JP7078832B1 - 着磁装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直径2mm以下の半硬質磁性材料の細線の一部を長手方向に飽和着磁する着磁装置を提供する。【解決手段】着磁装置の着磁ヨーク部1は、着磁コイル10と着磁コイル10を内包する着磁ヨーク部20と、を有する。着磁ヨーク部20は、電磁コイル12と、電磁コイルを内包する円筒ボックス状のヨーク21と、ヨークの側面板22と、を有する。ヨークの側面板22は、細線30を載置する貫通孔部221を有しており、そこに細線を挿通して、ヨークと細線とによる閉磁路タイプの磁気回路を形成する。電磁コイルで閉磁路タイプの磁気回路全体を着磁することで、閉磁路タイプの磁気回路の一部を形成した細線部を飽和着磁し、その個所を優れた永久磁石とする。【選択図】図7

Description

本発明は、半硬質磁性の細線の一部を長手方向に着磁して磁石にする着磁技術と装置に関するものである。特に半硬質磁性のCr-Ni系ステンレス鋼の細線を対象としたものである。
近年、磁気治療やロボット治療などの高度医療技術が進展し、医療機器や部材に磁石を取り付けて、その磁気性能を活用した生体内ナビゲーション技術の研究開発が活発に行われている。Cr-Ni系ステンレス鋼が生体親和性の観点から体内で使用される医療機器や部材の最も基本的な素材の一つである。カテーテルガイドワイヤは、準安定Cr-Ni系ステンレス鋼を強加工して強度200kg/mm以上を有する直径2mm以下の細線にして使用している。
このカテーテルガイドワイヤの一部に磁石を取り付けると、その部位が大きくなるという問題や、磁石をシールドするための複雑なシールド構造が必要となる問題、さらにそのシールド構造が破損して磁石が腐食するなどの技術的な問題があり、磁石を細線の一部に取り付けたカテーテルガイドワイヤは実用化されていない。
生体内で使用されているステンレス鋼は、耐食性に優れたCr-Ni組成の準安定オーステナイト系ステンレス鋼は固溶化熱処理状態では非磁性材料である。しかし、冷間加工すると一部がマルテンサイト相に変態し、強磁性のマルテンサイト組織とオーステナイト組織の2相組織のステンレス鋼になること(非特許文献1)が知られている。
冷間加工後の2相組織のステンレス鋼の磁気特性は、半硬質磁性特性(非特許文献2)を有することが知られている。ここで、半硬質磁性材料(非特許文献3)とは、永久磁石と軟質磁性材料との中間的特性を示すのもので、保磁力が10Oeから200Oe程度の磁気特性を有する磁性材料である。
カテーテルガイドワイヤは、準安定Cr-Ni系ステンレス鋼を強加工して製造されているもので、その磁気特性は半硬質磁性である。しかし、半硬質磁性特性は永久磁石として使用するためには保磁力が小さいことから冷間加工後のステンレス鋼を磁石として利用した用途例はなく、併せてその着磁装置や着磁方法に関する研究例もない。
特に硬質磁性ステンレス細線の局所的な一部のみを飽和着磁して、磁石として利用した事例は見当たらない。当然そのような着磁を実現するその着磁装置および着磁方法に関する研究例もない。
もしガイドワイヤ先端部の一部を磁石に改質することができれば、生体内ナビゲーション技術の研究開発に大きく貢献する技術となるのは間違いない。そのための開発が期待されている。
特許文献情報検索システムによるキーワード検索(キーワード:ステンレス鋼*細線*着磁)した結果、ステンレス鋼の小径細線である細線を着磁する着磁装置に関する技術開示はなされていない。
ステンレス鋼便覧4版 58~60頁 ステンレス鋼便覧4版 113頁 乾、佐々木、仙田;日本金属学会第21巻第7号pp541-545(1982)
