JP7077413B2 - 対流気象条件での最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度の評価方法 - Google Patents

対流気象条件での最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は航空交通管制の分野に属し、特に、対流気象条件での最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度の評価方法に関する。
アメリカの国家空域システムにおいては、天候による遅延が70%以上を占めている。天候による遅延においては、対流気象によるものが60%を占めている。このため、航空交通管制員にとっては、戦略的計画を立てたり戦術的措置を実施したりする場合、対流気象及びそれによる国家空域システムの運転への影響に対する予報は極めて肝心なものとなる。気象レーダは対流気象現象を観測する重要な気象設備であり、それからのレーダ反射率も対流気象現象の時空間特性を特徴付ける重要な気象データである。航路は基本の空域構造単位であり、一般に地理的位置(経度、緯度)の組からなる位置点列で示され、航空交通管制の運転において重要な役割を果たしている。航路の渋滞度(Route Blockage、RB)とは、悪天候からの影響で航路が航空交通に利用可能になる度合いを言い、対流気象での航路の利用可能性を評価する重要な指標となっている。悪天候属性としての航路の渋滞度は、主に対流気象の強度や時空間分布特性に影響されており、パイロット又は管制員の作業負荷による制限又はATMの運転状態には関係がないものである。航路の渋滞度は、天候による航空交通の運転への影響を判断する定量的な分析指標とすることができ、運転履歴データ又は特定の場面での航空交通容量に関連付けられて、遅延統計や容量予測等の策定において参照となる。また、航路の渋滞度によれば、航空交通管制員や航空会社のディスパッチにより対流気象条件での定期便の運転を細かく管理することも可能になる。このため、対流気象条件での航路の渋滞度に対する評価は非常に必要かつ重要なものとなる。
国内外の関連資料を調べたところ、対流気象条件について航路通抜け経路の複雑性と遭遇する気象の強度を総合的に考慮した、最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度の評価方法は見い出せなかった。
従来による高空又はターミナル空域での対流気象現象を定期便の運転への計量的制約に変換する評価方法は、航空機が空域を通り抜けている時の経路の複雑性を考慮しておらず、計量的な評価結果は人為的かつ主観的な判断にひどく干渉されてしまう等の短所がある。これに対して、本発明は、対流気象条件での最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度の評価方法を提供し、将来のロバスト性のより高く、天候情報の統合した航空交通管制のための策定支援ツールの実現を図っている。
本発明の方法は、
航路格子を区画するステップ1と、
航路での気象への回避確率を特定するステップ2と、
最適航路通抜け経路を構築するステップ3と、
航路の渋滞度を計算するステップ4と、
を含む。
ステップ1はステップ1-1とステップ1-2とを含み、
ステップ1-1では、航路セグメントの補間を行い、即ち、
既存のデジタル天気予報システムによる対流気象に関するレーダ反射率予報データの時間粒度に基づいて、飛行機の平均飛行速度に合わせて計算することで、航路セグメントの補間間隔Lが得られ、さらに、隣接する二つの航路点間のユークリッド距離Dに基づいて補間点個数Kを計算し、
Figure 0007077413000001
最後に、隣接する二つの航路点に対して順に線形補間を行って航路補間点の位置が得られ、それにより、航路補間点列が得られるようになり、
ステップ1-2では、航路セグメント輸送ボックスを構築して格子化させる。
ステップ1-1では、下式に従って隣接する二つの航路点間のユークリッド距離Dを計算し、
Figure 0007077413000002
ステップ1-1では、前記航路補間点の位置は、補間点と開始航路点との距離及び勾配に基づいて方程式を立ててから求められたものであり、具体的に計算すると、
1個目の航路点位置を(x,y)と記し、2個目の航路点位置を(x,y)と記し、x,yはそれぞれ1個目の航路点の経度と緯度を表し、1個目の航路点と2個目の航路点との間のk個目の航路補間点位置を(xk 1,2 ,yk 1,2 )と記し、k=1,2,...,K、ただし、xk 1,2はk個目の補間点の経度を表し、yk 1,2はk個目の補間点の緯度を表し、以下のように連立方程式を構築し、
Figure 0007077413000003
この連立方程式から航路補間点の位置が得られ、それにより、航路補間点列が得られるようになる。
ステップ1-2は以下のことを含み、即ち、
航路補間点列に基づいて二つの隣接する航路点の航路方位角(前の航路点に対する次の航路点の方位角)を順に計算し、そして前記航路方位角に垂直な二つの方位角を計算し、前記二つの隣接する航路点をそれぞれ始点として、航路方位角に垂直な二つの方位角の方向に沿って航路の両側外向きに航路幅の距離(例えば、20km)として拡張させることで、四つの位置点が得られる。前記四つの位置点を矩形の輸送ボックスの頂点とし、航路方向に平行なものを長さとし、航路方向に垂直なものを幅として矩形の輸送ボックスを構築し、前記矩形の輸送ボックスは航路セグメント輸送ボックスとなり、続いて、輸送ボックスの幅方向の辺の二つの頂点を補間始点・終点とし、対流気象の気象データの空間粒度を補間間隔としてステップ1-1の補間方法により航路セグメント輸送ボックスの幅方向の辺に対して補間処理を行う。航路セグメント輸送ボックスの二つの幅方向の辺における対応する補間点を順に接続させることで、航路セグメント輸送ボックスを格子化させて細かくし、航路セグメント輸送ボックス格子が得られる。
