詳細な説明
植物、ベクター、および方法を、ここに、以下の添付の図面を参照してより完全に説明する。図面は、本発明の全てではないがいくつかの実施形態を示す。実際に、本発明を多数の異なる形態で具体化することができ、本発明を、本明細書中に記載の実施形態に制限されると解釈すべきではない;むしろ、これらの実施形態を、本開示が適用可能な法的要求事項を満たすように提供する。
同様に、本発明が属する分野の当業者は、前述の説明および関連する図面に示した教示の利点を有する本明細書中に記載の植物、ベクター、および方法の多数の修正形態および他の実施形態を思いつく。したがって、本発明が開示の特定の実施形態に制限されず、修正形態および他の実施形態が添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されると理解すべきである。本明細書中で特定の用語が使用されているが、これらの用語を一般的且つ説明的な意味のみで使用しており、本発明の制限を目的としない。
別段の定義がない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する分野の当業者が一般的に理解している意味を有する。本明細書中に記載の方法および材料に類似するか等価な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験で使用することができるが、好ましい方法および材料を本明細書中に記載する。
定義
別段の記載をしていない限り、技術用語を、従来の使用法に従って使用する。分子生物学における共通の用語の定義は、Lewin、Genes VII、2001(Oxford University Press)、The Encyclopedia of Molecular Biology、Kendrewら編、1999(Wiley-Interscience)およびMolecular Biology and Biotechnology, a Comprehensive Desk Reference、Robert A. Meyers編、1995(VCH Publishers. Inc)、Current Protocols In Molecular Biology、F. M. Ausubelら編、1987(Green Publishing)、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、2001に見出され得る。
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「遺伝子」、および「オリゴヌクレオチド」を、互換的に使用する。これらの用語は、任意の長さのヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはそのアナログのいずれか)の重合形態をいう。ポリヌクレオチドは、公知または未知にかかわらず、任意の三次元構造を有することができ、任意の機能を果たすことができる。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子フラグメントのコード領域または非コード領域、連鎖解析から定義される遺伝子座(複数)(遺伝子座(単数))、エクソン、イントロン、伝令RNA(mRNA)、転移RNA、リボゾームRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、1つまたは複数の改変ヌクレオチド(メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログなど)を含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造を、ポリマーのアセンブリ前または後に改変することができる。ヌクレオチド配列を、非ヌクレオチド成分によって妨害することができる。ポリヌクレオチドを、標識成分との抱合などによって重合後にさらに改変することができる。
本明細書中で使用される場合、「ベクター」は、別のDNAセグメントを、この別のDNAセグメントが複製するように挿入することができるレプリコン(プラスミド、ファージ、またはコスミドなど)である。本明細書中に記載のベクターは、発現ベクターであり得る。
本明細書中で使用される場合、「発現ベクター」は、1つまたは複数の発現制御配列を含むベクターである。
本明細書中で使用される場合、「発現制御配列」または「発現カセット」は、別のDNA配列の転写および/または翻訳を調節および制御するDNA配列である。発現制御配列は、異種または非異種のプロモーターを含み得る。
本明細書中で使用される場合、「作動可能に連結された」は、発現制御配列が目的のコード配列の発現を有効に制御するように遺伝子構築物に組み込まれることを意味する。
本明細書中で使用される場合、「形質転換された」および「トランスフェクトされた」は、当該分野で公知のいくつかの技術による細胞内への核酸(例えば、ベクター)の導入を含む。
「プラスミド」を、大文字および/または数字の前および/または後の小文字の「p」によって示す。
本明細書中で使用される場合、用語「発現レベル」は、所与の核酸またはポリペプチドの測定可能な発現レベルをいう。所与の核酸またはポリペプチドの発現レベルを、当該分野で周知の方法によって決定する。用語「差次的に発現された」または「差次的発現」は、所与の核酸またはポリペプチドの測定可能な発現レベルの増加または減少をいう。「差次的に発現された」または「差次的発現」は、比較のために使用した2つの試料における所与の核酸またはポリペプチドの発現レベルの1倍またはそれを超える(2倍、5倍、10倍、20倍、50倍まで(記載の数値を含む)またはそれを超える)相違を意味する。2つの試料のうちの1つが所与の核酸またはポリペプチドの検出可能な発現を含まない場合、所与の核酸またはポリペプチドは、2つの試料中で「差次的に発現された」ともいわれる。
多型は、ゲノム内のヌクレオチド配列の変動をいい、この変動は機能的意義を持っても持たなくても良い。これらのバリアントを遺伝子マーカーとして作出し、遺伝学的調査(遺伝的差異を目的の形質の変動と関連付ける解析が含まれる)の全ての局面で使用することができる。本明細書中で使用される場合、用語「多型」には、一塩基多型(SNP)、挿入/欠失(InDel)、単純反復配列(SSR)、存在/非存在変動(PAV)、およびコピー数多型(CNV)が含まれるが、これらに限定されない。多型は、天然に存在し得るか、人為的に誘導することができる。多型の誘導および検出方法は、当該分野で周知である。
本明細書中で使用される場合、用語「プロモーター」は、コード配列または機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列をいう。プロモーター配列は、近位およびより遠位の上流エレメントからなり、後者のエレメントを、しばしば、エンハンサーという。「エンハンサー」は、プロモーター活性を刺激することができるDNA配列であり、且つ、先天性プロモーターエレメントまたはプロモーターのレベルまたは組織特異性を増強するように挿入された異種エレメントであり得る。プロモーターは、その完全な形態でネイティブ遺伝子から誘導され得るか、自然界で見出される異なるプロモーターに由来する異なるエレメントから構成され得、そして/または合成DNAセグメントを含み得る。当業者は、異なるプロモーターが、異なる組織または細胞型において、異なる発生段階で、または異なる環境条件に応答して遺伝子発現を指示することができると理解している。ほとんどの場合で制御配列の正確な境界は完全に定義されていないので、いくらか変動のあるDNAフラグメントが同一のプロモーター活性を有し得ることがさらに認識される。当該分野で周知であるように、プロモーターを、その強さおよび/または活性な条件にしたがって分類することができる(例えば、構成性プロモーター、強力プロモーター、弱いプロモーター、誘導/抑制プロモーター、組織特異的/発生学的に制御されたプロモーター、細胞周期依存性プロモーターなど)。
本明細書中で使用される場合、用語「ゲノム編集」は、人為的に操作されたヌクレアーゼ(すなわち、「分子鋏」)を使用してDNAをゲノムに挿入するか、置換するか、除去するタイプの遺伝子操作である。ゲノム編集は、配列特異的様式で遺伝子の機能および影響を解明し、ゲノム内を変更して所望の表現型に変化させるための有用なツールである。ゲノム編集システムには、メガヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)が含まれるが、これらに限定されない。
用語「植物」は、植物界の種々の光合成真核多細胞生物のうちのいずれかをいい、胚を発生し、クロロプラストを含み、セルロース細胞壁を有し、運動性を欠くことを特徴とする。本明細書中で使用される場合、「植物」には、任意の発生段階の任意の植物または植物の一部(種子、懸濁培養、植物細胞、胚、分裂領域、カルス組織、葉、根、苗条、配偶体、胞子体、花粉、小胞子、およびその子孫が含まれる)が含まれる。切断物および細胞培養物または組織培養物も含まれる。本開示と併せて使用する場合、植物組織には、例えば、植物全体、植物細胞、植物器官(例えば、葉、茎、根、分裂組織、植物の種子、プロトプラスト、カルス、細胞培養物)、ならびに構造単位および/または機能単位に整理した任意の植物細胞グループが含まれる。
用語「植物」を、その最も広い意味で使用する。植物には、木本、花卉または装飾花、作物または穀類、果実または野菜、および藻類(例えば、Chlamydomonas reinhardtii)の任意の種が含まれるが、これらに限定されない。植物はまた、植物の任意の発生段階で存在する構造に広範に分化する複数の植物細胞をいう。かかる構造には、果実、苗条、茎、葉、花弁などが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される用語「コントロール植物」または「野生型」は、トランスジェニック植物または遺伝子改変植物における表現型の増強または所望の形質の同定を目的としてトランスジェニック植物または遺伝子改変植物と比較するために使用される植物細胞、外植体、種子、植物成分、植物組織、植物器官、または植物全体をいう。「コントロール植物」は、いくつかの場合、空のベクターまたはマーカー遺伝子を含むが、評価されるトランスジェニック植物または遺伝子改変植物内に存在する目的の組み換えポリヌクレオチドを含まないトランスジェニック植物系統であり得る。コントロール植物は、試験されるトランスジェニック植物または遺伝子改変植物と同一の系統または変種の植物であり得るか、別の系統または変種(特異的な表現型、特徴、または公知の遺伝子型を有することが公知の植物など)であり得る。適切なコントロール植物には、本明細書中のトランスジェニック植物を生成するために使用された親系統の遺伝的に不変な植物または非トランスジェニック植物が含まれるであろう。
用語「植物組織」には、植物の分化組織および未分化組織(根、苗条、葉、花序、葯、花粉、子房、種子、および腫瘍内に存在する組織が含まれる)ならびに培養細胞(例えば、単一細胞、プロトプラスト、胚、カルスなど)が含まれる。植物組織は、植物体内、器官培養物内、組織培養物内、または細胞培養物内に存在し得る。
本明細書中で使用される用語「植物の一部」は、植物構造、植物器官、または植物組織をいう。
「天然に存在しない植物」は、人間の介入無しには天然に存在しない植物をいう。天然に存在しない植物には、トランスジェニック植物、遺伝子操作によって作出された植物、および伝統的または市場支援による植物育種などの非トランスジェニック手段によって生成された植物が含まれる。
用語「植物細胞」は、プロトプラストおよび細胞壁を含む植物の構造単位および生理学的単位をいう。植物細胞は、単離された単一細胞もしくは培養細胞の形態またはより高次に集合した単位(例えば、植物組織、植物器官、または植物全体など)の一部としての形態であり得る。用語「植物細胞培養物」は、植物単位の培養物(例えば、液体培地中または固体培地上のプロトプラスト、細胞および細胞集塊、植物の組織および器官、小胞子および花粉、花粉管、葯、胚珠、胚嚢、接合体、ならびに種々の発生段階の胚内の細胞など)をいう。
用語「植物材料」は、葉、茎、根、花序および花もしくは花の一部、果実、花粉、葯、卵細胞、接合体、種子、切断物、細胞培養物もしくは組織培養物、または植物の任意の他の部分もしくは生成物をいう。
「植物器官」は、植物の個別且つ見かけ上構造化および分化した部分(根、茎、葉、花芽、花序、小穂、小花、種子、または胚など)をいう。
用語「作物」は、特に、単子葉類(穀類(コムギ、キビ、モロコシ、ライムギ、ライコムギ、カラスムギ、オオムギ、テフ、スペルトコムギ、ソバ、フォニオ、およびキノア)、イネ、メイズ(トウモロコシ)、および/またはサトウキビなど);または双子葉類の作物(ビート(サトウダイコンまたは飼料用ビートなど)など);果実(ナシ状果、核果、またはソフトフルーツ、例えば、リンゴ、セイヨウナシ、セイヨウスモモ、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、またはブラックベリーなど);マメ科植物(マメ、レンズマメ、エンドウマメ、またはダイズなど);油料植物(セイヨウアブラナ、カラシ、ポピー、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、トウゴマ、カカオ豆、またはラッカセイなど);ウリ科植物(マロー、キュウリ、またはメロンなど);繊維植物(ワタ、アマ、アサ、またはジュートなど);柑橘類果実(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、またはマンダリンなど);野菜類(ホウレンソウ、レタス、キャベツ、ニンジン、トマト、ジャガイモ、カボチャ類、またはパプリカなど);クスノキ科(アボカド、シナモン、またはカンフルなど);タバコ;堅果;コーヒー;茶;ブドウ;ホップ;ドリアン;バナナ;ゴムノキ;および観賞用植物(花、灌木、広葉樹または常緑樹、例えば、針葉樹など)を意味する。このリストは、いかなる制限も示さない。
用語「木質作物」または「木本」は、その構造組織として木を生産する植物を意味する。木質作物には、樹木、灌木、またはつる植物が含まれる。木質作物の例には、アメリカサイカチ、ハイブリッドクリ、クログルミ、イロハモミジ、ユーカリ、モクマオウ、エゾマツ、モミ、マツ(例えば、Pinus radiataおよびPinus caribaea)、およびアメリカヤマボウシが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において、用語「成長の改善」または「成長の増加」をその最も広い意味で使用する。この用語には、植物の成長過程および発生過程の任意の改善または増強が含まれる。成長の改善の例には、光合成効率の増加、バイオマスの増加、収量の増加、種子数の増加、種子重量の増加、茎の高さの増加、葉領域の増加、および植物乾燥重量の増加が含まれるが、これらに限定されない。
「量子収量」は、吸収された量子(光子)1モルあたりの固定CO2のモル数、あるいは、光の固定炭素への変換効率を意味する。光合成の量子収量は、光強度および光合成速度の測定値から導く。そのようなものとして、量子収量は、吸収された光が特定の効果を発揮する効率の尺度である。植物細胞または植物における光合成量を、トランスジェニック植物または植物細胞によるデンプンの産生量の測定によって直接検出することができる。植物細胞培養物または植物における光合成量を、CO2検出器(例えば、CO2の減少または消費が光合成レベルの増加を示す)またはO2検出器(例えば、O2レベルの増加が光合成レベルの増加を示す(例えば、Silvaら,Aquatic Biology 7:127-141,2009;およびBaiら,Biotechnol.Lett.33:1675-1681,2011に記載の方法を参照のこと))を使用して検出することもできる。光合成を、放射性標識CO2(例えば、14CO2およびH14CO3-)を使用して測定することもできる(例えば、Silvaら,Aquatic Biology 7:127-141,2009およびこの論文中で引用した参考文献中に記載の方法を参照のこと)。光合成を、クロロフィル蛍光の検出によって測定することもできる(例えば、Silvaら,Aquatic Biology 7:127-141,2009およびこの論文中で引用した参考文献)。植物における光合成のさらなる検出方法は、Zhangら,Mol.Biol.Rep.38:4369-4379,2011に記載されている。
物理科学の分野では、用語「緩和」は、摂動系から平衡へ(通常、高エネルギーレベルから低エネルギーレベルへ)戻ることを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「非光化学的消光緩和」または「NPQ緩和」は、高光強度から低光強度への遷移の際にNPQレベルが低下する過程をいう。
本明細書中の値またはパラメータに付する「約」という用語は、本技術分野の当業者が容易に理解する各値についての通常の誤差範囲をいう。本明細書中の値またはパラメータに付する「約」という用語は、この値またはパラメータ自体を指示する態様を含む(そして説明する)。例えば、「約X」に関する記述には、「X」の記述を含む。
概要
世界人口が急激に増加する中で、世界を政治的および社会的に安定させるには食糧生産量をさらに増加させることが不可欠である。したがって、2050年までにこのような需要を満たすために必要とされる2倍の作物生産が計画されている。それ故、光合成などの重要な作物の特性の根底にある生理学的過程をより深く理解することは、世界の食料安全保障の危機の改善への鍵である。光合成は、光エネルギーを化学エネルギーに変換するために植物および緑藻類によって使用される過程であり、この化学エネルギーをその後に放出して生物の活動を促進することができ、光合成の間に大気二酸化炭素(CO2)が同化され、酸素が放出される。光子(量子)の吸収量に対するCO2の固定量または同化量の比(量子収量としても公知)を、一般に、植物の光合成効率の尺度として使用する。
光は光合成に必要であるが、葉が高光強度に曝露された場合に損傷が起こり得る。これを回避するために、植物はいくつかの光防御機構を発達させている。非光化学的消光(NPQ)は光防御機構の1つであり、過剰に吸収した照射を熱として散逸する。しかし、植物が高光強度から低光強度に移行するとき、NPQがCO2固定を阻害するという事実により、光合成の量子収量は一過性に低下する。さらに、NPQは、高光強度で急速にオンになる(誘導される)が、再度照射が制限された際によりゆっくりオフになる(緩和される)。結果として、変動光下(天然のフィールド条件下でありふれた状況)での植物の光合成効率および成長が損なわれる。
本開示は、植物の高光強度から低光強度への移行後にNPQの緩和を急速にし、それによりCO2固定の光合成量子収量をより迅速に回収する方法を提供する。この方法は、光化学系IIサブユニットS(PsbS)、ゼアキサンチンエポキシダーゼ(ZEP)、およびビオラキサンチンデエポキシダーゼ(VDE)をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列の発現を増加させる工程を含む。NPQの大きさを減少させることなくこの発現が増加するので、高光強度下での通常の光防御に影響を及ぼさない。植物が高光強度から低光強度への移行を頻繁に受ける変動光条件下では、この方法により、光防御効率が改善され、植物の光合成効率および成長も改善される。
本開示は、光合成および成長を改善するために植物を遺伝子操作する方法をさらに提供する。PsbS、ZEP、およびVDEをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを、現在利用可能な方法(プロトプラスト形質転換、アグロバクテリウム媒介形質転換、エレクトロポレーション、微粒子銃が含まれるが、これらに限定されない)によって植物に導入することができる。この方法を使用して、植物種(タバコ、コムギ、メイズ、イネ、ダイズ、モロコシ、キャッサバ、ササゲ、ポプラ、およびユーカリが含まれるが、これらに限定されない)における光合成および成長が改善されたトランスジェニック植物を産生することができる。
NPQ応答および関連するキサントフィルサイクルの根底にある機序が植物および緑藻類にわたって高度に保存されていることが当該分野で周知である。例えば、Niyogi KK,Truong TB(2013).Evolution of flexible non-photochemical quenching mechanisms that regulate light harvesting in oxygenic photosynthesis.Curr Op Plant Biol 16:307-314、Koziol AG,Borza T,Ishida K-I,Keeling P,Lee RW,Durnford DG(2007).Tracing the evolution of the light-harvesting antennae in chlorophyll a/b-containing organisms.Plant Physiol 143:1802-1816、Engelken J,Brinkmann H,Adamska I(2010).Taxonomic distribution and origins of the extended LHC(light-harvesting complex)antenna protein superfamily.BMC Evol Biol 10:233、Brooks MD,Jansson S,Niyogi KK(2014).PsbS-dependent non-photochemical quenching.In: Non-photochemical quenching and energy dissipation in plants,algae and cyanobacteria.Demmig-Adams B,Garab G,Adams WW III,Govindjee eds.(Dordrecht: Springer),pp.297-314、Kasajima I,Ebana K,Yamamoto T,Takahara K,Yano M,Kawai-Yamada M,Uchimiya H(2011).Molecular distinction in genetic regulation of nonphotochemical quenching in rice.Proc Natl Acad Sci USA 108:13835-13840、Alboresi A,Gerotto C,Giacometti GM,Bassi R,Morosinotto T(2010).Physcomitrella patens mutants affected on heat dissipation clarify the evolution of photoprotection mechanisms upon land colonization.Proc Natl Acad Sci USA 107:11128-11133、およびGoss R,Lepetit B(2015).Biodiversity of NPQ.Journal of Plant Physiology,172,13-32を参照のこと。したがって、本発明中に開示の方法を、全ての植物および緑藻類に適用することができる。
別段の指示がない限り、本開示は、当業者の技能範囲内の植物形質転換、植物育種、微生物学、細胞生物学、および組換えDNAの全ての従来技術を含む。例えば、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、2001; Current Protocols in Molecular Biology、F. M. Ausubelら編、1987; Plant Breeding: Principles and Prospects 、M. D. Haywardら、1993; Current Protocols in Protein Science、Coliganら編、1995、(John Wiley & Sons、Inc.); the series Methods in Enzymology (Academic Press、Inc.): PCR 2: A Practical Approach、M. J. MacPherson、B. D. Hamesおよび
G. R. Taylor編、1995を参照のこと。
1つの態様では、発現制御配列に作動可能に連結されたPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物、植物の一部、植物材料、植物種子、または植物細胞を提供する。一実施形態では、、PsbSポリペプチドは、配列番号1のヌクレオチド配列にコードされ、ZEPポリペプチドは、配列番号2のヌクレオチド配列にコードされ、VDEポリペプチドは、配列番号3のヌクレオチド配列にコードされる。別の実施形態では、、トランスジェニック植物は、PsbS、ZEPおよびVDEをコードするヌクレオチド配列を含む。Theトランスジェニック植物は、PsbS、ZEPおよびVDEのうちの少なくとも2つの任意の組み合わせを含んでもよいし、PsbS、ZEPおよびVDEのうちの1つだけを含んでもよい。Theヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、および/または配列番号3に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%配列同一であり得る。別の実施形態では、、PsbSポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を有し、ZEPポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を有し、VDEポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を有する。Theポリペプチドは、配列番号4、配列番号5、または配列番号6に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%アミノ酸配列同一であり得る。シロイヌナズナPsbS、ZEP、およびVDEのヌクレオチドおよび前述のヌクレオチド配列にコードされるポリペプチドのホモログは、ほとんどの植物種および以下に列挙した植物に存在し、このヌクレオチドをシロイヌナズナ遺伝子の代わりに使用することができる。
別の実施形態では、PsbS、ZEP、およびVDEと類似の活性を有する酵素、または保存されたドメインを有する酵素を代替的に使用することができ、これらに限定されないが、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜、飼料、工芸、木質、およびバイオマス作物におけるホモログが挙げられる。PsbSはクロロa_b結合ドメイン(配列番号7)が保存されており、ZEPはNADB_RossmanおよびFHAスーパーファミリードメイン(配列番号8)を含み、VDEはリポカリンドメイン(配列番号9)を有する。これらのドメインを有するホモログも使用することができる。
