JP7076767B2 - 香料を配合した発酵食品、及びその製造方法 - Google Patents

香料を配合した発酵食品、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、香料を配合した発酵食品、及びその製造方法に関する。
一般に、香料は風味の付与、風味補正等の目的で広く食品全般に使用されている。製造工程中での熱等による風味劣化を防ぐため、多くの場合で香料は製造工程の最終段階で添加されて使用される。例えば、特許文献1では、加熱による変性、発酵への影響、乳成分との反応による沈殿を防ぐため、香料およびタンパク質やビタミン等は原料に混合して発酵させることは制限される、と記載されている。
発酵乳等の発酵食品においても、一部の生菌タイプの発酵乳等を除き、多くの場合で製造の最終段階で香料が添加される。生菌タイプの発酵乳等においては発酵前の原料混合時に香料が添加される場合があるが、これは発酵後に香料を添加することが難しいという製造上の問題が主原因であると考えられる。事実、製造初期に香料を添加することにより発酵食品にて風味面で優位性がもたらされる、といった知見はこれまで知られていない。例えば、特許文献2、及び3では、香料を含む原料を発酵させる製造方法が記載されている。しかし、発酵時に香料を添加しておくことによる優位性に関しての言及はなされていない。
特開2017-63710号公報 特許第3060405号 特許3426157号
ところで、香料を使用する食品において、風味バランスが崩れてしまい、香料の風味が浮いた印象が生じる場合や、人工的な印象が付与されてしまう場合がある。これは、香料を添加する発酵食品においても同様のことが懸念されている。
このような風味の問題を補正するための手段や素材は多数知られているが、多くの場合は他の風味が付与される等の弊害が生じる可能性がある。
そこで、上記課題を解決する手段を次に示す。
〔1〕発酵を行う前段階にて香料を他原料と混合し、18時間~96時間発酵させて製造することを特徴とする、風味全体がまとまり、かつラストのコク味が増強された発酵食品の製造方法。
〔2〕ラクトバチルス属微生物、ストレプトコッカス属微生物、ラクトコッカス属微生物、ロイコノストック属微生物、オエノコッカス属微生物、エンテロコッカス属微生物、ペディオコッカス属微生物、サッカロミセス属微生物、ビフィドバクテリウム属微生物から選ばれる一種又は二種以上で発酵させることを特徴とする、〔1〕記載の発酵食品の製造方法。
〔3〕香料の含有量が0.001重量%~3.0重量%であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕記載の発酵食品の製造方法。
〔4〕使用する香料が天然香料であることを特徴とする、〔1〕~〔3〕に記載の発酵食品の製造方法。
〔5〕15~37℃にて発酵させて製造することを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれか記載の発酵食品の製造方法。
〔6〕18~35℃にて発酵させて製造することを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれか記載の発酵食品の製造方法。
〔7〕20~32℃にて発酵させて製造することを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれか記載の発酵食品の製造方法。
本発明によれば、香料をそのまま添加する場合よりも、風味全体がまとまり、かつラストのコク味が増強された発酵食品、及びその製造方法を提供することができる。また、他の原料を用いて風味補正を行うわけではないため、不要な風味が付与される懸念が少ない。
本発明品発酵乳1の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳2の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳3の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳4の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳5の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵レモン果汁の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵トマト汁の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵豆乳の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳9-1の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳9-2の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳9-3の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳9-4の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳10-1の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳10-2の官能試験の結果を示すグラフである。 本発明品発酵乳10-3の官能試験の結果を示すグラフである。
本発明は、1の態様において、発酵を行う前段階にて香料を他原料と混合し、例えば18時間~96時間発酵させて製造することを特徴とする、風味全体がまとまり、かつラストのコク味が増強された発酵食品の製造方法に関する。
本発明の製造方法により得られる発酵食品は、風味全体がまとまり、かつラストのコク味が増強されたものである。このような風味面での優位性は、発酵を行う前段階にて香料を他原料と混合することにより得られるものであり、従来にはなかった格別顕著な効果である。「全体の風味のまとまり」とは、例えば香料由来のシャープな香気や鋭い酸味等の刺激的・特徴的な風味による味のカドが抑えられ、味全体がまろやかとなることを意味する。また、食品のコク味には明確な定義がなく、様々な定義案や評価方法が提案されている状況である。そこで、本発明では「持続性、口の中での広がり、濃厚感」が得られることを「コク味」として定義した。このため、「ラストのコク味が増強された」とは、食品を飲み込んだ後の風味の持続性、口の中での広がり、濃厚感が増強されることを意味した。例えば、食品を飲み込んだ後の「ラストの余韻」の評価結果が顕著に強まった場合、風味の持続性、口の中での広がり、濃厚感が強まっていると考えられ、上記にて定義した「ラストのコク味が増強された」ととらえることができる。
本発明は、もう1つの態様において、発酵を行う前段階にて香料を他原料と混合し、例えば18時間~96時間発酵させて製造することを特徴とする発酵食品に関する。本発明の発酵食品は、風味全体がまとまり、かつラストのコク味が増強されたものである。
