWが供給される。
ワークテーブル31の保持部35に未処理のワークWが供給されると、制御部80は、ワーク搬送部20の搬送モータ23の動作を制御して、搬送テーブル22を研削加工部10に対峙する位置に移動させる。具体的には、制御部80は、搬送モータ23によって搬送テーブル22を駆動してX軸方向に移動させ、ワークテーブル31の回転軸ZTと研削砥石11の中心線Z1とが一致する加工前位置に配置する。そして、制御部80は、ワーク回転支持部30のモータ32の動作を制御して、搬送テーブル22上に設けられたワークテーブル31を回転させる。具体的には、モータ32によってテーブル本体34が搬送テーブル22上で回転軸ZT周りに回転し、保持部35に保持されたワークWが回転軸ZT周りに回転する。なお、搬送テーブル22を加工前位置に移動させる動作とワークテーブル31を回転させる動作とは同時に行ってもよく、ワークテーブル31を回転させてから搬送テーブル22を加工前位置に移動させてもよい。
また、制御部80は、移動機構40の動作を制御して、ワークテーブル31のテーブル本体34上のワークWを第1加工位置に移動させる。
具体的には、図3に示すように、制御部80は、油圧駆動回路42の油圧ポンプを駆動させ、切換弁を、供給路が第2流路48に接続されると共に排出路が第1流路47に接続される第2の状態に切り換える。これにより、油圧駆動回路42のタンク内の作動油が油圧シリンダ41の第2室S2に供給される一方、第1室S1の作動油がタンク内に回収され、油圧シリンダ41のピストン41bが第1室S1側へ押圧されて後退する。ピストン41bの後退に伴ってロッド41c及び作動部材43も後退する。
また、制御部80は、空気圧駆動回路46のエアポンプを駆動させ、切換機構をエアシリンダ45の第2室S12とエアタンクとが連通するオン状態に切り換える。これにより、エアシリンダ45の第2室S12内の圧力がエアタンク内の圧力と等しくなり、ピストン45bに作用する圧縮空気による力がバネ45dの付勢力より大きくなってピストン45b及びロッド45cが後退する。これにより、連結部44eが後退し、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cが作動部材43の突出部43bの移動経路上から後退する。
そのため、作動部材43は、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cに当接することなく後退し、やがて突出部43bが第1ストッパ44aに当接することによってそれ以上後退しないように動作が規制される。なお、上述したように、第1ストッパ44aが作動部材43の突出部43bと当接するとき、ワークWは、第1シリンダ部C1の中心線ZCとワークテーブル31のテーブル本体34の回転軸ZTが一致する第1加工位置に配置されるため、このようにしてワークWが第1加工位置に配置されることとなる。
なお、このとき、バランス機構50の連動機構52により、ワークWの移動に伴って一対のバランスウェイト51が逆方向に移動する。具体的には、移動機構40によるワークWの図3における右側への移動に伴い、第1ラック53が図3における右側へ移動し、ピニオン54が図3において反時計回りに回転する。これにより、第2ラック55が図3における左側へ移動し、一対のバランスウェイト51が第2ラック55と同方向、即ち、ワークWの移動方向と逆方向に移動する。このようにしてワークWと等しい重さの一対のバランスウェイト51がワークWと逆方向に移動することにより、一対のバランスウェイト51にワークWに作用する遠心力を相殺する遠心力が作用し、ワークテーブル31に作用する遠心力がバランスするため、ワークテーブル31の回転が安定する。
ワークWが第1加工位置に配置されると、制御部80は、インプロセスゲージ70の一対のアーム部71の先端の測定子を第1シリンダ部C1内に挿入し、2つの測定子を内周面C0に当接させる。また、制御部80は、研削加工部10の回転モータ17及び昇降モータ18の動作を制御して、第1シリンダ部C1の内部に研削砥石11を進出させて自転させることにより、第1シリンダ部C1の内周面C0の研削加工を行う。