カテーテルガイドワイヤは準安定Cr-Ni系ステンレス鋼を強加工して製作されているが、その磁気特性は半硬質磁性となっている。もしこの半硬質磁性材料を着磁して磁石として利用することができれば、細線に磁石を取り付けたことになり、細線の先端部に磁石性能を容易に付与することができることになる。しかし、その半硬質磁性特性は保磁力が小さいために、それを磁石として利用するには、いくつかの技術的壁が予想される。
第一の課題は、細線の一部を飽和着磁し、かつ減磁しにくい磁石とすることである。半硬質磁性の細線の一部を着磁しようとすると、飽和着磁部に隣接した部分が未飽和着磁されて、飽和着磁部分の両側に未飽和着磁部分が拡がった磁石となる(図1)。ここで、飽和着磁とは、磁性材料の飽和磁化まで磁化させた状態いい、その部位を飽和着磁部(飽和着磁部分)という。飽和着磁部分の両側には、飽和磁化に対して磁化量が100%から0%へと漸減した領域が広がっており、磁化量90%から磁化量10%の部分を未飽和着磁部(未飽和着磁部分)という。
未飽和着磁部は容易に減磁し、それが飽和着磁部分に広がる結果となり減磁しやすい磁石となってしまう。このような着磁状態は好ましくないので、本発明の着磁状態を示している飽和着磁部のみからなる磁石を製造する着磁技術と着磁装置を開発することが重要である。
第二の課題は、半硬質磁性特性を有する準安定Cr-Ni系ステンレス鋼の飽和磁化、保磁力と残留磁気特性が小さいという問題がある。しかも加工度を増加させてマルテンサイト量の増加を図ると、飽和磁化が増加するが、保磁力と残留磁気量は減少するという背反特性が相互間には存在する。これらの弱点を解消し、準安定Cr-Ni系ステンレス鋼の飽和磁化と残留磁気量が大きく確保して、しかも高い保磁力を大きくして減磁特性の改善する方法を考案してこの問題を解決することである。
本発明者らは、半硬質磁性材料が、a)軟質磁性の特性を有すること、およびb)永久磁石特性の二つの特性を有することに着目して半硬質磁性を有する細線の一部または先端部で、長手方向に指定された長さの部位を飽和着磁することを目指して、鋭意研究した。
その結果、a)軟質磁性特性に着目して、磁石化すべき箇所をヨークの一部とした閉磁路タイプの磁気回路を形成し、その磁気回路を磁化することによって磁気回路の一部を形成した細線部が飽和磁化すること、およびそれ以外の細線部は未着磁部となるという新知見を見出した。さらにb)永久磁石特性を付与する半硬質磁性材料の保磁力によって、磁石形状を工夫すると飽和磁化した部位は優れた永久磁石となることを発見した。
研究結果について、図2から図5を使って説明する。
図2は電磁コイルのみの着磁装置により着磁する場合の着磁モデルを示し、図3は電磁コイルを内包する円筒ボックス状ヨークを活用して開磁路タイプの磁気回路を形成する着磁装置により着磁する場合の着磁モデルを示し、図4は電磁コイルを内包する円筒ボックス状ヨークを活用して当該ヨークと細線を密着させることにより閉磁路タイプの磁気回路を形成する着磁装置により着磁する場合の着磁モデルを示す。そして、図5には以上の3つの着磁モデルにおける細線部の着磁状態を比較して示す。
図5から分かるように、電磁コイルのみで着磁すると、着磁中央部付近は飽和するが、隣接部に広く未飽和着磁部が拡がってしまう。円筒状ボックス状ヨークを取り付けた開磁路タイプの磁気回路で着磁した場合には、着磁中央部付近の飽和部分が拡がるが、隣接部には未飽和着磁部が残存する。
しかし、閉磁路タイプの磁気回路で着磁した場合には、閉磁路タイプの磁気回路の一部となった細線部はすべて飽和着磁し、隣接部は磁化しないことが分かる。つまり、閉磁路タイプの磁気回路の一部となった半硬質磁性の細線部のみが飽和着磁し、それ以外の細線部は着磁しないことが分かる。
