JP7078240B2 - へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法、ならびに、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器 - Google Patents

へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法、ならびに、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、チタンまたはチタン合金から構成される猪口、コップ、お椀、皿、灰皿などのチタン製金属容器(以下、単に「チタン製金属容器」と言う)を製造する方法、ならびに、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器に関する。
より詳細には、チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、へら絞りすることによって、チタン製金属容器を作製するへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法において、
へら絞り工程の後に行われる、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工(以下、単に「研磨加工」と言う)などの後加工において、チタン製金属容器の変形を防止することが可能な、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法、ならびに、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器に関する。
従来より、チタンまたはチタン合金からなるチタン製金属容器は、その表面硬度が低いため、表面が傷つきやすく、また、長時間の使用によって、チタン製金属容器の表面の鏡面が傷で曇ることがあり、美観が劣化することがある。
このため、従来より、チタンまたはチタン合金の表面硬度の低さを向上するために、例えば、イオン注入、イオン窒化、浸炭などの表面硬化処理が行われている。
しかしながら、このような表面処理方法では、処理時間が長くかかり、コストが高くつくことになる。
また、このような表面処理方法では、処理温度が高いので、表面の結晶粒が粗大化したり、窒素や酸素などの固容化される元素とチタンが、化合物層を形成して表面が粗くなり、チタン製金属容器の表面の鏡面性が低下して美観が低下することになる。
さらに、チタン製金属容器の表面から深い領域まで硬化層を形成することが困難であるので、長時間の使用によって、チタン製金属容器の表面に傷が発生して、美観が劣化することがある。
このため、特許文献1(特開2001-81544号公報)には、表面から深い領域に達する硬化層を得ることができ、長時間の使用によっても、表面を美しい鏡面に保つことができ、美観に優れた表面処理方法が提案されている。
すなわち、特許文献1の表面処理方法では、チタンまたはチタン合金製の食器を、真空槽内に配置して、加熱して焼鈍処理している。
その後、微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを、真空槽内に導入して、所定の減圧状態の下で、チタンまたはチタン合金製の食器を、真空槽内に配置して、700~800℃の温度で、所定時間加熱している。
これにより、チタンまたはチタン合金製の食器の表面から内部へ、窒素および酸素を拡散固溶させている。そして、チタンまたはチタン合金製の食器を、常温まで冷却している。
その結果、チタンまたはチタン合金製の食器に、窒素および酸素を固溶する第1の硬化層と、酸素を固溶する第2の硬化層とを含む表面硬化層を形成する。
これにより、表面から深い領域に達する硬化層を得ることができ、長時間の使用によっても、表面を美しい鏡面に保つことができ、美観に優れたチタンまたはチタン合金製の食器を提供している。
特開2001-81544号公報
ところで、最近では、チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、例えば、へら絞り、パイプ加工、巻き溶接によって、例えば、円筒形状、円錐形状などの同心円形状に、加工する金属加工が行われている。
このような金属加工を行った後、例えば、コップなどのチタン製金属容器では、意匠性、美観、商品価値などの向上のため、これらのチタン製金属容器の一方の側の表面(例えば、外側の表面)に対して、例えば、グラインダー加工、ブラスト加工などの研磨加工を行う場合がある。
この場合、このような研磨加工を実施すると、研磨加工で発生する応力によって、チタン製金属容器の全体、または、一部分に塑性変形が生じてしまうことがある。
その結果、美観が悪くなり、時によっては、商品価値がなくなって、廃棄処分を行わなければならず、コストが高くつくことにもなる。
さらに、従来の方法では、前述したような研磨加工を行っても、塑性変形が生じることのない板厚や形状にしなければならず、チタン製金属容器が大型化したり、意匠性の観点から自由度が小さいものである。
しかしながら、特許文献1では、前述したような金属加工を行った後、例えば、グラインダー加工、ブラスト加工などの研磨加工を行う場合を対象とするものではない。
また、特許文献1では、表面処理により、チタンまたはチタン合金製の食器に、窒素および酸素を固溶する第1の硬化層と、酸素を固溶する第2の硬化層とを含む表面硬化層を形成することを目的とするものである。
このため、特許文献1のような表面処理を施したチタンまたはチタン合金製の食器を、前述したような、例えば、グラインダー加工、ブラスト加工などの研磨加工を行った場合には、研磨加工で発生する応力によって、チタンまたはチタン合金製の食器の全体、または、一部分に塑性変形が生じてしまうことがある。
その結果、美観が悪くなり、時によっては、商品価値がなくなって、廃棄処分を行わなければならず、コストが高くつくことにもなる。
本発明は、このような現状に鑑み、チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、へら絞りすることによって、チタン製金属容器を作製するへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法において、
へら絞り工程の後に行われる、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器の変形を防止することが可能な、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法、ならびに、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器を提供することを目的とする。
また、本発明は、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きいへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法、ならびに、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、
チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、へら絞りすることによって、チタン製金属容器を作製するへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法であって、
前記チタン金属平板からへら絞りによって、チタン金属成形容器を成形するへら絞り成形工程と、
前記へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器を作製する高温酸化処理工程と、
