JP7077778B2 - 地盤改良剤組成物及びその利用 - Google Patents

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Description

本明細書は、地盤改良剤組成物及びその利用に関する。
軟弱な地盤等を改良する薬剤として従来から地盤改良剤が知られており、掘削作業時の一時的な補強、建築構造物の地盤改良、地下鉄、道路又は鉄道トンネルなどの地下構造物の漏水防止(止水)、並びに液状化防止及び免震等を目的とした地盤改良などの幅広い用途で使用されている。
地盤改良剤としては、水ガラス系、アクリル系、ポリビニルアルコール系及びウレタン系等の各種薬剤が知られている。中でも、アクリル系の地盤改良剤は、アクリル系単量体及び重合開始剤等を含む組成物からなり、地盤への良好な浸透性を有するとともに、炭素-炭素結合からなる主鎖骨格による優れた耐久性を発揮することができる点において有用である。
特許文献1には、(メタ)アクリル酸の一価又は二価の金属塩、三価金属塩、酸化剤、還元力の異なる二種以上の還元剤及び水を含有する注入材用組成物が記載されている。特許文献2には、(メタ)アクリル酸の一価または二価の金属塩水溶液、アルミニウム水溶性塩の水溶液、並びに、重亜硫酸塩水溶液を必須とする(メタ)アクリル酸系薬液が開示されている。特許文献3には、(メタ)アクリル酸金属塩、前記(メタ)アクリル酸金属塩以外の多価金属塩化合物、酸化剤、特定の還元剤及び水を含有する地盤注入剤組成物が記載されている。
特開2001-241288号公報 特開2006-104795号公報 特開2016-130286号公報
こうした従来の地盤改良剤であっても、地盤によっては、かかる液剤の浸透性が十分でない場合があった。その結果、地盤改良剤の注入範囲の狭小化、注入圧力の上昇、注入速度の低下など、地盤改良の施工上の種々の問題を生じていた。さらに、浸透性が低いと、地盤改良のために設計上必要量の地盤改良剤を注入できなくなる場合もあった。
本明細書は、地盤への浸透性に優れる地盤改良剤を提供する。
本発明者らは、地盤改良剤の地盤への浸透性について種々検討したところ、地盤改良剤に用いる原材料又はその不純物等に由来する不溶性の微粒子が、地盤への浸透性に大きく影響しているということを見出した。すなわち、こうした微粒子が、地盤改良剤を地盤に注入した際の浸透経路の閉塞を引き起こす場合があるという知見を得た。さらに、本発明者らは、かかる微粒子の含有量等を制御することで、浸透経路の閉塞を効果的に改善して地盤への浸透性を向上させうるという知見をえた。本明細書は、これらの知見に基づき以下の手段を提供する。
[1]地盤改良剤組成物であって、
5μm以上の不溶性粒子の含有量が1000ppm以下である、組成物。
[2]ビニル系不飽和単量体又はその塩と、重合開始剤と、水と、を含有する、[1]に記載の組成物。
[3]さらに、多価金属塩化合物及びビニル系不飽和基を2以上有する単量体からなる群から選択される1種又は2種以上の架橋剤を含む、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記ビニル系不飽和単量体又はその塩並びに前記架橋剤の総量が、1質量%以上40質量%以下である、[3]に記載の組成物。
[5]地盤改良剤組成物のためのキットであって、
前記地盤改良剤組成物の調製時に5μm以上の不溶性粒子が1000ppm以下となるように前記地盤改良剤組成物の原材料を含む、キット。
[6]地盤改良剤組成物の製造方法であって、
前記地盤改良剤組成物及び/又はその原材料において、5μm以上の不溶性粒子の含有量を制限する、方法。
[7]前記地盤改良剤組成物中の前記不溶性粒子の含有量を1000ppm以下に制限する、[6]に記載の方法。
[8]地盤改良方法であって、
[1]~[4]のいずれかに記載の地盤改良剤組成物を地盤中で硬化させる工程、を備える、方法。
本明細書は、地盤改良剤組成物及びその利用等を提供する。本明細書に開示される地盤改良剤組成物(以下、単に、本組成物ともいう。)は、粒子径が5μm以上の不溶性粒子(以下、単に、本不溶性粒子ともいう。)の含有量を1000ppm以下とすることができる。こうすることで、本組成物の地盤への浸透性を十分に確保することができる。この結果、本組成物の注入圧力の上昇を抑制し、注入速度を十分に確保し、注入範囲を確保することができる。さらに、地盤改良のために設計上必要量の地盤改良剤を確実に注入することができる。
一般に、土壌は、該土壌を形成する土粒子の粒子径により区分され、粒子径の小さいものから順に粘土、シルト、砂分及びレキ(礫)分等に分類される。これらの内、一般に、地盤改良剤組成物が適用される土壌は、主にシルト、砂分及びレキ(礫)分等から構成され、これらの粒子径は5μm以上とされる。このような土壌に対しては、本不溶粒子の含有量を一定量以下に制限することで、適用地盤にかかわらず、地盤への浸透性を向上させることができる。
本明細書に開示されるキット及び本組成物の製造方法は、本組成物を容易に製造することができ、本明細書に開示される地盤改良方法は、本組成物を用いることで本組成物の地盤への良好な浸透性が得られるため、施工が容易で意図した地盤改良が可能となる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミドを意味する。
本明細書において、「地盤改良剤」とは、種々の目的のための地盤改良に用いる剤を包含する。ここで「地盤改良」は、例えば、漏水防止、止水、液状化抑制、地盤強化(補強)のほか、例えば、工法としては、山岳トンネル工法又はその補助工法(先受工法、各種補強工法)、地山固結工法、止水工法、注入固化処理工法(又は薬液注入工法)、ジェットグラウト工法等が挙げられる。
以下、本組成物及び本方法等の実施態様について詳細に説明する。
<地盤改良剤組成物>
