まず、本発明が前提とする光学安全システムの概略構成について、図1及び図2を用いて以下に説明する。
<光学安全システム1> 図1は、本発明の実施の形態による安全スキャナ10を含む光学安全システム1の一構成例を示したシステム図である。この光学安全システム1は、保護エリア内の侵入物を検知して検知信号を出力する安全スキャナ10と、安全スキャナ用の設定データを生成する設定支援装置20とにより構成される。安全スキャナ10及び設定支援装置20は、通信ケーブル2を介して互いに接続されている。
検知信号は、工作機械、産業用ロボット等の機械を緊急停止させるための安全制御信号である。この検知信号は、機械を制御する安全制御機器(図示せず)、例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)へ出力される。検知信号の出力状態をオフ状態に切り替えることにより、安全制御機器が制御対象とする機械の動作を停止させることができる。
保護エリアは、侵入物検知の監視対象とするエリアである。例えば、工作機械や産業用ロボットの作業エリア、搬送車両の移動エリアなど、機械設備周辺の領域が保護エリアとして指定される。
安全スキャナ10は、保護エリア内の侵入物を光学的に検知する光走査型のセーフティセンサであり、表示ユニット11及び計測ユニット12により構成される。表示ユニット11は、ユーザ操作を受け付け、動作状態、設定データ等を表示するユーザインターフェースユニットであり、通信ケーブル2の接続口、安全制御信号の出力ポート等が設けられる。
計測ユニット12は、検出エリアに対し、検出光を投光し、検出エリア内の対象物からの反射光を受光して侵入物を検知するセンサヘッドユニットである。検出エリアは、計測ユニット12により検出可能な最大のエリアで
ある。保護エリアは、検出エリア内において指定される領域である。計測ユニット12には、回転軸を中心として検出光を周方向に走査させる回転光学系、検出エリアを撮影してカメラ画像を生成するカメラ等が設けられる。
安全スキャナ10には、保護エリア以外に警告エリアを設定することができる。安全スキャナ10は、警告エリア内の侵入物を検知すれば、補助出力信号を出力し、表示灯の点灯等によりユーザ報知を行う。
例えば、計測ユニット12は、水平な床面等に設置される。表示ユニット11は、OSSD(Output Signal Switching Device)を有し、保護エリア内に侵入物が存在していない状態では、OSSDがオン状態になり、オン状態の検知信号が出力される。一方、保護エリア内に侵入物が存在している状態では、OSSDがオフ状態になり、オフ状態の検知信号が出力される。
設定支援装置20は、ディスプレイ21、キーボード22及びマウス23を備えた情報処理端末、例えば、パーソナルコンピュータである。例えば、設定支援装置20では、保護エリアや計測条件を指定するための設定データが作成される。設定データには、保護エリアを指定するエリア指定情報と、計測条件を指定する計測設定情報とが含まれる。また、設定支援装置20では、安全スキャナ10から測距情報やカメラ画像を取得してディスプレイ21に表示する動作が行われる。
<安全スキャナ10> 図2は、図1の安全スキャナ10の構成例を示した図であり、表示ユニット11を計測ユニット12から分離させることができる分離型のセーフティセンサが示されている。図中には、安全スキャナ10を前方から見た場合が示されている。表示ユニット11及び計測ユニット12は、図示しない配線ケーブルを介して互いに接続される。この表示ユニット11には、同時に2以上の計測ユニット12を接続することができる。
計測ユニット12のスキャナ筐体120は、検出光を水平方向に向けて出射するとともに検出光を水平なスキャン面3に沿って走査させる回転光学系を収容する筐体であり、回転光学系の収容部には、回転光学系を保護するための保護カバー121が装着されている。スキャン面3は、回転光学系の回転軸に直交する平面である。
検出光には、例えば、赤外線領域の波長を有するレーザー光が用いられる。検出光は、一定の走査周期で繰返し走査される。スキャナ筐体120には、2つの固定カメラ122及び123と、検知信号の出力状態を表示するインジケータ124とが配設されている。固定カメラ122,123及びインジケータ124は、回転光学系の収容部よりも上側に配置されている。