前記高温酸化処理工程によって、表面全体に硬化酸化被膜が形成されたチタン金属成形容器に対して、後加工である研磨加工を行う研磨加工工程と、
を備えることを特徴とする。
このように構成することによって、高温酸化処理工程において、へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器を作製している。
これにより、チタン製金属容器の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器の変形を防止することが可能である。
また、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
また、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、
チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、へら絞りすることによって、チタン製金属容器を作製するへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法であって、
前記チタン金属平板からへら絞りによって、チタン金属成形容器を成形するへら絞り成形工程と、
前記へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器の表面に対して、研磨加工を行う事前研磨工程と、
前記事前研磨工程によって得られたチタン金属成形容器を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器を作製する高温酸化処理工程と、
前記高温酸化処理工程によって、表面全体に硬化酸化被膜が形成されたチタン金属成形容器に対して、後加工である研磨加工を行う研磨加工工程と、
を備えることを特徴とする。
このように構成することによって、事前研磨工程において、へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器の表面に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工を行っても良い。
その後、高温酸化処理工程において、事前研磨工程によって得られた、チタン金属成形容器の表面に研磨加工が行われたチタン金属成形容器を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器を作製している。
これにより、チタン製金属容器の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器の変形を防止することが可能である。
また、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
また、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、前記高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器の一方の側の表面に対して、研磨加工を行う第1の研磨工程を備えることを特徴とする。
このように構成することによって、第1の研磨工程において、例えば、一方の側の表面として、チタン製金属容器の内側表面(例えば、内側の側面、内側の底面)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行っている。
これにより、研磨加工などの後加工を行っても、チタン製金属容器の変形を防止することが可能である。
また、このように、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
また、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、前記高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器の他方の側の表面に対して、研磨加工を行う第2の研磨工程を備えることを特徴とする。
このように構成することによって、第2の研磨工程において、例えば、他方の側の表面として、チタン製金属容器の外側表面(例えば、外側の側面、外側の底面)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行っている。
これにより、研磨加工などの後加工を行っても、チタン製金属容器の変形を防止することが可能である。
また、このように、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
また、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、前記第1の研磨工程を行うチタン製金属容器の一方の側の表面が、前記チタン製金属容器の内側表面であることを特徴とする。
このように構成することによって、第1の研磨工程において、一方の側の表面として、チタン製金属容器の内側表面(例えば、内側の側面、内側の底面)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行っている。
これにより、研磨加工などの後加工を行っても、チタン製金属容器の変形を防止することが可能である。
また、このように、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
また、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、前記第2の研磨工程を行うチタン製金属容器の他方の側の表面が、前記チタン製金属容器の外側表面であることを特徴とする。
このように構成することによって、第2の研磨工程において、他方の側の表面として、チタン製金属容器の外側表面(例えば、外側の側面、外側の底面)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行っている。
これにより、研磨加工などの後加工を行っても、チタン製金属容器の変形を防止することが可能である。
また、このように、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
また、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、前記高温酸化処理工程における処理温度が、800℃~1100℃であることを特徴とする。
このように、高温酸化処理工程における処理温度が、800℃~1100℃の範囲であれば、チタン製金属容器の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器の変形を効果的に防止することが可能である。
また、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、前記高温酸化処理工程における処理時間が、4分~15分であることを特徴とする。
このように、高温酸化処理工程における処理時間が、4分~15分の範囲であれば、チタン製金属容器の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器の変形を防止することが可能である。
また、本発明のチタン製金属容器は、前述のいずれかに記載のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器である。
本発明によれば、高温酸化処理工程において、へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器を作製している。
また、事前研磨工程において、へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器の一方の側の表面に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工を行っても良い。