別の実施形態では、トランスジェニック植物、または植物の一部、または植物材料、または植物種子、または植物細胞は、作物、モデル植物、単子葉の植物、双子葉の植物、ベンケイソウ型酸代謝(CAM)光合成植物、C3光合成植物、C4光合成植物、一年生植物、温室植物、園芸種の顕花植物、多年生植物、スイッチグラス植物、メイズ植物、バイオマス植物、またはサトウキビ植物である。別の実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜、飼料、工芸、木質、およびバイオマス作物から選択される。1つのさらなる実施形態では、トランスジェニック植物はNicotiana tabacumである。別の実施形態では、植物は、変動光条件下での量子収量および/またはCO2固定が改善されており、そして/または成長が改善されている。遺伝子発現レベルのバランスは、植物改善で役割を果たし得る。1つの実施形態では、VDEポリペプチドおよびZEPポリペプチドは、相対的に類似するレベルで発現する。
別の実施形態では、トランスジェニック植物、植物の一部、植物材料、植物種子、または植物細胞は、さらなる特徴(例えば、除草剤抵抗性、昆虫または有害生物に対する抵抗性、病害抵抗性、改変脂肪酸代謝、および/または改変炭水化物代謝)を有する。
別の態様では、発現ベクターであって、PsbS、ZEP、およびVDEから選択される1つまたは複数のポリペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つの発現制御配列を含む発現ベクターを提供する。1つの実施形態では、ベクターは、植物、植物の一部、植物材料、植物種子、または植物細胞内でPsbS、ZEP、およびVDEから選択される1つまたは複数のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を駆動することができるプロモーターを含む少なくとも1つの発現制御配列を含む。別の実施形態では、プロモーターは、Rbcs1A、GAPA-1、およびFBA2から選択される。1つのさらなる実施形態では、ベクターは、ZEPの発現を駆動するRbcs1Aプロモーター、PsbSの発現を駆動するGAPA-1プロモーター、およびVDEの発現を駆動するFBA2プロモーターを含む。別の実施形態では、ベクターはT-DNAである。別の実施形態では、ベクターは図9に示すベクターを含む。別の実施形態では、ベクターは、作物、モデル植物、単子葉の植物、双子葉の植物、ベンケイソウ型酸代謝(CAM)光合成植物、C3光合成植物、C4光合成植物、一年生植物、温室植物、園芸種の顕花植物、多年生植物、スイッチグラス植物、メイズ植物、バイオマス植物、またはサトウキビ植物の植物、植物の一部、または植物材料、または植物種子、または植物細胞内でPsbS、ZEP、およびVDEポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現し得る。別の実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜、飼料、工芸、木質、およびバイオマス作物から選択される。
別の態様では、本明細書中に記載の組換えベクターを含むトランスジェニック植物、植物の一部、植物材料、または植物種子を提供する。
別の態様では、植物、植物の一部、植物材料、植物種子、または植物細胞におけるバイオマス生産および/または炭素固定および/または成長を増加させる方法であって、植物、植物組織、植物種子、または植物細胞のゲノム内に、1つまたは複数の発現制御配列に作動可能に連結されたPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を導入する工程を含む方法を提供する。配列番号1、配列番号2、および配列番号3のヌクレオチドにコードされるポリペプチドの組み込みによって変動光条件下での量子収量、CO2固定が増加し、植物成長が改善されることが見出された。1つの実施形態では、本方法は、本明細書中に記載の組換えベクターを含む。
本開示のトランスジェニック植物
一態様では、本明細書において提供されるのは、1つまたは複数のポリペプチドPsbS、ZEP、またはVDEをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有するトランスジェニック植物である。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、PsbSをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、ZEPをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、VDEをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、PsbSおよびZEPをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、PsbSおよびVDEをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、ZEPおよびVDEをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、PsbS、ZEPおよびVDEをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有する。
上記のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、双子葉植物に由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、単子葉植物に由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Arabidopsis thalianaに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Zea maysに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Oryza sativaに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Sorghum bicolorに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Glycine maxに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Vigna unguiculataに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Populus sppに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Eucalyptus sppに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Manihot esculentaに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Hordeum vulgareに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Solanum tuberosumに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Saccharum sppに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、Medicago sativaに由来する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、またはバイオマス作物に由来する。
上記のいくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかの転写物レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍増大する。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍増大する。
光防御機序は、高等植物間で高度に保存されている。保存の程度(すなわち、相同性)を、目的の遺伝子のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列比較によって解析することができる。本明細書中で使用される「配列同一性」は、解析される配列内の同一の位置で同一である残基の百分率をいう。比較のための配列アラインメント法は、当業者に周知であり、手作業のアラインメントおよびコンピュータ支援の配列アラインメントおよび解析が含まれるが、これらに限定されない。この後者のアプローチは、コンピュータ支援法によって処理量が増加するので、本開示において好ましいアプローチである。任意の2配列間の配列同一率を、数学アルゴリズムを使用して決定することができる。かかる数学アルゴリズムの例は、Myers and Miller,CABIOS 4:11-17(1988)のアルゴリズム;Smithら,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム;Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443-453(1970)の相同性アラインメントアルゴリズム;Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444-2448(1988)の類似性検索法;Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268(1990)のアルゴリズム(Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877(1993)などにおいて修正)である。コンピュータによって実行されるこれらの数学アルゴリズムを、配列同一性および/または類似性を決定するための配列比較のために利用することができる。かかる実行には、例えば、以下が含まれる:PC/GeneプログラムのCLUSTAL(Intelligenetics,Mountain View,Calif.から利用可能);AlignXプログラム、バージョン10.3.0(Invitrogen,Carlsbad,CA)、ならびにWisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ、バージョン8内のGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA(Genetics Computer Group(GCG),575 Science Drive,Madison,Wis.,USAから利用可能)。これらのプログラムを使用したアラインメントを、デフォルトパラメータを使用して実施することができる。CLUSTALプログラムは、Higginsら、Gene 73:237-244(1988);Higginsら、CABIOS 5:151-153(1989);Corpetら,Nucleic Acids Res.16:10881-90(1988);Huangら、CABIOS 8:155-65(1992);およびPearsonら,Meth.Mol.Biol.24:307-331(1994)によって十分に説明されている。Altschulら、J.Mol.Biol.215:403-410(1990)のBLASTプログラムは、Karlin and Altschul(1990),前出のアルゴリズムに基づいている。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、発現ベクターを含み、前述の発現ベクターは、本明細書中に記載の1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、PsbS、ZEP、またはVDEのうちのいずれかをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を有する発現ベクターを含む種子を産生する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物に由来する種子は、子孫植物をさらに産生する。
上記のいくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、変動光条件下のコントロール植物と比較して、変動光条件下での成長が増大する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、変動光条件下のコントロール植物と比較して、変動光条件下での光合成効率が増大する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、変動光条件下のコントロール植物と比較して、変動光条件下での光防御効率が改善される。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、変動光条件下のコントロール植物と比較して、変動光条件下での量子収量およびCO2固定が改善される。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は優良系統または優良株である。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、除草剤抵抗性、昆虫または有害生物に対する抵抗性、病害抵抗性、改変脂肪酸代謝、および/または改変炭水化物代謝を提供する少なくとも1つのさらなるポリペプチドの発現をさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、植物におけるVDEの転写物レベルは、コントロール植物と比較して3倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるPsbSの転写物レベルは、コントロール植物と比較して3倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるZEPの転写物レベルは、コントロール植物と比較して8倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるVDEの転写物レベルは、コントロール植物と比較して10倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるPsbSの転写物レベルは、コントロール植物と比較して3倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるZEPの転写物レベルは、コントロール植物と比較して6倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるVDEの転写物レベルは、コントロール植物と比較して4倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるPsbSの転写物レベルは、コントロール植物と比較して1.2倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるZEPの転写物レベルは、コントロール植物と比較して7倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるVDEのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して16倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるPsbSのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して2倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるZEPのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して80倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるVDEのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して30倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるPsbSのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して4倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるZEPのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して74倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるVDEのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して47倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるPsbSのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して3倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、植物におけるZEPのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して75倍増大する。上記のいくつかの実施形態では、VDE、PsbSおよびZEPの間のコントロール植物と比較した植物における転写物レベルの増大は、3:3:8、10:3:6、または4:1.2:7の比を有する。上記のいくつかの実施形態では、VDE、PsbSおよびZEPの間のコントロール植物と比較した植物におけるタンパク質レベルの増大は、16:2:80、30:4:74、または47:3:75の比を有する。上記のいくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物におけるVDEの転写物レベルの増大は、3倍から10倍の範囲である。上記のいくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物におけるPsbSの転写物レベルの増大は、約1.2倍から約3倍である。上記のいくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物におけるZEPの転写物レベルの増大は、約6倍から約8倍である。上記のいくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物中のVDEのタンパク質レベルの増大は、16倍から47倍の範囲である。上記のいくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物中のPsbSのタンパク質レベルの増大は、約2倍から約4倍である。上記のいくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物中のZEPのタンパク質レベルの増大は、約74倍から約80倍である。
本開示の発現ベクター
別の態様では、本開示は、PsbS、ZEP、およびVDEのいずれかをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を有する発現ベクターに関する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、PsbSをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、ZEPをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、VDEをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、PsbSおよびZEPをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、PsbSおよびVDEをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、ZEPおよびVDEをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、PsbS、ZEPおよびVDEをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を有する。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、ベクターは、植物内でPsbS、ZEP、またはVDEのヌクレオチド配列の発現を駆動することができるプロモーターを有する1つまたは複数の発現制御配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは構成性プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは弱いプロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは組織特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは種子および/または胚特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは葉特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは時間特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは葯および/または花粉特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは花特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、発現ベクター中でプロモーターの組み合わせを使用する。
上記のいくつかの実施形態では、プロモーターは、Rbcs1A、GAPA-1、またはFBA2である。いくつかの実施形態では、Rbcs1AプロモーターはZEPの発現を駆動し、GAPA-1プロモーターはPsbSの発現を駆動し、FBA2プロモーターはVDEの発現を駆動する。いくつかの実施形態では、ベクターはT-DNAである。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、抗生物質抵抗性を提供するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、発現制御配列ならびにPsbSポリペプチド、ZEPポリペプチド、およびVDEポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に隣接する左境界(LB)ドメインおよび右境界(RB)ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、細菌細胞内に存在する。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、アグロバクテリウム細胞内に存在する。
開示の方法
一定の他の態様では、本開示は、植物内での1つまたは複数の本明細書中に記載のポリペプチドの発現を増加させる工程を含む、植物における光合成および成長を増加させる方法に関する。
いくつかの実施形態では、PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を植物に導入することによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかをコードする内因性ヌクレオチド配列の発現を改変することによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかをコードする内因性ヌクレオチド配列のプロモーターを改変することによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかの転写効率を制御する転写因子を改変することによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかのmRNAの安定性を増加させることによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、標的植物内のPsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかのコドン使用頻度を最適化することによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、植物におけるエピジェネティクスを変化させることによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、植物におけるDNAメチル化を変化させることによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、植物におけるヒストン修飾を変化させることによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、植物におけるスモールRNA(sRNA)を変化させることによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかの翻訳効率を増加させることによって発現を増加させる。いくつかの実施形態では、ゲノム編集技術(ZFN、TALEN、およびCRISPRが含まれるが、これらに限定されない)を、PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかの発現を制御するヌクレオチド配列を改変するために使用する。