ステップ2はステップ2-1とステップ2-2とを含み、
ステップ2-1では、レーダ反射率を回避確率に変換し、評価開始時間と回避確率の時間粒度に基づいて、航路セグメント輸送ボックス毎に異なる時刻の格子化した回避確率値を配分し、
ステップ2-2では、輸送ボックス格子の回避確率を計算し、即ち、
航路セグメント輸送ボックス格子の二つの幅方向の辺の中点を補間始点・終点とし、回避確率分布の空間粒度を補間間隔としてステップ1-1の補間方法により、航路に平行な方向において各航路セグメント輸送ボックスの格子をさらに細かくすることで、輸送ボックスサブ格子が得られ、輸送ボックスサブ格子中心の座標位置に基づいて計算して、それより最も近い4つの気象格子点の回避確率値が得られ、下式のように、距離の逆数を重みとして4つの回避確率に対して加重和を求めるように計算することで、輸送ボックスサブ格子の回避確率が得られ、
Figure 0007077413000004
ただし、Probは輸送ボックスサブ格子の回避確率で、Wpは前記輸送ボックスサブ格子より最も近い4つの気象格子点中のi個目の点の回避確率値で、Dはi個目の点と輸送ボックスサブ格子との間の距離である。さらに、下式のように、航路セグメント輸送ボックス格子内のサブ格子毎の回避確率の平均値を取って輸送ボックス格子の回避確率とし、
Figure 0007077413000005
ただし、Pbは輸送ボックス格子の回避確率で、Nは輸送ボックス格子に含まれるサブ格子の総数で、Probはi個目のサブ格子の回避確率である。
ステップ3はステップ3-1~ステップ3-5を含み、
ステップ3-1では、候補渋滞しきい値を決定して初期化し、即ち、
輸送ボックス格子の回避確率値の分布に基づいて候補渋滞しきい値セットを決定して小さい順に並べ、最小候補渋滞しきい値は最小回避確率値となり、最大候補渋滞しきい値は最大回避確率値となり、そして、1段目から7段目までの0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0という7段の候補渋滞しきい値を設定し、最小候補渋滞しきい値を渋滞しきい値として初期化し、回避確率が渋滞しきい値よりも大きい輸送ボックス格子は渋滞格子として定義され、回避確率値が渋滞しきい値よりも小さい輸送ボックス格子は非渋滞格子として定義されるようになり、
ステップ3-2では、有向航路通抜けネットワークを構築し、即ち、
渋滞しきい値に基づいて各航路セグメント輸送ボックスを渋滞格子領域と非渋滞格子領域とに分割し、航路セグメント輸送ボックス毎における隣接する非渋滞格子を合わせてネットワークノードとし、航路方向に従ってネットワークノード列を生成し、格子ノードAはA[1,(3,4,5)]として表現され、ただし、Aは格子ノードの名称を表し、1は格子ノードAが所在する航路セグメント輸送ボックスの番号を表し、3,4,5は格子番号列であり、隣接する航路セグメント輸送ボックス中のネットワークノードは隣接するノードとして判定され、隣接するノードが一つ又は二つ以上の同じ格子番号を有する場合、隣接するノードは連通していると判定されながら、連通辺で接続されるようになり、その方向は前順航路セグメント輸送ボックスから後順航路セグメント輸送ボックスへの方向であり、連通辺の重みは隣接するノードの同じ格子番号の数であり、
ステップ3-3では、ネットワークの連通性を判別し、即ち、
最初の航路セグメント輸送ボックス中の格子ノードを開始ノードとし、最後の航路セグメント輸送ボックス中の格子ノードを葉ノードとし、深さ優先を原則として各開始ノードから連通経路を探索し始め、葉ノードまで到達可能な連通経路が見出されると、航路通抜けネットワークを連通したものと判定し、連通経路が存在しないと、航路通抜けネットワークを連通していないものと判定し、渋滞しきい値を1段階増加させて、ステップ3-2へ戻り、また、存在すると、航路通抜けネットワークは連通したものとされ、ステップ3-4へ進み、
ステップ3-4では、連通経路を探索し、即ち、
最初の航路セグメント輸送ボックス中の格子ノードを開始ノードとし、最後の航路セグメント輸送ボックス中の格子ノードを葉ノードとし、深さ優先を原則として航路通抜けネットワークから開始ノードより葉ノードまで到達可能な連通経路のすべてを探し出し、航路通抜けネットワークから探し出された連通経路は格子ノードと連通辺の重みとからなる列で表され、
ステップ3-5では、最適航路通抜け経路を選択し、即ち、
連通経路毎にその重み値の最も小さい連通辺を経路ネックとして定義し、前記最小重み値をネック値とする。連通辺に関する開始・終了ノードの格子番号に交叉集合が存在すると、スキップが存在しないと判定し、つまり、スキップ値が0となり、交叉集合が存在しないと、スキップが存在すると判定し、スキップ値が開始・終了ノード間の最小距離となり、
連通経路におけるすべての連通辺のスキップ値の和と最大総スキップ値との比は連通経路の複雑性を特徴付けており、