本組成物は、本不溶性粒子の含有量を1000ppm以下とすることができる。本組成物は、後述するように、地盤改良剤として、ビニル系不飽和単量体又はその塩、重合開始剤及び水を含む液剤であって、液剤として地盤に注入され、浸透する。本不溶性粒子は、本組成物の地盤への浸透性を阻害し得る。以下、まず、不溶性粒子について説明し、その後、本組成物の成分について説明する。
<不溶性粒子>
不溶性粒子の由来、その材質は特に限定しない。本組成物、すなわち、後述するように水を含んで地盤に注入される液剤としての本組成物において、不溶性である粒子である。不溶性粒子は、例えば、本組成物を調製した際に不溶性粒子として観察される粒子である。不溶性粒子という形態を採る以上、本組成物の浸透性を阻害しうる。こうした不溶性粒子の由来は、特に限定するものではないが、例えば、原材料若しくは原材料中の不純物又は本組成物の製造工程に依拠するものと考えられる。
また、不溶性粒子の形状も特に限定するものではなく、球状、不定形状、薄片状等のいずれであってもよい。
本組成物は、本不溶性粒子、すなわち、粒子径が5μm以上の不溶性粒子がコントロールされている。本不溶性粒子を低減することは、概して、5μm以上の土粒子を含む地盤において有用である。以下に説明するように、地盤改良が実施される一般的な地盤は、5μm以上の土粒子を含んでいる。したがって、本組成物は、一般的な地盤において存在する可能性のある浸透経路を閉塞させにくいと考えられる。
地盤(地盤材料)は、地盤工学会による分類が定められている。以下の表に示すように、粒径によって、土粒子(粘土、シルト(以上細粒分)、細砂、中砂、粗砂(以上砂分)、細礫、中礫、粗礫(以上、礫分)(砂分と礫分とを合わせて粗粒分という。)及び石分が区分され、さらに、細粒分、砂分及び礫分の配合比によって、地盤材料が表記され分類される(地盤工学会 JGS 0051)。
Figure 0007077778000001
ほとんどの地盤は、細粒分、砂分及び礫分の混合物である。本組成物は、例えば、5μm以上の土粒子、すなわち、シルトを5%以上含む地盤に好適であり、また例えば、シルトを15%以上含む地盤、また例えば、シルトを50%以上含む地盤に好適である。
また、本組成物は、砂分を5%以上含む地盤に好適であり、また例えば、砂分を15%以上含む地盤、また例えば、砂分を50%以上含む地盤に好適である。
本組成物は、本不溶性粒子の含有量を1000ppm以下にコントロールされている。1000ppm以下にコントロールすることで、地盤改良のために十分な浸透性を確保できる。特に限定するものではないが、例えば、800ppm以下でもよいし、600ppm以下であってもよいし、400ppm以下であってもよいし、200ppm以下であってもよいし、100ppm以下であってもよい。かかるコントロールを実現するための方法は特に限定するものではないが、例えば、以下の方法によって前記含有量を測定し、当該測定に基づいてコントロールできる。
また、一つは、本組成物自体、あるいは、本組成物における原材料を1種又は2種以上を、保持粒子径が5μmであるろ紙を用いてろ過して、ろ過後のろ紙上の全残留分の質量を取得し、ろ過前の本組成物としての全質量に対するろ過後残留分質量の比率(ppm)を算出することで、コントロールすることができる。
ろ紙上の不溶性粒子質量の取得は、例えば、ろ過後のろ紙を、減圧下(0.01MPa)、100℃で乾燥して乾燥重量を測定して、当該乾燥重量からろ過前のろ紙質量(上記条件に基づく乾燥重量)の実測値を差分することで得ることができる。
ここで、保持粒子径は、ろ紙の規格の一つであり、JIS Z8901で規定された7種粉体分散水を自然ろ過した際、90%以上を保持できる粒子径である。かかるろ紙としては、商業的に入手が可能であり、特に限定するものではないが、例えば、ADVANTEC定性ろ紙、No.2(保持粒子径5μm、寸法110mm)などを用いることができる。
他の一つは、本組成物自体、あるいは、本組成物における原材料を1種又は2種以上を、粒子径として5μm以上をふるい分けできる篩装置(篩、電成ふるい、音波ふるいなど、特に限定するものではない。)によって篩過又は分級し、篩過後の全5μm以上分の質量を取得し、篩過前の本組成物としての全質量に対する篩過後5μm分質量の比率(ppm)を算出することで、コントロールすることができる。
他の一つは、本組成物自体、あるいは、本組成物における原材料を1種又は2種以上を、動的光散乱法による粒子径分布測定装置、レーザー回折式粒子径分布測定装置、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置等によって粒子径分布を測定し、質量基準で5μm以上の粒子量を算出することで、コントロールすることができる。
本明細書においては、第1には、ろ紙を用いる方法を用いて、本不溶性粒子の含有量を規定することが好適である。簡易にかつ適切に不溶性粒子含有量を測定できるからである。この方法を用いて本不溶性粒子を規定するとき、本組成物は、保持粒子径が5μmであるろ紙を用いて本組成物又はその全材料をろ過したとき、本不溶性粒子の含有量が1000ppm以下と規定できる。
また、ろ紙を用いる方法のほか、本組成物における本不溶性粒子の含有量を特定するには、1種又は2種以上の一部の原材料について前記不溶性粒子含有量を測定してそれを合算するよりも、本組成物自体について同含有量を測定することが、簡易性及び正確性の観点から好適である。
<ビニル系不飽和単量体又はその塩>
本組成物が含むビニル系不飽和単量体又はその塩におけるビニル系不飽和単量体は、イオン性単量体(アニオン性単量体又はカチオン性単量体)及び非イオン性単量体のいずれでもよく、これらを組み合わせて用いることもできる。なお、ビニル系不飽和単量体は、重合性の不飽和基を一つのみ備える単官能性単量体を意味する。