いくつかの実施形態では、植物におけるVDEの転写物レベルは、コントロール植物と比較して3倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるPsbSの転写物レベルは、コントロール植物と比較して3倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるZEPの転写物レベルは、コントロール植物と比較して8倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるVDEの転写物レベルは、コントロール植物と比較して10倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるPsbSの転写物レベルは、コントロール植物と比較して3倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるZEPの転写物レベルは、コントロール植物と比較して6倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるVDEの転写物レベルは、コントロール植物と比較して4倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるPsbSの転写物レベルは、コントロール植物と比較して1.2倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるZEPの転写物レベルは、コントロール植物と比較して7倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるVDEのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して16倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるPsbSのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して2倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるZEPのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して80倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるVDEのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して30倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるPsbSのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して4倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるZEPのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して74倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるVDEのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して47倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるPsbSのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して3倍増大する。いくつかの実施形態では、植物におけるZEPのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して75倍増大する。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSおよびZEPの間のコントロール植物と比較した植物における転写物レベルの増大は、3:3:8、10:3:6、または4:1.2:7の比を有する。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSおよびZEPの間のコントロール植物と比較した植物におけるタンパク質レベルの増大は、16:2:80、30:4:74、または47:3:75の比を有する。いくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物におけるVDEの転写物レベルの増大は、3倍から10倍の範囲である。いくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物におけるPsbSの転写物レベルの増大は、約1.2倍から約3倍である。いくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物におけるZEPの転写物レベルの増大は、約6倍から約8倍である。いくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物中のVDEのタンパク質レベルの増大は、16倍から47倍の範囲である。いくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物中のPsbSのタンパク質レベルの増大は、約2倍から約4倍である。いくつかの実施形態では、コントロール植物と比較した植物中のZEPのタンパク質レベルの増大は、約74倍から約80倍である。
変動光条件下で成長を増大させる方法
1つの態様では、変動光条件下で植物の成長を増大させる方法であって、植物中のPsbS、ZEP、および/またはVDEの発現を増大させ、それにより、コントロール植物と比較して1つまたは複数のポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む方法を本明細書中に提供する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、転写物レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかの転写物レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍増大する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、タンパク質レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍増大する。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、VDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbS、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、植物はZea maysである。いくつかの実施形態では、植物はOryza sativaである。いくつかの実施形態では、植物はSorghum bicolorである。いくつかの実施形態では、植物はGlycine maxである。いくつかの実施形態では、植物はVigna unguiculataである。いくつかの実施形態では、植物はPopulus sppである。いくつかの実施形態では、植物はEucalyptus sppである。いくつかの実施形態では、植物はManihot esculentaである。いくつかの実施形態では、植物はHordeum vulgareである。いくつかの実施形態では、植物はSolanum tuberosumである。いくつかの実施形態では、植物はSaccharum sppである。いくつかの実施形態では、植物はMedicago sativaである。いくつかの実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、またはバイオマス作物
である。
変動光条件下で光合成効率を増大させる方法
別の態様では、変動光条件下で植物における光合成効率を増大させる方法であって、植物中のPsbS、ZEP、またはVDEのいずれかの発現を増大させ、それにより、コントロール植物と比較して1つまたは複数のポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む方法を本明細書中に提供する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、転写物レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかの転写物レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍増大する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、タンパク質レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍増大する。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、VDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbS、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、植物はZea maysである。いくつかの実施形態では、植物はOryza sativaである。いくつかの実施形態では、植物はSorghum bicolorである。いくつかの実施形態では、植物はGlycine maxである。いくつかの実施形態では、植物はVigna unguiculataである。いくつかの実施形態では、植物はPopulus sppである。いくつかの実施形態では、植物はEucalyptus sppである。いくつかの実施形態では、植物はManihot esculentaである。いくつかの実施形態では、植物はHordeum vulgareである。いくつかの実施形態では、植物はSolanum tuberosumである。いくつかの実施形態では、植物はSaccharum sppである。いくつかの実施形態では、植物はMedicago sativaである。いくつかの実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、またはバイオマス作物
である。
変動光条件下で光防御効率を増大させる方法
別の態様では、変動光条件下で植物における光防御効率を増大させる方法であって、植物中のPsbS、ZEP、および/またはVDEの発現を増大させ、それにより、コントロール植物と比較して1つまたは複数のポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む方法を本明細書中に提供する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、転写物レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかの転写物レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍増大する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、タンパク質レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍増大する。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、VDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbS、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、植物はZea maysである。いくつかの実施形態では、植物はOryza sativaである。いくつかの実施形態では、植物はSorghum bicolorである。いくつかの実施形態では、植物はGlycine maxである。いくつかの実施形態では、植物はVigna unguiculataである。いくつかの実施形態では、植物はPopulus sppである。いくつかの実施形態では、植物はEucalyptus sppである。いくつかの実施形態では、植物はManihot esculentaである。いくつかの実施形態では、植物はHordeum vulgareである。いくつかの実施形態では、植物はSolanum tuberosumである。いくつかの実施形態では、植物はSaccharum sppである。いくつかの実施形態では、植物はMedicago sativaである。いくつかの実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、またはバイオマス作物
である。
変動光条件下で量子効率およびCO2固定を増大させる方法
別の態様では、変動光条件下で植物における量子効率およびCO2固定を増大させる方法であって、植物中のPsbS、ZEP、および/またはVDEの発現を増大させ、それにより、コントロール植物と比較して1つまたは複数のポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む方法を本明細書中に提供する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、転写物レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかの転写物レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍増大する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、タンパク質レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍増大する。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、VDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbS、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、植物はZea maysである。いくつかの実施形態では、植物はOryza sativaである。いくつかの実施形態では、植物はSorghum bicolorである。いくつかの実施形態では、植物はGlycine maxである。いくつかの実施形態では、植物はVigna unguiculataである。いくつかの実施形態では、植物はPopulus sppである。いくつかの実施形態では、植物はEucalyptus sppである。いくつかの実施形態では、植物はManihot esculentaである。いくつかの実施形態では、植物はHordeum vulgareである。いくつかの実施形態では、植物はSolanum tuberosumである。いくつかの実施形態では、植物はSaccharum sppである。いくつかの実施形態では、植物はMedicago sativaである。いくつかの実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、またはバイオマス作物
である。
変動光条件下で非光化学的消光(NPQ)の緩和速度を増大させる方法
別の態様では、植物における非光化学的消光(NPQ)の緩和速度を増大させる方法であって、植物中のPsbS、ZEP、および/またはVDEの発現を増大させ、それにより、コントロール植物と比較して1つまたは複数のポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む方法を本明細書中に提供する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、転写物レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかの転写物レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、または少なくとも約30倍増大する。いくつかの実施形態では、発現の増大は、タンパク質レベルの増大の形態である。いくつかの実施形態では、VDE、PsbSまたはZEPのいずれかのタンパク質レベルは、コントロール植物と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍増大する。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、VDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびZEPの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbSおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、PsbS、ZEPおよびVDEの発現を増大させる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、植物はZea maysである。いくつかの実施形態では、植物はOryza sativaである。いくつかの実施形態では、植物はSorghum bicolorである。いくつかの実施形態では、植物はGlycine maxである。いくつかの実施形態では、植物はVigna unguiculataである。いくつかの実施形態では、植物はPopulus sppである。いくつかの実施形態では、植物はEucalyptus sppである。いくつかの実施形態では、植物はManihot esculentaである。いくつかの実施形態では、植物はHordeum vulgareである。いくつかの実施形態では、植物はSolanum tuberosumである。いくつかの実施形態では、植物はSaccharum sppである。いくつかの実施形態では、植物はMedicago sativaである。いくつかの実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、またはバイオマス作物
である。
変動光条件下での成長特性の改善について植物を選択する方法
別の態様では、本明細書において提供されるのは、変動光条件下での成長特性を改善するための植物を選択する方法であって、植物集団を提供する工程、PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかの活性を増大させるように植物の集団を改変する工程、植物における変動光条件下での非光化学的消光(NPQ)レベルを検出する工程、植物における変動光条件下でのNPQレベルを、変動光条件下でのNPQのコントロールレベルと比較する工程、および植物を高光強度下から低光強度へ移行した場合にNPQ緩和速度が増大した植物を選択する工程を含む、方法である。いくつかの実施形態では、NPQのコントロールレベルは、集団におけるNPQの最低レベルである。いくつかの実施形態では、NPQのコントロールレベルは、集団におけるNPQの中程度のレベルである。いくつかの実施形態では、NPQのコントロールレベルは、集団におけるNPQの平均レベルである。いくつかの実施形態では、NPQのコントロールレベルは、コントロール植物におけるNPQレベルである。いくつかの実施形態では、集団には、PsbS、ZEP、および/またはVDEの異種配列を発現するか、PsbS、ZEP、および/またはVDEの発現が増加するようにゲノムが編集されている植物が含まれる。いくつかの実施形態では、ゲノム編集技術はZFNである。いくつかの実施形態では、ゲノム編集技術はTALENである。いくつかの実施形態では、ゲノム編集技術はCRISPRである。いくつかの実施形態では、PsbSのプロモーターは改変されている。いくつかの実施形態では、ZEPのプロモーターは改変されている。いくつかの実施形態では、VDEのプロモーターは改変されている。いくつかの実施形態では、集団には、PsbS、ZEP、および/またはVDEの変異を誘導するように処理されている植物が含まれる。いくつかの実施形態では、変異原はEMSである。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、植物はZea maysである。いくつかの実施形態では、植物はOryza sativaである。いくつかの実施形態では、植物はSorghum bicolorである。いくつかの実施形態では、植物はGlycine maxである。いくつかの実施形態では、植物はVigna unguiculataである。いくつかの実施形態では、植物はPopulus sppである。いくつかの実施形態では、植物はEucalyptus sppである。いくつかの実施形態では、植物はManihot esculentaである。いくつかの実施形態では、植物はHordeum vulgareである。いくつかの実施形態では、植物はSolanum tuberosumである。いくつかの実施形態では、植物はSaccharum sppである。いくつかの実施形態では、植物はMedicago sativaである。いくつかの実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、またはバイオマス作物
である。
変動光条件下での成長特性の改善に関連する多型をスクリーニングする方法
別の態様では、本明細書において提供されるのは、本開示の別の態様は、変動光条件下での成長特性の改善に関連するヌクレオチド配列多型をスクリーニングする方法であって、植物集団を提供する工程、植物の集団においてPsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかを制御および/またはコードするヌクレオチド配列を得る工程、植物の集団においてPsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかを制御および/またはコードするヌクレオチド配列内の1つまたは複数の多型を得る工程、植物の集団における高光強度から低光強度への移行の際の非光化学的消光(NPQ)緩和速度を検出する工程、植物集団における多型のNPQ緩和速度との関連を決定するために統計解析を行う工程、およびNPQ緩和速度と統計的に有意に関連する多型を選択する工程を含む、方法である。いくつかの実施形態では、集団は、生殖質群である。いくつかの実施形態では、集団には、PsbS、ZEP、および/またはVDEの異種配列を発現するか、PsbS、ZEP、および/またはVDEの発現が増加するようにゲノムが編集されている植物が含まれる。いくつかの実施形態では、集団には、変異を誘導するように処理されていない植物が含まれる。いくつかの実施形態では、集団には、PsbS、ZEP、および/またはVDEの変異を誘導するように処理されている植物が含まれる。いくつかの実施形態では、多型は一塩基多型(SNP)である。いくつかの実施形態では、多型は挿入/欠失(InDel)である。いくつかの実施形態では、多型は単純反復配列(SSR)である。いくつかの実施形態では、多型は存在/非存在変動(PAV)である。いくつかの実施形態では、多型はコピー数多型(CNV)である。いくつかの実施形態では、多型はPsbSのプロモーター内に存在する。いくつかの実施形態では、多型はZEPのプロモーター内に存在する。いくつかの実施形態では、多型はVDEのプロモーター内に存在する。いくつかの実施形態では、多型を、サンガー配列決定によって検出する。いくつかの実施形態では、多型を、次世代配列決定によって検出する。いくつかの実施形態では、多型を、アガロースゲル電気泳動によって検出する。いくつかの実施形態では、多型を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって検出する。いくつかの実施形態では、多型を、多型が同定されている集団と異なる集団をスクリーニングするためにさらに使用する。いくつかの実施形態では、多型を、植物の成長特性を改善するためのゲノム編集の標的としてさらに使用する。
上記のいくつかの実施形態では、成長特性の改善は、成長の改善である。いくつかの実施形態では、成長特性の改善は、光合成効率の改善である。いくつかの実施形態では、成長特性の改善は、光防御効率の改善である。いくつかの実施形態では、成長特性の改善は、量子収量およびCO2固定の改善である。いくつかの実施形態では、成長特性の改善は、非光化学的消光(NPQ)の緩和速度の増大である。いくつかの実施形態では、NPQを、クロロフィル蛍光画像化を使用して検出する。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号1に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号2に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号3に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる。
上記のいくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号4に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号5に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号6に少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%、または100%同一なanアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PsbSは、配列番号7の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、ZEPは、配列番号8の保存されたドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、VDEは、配列番号9の保存されたドメインをさらに含む。
上記のいくつかの実施形態では、植物はZea maysである。いくつかの実施形態では、植物はOryza sativaである。いくつかの実施形態では、植物はSorghum bicolorである。いくつかの実施形態では、植物はGlycine maxである。いくつかの実施形態では、植物はVigna unguiculataである。いくつかの実施形態では、植物はPopulus sppである。いくつかの実施形態では、植物はEucalyptus sppである。いくつかの実施形態では、植物はManihot esculentaである。いくつかの実施形態では、植物はHordeum vulgareである。いくつかの実施形態では、植物はSolanum tuberosumである。いくつかの実施形態では、植物はSaccharum sppである。いくつかの実施形態では、植物はMedicago sativaである。いくつかの実施形態では、植物は、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、またはバイオマス作物
である。
本明細書中に記載の実施形態の一般的な実施方法
目的のヌクレオチド配列での植物の形質転換
トランスジェニック植物を、植物または植物細胞内に目的の任意のヌクレオチド配列を発現させるための従来の技術を使用して産生することができる(Methods in Molecular Biology,2005,vol.286,Transgenic Plants:Methods and Protocols,Pena L.,ed.,Humana Press,Inc.Totowa,NT)。典型的には、再生可能な外植体を使用して遺伝子移入(すなわち、形質転換)を行って、完全な稔性植物を産生する。一般に、生物に導入すべきDNA分子またはRNA分子は、形質転換ベクターの一部である。当該分野で公知のかかる多数のかかるベクター系(プラスミドなど)を使用することができる。発現系の成分を、例えば、導入される核酸の発現が増加するように改変することができる。例えば、短縮配列、ヌクレオチド置換、または他の改変を使用することができる。当該分野で公知の発現系を使用して、適切な条件下で実質的に任意の植物細胞を形質転換することができる。目的の遺伝子をコードするDNA分子を含む導入遺伝子を、安定に形質転換し、宿主細胞のゲノムに組み込むことが好ましい。形質転換した細胞を、完全な植物に再生することが好ましい。形質転換技術の詳細な説明は、当業者の知識の範囲内になる。
形質転換のための遺伝子構築物
本明細書中に記載の方法で有用なDNA構築物には、植物に導入遺伝子を導入することができる形質転換ベクターが含まれる。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック」は、異種ヌクレオチド配列を含む核酸フラグメントが導入されている生物をいう。トランスジェニック生物内の導入遺伝子は、安定且つ遺伝することが好ましい。異種核酸フラグメントを、宿主ゲノム内に組み込んでも組み込まなくてもよい。