Figure 0007077413000006
と記され、ただし、Nは航路セグメント輸送ボックスの個数で、Mは一つの航路輸送ボックス中の格子の数で、mは連通経路におけるi個目の連通辺のスキップ値であり、i=1,2,...,N-1、そして、N個の輸送ボックスを有する航路セグメントに基づいて構築された連通経路の連通辺の数はN-1となる。
すべての連通経路からネック値の最も大きい経路を初期候補最適経路として選択し、そして初期候補最適経路から経路ネックの数の最も少ない経路を候補最適経路として選択し、最後に、候補最適経路から複雑性Complexityの最も低い経路を最適航路通抜け経路として選択する。
ステップ4はステップ4-1とステップ4-2とを含み、
ステップ4-1では、最適航路通抜け経路の渋滞度を計算し、即ち、
最適航路通抜け経路に対して経路ネックの個数と各経路ネックの中心位置を特定し、経路ネック毎にその渋滞度を順に計算し、最大の経路ネックの渋滞度と最適航路通抜け経路の複雑性Complexityを加算した結果を、最適航路通抜け経路の渋滞度とし、
ステップ4-2では、航路の渋滞度を特定し、即ち、
渋滞しきい値が1である場合、航路の渋滞度が1となり、渋滞しきい値が1ではない場合、最適航路通抜け経路毎にその渋滞度を計算し、その中から最大の最適航路通抜け経路の渋滞度を航路の渋滞度として選択する。
ステップ4-1では、経路ネックの渋滞度は以下のように計算されており、つまり、経路ネック両側の輸送ボックスから気象特性値が渋滞しきい値よりも大きいか等しい輸送ボックス格子を抽出し、各輸送ボックス格子の中心位置を特定し、輸送ボックス格子の中心と経路ネックの中心との間の縦距離の逆数を重みとして、経路ネック両側の輸送ボックスから抽出されたすべての格子の気象特性値に対して加重平均を行い、具体的には、下式に従って計算されており、
Figure 0007077413000007
式中、PBは経路の渋滞度で、Lは経路ネック左側の輸送ボックスで、Rは経路ネック右側の輸送ボックスで、iは経路ネック両側の輸送ボックスにおける気象特性値が渋滞しきい値よりも大きいか等しい輸送ボックス格子の標識で、wは輸送ボックス格子iの気象特性値で、dは輸送ボックス格子iの中心と経路ネックの中心との間の径方向距離である。
ステップ1では、対流気象に影響されている、若干の位置点列(二つよりも大きいか等しい)からなる航路セグメントについて、対流気象の強度を特徴付けるレーダ反射率データの時空間粒度と飛行機の平均飛行速度情報に基づいて、この航路セグメントにおける隣接する二つの航路点のすべてに対して補間処理を行い、空間粒度のより細かい新しい航路点列が得られる。新しい航路点列のもとに、航路幅と気象データの空間粒度に基づいて航路セグメントに対して矩形の輸送ボックスを構築しつつ、航路に平行な方向において輸送ボックス毎に格子を区画することで、対流気象に影響されている航路セグメントに対する格子区画が実現される。
ステップ2では、対流気象のレーダ反射率値の範囲に基づいて、格子化した反射率データを回避確率データに変換する。この回避確率データの空間粒度に基づいて、ステップ1で得られた航路セグメント格子を補間して細かくすることで、粒度のより細かい航路サブ格子が得られる。航路サブ格子周りの最も近い四つの気象格子の回避確率値に基づいて、距離の逆数を重みとして加重和を求めることで、航路サブ格子の回避確率が得られる。その上で、航路セグメント格子内の航路サブ格子毎の回避確率の平均値を取って航路セグメント格子の回避確率とする。
ステップ3では、回避確率値の分布に基づいて候補渋滞しきい値セットを決定して小さい順に並べる。最小候補しきい値は最小回避確率値となり、最大候補しきい値は最大回避確率値となり、最小候補渋滞しきい値を渋滞しきい値として初期化する。回避確率が渋滞しきい値よりも大きい航路格子は渋滞格子として定義され、回避確率値が渋滞しきい値よりも小さい航路格子は非渋滞格子として定義される。現在渋滞しきい値と航路の飛行方向に基づいて有向航路通抜けネットワークを構築して、ネットワークの連通性を判別する。ネットワークが連通していないものであるときには、現在渋滞しきい値をそれよりも大きい最小候補渋滞しきい値に更新しつつ、有向航路通抜けネットワークを改めて構築する。ネットワークが連通しているものであるときには、ネットワークにおけるすべての連通経路を探し出しつつ、経路における最も狭い箇所の幅と経路の複雑性に基づいて最適航路通抜け経路を選択する。
ステップ4では、渋滞しきい値が1であるか否かを判断する。1である場合、航路の渋滞度が1となる。1ではない場合、評価待ち航路に基づいて構築されたすべての最適通抜け経路の渋滞度を順に計算し、その中から最大の最適通抜け経路の渋滞度を航路の渋滞度として選択する。