以上の研究結果から、本発明者らは、非磁性の絶縁材料よりなる円筒状ボビンにコイルを巻き付けた着磁コイルと着磁コイルを内包している磁性材料よりなる円筒ボックス状ヨークと被着磁体である細線が円筒ボックス状ヨークの中心部にある貫通孔に内接する着磁ヨーク部と当該着磁コイルに電流を供給する電源部とからなる着磁装置において、直径2mm以下の半硬質磁性材料からなる細線は磁性材料からなる円筒ボックス状ヨークの貫通孔の位置でヨークに内接して閉磁路タイプの磁気回路タイプの磁気回路を形成し、着磁コイルに通電して磁界を発生させて、閉磁路タイプの磁気回路全体を磁化させることによって、閉磁路タイプの磁気回路の一部である細線部分を飽和磁化させて飽和着磁磁石とすることを特徴とする着磁装置の発明に思い至った。本着磁装置と着磁技術によって、飽和着磁部のみからなり減磁しにくい磁石を製造することが可能になる。
円筒ボックス状ヨークの貫通孔に、細線を貫通孔と細線との平均間隙10μm以下で挿通して細線を貫通孔に内接することは難しい作業となる。そこで、本発明者らは上記着磁装置において、円筒ボックス状のヨークを半円筒ボックス状の上側部ヨークと半円筒ボックス状の下側部ヨークの2つの分割構造として、細線を下側部ヨークの貫通孔部に載置し、その状態で上側部ヨークを係合し、2つの貫通孔部で細線を挟持することによって貫通孔と細線との間の間隙を平均間隙10μm以下に内接することが容易になることに思い至った。これによって細線の取り付け時の作業性を損なうことなく、磁性材料からなる円筒ボックス状ヨークの貫通孔に半硬質磁性材料からなる細線は内接して優れた閉磁路タイプの磁気回路を形成することが可能となる。
次に、半硬質磁性材料を着磁した磁石は、保磁力が小さいので減磁しやすい。そこで本発明者らは、準安定Cr-Ni系ステンレス鋼の飽和磁化、保磁力と残留磁気特性が小さいという半硬質磁性特性の改善に努めた。その結果、マルテンサイト量を70%以上として、500℃~580℃にて5~25kg/mmの張力熱処理を行うと、1.2T以上の飽和磁化、80Oe以上保磁力と0.7T以上の残留磁気を有する優れた半硬質磁性材料を得ることができることを見いだした。
さらに、細線であることに着目して、着磁部を細線の直径に対して10倍以上と十分長くすることによって磁石のパーミアンス係数を大きくして、反磁界をほとんど無視できるレベルにまで小さくすることによって外部磁界に対する抵抗力を高めた。つまり80Oe以上の外部磁界に晒される場合を除いて、減磁しにくい磁石とすることが可能となる。
本発明によると、半硬質磁性細線の特定の箇所を長手方向に飽和着磁して減磁しにくい永久磁石にすることができる。さらに、これによりカテーテルガイド細線の先端部に磁石特性を付与することが可能となり、その磁力を外部の磁気センサで検知することによってカテーテルガイド細線の生体内位置検出システムの商品化を可能にした。
細線の着磁における細線の長手方向の着磁状態を示す図である。 電磁コイルのみの着磁装置と着磁する場合の着磁モデルを示す図である。 電磁コイルを内包する円筒ボックス状ヨークを活用して開磁路タイプの磁気回路を形成する着磁装置と着磁する場合の着磁モデル示す図である。 電磁コイルを内包する円筒ボックス状ヨークを活用して閉磁路タイプの磁気回路を形成する着磁装置と着磁する場合の着磁モデル示す図である。 図2から図4の着磁装置を使って細線を着磁した結果を示す図である。 着磁装置の構成を示す図である。 被着磁体(細線)、電磁コイルおよびヨークからなる着磁ヨーク部の軸方向の構造断面図である。 被着磁体(細線)、電磁コイルおよびヨークからなる着磁ヨーク部の側面図である。 着磁コイルと分割した下側部ヨークおよび上側部ヨークからなる着磁部の軸方向の構造断面図である。 下側部ヨーク(貫通孔部)に細線を載置した状態を示す図である。 細線を載置した下側部ヨークに上側部ヨークを取り付けた状態を示す図である。
本発明の着磁装置の第一の実施形態は、次のとおりである。
細線の一部を飽和着磁する装置は、細線30、電磁コイル10およびヨーク20からなる着磁ヨーク部1と電源部を備え、
細線30は、直径2mm以下で、10~200Oeの保磁力を有する半硬質磁性材料からなり、
電磁コイル10は、非磁性の絶縁素材よりなる円筒状ボビン11にコイル12が巻き付けられてヨーク20に内包されており、