いくつかの植物形質転換ベクターの選択肢を利用可能である(Gene Transfer to Plants,1995,Potrykusら編,Springer-Verlag Berlin Heidelberg New York、Transgenic Plants:A Production System for Industrial and Pharmaceutical Proteins,1996,Owenら編,John Wiley&Sons Ltd.England、およびMethods in Plant Molecular Biology:A Laboratory Course Manual,1995,Maligaら編,Cold Spring Laboratory Press,New Yorkに記載の植物形質転換ベクターが含まれる)。植物形質転換ベクターは、一般に、5’および3’制御配列(プロモーター、転写終結シグナルおよび/またはポリアデニル化シグナル、ならびに選択またはスクリーニング用のマーカー遺伝子が含まれる)の転写調節下で1つまたは複数の目的のコード配列を含む。単一の転写物からの2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現のために、さらなるRNAプロセシングシグナルおよびリボザイム配列を、構築物に操作することができる(米国特許第5,519,164号)。このアプローチは、単一の遺伝子座内に複数の導入遺伝子を配置するという利点を有し、このことはその後の植物育種の試みにおいて有利である。1つの実施形態では、ベクターは、植物、植物の一部、植物材料、植物種子、または植物細胞内でPsbS、ZEP、およびVDEから選択される1つまたは複数のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を駆動することができるプロモーターを含む少なくとも1つの発現制御配列を含む。別の実施形態では、プロモーターは、Rbcs1A、GAPA-1、およびFBA2から選択される。別の実施形態では、Rbcs1AプロモーターはZEPの発現を駆動し、GAPA-1プロモーターはPsbSの発現を駆動し、FBA2プロモーターはVDEの発現を駆動する。別の実施形態では、ベクターはT-DNAである。別の実施形態では、ベクターは図9中に示すとおりである。当業者に公知のように、ある植物型で作用する特定のプロモーターおよびベクターは、別の植物型で作用しなくて良い。本明細書中に記載するように、トランスジェニック植物の作製方法は、当該分野で周知である。
T-DNA
アグロバクテリウム媒介形質転換法による植物内への導入遺伝子の導入方法は、一般に、少なくとも1つの導入遺伝子の遺伝因子を取り込み、前述の遺伝因子を植物のゲノム内に移入するT-DNA(トランスファーDNA)を含む。導入遺伝子を、典型的には、DNAプラスミドベクター内で構築し、通常、アグロバクテリウムTiプラスミド右境界DNA領域(RB)および左境界DNA領域(LB)に隣接させる。アグロバクテリウム媒介形質転換過程中、DNAプラスミドを、エンドヌクレアーゼVirD2によって、右境界領域および左境界領域に切れ目を入れる。T鎖と呼ばれるニック間由来の一本鎖DNAを、アグロバクテリウム細胞から植物細胞へ移入する。T-DNA領域に対応する配列を、植物ゲノムに挿入する。
植物ゲノムへのT-DNAの組み込みは、一般に、RBから開始され、T-DNAの末端まで(LBまで)続く。しかし、エンドヌクレアーゼは、時折、両境界に等しく切れ目を入れない。これが起こる場合、植物ゲノムに挿入されたT-DNAは、しばしば、いくつかまたは全てのプラスミドベクターDNAを含む。この現象を、「リードスルー」という。望ましいアプローチは、しばしば、任意の隣接プラスミドベクターDNA(ベクターバックボーン)を使用せず右境界領域と左境界領域との間に配置された導入遺伝子(T-DNA)のみを植物ゲノムに移入することである。ベクターバックボーンDNAは、種々のプラスミド維持エレメント(例えば、複製起点、細菌選択マーカー遺伝子、および植物内で所望の形質を発現するのに必要のない他のDNAフラグメントが含まれる)を含む。
操作されたミニ染色体を、植物細胞内で1つまたは複数の遺伝子を発現するために使用することもできる。細胞内に導入されたクローン化テロメア反復は、組み込み部位での新規のテロメアの形成によって染色体の遠位部分を短縮することができる。この方法を使用して、遺伝子移入用ベクターを、天然の植物染色体のアームをトリミングし、巨大インサートのための挿入部位を付加することによって調製することができる(Yuら,2006,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103:17331-17336;Yuら,2007,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 104:8924-8929)。
植物における代替の染色体操作アプローチは、自律的植物ミニ染色体のin vivoアセンブリを含む(Carlsonら、2007、PLoS Genet.3:1965-74)。植物細胞を、セントロメア配列で形質転換し、de novoでアセンブリされた自律染色体を有する植物をスクリーニングすることができる。有用な構築物は、選択マーカー遺伝子と、セントロメアのサテライト配列ならびにレトロエレメント配列および/または他の反復を含むゲノムDNAフラグメントとが組み合わせられている。
記載の発明に有用な別のアプローチは、操作形質遺伝子座(「ETL」)テクノロジーである(米国特許第6,077,697号;米国特許出願公開第2006/0143732号)。この系は、DNAの標的が末端動原体型染色体の短腕内の植物染色体の異質染色質領域(挟動原体ヘテロクロマチンなど)である。ターゲティング配列には、リボゾームDNA(rDNA)またはλファージDNAが含まれ得る。挟動原体rDNA領域は、安定な挿入、低組換え、および高レベルの遺伝子発現を支持する。このテクノロジーはまた、植物における複数の形質のスタッキングに有用である(米国特許出願公開第2006/0246586号)。
亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALEN、およびCRISPR-Cas9はまた、標的にされた遺伝子を挿入および欠失することができるように植物染色体内の特異的部位で二本鎖DNAを切断可能であるという点で本発明の実施に有用である(Shuklaら,2009,Nature 459:437-441;Townsendら,2009,Nature 459:442-445、WO2015089427A1号)。
核形質転換のための組織培養ベースの方法
形質転換プロトコールおよび植物にヌクレオチド配列を導入するためのプロトコールは、形質転換のために標的にされる植物または植物細胞のタイプ(すなわち、単子葉植物または双子葉植物)に応じて変動し得る。
植物細胞へヌクレオチド配列を導入し、その後に植物ゲノムに配列を挿入するのに適切な方法は、Somleva&Aliの米国特許出願公開第2010/0229256Al号およびSomlevaらの米国特許出願公開第2012/0060413号に記載されている。
形質転換された細胞を、従来技術に従って植物内で成長させる。例えば、McCormickら,1986,Plant Cell Rep.5:81-84を参照のこと。次いで、これらの植物を成長させ、同一の形質転換された変種または異なる変種と受粉することができ、得られたハイブリッドは、同定された所望の表現型の特徴を構成性に発現する。2世代またはまたはそれを超える世代まで成長させて所望の表現型の特徴の構成性発現が安定して維持されて遺伝することを確認し、次いで、種子を採取して所望の表現型の特徴の構成性発現が達成されていることを確認することができる。
植物内形質転換法
植物内形質転換のための手順は複雑ではない。組織培養操作およびソマクローナル変動の可能性が回避され、トランスジェニック植物を得るために必要な期間は短い。しかし、かかる接種植物の子孫における形質転換頻度は、比較的低く、且つ変動する。現在、組織培養ベースの再生系の非存在下で日常的に形質転換が可能な種はほとんどない。安定なシロイヌナズナ形質転換体を、いくつかの植物内法(真空浸潤(Clough&Bent,1998,The Plant J.16:735-743)、発芽種子の形質転換(Feldmann&Marks,1987,Mol.Gen.Genet.208:1-9)、花弁浸漬(Clough and Bent,1998,Plant J.16:735-743)、および花弁噴霧(Chungら,2000,Transgenic Res.9:471-476)が含まれる)によって得ることができる。植物内法によって首尾よく形質転換されている他の植物には、ナタネおよびダイコン(真空浸潤、Ian and Hong,2001,Transgenic Res.,10:363-371;Desfeuxら,2000,Plant Physiol.123:895-904)、Medicago truncatula(真空浸潤,Trieuら,2000,Plant J.22:531-541)、カメリナ(花弁浸漬,NguyenらのWO/2009/117555号)、およびコムギ(花弁浸漬,Zaleら,2009,Plant Cell Rep.28:903-913)が含まれる。植物内法はまた、メイズ(花粉,Wangら、2001,Acta Botanica Sin.,43,275-279;Zhangら,2005,Euphytica,144,11-22;雌蘂,Chumakovら、2006,Russian J.Genetics,42,893-897;Mamontovaら、2010,Russian J.Genetics,46,501-504)、およびモロコシ(花粉,Wangら、2007,Biotechnol.Appl.Biochem.,48,79-83)における生殖細胞の形質転換のために使用されている。
レポーター遺伝子および選択マーカー遺伝子
米国特許出願公開第20100229256号および同第20120060413号(本明細書中で参考として組み込まれる)に記載のように、レポーター遺伝子および/または選択マーカー遺伝子を、発現制御配列(発現カセット)内に含めることができる。目的の異種ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含む発現カセットを使用して、任意の上記方法によって任意の植物を形質転換することができる。異なる作物種範囲のための有用な選択マーカー遺伝子およびトランスジェニック系統の選択方法は、本明細書中の実施例に記載されている。
植物内でのヌクレオチド配列発現
異なる植物組織またはオルガネラにおけるヌクレオチド配列の発現を調節するための植物プロモーターを選択することができ、その全ての方法が当業者に公知である(Gasser&Fraley,1989,Science 244:1293-1299)。
使用することができるプロモーターの選択は、いくつかの要因(効率、選択性、誘導性、望ましい発現レベル、および/または優先される細胞もしくは組織の発現が含まれるが、これらに限定されない)に依存する。ヌクレオチド配列に対するプロモーターおよび他の調節領域の適切な選択および配置によってヌクレオチド配列の発現を調整するためのこの選択は当業者の日常的作業である。使用することができるプロモーターの例は、当該分野で公知である。使用することができるプロモーターには、植物ゲノム内に存在するプロモーターおよび他の供給源由来のプロモーターが含まれる。いくつかの適切なプロモーターは、一定の細胞型において転写のみを(すなわち、主に転写を)開始する。植物ゲノムDNA内のプロモーター領域を同定および特徴づける方法には、例えば、Jordanoら,Plant Cell 1:855-866,1989;Bustosら,Plant Cell 1:839-854,1989;Greenら,EMBO J.7:4035-4044,1988;Meierら,Plant Cell 3:309-316,1991;およびZhangら,Plant Physiology 110:1069-1079,1996に記載の方法が含まれる。
使用することができるプロモーターのさらなる例には、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ(RbcS)プロモーター(アメリカカラマツ(Larix laricina)由来のRbcSプロモーターなど)、マツcab6プロモーター(Yamamotoら,Plant Cell Physiol.35:773-778,1994)、コムギ由来のCab-1遺伝子プロモーター(Fejesら,Plant Mol.Biol.15:921-932,1990)、ホウレンソウ由来のCAB-1プロモーター(Lubberstedtら,Plant Physiol.104:997-1006,1994)、イネ由来のcab1Rプロモーター(Luanら,Plant Cell 4:971-981,1992)、メイズ由来のGAPA-1プロモーター、Saccharomyces cerevisiae由来のFBA2プロモーター、メイズ由来のピルビン酸正リン酸ジキナーゼ(PPDK)プロモーター(Matsuokaら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:9586-9590,1993)、タバコLhcb1*2プロモーター(Cerdanら,Plant Mol.Biol.33:245-255,1997)、Arabidopsis thaliana SUC2スクロース-H+シンポータープロモーター(Truernitら,Planta 196:564-570,1995)、およびホウレンソウ由来のチラコイド膜タンパク質プロモーター(psaD、psaF、psaE、PC、FNR、atpC、atpD、cab、およびrbcS)が含まれる。茎、葉、および緑色組織内での遺伝子転写を駆動するために使用することができるさらなる例示的なプロモーターは、米国特許出願公開第2007/0006346号(その全体が本明細書中で参考として組み込まれる)に記載されている。植物緑色組織内で優先的に発現するさらなるプロモーターには、Arabidopsis thalianaリブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)小サブユニット(Fischhoffら,Plant Mol.Biol.20:81-93,1992)、アルドラーゼおよびピルビン酸正リン酸ジキナーゼ(PPDK)(Taniguchiら,Plant Cell Physiol.41(1):42-48,2000)などの遺伝子由来のプロモーターが含まれる。
誘導性プロモーター
化学的に制御されるプロモーターを使用して、外因性の化学的制御因子の適用による植物におけるヌクレオチド配列の発現を調整することができる。目的に応じて、プロモーターは、化合物の適用によって遺伝子発現が誘導される化学的誘導性プロモーターまたは化合物の適用によって遺伝子発現が抑制される化学的抑制性プロモーターであり得る。化学的誘導性プロモーターは当該分野で公知であり、ベンゼンスルホンアミド除草剤緩和剤によって活性化されるメイズln2-2プロモーター、発芽前除草剤として使用される疎水性求電子性(electrophlic)化合物によって活性化されるメイズGSTプロモーター、およびサリチル酸によって活性化されるタバコPR-1プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。他の化学的に制御されるプロモーターには、ステロイド反応性プロモーター(例えば、糖質コルチコイド誘導性プロモーター(Schenaら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10421-10425;McNellisら,1998,Plant 14:247-257)を参照のこと)およびテトラサイクリン誘導性プロモーターおよびテトラサイクリン抑制性プロモーター(例えば、Gatzら,1991,Mol.Gen.Genet.227:229-237;米国特許第5,814,618号および同第5,789,156号(その全体が本明細書中で参考として組み込まれる)を参照のこと)が含まれる。植物代謝操作に適切な三成分浸透圧誘導性発現系が最近報告されている(Fengら,2011,PLoS ONE 6:1-9)。
構成性プロモーター
構成性プロモーターには、例えば、WO99/43838号および米国特許第6,072,050号に開示のRsyn7プロモーターのコアプロモーターおよび他の構成性プロモーター、コアCaMV35Sプロモーター(Odellら、1985、Nature 313:810-812)、イネアクチン(McElroyら,1990,Plant Cell 2:163-171)、ユビキチン(Christensenら,1989,Plant Mol.Biol.12:619-632;Christensenら,1992,Plant Mol.Biol.18:675-689)、pEMU(Lastら,1991,Theor.Appl.Genet.81:581-588)、MAS(Veltenら,1984,EMBO J.3:2723-2730)、およびALSプロモーター(米国特許第5,659,026号)が含まれる。他の構成性プロモーターは、米国特許第5,608,149号;同第5,608、144号;同第5,604、121号;同第5,569,597号;同第5,466,785号;同第5,399,680号;同第5,268,463号;および同第5,608,142に記載されている。
弱いプロモーター
低レベルの発現が望ましい場合、弱いプロモーターを使用することができる。一般に、用語「弱いプロモーター」は、低レベルのヌクレオチド配列の発現を駆動するプロモーターを説明することを意図する。プロモーターが許容できない高レベルで発現される場合、プロモーター配列の一部を欠失させるか、発現レベルを減少させるように改変することができる。かかる弱い構成性プロモーターには、例えば、Rsyn7プロモーターのコアプロモーター(WO99/43838号および米国特許第6,072,050号)が含まれる。
組織特異的プロモーター
「組織優先型」プロモーターを使用して、特定の組織内での遺伝子発現を標的にすることができる。化学的誘導系と比較して、発生的および空間的に制御された刺激は、植物内への外部因子の透過への依存がより小さい。組織特異的プロモーターとして、Van Exら、2009、Plant Cell Rep. 28:1509-1520;Yamamotoら、1997、Plant J. 12:255-265;Kawamataら、1997、Plant Cell Physiol. 38:792-803;Hansenら、1997、Mol. Gen. Genet. 254:337-343;Russellら、199)、Transgenic Res. 6:157-168;Rinehartら、1996、Plant Physiol. 1 12:1331-1341;Van Campら、1996、Plant Physiol. 112:525-535;Canevasciniら、1996、Plant Physiol. 1 12:513-524;Yamamotoら、1994、Plant Cell Physiol. 35:773-778;Lam、1994、Results Probl. Cell Differ. 20:181-196、Orozcoら、1993、Plant Mol. Biol. 23:1129-1138;Matsuokaら、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:9586-9590、およびGuevara-Garciaら、1993、Plant J. 4:495-505に記載されるものが挙げられる。かかるプロモーターを、必要に応じて、弱く発現させるために改変することができる。
種子/胚特異的プロモーター
「種子優先型」プロモーターには、「種子特異的」プロモーター(種子貯蔵タンパク質プロモーターなどの種子発生中に活性なプロモーター)および「種子出芽」プロモーター(種子発芽中に活性なプロモーター)の両方が含まれる。Thompsonら、1989、BioEssays 10:108-113(本明細書中で参考として組み込まれる)を参照のこと。かかる種子優先型プロモーターには、Ciml(サイトカイニン誘導性メッセージ)、cZ19Bl(メイズ19kDaゼイン)、milps(ミオイノシトール-1リン酸シンターゼ)、およびcelA(セルロースシンターゼ)が含まれるが、これらに限定されない。γ-ゼインは、好ましい内胚乳特異的プロモーターである。Glob-1は、好ましい胚特異的プロモーターである。双子葉植物について、種子特異的プロモーターには、マメβ-ファセオリン、ナピン、β-コングリシニン、ダイズレクチン、およびクルシフェリンなどが含まれるが、これらに限定されない。単子葉植物について、種子特異的プロモーターには、メイズの15kDaゼイン、22kDaゼイン、27kDaゼイン、g-ゼイン、ワキシ、シュランケン1、シュランケン2、およびグロブリン1が含まれるが、これらに限定されない。後期胚発生蓄積タンパク質遺伝子LEAの段階特異的発生プロモーターは、種子ターミネーターテクノロジーにおける後期胚発生段階の致死遺伝子の切り出し媒介発現のための組換え系を駆動するために首尾よく使用されている(Oliverらの米国特許第5,723,765号)。
葉特異的プロモーター
葉特異的プロモーターは、当該技術分野で公知であり、例えば、WO/2011/041499および米国特許2011/0179511 Al、Thilmonyら;Yamamotoら、1997、Plant J. 12:255-265;Kwonら、1994、Plant Physiol. 105:357-367;Yamamotoら、1994、Plant Cell Physiol. 35:773-778;Gotorら、1993、Plant J. 3:509-518;Orozcoら、1993、Plant Mol. Biol. 23: 1129-1138、およびMatsuokaら、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:9586-9590を参照のこと。
時間特異的プロモーター
発生時間枠中に利用することができる(例えば、炭素循環を増強するために植物の葉が成熟した後にオンに切り替わることができる)時間プロモーターも意図する。
葯/花粉特異的プロモーター
葯および/または花粉において特異的に発現される多数の遺伝子が同定されており、花粉の発生および稔性におけるその機構が特徴づけられている。これらの遺伝子の特異性は、主にそのプロモーターによって転写レベルで制御されることが見出されている(Ariizumiら,2002,Plant Cell Rep.21:90-96および論文内の参考文献)。異なる植物種由来の多数の葯および/または花粉特異的プロモーターおよびその重要なdsエレメントが単離され、機能的に解析されている。
花特異的プロモーター
花特異的プロモーターとして、これらに限定されないが、CHS(Liuら、2011、Plant Cell Rep. 30:2187-2194)、OsMADS45(Baiら、2008、Transgenic Res. 17:1035-1043)、PSC(Liuら、2008、Plant Cell Rep. 27:995-1004)、LEAFY、AGAMOUS、およびAPI(Van Exら、2009、Plant Cell Rep. 28:1509-1520)、API(Verweireら、2007、Plant Physiol. 145:1220-1231)、PtAGIP(Yangら、2011、Plant Mol. Biol. Rep. 29:162-170)、Leml(Somleva & Blechl、2005、Cereal Res. Comm. 33:665-671;Skadsenら、2002、Plant Mol. Biol. 45:545-555)、Lem2(Abebeら、2005、Plant Biotechnol. J. 4:35-44)、AGL6およびAGL13(Schauerら、2009、Plant J. 59: 987-1000)が挙げられる。
プロモーターの組み合わせ
一定の実施形態は、1つを超えるプロモーターを保有する多遺伝子発現構築物を有するトランスジェニック植物または植物細胞を使用する。プロモーターは、同一または異なり得る。
任意の記載のプロモーターを使用して、定義された時空間様式での1つまたは複数の本発明のヌクレオチド配列、そのホモログおよび/またはオルソログならびに任意の他の目的の遺伝子の発現を調節することができる。
メイズプロモーター
植物細胞の形質転換のために使用されるトランスジェニックDNA構築物は、導入されることが望まれる異種ヌクレオチドおよび宿主メイズ細胞内で異種ヌクレオチドを発現するためのプロモーターを含む。当該分野で周知のように、かかる構築物は、必要応じて、制御エレメント、3’非翻訳領域(ポリアデニル化部位など)、輸送ペプチドまたはシグナルペプチド、およびマーカー遺伝子エレメントなどのエレメントをさらに含み得る。1.制御エレメント。植物細胞で活性ないくつかのプロモーターが、文献中に記載されている(構成性プロモーターおよび組織特異的プロモーターならびに誘導性プロモーターの両方)。植物で機能的な広範な種々のプロモーターの説明については、米国特許第6,437,217号の背景の項を参照のこと。かかるプロモーターには、Agrobacterium tumefacienの腫瘍誘導プラスミド上にあるノパリンシンターゼ(NOS)プロモーターおよびオクトピンシンターゼ(OCS)プロモーター、カリモウイルスプロモーター(カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19Sおよび35Sプロモーターなど)、ゴマノハグサモザイクウイルス(FMV)35Sプロモーター、増強CaMV35Sプロモーター(e35S)、およびリブロースビスリン酸カルボキシラーゼ小サブユニット(ssRUBISCO、非常に豊富な植物ポリペプチド)由来の光誘導性プロモーターが含まれる。例えば、メイズRS81プロモーターを開示している米国特許第6,437,217号、イネアクチンプロモーターを開示している同第5,641,876号、メイズRS324プロモーターを開示している同第6,426,446号、メイズPR-1プロモーターを開示している同第6,429,362号、メイズA3プロモーターを開示している同第6,232,526号、および構成性メイズプロモーターを開示している同第6,177,611号(これらの全てが本明細書中で参考として組み込まれる)を参照のこと。
植物発現カセットの構築要件
トランスジェニック植物での発現を意図するヌクレオチド配列を、発現カセット内の植物で活性な適切なプロモーターの後ろに最初にアセンブリする。発現カセットはまた、導入遺伝子の発現のために必要であるか選択される任意のさらなる配列を含み得る。かかる配列には、転写ターミネーター、イントロンなどの発現を増強するための外来配列、必須配列、ならびに遺伝子産物を特定のオルガネラおよび細胞区画にターゲティングすることを意図する配列が含まれるが、これらに限定されない。次いで、これらの発現カセットを、本明細書中に記載の植物形質転換ベクターに移入することができる。以下は、典型的な発現カセットの種々の成分の説明である。
転写ターミネーター
種々の転写ターミネーターは、発現カセット内で使用できる。これらのターミネーターは、導入遺伝子を超えた転写終結および転写物の正確なポリアデニル化を担う。適切な転写ターミネーターは、植物において機能することが公知の転写ターミネーターであり、CaMV35Sターミネーター、tmlターミネーター、ノパリンシンターゼターミネーター、およびエンドウマメrbcS E9ターミネーターが含まれる。これらを、単子葉の植物および双子葉の植物の両方で使用する。