固定カメラ122及び123は、いずれも検出エリアを撮影してカメラ画像を生成する撮像装置であり、互いに向きを異ならせて配置される。固定カメラ122は、計測ユニット12に向かう方向から見れば、インジケータ124よりも左側に配置されている。一方、固定カメラ123は、計測ユニット12に向かう方向から見れば、インジケータ124よりも右側に配置されている。つまり、固定カメラ122及び123は、回転光学系の回転軸に対し、周方向の位置を異ならせて配置され、固定カメラ122が、計測ユニット12から見て前後方向よりも右側の領域を画角内に収めるカメラであるのに対し、固定カメラ123は、計測ユニット12から見て前後方向よりも左側の領域を画角内に収めるカメラである。固定カメラ122及び123は、スキャン面3よりも上側に配置されるため、スキャン面3を俯瞰するカメラ画像を得ることができる。
固定カメラ122及び123は、好ましくは、保護エリアだけでなく保護エリアの周辺も撮影する。或いは、固定カメラ122及び123は、さらに好ましくは、警告エリアとして設定可能な領域とその周辺とを撮影する。
インジケータ124は、検知信号の出力状態や動作状態を表示する表示灯である。このインジケータ124は、検知信号の出力状態に応じて異なる表示色で点灯する。例えば、インジケータ124は、OSSDがオフ状態である場合に赤色で点灯し、OSSDがオン状態である場合に緑色で点灯する。
表示ユニット11は、計測ユニット12の上面に配置される。表示ユニット11の表示筐体110には、表示パネル111、インジケータ112及び操作キー113~116が配設されている。
表示パネル111は、動作状態、測距情報、カメラ画像、設定データ等を画面表示する表示装置である。例えば、表示パネル111は、LCD(液晶ディスプレイ)パネルである。インジケータ112は、動作状態、検知信号の出力状態等を表示するための表示灯である。表示ユニット11は、計測ユニット12との通信を行い、計測ユニット12から離間した位置にあっても、動作状態や侵入物の検知履歴を確認することができる。
次に、本発明による安全スキャナ10のさらに詳細な構成について、図3~図15を用いて以下に説明する。
<計測ユニット12> 図3は、図2の計測ユニット12内の機能構成の一例を示したブロック図である。この計測ユニット12は、投光制御部30、投光光源部31、走査部32、ロータリーエンコーダ33、受光部34、距離算出部35、測距部36、侵入検知部37、入出力ポート38、エリア指定情報記憶部39、スキャン画像生成部40、固定カメラ122及び123により構成される。
投光光源部31は、LD(レーザダイオード)又はLED(発光ダイオード)などの発光素子からなり、検出光を生成する。投光制御部30は、投光光源部31を制御し、パルス状の検出光を一定の時間間隔で発生させる。走査部32は、検出光を対象物に向けて出射するとともに、回転軸を中心として検出光を周方向に走査させる回転光学系と、回転軸を中心として回転光学系を回転させる駆動部とにより構成される。例えば、走査部32の回転光学系は、検出光を対象物に向けて反射する投光ミラーと、対象物からの反射光を入射させる受光レンズと、受光レンズを透過した反射光を受光素子に向けて反射する受光ミラーとにより構成される。
受光部34は、PD(フォトダイオード)などの受光素子からなり、対象物からの反射光を受光して受光信号を生成する。ロータリーエンコーダ33は、回転光学系の回転を検出し、パルス繰り返し間隔が回転速度に対応するパルス信号を生成する回転検出装置である。投光制御部30は、ロータリーエンコーダ33のパルス信号に基づいて、投光光源部31を制御し、検出光の投光タイミングを調整する。例えば、走査部32の回転光学系が360°/1000だけ回転するごとに、検出光が出射される。
距離算出部35は、受光部34からの受光信号に基づいて、対象物までの距離を求める。この距離算出部35は、TOF(Time Of Flight:飛行時間)方式で距離計測を行う計測部であり、受光信号の受光タイミングをロータリーエンコーダ33のパルス信号のタイミングを基準に計時し、検出光を投光したときから当該検出光に対応する反射光が受光されるまでの遅延時間を特定することにより、対象物までの距離を検出距離として算出する。測距部36は、距離算出部35により求められた検出距離と検出光の走査角とに対応する測距情報を求める。
侵入検知部37は、測距部36の測距情報に基づいて、保護エリア内の侵入物を検知し、検知信号を出力する。検出光の走査角は、ロータリーエンコーダ33のパルス信号に基づいて、特定される。また、侵入物が保護エリア内に存在するか否かは、検出距離と検出光の走査角とから侵入物の2次元位置を特定し、保護エリアの位置情報と照合することによって判別される。検知信号は、入出力ポート38を介して表示ユニット11へ送信される。