本発明において、香料と他原料との混合を、発酵を行う前に行う。当該混合を発酵段階の直前に行ってもよい。また当該混合と発酵段階の間に、さらなる撹拌、混合工程、発酵槽への移行工程、あるいは温度調節工程などの他の工程が含まれていてもよい。
本発明における香料とは、各種の天然原料を、各種有機溶媒等で抽出処理することで得られる天然香料の他、化学合成で得られた化合物より得られる合成香料、及び天然香料と合成香料を混合したもの等、一般的な香料全般を示す。本発明で使用する香料の種類は、原料、使用微生物、発酵時間、目的とする風味などにより、一般的な香料全般、即ち天然香料、合成香料、及び天然香料と合成香料の混合物であり、好ましくは天然香料のみ、より好ましくは小豆、アニス、アーモンド、アンゼリカ、アンバー、アンバーグリス、アンブレット、イチゴ、イランイラン、インモルテル、ウィンターグリーン、エルダー、エレミ、オーク、オークモス、オスマンサス、オポポナックス、オリガナム、オリス、オリバナム、オールスパイン、オレンジ、オレンジフラワー、カカオ、カストリウム、カッシー、カモミル、カルダモン、ガルバナム、キウィーフルーツ、キャラウェイ、キャロブ、キュウリ、クベバ、クミン、クラリセージ、クルミ、クリーム、グレープフルーツ、クローブ、クワッシャ、コウジ、紅茶、黒糖、コショウ、コーヒー、ゴマ、コリアンダー、サイプレス、サクラ、サフラン、サンショウ、サンダルウッド、シソ、シダー、シトラス、シトロネラ、シヌス、ジャスミン、ジェニパーベリー、ショウガ、蒸留酒、シンナモン、スイカ、スイセン、スターアニス、スチラックス、スペアミント、セージ、ゼラニウム、セロリー、タイム、ダバナ、卵、タラゴン、タンジェリン、チーズ、チュベローズ、糖蜜、トマト、トルーバルサム、トンカ、ナシ、ナッツ、ナツメ、ニアウリ、ニンジン、バイオレット、パイナップル、麦芽、バジル、パセリ、バター、蜂蜜、パチュリー、ハッカ、発酵酒、発酵乳、バナナ、バニラ、バラ、ヒッコリー、ピーナッツ、ヒノキ、フェネグリーク、フェンネル、フスマ、フーゼル油、プチグレイン、ブチュ、ブドウ、ブドウ酒粕、プラム、ブルーベリー、ヘイ、ベイ、ヘーゼルナッツ、ベチバー、ペパーミント、ベルガモット、ベルガモットミント、ペルーバルサム、ベルベナ、ベンゾイン、ホウ、ホエイ、ホップ、マジョラム、マスティック、マソイ、マテチャ、マンゴー、ミカン、ミツロウ、ミモザ、ミルク、ミルテ、ミルラ、ムギチャ、メロン、モモ、ユーカリ、ユズ、ライチ、ライム、ラブダナム、ラベンダー、リキュール、緑茶、リンゴ、リンドウ、レモン、レモングラス、ローズマリー、ワームウッドを起源物質とする天然香料であるが、これらに限定されない。本発明において、上記に示した天然香料を使用することで、より風味が発酵物へ馴染むことが可能となる。
本発明における他原料とは、香料以外の原料をいい、原料乳類、原料果汁、原料野菜、原料穀物汁などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明における発酵食品とは、いわゆる発酵乳、乳製品乳酸菌飲料の他、果汁を発酵させた発酵果汁や野菜汁を発酵させた発酵野菜汁、穀物汁を発酵させた発酵穀物汁等を示す。本発明における発酵食品には、甘味料、酸味料、食塩、調味料、着色料、増粘剤などを適宜添加してもよい。
本発明における発酵乳又は乳製品乳酸菌飲料は、香料を加えた原料乳類に乳酸菌や酵母、ビフィズス菌等の微生物を作用させて得られるものであり、乳製品乳酸菌飲料は発酵乳を一部に含む飲料をいう。発酵乳を得る方法としては、例えば乳酸菌スターターを原料乳類に対して接種し、通常行われている乳酸発酵の条件により発酵する方法が挙げられる。発酵乳には、生菌タイプのもの、及び前記生菌タイプのものを殺菌して得られる死菌タイプのものが含まれる。
上記発酵乳及び乳製品乳酸菌飲料の原料乳類としては、例えば、牛乳、山羊乳、羊乳等の動物由来の液状乳、脱脂粉乳、全粉乳あるいは粉乳、濃縮乳から還元した乳が挙げられる。
原料乳類に作用させる微生物としては、ラクトバチルス属微生物、ストレプトコッカス属微生物、ラクトコッカス属微生物、ロイコノストック属微生物、オエノコッカス属微生物、エンテロコッカス属微生物、ペディオコッカス属微生物、サッカロミセス属微生物、ビフィドバクテリウム属微生物などから選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。
本発明における発酵果汁とは、香料を加えた原料果汁類に乳酸菌や酵母、ビフィズス菌等の微生物を作用させて得られるものをいう。発酵果汁を得る方法としては、例えば乳酸菌スターターを原料果汁類に対して接種し、通常行われている乳酸発酵の条件により発酵する方法が挙げられる。発酵果汁には、生菌タイプのもの、及び前記生菌タイプのものを殺菌して得られる死菌タイプのものが含まれる。
上記発酵果汁の原料果汁類としては、例えば、レモン、グレープフルーツ、白ぶどう、りんご等の果汁が挙げられる。これらの果汁は原料果実の種類や濃縮度合、清澄化の有無は問われない。
原料果汁類に作用させる微生物としては、ラクトバチルス属微生物、ストレプトコッカス属微生物、ラクトコッカス属微生物、ロイコノストック属微生物、オエノコッカス属微生物、エンテロコッカス属微生物、ペディオコッカス属微生物、サッカロミセス属微生物、ビフィドバクテリウム属微生物などから選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。
本発明における発酵野菜汁とは、香料を加えた原料野菜汁類に乳酸菌や酵母、ビフィズス菌等の微生物を作用させて得られるものをいう。発酵野菜汁を得る方法としては、例えば乳酸菌スターターを原料野菜汁類に対して接種し、通常行われている乳酸発酵の条件により発酵する方法が挙げられる。発酵野菜汁には、生菌タイプのもの、及び前記生菌タイプのものを殺菌して得られる死菌タイプのものが含まれる。
上記発酵野菜汁の原料野菜汁類としては、例えば、ニンジン、紫いも、トマト等の野菜汁が挙げられる。これらの野菜汁は原料野菜の種類や濃縮度合、清澄化の有無は問われない。
原料野菜汁類に作用させる微生物としては、ラクトバチルス属微生物、ストレプトコッカス属微生物、ラクトコッカス属微生物、ロイコノストック属微生物、オエノコッカス属微生物、エンテロコッカス属微生物、ペディオコッカス属微生物、サッカロミセス属微生物、ビフィドバクテリウム属微生物などから選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。
本発明における発酵穀物汁とは、香料を加えた原料穀物汁類に乳酸菌や酵母、ビフィズス菌等の微生物を作用させて得られるものをいう。発酵穀物汁を得る方法としては、例えば乳酸菌スターターを原料穀物汁類に対して接種し、通常行われている乳酸発酵の条件により発酵する方法が挙げられる。発酵穀物汁には、生菌タイプのもの、及び前記生菌タイプのものを殺菌して得られる死菌タイプのものが含まれる。
上記発酵穀物汁の原料穀物汁類としては、例えば豆乳が挙げられ、その他にモルト、米、とうもろこし等から圧搾された穀物汁も挙げられる。これらの穀物汁は原料穀物の種類や清澄化の有無等は問われない。