ヨーク20は、磁性材料よりなる円筒ボックス状にて両側の中心部には細線30を挿通させる貫通孔221を有してなり、
細線30は、ヨーク20の貫通孔221に内接して円筒ボックス状のヨーク20と閉磁路タイプの磁気回路が形成され、該磁気回路形成部の長さは直径の10倍以上よりなり、
電磁コイル10でもって閉磁路タイプの磁気回路の全体を磁化することにより、閉磁路タイプの磁気回路の一部を構成する細線部のみを限定して飽和着磁し、その特定の箇所が長さ方向に飽和着磁されている磁石とすることを特徴とする。
これにより、電源部からコイル12に通電すると磁界が発生し、磁界はヨーク20を構成するパイプ21、側面板22、側面板22の貫通孔部221、貫通孔部221に内接するとともに円筒状ボビン11の中空孔111に張架している細線30からなる閉磁路タイプの磁気回路が形成され、磁気回路の全体が磁化する。この結果として、閉磁路タイプの磁気回路の一部を構成する細線30の一部、一方の貫通孔部221に内接する細線部位から他方の貫通孔部221に内接する細線部位よりなる細線30の一部が飽和着磁された磁石を得ることができる。
先ず、被着磁体である半硬質磁性材料からなる細線について説明する。
本発明が想定している細線は、磁性を有する準安定性オーステナイト系ステンレス鋼(SUS302、SUS304など)の直径dが0.1~2mm、長さが100mm以上からなる未着磁の細線であって、飽和着磁部の対象となる細線の一部の長さは1~30mmである。
なお、オーステナイト系ステンレス鋼は本来非磁性であるが、冷間加工により50~95%の加工マルテンサイト組織とすることにより半硬質磁性を有することができ、飽和着磁すると永久磁石となる。
次に、本発明の着磁装置の着磁ヨーク部1について図7および図8を用いて詳細に説明する。
図7は、着磁ヨーク部1を構成する着磁コイル10と着磁コイル10を内包する円筒ボックス状ヨーク20について、軸方向の断面を図示する。細線30は、飽和磁化される部位は飽和着磁部31として示す。
なお、A1-A2線は細線30の長手方向の中心線で、かつ着磁コイル10の中心線であり、ヨーク20の中心線でもある。図8は、図7における着磁ヨーク部1の側面図を示す。
電磁コイル10は、円筒状のボビン11とボビン11に巻回するコイル12とを備えており、ボビン11には両端につばとコイル12が巻回する胴径とからなっており、その胴径に細線を挿入するための直径Dの中空孔111(ボビン内径Dに相当する。)が形成されている。
ボビン11は、樹脂、セラミックなどの非磁性の絶縁材料からなる。ボビンの全長は、被着磁部の長さLとボビンの内幅(両端のつばに挟まれている)を考慮して決めるものである。細線磁石の長さは1mmから30mm程度を想定しているので、その長さは外側で0.8~28mm程度で内側は0.6mmから26mm程度が好ましい。
ボビン内径Dは、細線の直径より少し大きめで、0.3~2.5mm程度が好ましい。細線の直径dとの比(D/d)としては、3以下で、好ましくは1~2である。細線径に近くするとコイルが作る磁界を有効的に着磁力に活用できるためである。細線の直径dに対してボビン内径Dが3を超えると着磁コイルに流す電流を大きくする必要が出てくるので好ましくない。
なお、ボビンの胴径は0.7~2.5mm、つばの直径は1.5~8mm、厚みは0.1~1mmが好ましい。
コイル12は、両側のつばの間に巻回されて、その長さLは0.6mmから26mmからなり、飽和着磁部の長さLに対しては、ボビンつば幅やヨーク側面厚みだけ小さくする必要がある。
また、コイル12は、直径10~50μmのエナメル線が500~3,000ターンで、巻線密度が400回/mm以上からなることが好ましい。
電磁コイル12の発熱を防止しつつ被着磁部を飽和磁化させるためには、500ターン以上の巻き数Nで磁界強度をあげつつ、パルス電流Iを抑制することが必要である。過剰な巻き数Nはコイルサイズが大きくなること、発熱しやすくなることなどから最大3,000ターンとすることが好ましい。