また、侵入検知部37は、測距部36の測距情報に基づいて、警告エリア内の侵入物を検知し、警告エリア内の侵入物を検知した場合に、ユーザ報知を行う。警告エリアは、侵入物検知の監視対象とするエリアであり、検出エリア内において指定される。ユーザ報知は、例えば、保護エリア内の侵入物を検知した場合とは異なる表示態様で、インジケータ112を点灯させることによって行われる。
入出力ポート38は、表示ユニット11との通信を行う通信インターフェース部であり、表示ユニット11から設定データを受信する一方、動作状態、測距情報、検知信号、スキャン画像及びカメラ画像を表示ユニット11へ送信する。エリア指定情報記憶部39には、保護エリアや警告エリアを指定するエリア指定情報が保持される。エリア指定情報は、保護エリア又は警告エリアの2次元位置を示す位置情報からなり、入出力ポート38を介して表示ユニット11から取得される。
スキャン画像生成部40は、測距部36の測距情報に基づいて、スキャン画像を生成する。スキャン画像は、検出光の走査周期内において得られる複数の測距情報が2次元表示された画像であり、各測距情報は、その走査角及び検出距離によって特定されるスキャン面3上の測距位置として示される。スキャン面3は、走査部32の回転光学系の回転軸と直交する平面である。例えば、スキャン画像は、反射光の受光時に取得された測距情報に基づいて作成される動画像であり、検出光の走査周期に同期して更新される。
スキャン画像と、固定カメラ122及び123により撮影されたカメラ画像とは、入出力ポート38を介して表示ユニット11へ送信される。侵入検知部37は、検知された侵入物の位置(検知位置)と検知された時刻(検知時刻)とからなる検知情報を表示ユニット11へ送信する。例えば、検知時刻には、主電源が投入されてからの運転時間を用いることができる。
なお、1台の表示ユニット11に対して1台の計測ユニット12が接続される安全スキャナ10の例を示したが、1台の表示ユニット11に対して複数台の計測ユニット12を接続することが可能な構成であっても良い。この場合、表示ユニット11のOSSDは、対象となる全ての計測ユニット12が、各々の保護エリアにおいてOSSDをオン状態とすべき状態と確認した場合に、OSSDがオン状態となり、その他の場合にはOSSDがオフ状態となる。スキャン画像生成部40を計測ユニット12に設けることにより、スキャン画像生成処理の負荷を分散させることができる。
<表示ユニット11> 図4は、図2の表示ユニット11内の機能構成の一例を示したブロック図である。この表示ユニット11は、操作部50、制御部51、入出力ポート52、表示部53、外部通信ポート54、外部出力ポート55、バッファ56、不揮発メモリ57及び記憶装置58により構成される。
入出力ポート52は、計測ユニット12との通信を行う通信インターフェース部であり、エリア指定情報を含む設定データを計測ユニット12へ送信する一方、計測ユニット12から動作状態、測距情報、検知信号、スキャン画像及びカメラ画像を受信する。
外部通信ポート54は、設定支援装置20との通信を行う通信インターフェース部であり、設定支援装置20から設定データを受信する一方、動作状態、測距情報、スキャン画像及びカメラ画像を設定支援装置20へ送信する。外部出力ポート55は、OSSDの出力信号(オン状態又はオフ状態)を検知信号(安全制御信号)として安全制御機器へ出力するインターフェース部である。なお、外部出力ポート55は、安全制御機器との双方向の通信によって、OSSDの出力信号(オン状態又はオフ状態)を検知信号(安全制御信号)として安全制御機器へ送信するような構成であっても良い。
操作部50は、操作キー113~116の押下操作に基づいて、操作信号を生成し、制御部51へ出力する。表示部53は、表示パネル111及びインジケータ112を駆動し、設定データ、動作状態、測距情報、スキャン画像及びカメラ画像を表示パネル111に表示し、動作状態をインジケータ112
に表示する。
この表示部53は、検知信号の出力状態、スキャン画像又はカメラ画像をモニタ画面に表示する監視画像表示手段である。表示部53は、保護エリア又は警告エリアをスキャン画像上に表示する。また、操作部50が、操作キー113~116の操作による切替指示を受け付ければ、表示部53は、その切替指示に基づいて、スキャン画像及びカメラ画像間で表示画像を切り替える。また、表示部53は、複数の測距位置をカメラ画像上に表示する。
制御部51は、入出力ポート52を介して計測ユニット12から、測距情報、スキャン画像及びカメラ画像を取得し、バッファ56内に格納する。制御部51は、バッファ56内に蓄積されたデータが一定量を超えれば、最も古いデータに上書きして新たなデータを格納する。バッファ56は、安全スキャナ10に内蔵された一時記録用の揮発性記憶素子である。