発現の増強または制御のための配列
多数の配列が転写単位内部からの遺伝子発現を増強することが見出されており、これらの配列を、トランスジェニック植物におけるその発現を増加させる遺伝子と併せて使用することができる。例えば、種々のイントロン配列(メイズAdhl遺伝子のイントロンなど)は、特に単子葉植物細胞での発現を増強することが示されている。さらに、ウイルス由来のいくつかの非翻訳リーダー配列はまた、発現を増強することが公知であり、これらの配列は特に双子葉植物細胞で有効である。
コード配列の最適化
選択された遺伝子のコード配列を、目的の作物種において最適に発現されるようにコード配列を変化させることによって遺伝子操作することができる。特定の作物種における発現を最適するためにコード配列を改変する方法は周知である(Perlakら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3324およびKozielら,1993,Biotechnology 11:194-200)。
植物形質転換ベクターの構築
植物形質転換に利用可能な多数のベクターが、植物形質転換分野の当業者に公知である。本開示に関する遺伝子を、任意のかかるベクターと併せて使用することができる。ベクターの選択は、選択される形質転換技術および標的種に依存する。
Agrobacterium tumefaciensを使用した形質転換のための多数のベクターが利用可能である。これらのベクターは、典型的には、少なくとも1つのT-DNA配列を保有し、pBIN19などのベクターが含まれる。アグロバクテリウム形質転換に適切な典型的ベクターには、バイナリーベクターであるpCIB200およびpCIB2001ならびにバイナリーベクターpCIB10およびそのハイグロマイシン選択誘導体が含まれる(例えば、米国特許第5,639,949号を参照のこと)。
Agrobacterium tumefaciensを使用しない形質転換は、選択された形質転換ベクター内にT-DNA配列を必要とせず、結果的に、これらの配列を欠くベクターを、T-DNA配列を含む上記ベクターなどのベクターに加えて使用する。アグロバクテリウムに依存しない形質転換技術のためのベクターの選択は、形質転換される種の好ましい選択に大いに依存する。非アグロバクテリウム形質転換に適切な典型的ベクターには、pCIB3064、pSOG19、およびpSOG35が含まれる(例えば、米国特許第5,639,949号を参照のこと)。
培養および植物の形質転換および選択
1つまたは複数の当業者に周知の上記方法を使用して、植物培養物を形質転換し、選択することができる。
内因性プロモーターの操作
亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALEN、およびCRISPR-Cas9はまた、標的遺伝子の挿入または欠失が可能であるように植物染色体内の特定の部位で二本鎖DNAが切断されるという点で、本発明の実施に有用である(Shuklaら,2009,Nature 459:437-441;Townsendら,2009,Nature 459:442-445)。このアプローチは、本発明において、内因性遺伝子のプロモーターを改変し、それにより、目的の植物のゲノム内に存在するPsbS、ZEP、およびVDEと相同な遺伝子の発現を改変するのに特に有用であり得る。この場合、ZFN、TALEN、またはCRISPR/Cas9を使用して、非操作植物または野生型植物以上に発現を増加させるか発現のタイミングを変化させるように目的のTFの発現を制御する配列を変化させることができる。
実施例
本開示は、以下の実施例を参照することによってより完全に理解される。しかし、本開示の範囲を制限すると解釈されるべきではない。本明細書中に記載の実施例および実施形態が例示のみを目的とし、前述の実施例および実施形態を考慮して種々の修正形態または変更形態が当業者に示唆され、本出願の意図および範囲内ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであると理解される。
実施例1.トランスジェニックNicotiana tabacum
Nicotiana tabacum植物を、3つのArabidopsis thaliana遺伝子を含むT-DNAカセットで形質転換した。シロイヌナズナZEPを、qE形成の大きさを刺激するためのシロイヌナズナPsbS過剰発現およびROS除去のためのゼアキサンチンの臨界濃度を維持するためのシロイヌナズナVDE過剰発現と共に、キサントフィルエポキシ化速度および対応するNPQ緩和を増加させるために過剰発現させた。得られたトランスジェニック植物は、2つの独立した温室実験において、光強度の変動下で光防御の効率を喪失することなくより高い量子収量およびCO2固定が得られ、成長が増加するようにNPQ動態学が改変されたことを示す。これらの結果は、光合成効率が光強度の変動下でNPQによって一過性に制限されることが確認され、NPQ動態学の変化による光合成効率および作物収量の改善原理を初めて証明している。
実施例2.稚苗におけるNPQおよびPSIIの操作効率
一過性NPQを、1000μmol量子m-2s-1での10分間の照射中およびその後の10分間の暗所緩和でのvde-psbs-zep(VPZ)構築物を用いた20の独立した形質転換事象のT1子孫におけるクロロフィル蛍光画像化から決定した。類似の非光化学的消光能力を維持することが目的であるので、WTに類似する最大レベルのNPQを有する系統を、さらなる調査のために選択した。これにより8種の系統が得られ、そのうちで、単一のT-DNAコピーを保有する2つの系統(VPZ-34および56)および2つのT-DNAが挿入された1つの系統(VPZ-23)がこの実験に含まれていた。ホモ接合T2子孫についての全ての結果を報告する。NPQ動態学的挙動は、3つのVPZ系統とWTとの間で実質的に異なっていた(図1A)。VPZ系統におけるNPQは急速に増加し、2~4分間で最大NPQレベルに到達し、その後のNPQレベルは安定化するか(VPZ-23)、さらに僅かに減少した(VPZ-34およびVPZ-56)。対照的に、WTコントロールにおけるNPQは7分間増加し続け、その後、残りの3分間は最大レベルを維持した。これらの対照的な誘導パターンの結果として、NPQは、5分間の最初の誘導の間は3つ全てのトランスジェニック系統において有意により高かったが、最後の5分間は高くなかった(図1A)。光をオフにした後、WTおよびVPZ系統の両方におけるNPQ緩和は、非常に急速且つ非常に類似していた。
2000(3分間)μmol m-2s-1と200(2分間)μmol m-2s-1との間の光強度の反復サイクルにより、VPZ系統とWTとの間のNPQの相違はさらにより明らかとなった(図1B)。VPZ系統におけるNPQは、最初の2サイクルの高光期中に急速に増加し、第2サイクルの第2の時間(分)中に最大レベルに到達した。対照的に、NPQはWT幼植物においてよりゆっくり増加し、第4サイクルの第3の時間(分)に最大レベルに到達しただけであった。興味深いことに、サイクルの低光期中のNPQは、逆のパターンを示した。第1のサイクルでは、低光期中のNPQレベルは、VPZ系統より高かったが、第2サイクルのNPQレベルは、VPZ系統とWTとの間で等しく、最後の3サイクルでVPZ系統において有意に低かった。
NPQと併せて評価した光化学系II(PSII)操作効率は、第1サイクルにおいてVPZ系統とWTとの間に差はなかった(図1C)。しかし、5つのその後のサイクル中、VPZ系統がサイクルの低光期中により優れたPSII操作効率を示したのに対して、高光期中は相違が認められなかった。このパターンは第2のサイクルで確立され、残りの実験を通して繰り返された。
実施例3.転写およびタンパク質発現
3つ全てのVPZ系統は、野生型と比較してVDE(3倍)、PsbS(3倍)、およびZEP(8倍)のトランスジェニック(At)およびネイティブ(Nt)の転写物レベルの組み合わせが有意に増加した(図2A、B、およびC)。PsbSについて、転写物レベルの増加は、ネイティブタンパク質およびトランスジェニックタンパク質を示す約22kDa付近の2つのほぼ等しい密度のバンドにおいて例示されるように(図2G、VPZレーン)、PsbSタンパク質レベルがおよそ2倍と解釈された(図2E)。しかし、VDEおよびZEPについて、転写物レベルの増加はタンパク質レベルで増幅され(図2G、ZEPの約73kDaおよびVDEの約45kDaの標識したバンド)、WTと比較してVDEタンパク質(図2D)およびZEPタンパク質(図2F)が実質的に増加した(それぞれ16倍および80倍)。ネイティブタンパク質の転写レベルおよびタンパク質レベルはVPZ系統およびWTで類似していたので、トランスジェニック転写物およびネイティブ転写物とタンパク質レベルとの間の相互作用は無視できると思われた。
実施例4.光強度の反復変化後の稚苗におけるNPQの動態学
動的NPQ調整の動態学を比較するために、二重指数モデルの時定数を、2000μmol m-2s-1と200μmol m-2s-1との間の光強度の反復変化の関数として、稚苗における時系列のNPQにフィティングした(表1)。最初の2000/200サイクル中、WTとVPZ過剰発現系統との間に一貫した相違は認められなかった。NPQ誘導の時定数は、49.3±1.9(VPZ-34)から91.8±6.2(VPZ-56)の間で変動し、2000μmol m-2s-1から200μmol m-2s-1までの再調整の時定数もWTと3つのVPZ系統の間で類似しており、平均してτ1については10.2秒およびτ2については669.9秒であった。第2の2000/200サイクル中、NPQ動態学に及ぼすVPZ発現の影響はより明らかになった。WTにおけるNPQ増加の急速期は、VPZ系統のおよそ2.3倍速く、WTにおけるτ1が5.5秒であったのに対してVPZ系統における平均τ1は12.6秒であった(表1)。200μmol m-2s-1へのNPQの第2の調整により、NPQ減少の遅延成分が明らかに異なっていた。VPZ系統における推定τ2は、WTの1.9倍であることが認められた(464.3秒対886.4秒)。したがって、光強度変化の反復により、WTにおいてはNPQがより急速に上昇し、且つより遅く緩和されるが、VPZ系統における時定数は比較的影響されなかった。この同一の傾向は、2000μmol m-2s-1での最後の3分間およびその後の10分間の暗所において継続された。WT幼植物におけるNPQ増加の急速期は、VPZ系統よりおよそ2.4倍であったが(τ1が4.3秒対10.3秒)、10分間の暗所中のNPQの最終緩和は、WTと比較してVPZ系統において1.4倍(τ1)および3.5倍(τ2)であった。さらに、PSII操作効率の回復について決定したτ1およびτ2は、WTと比較してVPZ系統において2.1倍および4.1倍であった。
a第1のHL期中のデータは2つの時定数を拘束しておらず、したがって、モデルは、単一指数関数に減らし、1つの時定数しかフィッティングしなかった。
bデータ分解能は急速期を正確に拘束するには十分でなく、遅延期のみをフィッティングした。
実施例5.定常状態でのNPQ、線形電子伝達、およびCO2取り込み
完全に広がった葉における定常状態のガス交換およびクロロフィル蛍光を測定するために、光強度を、各強度でガス交換および蛍光が完全に安定化するように特に配慮しながら、低強度から高強度まで変動させた。NPQは、特に400μmol m-2s-1未満の光強度にて、WTとVPZ系統との間で非常に類似していた(図3A)。光吸収強度の関数としての線形電子伝達および純同化率の対応応答曲線は、WTとVPZ系統との間で有意差が認められなかった(図7)。さらに、CO2応答曲線から導いたフィッティングしたパラメータ値Vcmax、J、TPU、およびRdはまた、WTとVPZ系統との間で類似していた(表2)。
実施例6.変動光下でのNPQ、電子伝達、およびCO
2固定
光応答曲線の形状に及ぼすVPZ過剰発現の動的影響を評価するために、光強度を、各光移行前の4分間の2000μmol m-2s-1の断続工程を用いた高PFDから低PFDへの4分間の工程で変動させた。VPZ系統のNPQは、高光強度でWTと類似していたが、低光強度ではWTより有意に低かった(図3B)。得られた線形電子伝達速度および純同化率の応答曲線は、WTとVPZ系統との間で明らかに異なっていた(図4AおよびB)。フィッティングした凸状部および漸近線のパラメータは、WTとVPZ系統との間で類似していたが(図8A~D)、初期勾配は明らかに異なっていた(図4CおよびD)。強度変動は、WT植物においてΦPSIImaxを0.541±0.012に低下させたが(図4C)、VPZ系統のΦPSIImaxの低下はより小さかった(0.612±0.021(VPZ-23)、0.599±0.023(VPZ-34)、および0.595±0.023(VPZ-56))。同様に、ΦCO2-maxは、WT植物において0.058±0.001に低下したのに対して(図4D)、VPZ系統におけるΦCO2-max値の断続的高光強度による影響は遥かに少なく、VPZ-23については0.069±0.003、VPZ-34については0.066±0.003、およびVPZ-56については0.064±0.003であった。したがって、これらの変動条件下で、VPZ系統のΦPSII-maxおよびΦCO2-maxの平均は、WTより11.3%および14.0%高かった。
実施例7.異なる光処理の関数としてのキサントフィルサイクル脱エポキシ化
キサントフィルサイクルに及ぼすVPZ過剰発現の影響を評価するために、葉を、4つの異なる光処理に供した(表3)。ビオラキサンチン、アンテラキサンチン、およびゼアキサンチンのプールサイズの組み合わせは、WTとVPZ系統との間で類似していた。キサントフィル色素プールは、暗順応した葉において完全にエポキシ化され、WTとVPZとの間の相違は認められなかった。400μmol m-2s-1のPFDへの曝露により、キサントフィル組成はほとんど変化せず、且つDESはゼロに近いままであったが、2000μmol m-2s-1のPFDでの照射により、アンテラキサンチン、主にゼアキサンチンがかなり上昇した。VPZ系統は、WTと比較してビオラキサンチンを有意により多く保持し、ゼアキサンチンおよびアンテラキサンチンの蓄積が少なく、それにより、VPZ系統におけるキサントフィルDESはWTのほぼ1/2であった(25.5%対46.2%)。変動光処理は、高光曝露と同一の傾向を示し、WTと比較してVPZ系統のキサントフィル脱エポキシ化はさらに低かった(17.8%対52.5%)。
WTと比較したVPZ系統における光防御の効率を評価するために、幼植物を、2000μmol m-2s-1の青色光に1時間および2時間曝露した。高光処理後のFo’に及ぼす光阻害およびNPQの対照的な影響を使用して、光防御指数を計算し(図5)、この指数において、値1は光阻害損傷からの完全な防御に等しい。1時間の高光曝露により、光阻害が有意に誘導され、この光阻害はVPZ系統よりもWT幼植物でわずかに高かった(図5A)。2時間後の光防御の効率(図5B)は、1時間後よりかなり低かったが、VPZ幼植物はWTより光阻害が低いことが再度見出された。10分間の暗所回復後の残存NPQは、VPZ幼植物においてより低い傾向があった(図5C)。より低い残存NPQおよびより高い光防御指数の結果として、VPZ幼植物におけるPSII効率はまた、10分間の暗所回復後により高くなる傾向があった(図5C)。
実施例9.温室条件下での植物成長
前述の光合成効率の相違が成長に影響を及ぼすかどうかを調査するために、2つの温室実験でバイオマス蓄積を評価した。両実験間で温度は類似しており、21℃と25℃との間で変動した。ピーク光強度は、第1の実験において2000μmol m-2s-1を超え、且つ第2の実験で1600μmol m-2s-1を超え、第1の実験および第2の実験における日光積分量は、それぞれ、平均して21.3mol m-2d-1および19.3mol m-2d-1であった。しかし、第2の実験の最終週において、ピーク光強度および日光積分量は、光強度の季節的減少に起因して、1037μmol m-2s-1および8.9mol m-2d-1まで実質的に減少した。結果として、平均植物乾燥重量は第1の実験において実質的により高く、それぞれ、35.6g対22.5gであった。両試験にわたり、VPZ系統由来の植物は、WTと比較して、茎の高さ(図5B)および葉領域(図5C)が増加した。さらに、植物あたりの総乾燥重量は、VPZ系統において10~21%高かった(図5A)。このことは、主に、茎乾燥重量の実質的増加(14~26%、図5D)ならびに葉(7.5~16%、図5E)および根(12.5~38.3%)の乾燥重量の増加に起因していた。
実施例10.さらなるデータ
図12および13では、葉、茎、および根のサイズおよび成長は、野生型と比較してトランスジェニック植物系統であるN2-23およびN2-34で増加する。図14は、トランスジェニック系統であるVPZ-56、VPZ-23、およびVPZ-34におけるNPQ動態学、量子収量、およびCO2固定の増加を示す。これらの結果は、葉への2000μmol m-2s-1PFDの事前曝露後の種々の光強度での量子収量およびCO2固定の増加を示す。1、2、および3は、曝露後のこの時間増加の進行を示す。
図16は、第1の誘導/緩和におけるNPQの時定数が類似するが、その後の光サイクルにより、トランスジェニック植物においてNPQがより遅く上昇し(大きさと無関係に、これらは時定数である)、且つより速く緩和され、暗所緩和における量子収量の回復がより速くなることを示す。これらの比較結果は、トランスジェニック系統におけるゼアキサンチンの上昇の減少と完全に一致する。高光でのVPZ系統におけるNPQレベルは、WTに類似するかより高い。dA532nmによって評価したVPZ系統におけるqEレベルはWTより高く、これはPsbS過剰発現と関連する可能性が最も高い。反復高光曝露は、VPZ系統においてNPQ増加のより高い時定数およびNPQ緩和のより低い時定数を示す。VPZ系統は、より速いNPQ緩和速度に起因してPFDの急速な切り替え中の低PFDでの量子収量が5~10%改善する。
VDE、ZEP、およびPsbSの過剰発現の組み合わせにより、幼植物および完全に成長した植物のNPQの上昇および緩和の動態学が改変され、幼植物および完全に成長した植物における変動光条件下での量子収量がより高くなり、完全に成長した植物における定常状態ガス交換に有意差は無く、完全に成長した植物における変動条件下での総同化速度がより高く、温室内での成長がおよそ10%増加する。
実施例11.材料と方法
形質転換
N.tabacum cv.「Petite Havana」を、Clemente,Agrobacterium Protocols(ed Wang K.),pp.143-154.Humana Press Inc.,Totowa.に従ってアグロバクテリウム媒介葉片プロトコールを使用して形質転換した。バイナリープラスミドは、A.thaliana由来の以下の3つの遺伝子のコード配列を含んでいた:ビオラキサンチンデエポキシダーゼ(AtVDE)、AtPsbSおよびゼアキサンチンエポキシダーゼ(AtZEP)、ならびにビアラホス耐性をコードするbar遺伝子(Thompsonら、Journal of Agricultural and Food Chemistry 35,361-365,1987)。20種の無関係のT0形質転換体を生成し、T-DNAコピー数を、Glowacka et al Plant Cell and Environment doi:10.1111/pce.12693,2015にしたがってゲノムDNAのデジタルドロップレットPCR(ddPCR)分析を使用して決定した。T-DNAの単一コピーを有する2つの系統(VPZ-34および56)および2つのコピーを有する1つの系統(VPZ-23)を使用してT1子孫を生成し、ホモ接合植物をGlowackaらに従ったddPCRによって同定し、自家受粉させてさらに分析するためのホモ接合T2子孫を得た。
植物材料の増殖
収穫日が同一のVPZ系統のT2種子およびWT種子を、150μmol量子m-2s-1下で12時間の日中(23℃)/12時間の夜(18℃)サイクルを用いた環境制御されたウォークイン成長室((Environmental Growth Chambers,Chagrin Falls,Ohio,USA)中の成長培地(LC1サンシャインミックス,Sun Gro Horticulture,Agawam,MA,USA)上で出芽させた。発芽から5日後、幼植物を、クロロフィル蛍光画像化のために8×12ポッティングトレイ(812シリーズ、Hummert International,Earth City,MO,USA)または9×4 ポッティングトレイ(3600シリーズ、Hummert International)に植え替え、2枚の本葉が出現するまで成長させた。最初の植え替え後、ガス交換およびバイオマス分析で使用される幼植物を温室に移した。
転写およびタンパク質発現
5つの葉片(合計2.9cm2)を、系統あたり5株の植物由来の最も若い完全に広がった葉の、ガス交換も行われている葉の位置から試料採取した。タンパク質およびmRNAを、同一の葉試料から抽出した(NucleoSpin RNA/Proteinキット、REF740933,Macherey-Nagel)。抽出したmRNAを、DNアーゼによって処理し(Turbo DNAフリーキット;AM1907,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)、Superscript III First-Strand Synthesis System for RT-PCR(18080-051;Thermo Fisher Scientific)を使用してcDNAに転写した。RT-qPCRを使用して、NtActinおよびNtTubulin(補足材料として提供されたプライマー配列)と比較して導入遺伝子であるAtZEP、AtPsbS、およびAtVDE、ならびにネイティブ遺伝子であるNtZEP、NtPsbS、およびNtVDEの発現レベルを定量した。
総タンパク質濃度(タンパク質定量アッセイref740967.50、Macherey-Nagel)の定量後、4μgのタンパク質を、SDS-PAGE電気泳動によって分離し、セミドライブロッティング(Trans-Blot SD,Bio-Rad)を使用してメンブレン(Immobilon-P,IPVH00010,Millipore,USA)にブロッティングし、AtPsbS(AS09533,Agrisera,Vannas,Sweden)、AtZEP(AS08289,Agrisera)、およびAtVDE(AS153091,Agrisera)に対して惹起する一次抗体で免疫標識し、その後に二次抗体(Promega W401B)とインキュベートした。化学発光を、スキャナ(ImageQuant LAS-4010、Fuji)を使用して検出し、デンシトメトリーを、ImageJ(バージョン1.47v、国立衛生研究所、米国)を使用して行ってタンパク質濃度を評価し、野生型タンパク質濃度を正規化のために使用した。
稚苗におけるNPQおよびPSII操作効率
非光化学的消光(NPQ)を、クロロフィル蛍光撮像装置(CF Imager、Technologica,Colchester,UK)を使用して、18株の幼植物において同時に決定した。幼植物を、最初に20分間暗順応させ、その後に暗順応させた最小蛍光(Fo)および最大蛍光蛍光(Fm)を、800msパルスの飽和光強度(6000μmol量子m-2s-1、λmax=470nm)を使用して画像化した。その後に、幼植物を、10分間の1000μmol量子m-2s-1およびその後の10分間の暗所または6サイクルの3分間の2000μmol量子m-2s-1およびその後の2分間の200μmol量子m-2s-1のいずれかに供した。飽和閃光を等間隔で照射して照射条件下での変動蛍光(F’)および最大蛍光(Fm’)を画像化した。次いで、幼植物あたりの平均NPQを、シュルテン・フォルマー消光モデルを想定した以下の式1に従って、これらの測定値から計算した:
NPQ=Fm/Fm’-1 式1
最大PSII効率または操作PSII効率を、Gentyら、Biochimica et Biophysica Acta 990,87-921989,1989に従った式2および3に従って蛍光測定値から評価した。
最大PSII効率=(Fm-Fo)/Fm 式2
PSII操作効率=(Fm’-F’)/Fm’ 式3
光強度の変化に対するNPQ調整の時定数
幼植物を暗順応させ、クロロフィル蛍光を、上記のようにクロロフィル蛍光撮像装置を使用して決定した。最大蛍光を、光強度を3分毎に2000から200、2000、200、2000、最後に0μmol量子m-2s-1まで変化させながら、30秒毎に測定した。暗所での最終緩和を、10分間持続させた。従って、3つのVPZ形質転換系統および野生型の18株の幼植物からなる6組を測定し、それにより、蛍光測定の間に5秒間のフレームシフトを作製し、各組間で光強度を変化させた。NPQを式1に従って計算し、各組内の最高値に対して正規化し、その後に6組全てを時間の関数としてコンパイルして、5秒を最小単位とした正規化NPQの時系列を生成した。NPQの誘導または緩和についての二重指数関数における時定数を、光強度のそれぞれの変化後にコンパイルした時系列に対してフィッティングした。暗所での最終回収について、時定数を(式3を使用して評価した)PSII操作効率についてフィッティングした。
光防御効率
幼植物を20分間暗順応させ、その後に暗順応させた最大PSII効率(Fv/Fm)を、上記のようにクロロフィル蛍光撮像装置を使用して決定した。その後に、幼植物を、2000μmol量子m-2s-1に60分間または120分間曝露した。曝露後、幼植物を暗所で10分間回復させてqEを緩和し、その後に完全な暗順応を用いずに最小蛍光(Fo’)および最大蛍光(Fm’)を測定した。Fo’の測定値を誘導値と比較し、Fo’に及ぼすNPQの影響を排他的に考慮する(Oxborough and Baker,Photosynthesis Research 54:135-142,1997)。次いで、Fo’の測定値またはFo’の誘導値のいずれかを使用したPSII効率間の相違を使用して、光防御効率を決定した。
完全に広がった葉におけるガス交換および線形電子伝達
ガス交換分析のために、幼植物を、トレイから成長培地(LC1 Sunshine mix、ポットあたり10gの粒状肥料(Osmocote Plus 15/9/12,The Scotts Company LLC,Marysville,Ohio,USA)を補足)で満たした3.8Lのポット(400C,Hummert International)に植え替えた。ポットを無作為化し、温室テーブル上に30cm間隔で配置した。植物に水を与え、5番目の葉が展開完了するまで植物の位置を2日毎に無作為に変えた。2cm2の葉室蛍光光度計を備えた開放型ガス交換システム(LI6400XT,LI-COR,Lincoln,Nebraska,USA)を使用して、ガス交換を測定した。全てのガス交換の測定値を、Gongら、Plant,Cell and Environment 38,2417-24322015に従って種々のCO2濃度での暗所の測定値を使用して、キュベットと周囲大気との間の拡散による漏れを補正した。