本発明は、指定されたタイムスライスにおいて航路に沿ってある空域を通り抜ける航空機が受ける対流気象からの影響の度合いを評価することを旨とし、対流気象による航空交通管制の運転への影響に対する計量的な評価方法に関し、航空交通管制の分野に属する。最初に、対流気象に影響されている、若干の位置点列(二つよりも大きいか等しい)からなる航路セグメントについて、対流気象の強度を特徴付けるレーダ反射率データの時空間粒度と飛行機の平均飛行速度情報に基づいて、この航路セグメントにおける隣接する二つの航路点のすべてに対して補間処理を行い、粒度のより細かい新しい航路点列が得られる。新しい航路点列のもとに、航路幅と気象データの空間粒度に基づいて航路セグメントに対して矩形の輸送ボックスを構築しつつ、航路に平行な方向において輸送ボックス毎に格子を区画することで、対流気象に影響されている航路セグメントに対する格子区画が実現される。続いて、対流気象を構築するレーダ反射率と回避確率マップに基づいて、格子化したレーダ反射率データを格子化した回避確率データに変換する。格子化した気象データの空間粒度に基づいて、航路セグメント格子をさらに補間して粒度のより細かい航路サブ格子とする。航路サブ格子周りの最も近い四つの気象格子点の回避確率値を抽出し、距離の逆数を重みとして加重和を求めることで、航路サブ格子の回避確率が得られる。その上で、航路セグメント格子内のサブ格子毎の回避確率の平均値を取って航路セグメント格子の回避確率とする。次に、回避確率値の分布に基づいて候補渋滞しきい値セットを決定して小さい順に並べ、最小候補渋滞しきい値を渋滞しきい値として初期化する。回避確率が渋滞しきい値よりも大きい航路格子は渋滞格子として定義され、回避確率値が渋滞しきい値よりも小さい航路格子は非渋滞格子として定義される。現在渋滞しきい値と航路の飛行方向に基づいて有向航路通抜けネットワークを構築して、ネットワークの連通性を判別する。ネットワークが連通していないものであるときには、現在渋滞しきい値をそれよりも大きい最小候補渋滞しきい値に更新しつつ、有向航路通抜けネットワークを改めて構築する。ネットワークが連通しているものであるときには、ネットワークにおけるすべての連通経路を探し出しつつ、経路における最も狭い箇所の幅と経路の複雑性に基づいて最適航路通抜け経路を選択する。最後に、渋滞しきい値が1であるか否かを判断する。1である場合、航路の渋滞度が1となる。1ではない場合、航路に基づいて構築されたすべての最適通抜け経路の渋滞度を順に計算し、その中から最大の最適航路通抜け経路の渋滞度を航路の渋滞度として選択する。
従来方法では、航空機が航路に沿って飛行している場合において対流気象を回避するために出来る飛行経路の複雑性と対流気象の動的変化を考慮していない一方、多くの人為的かつ主観的な判断を組み込まなければいけず、対流気象による航路交通流への影響の度合いに対する判断に偏差が発生し得る等の短所がある。これに対して、本発明は、航跡向けの、最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度(Route Blockage、RB)の評価方法を独創的に提案したが、航空機が空域を通り抜けている場合に遭遇する天候の強度と通抜け経路の複雑性という特性を総合的に考慮し、気象回避しきい値を自律的に決定し、航跡に向けて構築された最適航路通抜け経路のもとに対流気象による航路渋滞の度合いを計算し、対流気象による定期便の運転への影響を計量的に評価している。具体的には、本発明による効果は、主に1)航路セグメント中の各輸送ボックスの格子に付与される回避確率は航空機が対応する輸送ボックスを通過する時の空域の気象特性により決まり、渋滞度の評価結果は細かいかつ具体的な定期便の運転管理に適合することと、2)異なる候補渋滞しきい値により定義される分割空域を低い順に走査する連通性に基づいて渋滞しきい値を自律的に決定することで、人為的かつ主観的な判断による干渉が低減され、計量的な評価結果の一致性とロバスト性が向上することと、3)航空機が航路に沿って通り抜ける経路の複雑性と遭遇する気象の強度を踏まえて、渋滞しきい値に基づいて確立される有向ネットワーク図から最適航路通抜け経路を選択し、それに基づいて航路の渋滞度を計算することで、対流気象による定期便の運転への制約と影響に対する計量的な評価の客観性と正確性が改善されることとして表現されている。
従来の方法に比べて、本発明は、航空機が空域を通り抜けている場合に遭遇する最悪の対流気象の強度と通抜け経路の複雑性という特性を総合的に考慮し、気象回避しきい値を自律的に決定することで、人為的かつ主観的な判断による評価結果への干渉が回避され、また、航跡に向けて構築された最適航路通抜け経路のもとに対流気象による航路渋滞の度合いを計算することで、対流気象による定期便の運転への影響に対する計量的な評価の正確性とロバスト性が向上しているという顕著な利点がある。具体的には、主に1)航路セグメント中の各輸送ボックスの格子に付与される回避確率は航空機が対応する輸送ボックスを通過する時の空域の気象特性により決まり、渋滞度の評価結果は細かいかつ具体的な定期便の運転管理に適合することと、2)異なる候補渋滞しきい値により定義される分割空域を低い順に走査する連通性に基づいて渋滞しきい値を自律的に決定することで、人為的かつ主観的な判断による干渉が低減され、計量的な評価結果の一致性とロバスト性が向上することと、3)航空機が航路に沿って通り抜ける経路の複雑性と遭遇する気象の強度を踏まえて、渋滞しきい値に基づいて確立される有向ネットワーク図から最適航路通抜け経路を選択し、それに基づいて航路の渋滞度を計算することで、対流気象による定期便の運転への制約と影響に対する計量的な評価の客観性と正確性が改善されることとして表現されている。
以下、図面と具体的な実施形態に合わせて本発明をさらに具体的に説明し、本発明による上記の又は他の利点はより明らかになろう。
対流気象条件での最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度の評価方法の詳細フローチャートである。 航路セグメントの格子区画の模式図である。 航路セグメントでの気象への回避確率の特定の模式図である。 航路セグメントの最適通抜け経路の構築の模式図である。