また、制御部51は、計測ユニット12から侵入物の検知情報を取得し、この検知情報に基づいて検知履歴を生成する。検知履歴は、検知された侵入物の位置(検知位置)と、侵入物が検知された時刻(検知時刻)と、当該検知時刻に対応する監視画像とからなり、これらの検知情報が検知履歴として互いに関連づけて記憶される。
検知履歴として記録される監視画像には、検知時刻の直前又は直後に取得された静止画像と、検知時刻が取得期間に含まれる動画像とがある。例えば、動画像は、検知時刻を中心として取得され、一定の時間長からなる。また、これらの監視画像には、固定カメラ122及び123により撮影されたカメラ画像と、スキャン画像生成部40により生成されたスキャン画像とが用いられる。
例えば、静止画像又は動画像のいずれを検知履歴として記録するのか、或いは、カメラ画像又はスキャン画像のいずれを検知履歴として記録するのかは、ユーザが任意に選択することができる。動画像からなる監視画像を検知履歴として記録することにより、検知時刻前後の様子が識別し易い。一方、静止画像からなる監視画像を検知履歴として記録することにより、不揮発メモリ57に保存可能な検知履歴の数を増やすことができる。
不揮発メモリ57は、安全スキャナ10に内蔵された不揮発性の記憶素子である。不揮発メモリ57には、制御部51により作成された検知履歴とが保持される。この不揮発メモリ57は、検知位置、検知時刻、及び、検知時刻に対応する監視画像を互いに関連づけ、検知履歴として記憶する検知履歴記憶手段である。検知履歴として記憶されたスキャン画像を確認することにより、検知時刻の前後における周辺の状況を容易に識別することができる。制御部51は、領域設定や設定バンクが変更されれば、対応する検知履歴を消去する。
なお、スキャン画像を検知履歴として記録するのに代えて、検知時刻に対応する走査周期内に得られた複数の測距情報を検知履歴として記録し、検知履歴を表示する際に、検知履歴として記録された複数の測距情報からスキャン画像を作成して表示するような構成であっても良い。
また、検知信号(OSSD)に関連する情報の他に、警告関連情報を検知履歴として併せて記録するような構成であっても良い。警告関連情報は、所定の検知イベントが発生した場合に、警告のためのユーザ報知を行う動作に関連して記録される情報であり、検知イベントの発生時刻、検知イベントの内容、警告要因等が検知履歴として記録される。
検知イベントには、受光部34からの受光信号に基づく外乱光の検知、受光部34からの受光信号に基づく高反射体の検知、保護カバー121の汚れの検知、安全スキャナ10の出力線が過電流となったことの検知、警告エリア内の物体の検知等がある。なお、検知履歴として記録される警告関連情報には、検知イベントの発生時刻に対応する監視画像(静止画像又は動画像)を含むような構成であっても良い。また、監視画像からなる警告関連情報を検知履歴として記録するか否かをユーザが任意に選択することができるように構成しても良い。
記憶装置58は、不揮発性の記憶素子からなり、表示ユニット11に対して着脱可能に装着される。記憶装置58には、設定支援装置20から取得した設定データが保持される。なお、検知履歴を記憶装置58に保持するような構成であっても良い。
制御部51は、外部機器、すなわち、設定支援装置20からの履歴要求に基づいて、不揮発メモリ57から検知履歴を読み出し、外部通信ポート54を介して設定支援装置20へ送信する。なお、スキャン画像生成部40が、計測ユニット12に設けられる安全スキャナ10の例を示したが、これに代えて、スキャン画像生成部40を表示ユニット11に設けるような構成であっても良い。或いは、スキャン画像生成部40を表示ユニット11及び計測ユニット12にそれぞれ設けるような構成であっても良い。この場合、計測ユニット12と表示ユニット11との間でスキャン画像を送受信する代わりに、測距情報を送受信することになり、通信速度が遅い場合であっても、スキャン画像の表示が容易となる。
この制御部51は、入出力ポート52が、侵入物検知による取込信号を受信すれば、その取込信号に基づいて、バッファ56内のスキャン画像を読み出し、不揮発メモリ57内に履歴情報として格納する。履歴情報として記憶されるスキャン画像は、取込信号の受信時刻が取得期間に含まれるスキャン画像(動画像)である。
また、制御部51は、操作部50が、操作キー113~116の操作による取込信号を受信すれば、その取込信号に基づいて、バッファ56内のスキャン画像を読み出し、不揮発メモリ57内に履歴情報として格納する。