完全に広がった葉における純同化率および線形電子伝達の光用量反応曲線を決定するために、ガス交換およびパルス大きさ変調クロロフィル蛍光を、光強度範囲で測定した。全てのクロロフィル蛍光を、マルチフェーズフラッシュの一般的手順を使用して測定した(Loriauxら、2013)。最も若い完全に広がった葉(n=6)を、ブロック温度を25℃に設定し、且つ気流中のCO2濃度1500ppmに制御したキュベット中に固定した。30分間の暗順応後、最小蛍光(Fo)および最大蛍光(Fm)を決定した。その後に、2つの異なる方法で光強度を変動させた。第1の実験では、各光強度でのNPQの誘導を絶対最小値に維持するように試みながら光強度を0から50、80、110、140、170、200、400、600、800、1000、1200、1500、および2000μmol m-2s-1までゆっくり増加させた。定常状態に到達したとき、ガス交換パラメータを記録し、ベースライン蛍光(F’)および明順応最大蛍光(Fm’)を測定して、NPQ(式1)およびPSII操作効率(式3)を評価した。第2の実験では、葉を2000μmol m-2s-1で定常状態ガス交換に到達させた。その後に、光強度を、2000から1500、1000、800、600、400、200、170、140、110、80、および50に変化させ、各工程は4分間持続し、4分間の2000μmol m-2s-1を先に実施した。各光強度で、F’およびFm’ならびにガス交換のパラメータを、60秒後、140秒後、および220秒後に決定した。これらの3つの測定値の平均値を、断続性の高PFDを使用した光応答曲線を再構築するためのその後の分析のために使用した。
分光計(USB-2000,Ocean Optics Inc,Dunedin,Florida,USA)に接続した積分球(LI1800、LI-COR、USA)を使用して、ガス交換分析のために使用した同一のスポット上の入射照射の葉吸収を測定した。両実験についての線形電子伝達速度(J)を、以下の式に従って決定した:
J=葉吸収*PSII操作効率*PFD*0.5 式4
両実験に由来する線形電子伝達およびガス交換についての光強度用量反応曲線を、Sharkeyら(2007)の式に従って葉の一定温度に調整し、記述的非直角双曲線モデル(Von Caemmerer,Biochemical models of leaf photosynthesis.Collingwood,Australia:CSIRO Publishing 2000)に対してフィッティングして、初期勾配、凸状部、および漸近線を評価した。
純同化率のCO2用量反応曲線を分析するために、葉を、ブロック温度を25℃に制御し、光強度を2000μmol m-2s-1に設定したキュベット中に固定した。気流中のCO2濃度を、400、300、200、100、75、400、400、500、600、700、800、1200、および1600ppmに調節し、定常状態に到達したときにガス交換パラメータを記録した。Farquharら、Planta 149,78-90.1980によって無限葉肉コンダクタンスを想定し、Sharkey et al.Plant Cell Environ.30,1035-1040,2007に従って温度補正した葉光合成モデルをフィッティングして、最大カルボキシル化速度(Vcmax)、2000μmol m-2s-1での電子伝達速度(J)、トリオースリン酸利用率(TPU)、および光呼吸と無関係のミトコンドリア呼吸速度(Rd)を導いた。
キサントフィルサイクル色素濃度
葉を、上記のように開放型ガス交換システムのリーフキュベット中に固定し、暗順応させた。その後に、CO2およびH2Oの交換を、0、400、および2000μmol m-2s-1で定常状態に到達させるか、一連の光強度の変化(3分間の2000/3分間の200μmol m-2s-1を3サイクル)に供し、その直後に、葉片(0.58cm2)を展開した葉スポットから試料採取し、液体窒素中で瞬間凍結し、抽出するまで-80℃で保存した。ホーンポイント研究所(University of Maryland Center for Environmental Science,Cambridge,MD,USA)で色素分析を行った。凍結サンプルを、超音波プローブを使用して90%アセトン中で浸軟し、粗抽出物を濾過した(0.45μm)。色素を、Zorbax Eclipse XDB-C8カラム(963967-906,Agilent Technologies,Santa Clara,CA,USA)を使用したHPLCによって分離し、Van Heukelem and Thomas(2001)のプロトコールに従って定量した。
成長および最終バイオマス蓄積
成長に及ぼすVPZ過剰発現の影響を評価するために、2つの独立した温室実験を、2015年5月25日から6月29日まで(WT、VPZ-23、およびVPZ-34を使用)および2015年10月9日~11月13日まで(WT、VPZ-23、VPZ-34、およびVPZ-56を使用)行った。幼植物を、上記で特定するように繁殖させ(植物繁殖の段落)、トレイからポットあたり30gの遅滞放出粒状肥料(Osmocote Plus 15/9/12、The Scotts Company LLC)を補足した成長培地(LC1 Sunshine mix、Sun Gro Horticulture)で満たした14.5Lのポット(2000C、Hummert International)に植え替えた。ポットを無作為化し、温室テーブル上に30cm間隔で配置した。植物に水を与え、植物の位置を2日毎に無作為に変えた。三脚上に取り付けられ、且つ最も若い葉の10cm上部の位置を維持するように毎日調整した量子センサ(LI-190R、LI-COR、USA)を用いて温室テーブルの中央の葉レベルの光強度を記録した。温湿度センサ(HMP60-L,Vaisala Oyj,Helsinki,Finland)と赤外線ガス分析計(SBA-5,PPsystems,Amesbury,MA,USA)との組み合わせを使用して樹冠のおよそ1m上部の気温、相対湿度、およびCO2濃度を測定した。全ての気候データを、データロガー(CR1000,Campbell Scientific Inc,Logan,UT,USA)を使用して30分毎に記録した。温室内の温度を、一般に、換気、蒸発冷却、およびガスヒーターの組み合わせを使用して、28℃(日中)と18℃(夜)との間に維持した。光強度は入射量によって変動し、日中ピークは、第1の実験ではおよそ1800μmol m-2s-1に到達し、第2の実験では1000~1500μmol m-2s-1に到達した。CO2濃度は制御せず、360ppm(日中)と430ppm(夜)の間で変動した。最初の花が開花した後、茎の長さおよび植物あたりの葉数を決定し、植物あたりの総葉領域を、コンベヤベルトスキャナ(LI-3100C Area Meter,LI-COR,USA)を用いて測定した。その後に植物を葉、茎、および根の画分に分離し、70℃で恒量まで乾燥させた。
統計解析
全ての統計解析を、SAS(バージョン9.3、SAS Institute Inc.,Cary,NC,USA)を使用して行った。データを、ブラウン・フォーサイス検定を使用して分散の一様性について検定し、シャピロ・ウイルク検定を使用して正規性について試験した。一元配置分散分析を、フィッティングしたガス交換パラメータ、転写レベル、およびタンパク質発現に適用した。稚苗におけるNPQのクロロフィル蛍光画像化データセットを二元配置分散分析(光防御)、または反復測定一元配置分散分析(10分のオン/オフ)もしくは二元配置分散分析(高光/低光)によって解析した。2つの反復温室試験を、2つの完全ランダム化ブロックを使用した混合モデルを使用して分析した。全ての場合において、ANOVAにおいて有意な効果を得た後に、WTコントロールに対する系統平均のダネット多重比較検定を行った(α=0.05)。NPQの誘導および緩和のフィッティングした時定数を、95%信頼区間に基づいて比較した。
実施例12.トランスジェニックメイズ(仮想例)
本発明はまた、メイズ系統の親の表現型と比較して光合成および成長が改善されたメイズ系統を提供することができる。メイズ系統を、本明細書中に記載のPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物集団を生成することによって作出することができる。各トランスジェニック事象は、本明細書中に記載の異種ヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む少なくとも1つのヌクレオチド構築物を親植物のゲノムに移入する工程を含む。ヌクレオチド構築物を、前述の表現型が増強されたトランスジェニックメイズ植物内で培養することができるトランスジェニック細胞を産生するのに十分な量で親ゲノムに移入する。トランスジェニック細胞をトランスジェニック植物内で培養して、子孫トランスジェニック種子を産生する。トランスジェニック植物集団を、観察可能な表現型についてスクリーニングする。種子を、予想外に増強された表現型を有することによって選択されるトランスジェニック植物から回収する。任意選択的に、この方法は、トランスジェニック種子を出芽させ、前述のトランスジェニック種子から次世代の植物を成長させ、前述の次世代の植物の表現型を観察し、表現型が増強された次世代の植物から種子を回収するというサイクルを繰り返す工程を含む。この方法の別の態様では、PsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を使用することによって大集団をスクリーニングする。この方法の他の好ましい態様は、異種DNAが選択されたプロモーター(例えば、プロモーター領域の5’末端)が作動可能に連結されているヌクレオチド構築物を使用する。DNA構築物を、ゲノム内の無作為な位置またはゲノム内の予め選択された部位に導入することができる。
メイズ形質転換プロトコールの例を、本明細書中に記載する。
アグロバクテリウム培養の開始
1.-80℃のストック由来の単純バイナリーベクター(例えば、pZY102)を保有するAGL1を、適切な抗生物質(本明細書中に例示したベクターおよび株については、100mg/リットルのスペクチノマイシンおよび30mg/リットルのリファンピン)を有するABC寒天プレート上に画線し、単一コロニーを得るための希釈系列を調製する。プレートを暗所にて28℃で3日間インキュベートする。
2.単一コロニーを選択し、このコロニーを、適切な抗生物質(本明細書中に例示したベクターおよび株については、100mg/リットルのスペクチノマイシンおよび30mg/リットルのリファンピン)を含むYEP寒天プレート上に画線する。プレートを暗所にて20℃で3日間インキュベートする。
3.5mlの滅菌PHI-A(植菌培地)を15mlの円錐遠心管に添加する。
4.2フルループのYEPプレート由来のAGL1を工程3で調製した管に移す。2~3分後、管を振盪して細菌細胞を完全に懸濁する。
5.1mlのこの懸濁液を取り出し、これを分光光度計キュベットに入れて550nmでの光学密度(OD550)をチェックする。さらなるアグロバクテリウム細胞を添加することか、さらなるPHI-Aで培養物を希釈することのいずれかによって細胞懸濁液を室温(例えば、24℃)で0.35のOD550(0.5×109cfu/ml)に調整する。
6.培養物を振盪器内において室温(例えば、24℃)にて100rpmで4~5時間振盪する。
7.1mlの懸濁液を2ml滅菌微量遠心管に等分する。
胚の単離、植菌、および共培養
8.受粉10~13日後に採取した穂から外皮およびシルクを除去する(胚サイズは1.5mm;サポートプロトコールを参照のこと)。鉗子を穂の一端に挿入する。
9.新鮮なHi-II穂を、(無菌の1リットルの広口瓶中の)数滴のTween 20を加えた0.5リットルの30%市販漂白剤を含む溶液に完全に20分間浸漬する。
10.穂を滅菌水で3回洗浄し(各回において、穂が水中に完全に浸漬していることを確認する)、穂を150×15mmの滅菌ペトリ皿上に直立させる。
11.11番の滅菌した剃刀の刃を用いて各穂から穀粒の上半分を除去する。
12.滅菌マイクロスパチュラを用いて滅菌穂から1.5mmの未成熟胚を単離し、1.7ml~2.0mlの微量遠心管あたり50~100の胚を移す。胚を1mlのPHI-A溶液で3回洗浄して、デブリおよびデンプンを除去する。
13.直後に、1mlのアグロバクテリウム懸濁液を、未成熟胚を含む管に添加し、管を滅菌フード内で5分間静置し、次いで、全ての胚を含む全内容物をPHI-B(共培養培地)寒天プレート上に注ぐ。
14.微細なチップを備えたピペットを用いてアグロバクテリウム懸濁液を吸い出し、次いで、胚をプレート全体に均等に広げ、胚を、胚盤を表向きにし、且つ平坦面を培地上に下向きにして配置する。
15.プレートをパラフィンでシールし、暗所にて20℃で3日間インキュベートする。
静置
16.スパチュラを用いて胚をPHI-C(静置培地)のプレートに移す。胚の損傷を回避する。
17.プレートをパラフィンでシールし、暗所にて28℃で7日間インキュベートする。
選択
18.スパチュラまたは鉗子を用いて胚をPHI-D1(選択培地I)のプレートに移す。プレートあたり25の胚を配置し、プレートをシールする。最初の2週間の選択のために、胚を暗所にて28℃でインキュベートする。
19.鉗子を用いてカルスをPHI-D1プレートからPHI-D2(選択培地II)のプレートに移す。工程18に記載のインキューベーション条件を使用して、カルスを2週間毎に合計で2ヶ月にわたって新鮮なPHI-D2培地上で継代する。
20.工程18および19と同一の条件下でカルスの直径が約1.0cmになるまで新鮮なPHI-D2培地上でさらに2週間成長させることによって除草剤耐性カルスを増大させる。
成熟および再生
21.鉗子を使用して、不透明な胚を含む各カルス塊全体を20×100mmのペトリプレート(3M多孔質テープで包まれている)中のPHI-E(成熟培地)上に移し、培養プレートを暗所に28℃で2~3週間置いて体細胞胚を成熟させる。
22.乳白色のカルスをPHI-F(再生培地)上に移し、苗条および根が発生するまで16時間の明期下にて25℃でインキュベートする。
23.各小植物を、PHI-F(再生培地)を含む25×150mmの管に移し、16時間の明期下にて25℃で2~3週間成長させる。
24.18時間/明期、6時間/暗期サイクルを用いた24℃の照明付きのインキュベーターまたは培養室内で、植物を、土壌混合物(例えば、Promix BX土)を含むプラスチック製の小ポットに移す。
実施例13.トランスジェニックモロコシ(仮想例)
本発明はまた、モロコシ系統の親の表現型と比較して光合成および成長が改善されたモロコシ系統を提供することができる。モロコシ系統を、本明細書中に記載のPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物集団を生成することによって作出することができる。各トランスジェニック事象は、本明細書中に記載の異種ヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む少なくとも1つのヌクレオチド構築物を親植物のゲノムに移入する工程を含む。ヌクレオチド構築物を、前述の表現型が増強されたトランスジェニックモロコシ植物内で培養することができるトランスジェニック細胞を産生するのに十分な量で親ゲノムに移入する。トランスジェニック細胞をトランスジェニック植物内で培養して、子孫トランスジェニック種子を産生する。トランスジェニック植物集団を、観察可能な表現型についてスクリーニングする。種子を、予想外に増強された表現型を有することによって選択されるトランスジェニック植物から回収する。任意選択的に、この方法は、トランスジェニック種子を出芽させ、前述のトランスジェニック種子から次世代の植物を成長させ、前述の次世代の植物の表現型を観察し、表現型が増強された次世代の植物から種子を回収するというサイクルを繰り返す工程を含む。この方法の別の態様では、PsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を使用することによって大集団をスクリーニングする。この方法の他の好ましい態様は、異種DNAが選択されたプロモーター(例えば、プロモーター領域の5’末端)が作動可能に連結されているヌクレオチド構築物を使用する。DNA構築物を、ゲノム内の無作為な位置またはゲノム内の予め選択された部位に導入することができる。
モロコシ形質転換プロトコールの例は、Guoら、Methods Mol Biol 1223,181-188, 2015ならびにHoweら、Plant Cell Rep 25(8): 784-791, 2006に記載される。
実施例14.トランスジェニックダイズ(仮想例)
本発明はまた、ダイズ系統の親の表現型と比較して光合成および成長が改善されたダイズ系統を提供することができる。ダイズ系統を、本明細書中に記載のPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物集団を生成することによって作出することができる。各トランスジェニック事象は、本明細書中に記載の異種ヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む少なくとも1つのヌクレオチド構築物を親植物のゲノムに移入する工程を含む。ヌクレオチド構築物を、前述の表現型が増強されたトランスジェニックダイズ植物内で培養することができるトランスジェニック細胞を産生するのに十分な量で親ゲノムに移入する。トランスジェニック細胞をトランスジェニック植物内で培養して、子孫トランスジェニック種子を産生する。トランスジェニック植物集団を、観察可能な表現型についてスクリーニングする。種子を、予想外に増強された表現型を有することによって選択されるトランスジェニック植物から回収する。任意選択的に、この方法は、トランスジェニック種子を出芽させ、前述のトランスジェニック種子から次世代の植物を成長させ、前述の次世代の植物の表現型を観察し、表現型が増強された次世代の植物から種子を回収するというサイクルを繰り返す工程を含む。この方法の別の態様では、PsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を使用することによって大集団をスクリーニングする。この方法の他の好ましい態様は、異種DNAが選択されたプロモーター(例えば、プロモーター領域の5’末端)が作動可能に連結されているヌクレオチド構築物を使用する。DNA構築物を、ゲノム内の無作為な位置またはゲノム内の予め選択された部位に導入することができる。
ダイズ形質転換プロトコールの例を、本明細書中に記載する。
子葉外植体を、5日齢のダイズ幼植物から、子葉からおよそ3~5mm下の胚軸領域を水平方向にスライスすることによって調製する。その後に垂直方向のスライスを子葉の間で作製し、胚子軸を除去する。この操作によって、2つの子葉節外植体が得られる。およそ7~12の垂直スライスを、子葉/胚軸接合部から3mm上部および子葉/胚軸接合部から1mm下部を含む領域に関して、外植体の向軸面上で作製する。15番の外科用メスを使用して外植体を操作する。
外植体をアグロバクテリウム接種菌液中に30分間浸漬し、次いで、0.5%精製寒天(BBLカタログ番号11853)で固化したアグロバクテリウム懸濁培地を含む100×15mmのペトリプレート上で共培養する。共培養プレートを、Whatman#1濾紙片で覆った(Mullinsら,1990;Janssen and Gardner,1993;Zhangら,1997)。外植体(プレートあたり5株)を、80μmol s-1m-2の近似光強度(F17T8/750白色電球、Litetronics)を用いて18/6時間明期レジメ下にて24℃で3日間、濾紙で覆った共培養プレート上で向軸面を下にして培養する。共培養プレートを、パラフィンで包む。
共培養期間後、外植体を、1.67mgl-1のBAP、3%スクロース、500mgl-1のチカルシリンおよび100mgl-1セフォタキシムを補足したB5培地中で短時間洗浄する。培地を、3mM MES(pH5.6)で緩衝化する。オートクレーブ処理後に成長調節物質、ビタミン、および抗生物質を濾過滅菌する。洗浄工程後、外植体を、100×20mmのペトリプレート中で、向軸面を上にして培養し(プレートあたり5株)、3.3または5.0mgl-1のグルホシナート(AgrEvo USA)のいずれかで修正した0.8%精製寒天(BBLカタログ番号11853)を用いて固化した洗浄培地を含む培地中に胚軸を浸漬する。この培地を苗条開始培地(SI)という。プレートを3M粘着テープ(ScotchTM、3M、USA)で包み、種子発芽工程で使用した環境条件下で培養する。
培養2週間後、胚軸領域を各外植体から切り出し、残存する外植体(分化節を有する子葉)を、新鮮なSI培地上で継代する。SI培地上でのさらに2週間の培養後、分化節から子葉を除去する。分化節を、Murashige and Skoog(MS)(1962)基本塩、ビタミンB5、1mgl-1のゼアチン-リボシド、0.5mgl-1のGA3および0.1mgl-1のIAA、50mgl-1グルタミン、50mgl-1アスパラギン、3%スクロース、および3mM MES(pH5.6)から構成される苗条伸長培地(SE)に継代する。SE培地を、1.7または2.0mgl-1のグルホシナートのいずれかで修正する。外植体を、苗条が3cmを超える長さに到達するまで新鮮なSI培地に隔週で継代する。伸長した苗条を、マジェンタボックス中またはサンデーカップ中(Industrial Soap Company,St.Louis MO)のいずれかでさらに選択することなくビタミンB5、1%スクロース、0.5mgl-1 NAAを補足したMurashige and Skoog塩上に植え付ける。
実施例15.トランスジェニックイネ(仮想例)
本発明はまた、イネ系統の親の表現型と比較して光合成および成長が改善されたイネ系統を提供することができる。イネ系統を、本明細書中に記載のPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物集団を生成することによって作出することができる。各トランスジェニック事象は、本明細書中に記載の異種ヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む少なくとも1つのヌクレオチド構築物を親植物のゲノムに移入する工程を含む。ヌクレオチド構築物を、前述の表現型が増強されたトランスジェニックイネ植物内で培養することができるトランスジェニック細胞を産生するのに十分な量で親ゲノムに移入する。トランスジェニック細胞をトランスジェニック植物内で培養して、子孫トランスジェニック種子を産生する。トランスジェニック植物集団を、観察可能な表現型についてスクリーニングする。種子を、予想外に増強された表現型を有することによって選択されるトランスジェニック植物から回収する。任意選択的に、この方法は、トランスジェニック種子を出芽させ、前述のトランスジェニック種子から次世代の植物を成長させ、前述の次世代の植物の表現型を観察し、表現型が増強された次世代の植物から種子を回収するというサイクルを繰り返す工程を含む。この方法の別の態様では、PsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を使用することによって大集団をスクリーニングする。この方法の他の好ましい態様は、異種DNAが選択されたプロモーター(例えば、プロモーター領域の5’末端)が作動可能に連結されているヌクレオチド構築物を使用する。DNA構築物を、ゲノム内の無作為な位置またはゲノム内の予め選択された部位に導入することができる。
イネ形質転換プロトコールの例を、本明細書中に記載する。
感染および共培養
カルスを滅菌茶漉し器に移し、茶漉し器を非常に穏やか且つ断続的に15分間振盪することによってアグロバクテリウム懸濁液中で茶漉し器をインキュベートし、次いで、滅菌ペトリ皿中の重ねたWhatmann1滅菌濾紙の上で茶漉し器を吸い取って乾燥させて過剰な細菌を除去する。MSG4K培地上に配置した滅菌濾紙上にカルスを移し、暗所にて25℃で48時間培養する。
静置およびビオラホス(バスタ)選択
共培養したカルスを滅菌50ml管に移し、滅菌水で5回およびチメンチン200mg/lを含む液体共培養培地で1回洗浄する。カルスを滅菌Whatman濾紙で吸い取って乾燥させ、MSG2K「静置」培地含有プレートに移す。カルスプレートを暗所にて25℃で7日間培養する。カルスをMSG2Kビオラホス選択培地に移す。プレートを暗所にて25℃で3週間培養する。この過程をさらに5週間繰り返し、3週間毎に新鮮な培地に継代する。
カルスの乾燥、苗条再生、および発根
選択培地中での8週間の3~4ラウンドの選択後、カルスを滅菌フード中の2層の滅菌Whatman#1濾紙を重ねた滅菌ペトリ皿に移す。これを3Mサージカルテープで包み、フード中で放置し、それにより、暗所で24時間静置した。プレートは、カルスを確実に暗所に置くためにアルミニウム箔で覆う必要がある。カルス工程のこの部分的乾燥は、苗条再生培地中で苗条を誘導するのに絶対に必要である。48時間後、カルスをMSG75K苗条再生培地に移し、暗所で3週間インキュベートする。体細胞胚を有する増殖カルスを同一の培地に移し、12時間/8時間暗周期を用いた低光下(およそ20~30μE m-2s-1)でインキュベートする。苗条は、10日後に明所で出現し始め、ほとんどのカルスは緑色になる。十分な量の苗条が得られるまで同一の光レジメン下でMSG75K苗条再生培地中にて胚に沿って緑色カルスを培養し続ける。一方、苗条の長さが5cmを超えたとき、底部で切断し、MSG100K発根培地を含むGreiner Bio-One植物培養容器(番号968161-82051-508-蓋付き容器、330ml、滅菌、直径68mm×高さ110mm)に移す。
実施例16.トランスジェニックコムギ(仮想例)
本発明はまた、コムギ系統の親の表現型と比較して光合成および成長が改善されたコムギ系統を提供することができる。コムギ系統を、本明細書中に記載のPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物集団を生成することによって作出することができる。各トランスジェニック事象は、本明細書中に記載の異種ヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む少なくとも1つのヌクレオチド構築物を親植物のゲノムに移入する工程を含む。ヌクレオチド構築物を、前述の表現型が増強されたトランスジェニックコムギ植物内で培養することができるトランスジェニック細胞を産生するのに十分な量で親ゲノムに移入する。トランスジェニック細胞をトランスジェニック植物内で培養して、子孫トランスジェニック種子を産生する。トランスジェニック植物集団を、観察可能な表現型についてスクリーニングする。種子を、予想外に増強された表現型を有することによって選択されるトランスジェニック植物から回収する。任意選択的に、この方法は、トランスジェニック種子を出芽させ、前述のトランスジェニック種子から次世代の植物を成長させ、前述の次世代の植物の表現型を観察し、表現型が増強された次世代の植物から種子を回収するというサイクルを繰り返す工程を含む。この方法の別の態様では、PsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を使用することによって大集団をスクリーニングする。この方法の他の好ましい態様は、異種DNAが選択されたプロモーター(例えば、プロモーター領域の5’末端)が作動可能に連結されているヌクレオチド構築物を使用する。DNA構築物を、ゲノム内の無作為な位置またはゲノム内の予め選択された部位に導入することができる。
コムギ形質転換プロトコールの例は、Medvecka E, Harwood WA. Wheat(Triticum aestivum L.) Transformation Using Mature Embryos. Agrobacterium Protocols: Volume 1. 2015:199-209に記載される。