アニオン性単量体又はその塩としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸、無水イタコン酸及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体又はその塩若しくは無水物;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート硫酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、2-アクリロイルオキシアルキルホスホン酸等が挙げられる。特に限定するものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸又はその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸又はその塩を重合性、水への溶解性の観点から好ましく用いることができる。
また、アニオン性単量体の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩:カルシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ金属土類塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの単量体及びその塩は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。これらの金属塩のなかでも、カルシウム塩、マグネシウム塩等が、良好な強度と耐変形性を有するゲル物が得られる点から好ましい。
カチオン性単量体又はその塩としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの塩等の三級アミノ基含有化合物;(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩基含有化合物等を用いることができる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
非イオン性単量体又はその塩としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。非イオン性単量体としては、特に限定するものではないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロドキシエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体を、重合性、水への溶解性の観点から好ましく用いることができる。また、(メタ)アクリルアミドがより好ましい。
本組成物中のビニル系不飽和単量体又はその塩の濃度としては、特に限定するものではないが、例えば0.5質量%以上が好ましく、また例えば1.0質量%以上、また例えば2.0質量%以上、また例えば4.0質量%以上である。ビニル系不飽和単量体又はその塩の濃度が、0.5質量%以上であれば、得られる硬化物の強度が十分なものとなる。また、ビニル系不飽和単量体又はその塩の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、40質量%以下であり、また例えば、30質量%以下であり、また例えば、20質量%以下であり、また例えば、15質量%以下である。同濃度が40質量%以下であれば、地盤改良剤組成物の安定性を確保しやすい。
ビニル系不飽和単量体又はその塩の濃度の範囲は、これらの下限濃度及び上限濃度を組み合わせて設定することができるが、例えば、0.5質量%以上40質量%以下であり、また例えば、1.0質量%以上30質量%以下であり、2.0質量%以上15質量%以下とすることができる。なお、本組成物中におけるビニル系不飽和単量体又はその塩の濃度は、後述する架橋剤の濃度との総量によっても規定される。
<重合開始剤>
重合開始剤は、本組成物中のビニル系不飽和単量体又はその塩を重合させる等のために添加され、ビニル系不飽和単量体又はその塩に適用される各種公知の重合開始剤を用いることができる。例えば、可使時間、地盤注入後から硬化(ゲル化)までの硬化時間のコントロール等の観点から、アゾ開始剤、ペルオキソ二硫酸塩等の無機過酸化物、過カルボン酸類、ヒドロペルオキシド等の有機過酸化物などを用いることができる。無機過酸化物及び有機過酸化物である酸化剤を用いる場合には、適宜還元剤を併用することができる。
アゾ開始剤としては、例えば、概して、レドックス系開始剤より分解が遅く、可使時間が、例えば、数日単位程度まで確保することもできる。アゾ開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス〔2-(イミダゾリン-2-イル) プロパン〕、2,2’-アゾビス〔2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス〔2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、4,4’-アゾビス(4-シアノバレロ酸)などを挙げることができる。これら中でも、適度な可使時間を得やすい点から、2,2’-アゾビス〔2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン] 、2,2’-アゾビス〔2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン〕ジヒドロクロリドが好ましい。アゾ開始剤は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
