JP2009004696A - 平行磁界を発生させるコイルコア - Google Patents

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Abstract

【課題】磁束分布がギャップ部分で樽型に膨らまないように磁束分布を整流し、平行磁界に近い形の磁束分布を、ギャップ面積を広げることなく得る。
【解決手段】対向するポールにより形成された一つのエアギャップをもつコイルコアにおいて、上記対向するポールそれぞれの外周に、上記ギャップ方向に突出し、ギャップ内部の磁束密度分布を均一化する磁束整流板を設け、該磁束整流板は、上記ポールの対向面縁部からギャップ外方に向かって薄くなるように離反する、楔状突き出し部分を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ギャップに平行磁界を発生させるコイルコアに関する。
従来、例えばハードディスク装置等で使用される磁気ヘッドの磁気特性を、外部平行磁界をかけて測定する方法が知られている。平行磁束を発生させる装置として、対向するポール間にギャップを形成するコイルコアが知られている。コアコイルとしては、C字型(特許文献1)や(図4(A))、一対のE字型を対向させた形状のものが知られている(図4(B))。C字型のコアコイル101は、対向する一対のポール103の先端面間にエアギャップ105が形成されていて、コイル107に電流が流されると、エアギャップ105に磁束を発生する。E字型のコアコイル201も同様に、対向する一対のポール203の先端面間にエアギャップ205が形成されていて、コイル207に電流が流されるとエアギャップ105に磁束を発生する。
従来のコイルコアは、ギャップ105、205内に被測定物を挿入すると、ギャップ内の磁束が乱れてしまう。例えば、C字型コアコイル101のギャップ105内の磁束は図6のように樽型に外側に膨らんで分布するので、ポール103近傍に比べてギャップ105の中央の磁束密度が低くなる。そのため従来は、予め挿入位置に応じた磁束の乱れを補正する補正値を求めておいて、測定値をその補正値により補正していた。
特開2005-277098号公報
被測定物をギャップ内においてもギャップ内の磁場が乱れを少なくし、ギャップ内における磁場を均一化し、磁束を平行に近づけるためには、平坦なギャップの面積を広くする、ギャップ間距離に比べてギャップ面積を大きく取り、ギャップを無限大平面に近づけるしかなかった。
しかし、ギャップ面積が大きくなればコアが太くなり、磁束密度が減るので、一定の磁束密度を保つためには大きな起磁力が必要になる。そのためにはコイルのインダクタンスを大きくするか、印加電流を大きくする必要があった。コアが太くなること自体によるコストも上昇する
かかる従来技術の課題に鑑みて本発明は、磁束分布がギャップ部分で樽型に膨らまないように磁束分布を整流し、平行磁界に近い形の磁束分布を、ギャップ面積を広げることなく得ることを目的とする。
かかる目的を達成する本発明にかかる平行磁界を発生させるコイルコアは、対向するポールにより形成された一つのエアギャップをもつコイルコアにおいて、上記対向するポールそれぞれの外周に、上記ギャップ方向に突出し、ギャップ内部の磁束密度分布を均一化する磁束整流板を設けたこと、に特徴を有する。
上記磁束整流板は、上記ポールの対向面縁部からギャップ外方に向かって薄くなるように離反する、楔状突き出し部分を有することが好ましい。
本発明において、上記コアは、少なくとも上記ポールが矩形の断面をもつ一定太さのC字型とすることが実際的である。上記磁束整流板は、上記ポールの対向する外周面または全外周面に設けることが好ましい。上記磁束整流板は、上記コイルコアとは別体として形成され、前記ポールの外面に貼ることが好ましい。
また、本発明は、上記コアを、少なくとも上記ポールが円形の断面をもつ一定太さのC字型とすることができる。上記磁束整流板は、上記ポールに嵌合される円筒形状とすることが好ましい。