これにより、チタン製金属容器の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器の変形を防止することが可能である。
また、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
図1は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法によって得られたチタン製金属容器の一例として、コップを示す斜視図である。 図2は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の概略を説明するフローチャートである。 図3は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図4は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図5は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図6は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図7は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図8は、本本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図9は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図10は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図11は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。 図12は、高温酸化による歪発生抑制試験(処理温度による影響)を示す表(表1-1)である。 図13は、高温酸化による歪発生抑制試験(処理温度による影響)を示す表(表1-2)である。 図14は、高温酸化による歪発生抑制試験(処理時間による影響)を示す表(表2-1)である。 図15は、高温酸化による歪発生抑制試験(処理時間による影響)を示す表(表2-2)である。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法によって得られたチタン製金属容器の一例として、コップを示す斜視図、図2は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の概略を説明するフローチャート、図3は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャート、図4は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャート、図5は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャート、図6は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。
図1において、符号10は、全体で本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法によって得られたチタン製金属容器10の一例として、コップを示している。
なお、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法によって得られたチタン製金属容器10としては、このようなコップに限定されるものではなく、例えば、チタンまたはチタン合金から構成される猪口、お椀、皿、灰皿、その他の形状のチタン製金属容器10を対象とするものである。
図1に示したように、この実施例のチタン製金属容器10は、一方の側の表面として、チタン製金属容器10の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)を備えている。
また、他方の側の表面として、チタン製金属容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)を備えている。
このような構成のチタン製金属容器10は、チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、へら絞りすることによって、チタン製金属容器10が作製される。
図2に示したように、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、以下の工程によって実施される。
すなわち、先ず、図2のステップS1において、チタン金属平板からへら絞りによって、チタン金属成形容器10を成形するへら絞り成形工程が行われる。
次に、図2のステップS2において、へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器10を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器10を作製する高温酸化処理工程が行われる。
このように構成することによって、高温酸化処理工程において、へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器10を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器10を作製している。
これにより、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
また、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器10が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
この場合、高温酸化処理工程における処理温度としては、800℃~1100℃であるのがより望ましい。
このように、高温酸化処理工程における処理温度が、800℃~1100℃の範囲であれば、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器10の変形を効果的に防止することが可能である。
さらに、高温酸化処理工程における処理時間としては、4分~15分であるのが望ましい。
このように、高温酸化処理工程における処理時間が、4分~15分の範囲であれば、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
このように、へら絞り成形工程→高温酸化処理工程の順に行っても良い。
また、図3に示したように、図3のステップS3において、高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器10の一方の側の表面に対して、研磨加工を行う第1の研磨工程を行っても良い。
すなわち、第1の研磨工程において、例えば、一方の側の表面として、チタン製金属容器10の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行っている。
これにより、研磨加工などの後加工を行っても、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
また、このように、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器10が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
このように、へら絞り成形工程→高温酸化処理工程→第1の研磨工程の順に行っても良い。