無機過酸化物としては、特段の制限はなく、公知の無機過酸化物を使用することができる。例えば、過炭酸ソーダ、過ホウ酸ソーダ、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム及び過酸化水素等の過酸化物、並びに過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の無機過硫酸塩化合物が挙げられる。無機過酸化物は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
有機過酸化物は、地盤や土壌の性質、例えば、地盤・土壌中の酸化ケイ素化合物の存在やその量に基づくと考えられる土壌の粘土性及び/又は陽イオン交換容量に影響されずにビニル系不飽和単量体等の重合性単量体のラジカル重合・硬化を促進して、ゲル物の生成を促進することができる。
有機過酸化物は、ビニル系不飽和単量体のラジカル重合の重合開始剤として機能することができる。有機過酸化物は、地盤や土壌の性質、例えば、地盤・土壌中に溶解またはコロイド状態で存在する酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、その他の粘土鉱物及び/又は陽イオン交換容量に影響されずにビニル系不飽和単量体等の重合性単量体のラジカル重合・硬化を促進して、ゲル物の生成を促進することができる。
有機過酸化物は、特に限定するものではないが、本組成物の組成や使用環境を考慮すると、親水性が高いものであることが好ましい。当該観点からすると、例えば、全体として炭素数15以下である有機過酸化物を用いることができ、また例えば、炭素数10以下の有機過酸化物、また例えば、炭素数8以下の有機過酸化物を用いることができる。なお、有機過酸化物の炭素数は、また例えば2以上とすることができ、また例えば、3以上とすることができる。有機過酸化物の全体の炭素数の好適な範囲は、既述の上限及び下限を適宜組み合わせることで設定できるが、例えば、2以上10以下であり、また例えば、3以上8以下である。
また、有機過酸化物は、親水性であることが好ましいが、例えば、ケトンペルオキシド類、ヒドロペルオキシド類、過カルボン酸類、ジアシルペルオキシド類などは概して水溶解性が高い傾向がある。中でも、ヒドロペルオキシド類は、水溶解性が一層高い傾向がある。
有機過酸化物としては、例えば、ジアシルぺルオキシド、ぺルオキシジカーボネート、ぺルオキシエステル、テトラメチルブチルぺルオキシネオデカノエート、ビス(4-ブチルシクロヘキシル)ぺルオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)ぺルオキシカーボネート、ブチルぺルオキシネオデカノエート、ジプロピルぺルオキシジカーボネート、ジイソプロピルぺルオキシジカーボネート、ジエトキシエチルぺルオキシジカーボネート、ジエトキシヘキシルぺルオキシジカーボネート、ヘキシルぺルオキシジカーボネート、ジメトキシブチルぺルオキシジカーボネート、ビス(3-メトキシ-3-メトキシブチル)ぺルオキシジカーボネート、ジブチルぺルオキシジカーボネート、ジセチルぺルオキシジカーボネート、ジミリスチルぺルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルぺルオキシピバレート、ヘキシルぺルオキシピバレート、ブチルぺルオキシピバレート、トリメチルヘキサノイルぺルオキシド、ジメチルヒドロキシブチルぺルオキシネオデカノエート、アミルぺルオキシネオデカノエート、ブチルぺルオキシネオデカノエート、t-ブチルぺルオキシネオヘプタノエート、アミルぺルオキシピバレート、t-ブチルぺルオキシピバレート、t-アミルぺルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ラウリルぺルオキシド、ジラウロイルぺルオキシド、ジデカイルぺルオキシドの他、t-ブチルヒドロペルオキシド、p-クミルヒドロペルオキシド、t-アミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類、過酢酸および過安息香酸などの過カルボン酸類、メチルエチルケトンペルオキシドまたは過酸化ベンゾイル(ベンゾイルぺルオキシド)などが挙げられる。水溶解性の観点からは、t-ブチルヒドロペルオキシド、p-クミルヒドロペルオキシド、t-アミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類、メチルエチルケトンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類、過酢酸および過安息香酸などの過カルボン酸類、過酸化ベンゾイルなどのジアシルペルオキシド類が好ましい。有機過酸化物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(還元剤)
無機過酸化物及び有機過酸化物と併用できる還元剤としては、特段の制限はなく、公知の還元剤を使用することができる。具体的な化合物としては、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸カリウム等のチオ硫酸塩化合物、重亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩化合物、次亜リン酸ナトリウム及び次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸化合物、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸カリウム等の亜硫酸化合物、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(ロンガリット)などのヒドロキシメタンスルフィン酸塩、アスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸又はその塩、エリソルビン酸ナトリウムなどのエリソルビン酸又はその塩、第一鉄塩、二酸化チオ尿素、二硫化チオ尿素のほか、硫酸銅、並びに、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ジメチルアミノプロピオニトリル、ジメチルアミノプロパノール、ピペラジン及びモルホリン等のアミン類等が挙げられる。これらの還元剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の濃度や使用量は、ビニル系不飽和単量体又はその塩の種類及び濃度、架橋剤の種類及び濃度、pH、水温等の条件、硬化時間等の設定値を考慮し、本組成物の用途によって適宜選択すれば良い。また、レドックス系開始剤の場合には、酸化剤と還元剤の組み合わせも適宜選択することができる。