原料穀物汁類に作用させる微生物としては、ラクトバチルス属微生物、ストレプトコッカス属微生物、ラクトコッカス属微生物、ロイコノストック属微生物、オエノコッカス属微生物、エンテロコッカス属微生物、ペディオコッカス属微生物、サッカロミセス属微生物、ビフィドバクテリウム属微生物などから選ばれる一種又は二種以上が挙げられる。
本発明における発酵時間は、原料、香料の種類、使用微生物、発酵時間、目的とする風味などにより適宜選択することができ、通常は約12時間~約108時間、好ましくは約18時間~約96時間、より好ましくは約24時間~約72時間であるが、これらの時間に限定されない。
本発明における発酵温度は、原料、香料の種類、使用微生物、発酵温度、目的とする風味などにより適宜選択することができ、通常は約15~約37℃、好ましくは約18~約35℃、より好ましくは約20~約32℃またはそれ未満、例えば約20~約28℃、約20~約29℃、約20~約30℃または約20~約31℃であるが、これらの温度に限定されない。本発明において、上に例示したような発酵時間、温度とすることにより、香料の風味が発酵物によくなじむことが可能となる。
本発明における発酵食品中の香料の含有量は、香料の種類、原料、使用微生物、発酵温度、発酵時間、目的とする風味などにより適宜選択することができ、通常は約0.0005重量%~約5.0重量%、好ましくは、約0.001重量%~約3.0重量%であるが、これらの量に限定されない。
以下、本発明に係る実施例を説明するが、本発明の技術的範囲はこの説明に限定されるものではない。
実施例1;発酵乳の調製例
本発明の発酵乳(1種類)と比較用の発酵乳(2種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵乳処方1-1〕本発明の発酵乳の調製例1
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後25℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ロイコノストック・クレモリスの混合培養液30gを接種し、25℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳1」という)を得た。
〔供試発酵乳処方1-2〕比較用ブランク発酵乳の調製例1
上記「〔供試発酵乳処方1-1〕本発明の発酵乳の調製例1」において、天然ミルク香料の代わりに水を用い、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用ブランク発酵乳1」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方1-3〕比較用発酵乳の調製例2
上記「〔供試発酵乳処方1-1〕本発明の発酵乳の調製例1」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、25℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳1」という)を調製した。
〔本発明品発酵乳の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳1、比較用ブランク発酵乳1、比較用発酵乳1を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵乳を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用ブランク発酵乳1を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表1、表2、図1に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用ブランク発酵乳1と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用ブランク発酵乳1と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用ブランク発酵乳1と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000001
Figure 0007076767000002
表1、表2、及び図1の結果から、本発明品発酵乳1において、比較用ブランク発酵乳1と比べて全ての項目で評定平均が増加することが確認された。
比較用発酵乳1では、「トップの風味の強さ」が顕著に強まっている一方で、「トップとミドルの繋がり」、「全体のまとまり」が劣っていることが確認された。これは、天然ミルク香料の添加量が多く、全体の風味バランスが崩れ、いわゆる香料が浮いた状態になってしまったと考えられる。
更に、本発明品発酵乳1と比較用発酵乳1の結果を比べると、「トップの風味の強さ」以外の全ての項目で本発明品発酵乳1の方が優れていること、特に「ラストの余韻」、「全体のまとまり」が顕著に優れていることが確認された。このため、本発明品発酵乳1において、全体の風味バランスが整えられて香料が浮いてしまう現象が抑制され、かつラストのコク味が増強されたことが示された。これは、発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合することで、香料の風味がなじんだことによるものと考えられた。
実施例2;発酵乳の調製例2
本発明の発酵乳(1種類)と比較用の発酵乳(1種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵乳処方2-1〕本発明の発酵乳の調製例2
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後25℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ロイコノストック・クレモリスの混合培養液30gを接種し、25℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳2」という)を得た。
〔供試発酵乳処方2-2〕比較用発酵乳の調製例2
上記「〔供試発酵乳処方2-1〕本発明の発酵乳の調製例2」において、発酵時間を10時間とし、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳2」という)を調製した。
〔本発明品の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳2、比較用発酵乳2を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵乳を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用発酵乳2を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表3、表4、図2に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用発酵乳2と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用発酵乳2と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用発酵乳2と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