また、図4に示したように、図4のステップS4において、高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器10の他方の側の表面に対して、研磨加工を行う第2の研磨工程を行っても良い。
すなわち、第2の研磨工程において、例えば、他方の側の表面として、チタン製金属容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行っている。
これにより、研磨加工などの後加工を行っても、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
また、このように、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器10が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
このように、へら絞り成形工程→高温酸化処理工程→第2の研磨工程の順に行っても良い。
さらに、図5に示したように、ステップS3において、高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器10の一方の側の表面に対して、第1の研磨工程において、研磨加工を行う。
すなわち、第1の研磨工程において、例えば、一方の側の表面として、チタン製金属容器の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行う。
そして、このように、第1の研磨工程を行った後、図5に示したように、図5のステップS4において、第2の研磨工程において、第1の研磨工程で得られたチタン製金属容器10の他方の側の表面に対して、研磨加工を行う。
すなわち、第2の研磨工程において、例えば、他方の側の表面として、チタン製金属容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行う。
このように、へら絞り成形工程→高温酸化処理工程→第1の研磨工程→第2の研磨工程の順に行っても良い。
さらに、図6に示したように、図6のステップS4において、高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器10の他方の側の表面に対して、研磨加工を行う。
すなわち、第2の研磨工程において、例えば、他方の側の表面として、チタン製金属容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行う。
そして、このように、第2研磨工程を行った後、図6示したように、図6のステップS3において、第1の研磨工程において、第2の研磨工程で得られたチタン製金属容器10の一方の側の表面に対して、研磨加工を行う。
すなわち、第1の研磨工程において、例えば、一方の側の表面として、チタン製金属容器の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行う。
このように、へら絞り成形工程→高温酸化処理工程→第2の研磨工程→第1の研磨工程の順に行っても良い。
(実施例2)
図7は、本発明の別の実施例の本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャート、図8は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャート、図9は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャート、図10は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャート、図11は、本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法の別の実施例の概略を説明するフローチャートである。
この実施例のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、図1~図6に示した本発明のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法と基本的には同様な構成で同一の構成には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法は、図7に示したように、以下の工程によって実施される。
すなわち、先ず、図7のステップS101において、チタン金属平板からへら絞りによって、チタン金属成形容器を成形するへら絞り成形工程が行われる。
次に、図7のステップ102において、へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器10の表面に対して、研磨加工を行う事前研磨工程が行われる。
すなわち、事前研磨工程において、
・一方の側の表面として、チタン金属成形容器10の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)、または、
・一方の側の表面として、チタン金属成形容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)、または、
・一方の側の表面として、チタン金属成形容器10の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)、および、チタン金属成形容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)の両方、
に対して、研磨加工を行う事前研磨工程が行われる。
次に、図7のステップS103において、事前研磨工程によって得られたチタン金属成形容器10を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器10を作製する高温酸化処理工程が行われる。
このように構成することによって、事前研磨工程において、へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器10の表面に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工を行っても良い。
その後、高温酸化処理工程において、事前研磨工程によって得られた、チタン金属成形容器10の表面に研磨加工が行われたチタン金属成形容器10を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器10を作製している。
これにより、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
また、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器10が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
この場合、高温酸化処理工程における処理温度としては、600℃~1100℃であるのが望ましい。
このように、高温酸化処理工程における処理温度が、600℃~1100℃の範囲であれば、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
また、高温酸化処理工程における処理温度としては、800℃~1100℃であるのがより望ましい。
このように、高温酸化処理工程における処理温度が、800℃~1100℃の範囲であれば、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器10の変形をより効果的に防止することが可能である。
さらに、高温酸化処理工程における処理時間としては、4分~15分であるのが望ましい。