具体的には、制御部80は、まず、昇降モータ18を動作させて研削テーブル15を、研削砥石11がワークWの上面よりも上方にある所定の待機位置から研削砥石11が第1シリンダ部C1内に位置する研削位置までZ軸方向の下側へ移動させる。つまり、研削砥石11を第1シリンダ部C1内に進出させる。また、制御部80は、回転モータ17を動作させる。これにより、研削主軸12及び研削砥石11が中心線Z1周りに回転する。なお、研削砥石11を第1シリンダ部C1内に進出させる動作と研削砥石11を回転させる動作とは同時に行ってもよく、研削砥石11を回転させてから第1シリンダ部C1内に進出させてもよい。
このとき、搬送テーブル22は加工前位置にあり、ワークWはワークテーブル31上において第1加工位置に配置されている。そのため、研削砥石11の中心線Z1と第1シリンダ部C1の中心線Zcとが一致した状態で研削砥石11が第1シリンダ部C1内に進出する。上述したように、研削砥石11は、各シリンダ部Cの内径よりも小径に形成されているため、研削砥石11が第1シリンダ部C1内に進出する際、該第1シリンダ部C1にひっかかることなくシリンダボアBに挿入される。
次に、制御部80は、ワーク搬送部20の搬送モータ23の動作を制御して、搬送テーブル22を、加工前位置から加工位置に移動させる。具体的には、制御部80は、搬送モータ23によって搬送テーブル22を駆動してX軸方向に移動させ、研削砥石11の外周面を第1シリンダ部C1の内周面C0に当接させる。また、制御部80は、昇降モータ18を動作させて研削テーブル15をZ軸ガイド16に沿ってZ軸方向に往復移動させる。これにより、研削砥石11が第1シリンダ部C1の内周面C0に当接しながらZ軸方向に上下動して、第1シリンダ部C1の内周面C0が研削砥石11によって研削される。
第1シリンダ部C1の内周面C0の研削が完了すると、制御部80は、ワーク搬送部20の搬送モータ23の動作を制御して、搬送テーブル22を、加工位置から加工前位置に移動させ、さらに、昇降モータ18を動作させて研削テーブル15を研削位置から待機位置までZ軸方向の上側へ移動させる。
〈第3シリンダ部の内周面研削〉
次に、制御部80は、第3シリンダ部C3の内周面C0の研削加工を行う。
まず、制御部80は、ワークテーブル31を回転させたまま、移動機構40の動作を制御して、ワークテーブル31のテーブル本体34上のワークWを第3加工位置に移動させる。
具体的には、図4に示すように、制御部80は、油圧駆動回路42の油圧ポンプを駆動させ、切換弁を、供給路が第1流路47に接続されると共に排出路が第2流路48に接続される第1の状態に切り換える。これにより、油圧駆動回路42のタンク内の作動油が油圧シリンダ41の第1室S1に供給される一方、第2室S2の作動油がタンク内に回収され、油圧シリンダ41のピストン41bが第2室S2側へ押圧されて前進する。ピストン41bの前進に伴ってロッド41c及び作動部材43も前進する。
また、制御部80は、空気圧駆動回路46の切換機構をエアシリンダ45の第2室S12が大気圧下に開放されるオフ状態に切り換える。これにより、エアシリンダ45の第2室S12内の圧力が大気圧と等しくなり、ピストン45bはバネ45dの付勢力よって第2室S12側へ移動してロッド45cが前進する。これにより、連結部44eが前進し、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cが前進して作動部材43の突出部43bの移動経路上に配置される。
このような動作により、作動部材43は、突出部43bが第1ストッパ44aに当接する図3の位置から同図において左側へ前進し、やがて、第3ストッパ44cに当接することによってそれ以上前進しないように動作が規制される。なお、上述したように、第3ストッパ44cが作動部材43の突出部43bと当接するとき、ワークWは、第3シリンダ部C3の中心線ZCとワークテーブル31のテーブル本体34の回転軸ZTが一致する第3加工位置に配置されるため、このようにしてワークWが第3加工位置に配置されることとなる。