本発明発酵乳2について、各評価項目の評定平均が3.5以上の数値を示した場合、比較用発酵乳2との比較において、当該項目について顕著な風味の向上を示すものと判断する。
Figure 0007076767000003
Figure 0007076767000004
表3、表4、及び図2の結果から、本発明品発酵乳2と比較用発酵乳2の結果を比べると、「トップの風味の強さ」以外の全ての項目で本発明品発酵乳2の方が優れていること、特に「ラストの余韻」、「全体のまとまり」が顕著に優れていることが確認された。このため、本発明品発酵乳2において、全体の風味バランスが整えられ、かつラストのコク味が増強されたことが示された。これは、発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合し、かつ72時間という長時間発酵を行うことで、比較的短時間である10時間発酵のものよりも、より香料の風味がなじんだことによるものと考えられる。
実施例3;発酵乳の調製例3
本発明の発酵乳(1種類)と比較用の発酵乳(1種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵乳処方3-1〕本発明の発酵乳の調製例3
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後30℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトバチルス・ブルガリカス、ストレプトコッカス・サーモフィルスの混合培養液30gを接種し、30℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳3」という)を得た。
〔供試発酵乳処方3-2〕比較用発酵乳の調製例3
上記「〔供試発酵乳処方3-1〕本発明の発酵乳の調製例3」において、発酵温度を40℃、発酵時間を6時間とし、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳3」という)を調製した。
〔本発明品の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳3、比較用発酵乳3を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵乳を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用発酵乳3を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表5、表6、図3に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用発酵乳3と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用発酵乳3と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用発酵乳3と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
本発明発酵乳3について、各評価項目の評定平均が3.5以上の数値を示した場合、比較用発酵乳3との比較において、当該項目について顕著な風味の向上を示すものと判断する。
Figure 0007076767000005
Figure 0007076767000006
表5、表6、及び図3の結果から、本発明品発酵乳3と比較用発酵乳3の結果を比べると、全ての項目で本発明品発酵乳3の方が優れていること、特に「ラストの余韻」、「全体のまとまり」が顕著に優れていることが確認された。このため、本発明品発酵乳3において、全体の風味バランスが整えられ、かつラストのコク味が増強されたことが示された。比較用発酵乳3が、40℃という比較的高温条件で6時間の短時間発酵を行っており、これは一般に広く製造されているブルガリアタイプのヨーグルトの製造方法となる。このため、発酵乳調製の始めの段階で天然バニラ香料を混合し、かつやや低温の30℃で、72時間という長時間発酵を行うことで、一般的な発酵条件である40℃6時間発酵のものよりも、より香料の風味がなじみ、風味のまとまりやラストの余韻が強まったと考えられた。
実施例4;発酵乳の調製例4
本発明の発酵乳(1種類)と比較用の発酵乳(2種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵乳処方4-1〕本発明の発酵乳の調製例4
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後25℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトコッカス・クレモリスの培養液30gを接種し、25℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳4」という)を得た。
〔供試発酵乳処方4-2〕比較用ブランク発酵乳の調製例4
上記「〔供試発酵乳処方4-1〕本発明の発酵乳の調製例4」において、天然ミルク香料の代わりに水を用い、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用ブランク発酵乳4」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方4-3〕比較用発酵乳の調製例4
上記「〔供試発酵乳処方4-1〕本発明の発酵乳の調製例4」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、25℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳4」という)を調製した。
〔本発明品発酵乳の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳4、比較用ブランク発酵乳4、比較用発酵乳4を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵乳を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用ブランク発酵乳4を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表7、表8、図4に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用ブランク発酵乳4と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用ブランク発酵乳4と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用ブランク発酵乳4と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000007