以下、図面及び実施例に合わせて本発明をさらに説明する。
本発明は主に航路格子を区画することと、航路での気象への回避確率を特定することと、最適航路通抜け経路を構築することと、航路の渋滞度を計算することの4つの部分から構成される。その上で、本発明をより細かくした詳細フローは図1に示されるように具体的なステップを示している。
ステップ1-1 航路セグメントの補間
対流気象に関するレーダ反射率データの時間粒度に基づいて、飛行機の平均飛行速度に合わせて航路セグメントの補間間隔Lを計算し(例えば、気象データの時間粒度が6minで、飛行機の平均飛行速度が200m/sである場合、補間間隔Lが72kmとなる)、さらに、隣接する二つの航路点間のユークリッド距離
Figure 0007077413000008

最後に、隣接する二つの航路点に対して順に線形補間を行って、より細かい航路補間点列が得られる。補間点位置は補間点と開始航路点との距離及び勾配に基づいて方程式を立てから求められたものであり、具体的な計算方法を例示すれば、以下のとおりになる。
例えば、1個目の航路点を(x,y)と記し、2個目の航路点を(x,y)と記し、1個目の航路点と2個目の航路点との間のk個目の補間点を(xk 1,2 ,yk 1,2 )と記し、k=1,2,...,K、ただし、xは経度を表し、yは緯度を表し、以下のように連立方程式を構築する。
Figure 0007077413000009
ステップ1-2 航路セグメント輸送ボックスの構築と格子化
図2に示されるように、ステップ1-1で得られた新航路点列に基づいて、それぞれ二つの隣接する航路点間の距離を長さとし、航路幅(例えば、20km)を幅として、航路に垂直な方向において航路の両側外向きに拡張させることで、矩形の輸送ボックスを構築する。続いて、対流気象の気象データの空間粒度(例えば、3km)を補間間隔として、航路セグメントに垂直な方向において輸送ボックスを格子化させて細かくすることで、格子化した輸送ボックスが得られる。
ステップ2-1 レーダ反射率の回避確率への変換
レーダ反射率は対流気象の強度特性を反映しているものであり、反射率値が大きいほど、対流気象が激しくなるとともに、それに対する航空機の回避確率はその分高くなる。そのため、経験のもとに対流気象条件でのレーダ反射率データの値の範囲に基づいて、異なる時刻の格子化したレーダ反射率データを対応する回避確率データに変換する。具体的な変換関係は表1に示されている。
Figure 0007077413000010
次に、評価開始時間と先に得られた回避確率の時間粒度に基づいて、輸送ボックス毎に異なる時刻の格子化した回避確率値を配分する。例えば、評価開始時間が13:00、回避確率の時間粒度が6min、評価待ち航路セグメントが5つの輸送ボックスに区画される場合、航行方向において各輸送ボックスの回避確率に対応する時刻は、それぞれ、13:00、13:06、13:12、13:18及び13:24となる。
ステップ2-2 輸送ボックス格子の回避確率の計算
図3に示されるように、回避確率分布の空間粒度(例えば、3km)を補間間隔としてステップ1-1の方法により、航路に平行な方向において輸送ボックスの格子毎にさらに細かくすることで、輸送ボックスサブ格子が得られる。サブ格子中心の座標位置に基づいて計算して、それより最も近い4つの気象格子点の回避確率値が得られ、距離の逆数を重みとして4つの回避確率に対して加重和を求めるように計算することで、輸送ボックスサブ格子の回避確率が得られる。その上で、輸送ボックス格子内のサブ格子毎の回避確率の平均値を取って輸送ボックス格子の回避確率とする。
ステップ3-1 候補渋滞しきい値の決定と初期化
回避確率値の分布に基づいて候補渋滞しきい値セットを決定して小さい順に並べ、最小候補渋滞しきい値は最小回避確率値となり、最大候補渋滞しきい値は最大回避確率値となる。レーダ反射率と回避確率マップ中の回避確率の分布に基づいて、(0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0)という7段階の候補渋滞しきい値を設定し、最小候補渋滞しきい値を渋滞しきい値として初期化する。回避確率が渋滞しきい値よりも大きい航路格子は渋滞格子として定義され、回避確率値が渋滞しきい値よりも小さい航路格子は非渋滞格子として定義される。
ステップ3-2 有向航路通抜けネットワークの構築
図4に示されるように、渋滞しきい値に基づいて各輸送ボックスを渋滞格子領域と非渋滞格子領域に分割する。輸送ボックス毎における隣接する非渋滞格子を合わせてネットワークノード(ノードと略称)とし、航路方向に従ってノード列を生成する。ノードは、ノードの名称[所在するボックスの番号,(格子番号列)]として表現され、例えば、図4中のノードAはA[1,(3,4,5)]として表現されるようになる。隣接する輸送ボックス中のノードは隣接するノードとされる。隣接するノードは一つ又は複数の同じ格子番号を有すると、隣接するノードは連通していると判定されながら、連通辺で接続されるようになり、その方向は前順輸送ボックスから後順輸送ボックスへの方向であり、連通辺の重みは隣接するノードの同じ格子番号の数である。
ステップ3-3 ネットワークの連通性の判別