なお、このとき、バランス機構50の連動機構52により、ワークWの移動に伴って一対のバランスウェイト51が逆方向に移動する。具体的には、移動機構40によるワークWの図4における左側への移動に伴い、第1ラック53が図4における左側へ移動し、ピニオン54が図4において時計回りに回転する。これにより、第2ラック55が図4における右側へ移動し、一対のバランスウェイト51が第2ラック55と同方向、即ち、ワークWの移動方向と逆方向に移動する。このようにしてワークWと等しい重さの一対のバランスウェイト51がワークWと逆方向に移動することにより、一対のバランスウェイト51にワークWに作用する遠心力を相殺する遠心力が作用し、ワークテーブル31に作用する遠心力がバランスするため、ワークテーブル31の回転が安定する。
ワークWが第3加工位置に配置されると、制御部80は、インプロセスゲージ70の一対のアーム部71の先端の測定子を第3シリンダ部C3内に挿入し、2つの測定子を内周面C0に当接させる。また、制御部80は、研削加工部10の回転モータ17及び昇降モータ18の動作を制御して、第3シリンダ部C3の内部に研削砥石11を進出させて自転させることにより、第3シリンダ部C3の内周面C0の研削加工を行う。なお、これ以降の動作は、第1シリンダ部C1の内周面C0の研削加工を行う際と同様であるため、説明を省略する。
〈第2シリンダ部の内周面研削〉
次に、制御部80は、第2シリンダ部C2の内周面C0の研削加工を行う。
まず、制御部80は、ワークテーブル31を回転させたまま、移動機構40の動作を制御して、ワークテーブル31のテーブル本体34上のワークWを第2加工位置に移動させる。
具体的には、図5に示すように、制御部80は、油圧駆動回路42の油圧ポンプを駆動させ、切換弁を、供給路が第2流路48に接続されると共に排出路が第1流路47に接続される第2の状態に切り換える。これにより、油圧駆動回路42のタンク内の作動油が油圧シリンダ41の第2室S2に供給される一方、第1室S1の作動油がタンク内に回収され、油圧シリンダ41のピストン41bが第1室S1側へ押圧されて後退する。ピストン41bの後退に伴ってロッド41c及び作動部材43も後退する。
また、制御部80は、空気圧駆動回路46の切換機構をエアシリンダ45の第2室S12が大気圧下に開放されるオフ状態のまま維持する。これにより、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cは、作動部材43の突出部43bの移動経路上に配置されたままとなる。
このような動作により、作動部材43は、突出部43bが第3ストッパ44cに当接する図4の位置から同図において右側へ後退し、やがて、第2ストッパ44bに当接することによってそれ以上後退しないように動作が規制される。なお、上述したように、第2ストッパ44bが作動部材43の突出部43bと当接するとき、ワークWは、第2シリンダ部C2の中心線ZCとワークテーブル31のテーブル本体34の回転軸ZTが一致する第2加工位置に配置されるため、このようにしてワークWが第2加工位置に配置されることとなる。
なお、このとき、バランス機構50の連動機構52により、ワークWの移動に伴って一対のバランスウェイト51が逆方向に移動する。具体的には、移動機構40によるワークWの図5における右側への移動に伴い、第1ラック53が図5における右側へ移動し、ピニオン54が図5において反時計回りに回転する。これにより、第2ラック55が図5における左側へ移動し、一対のバランスウェイト51が第2ラック55と同方向、即ち、ワークWの移動方向と逆方向に移動する。このようにしてワークWと等しい重さの一対のバランスウェイト51がワークWと逆方向に移動することにより、一対のバランスウェイト51にワークWに作用する遠心力を相殺する遠心力が作用し、ワークテーブル31に作用する遠心力がバランスするため、ワークテーブル31の回転が安定する。