<モニタ画面6> 図5及び図6は、図4の表示ユニット11の動作の一例を示した図であり、表示パネル111に表示されるモニタ画面6が示されている。図5には、検知信号の出力状態を表示するモニタ画面6が示されている。このモニタ画面6は、安全スキャナ10の動作状態を表示するための状態表示画面であり、メイン表示欄には、動作状態を示す文字列「ノーマルオペレーション」が表示されている。この様なモニタ画面6を閲覧することにより、通常の動作状態であるのか、或いは、エラー状態であるのかを識別することができる。
複数の計測ユニット12が表示ユニット11に接続されている場合は、表示対象として選択された計測ユニット12の動作状態がモニタ画面6に表示される。また、監視対象エリアと計測条件とを設定バンクとして登録し、複数の設定バンクを切替可能に保持するバンク機能が有効であれば、表示対象の計測ユニット12に適用されている設定バンクを示すバンク番号がモニタ画面6内に表示される。
表示対象として選択された計測ユニット12を示すヘッド番号と、バンク番号とは、メイン表示欄よりも上側に配置されている。また、メイン表示欄よりも下側には、メニューボタン61、履歴ボタン62、エラーボタン63及びモニタボタン64が配置されている。
メニューボタン61は、操作キー113に対応するソフトキーである。操作キー113を操作することにより、メニュー画面に切り替えることができる。メニュー画面は、エラー履歴、計測条件、監視対象エリア、入出力状態等を確認するための画面である。
履歴ボタン62は、操作キー114に対応するソフトキーである。操作キー114を操作することにより、履歴画面に切り替えることができる。履歴画面は、侵入物検知の検知履歴を表示するための画面である。
エラーボタン63は、操作キー115に対応するソフトキーであり、エラー又はアラームの発生時に表示される。操作キー115を操作することにより、エラー画面に切り替えることができる。エラー画面は、エラー又はアラームの内容を示すメッセージやエラーコードを表示するための画面である。モニタボタン64は、操作キー116に対応するソフトキーである。操作キー116を操作することにより、他のモニタ画面6に切り替えることができる。
図6は、モニタボタン64を操作した場合のモニタ画面6である。図中の(a)には、メイン表示欄にスキャン画像7を表示するモニタ画面6が示されている。この例では、モニタ画面6の下方向を計測ユニット12の正面方向として、スキャン画像7が描画されている。安全スキャナ10の正面に正対するユーザから見て、スキャン画像7上の測距位置と実空間内の位置との対応関係を直感的に把握することができる。
スキャン画像7は、スキャン面3に対応する平面上に、測距情報に対応する2次元位置が示された監視用画像である。このスキャン画像7は、検出光の走査周期内に得られる複数の測距位置を結ぶ測距線71がスキャン面3上に示された線画像である。測距線71は、順に取得された複数の測距位置を時系列に結ぶ折れ線からなる。例えば、測距線71は、検出距離に対応する測距位置を一定の走査角ごとにプロットした折れ線により構成される。また、スキャン画像7は、検出光の走査周期に対応する一定のフレームレートで更新される動画像である。
スキャン画像7には、計測ユニット12を原点とし、前後方向をy軸、左右方向をx軸とする直交座標軸が配置されている。なお、座標軸に平行なグリッド線をスキャン画像7上に表示しても良い。また、保護エリア又は警告エリアをスキャン画像7上に表示しても良い。この様なスキャン画像7を閲覧することにより、計測ユニット12の周辺の現在の様子を識別することができる。操作キー113~116を操作することにより、表示中のスキャン画像7に対し、表示画像を回転させ、或いは、表示倍率を変更することができる。
図中の(b)には、メイン表示欄にカメラ画像8を表示するモニタ画面6が示されている。モニタボタン64を操作することにより、検知信号の出力状態、スキャン画像7及びカメラ画像8間で、表示画像を切り替えることができる。カメラ画像8は、固定カメラ122又は123により撮影された撮影画像であり、計測ユニット12の周辺の現在の様子が動画像として表示される。この例では、固定カメラ122から取得された撮影画像がカメラ画像8としてモニタ画面6に表示されている。
カメラ画像8には、機械設備や建屋の壁、天井、床面等が被写体として映っている。このカメラ画像8には、検出光の走査周期内に得られる複数の測距位置81が表示されている。測距位置81は、カメラ画像8上における測距情報に対応する2次元位置である。例えば、測距位置81は、検出距離に対応する測距位置を一定の走査角ごとにプロットした多数のドットにより構成される。