実施例17.トランスジェニックササゲ
Higginsら,Innovative research along the cowpea value chain.Ibadan,Nigeria:International Institute of Tropical Agriculture,pp.133-139,2013に記載の形質転換プロトコールに従って、ササゲ植物を、PsbS、ZEP、およびVDEをコードするヌクレオチド配列を含むT-DNA構築物で形質転換した。動的NPQ調整の動態学を比較するために、二重指数モデルを、変動光への曝露後にT0トランスジェニックササゲにおけるNPQの暗所緩和にフィッティングした。表4に示すように、qE緩和(τ1)は、コントロールと比較して形質転換体系統164381Aにおいて顕著に急速であり、測定値は20.5秒および19.7秒対35.9秒および29.7秒であった。NPQ緩和のqZ期(τ2)は、コントロールと比較して形質転換体系統1643B1で遅く、これは、おそらくT0トランスジェニック植物において測定したという制限に原因していた。当該分野で公知のように、T1世代またはT2世代由来のトランスジェニック植物は、通常は表現型の測定値がT0を超えることが好ましい。1つの理由としては、T0トランスジェニック植物において、形質転換過程および組織培養過程に由来するストレスが通常の植物生理学を妨害し、表現型測定値に影響を及ぼし得ることである。別の理由は、導入遺伝子の分子特徴づけがT1世代またはT2世代まで完了できないこと、およびコピー数およびゲノム内の挿入位置などのトランスジェニックの特徴が導入遺伝子発現に有意に影響を及ぼし得ることである。図27、図28、および図29に示すように、NPQは、コントロール植物よりも形質転換体系統1643B1で急速に緩和した。図30に示すように、NPQの緩和はコントロール植物(青色ドット)よりも形質転換体系統CP472A(橙色ドット)でより遅く、これは、おそらく、上記で考察するように、T0トランスジェニック植物において測定したという制限に原因する。
実施例18.トランスジェニックキャッサバ(仮想例)
本発明はまた、キャッサバ系統の親の表現型と比較して光合成および成長が改善されたキャッサバ系統を提供することができる。キャッサバ系統を、本明細書中に記載のPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物集団を生成することによって作出することができる。各トランスジェニック事象は、本明細書中に記載の異種ヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む少なくとも1つのヌクレオチド構築物を親植物のゲノムに移入する工程を含む。ヌクレオチド構築物を、前述の表現型が増強されたトランスジェニックキャッサバ植物内で培養することができるトランスジェニック細胞を産生するのに十分な量で親ゲノムに移入する。トランスジェニック細胞をトランスジェニック植物内で培養して、子孫トランスジェニック種子を産生する。トランスジェニック植物集団を、観察可能な表現型についてスクリーニングする。種子を、予想外に増強された表現型を有することによって選択されるトランスジェニック植物から回収する。任意選択的に、この方法は、トランスジェニック種子を出芽させ、前述のトランスジェニック種子から次世代の植物を成長させ、前述の次世代の植物の表現型を観察し、表現型が増強された次世代の植物から種子を回収するというサイクルを繰り返す工程を含む。この方法の別の態様では、PsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を使用することによって大集団をスクリーニングする。この方法の他の好ましい態様は、異種DNAが選択されたプロモーター(例えば、プロモーター領域の5’末端)が作動可能に連結されているヌクレオチド構築物を使用する。DNA構築物を、ゲノム内の無作為な位置またはゲノム内の予め選択された部位に導入することができる。
キャッサバ形質転換プロトコールの例は、Chettyら、New Biotechnology 30.2: 136-143, 2013に記載される。
実施例19.トランスジェニックポプラ(仮想例)
本発明はまた、ポプラ系統の親の表現型と比較して光合成および成長が改善されたポプラ系統を提供することができる。ポプラ系統を、本明細書中に記載のPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物集団を生成することによって作出することができる。各トランスジェニック事象は、本明細書中に記載の異種ヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む少なくとも1つのヌクレオチド構築物を親植物のゲノムに移入する工程を含む。ヌクレオチド構築物を、前述の表現型が増強されたトランスジェニックポプラ植物内で培養することができるトランスジェニック細胞を産生するのに十分な量で親ゲノムに移入する。トランスジェニック細胞をトランスジェニック植物内で培養して、子孫トランスジェニック種子を産生する。トランスジェニック植物集団を、観察可能な表現型についてスクリーニングする。種子を、予想外に増強された表現型を有することによって選択されるトランスジェニック植物から回収する。任意選択的に、この方法は、トランスジェニック種子を出芽させ、前述のトランスジェニック種子から次世代の植物を成長させ、前述の次世代の植物の表現型を観察し、表現型が増強された次世代の植物から種子を回収するというサイクルを繰り返す工程を含む。この方法の別の態様では、PsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を使用することによって大集団をスクリーニングする。この方法の他の好ましい態様は、異種DNAが選択されたプロモーター(例えば、プロモーター領域の5’末端)が作動可能に連結されているヌクレオチド構築物を使用する。DNA構築物を、ゲノム内の無作為な位置またはゲノム内の予め選択された部位に導入することができる。
ポプラ形質転換プロトコールの例は、Movahediら、International Journal of Molecular Science 15.6: 10780-10793, 2014に記載される。
実施例20.トランスジェニックユーカリ(仮想例)
本発明はまた、ユーカリ系統の親の表現型と比較して光合成および成長が改善されたユーカリ系統を提供することができる。ユーカリ系統を、本明細書中に記載のPsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物集団を生成することによって作出することができる。各トランスジェニック事象は、本明細書中に記載の異種ヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む少なくとも1つのヌクレオチド構築物を親植物のゲノムに移入する工程を含む。ヌクレオチド構築物を、前述の表現型が増強されたトランスジェニックユーカリ植物内で培養することができるトランスジェニック細胞を産生するのに十分な量で親ゲノムに移入する。トランスジェニック細胞をトランスジェニック植物内で培養して、子孫トランスジェニック種子を産生する。トランスジェニック植物集団を、観察可能な表現型についてスクリーニングする。種子を、予想外に増強された表現型を有することによって選択されるトランスジェニック植物から回収する。任意選択的に、この方法は、トランスジェニック種子を出芽させ、前述のトランスジェニック種子から次世代の植物を成長させ、前述の次世代の植物の表現型を観察し、表現型が増強された次世代の植物から種子を回収するというサイクルを繰り返す工程を含む。この方法の別の態様では、PsbS、ZEP、およびVDEから選択されるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を使用することによって大集団をスクリーニングする。この方法の他の好ましい態様は、異種DNAが選択されたプロモーター(例えば、プロモーター領域の5’末端)が作動可能に連結されているヌクレオチド構築物を使用する。DNA構築物を、ゲノム内の無作為な位置またはゲノム内の予め選択された部位に導入することができる。
ユーカリ形質転換プロトコールの例は、Diwakarら、Plant Tissue Culture: Propagation, Conservation and Crop Improvement, 219-244, 2016に記載される。
実施例21.NPQ遺伝子の配列同一性分析
シロイヌナズナPsbS、ZEP、およびVDEと相同なアミノ酸配列を同定するために、BLASTXプログラムを使用してBLASTタンパク質検索を行った。BLASTによる配列類似率を、PsbSについては表4、ZEPについては表5、およびVDEについては表6に示し、ここで、シロイヌナズナホモログに対する配列同一率を降順に並べた配列の上位100ヒットを列挙している。
シロイヌナズナPsbS、ZEP、およびVDEに相同なアミノ酸配列の配列同一性および/または類似性を比較するために、CLUSTAL OMEGAプログラムを使用して、配列アラインメントを行った。図24は、CLUSTAL Oによるそれぞれ(A)PsbS、(B)ZEP、および(C)VDEについてのアミノ酸配列類似性を例示している。
実施例22.温室NPQ発現実験
Nicotiana tabacumを、葉の発現についての異なるプロモーターの調節下においてシロイヌナズナVDE、ZEP、およびPsbSのコード配列で形質転換した。単一トランスファーDNA(T-DNA)組み込みを有する2つの形質転換体(VPZ-34およびVPZ-56)ならびに2つのT-DNA挿入を有する1つの形質転換体(VPZ-23)を、幼植物NPQスクリーニングに基づいて選択し、自家受粉してさらなる調査用のホモ接合T2子孫を得た。次いで、これらの植物を、温室内で成長させた。VDE、PsbS、およびZEPのmRNAレベルおよびタンパク質レベルを測定した(図25)。
3つ全てのVPZ系統は、WTと比較して総(トランスジェニック+ネイティブ)転写物レベルがVDE(10倍)、PsbS(3倍)、およびZEP(6倍)で増加した(A、C、およびE)。PsbSについては、転写物レベルの増加は、21kDa(AtPsbS)および24kDa(NtPsbS)でのバンド(G)に例示されるように、PsbSタンパク質レベル(D)がおよそ4倍と解釈された。VDEおよびZEPについては、転写物レベルの増加は、WTタンパク質レベルの、VDEについては30倍(45kDa)(BおよびG)およびZEPについては74倍(73kDa)(FおよびG)に相当していた。
実施例23.野外NPQ発現実験
Nicotiana tabacumを、葉の発現についての異なるプロモーターの調節下においてシロイヌナズナVDE、ZEP、およびPsbSのコード配列で形質転換した。単一トランスファーDNA(T-DNA)組み込みを有する2つの形質転換体(VPZ-34およびVPZ-56)ならびに2つのT-DNA挿入を有する1つの形質転換体(VPZ-23)を、幼植物NPQスクリーニングに基づいて選択し、自家受粉してさらなる調査用のホモ接合T2子孫を得た。次いで、これらの植物を、実地で成長させた。VDE、PsbS、およびZEPのmRNAレベルおよびタンパク質レベルを測定した(図26)。
3つ全てのVPZ系統は、WTと比較して総(トランスジェニック+ネイティブ)転写物レベルがVDE(4倍)、PsbS(1.2倍)、およびZEP(7倍)で増加した。3つ全てのVPZ系統はまた、WTと比較して総(トランスジェニック+ネイティブ)タンパク質レベルがVDE(47倍)、PsbS(3倍)、およびZEP(75倍)で増加した。
実施例24.トランスジェニックイネ実験
イネ植物を、実施例15に記載の形質転換プロトコールに従って、PsbS、ZEP、およびVDEをコードするヌクレオチド配列を含むT-DNA構築物で形質転換した。トランスジェニックタバコ実験で使用した同一の発現構築物を、この実験で使用した。9つの独立したT0形質転換体および2つのGUSコントロールの葉を暗順応させた。その後に、10分間の1000μmol m-2s-1の照射およびその後の3分間の暗所中にNPQを測定した。図31は、一連の10分間の1000μmol m-2s-1の照射およびその後の3分間の暗所にわたる9つのイネ形質転換体(点)およびコントロール(線)のNPQを示す。図32は、一連の10分間の1000μmol m-2s-1の照射およびその後の3分間の暗所にわたる9つのイネ形質転換体(青色の点)およびコントロール(橙色ドット)のNPQの平均を示す。
図31および図32に示すように、10分間の1000μmol m-2s-1照射中のこれら9つの形質転換体のNPQ大きさはコントロールより低かった。この結果は、これらの形質転換体におけるZEPの発現の増加と一致し、この発現の増加により、ゼアキサンチン形成が防止され、それにより、NPQ大きさが減少する。別の説明としては、PsbS過剰発現がネイティブPsbSの発現を妨害し、それにより、NPQ大きさが減少するということである。結果は、暗所で3分間の緩和では形質転換体とコントロールとの間にNPQの有意差は認められず、これはこの実験においてゼアキサンチンの上昇を欠く可能性があることに起因することも示す。
これらのトランスジェニックイネ植物におけるNPQ動態学の変化の欠如は、実験デザインの制限に起因する可能性が最も高い:この実験では、イネ植物を、双子葉植物における最適な遺伝子発現のためにデザインされたプロモーターを含むタバコ形質転換のために構築された発現カセットで形質転換した。双子葉植物プロモーターは単子葉植物で十分に機能しないことが当該分野で公知である。したがって、これらのトランスジェニックイネ植物内でのPsbS、ZEP、およびVDEの発現は、NPQ緩和速度の増加に役立つレベルまで最適に増加しなかった可能性がある。
実施例25.さらなる実験
NPQ関連遺伝子の一過性過剰発現をNicotiana benthamianaにおいて行った。ネガティブコントロールとしてFLAGタグ化したPsbS、VDE、ZEP、およびGUSを過剰発現する葉スポットの、600μmol 光子 m-2s-1で13分間の照射およびその後の10分間の暗所中のNPQを測定した。図18に示すように、結果は、PsbSの過剰発現がGUSコントロールと比較してNPQ能力を増加させたことを示した。VDEの過剰発現は、NPQ誘導を急速にした。ZEPの過剰発現は、NPQ緩和を急速にしたが、NPQの誘導および能力に負の影響を及ぼした。
VDEおよびZEPの一過性同時過剰発現をNicotiana benthamianaにおいて行った。図19に示すように、結果は、NPQの誘導速度および緩和速度の増加を示した。VDEの同時過剰発現は、ZEPの過剰発現のバランスを取り、且つ、NPQの誘導および能力に及ぼすZEP過剰発現の負の影響を防止するために必要であることが示された。
図20は、Nicotiana tabacum cv.Petite Havanaの安定なトランスジェニックT1植物のNPQ動態学を示す。600μmol光子m-2s-1での10分間の照射およびその後の10分間の暗所中の以下の3つの異なる系統についてのT1成植物の最も若い完全に広がった葉のNPQを、DUAL PAMを使用して測定した:1つの野生型分離個体系統(Null)、1つのZEPを過剰発現する系統(ZEP)、ならびに1つのZEPおよびVDEを過剰発現する系統(ZEP-VDE)。結果は、ZEP-VDE系統のNPQの誘導および緩和がより急速であることを示した。
図21は、Nicotiana tabacum cv.Petite Havanaの安定なトランスジェニックT1植物の光化学系II量子収量(YII)を示す。同一の植物および同一の条件下で、図20に記載のNPQ測定と同時にYIIを測定した。暗所回復期間中、YIIは、ZEPまたはNullを過剰発現する系統と比較して、ZEP-VDEを過剰発現する系統でより高かった。
図22は、温室での成長実験を示す。結果は、ZEPおよびVDEを過剰発現するNicotiana tabacum cv.Petite Havanaの安定なトランスジェニックT1植物(ZEP-VDE)が野生型(Null)と比較して、サイズおよびバイオマスが増加することことを証明した。PsbS(PsbS)またはZEPおよびPSBS(ZEP-PsbS)を過剰発現する系統は、野生型と類似のバイオマスを示した。4組(トランスジェニック系統あたり1組)の植物を図中に示す。各組は36株の植物を含む。各組についての地上バイオマスを、成長19日後に36株の植物の収穫物の総湿重量および総乾燥重量によって決定した。データは、単一の実験の結果を示す。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
トランスジェニック植物であって、少なくとも1つの発現制御配列に作動可能に連結された、
光化学系IIサブユニットS(PsbS)、ゼアキサンチンエポキシダーゼ(ZEP)、およびビオラキサンチンデエポキシダーゼ(VDE);
PsbSおよびZEP;または
ZEPおよびVDE
をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む、トランスジェニック植物。
(項目2)
前記1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列が双子葉植物に由来する、項目1に記載のトランスジェニック植物。
(項目3)
前記1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列がArabidopsis thalianaに由来する、項目1に記載のトランスジェニック植物。
(項目4)
PsbS、ZEP、およびVDEをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む、項目1~3のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目5)
前記VDE、PsbS、またはZEPのうちのいずれかの転写レベルがコントロール植物と比較して増加する、項目1~4のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目6)
PsbSが、配列番号1のヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが、配列番号2のヌクレオチド配列にコードされ、VDEが、配列番号3のヌクレオチド配列にコードされる、項目1~5のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目7)
PsbSが、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、VDEが、配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる、項目1~5のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目8)
PsbSが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、VDEが、配列番号3に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる、項目1~5のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目9)
PsbSが、配列番号4のアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5のアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6のアミノ酸配列を有する、項目1~5のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目10)
PsbSが、配列番号4に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6に少なくとも配列90%同一であるアミノ酸を有する、項目1~5のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目11)
PsbSが、配列番号4に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6に少なくとも配列70%同一であるアミノ酸を有する、項目1~5のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目12)
PsbSが、配列番号7の保存されたドメインを含み、ZEPが、配列番号8の保存されたドメインを含み、VDEが、配列番号9の保存されたドメインを含む、項目1~5のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目13)
前記植物が、作物、モデル植物、単子葉の植物、双子葉の植物、ベンケイソウ型酸代謝(CAM)光合成植物、C3光合成植物、C4光合成植物、一年生植物、温室植物、園芸種の顕花植物、多年生植物、スイッチグラス植物、メイズ植物、バイオマス植物、またはサトウキビ植物である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目14)
前記植物が、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、およびバイオマス作物からなる群から選択される、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目15)
前記植物がタバコ(Nicotiana tabacum)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目16)
前記植物がトウモロコシ(Zea mays)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目17)
前記植物がイネ(Oryza sativa)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目18)
前記植物がモロコシ(Sorghum bicolor)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目19)
前記植物がダイズ(Glycine max)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目20)
前記植物がササゲ(Vigna unguiculata)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目21)
前記植物がポプラ(Populus spp.)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目22)
前記植物がユーカリ(Eucalyptus spp.)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目23)
前記植物がキャッサバ(Manihot esculenta)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目24)
前記植物がオオムギ(Hordeum vulgare)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目25)
前記植物がジャガイモ(Solanum tuberosum)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目26)
前記植物がサトウキビ(Saccharum spp.)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目27)
前記植物がアルファルファ(Medicago sativa)である、項目1~12のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目28)
前記植物が、変動光条件下のコントロール植物と比較して、変動光条件下での成長が増大する、項目1~27のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目29)
前記植物が、変動光条件下のコントロール植物と比較して、変動光条件下での光合成効率が増大する、項目1~28のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目30)
前記植物が、変動光条件下のコントロール植物と比較して、変動光条件下での光防御効率が改善される、項目1~29のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目31)
前記植物が、変動光条件下のコントロール植物と比較して、変動光条件下での量子収量およびCO2固定が改善される、項目1~30のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目32)
前記植物が優良系統または優良株である、項目1~31のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目33)
前記植物が、除草剤抵抗性、昆虫または有害生物に対する抵抗性、病害抵抗性、改変脂肪酸代謝、および/または改変炭水化物代謝を提供する少なくとも1つのさらなるポリペプチドの発現をさらに含む、項目1~32のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目34)
発現ベクターであって、少なくとも1つの発現制御配列に作動可能に連結された、
PsbS、ZEP、およびVDE;
PsbSおよびZEP;または
ZEPおよびVDEをコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む、発現ベクター。
(項目35)
前記少なくとも1つの発現制御配列が、Rbcs1A、GAPA-1、およびFBA2からなる群から選択されるプロモーターを含む、項目34に記載の発現ベクター。
(項目36)
Rbcs1AプロモーターがZEPの発現を駆動し、GAPA-1プロモーターがPsbSの発現を駆動し、FBA2プロモーターがVDEの発現を駆動する、項目34に記載の発現ベクター。
(項目37)
前記発現ベクターがT-DNAである、項目34~36のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目38)
抗生物質抵抗性を提供するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、項目34~37のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目39)
発現制御配列ならびにPsbSポリペプチド、ZEPポリペプチド、およびVDEポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に隣接する左境界(LB)ドメインおよび右境界(RB)ドメインをさらに含む、項目34~38のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目40)