なお、発熱温度を検知する温度センサを、コイルの端部に設けてもよい。
磁性材料よりなる円筒ボックス状のヨーク20は、電磁コイル10を内包している。すなわち、円筒状とは、着磁コイルを収納する収納空間を有する中空構造体であって、パイプ21とその両端面22(ヨークの側面板22)からなっている。さらに、本発明では両端面22の中央には、細線30を挿通する貫通孔221(ヨークの側面板の孔)があり、貫通孔221において、磁性材料からなるヨーク20と半硬質磁性材料の細線被着磁体30が密接して閉磁路タイプの磁気回路を形成する。
この閉磁路タイプの磁気回路構造により、細線30の閉磁路タイプの磁気回路形成部のみが飽和磁化され磁石となる。磁石とつながる両側もしくは片側の細線部は着磁されていない未着磁部である。
ヨークのサイズは、内包されている電磁コイルのサイズが全長0.8~28mm程度、内径1.5~8mmより、パイプ21および側面板22の厚み(0.5~1mm)と電磁コイルとヨークとの間隙(0~3mm程度)を加味すると、長さは1.8~24mm、直径は2.5~14mmが好ましい。
ヨーク20の側面板22は電磁コイル10のボビン11の両側のつばに外接していてもよい。
着磁電源については、コイルの直径、被着磁部位の長さおよびコイルの巻き数に対応して、通電電圧と電流を考慮して電源能力を選択する。好ましい一例を示すと、電源部の定電流を発生するパルス発振器は、電流強度が0.4A以上であり、パルス時間は0.1m秒から20秒のパルス電流を印加することができる電源を使用する。
図4は、着磁ヨーク部1の軸方向の断面にて、ボビン11の中空孔111の中央部に細線30の一部である被着磁部位31を長手方向に挿入し、電源からパルス電流をコイル12に印加して磁界40を発生し、被着磁部位31(被着磁体)が磁化している概念図を示している。
コイル12から発生した磁束(磁界40)は、大気中に漏れることなく円筒ボックス状ヨーク20に収斂して流れ、被着磁体の細線30への閉磁路タイプの磁気回路が形成され、細線部位に有効に集中して細線30の閉磁路タイプの磁気回路となっている箇所31を飽和着磁する。
これにより、飽和着磁部に隣接した細線部は、磁気回路を形成せず、またヨークからの漏洩磁気もないことから未着磁部位とすることができる(図5、着磁状態61)。
本発明の着磁装置の第二の実施形態は、次の通りである。
ヨークは、半円筒ボックス状の上側部ヨーク20aと半円筒ボックス状の下側部ヨーク20bの2つの分割構造からなり、上側部ヨーク20aと下側部ヨーク20b両ヨークを組み合わせて円筒ボックス状ヨーク20として使用することを特徴とする。
すなわち、第一の実施形態における着磁装置において、電磁コイル部10はそのままで、円筒ボックス状のヨーク20を半円状の2個の分割構造としたものである(図9)。細線を下側の下側部ヨーク20bの貫通孔部に載置固定し(図10)、その状態で上側の上側部ヨーク20aを重ねる(図11)ことによって、分割した2つの貫通孔部(221aと221b)で細線を挟持して貫通孔と細線の間の間隙を平均間隙5μm以下に調整し、密接することを可能にしたものである。
これにより、細線を貫通孔に通す第一実施形態に比べて容易に細線を貫通孔の密接固定できる。また、両者の間隙をほとんど0にすることができて、飽和着磁された磁石部と未着部の境界を明瞭なものにすることができる。
本発明の実施例1について、図6および図9~11により説明する。
先ず、図6に示すように、本装置は、電源部、コイルとヨークと被着磁体(細線)からなる着磁ヨーク部およびコントローラからなる。電源部は、電流強度200mAにてパルス時間20m秒のパルス電流を電磁コイル20に印加した。