この様な測距位置81は、検出距離と検出光の走査角とに基づいて、対象物の3次元空間内における位置を特定し、その3次元位置とカメラ122,123の画角との位置関係に基づいて、対象物のカメラ画像8における2次元位置を特定することにより、表示される。測距位置81をカメラ画像8に重畳させることにより、スキャン画像7上の対象物が実空間においてどのような物体であるのかをカメラ画像8によって確認することができる。
なお、保護エリア又は警告エリアをカメラ画像8上に表示しても良い。操作キー113~116を操作することにより、表示中のカメラ画像8に対し、表示画像の左右を反転させ、或いは、視点を変更することができる。
また、カメラ画像8として表示する画像には、詳細確認画像又はプライバシー画像を用いるような構成であっても良い。プライバシー画像は、詳細確認画像に比べ、画質を低下させた表示画像であり、カメラ122又は123により撮影された画像を低解像度化するモザイク処理によって作成される。
プライバシー画像を得るためのフィルタ処理には、各種の画像フィルタを採用することができる。例えば、画像領域を多数の処理ブロックに分割し、処理ブロック内の各画素について、画素値を代表値
に置き換えることにより、物理的解像度を低下させて画像をぼかすモザイク処理がカメラ画像に対して行われる。
処理ブロックの形状やサイズと、処理ブロックの配置態様は、任意に指定することができる。代表値は、処理ブロックを代表する画素値であり、処理ブロック内の画素に関する画素値の平均値、中央値又は最頻値により定められる。
この様なプライバシー画像を表示することにより、カメラ画像8に侵入物として映り込んだ作業者のプライバシーを保護し、或いは、セキュリティ情報を秘匿することができる。一方、詳細確認画像を表示することにより、安全スキャナ10の周辺環境や被写体を詳細に分析することができる。なお、検知履歴として保存するカメラ画像8にはフィルタをかけず、カメラ画像の閲覧時にフィルタ処理が行われる。
図7は、図4の表示ユニット11の動作の一例を示した図であり、メイン表示欄に2つのカメラ画像を並べて表示する場合が示されている。図中の(a)には、固定カメラ122及び123によりそれぞれ撮影されたカメラ画像8a及び8bが示され、(b)には、カメラ画像8a及び8bの一部を切り出してメイン表示欄に配置したモニタ画面6が示されている。
モニタ画面6のメイン表示欄には、固定カメラ122(計測ユニット12に向かう方向から見て左側のカメラ)により撮影されたカメラ画像8aと、固定カメラ123(計測ユニット12に向かう方向から見て右側のカメラ)により撮影されたカメラ画像8bとのいずれか一方を切替可能に表示することができる。
また、カメラ画像8a及び8bから計測ユニット12の正面側の領域をそれぞれ切り出し、切り出した2つの部分画像の左右をそれぞれ反転してメイン表示欄に並べて表示することもできる(図7(b))。
この場合、計測ユニット12に向かう方向から見て左側のカメラにより撮影されたカメラ画像8aの左側の領域がメイン表示欄の左側に配置され、計測ユニット12に向かう方向から見て右側のカメラにより撮影されたカメラ画像8bの右側の領域がメイン表示欄の右側に配置されている。この様なカメラ画像8a及び8bの連結表示機能により、計測ユニット12の正面方向の様子が直観的に判り易い。
<メニュー画面、履歴画面及び確認画面> 図8~図15は、図4の表示ユニット11の動作の一例を示した図であり、表示パネル111に表示されるメニュー画面9,95,98、履歴画面94,100、確認画面95a,96,97a,97b,130、140及びエラーヘルプ画面144が示されている。
図8の(a)には、メニューボタン61を操作した場合のメニュー画面9が示されている。このメニュー画面9は、メイン表示欄に、メニュー項目「エラー履歴」、「計測条件」、「エリア指定情報」、「入出力状態」及び「その他」を表示する項目選択画面であり、モニタ画面6内のメニューボタン61を操作することによって表示される。
各メニュー項目は、メニュー画面9の上下方向に配列されている。また、画面中央に位置するメニュー項目が表示対象として選択され、ハイライト表示又はフォーカス表示されている。メイン表示欄よりも下側には、ダウンボタン91、アップボタン92及び決定ボタン93が配置されている。