PsbSが配列番号1のヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが配列番号2のヌクレオチド配列にコードされ、VDEが配列番号3のヌクレオチド配列にコードされる、項目34~39のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目41)
PsbSが、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、VDEが、配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる、項目34~39のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目42)
PsbSが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、VDEが、配列番号3に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる、項目34~39のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目43)
PsbSが、配列番号4のアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5のアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6のアミノ酸配列を有する、項目34~39のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目44)
PsbSが、配列番号4に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6に少なくとも配列90%同一であるアミノ酸を有する、項目34~39のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目45)
PsbSが、配列番号4に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6に少なくとも配列70%同一であるアミノ酸を有する、項目34~39のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目46)
PsbSが、配列番号7の保存されたドメインを含み、ZEPが、配列番号8の保存されたドメインを含み、VDEが、配列番号9の保存されたドメインを含む、項目34~39のいずれか1項に記載の発現ベクター。
(項目47)
項目34~46のいずれか1項に記載の発現ベクターを含む細菌細胞。
(項目48)
項目34~46のいずれか1項に記載の発現ベクターを含むアグロバクテリウム細胞。
(項目49)
項目34~46のいずれか1項に記載の発現ベクターを含むトランスジェニック植物。
(項目50)
項目34~46のいずれか1項に記載の発現ベクターを含む種子。
(項目51)
項目50に記載の種子由来の子孫植物。
(項目52)
変動光条件下で植物の成長を増大させる方法であって、前記植物中でのPsbS、ZEP、およびVDEからなる群から選択される2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現を増大させる工程であって、それにより、コントロール植物と比較して前記2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む、方法。
(項目53)
変動光条件下で植物における光合成効率を増大させる方法であって、前記植物中でのPsbS、ZEP、およびVDEからなる群から選択される2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現を増大させる工程であって、それにより、コントロール植物と比較して前記2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む、方法。
(項目54)
変動光条件下で植物における光防御効率を改善する方法であって、前記植物中でのPsbS、ZEP、およびVDEからなる群から選択される2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現を増大させる工程であって、それにより、コントロール植物と比較して前記2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む、方法。
(項目55)
変動光条件下で植物における量子収率およびCO
2
固定を改善する方法であって、前記植物中でのPsbS、ZEP、およびVDEからなる群から選択される2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現を増大させる工程であって、それにより、コントロール植物と比較して前記2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む、方法。
(項目56)
植物における非光化学的消光(NPQ)の緩和速度を増大させる方法であって、植物中での
PsbS、ZEP、およびVDE;
PsbSおよびZEP;または
ZEPおよびVDEの発現を増大させる工程であって、それにより、コントロール植物と比較して2つまたはそれを超えるポリペプチドの発現が増大した植物が産生される、発現を増大させる工程を含む、方法。
(項目57)
PsbSおよびVDEの発現を増大させる工程を含む、項目52~55のいずれか1項に記載の方法。
(項目58)
PsbSおよびZEPの発現を増大させる工程を含む、項目52~56のいずれか1項に記載の方法。
(項目59)
ZEPおよびVDEの発現を増大させる工程を含む、項目52~56のいずれか1項に記載の方法。
(項目60)
PsbS、ZEP、およびVDEの発現を増大させる工程を含む、項目52~56のいずれか1項に記載の方法。
(項目61)
PsbS、ZEP、および/またはVDEの発現を、PsbS、ZEP、および/またはVDEをコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列の発現によって増大させる、項目52~60のいずれか1項に記載の方法。
(項目62)
PsbS、ZEP、および/またはVDEの発現を、PsbS、ZEP、および/またはVDEのプロモーターの改変によって増大させる、項目52~60のいずれか1項に記載の方法。
(項目63)
プロモーターをゲノム編集システムによって改変する、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記ゲノム編集システムがCRISPRである、項目63に記載の方法。
(項目65)
変動光条件下での成長特性を改善するための植物を選択する方法であって、
(a)植物集団を提供する工程;
(b)PsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかの活性を増大させるように前記植物を改変する工程;
(b)前記植物における変動光条件下での非光化学的消光(NPQ)レベルを検出する工程;
(c)前記植物における変動光条件下でのNPQレベルを、変動光条件下でのNPQのコントロールレベルと比較する工程;および
(d)前記植物を高光強度から低光強度へ移行した場合にNPQ緩和速度が増大した植物を選択する工程であって;それにより、変動光条件下での成長特性が改善された植物が選択される、選択する工程
を含む、方法。
(項目66)
前記NPQのコントロールレベルが、前記集団におけるNPQの最低レベル、前記集団におけるNPQの中程度のレベル、前記集団におけるNPQの平均レベル、およびコントロール植物におけるNPQレベルからなる群から選択される、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記植物を、変異原を用いてPsbS、ZEP、および/またはVDEにおける1つまたは複数の変異を誘導することによって改変する、項目65~66のいずれか1項に記載の方法。
(項目68)
前記変異原がエタンメチルスルホナート(EMS)である、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記植物を、トランスジェニック技術を使用して異種のPsbS、ZEP、および/またはVDEを導入することによって改変する、項目65~66のいずれか1項に記載の方法。
(項目70)
前記植物を、ゲノム編集システムを使用してPsbS、ZEP、および/またはVDEのプロモーターを改変することによって改変する、項目65~66のいずれか1項に記載の方法。
(項目71)
前記ゲノム編集システムがCRISPRである、項目70に記載の方法。
(項目72)
変動光条件下での成長特性の改善に関連する多型をスクリーニングする方法であって、
(a)植物集団を提供する工程;
(b)前記植物においてPsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかを制御および/またはコードするヌクレオチド配列を得る工程;
(c)前記植物においてPsbS、ZEP、およびVDEのうちのいずれかを制御および/またはコードするヌクレオチド配列内の1つまたは複数の多型を得る工程;
(d)前記植物における高光強度から低光強度への移行の際の非光化学的消光(NPQ)緩和速度を検出する工程;
(e)前記植物集団における多型のNPQ緩和速度との関連を決定するために統計解析を行う工程;および
(f)前記NPQ緩和速度と統計的に有意に関連する多型を選択する工程であって;それにより、変動光条件下での成長特性の改善に関連する多型が選択される、選択する工程
を含む、方法。
(項目73)
前記多型が一塩基多型(SNP)である、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記多型が、PsbS、ZEP、および/またはVDEのプロモーター内に存在する、項目72~73のいずれか1項に記載の方法。
(項目75)
前記多型を配列決定によって検出する、項目72~74のいずれか1項に記載の方法。
(項目76)
前記多型をゲル電気泳動によって検出する、項目72~74のいずれか1項に記載の方法。
(項目77)
前記多型を、変動光条件下での成長特性が改善されている植物を選択するための植物集団のスクリーニングのためにさらに使用する、項目72~76のいずれか1項に記載の方法。
(項目78)
前記多型を、変動光条件下での植物の成長特性を改善するためのPsbS、ZEP、および/またはVDEにおけるゲノム編集のための標的としてさらに使用する、項目72~76のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記成長特性の改善が、成長の改善、光合成効率の改善、光防御効率の改善、量子収量の改善、およびCO2固定の改善からなる群から選択される、項目65~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
植物におけるNPQを、クロロフィル蛍光の測定によって検出する、項目65~79のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
PsbSが、配列番号1のヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが、配列番号2のヌクレオチド配列にコードされ、VDEが、配列番号3のヌクレオチド配列にコードされる、項目52~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目82)
PsbSが、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、VDEが、配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる、項目52~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目83)
PsbSが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、ZEPが、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされ、VDEが、配列番号3に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列にコードされる、項目52~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目84)
PsbSが、配列番号4のアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5のアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6のアミノ酸配列を有する、項目52~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目85)
PsbSが、配列番号4に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、項目52~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
PsbSが、配列番号4に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し、ZEPが、配列番号5に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し、VDEが、配列番号6に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する、項目52~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目87)
PsbSが、配列番号7の保存されたドメインを含み、ZEPが、配列番号8の保存されたドメインを含み、VDEが、配列番号9の保存されたドメインを含む、項目52~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目88)
前記植物が、作物、モデル植物、単子葉の植物、双子葉の植物、ベンケイソウ型酸代謝(CAM)光合成植物、C3光合成植物、C4光合成植物、一年生植物、温室植物、園芸種の顕花植物、多年生植物、スイッチグラス植物、メイズ植物、バイオマス植物、またはサトウキビ植物である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目89)
前記植物が、スイッチグラス、ススキ、ウマゴヤシ、サトウモロコシ、穀実用モロコシ、サトウキビ、エネルギー用サトウキビ、エレファントグラス、メイズ、キャッサバ、ササゲ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、イネ、ダイズ、アブラヤシ、ベニバナ、ゴマ、タバコ、アマ、ワタ、ヒマワリ、カメリナ、Brassica napus、Brassica carinata、Brassica juncea、トウジンビエ、アワ、他の穀物、イネ、脂肪種子、野菜作物、飼料作物、工芸作物、木質作物、およびバイオマス作物からなる群から選択される、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目90)
前記植物がタバコ(Nicotiana tabacum)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目91)
前記植物がトウモロコシ(Zea mays)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目92)
前記植物がイネ(Oryza sativa)である、項目52~87のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目93)
前記植物がモロコシ(Sorghum bicolor)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目94)
前記植物がダイズ(Glycine max)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目95)
前記植物がササゲ(Vigna unguiculata)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目96)
前記植物がポプラ(Populus spp.)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
前記植物がユーカリ(Eucalyptus spp.)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目98)
前記植物がキャッサバ(Manihot esculenta)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目99)
前記植物がオオムギ(Hordeum vulgare)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目100)
前記植物がジャガイモ(Solanum tuberosum)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目101)
前記植物がサトウキビ(Saccharum spp.)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目102)
前記植物がアルファルファ(Medicago sativa)である、項目52~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
VDEの転写物レベルがコントロール植物と比較して3倍増大し、PsbSの転写物レベルがコントロール植物と比較して3倍増大し、ZEPの転写物レベルがコントロール植物と比較して8倍増大する、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目104)
VDEの転写物レベルがコントロール植物と比較して10倍増大し、PsbSの転写物レベルがコントロール植物と比較して3倍増大し、ZEPの転写物レベルがコントロール植物と比較して6倍増大する、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目105)
VDEの転写物レベルがコントロール植物と比較して4倍増大し、PsbSの転写物レベルがコントロール植物と比較して1.2倍増大し、ZEPの転写物レベルがコントロール植物と比較して7倍増大する、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目106)
VDEのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して16倍増大し、PsbSのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して2倍増大し、ZEPのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して80倍増大する、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目107)
VDEのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して30倍増大し、PsbSのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して4倍増大し、ZEPのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して74倍増大する、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目108)
VDEのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して47倍増大し、PsbSのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して3倍増大し、ZEPのタンパク質レベルがコントロール植物と比較して75倍増大する、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目109)
VDE、PsbSおよびZEPの間のコントロール植物と比較した転写物レベルの増大が、3:3:8、10:3:6、および4:1.2:7からなる群から選択される比を有する、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目110)
VDE、PsbSおよびZEPの間のコントロール植物と比較したタンパク質レベルの増大が、16:2:80、30:4:74、47:3:75からなる群から選択される比を有する、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目111)
コントロール植物と比較したVDEの転写物レベルの増大が約3倍から約10倍であり、コントロール植物と比較したPsbSの転写物レベルの増大が約1.2倍から約3倍であり、コントロール植物と比較したZEPの転写物レベルの増大が約6倍から約8倍である、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目112)
コントロール植物と比較したVDEのタンパク質レベルの増大が約16倍から約47倍であり、コントロール植物と比較したPsbSのタンパク質レベルの増大が約2倍から約4倍であり、コントロール植物と比較したZEPのタンパク質レベルの増大が約74倍から約80倍である、項目1~33のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物。
(項目113)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDEの転写物レベルを3倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるPsbSの転写物レベルを3倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるZEPの転写物レベルを8倍増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目114)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDEの転写物レベルを10倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるPsbSの転写物レベルを3倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるZEPの転写物レベルを6倍増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目115)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDEの転写物レベルを4倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるPsbSの転写物レベルを1.2倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるZEPの転写物レベルを7倍増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目116)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDEのタンパク質レベルを16倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるPsbSのタンパク質レベルを2倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるZEPのタンパク質レベルを80倍増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目117)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDEのタンパク質レベルを30倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるPsbSのタンパク質レベルを4倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるZEPのタンパク質レベルを74倍増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目118)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDEのタンパク質レベルを47倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるPsbSのタンパク質レベルを3倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるZEPのタンパク質レベルを75倍増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目119)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDE、PsbSおよびZEPの転写物レベルを3:3:8、10:3:6、および4:1.2:7からなる群から選択される比で増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目120)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDE、PsbSおよびZEPのタンパク質レベルを16:2:80、30:4:74、および47:3:75からなる群から選択される比で増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目121)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDEの転写物レベルを約3倍から約10倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるPsbSの転写物レベルを約1.2倍から約3倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるZEPの転写物レベルを約6倍から約8倍増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目122)
発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるVDEのタンパク質レベルを約16倍から約47倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるPsbSのタンパク質レベルを約2倍から約4倍増大させることを含み、発現を増大させることが、コントロール植物と比較して前記植物におけるZEPのタンパク質レベルを約74倍から約80倍増大させることを含む、項目52~64および81~102のいずれか1項に記載の方法。