Figure 0007076767000008
表7、表8、及び図4の結果から、本発明品発酵乳4において、比較用ブランク発酵乳4と比べて全ての項目で評定平均が増加することが確認された。
比較用発酵乳4では、比較用ブランク発酵乳4と比べて「トップの風味の強さ」が顕著に強まっている一方で、「全体のまとまり」が劣っていることが確認された。これは、天然ミルク香料の添加量が多く、全体の風味バランスが崩れ、いわゆる香料が浮いた状態になってしまったと考えられる。
更に、本発明品発酵乳4と比較用発酵乳4の結果を比べると、「トップの風味の強さ」以外の全ての項目で本発明品発酵乳4の方が優れていること、特に「ラストの余韻」、「全体のまとまり」が顕著に優れていることが確認された。このため、本発明品発酵乳4において、全体の風味バランスが整えられ、かつラストのコク味が増強されたことが示された。本発明発酵乳4及び比較用発酵乳4は、1種類の菌種のみを用いて調製されている。このため、1種の菌のみを使用した場合においても、発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合して発酵を行うことで、香料の風味がなじみ、上記のような効果が得られると考えられた。
実施例1;発酵乳の調製例5
本発明の発酵乳(1種類)と比較用の発酵乳(2種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵乳処方5-1〕本発明の発酵乳の調製例5
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後25℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した合成ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ロイコノストック・クレモリスの混合培養液30gを接種し、25℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳5」という)を得た。
〔供試発酵乳処方5-2〕比較用ブランク発酵乳の調製例5
上記「〔供試発酵乳処方5-1〕本発明の発酵乳の調製例5」において、合成ミルク香料の代わりに水を用い、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用ブランク発酵乳5」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方5-3〕比較用発酵乳の調製例5
上記「〔供試発酵乳処方5-1〕本発明の発酵乳の調製例5」において、合成ミルク香料を発酵前には添加せず、25℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳5」という)を調製した。
〔本発明品発酵乳の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳5、比較用ブランク発酵乳5、比較用発酵乳5を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵乳を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用ブランク発酵乳1を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表9、表10、図5に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用ブランク発酵乳5と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用ブランク発酵乳5と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用ブランク発酵乳5と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000009
Figure 0007076767000010

表9、表10、及び図5の結果から、本発明品発酵乳5において、比較用ブランク発酵乳5と比べて全ての項目で評定平均が増加することが確認された。
比較用発酵乳5では、「トップの風味の強さ」が顕著に強まっている一方で、「トップとミドルの繋がり」、「全体のまとまり」が劣っていることが確認された。これは、合成ミルク香料の添加量が多く、全体の風味バランスが崩れ、いわゆる香料が浮いた状態になってしまったと考えられる。
更に、本発明品発酵乳5と比較用発酵乳5の結果を比べると、「トップの風味の強さ」以外の全ての項目で本発明品発酵乳1の方が優れていること、特に「ラストの余韻」、「全体のまとまり」が顕著に優れていることが確認された。このため、本発明品発酵乳5において、全体の風味バランスが整えられて香料が浮いてしまう現象が抑制され、かつラストのコク味が増強されたことが示された。このため、発酵乳調製の始めの段階で、天然香料のみでなく合成香料を混合することでも、香料の風味がなじみ、上記の効果が得られると考えられた。
実施例6;発酵レモン果汁の調製例
本発明の発酵レモン果汁(1種類)と比較用の発酵レモン果汁(2種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵レモン果汁処方6-1〕本発明の発酵レモン果汁の調製例
ストレートの透明レモン果汁969gを90℃、達温の加熱処理を行い、その後30℃まで冷却した。次いで、冷却後の透明レモン果汁に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然レモン香料1gを添加した。その後、スターターとしてサッカロミセス・セレビシエの培養液30gを接種し、30℃72時間発酵させることで発酵レモン果汁(以下、「本発明品発酵レモン果汁」という)を得た。
〔供試発酵レモン果汁処方6-2〕比較用ブランク発酵レモン果汁の調製例
上記「〔供試発酵レモン果汁処方6-1〕本発明の発酵レモン果汁の調製例」において、天然レモン香料の代わりに水を用い、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵レモン果汁(以下、「比較用ブランク発酵レモン果汁」という)を調製した。
〔供試発酵レモン果汁処方6-3〕比較用発酵レモン果汁の調製例
上記「〔供試発酵レモン果汁処方6-1〕本発明の発酵レモン果汁の調製例」において、天然レモン香料を発酵前には添加せず、30℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵レモン果汁(以下、「比較用発酵レモン果汁」という)を調製した。