なお、比較のために、同じ電源部とコイルを使ったヨークのない電磁コイルのみによる着磁装置(図2)と開磁路タイプの磁気回路を使った着磁装置(図3)を用いて、着磁結果を比較して説明する。
図9に示す着磁ヨーク部2は、2個分割型の上側部ヨーク20aおよび下側部ヨーク20bからなるヨーク20を用いる。
なお、電磁コイル10は、下側部ヨーク20bに固定されている。上側部ヨーク20aは、細線30を貫通孔部221bに載置しやすいように下側部ヨーク20bから、図9の上部方向に分離されている。
電磁コイル10のボビン11は、樹脂材料を用いて、その全長は14mm、胴径2.5mm、中空孔111の内径Dは1.5mmである。
コイル12は、コイル長さは14mmにて直径30μmのエナメル線を1,800ターン巻回し、巻き線密度は450回/mmである。
ヨーク20aとヨーク20bのそれぞれのパイプ21aとパイプ21bは、磁性材料である低炭素鋼のSS400を用いて、その長さは17mm、外径は8.0mm、厚さ0.5mmを半切したものである。また、側面板22aと側面板22bおよび貫通孔部221aと貫通孔部221bは、同じSS400を用いて、その外径は8.0mm、厚さ0.5mmにて中央部の内径1.0mm、の貫通孔部221を半切したものである。SS400の磁気特性は飽和磁化の強さは20,000G、透磁率は3,000であった。
なお、上側部ヨーク20aが可動できるようにヨーク20(20a、20b)とボビン11との間隙は0.5mmである。
細線30は、市販のオーステナイト系ステンレス鋼SUS302の直径2.0mmの線材を伸線加工により直径1.0mmとし、長さ200mとした。室温25℃の伸線加工度は75%の結果、マルテンサイト量85%、飽和磁化は13,000G、保磁力150Oe、残留磁気7,000Gの特性を有するを得た。その細線を温度550℃、張力15kg/mm負荷して張力熱処理をして角形比を改善し、飽和磁化13,000G、保磁力150Oe、残留磁気9,000Gを持つ半硬質磁性細線とした。
次に、図10および図11により細線30の着磁について説明する。
この細線30をボビン11の中空孔111内に挿通するとともに下側部ヨーク20bの両側の貫通孔部221bに載置する。また、両側の貫通孔部221b間にて細線30を張架してA1-A2の中心線に合わせる。
次に下側部ヨーク22bおよび細線30の上面に上側部ヨーク22aを取り付け、貫通孔部221aと細線30および二つの半円状ヨーク同士を密接させて、細線を含んだ閉磁路タイプの磁気回路を形成する。コイル12にパルス電流を印加し、磁界40を発生させて二つの貫通孔部221の間にある細線の被着磁部位を飽和着磁し、細線上に磁石を生成した。
細線30を着磁ヨーク部から抜き出して、着磁した部位を測定したところ、長さ18mmに渡って飽和磁化することに成功し、その部分が永久磁石とすることができた。また未飽和着磁部の長さは、ほとんど観察できないレベルであった。
比較例1として、実施例と同様の電源部、電磁コイル10を用いた図2に示した着磁装置と比較する。異なる点は、着磁コイル10を内包する円筒ボックス状のヨーク20が含まれていないことである。
細線をコイル30のボビン11の中空孔111に挿入し、電磁コイル12にパルス電流を印加し、磁界50を発生させて中空孔111内の細線の被着磁部位を磁化した。磁界50は大きく拡がるため(図5 着磁状態63)に細線への着磁部位も拡がる。測定した結果、飽和着磁部31は3mmで、未飽和着磁部32は両側に12mm程度拡がっていた。
比較例2として、実施例と同様の電源部、電磁コイル10を用いた図3に示した着磁装置と比較する。異なる点は、円筒ボックス状ヨーク20と細線30との間に、0.1mmの間隙があり、開磁路タイプの磁気回路構成であることである。
細線30を円筒ボックス状のヨーク20の貫通孔に通して、電磁コイル12にパルス電流を印加し、磁界を発生させて磁気回路の一部である細線の被着磁部位を磁化した。磁気回路に流れる磁束40は隙間部で細線軸方向のヨーク外側に漏れて漏洩磁束41となり、細線の着磁部位が拡がる。図5に示す着磁状態62となり、着磁部位を測定した結果、飽和着磁部31は16mmで、未飽和着磁部32は両側に5mm程度拡がっていた。