このように、高温酸化処理工程における処理時間が、4分~15分の範囲であれば、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
このように、へら絞り成形工程→事前研磨工程→高温酸化処理工程の順に行っても良い。
また、図8に示したように、図8のステップS104において、高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器10の一方の側の表面に対して、研磨加工を行う第1の研磨工程を行っても良い。
すなわち、第1の研磨工程において、例えば、一方の側の表面として、チタン製金属容器10の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行っている。
これにより、研磨加工などの後加工を行っても、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
また、このように、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器10が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
このように、へら絞り成形工程→事前研磨工程→高温酸化処理工程→第1の研磨工程の順に行っても良い。
また、図9に示したように、図9のステップS105において、高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器10の他方の側の表面に対して、研磨加工を行う第2の研磨工程を行っても良い。
すなわち、第2の研磨工程において、例えば、他方の側の表面として、チタン製金属容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行っている。
これにより、研磨加工などの後加工を行っても、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
また、このように、研磨加工などの後加工において、塑性変形が生じることのない板厚や形状にすることなく、チタン製金属容器10が大型化することなく、意匠性の観点から自由度が大きくなる。
このように、へら絞り成形工程→事前研磨工程→高温酸化処理工程→第2の研磨工程の順に行っても良い。
さらに、図10に示したように、ステップS104において、高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器10の一方の側の表面に対して、第1の研磨工程において、研磨加工を行う。
すなわち、第1の研磨工程において、例えば、一方の側の表面として、チタン製金属容器の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行う。
そして、このように、第1の研磨工程を行った後、図10に示したように、図5のステップS105において、第2の研磨工程において、第1の研磨工程で得られたチタン製金属容器10の他方の側の表面に対して、研磨加工を行う。
すなわち、第2の研磨工程において、例えば、他方の側の表面として、チタン製金属容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行う。
このように、へら絞り成形工程→事前研磨工程→高温酸化処理工程→第1の研磨工程→第2の研磨工程の順に行っても良い。
さらに、図11に示したように、図11のステップS105において、高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器10の他方の側の表面に対して、研磨加工を行う。
すなわち、第2の研磨工程において、例えば、他方の側の表面として、チタン製金属容器10の外側表面(例えば、外側の側面16、外側の底面18)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行う。
そして、このように、第2研磨工程を行った後、図11に示したように、図11のステップS104において、第1の研磨工程において、第2の研磨工程で得られたチタン製金属容器10の一方の側の表面に対して、研磨加工を行う。
すなわち、第1の研磨工程において、例えば、一方の側の表面として、チタン製金属容器の内側表面(例えば、内側の側面12、内側の底面14)に対して、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工を行う。
このように、へら絞り成形工程→事前研磨工程→高温酸化処理工程→第2の研磨工程→第1の研磨工程の順に行っても良い。
(実施例3)
1.高温酸化による歪発生抑制試験(処理温度による影響)
円板形状の純チタン材(厚さ0.8mm)を用いて、ヘラシボリ加工を実施して、図1示したように、外径φ70mm、高さ140mm、底面φ50mmのコップ形状のチタン金属成形容器10を作製した。
その後、このように作製したチタン金属成形容器10を、旋盤機に取り付け464rpm回転で回転させる。
この状態で、ハンディグラインダー(粒度36P番)の研磨ディスクを12300rpm回転させて、チタン金属成形容器10の表面(外側の側周面16)を、グラインダー加工して、50~52グラム、チタン金属成形容器10の側周面の厚さを、0.5mmとして、実験用のチタン製金属容器10を作製した。
この場合、作製した実験用のチタン金属成形容器10の真円度は、0.25(真円度=(max-min)/2)である。
このように作製した実験用のチタン金属成形容器10を用いて、以下のように、サンプル1~サンプル7について、それぞれ高温酸化による歪発生抑制試験(処理温度による影響)を行った。
この場合、歪発生抑制試験を行うために、サンド(砂)からなる微粒子を、直圧式エアーブラスト機を用い、0.5MPaの投射圧で、ノズルと本体とチタン製金属容器10の内側の底面14との距離150mmをテーパー面100mmに設定して投射を行い、チタン製金属容器10の内側の底面14にブラスト加工を実施した。
そして、以下のサンプル1~サンプル7について、それぞれ真円度を測定した。その結果を、図12~図13の表1(表1-1、表1-2)に示した。
サンプル1…高温酸化を行わず、ブラスト加工のみを行った。
サンプル2…600℃、8分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル3…800℃、8分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル4…1000℃、8分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル5…1100℃、8分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル6…1200℃、8分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル7…1300℃、8分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
表1の結果から明らかなように、高温酸化を行わず、ブラスト加工のみを行ったサンプル1では、真円度が2.95であり、最も歪が大きいことがわかる。
また、表1の結果から明らかなように、高温酸化処理工程における処理温度が、800℃~1100℃の範囲(サンプル3~サンプル5)であれば、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、ブラスト加工による研磨加工の後加工において、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
(実施例4)
2.高温酸化による歪発生抑制試験(処理時間による影響)