ダウンボタン91は、操作キー114に対応するソフトキーである。アップボタン92は、操作キー115に対応するソフトキーである。操作キー114又は115を操作することにより、表示対象とするメニュー項目を変更することができる。決定ボタン93は、操作キー116に対応するソフトキーである。操作キー116を操作することにより、表示対象として選択されたメニュー項目に対応する画面に切り替えることができる。
図8の(b)には、メニュー画面9内の決定ボタン93を操作した場合の履歴画面94が示されている。この履歴画面94は、エラー履歴を確認するための確認画面であり、メイン表示欄に複数のエラー履歴が表示される。履歴画面94は、メニュー画面9内のメニュー項目「エラー履歴」を選択した場合に表示される。各エラー履歴は、履歴画面94の上下方向に配列されている。エラー履歴には、エラー発生時刻、エラーコード及びエラー内容を示す文字列が表示されている。
図9の(a)には、メニュー画面9内のメニュー項目「計測条件」を選択した場合のメニュー画面95が示されている。このメニュー画面95は、メイン表示欄に、メニュー項目「基本設定」、「OSSD1/2」、「OSSD3/4」、「エリア設定」、「バンク設定」、「ミューティング設定」、「入出力設定」、「履歴設定」、「通信設定」等を表示する項目選択画面である。
各メニュー項目は、メニュー画面95の上下方向に配列されている。また、画面中央に位置するメニュー項目が表示対象として選択され、ハイライト表示又はフォーカス表示されている。ダウンボタン91又はアップボタン92を操作することにより、表示対象とするメニュー項目を変更することができる。決定ボタン93を操作することにより、表示対象として選択されたメニュー項目に対応する画面に切り替えることができる。
図9の(b)には、メニュー画面95内の決定ボタン93を操作した場合の確認画面95aが示されている。この確認画面95aは、計測条件の基本設定を確認するための画面であり、メニュー項目「基本設定」を選択した場合に表示される。確認画面95aのメイン表示欄には、各種の設定パラメータの名称とその設定値とが表示される。設定パラメータの名称とその設定値とは、交互に表示される。
図10には、メニュー画面9内のメニュー項目「エリア指定情報」を選択した場合の確認画面96が示されている。この確認画面96は、エリア指定情報を確認するための画面であり、メイン表示欄に、保護エリア72を示す図形が表示される。保護エリア72は、スキャン面3に対応する平面上に表示される。また、計測ユニット12を原点とする座標軸が表示されている。
図11の(a)には、メニュー画面9内のメニュー項目「入出力状態」を選択した場合の確認画面97aが示されている。この確認画面97aは、各種信号の入力状態を確認するための画面である。メイン表示欄には、「入力1」~「入力10」の信号状態が表示されている。
図11の(b)には、確認画面97a内のダウンボタン又はアップボタンを操作した場合の確認画面97bが示されている。この確認画面97bは、各種信号の出力状態を確認するための画面である。メイン表示欄には、「OSSD1/2」、「OSSD3/4」、「出力(AUX)1」~「出力(AUX)6」の信号状態が表示されている。確認画面97b内のダウンボタン又はアップボタンを操作することにより、確認画面97aに切り替えることができる。
図12には、メニュー画面9内のメニュー項目「その他」を選択した場合のメニュー画面98が示されている。このメニュー画面98は、メニュー項目「画面の明るさ」及び「再起動」を選択するための項目選択画面である。
メニュー項目「画面の明るさ」を選択することにより、表示パネル111の明るさを段階的に切り替えることができる。また、メニュー項目「再起動」を選択することにより、この安全スキャナ10を再起動させることができる。
図13の(a)には、モニタ画面6内の履歴ボタン62を操作した場合の履歴画面100が示されている。この履歴画面100は、複数の検知履歴からなる履歴リスト101をメイン表示欄に表示する確認画面である。履歴リスト101は、検知時刻が互いに異なる2以上の検知履歴を検知時刻の順に配列した一覧表示オブジェクトであり、検知履歴に対応づけて、検知情報が表示されている。
例えば、履歴リスト101は、その一部が履歴画面100に表示され、ダウンボタン104又はアップボタン105を操作することにより、履歴リスト101を上方向又は下方向にスクロールさせることができる。この例では、3つの検知履歴が上下方向に配列され、参照履歴として選択された検知履歴が中央に配置されている。参照履歴は、フォーカス表示又はハイライト表示されている。