〔本発明品発酵レモン果汁の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵レモン果汁、比較用ブランク発酵レモン果汁、比較用発酵レモン果汁を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵レモン果汁を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用ブランク発酵レモン果汁を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表11、表12、図6に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用ブランク発酵レモン果汁と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用ブランク発酵レモン果汁と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用ブランク発酵レモン果汁と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
各発酵レモン果汁間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000011
Figure 0007076767000012
表11、表12、及び図6の結果から、本発明品発酵レモン果汁において、比較用ブランク発酵レモン果汁と比べて全ての項目で評定平均が増加することが確認された。
比較用発酵レモン果汁では、比較用ブランク発酵レモン果汁と比べて「トップの風味の強さ」が顕著に強まり、その他の項目も評定平均が増加していることが確認された。これは、天然レモン香料の添加により、トップを中心に全体的に風味が増強されたためだと考えられた。
更に、本発明品発酵レモン果汁と比較用発酵レモン果汁の結果を比べると、「トップの風味の強さ」以外の全ての項目で本発明品発酵トマト汁の方が優れていること、特に「ラストの余韻」、「全体のまとまり」が顕著に優れていることが確認された。このため、本発明品発酵レモン果汁において、全体の風味バランスが整えられ、かつラストのコク味が増強されたことが示された。
実施例7;発酵トマト汁の調製例
本発明の発酵トマト汁(1種類)と比較用の発酵トマト汁(2種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵トマト汁処方7-1〕本発明の発酵トマト汁の調製例
ストレートの透明トマト汁969gを90℃、達温の加熱処理を行い、その後30℃まで冷却した。次いで、冷却後の透明トマト汁に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然リンゴ香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトバチルス・プランタラムの培養液30gを接種し、30℃72時間発酵させることで発酵トマト汁(以下、「本発明品発酵トマト汁」という)を得た。
〔供試発酵トマト汁処方7-2〕比較用ブランク発酵トマト汁の調製例
上記「〔供試発酵トマト汁処方7-1〕本発明の発酵トマト汁の調製例」において、天然リンゴ香料の代わりに水を用い、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵トマト汁(以下、「比較用ブランク発酵トマト汁」という)を調製した。
〔供試発酵トマト汁処方7-3〕比較用発酵トマト汁の調製例
上記「〔供試発酵トマト汁処方7-1〕本発明の発酵トマト汁の調製例」において、天然リンゴ香料を発酵前には添加せず、30℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵トマト汁(以下、「比較用発酵トマト汁」という)を調製した。
〔本発明品発酵トマト果汁の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵トマト汁、比較用ブランク発酵トマト汁、比較用発酵トマト汁を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵トマト汁を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用ブランク発酵トマト汁を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表13、表14、図7に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用ブランク発酵トマト汁と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用ブランク発酵トマト汁と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用ブランク発酵トマト汁と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
各発酵トマト汁間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000013
Figure 0007076767000014
表13、表14、及び図7の結果から、本発明品発酵トマト汁において、比較用ブランク発酵トマト汁と比べて全ての項目で評定平均が増加することが確認された。
比較用発酵トマト汁では、比較用ブランク発酵トマト汁と比べて「トップの風味の強さ」が顕著に強まり、その他の項目も評定平均が増加していることが確認された。これは、天然リンゴ香料の添加により、トップを中心に全体的に風味が増強されたためだと考えられた。
更に、本発明品発酵トマト汁と比較用発酵トマト汁の結果を比べると、「トップの風味の強さ」以外の全ての項目で本発明品発酵トマト汁の方が優れていること、特に「ラストの余韻」、「全体のまとまり」が顕著に優れていることが確認された。このため、本発明品発酵トマト汁において、全体の風味バランスが整えられ、かつラストのコク味が増強されたことが示された。
実施例8;発酵豆乳の調製例
本発明の発酵豆乳(1種類)と比較用の発酵豆乳(2種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵豆乳処方8-1〕本発明の発酵豆乳の調製例
無調整豆乳969gを90℃、達温の加熱処理を行い、その後30℃まで冷却した。次いで、冷却後の豆乳に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトバチルス・プランタラムの培養液30gを接種し、30℃72時間発酵させることで発酵豆乳(以下、「本発明品発酵豆乳」という)を得た。
〔供試発酵豆乳処方8-2〕比較用ブランク発酵豆乳の調製例
上記「〔供試発酵豆乳処方8-1〕本発明の発酵豆乳の調製例」において、天然ミルク香料の代わりに水を用い、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵豆乳(以下、「比較用ブランク発酵豆乳」という)を調製した。
〔供試発酵豆乳処方8-3〕比較用発酵豆乳の調製例
上記「〔供試発酵豆乳処方8-1〕本発明の発酵豆乳の調製例」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、30℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵豆乳(以下、「比較用発酵豆乳」という)を調製した。
〔本発明品発酵豆乳の官能評価方法〕