本組成物中における重合開始剤(還元剤を併用する場合は還元剤量は除く。)の濃度は、例えば、0.1mM以上200mM以下程度とすることができ、また例えば、1mM以上100mM以下であり、また例えば、1mM以上20mM以下である。また、還元剤を併用する場合の無機過酸化物及び有機過酸化物の本組成物における濃度は、例えば、0.1mM以上100mM以下程度とすることができ、また例えば、1mM以上100mM以下であり、また例えば、1mM以上20mM以下である。また、還元剤の本組成物における濃度は、例えば、1mM以上100mM以下程度とすることができ、また例えば、1mM以上40mM以下である。
<架橋剤>
本組成物は、多価金属塩化合物及びビニル系不飽和基を2以上有する単量体からなる群から選択される1種又は2種以上の架橋剤を含んでいてもよい。
(多価金属塩化合物)
多価金属塩化合物は、二価又は三価以上の多価金属塩化合物(以下、単に、本多価金属塩化合物ともいう。)である。本多価金属塩化合物は、ビニル系不飽和単量体の重合時に架橋剤として作用することができる。
本多価金属塩化合物に関し、二価の金属としては、特に限定するものではないが、例えば、マグネシウム、カルシウム及びバリウム等が挙げられる。三価以上の金属としては、特に限定するものではないが、アルミニウム、ジルコニウム、チタン及びセリウム等が挙げられる。これらのなかでも、ゲル物の強度を制御し易い点から三価の金属塩化合物が好ましい。
具体的な化合物としては、例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン、ナトリウムミョウバン、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)、ポリ硫酸塩化アルミニウム(塩基性硫酸塩化アルミニウム)、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウムなどのジルコニウム塩、塩化チタン及び硝酸セリウム等が挙げられ、これらの中でもアルミニウム塩及びジルコニウム塩がより好ましく、さらに好ましくはアルミニウム塩である。
本多価金属塩化合物としては、こうした金属塩1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本多価金属塩化合物は、塩基性塩であることが好ましい。塩基性塩であることで、架橋剤として作用するとともに、腐食抑制能を向上させることができる。
例えば、本多価金属塩化合物中、塩基性塩である多価金属塩化合物は以下の一般式(1)として表される。この一般式において、本多価金属化合物の塩基度(%)は、n1/(n1+n2×Bの価数)×100(%)で表される。
[Mm(OH)n1n2(1)
(ただし、Mは2価以上の金属を表し、Bは1種又は2種以上の塩基を表し、mは、1以上の整数、n1及びn2は、それぞれ0以上の数を表し、かつ、M、OH及びBについて化学量論的に整合する数を表し、lは1以上の整数を表す。)
ここで、本多価金属塩化合物として好適であるポリ塩化アルミニウムは、以下の式で表される。塩基度(%)は、n1/3×100(%)で表される。
[Al(OH)n1Cln2
(ただし、n2=3―n1である。)
本多価金属塩化合物は、その塩基度について特に限定するものではないが、例えば、45%以上であることが好ましい。塩基度が45%未満であると、改良地盤に存在する基材、地下配管及び杭などの腐食の抑制がしやすくなる傾向がある。また、架橋剤としての作用が低く、得られたゲル物の強度が十分高くならない場合がある。好適には、例えば、同50%以上であり、また例えば、同55%以上であり、また例えば、同60%以上であり、また例えば、同65%以上であり、また例えば、同70%以上である。また、塩基度は、90%以下であることが好適である。90%を越えると、概して多価金属塩化合物の安定性が低下して水溶性化合物として取得し難くなる。また、地盤中のアルカリなどにより析出して架橋剤としての機能が低下する場合もある。好適には、例えば、85%以下である。本多価金属塩化合物の塩基度の範囲は、特に限定するものではなく、これら既述の下限及び上限を適宜組み合わせることで設定することができるが、例えば、同45%以上90%以下であり、また例えば、同50%以上85%以下である。
本多価金属塩化合物の本組成物中の濃度は特に限定するものではない。本多価金属塩化合物が含む金属の酸化物、すなわち、本多価金属塩化合物に対応する金属酸化物に換算して(以下、本多価金属塩化合物の濃度については、当該換算を用いる。)、例えば、対応金属酸化物換算で0.5質量%以上10質量%以下であり、また例えば、1質量%以上8質量%以下である。
(ビニル系不飽和基を2以上有する単量体又はその塩)
ビニル系不飽和基を2以上有する単量体(以下、単に、本多価ビニル系不飽和単量体ともいう。)又はその塩は、水中で高分子化して安定したゲル物を形成し、その強度,寸法安定性及び耐久性を向上させることができる。