最初の輸送ボックス中のノードを開始ノードとし、最後の輸送ボックス中のノードを葉ノードとして、深さ優先のアルゴリズムに従って航路通抜けネットワークから開始ノードより葉ノードまで到達可能な連通経路を探索する。連通経路が存在しない場合、航路通抜けネットワークは連通していないものとされ、渋滞しきい値を1段階増加させて、ステップ3-2へ戻る。存在する場合、航路通抜けネットワークは連通したものとされ、ステップ3-4へ進む。
ステップ3-4 連通経路の探索
最初の輸送ボックス中のノードを開始ノードとし、最後の輸送ボックス中のノードを葉ノードとして、深さ優先のアルゴリズムに従って航路通抜けネットワークから開始ノードより葉ノードまで到達可能な連通経路のすべてを探し出す。航路通抜けネットワークから探し出された連通経路はノードと連通辺の重みとからなる列で表され、図4の例では、3つの連通経路はそれぞれ{A,2,C,2,E,1,G}、{A,2,C,2,E,1,H}及び{B,2,D,1,F,1,H}であり、経路毎の字母はノードを表し、数字はその左右の二つの隣接するノードの連通辺の重みを表す。
ステップ3-5 最適航路通抜け経路の選択
連通経路毎にその重み値の最も小さい連通辺を経路ネックとして定義し(ネックと略称)、この重み値をネック値とする(ネック値は一意的なものであるが、ネックの数は一意ではないものとなる可能性があり、一つの経路に複数のネックがある可能性がある)。連通辺に関する開始・終了ノードの格子番号に交叉集合が存在する場合、スキップが存在しないとされ、つまり、スキップ値が0となり、交叉集合が存在しない場合、スキップが存在するとされ、スキップ値が開始・終了ノード間の最小距離となる。連通経路におけるすべての連通辺のスキップ値の和と最大総スキップ値との比は連通経路の複雑性を特徴付けており、
Figure 0007077413000011
と記され、ただし、Nは航路セグメント輸送ボックスの個数で、航路輸送ボックス毎の格子の数はMで、連通経路中のi個目の連通辺のスキップ値はmであり、i=1,2,...,N-1(N個の輸送ボックスを有する航路セグメントに基づいて構築された連通経路の連通辺の数はN-1である)。
最初に、すべての連通経路からネック値の最も大きい経路を候補最適経路セットとして選択し、さらにネックの数の最も少ない経路を候補最適経路セットとして選択し、最後に複雑性の最も低い経路を最適航路通抜け経路として選択する。図4の例では、ネック値の最も大きくネックの数の最も少ない経路は{A,2,C,2,E,1,G}と{A,2,C,2,E,1,H}であり、さらに、経路の複雑性はそれぞれ1/44と0として計算されたため、最適航路通抜け経路は{A,2,C,2,E,1,H}となる。
ステップ4-1 最適航路通抜け経路の渋滞度の計算
最適航路通抜け経路に対して「ネック」の個数と各「ネック」の中心位置を特定し、「ネック」毎にその渋滞度を順に計算し、最大の「ネック」の渋滞度と最適航路通抜け経路の複雑性を加算した結果を、最適航路通抜け経路の渋滞度とする。「ネック」の渋滞度の計算方法としては、「ネック」両側の渋滞ボックスにおける気象特性値が渋滞しきい値よりも大きいか等しい(>=)サブ格子を抽出して各サブ格子の中心位置を特定し、サブ格子の中心と「ネック」の中心との間の縦距離の逆数を重みとして「ネック」両側の渋滞ボックスから抽出されたすべての格子の気象特性値に対して加重平均を行う。図4中の最適航路通抜け経路{A,3,C,3,E,1,G}の例では、渋滞度の計算において、まずネック渋滞度を計算して、
[(1/2)*0.8+1*0.7+(1/2)*0.8+(1/3)*0.7+(1/4)*0.8+(1/5)*0.8+(1/6)*0.7+(1/7)*0.9+(1/8)*0.9+(1/9)*0.8+(1/10)*0.8]/[(1/2)+1+(1/2)+(1/3)+(1/4)+(1/5)+(1/6)+(1/7)+(1/8)+(1/9)+(1/10)]=0.764となり、そして最適航路通抜け経路の複雑性を計算してComplexity=0となり、最後に最適航路通抜け経路の渋滞度を計算してblockage=0.764+0=0.764となる。
ステップ4-2 航路の渋滞度の特定
渋滞しきい値が1ではないと、最適航路通抜け経路毎に最適経路の渋滞度を計算し、その中から最大の最適航路通抜け経路の渋滞度を航路の渋滞度として選択する。図4の例では、最適航路通抜け経路{A,3,C,3,E,1,G}と{A,3,C,3,E,1,H}は渋滞度がそれぞれ0.764と0.768であるため、航路の渋滞度は0.768となる。渋滞しきい値が1である場合、航路の渋滞度が1となる。航路の渋滞度の値は対流気象による航路への影響の度合いに対する計量的な指標であり、後続の航空交通流量管理の策定のための重要な根拠となる。
本発明は対流気象条件での最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度の評価方法を提供したが、その具体的な実現方法や手段が多く、上記は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとっては、本発明の原理から逸脱することなく若干の改良や添削を行うこともでき、それらも本発明の保護範囲にあるものと見なすべきであることは了解されたい。本実施例において明らかにされていない各構成部分はいずれも従来技術により実現可能なものである。

Claims (3)

  1. 航路格子を区画するステップ1と、
    航路での気象への回避確率を特定するステップ2と、
    最適航路通抜け経路を構築するステップ3と、