ワークWが第2加工位置に配置されると、制御部80は、インプロセスゲージ70の一対のアーム部71の先端の測定子を第2シリンダ部C2内に挿入し、2つの測定子を内周面C0に当接させる。また、制御部80は、研削加工部10の回転モータ17及び昇降モータ18の動作を制御して、第2シリンダ部C2の内部に研削砥石11を進出させて自転させることにより、第2シリンダ部C2の内周面C0の研削加工を行う。なお、これ以降の動作は、第1シリンダ部C1の内周面C0の研削加工を行う際と同様であるため、説明を省略する。
〈第4シリンダ部の内周面研削〉
次に、制御部80は、第4シリンダ部C4の内周面C0の研削加工を行う。
まず、制御部80は、ワークテーブル31を回転させたまま、移動機構40の動作を制御して、ワークテーブル31のテーブル本体34上のワークWを第4加工位置に移動させる。
具体的には、図6に示すように、制御部80は、油圧駆動回路42の油圧ポンプを駆動させ、切換弁を、供給路が第1流路47に接続されると共に排出路が第2流路48に接続される第1の状態に切り換える。これにより、油圧駆動回路42のタンク内の作動油が油圧シリンダ41の第1室S1に供給される一方、第2室S2の作動油がタンク内に回収され、油圧シリンダ41のピストン41bが第2室S2側へ押圧されて前進する。ピストン41bの前進に伴ってロッド41c及び作動部材43も前進する。
また、制御部80は、空気圧駆動回路46のエアポンプを駆動させ、切換機構をエアシリンダ45の第2室S12とエアタンクとが連通するオン状態に切り換える。これにより、エアシリンダ45の第2室S12内の圧力がエアタンク内の圧力と等しくなり、ピストン45bに作用する圧縮空気による力がバネ45dの付勢力より大きくなってピストン45b及びロッド45cが後退する。これにより、連結部44eが後退し、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cが作動部材43の突出部43bの移動経路上から後退する。
そのため、作動部材43は、第2ストッパ44b及び第3ストッパ44cに当接することなく前進し、やがて突出部43bが第4ストッパ44dに当接することによってそれ以上前進しないように動作が規制される。なお、上述したように、第4ストッパ44dが作動部材43の突出部43bと当接するとき、ワークWは、第4シリンダ部C4の中心線ZCとワークテーブル31のテーブル本体34の回転軸ZTが一致する第4加工位置に配置されるため、このようにしてワークWが第4加工位置に配置されることとなる。
なお、このとき、バランス機構50の連動機構52により、ワークWの移動に伴って一対のバランスウェイト51が逆方向に移動する。具体的には、移動機構40によるワークWの図6における左側への移動に伴い、第1ラック53が図6における左側へ移動し、ピニオン54が図6において時計回りに回転する。これにより、第2ラック55が図6における右側へ移動し、一対のバランスウェイト51が第2ラック55と同方向、即ち、ワークWの移動方向と逆方向に移動する。このようにしてワークWと等しい重さの一対のバランスウェイト51がワークWと逆方向に移動することにより、一対のバランスウェイト51にワークWに作用する遠心力を相殺する遠心力が作用し、ワークテーブル31に作用する遠心力がバランスするため、ワークテーブル31の回転が安定する。
ワークWが第4加工位置に配置されると、制御部80は、インプロセスゲージ70の一対のアーム部71の先端の測定子を第4シリンダ部C4内に挿入し、2つの測定子を内周面C0に当接させる。また、制御部80は、研削加工部10の回転モータ17及び昇降モータ18の動作を制御して、第4シリンダ部C4の内部に研削砥石11を進出させて自転させることにより、第4シリンダ部C4の内周面C0の研削加工を行う。なお、これ以降の動作は、第1シリンダ部C1の内周面C0の研削加工を行う際と同様であるため、説明を省略する。
以上のような制御部80による内周面加工制御により、ワークWを加工対象となるシリンダ部Cの中心線ZC周りに回転させた状態で、自転する研削砥石11を該シリンダ部Cの内周面C0に押し当てると共に昇降させることで内周面C0を研削することができる。このとき、インプロセスゲージ70によってシリンダ部Cの内径を測定しつつ研削加工を施すことにより、切り込み量を高精度に制御することができる。