本多価ビニル系不飽和単量体としては、公知の2価以上のビニル系不飽和単量体を用いることができるが、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド及びヒドロキシエチレンビスアクリルアミド等の水溶性ジビニル単量体、並びにペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多官能アリルエーテル化合物が挙げられる。
本多価ビニル系不飽和単量体の塩としては、既に本ビニル系不飽和単量体について説明した各種の塩の態様を適用することができる。
本多価ビニル系不飽和単量体の本組成物中の濃度は特に限定するものではないが、例えば、0.5質量%以上10質量%以下であり、また例えば、1質量%以上8質量%以下である。
本ビニル系不飽和単量体及びその塩並びに架橋剤は、本組成物の硬化性成分であるが、この総量は、特に限定するものではないが、得られるゲル物の強度等を考慮すると、例えば、1質量%以上であることが好ましい。さらに好適なゲル物の強度等の観点からは、同総濃度は、2質量%以上であり、また例えば、3質量%以上であり、また例えば、4質量%以上であり、また例えば、5質量%以上であり、また例えば、6質量%以上である。特に限定するものではないが、同総濃度は、50質量%以下であることが好ましい。同総濃度は、また例えば、45質量%以下であり、また例えば、40質量%以下であり、また例えば、35質量%以下であり、また例えば、30質量%以下である。同総濃度が50質量%以下であれば、本組成物の浸透性も容易に確保することができる。同総濃度の範囲は、これらの下限及び上限をそれぞれ組み合わせて得られる各種濃度範囲とすることができるが、例えば、1質量%以上40質量%以下である。
<水>
本組成物は、水を含有している。本組成物は、水溶液又は懸濁液等の形態で地盤等に適用される。本組成物において水は、各種成分を溶解又は分散して、地盤へのこれらの成分の運搬媒体等として機能することができる。また、水は、可使時間等の調整剤として機能することもできる。なお、本組成物は、水の他に、上記した各種成分を溶解し分散する有機溶媒を、本組成物の効果を損なわない範囲で含むことができる。
本組成物中における水は、概して、本組成物中における本ビニル系不飽和単量体又はその塩、重合開始剤、さらに必要に応じて含まれる架橋剤及び後述するその他の成分を除く残分に相当する。本組成物中における濃度は、特に限定するものではないが、例えば、50質量%以上であり、また例えば、60質量%であり、また例えば70質量%以上であり、また例えば80質量%以上などとすることができる。
<その他の成分>
本組成物は、本組成物の効果を損なわない範囲で種々の成分を含むことができる。例えば、公知の水ガラス等の他の地盤改良剤を含むこともできる。また、4級アンモニウム塩、有機酸アミン塩、芳香族化合物、亜硝酸塩、アルコール、ヘキサメチレンテトラミンなどの公知の防錆剤、シリコーン系、鉱物油系、植物油系、高級アルコール系などの公知の消泡剤、公知の乳化剤及び公知の金属封止剤等から選択される1種又は2種以上を適宜含むことができる。
本組成物はまた、ゲル物の増量又は補強のために、必要に応じて骨材を配合することもできる。骨材としては、セメント、フライアッシュ、珪藻土、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、ベントナイト、パーライト、蛭石、高炉スラグ、石膏、珪砂、パルプ及び炭素粉等の粉体や各種繊維等を用いることができる。骨材は、使用量が多過ぎると、組成物の流動性やゲル物の曲げ強度を低減させる場合があるので、(メタ)アクリル酸金属塩の質量の10倍以下とするのが好ましい。組成物中に骨材が沈降する場合は、沈降防止剤等を併用することが好ましい。
<地盤改良剤組成物の製造方法>
本組成物の製造方法は、本組成物及び/又はその原材料について本不溶性粒子を制限する工程を備えることができる。かかる制限工程は、どのような態様であってもよい。例えば、本組成物について本不溶性粒子の含有量を制限する工程は、既述のろ過による方法によって本組成物をろ過する工程とすることができる。また、ろ過等による方法により、不溶性粒子の含有量を特定し、本不溶性粒子含有量が、例えば、予め設定された含有量を超える可能性がある場合には、本組成物をろ過するようにしてもよい。
また、原材料について、本不溶性粒子の含有量を制限する工程は、例えば、1種又は2種以上の原材料を水等に溶解して、例えば、既述のろ過による方法によって不溶性粒子を低減する工程とすることができる。また、本組成物の調製時に本不溶性粒子についての予め設定された含有量を超えないように、原材料から不溶性粒子を除去する工程を実施したり、同種の他の原材料に変更したり、原材料の製造方法を変更等したり、本組成物の調製時に原材料又は本組成物をろ過をするようにしたりすることなどにより、本不溶性粒子の含有量を制限することができる。
原材料について、本不溶性粒子の含有量を制限するとき、制限対象となる原材料は、例えば、ビニル系不飽和単量体又はその塩、重合開始剤であり、必要に応じて、水、架橋剤や既述のその他の成分が挙げられる。例えば、本製造方法においては、地盤改良剤組成物を得るための全原材料について、前記不溶性粒子の含有量を制限する工程を備えていてもよいし、本不溶性粒子を含む可能性のある1種又は2種以上の原材料についてのみ前記不溶性粒子の含有量を制限する工程を備えていてもよい。
原材料について本不溶性粒子の含有量を制限するとき、最終的に本組成物が調製されるときに本組成物中の本不溶性粒子が所定含有量以下となるように適宜設定される。また、制限対象となる原材料における粒子径が5μm以上の不溶性粒子の含有量は、本組成物に含まれるこれらの原材料の含有量や原材料について予め取得された可能性のある不溶性粒子量に応じて適宜設定される。
本製造方法は、より具体的には、本不溶性粒子の含有量を制限した原材料を準備し、それを用時混合して、本組成物を調製してもよい。また、本製造方法は、こうした制限がされたあるいはされていない原材料を準備し、それを用時混合後、ろ過等により不溶性粒子を低減等して本組成物を調製してもよい。用時調製時にろ過などして不溶性粒子を除去することで、確実に不溶性粒子を低減することができる。