参照履歴には、検知順序を示す履歴番号、検知時刻、検知要因、検知期間、検知位置、ヘッド番号及びバンク番号が表示されている。また、スキャン画像7又はカメラ画像8を含む参照履歴には、動画像又は静止画像からなる監視画像が検知履歴として記録されていることを示すアイコン102が表示される。一方、参照履歴以外の検知履歴には、履歴番号、検知時刻及び検知要因が表示されている。
メイン表示欄の下側には、アップデートボタン103、ダウンボタン104、アップボタン105及びビューボタン106が配置されている。ビューボタン106(操作キー116)を操作することにより、参照履歴として選択された検知履歴のスキャン画像7及びカメラ画像8を確認することができる。また、ダウンボタン104(操作キー114)又はアップボタン105(操作キー115)を操作することにより、参照履歴を前後の検知履歴に変更することができる。また、アップデートボタン103(操作キー113)を操作することにより、計測ユニット12から検知情報を取得し、不揮発メモリ57内の検知履歴を更新することができる。
履歴リスト101は、履歴に残すべき事象が発生する毎に動的に変化するものである。しかしながら、検知履歴の確認中に履歴に残すべき事象が発生すると、閲覧中の検知履歴を引き続き見たい場合と、最新の検知履歴を見たい場合とが存在する。そこで、この安全スキャナ10では、アップデートボタン103を押した場合にのみ、表示を最新の履歴リスト101に更新し、アップデートボタン103を押さないときは、履歴リスト101を維持し続けるため、意図しない履歴順序の繰り下がりや、最新の履歴の表示を防止することができる。
図13の(b)には、履歴画面100内のビューボタン106を操作した場合の確認画面130が示されている。この確認画面130は、検知履歴として記録されたスキャン画像7又はカメラ画像8を再生するための画面である。この例では、検知履歴「履歴3」が参照履歴として選択され、メイン表示欄にスキャン画像7が表示される場合が示されている。
このスキャン画像7には、測距線71の他に、保護エリア72を示す図形が描画されている。この様に構成することにより、対象物の測距位置を保護エリア72と容易に対比することができるため、安全スキャナ10が正しく設置されているか否か、或いは、安全スキャナ10が適切に動作しているか否かを容易に識別することができる。
再生ボタン131(操作キー114)を操作することにより、動画像の再生を開始し、或いは、再生中の動画像を一時停止することができる。また、コマ送りボタン132(操作キー115)を操作することにより、コマ送りすることができる。
図14には、モニタ画面6内のエラーボタン63を操作した場合の確認画面140が示されている。この確認画面140は、発生中のエラー内容を確認するための画面であり、メイン表示欄に、エラー又はアラームの内容を示す文字列が表示される。ダウンボタン141又はアップボタン142を操作することにより、同時に発生している別のエラーの内容を表示させることができる。ヘルプボタン143を操作すれば、エラーヘルプ画面144が表示される。
図15には、ヘルプボタン143を操作した場合のエラーヘルプ画面144が示されている。エラーヘルプ画面144には、エラー又はアラームの内容を識別するための識別コード145と、エラー又はアラームに関するコンテンツを提供するウェブサイトのアドレス情報146及び147とが表示される。アドレス情報146は、文字列により表されたアドレス情報である。アドレス情報147は
、2次元コード等の光学読取可能な画像からなるアドレス情報である。なお、アドレス情報146又は147のいずれか一方のみをエラーヘルプ画面144に表示するような構成であっても良い。
設定支援装置20上のウェブブラウザは、指定されたアドレスのウェブサイトにアクセスし、当該ウェブサイトからコンテンツ情報をダウンロードしてディスプレイ21上に表示する。ユーザが、ウェブサイト上で、エラー又はアラームの内容を識別する識別コード145を入力すれば、設定支援装置20上のウェブブラウザには、エラー又はアラームの内容の詳細な説明や対処方法などの情報が表示される。
本実施の形態によれば、安全スキャナ10において複数の測距情報がスキャン面3上に示されたスキャン画像7が表示されるため、安全スキャナ10を設定支援装置20に接続することなく、検出光を走査して得られる複数の測距情報を確認することができる。このため、安全スキャナ10が正しく設置されているか否か、或いは、安全スキャナ10が適切に動作しているか否かといった動作状態を確認する作業を簡素化することができる。
なお、本実施の形態では、安全スキャナ10が固定カメラ122及び123を備える場合の例について説明したが、本発明は、検出エリアを撮影してカメラ画像を生成する撮像手段を備えない安全スキャナにも適用可能である。