-研削砥石のドレス動作-
本実施形態では、制御部80は、定期的に又は研削砥石11のドレスが必要であると判断すると、ドレス機構60によって研削砥石11の外周面をドレス(整形)するドレス動作を行うように構成されている。
具体的には、制御部80は、ワーク搬送部20の搬送モータ23の動作を制御して、搬送テーブル22をX軸方向に移動させ、ドレス機構60のドレス部61の側面を研削砥石11の外周面に当接させる。そして、制御部80は、このドレス部61の側面が研削砥石11の外周面に当接する位置において、回転モータ17を動作させて研削砥石11を中心線Z1周りに回転(自転)させる。これにより、研削砥石11の外周面がドレス部61の側面に固定された多数のダイヤモンド片によって削られ、ドレス(整形)される。
-実施形態1の効果-
以上のように、本実施形態1によれば、ワークWのシリンダ部Cの内周面C0を加工する内周面加工装置1に研削加工部10を設け、従来行っていた切削加工の代わりに研削加工を行うこととしている。ここで、研削砥石11は、切削工具に比べて安価であり、難削材を加工して摩耗しても研削砥石自体が無くなるまで使い続けることができるため、切削工具に比べて寿命が長い。そのため、上記内周面加工装置1によれば、研削加工部10を設けて従来行っていた切削加工の代わりに研削加工を施すことにより、内周面加工にかかる工具費を低減することができる。また、上記内周面加工装置1によれば、研削加工を施すことにより、切削加工を施す従来技術のように、切削工具の摩耗やチッピングによってシリンダ部Cの内径寸法管理が困難になることがない。そのため、加工品質や加工時間にばらつきが生じることがなく、加工品質や歩留まりの低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、ワークWのシリンダ部Cの内周面C0を加工する内周面加工装置1に、上記研削加工部の他、ワークWを保持するワークテーブル31と、該ワークテーブル31を回転軸ZT周りに回転させるモータ32と、各シリンダ部Cの中心線ZCとワークテーブル31の回転軸ZTとがそれぞれ一致する各加工位置に配置されるようにワークテーブル31の回転中にワークWをワークテーブル31上において移動させる移動機構40とを設けることとした。このような構成により、上記内周面加工装置1では、モータ32によって回転軸ZT周りに回転するワークテーブル31に保持されたワークWが、移動機構40によって、回転するワークテーブル31上において移動して、各シリンダ部Cの中心線ZCとワークテーブル31の回転軸ZTとがそれぞれ一致する各加工位置、即ち、各シリンダ部Cが自転する位置に順に配置されることとなる。つまり、上記内周面加工装置1では、プラネタリ型の研削加工ではなく、研削砥石11と加工対象となるシリンダ部Cを共に自転させながら該シリンダ部Cの内周面ZCを研削する工作物回転型の研削加工を行うことができる。また、複数のシリンダ部Cに工作物回転型の研削加工を行うに際し、ワークテーブル31の回転を一々止めることなくワークテーブル31を回転させたまま複数のシリンダ部Cを順に加工位置に移動させて研削加工を施すことができる。よって、上記内周面加工装置1によれば、複数のシリンダ部Cの内周面C0を研削するのに要する加工時間を短縮することができる。また、工作物回転型の研削加工は、研削砥石11又はワークWを変位させなければならないプラネタリ型の研削加工に比べて均一で高精度な内周面研削が可能になる。そのため、上記内周面加工装置1によれば、複数のシリンダ部Cが一列に並ぶワークWに対して工作物回転型の研削加工を施すことができるため、該ワークWの複数のシリンダ部Cの内周面C0に均一に且つ高精度に研削することができる。
以上により、本実施形態1によれば、複数の円筒状のシリンダ部Cが一列に並ぶワークWの各シリンダ部Cの内周面C0を加工する内周面加工装置1において、工具費を低減すると共に加工品質及び歩留まりの向上を図ることができる。