なお、本製造方法においては、本不溶性粒子の含有量を本組成物において1000ppm以下にあるいは1000ppmとなるように設定することができる。なお、この設定値は、既に説明したように、1000ppmより少ない含有量に設定されていてもよい。
<地盤改良剤組成物のためのキット>
本明細書に開示されるキットは、地盤改良剤組成物のためのキットであって、前記地盤改良剤組成物の調製時に本不溶性粒子の含有量が1000ppm以下となるように構成される前記地盤改良剤組成物の原材料を含むことができる。かかるキットによれば、地盤改良の施行時に、地盤への浸透性の良好な地盤改良剤組成物を簡易に製造することができる。本キットは、例えば、既述のビニル系不飽和単量体又はその塩、重合開始剤のほか、水、既述の架橋剤及びその他の成分を適宜含むことができる。
本キットにおいては、最終的に本組成物が調製されたときに、本組成物における本不溶性粒子の含有量が1000ppm以下に構成されていればよく、制限対象たる原材料における本不溶性粒子含有量は特に限定されない。制限対象となる原材料は、例えば、既述の本組成物の製造方法において制限対象となる原材料とすることができる。
本キットは、ビニル系不飽和単量体又はその塩に対して重合開始剤が作用しない態様で分離して備えるキット態様を採ることができる。このような分離収容態様は、特に限定するものではないが、例えば、2以上の包装体に各種成分を分離してもよいし、あるいは2以上の区画や収納領域を有する一つの包装体等に各種成分を分離してもよい。
また、地盤注入時前に、本キットから本組成物を調製して、注入管を介して地盤に注入するようにしてもよいし、本キットの1又は2以上の成分を別個に注入管に注入して、注入管内で混合して本組成物を調製するようにしてもよい。
本キットにおける、ビニル系不飽和単量体、重合開始剤の含有量は特に限定するものでない。調製時に、各成分の所要量を計量するようにしてもよいし、予め本組成物として好適な濃度やpHとなるように計量されていてもよい。また、所要量を簡易に計量できるように、一定量ずつに小分けされていてもよい。
本キットにおいては、例えば、調製しようとする本組成物において意図する各成分の濃度となるように、各成分が予め計量等されていることが好ましい。
また、ビニル系不飽和単量体又はその塩、重合開始剤は、適宜水等で溶液としてもよいしそれ自体(粉末や液体等)であってもよい。各成分の取扱性、安定性、物性に応じて適宜選択される。
<地盤改良剤組成物のためのキットの製造方法>
本キットの製造方法は、前記地盤改良剤組成物の原材料について本不溶性粒子の含有量を制限する工程、を備えることができる。制限対象となる原材料は、本キットと同様であり、制限対象たる原材料における本不溶性粒子含有量は、特に限定されない。
本製造方法は、既に説明した、地盤改良剤組成物の製造方法において、最終的に本組成物を製造しない以外は、地盤改良剤組成物の原材料において本不溶性粒子の含有量を制限する工程と同様に実施できる。
<本組成物又は本キットの使用>
本組成物は、重合開始剤により重合反応が進行し、ゲル物を生じるものである。したがって、本組成物を、そのまま地盤に注入して地盤内でゲル化させるために使用することができる。また、本キットを用いて、必要に応じて水等を混合して用いて、本組成物を調製して使用する。本組成物によれば、地盤への浸透性が良好であるために、浸透が抑制されることによる種々の不都合(注入範囲の狭小化、注入圧力の上昇、注入速度の低下)を防止できる。さらに、地盤改良のために設計上必要量の地盤改良剤を確実に注入することができる。
<地盤改良方法>
本明細書に開示される地盤改良方法は、本組成物を地盤中で硬化させる工程、を備えることができる。本方法によれば、地盤への浸透性が良好であるので、必要量の地盤改良剤を必要なだけ地盤に注入することができるため、容易な施工で確実な地盤改良が可能となる。
本方法は、既述の各種の地盤改良に適用が可能である。具体的な工法としては、既に説明した各種工法が挙げられる。本方法における、本組成物の導入工程は、適用する用途や工法に応じた公知の態様で本組成物を地盤に注入することによって実施することができる。一般的には、ポンプ等によって、注入すべき1種又は2種以上の液体を、地盤内に配置した注入管を介して、別個にあるいは注入管内等で混合しつつ圧送することによって、地盤に導入する。
本方法は、注入固化工法(薬液注入工法)に好適である。注入固化工法(薬液注入工法)は、本組成物を砂地盤に浸透注入し、砂地盤の間隙に存在する水を注入剤に置換した後、注入剤がゲル化することにより砂地をバインディングすると共に漏水防止、止水、液状化防止及び地盤強化等の機能を奏する地盤改良工法である。比較的小規模な装置を用いて注入管から必要な箇所に薬液を注入し、固化させる工法であり、例えば、タンクや橋脚等の移動困難な既設構造物の直下の地盤の液状化対策に有効な地盤改良工法である。本組成物は、十分な又は適切なゲルタイムを確保することができるとともに、優れたゲル物強度を得ることができるため、注入固化工法(薬液注入工法)に適用した場合に優れた性能を発揮することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に
より限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り
質量部及び質量%を意味する。
<実施例1~3、比較例1~4>
水895gに、濃度35%のアクリル酸マグネシウム塩(AAMg)水溶液137g(4%)と架橋剤として濃度23%のポリ塩化アルミニウム104g(2%)を溶解した。この溶液にt-アミルハイドロパーオキシド(TAH)1.00g(8mM)、およびチオ硫酸ナトリウム1.52g(8mM)と水49gとの混合液を加えて実施例1の地盤改良剤組成物とした。