    航路の渋滞度を計算するステップ4と、を含み、ステップ1からステップ4をコンピュータにより実行し、
    ステップ1はステップ1-1とステップ1-2とを含み、
    ステップ1-1では、航路セグメントの補間を行い、即ち、
    対流気象に関するレーダ反射率予報データの時間粒度に基づいて、飛行機の平均飛行速度に合わせて計算することで、航路セグメントの補間間隔Lが得られ、さらに、隣接する二つの航路点間のユークリッド距離Dに基づいて補間点個数Kを計算し、
    Figure 0007077413000012
    最後に、隣接する二つの航路点に対して順に線形補間を行って航路補間点の位置が得られ、それにより、航路補間点列が得られるようになり、
    ステップ1-2では、航路セグメント輸送ボックスを構築して格子化させることを特徴とし、
    ステップ1-1では、下式に従って隣接する二つの航路点間のユークリッド距離Dを計算し、
    Figure 0007077413000013
    ことを特徴とし、
    ステップ1-1では、前記航路補間点の位置は、補間点と開始航路点との距離及び勾配に基づいて方程式を立ててから求められたものであり、具体的に計算すると、
    1個目の航路点位置を(x ,y )と記し、2個目の航路点位置を(x ,y )と記し、x ,y はそれぞれ1個目の航路点の経度と緯度を表し、1個目の航路点と2個目の航路点との間のk個目の航路補間点位置を(x k 1,2 ,y k 1,2 )と記し、k=1,2,...,K、ただし、x k 1,2 はk個目の補間点の経度を表し、y k 1,2 はk個目の補間点の緯度を表し、以下のように連立方程式を構築し、
    Figure 0007077413000014
    この連立方程式から航路補間点の位置が得られ、それにより、航路補間点列が得られるようになることを特徴とし、
    ステップ1-2は以下のことを含み、即ち、
    航路補間点列に基づいて二つの隣接する航路点の航路方位角を順に計算し、そして前記航路方位角に垂直な二つの方位角を計算し、前記二つの隣接する航路点をそれぞれ始点として、航路方位角に垂直な二つの方位角の方向に沿って航路の両側外向きに航路幅の距離として拡張させることで、四つの位置点が得られ、また、前記四つの位置点を矩形の輸送ボックスの頂点とし、航路方向に平行なものを長さとし、航路方向に垂直なものを幅として矩形の輸送ボックスを構築し、前記矩形の輸送ボックスは航路セグメント輸送ボックスとなり、続いて、航路セグメント輸送ボックスの幅方向の辺の二つの頂点を補間始点・終点とし、対流気象の気象データの空間粒度を補間間隔としてステップ1-1の補間方法により航路セグメント輸送ボックスの幅方向の辺に対して補間処理を行い、そして、航路セグメント輸送ボックスの二つの幅方向の辺における対応する補間点を順に接続させることで、航路セグメント輸送ボックスを格子化させて細かくし、航路セグメント輸送ボックス格子が得られることを特徴とし、
    ステップ2はステップ2-1とステップ2-2とを含み、
    ステップ2-1では、レーダ反射率を回避確率に変換し、評価開始時間と回避確率の時間粒度に基づいて、航路セグメント輸送ボックス毎に異なる時刻の格子化した回避確率値を配分し、
    ステップ2-2では、輸送ボックス格子の回避確率を計算し、即ち、
    航路セグメント輸送ボックス格子の二つの幅方向の辺の中点を補間始点・終点とし、回避確率分布の空間粒度を補間間隔としてステップ1-1の補間方法により、航路に平行な方向において航路セグメント輸送ボックスの格子毎にさらに細かくすることで、輸送ボックスサブ格子が得られ、輸送ボックスサブ格子中心の座標位置に基づいて計算して、それより最も近い4つの気象格子点の回避確率値が得られ、下式のように、距離の逆数を重みとして4つの回避確率に対して加重和を求めるように計算することで、輸送ボックスサブ格子の回避確率が得られ、
    Figure 0007077413000015
    ただし、Probは輸送ボックスサブ格子の回避確率で、Wp は前記輸送ボックスサブ格子より最も近い4つの気象格子点中のi個目の点の回避確率値で、D はi個目の点と輸送ボックスサブ格子との間の距離であり、
    さらに、下式のように、航路セグメント輸送ボックス格子内のサブ格子毎の回避確率の平均値を取って輸送ボックス格子の回避確率とし、
    Figure 0007077413000016
    ただし、Pbは輸送ボックス格子の回避確率で、Nは輸送ボックス格子に含まれるサブ格子の総数で、Prob はi個目のサブ格子の回避確率であることを特徴とし、
    ステップ3はステップ3-1~ステップ3-5を含み、
    ステップ3-1では、候補渋滞しきい値を決定して初期化し、即ち、
    輸送ボックス格子の回避確率値の分布に基づいて候補渋滞しきい値セットを決定して小さい順に並べ、最小候補渋滞しきい値は最小回避確率値となり、最大候補渋滞しきい値は最大回避確率値となり、そして、1段目から7段目までの0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0という7段の候補渋滞しきい値を設定し、最小候補渋滞しきい値を渋滞しきい値として初期化し、回避確率が渋滞しきい値よりも大きい輸送ボックス格子は渋滞格子として定義され、回避確率値が渋滞しきい値よりも小さい輸送ボックス格子は非渋滞格子として定義されるようになり、