上記にようにして得られた本発明品発酵豆乳、比較用ブランク発酵豆乳、比較用発酵豆乳を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵豆乳を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用ブランク発酵豆乳を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表15、表16、図8に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用ブランク発酵豆乳と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用ブランク発酵豆乳と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用ブランク発酵豆乳と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
各発酵豆乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000015
Figure 0007076767000016
表15、表16、及び図8の結果から、本発明品発酵豆乳において、比較用ブランク発酵豆乳と比べて全ての項目で評定平均が増加することが確認された。
比較用発酵豆乳では、比較用ブランク発酵トマト汁と比べて「トップの風味の強さ」が顕著に強まり、「トップとミドルの風味の繋がり」を除く他の項目も評定平均が増加していることが確認された。これは、天然ミルク香料の添加により、トップを中心に全体的に風味が増強されたためだと考えられた。
更に、本発明品発酵豆乳と比較用発酵豆乳の結果を比べると、「トップの風味の強さ」以外の全ての項目で本発明品発酵豆乳の方が優れていること、特に「ラストの余韻」、「全体のまとまり」が顕著に優れていることが確認された。このため、本発明品発酵豆乳において、全体の風味バランスが整えられ、かつラストのコク味が増強されたことが示された。
実施例9;発酵乳の調製例9
本発明の発酵乳(4種類)と比較用の発酵乳(4種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵乳処方9-1-1〕本発明の発酵乳の調製例9-1
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後15℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ロイコノストック・クレモリスの混合培養液30gを接種し、15℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳9-1」という)を得た。
〔供試発酵乳処方9-1-2〕比較用発酵乳の調製例9-1
上記「〔供試発酵乳処方9-1-1〕本発明の発酵乳の調製例9-1」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、15℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳9-1」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方9-2-1〕本発明の発酵乳の調製例9-2
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後18℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ロイコノストック・クレモリスの混合培養液30gを接種し、18℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳9-2」という)を得た。
〔供試発酵乳処方9-2-2〕比較用発酵乳の調製例9-2
上記「〔供試発酵乳処方9-2-1〕本発明の発酵乳の調製例9-2」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、18℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳9-2」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方9-3-1〕本発明の発酵乳の調製例9-3
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後20℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ロイコノストック・クレモリスの混合培養液30gを接種し、20℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳9-3」という)を得た。
〔供試発酵乳処方9-3-2〕比較用発酵乳の調製例9-3
上記「〔供試発酵乳処方9-3-1〕本発明の発酵乳の調製例9-3」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、20℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳9-3」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方9-4-1〕本発明の発酵乳の調製例9-4
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後32℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ロイコノストック・クレモリスの混合培養液30gを接種し、32℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳9-3」という)を得た。
〔供試発酵乳処方9-4-2〕比較用発酵乳の調製例9-4
上記「〔供試発酵乳処方9-4-1〕本発明の発酵乳の調製例9-4」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、32℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳9-4」という)を調製した。
〔本発明品発酵乳9-1の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳9-1と比較用発酵乳9-1を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵乳を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用発酵乳9-1を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表17、表18、図9に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用発酵乳9-1と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用発酵乳9-1と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用発酵乳9-1と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000017