実施例3と同様に、円板形状の純チタン材(厚さ0.8mm)を用いて、ヘラシボリ加工を実施して、図1示したように、外径φ70mm、高さ140mm、底面φ50mmのコップ形状のチタン金属成形容器10を作製した。
その後、このように作製したチタン金属成形容器10を、旋盤機に取り付け464rpm回転で回転させる。
この状態で、ハンディグラインダー(粒度36P)の研磨ディスクを12300rpm回転させて、チタン金属成形容器10の表面(外側の側周面16)を、グラインダー加工して、50~52グラム、チタン金属成形容器10の側周面の厚さを、0.5mmとして、実験用のチタン金属成形容器10を作製した。
この場合、作製した実験用のチタン金属成形容器10の真円度は、0.25(真円度=(max-min)/2)である。
このように作製した実験用のチタン金属成形容器10を用いて、以下のように、サンプル8~サンプル12について、それぞれ高温酸化による歪発生抑制試験(処理時間による影響)を行った。
この場合、歪発生抑制試験を行うために、サンド(砂)からなる微粒子を、直圧式エアーブラスト機を用い、0.5MPaの投射圧で、ノズルと本体とチタン製金属容器10の内側の底面14との距離150mmをテーパー面100mmに設定して投射を行い、チタン製金属容器10の内側の底面14にブラスト加工を実施した。
そして、以下のサンプル8~サンプル12について、それぞれ真円度を測定した。その結果を、図14~図15の表2(表2-1、表2-2)に示した。
サンプル8…1100℃、4分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル9…1100℃、6分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル10…1100℃、12分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル11…1100℃、15分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
サンプル12…1100℃、20分の時間で高温酸化処理を行った後、ブラスト加工を行った。
表2の結果から明らかなように、高温酸化処理工程における処理時間が、4分~15分の範囲(サンプル8~サンプル11)であれば、チタン製金属容器10の表面全体に、硬化酸化被膜が形成され、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工などの後加工において、チタン製金属容器10の変形を防止することが可能である。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明は、例えば、チタンまたはチタン合金から構成される猪口、コップ、お椀、皿、灰皿などのチタン製金属容器(以下、単に「チタン製金属容器」と言う)を製造する方法、ならびに、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器に適用することができる。
より詳細には、チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、へら絞りすることによって、チタン製金属容器を作製するへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法において、
へら絞り工程の後に行われる、例えば、グラインダー加工、サンドペーパー、ブラスト加工、ラッピング、ポリシングなどの研磨加工(以下、単に「研磨加工」と言う)などの後加工において、チタン製金属容器の変形を防止することが可能な、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法、ならびに、へら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器に適用することができる。
10…チタン製金属容器(チタン金属成形容器)
12…内側の側面
14…内側の底面
16…外側の側面
18…外側の底面

Claims (9)

  1. チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、へら絞りすることによって、チタン製金属容器を作製するへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法であって、
    前記チタン金属平板からへら絞りによって、チタン金属成形容器を成形するへら絞り成形工程と、
    前記へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器を作製する高温酸化処理工程と、
    前記高温酸化処理工程によって、表面全体に硬化酸化被膜が形成されたチタン金属成形容器に対して、後加工である研磨加工を行う研磨加工工程と、
    を備えることを特徴とするへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法。
  2. チタンまたはチタン合金から構成されるチタン金属平板を、へら絞りすることによって、チタン製金属容器を作製するへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法であって、
    前記チタン金属平板からへら絞りによって、チタン金属成形容器を成形するへら絞り成形工程と、
    前記へら絞り成形工程によって得られたチタン金属成形容器の表面に対して、研磨加工を行う事前研磨工程と、
    前記事前研磨工程によって得られたチタン金属成形容器を、空気または酸素雰囲気中で高温酸化処理を施すことによって、チタン製金属容器を作製する高温酸化処理工程と、
    前記高温酸化処理工程によって、表面全体に硬化酸化被膜が形成されたチタン金属成形容器に対して、後加工である研磨加工を行う研磨加工工程と、
    を備えることを特徴とするへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法。
  3. 前記高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器の一方の側の表面に対して、研磨加工を行う第1の研磨工程を備えることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法。
  4. 前記高温酸化処理工程で得られたチタン製金属容器の他方の側の表面に対して、研磨加工を行う第2の研磨工程を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法。
  5. 前記第1の研磨工程を行うチタン製金属容器の一方の側の表面が、前記チタン製金属容器の内側表面であることを特徴とする請求項3に記載のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法。
  6. 前記第2の研磨工程を行うチタン製金属容器の他方の側の表面が、前記チタン製金属容器の外側表面であることを特徴とする請求項4に記載のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法。
  7. 前記高温酸化処理工程における処理温度が、800℃~1100℃であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法。
  8. 前記高温酸化処理工程における処理時間が、4分~15分であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のへら絞りによるチタン製金属容器を製造する方法で得られたチタン製金属容器。
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