    ステップ3-2では、有向航路通抜けネットワークを構築し、即ち、
    渋滞しきい値に基づいて各航路セグメント輸送ボックスを渋滞格子領域と非渋滞格子領域とに分割し、航路セグメント輸送ボックス毎における隣接する非渋滞格子を合わせてネットワークノードとし、航路方向に従ってネットワークノード列を生成し、格子ノードAはA[1,(3,4,5)]として表現され、ただし、Aは格子ノードの名称を表し、1は格子ノードAが所在する航路セグメント輸送ボックスの番号を表し、3,4,5は格子番号列であり、隣接する航路セグメント輸送ボックス中のネットワークノードは隣接するノードとして判定され、隣接するノードが一つ又は二つ以上の同じ格子番号を有する場合、隣接するノードは連通していると判定されながら、連通辺で接続されるようになり、その方向は前順航路セグメント輸送ボックスから後順航路セグメント輸送ボックスへの方向であり、連通辺の重みは隣接するノードの同じ格子番号の数であり、
    ステップ3-3では、ネットワークの連通性を判別し、即ち、
    最初の航路セグメント輸送ボックス中の格子ノードを開始ノードとし、最後の航路セグメント輸送ボックス中の格子ノードを葉ノードとし、深さ優先を原則として各開始ノードから連通経路を探索し始め、葉ノードまで到達可能な連通経路が見い出されると、航路通抜けネットワークを連通したものと判定し、連通経路が存在しない場合、航路通抜けネットワークを連通していないものと判定し、渋滞しきい値を1段階増加させて、ステップ3-2へ戻り、また、存在する場合、航路通抜けネットワークは連通したものとされ、ステップ3-4へ進み、
    ステップ3-4では、連通経路を探索し、即ち、
    最初の航路セグメント輸送ボックス中の格子ノードを開始ノードとし、最後の航路セグメント輸送ボックス中の格子ノードを葉ノードとし、深さ優先を原則として航路通抜けネットワークから開始ノードより葉ノードまで到達可能な連通経路のすべてを探し出し、航路通抜けネットワークから探し出された連通経路は格子ノードと連通辺の重みとからなる列で表され、
    ステップ3-5では、最適航路通抜け経路を選択し、即ち、
    連通経路毎にその重み値の最も小さい連通辺を経路ネックとして定義し、前記最小重み値をネック値とし、連通辺に関する開始・終了ノードの格子番号に交叉集合が存在すると、スキップが存在しないと判定し、つまり、スキップ値が0となり、交叉集合が存在しないと、スキップが存在すると判定し、スキップ値が開始・終了ノード間の最小距離となり、
    連通経路におけるすべての連通辺のスキップ値の和と最大総スキップ値との比は連通経路の複雑性を特徴付けており、
    Figure 0007077413000017
    と記され、ただし、Nは航路セグメント輸送ボックスの個数で、Mは一つの航路輸送ボックス中の格子の数で、m は連通経路におけるi個目の連通辺のスキップ値であり、i=1,2,...,N-1、そして、N個の輸送ボックスを有する航路セグメントに基づいて構築された連通経路の連通辺の数はN-1となり、
    すべての連通経路からネック値の最も大きい経路を初期候補最適経路として選択し、そして初期候補最適経路から経路ネックの数の最も少ない経路を候補最適経路として選択し、最後に、候補最適経路から複雑性Complexityの最も低い経路を最適航路通抜け経路として選択することを特徴とする、対流気象条件での最適通抜け経路に基づく航路の渋滞度の評価方法。
  2. ステップ4はステップ4-1とステップ4-2とを含み、
    ステップ4-1では、最適航路通抜け経路の渋滞度を計算し、即ち、
    最適航路通抜け経路に対して経路ネックの個数と各経路ネックの中心位置を特定し、経路ネック毎にその渋滞度を順に計算し、最大の経路ネックの渋滞度と最適航路通抜け経路の複雑性Complexityを加算した結果を、最適航路通抜け経路の渋滞度とし、
    ステップ4-2では、航路の渋滞度を特定し、即ち、
    渋滞しきい値が1である場合、航路の渋滞度が1となり、渋滞しきい値が1ではない場合、最適航路通抜け経路毎にその渋滞度を計算し、その中から最大の最適航路通抜け経路の渋滞度を航路の渋滞度として選択することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ4-1では、経路ネックの渋滞度は以下のように計算されており、つまり、経路ネック両側の輸送ボックスから気象特性値が渋滞しきい値よりも大きいか等しい輸送ボックス格子を抽出し、各輸送ボックス格子の中心位置を特定し、輸送ボックス格子の中心と経路ネックの中心との間の縦距離の逆数を重みとして、経路ネック両側の輸送ボックスから抽出されたすべての輸送ボックス格子の気象特性値に対して加重平均を行い、具体的には、下式に従って計算されており、
    Figure 0007077413000018
    式中、PBは経路の渋滞度で、Lは経路ネック左側の輸送ボックスで、Rは経路ネック右側の輸送ボックスで、iは経路ネック両側の輸送ボックスにおける気象特性値が渋滞しきい値よりも大きいか等しい輸送ボックス格子の標識で、w は輸送ボックス格子iの気象特性値で、d は輸送ボックス格子iの中心と経路ネックの中心との間の径方向距離であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
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