ところで、ワークテーブル31の回転中にワークテーブル31上でワークWを移動させる移動機構40には、電気回路を有する電動アクチュエータを用いることはできない。回転するワークテーブル31に電気配線を配設できないためである。
そこで、本実施形態1では、移動機構40を、ワークテーブル31に取り付けられた油圧シリンダ41と、搬送テーブル22に設けられて油圧シリンダ41に作動油を給排して油圧シリンダ41を駆動する油圧駆動回路42とで構成し、油圧シリンダ41と油圧駆動回路42とをロータリージョイント90を介して接続することとしている。このような構成により、回転中のワークテーブル31上においてワークWを移動させる移動機構40を容易に構成することができる。
ところで、上記内周面加工装置1では、ワークテーブル31の回転中に、移動機構40によって、研削加工を行うシリンダ部Cの中心線ZCがワークテーブル31の回転軸ZTに一致するようにワークWを移動させるため、ワークWを保持して回転するワークテーブル31に作用する遠心力がワークテーブル31の回転軸ZTに対して対称に作用しない。ワークWの重量が比較的大きい場合には、この遠心力のアンバランスによってワークテーブル31を安定して回転させられなくなるおそれがある。
そこで、上記内周面加工装置1では、ワークテーブル31にバランスウェイト51を設けると共に、該バランスウェイト51にワークWに作用する遠心力を相殺する遠心力が作用するように、移動機構40によってワークWと共にバランスウェイト51を移動させるようにした。このように、移動機構40が、回転中のワークテーブル31上において、ワークWを移動させる際にバランスウェイト51も移動させることにより、ワークWに作用する遠心力がバランスウェイト51に作用する遠心力によって相殺されるため、遠心力のアンバランスが生じなくなる。これにより、ワークWを保持したワークテーブル31を安定的に回転させることができるため、高精度な研削加工を行うことができる。
また、本実施形態1では、バランス機構50を、保持部35に連結されて該保持部35と一体となって移動する第1ラック53と、該第1ラック53と噛み合って該第1ラック53の移動に伴って回転するピニオン54と、バランスウェイト51が連結されて第1ラック53の反対側でピニオン54に噛み合い、該ピニオン54の回転に伴ってバランスウェイト51を第1ラック53の移動方向と逆方向に移動させる第2ラック55とで構成している。そのため、ワークWが移動すると、保持部35に連結された第1ラック53がワークWの移動方向に移動し、これに伴ってピニオン54が回転し、第2ラック55が第1ラック53と逆方向に移動することにより、バランスウェイト51がワークWの移動方向と反対方向に移動することとなる。このように移動機構40にワークWの移動に連動する第1ラック53、ピニオン54及び第2ラック55を設けることにより、容易な機構でバランスウェイト51をワークWに連動させることができる。
また、上記内周面加工装置1によれば、シリンダブロックを加工対象とし、該シリンダブロックの複数のシリンダ部Cに対して工作物回転型の研削加工が施される。つまり、シリンダブロックの複数のシリンダ部Cの内周面C0に均一で且つ高精度な研削加工を施すことができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、移動機構40を構成する流体圧アクチュエータとして、油圧シリンダ41を用いることとしていたが、流体圧アクチュエータは、油圧シリンダ41に限られない。エアシリンダ等の空気圧アクチュエータでもよく、作動油や空気以外の作動流体によって駆動されるアクチュエータであってもよい。
また、上記実施形態1では、バランス機構50を、一対のバランスウェイト51と、連動機構52とで構成していたが、バランス機構50は、ワークWの位置に応じて、ワークテーブル31にワークWに作用する遠心力を相殺する遠心力を作用させるものであればいかなる構成であってもよい。
また、上記実施形態1では、4つのシリンダ部Cを有するワークWの内周面加工について説明したが、上記内周面加工装置1は、4つ以外の複数のシリンダ部Cを有するワークWの内周面加工に対しても勿論適用することができる。