本発明の平行磁界を発生させるコイルコアにあってはさらに、上記コアが正方向形または円形の断面の場合は一辺の長さまたは太さを3、上記コアが長方形の断面の場合は幅を3奥行きを3以上とし、上記磁束整流板の厚さを0.5、ギャップ長を4、上記C字型コアの内径を10×4以上として、上記磁束整流板の楔状突き出し部分の長さを0.32〜0.35とすることが好ましい。さらに好ましい実施形態では、上記整流板の縦方向の長さは2以上とする。
磁束整流板により、磁束は磁束整流板の先端に集中するために、ギャップの周辺部分に磁束がカーテン状に強く分布する。このカーテン上の磁束によりギャップ中央部の磁束は外側に漏れず閉じ込められるため、磁束密度分布を平行磁界に近づけることができる。
さらに本発明の磁束整流板を備えたギャップ形状により、ギャップ長とギャップ幅がほぼ等しく、ギャップ面が平坦な従来例に比較して、ギャップ内部の磁束密度分布のばらつきが数分の一〜10分の一程度にまで改善される。
請求項4記載発明によれば、中心となるポールに、直線カットにより形成される磁束整流板を貼ることができるので、コストの上昇を抑えることができる。
本発明について、添付図面に示した最良の形態に基づいて説明する。図1には、C字型のコアを有する実施形態を示していて、(A)は側面図、(B)は正面図、(C)は平面図である。
このコイルコア11は、正方形の断面をもつ一定太さのC字型のコア13を備えている。C字型のコア13は、一対のポール13aの間に、ギャップ15が形成されている。なおコイルコア11は、通常、積層ケイ素鋼鈑、フェライト等の材料により製造される。
ポール13aのギャップ15付近には、磁束整流板21が設けられている。この磁束整流板21は、ギャップ15方向に突出する先端部が、ポール13aの対向平面13dの縁部からギャップ15の外方に向かって薄くなるように離反する、楔状突き出し部分23を備え、全体側面形状が台形となるように形成されている。この磁束整流板21が、ポール13aの対向平面13dを囲むように設けられている。磁束整流板21は、コア13とは別体として形成することが好ましいが、材料はコア13と同様の、積層ケイ素鋼鈑、フェライト等でよい。
このコイルコア11には、一対のポール13aの対向平面13dとは反対側の両端部から横方向(ギャップ間の磁束と直交する方向)に平行に延びる横部分13bにコイル17が捲回される(図2参照)。コイル17は、コア13の縦部分13cに捲回してもよいが、ポール13aにより近い横部分13bに捲回する図示実施形態の方が効率がよい。
このコイル17に電流が流れると、コア13を周回する磁束が発生し、図2に示したような磁束が発生する。この図から明らかなように、この磁束整流板21により、磁束は磁束整流板21の楔状突き出し部分23の先端に集中するため、ギャップ15の周辺部分にギャップ15を囲むカーテン状に強い磁束が分布する。このカーテン上の強い磁束分布により、ギャップ15中央部の磁束は外側に漏れずに閉じ込められるため、ギャップ15の中央に長方形で示した中央部分31内における磁束密度分布が平行磁界に近づく。
この実施形態において、ギャップ15内の磁束をより平行磁界に近づけるためには、コア13のサイズと磁束整流板21の寸法の比率が重要である。このコア13の正方形断面一辺の長さを3とした場合、磁束整流板21の厚さを0.5、ギャップ長を4とし、C字型コアの内径を10×4以上取ったときに、磁束整流板21の楔状突き出し部分23の長さdは、0.32〜0.35であることが望ましい。なお、コア13の断面は長方形または円形でもよいが、長方形断面の場合は幅を3、奥行きを3以上とし、円形断面の場合は直径を3とし、他は上記正方形断面の場合と同一とする。
図2に示したコイルコア11は、以上の寸法比率で形成してある。この実施形態によれば、ギャップ15の中央部分31では、長さ3、幅0.3(一辺0.3、長さ3の円柱部分)において磁束密度のばらつきを1%以内に抑えることができる。
以上のコイルコア11の寸法は無次元数としたが、比例関係が保たれていれば、精度は実寸法に依存しない。
なお、磁束整流板21の縦方向の長さLは、2以上にすることが望ましい。