本実施例と、比較例1および比較例2と比べると、本実施例は飽和着磁部31のみの磁石となるが、二つの比較例では、飽和着磁部31の両側に未飽和着磁部32が拡がっており、時間とともに未飽和着磁部32から減磁をおこして次第に飽和着磁部31の減磁を誘発することになり、安定した永久磁石を得ることができないことが分かる。
本発明においては、飽和着磁部と未飽和着磁部が鋭く分離しており(図5 着磁状態61)、減磁する場合は直接飽和着磁から開始するので、本磁石はパーミアンスが20と反磁界は無いに等しいので、保磁力150Oe以上の外部磁界に晒されない限り簡単には減磁しない優れた磁石を得ることができた。
本発明は、半硬質磁性細線として、飽和磁化13,000G、保磁力150Oe、残留磁気9000Gのものを用いた。その結果、本磁石の磁気モーメントを測定したところ、5×10-9Wbmであった。これは、体積当たりの磁気モーメントの値としては、最強磁石のNdFeB磁石よりも優れていた。
本発明は、硬質磁性ステンレス鋼の細線の一部を長手方向に飽和着磁することを可能にすることで、生体内で使用するガイドワイヤに磁石機能を付与することができる。これにより、ガイドワイヤの先端位置を外部の磁気センサで測定し、ロボット治療などに利用することが期待できる。
1:着磁ヨーク部
10:電磁コイル
11:ボビン
111:中空孔
12:コイル
20:ヨーク
21:パイプ
22:側面板
221:貫通孔(貫通孔部)
30:細線
31:飽和着磁部
32:未飽和着磁部
40:磁界(円筒ボックス状のヨーク内の磁束)
41:漏洩した磁束
50:磁界(空間の磁束)
2:着磁ヨーク部(ヨーク分割型)
20a:上側部ヨーク
21a:上側部パイプ
22a:上側部側面板
221a:上側部側面板の貫通孔(上側部側面板の貫通孔部)
20b:下側部ヨーク
21b:下側部パイプ
22b:下側部側面板
221b:下側部側面板の貫通孔(下側部側面板の貫通孔部)
61:円筒ボックス状ヨークを用いて閉磁路タイプの磁気回路が形成されたときの細線の長手方向の着磁状態
62:円筒ボックス状ヨークを用いて開示路タイプの磁気回路が形成されたときの細線の長手方向の着磁状態
63:円筒ボックス状ヨークを用いていないときの細線の長手方向の着磁状態





Claims (2)

  1. 細線の一部を飽和着磁する着磁装置は、前記細線、電磁コイルおよびヨークからなる着磁ヨーク部と電源部を備え、
    前記細線は、直径2mm以下で、10~200Oeの保磁力を有する半硬質磁性材料からなり、
    前記電磁コイルは、非磁性の絶縁素材よりなる円筒状ボビンにコイルが巻き付けられて前記ヨークに内包されており、
    前記ヨークは、磁性材料よりなる円筒ボックス状にて両側の中心部には前記細線を挿通させる貫通孔を有してなり、
    前記細線は、前記ヨークの前記貫通孔に内接して円筒ボックス状の前記ヨークと閉磁路タイプの磁気回路が形成され、該磁気回路形成部の長さは直径の10倍以上よりなり、
    前記電磁コイルでもって前記閉磁路タイプの磁気回路の全体を磁化することにより前記閉磁路タイプの磁気回路の一部を構成する細線部のみを限定して飽和着磁し、その特定の箇所が長さ方向に飽和着磁されている磁石とすることを特徴とする着磁装置。
  2. 請求項1において、
    前記ヨークは、半円筒ボックス状の上側部ヨークと半円筒ボックス状の下側部ヨークの2つの分割構造とし、前記上側部ヨークと前記下側部ヨークの両ヨークを組み合わせて円筒ボックス状ヨークとして使用することを特徴とする着磁装置。



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