ここで、上記アクリル酸マグネシウム水溶液は、5μm以上の不溶性粒子の含有量が45000ppmであるアクリル酸マグネシウム水溶液(1)と5μm以上の不溶性粒子の含有量が400ppmであるアクリル酸マグネシウム水溶液(2)とを併用することにより、地盤改良剤組成物中の微粒粒子含有量を100ppmに調整した。なお、アクリル酸マグネシウム液(1)及び同(2)中の5μm以上の不溶性粒子含有量並びに組成物中の不溶性粒子含有量は、いずれも後述する方法で測定したものである。
<不溶性粒子含有量の測定>
アクリル酸マグネシウム水溶液及び地盤改良剤組成物中の不溶性粒子含有量の測定は以下のとおりとした。これらの試料の所定量を、ろ紙(ADVANTEC定性ろ紙、No.2(保持粒子径5μm、寸法110mm))でろ過した後、減圧下(0.01MPa)、100℃で乾燥して乾燥重量を測定して、当該乾燥重量からろ過前のろ紙質量(上記条件に基づく乾燥重量)の実測値を差分すること、前記試料中の不溶性粒子質量を取得し、当該質量をろ過に供した試料の質量で除することで、不溶性粒子含有量を算出した。
実施例2~3及び比較例1~4は、不溶性粒子含有量、ビニル系不飽和単量体、架橋剤及び重合開始剤等を以下の表1に示すとおりとなるように使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、各種の地盤改良剤組成物を調製した。これらの地盤改良剤組成物について以下の評価を行った。
<浸透性評価>
以下に示す条件で、塩化ビニル製パイプ管に土壌を充填し、実施例1~3及び比較例1~4の地盤改良剤組成物をそれぞれ浸透注入して、閉塞するまでの容量及び距離を計測した。実施例1~3及び比較例1~4の評価結果を、併せて表1に示す。
(1)充填土壌
名古屋市港区内の実地盤から土壌を採取し、120℃で土壌を乾燥させ、その後フルイで分取し1mm以下の粒径の砂を採取した。かかる砂は、500μm付近にピークを有する10~1000μmの粒子が混在した硅砂であった。
(2)塩化ビニル製パイプ管(内径:5cm、長さ:100cm)に乾燥した土壌2700g(充填長85cm)を充填し、管下部より水を浸透させ、水飽和地盤とし、さらに、下部より定量ポンプ(Cole-Parmer社製 Masterflexポンプ、型式7553-80)で地盤注入剤組成物を浸透させた。注入速度は20mL/minとした。
(3)注入速度が減少し、完全に注入が停止した時点を閉塞とし、その時の注入量を計測した。
Figure 0007077778000002
以下、表中の記載について補足する。
AAMg:アクリル酸マグネシウム
PAC83%:Al換算23%濃度のポリ塩化アルミニウム(塩基度83%)
TAH:t-アミルハイドロパーオキシド
Thio:チオ硫酸ナトリウム
表1に示すように、実施例1~3は、いずれも十分な浸透性を有することがわかった。これに対して、比較例1~4では、閉塞時注入量及び注入距離も格段に低下し、不溶性粒子含有量が増大するほど、その浸透性は顕著に低下した。これらの結果から、粒子径が5μm以上の不溶性粒子の含有量が1000ppm以下であれば、十分な浸透性を確保できることがわかった。
本組成物は、地盤への浸透性を確保することができる。このため、地盤液状化防止用等各種用途の地盤改良剤組成物として有用である。また、移動不可能な既設の構造物直下の地盤に対しては、注入固化工法(薬液注入工法)による本発明の地盤改良剤組成物の適用が有用である。

Claims (8)

  1. 地盤改良剤組成物であって、
    前記地盤改良剤組成物は、ビニル系不飽和単量体又はその塩の重合体によるゲル物により地盤を固化するための液剤であり、
    前記ビニル系不飽和単量体又はその塩と、重合開始剤と、水と、を含有し、
    5μm以上の不溶性粒子の含有量が1000ppm以下である、組成物。
  2. 前記不溶性粒子は、前記ビニル系不飽和単量体若しくはその塩又は重合開始剤に由来する、請求項1に記載の組成物。
  3. さらに、多価金属塩化合物及びビニル系不飽和基を2以上有する単量体からなる群から選択される1種又は2種以上の架橋剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記ビニル系不飽和単量体又はその塩並びに前記架橋剤の総量が、1質量%以上40質量%以下である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記地盤に浸透注入するための剤である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
  6. 地盤改良剤組成物のためのキットであって、
    前記地盤改良剤組成物は、ビニル系不飽和単量体又はその塩の重合体によるゲル物により地盤を固化するための液剤であり
    前記ビニル系不飽和単量体又はその塩と、重合開始剤と、水と、を備え、
    前記地盤改良剤組成物の調製時における5μm以上の不溶性粒子の含有量が1000ppm以下となるように前記地盤改良剤組成物の原材料を含む、キット。
  7. 地盤改良剤組成物の製造方法であって、
    前記地盤改良剤組成物は、ビニル系不飽和単量体又はその塩の重合体によるゲル物により地盤を固化するための液剤であり、
    前記ビニル系不飽和単量体又はその塩と、重合開始剤と、水と、を含有し、
    前記地盤改良剤組成物及び/又はその原材料において、前記地盤改良剤組成物の調製時における5μm以上の不溶性粒子の含有量が1000ppm以下になるように制限する、方法。
  8. 地盤改良方法であって、
    請求項1~のいずれかに記載の地盤改良剤組成物を地盤中で硬化させる工程、を備える、方法。
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