以上の実施形態において、磁束整流板21は平板状とし、側面が楔形の台形となるように突き出し部分23を形成したが、これは中心となる断面正方形のコア13(ポール13a)に接着等により簡単に付加することができるからである。磁束整流板21は、コア13(ポール13a)の4つの外周面に設けることが好ましいが、対向する一対の面だけでも一定の効果が得られる。
また、磁束整流板21をコア13(ポール13a)と一体成型してもよい。
他の実施形態、例えば、コアを断面円柱型とし、磁束整流板をギャップ周りに突き出しのある円筒状(シリンダ状)に形成して、ポールに嵌合装着する構成でもよい。
また、コア近傍に保護すべき磁性体41が存在し、それの磁性体41に対して磁場をかけたくない場合は、図3に示したように、ギャップ15側を開放して磁性体41を囲むコ字形状の磁束バイパス部材43を設ける。この場合でも、上記磁束整流板21の効果により、ギャップ15内部の磁束分布の乱れを大幅に少なくすることができる。
本発明を適用したコアコイルのコア部分の実施形態を示す図であって、(A)は側面図、(B)は正面図、(C)は平面図である。 同実施形態のコアコイルの側面図および磁束分布のシミュレーション結果を示す図である。 同実施形態において、ギャップ近傍に磁束バイパス部材を配置した場合の磁束分布のシミュレーション結果を示す図である。 従来のコアコイルを示す図であって、(A)はC字型のコアコイル、(B)は合わせE字型のコアコイルを示す図である。 従来のC字型のコアコイルの磁束分布を説明する図である。
符号の説明
11 コイルコア
13 コア
13a ポール
13b 横部分
13c 縦部分
13d 対向平面
15 ギャップ
21 磁束整流板
23 楔状突き出し部分

Claims (9)

  1. 対向するポールにより形成された一つのエアギャップをもつコイルコアにおいて、
    上記対向するポールそれぞれの外周に、上記ギャップ方向に突出し、ギャップ内部の磁束密度分布を均一化する磁束整流板を設けたこと、を特徴とする平行磁界を発生させるコイルコア。
  2. 請求項1記載の平行磁界を発生させるコイルコアにおいて、上記磁束整流板は、上記ポールの対向面縁部からギャップ外方に向かって薄くなるように離反する、楔状突き出し部分を有する平行磁界を発生させるコイルコア。
  3. 請求項1または2記載の平行磁界を発生させるコイルコアにおいて、上記コアは、少なくとも上記ポールが矩形の断面をもつ一定太さのC字型である平行磁界を発生させるコイルコア。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項記載の平行磁界を発生させるコイルコアにおいて、上記磁束整流板は、上記ポールの対向する外周面または全外周面に設けられている平行磁界を発生させるコイルコア。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項項記載の平行磁界を発生させるコイルコアにおいて、上記磁束整流板は、上記コイルコアとは別体として形成され、前記ポールの外面に貼られている平行磁界を発生させるコイルコア。
  6. 請求項1または2記載の平行磁界を発生させるコイルコアにおいて、上記コアは、少なくとも上記ポールが円形の断面をもつ一定太さのC字型である平行磁界を発生させるコイルコア。
  7. 請求項6記載の平行磁界を発生させるコイルコアにおいて、上記磁束整流板は、上記コアとは別体として形成され、上記ポールに嵌合される円筒形状である平行磁界を発生させるコイルコア。
  8. 請求項3乃至7のいずれか一項記載の平行磁界を発生させるコイルコアにおいて、上記コアが正方向形または円形の断面の場合は一辺の長さまたは太さを3、上記コアが長方形の断面の場合は幅を3、奥行きを3以上とし、上記磁束整流板の厚さを0.5、ギャップ長を4、上記C字型コアの内径を10×4以上として、上記磁束整流板の楔状突き出し部分の長さを0.32〜0.35とした平行磁界を発生させるコイルコア。
  9. 請求項8記載の平行磁界を発生させるコイルコアにおいて、上記整流板の縦方向の長さは2以上である平行磁界を発生させるコイルコア。
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