Figure 0007076767000018
表17、表18、及び図9の結果から、本発明品発酵乳9-1において、比較用発酵乳9-1と比べて、「ミドルの風味の強さ」「ラストの余韻」「全体のまとまり」項目で評定平均が増加することが確認された。15℃の培養温度では発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合する効果は認められるものの、培養温度を18℃とした場合よりも小さかった。
〔本発明品発酵乳9-2の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳9-2と比較用発酵乳9-2を6人のパネルに試食してもらい、本発明品発酵乳9-1と同様の方法で比較用発酵乳9-2を基準点(3点)として、評価を行った。結果を表19、表20、図10に示す。
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000019
Figure 0007076767000020
表19、表20、及び図10の結果から、本発明品発酵乳9-2において、比較用発酵乳9-2と比べて、「ミドルの風味の強さ」「ラストの余韻」「全体のまとまり」項目で評定平均が増加することが確認された。18℃の培養温度では発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合する効果は認められるものの、培養温度を20℃とした場合よりも小さかった。
〔本発明品発酵乳9-3の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳9-3と比較用発酵乳9-3を6人のパネルに試食してもらい、本発明品発酵乳9-2と同様の方法で比較用発酵乳9-3を基準点(3点)として、評価を行った。結果を表21、表22、図11に示す。
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000021
Figure 0007076767000022
表21、表22、及び図11の結果から、本発明品発酵乳9-3において、比較用発酵乳9-4と比べて、「トップの風味の強さ」以外のすべての項目で評定平均が増加することが確認された。特に「ラストの余韻」「全体のまとまり」は顕著に評定平均が増加しており、20℃の培養温度では、発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合する効果が顕著に得られることが考えられた。
〔本発明品発酵乳9-4の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳9-4と比較用発酵乳9-4を6人のパネルに試食してもらい、本発明品発酵乳9-3と同様の方法で比較用発酵乳9-4を基準点(3点)として、評価を行った。結果を表23、表24、図12に示す。
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000023
Figure 0007076767000024
表23、表24、及び図12の結果から、本発明品発酵乳9-4において、比較用発酵乳9-4と比べて、「トップの風味の強さ」以外のすべての項目で評定平均が増加することが確認された。特に「ラストの余韻」「全体のまとまり」は顕著に評定平均が増加しており、32℃の培養温度では、発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合する効果が顕著に得られることが考えられた。
実施例10;発酵乳の調製例10
本発明の発酵乳(3種類)と比較用の発酵乳(3種類)を以下に記載した方法により調製した。
〔供試発酵乳処方10-1-1〕本発明の発酵乳の調製例10-1
脱脂粉乳90g、水879gを混合し、得られた脱脂粉乳溶液を90℃、達温の加熱処理を行い、その後15℃まで冷却した。次いで、冷却後の脱脂粉乳溶液に、孔径0.22μmのメンブレンフィルターにてろ過滅菌した天然ミルク香料1gを添加した。その後、スターターとしてラクトバチルス・ブルガリカス、ストレプトコッカス・サーモフィラスの混合培養液30gを接種し、32℃72時間発酵させることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳10-1」という)を得た。
〔供試発酵乳処方10-1-2〕比較用発酵乳の調製例10-1
上記「〔供試発酵乳処方10-1-1〕本発明の発酵乳の調製例10-1」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、32℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳10-1」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方10-2-1〕本発明の発酵乳の調製例10-2
上記「〔供試発酵乳処方10-1-1〕本発明の発酵乳の調製例10-1」において、培養温度を35℃とし、それ以外は同様の方法を取ることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳10-2」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方10-2-2〕比較用発酵乳の調製例10-2
上記「〔供試発酵乳処方10-2-1〕本発明の発酵乳の調製例10-2」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、35℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳10-2」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方10-3-1〕本発明の発酵乳の調製例10-3
上記「〔供試発酵乳処方10-1-1〕本発明の発酵乳の調製例10-1」において、培養温度を37℃とし、それ以外は同様の方法を取ることで発酵乳(以下、「本発明品発酵乳10-3」という)を調製した。
〔供試発酵乳処方10-3-2〕比較用発酵乳の調製例10-3
上記「〔供試発酵乳処方10-3-1〕本発明の発酵乳の調製例10-3」において、天然ミルク香料を発酵前には添加せず、37℃72時間発酵後に添加し、それ以外は同様の方法を取ることで比較用発酵乳(以下、「比較用発酵乳10-3」という)を調製した。
〔本発明品発酵乳10-1の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳10-1と比較用発酵乳10-1を6人のパネルに試食してもらい、風味に関する評価項目として、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻、総合評価、全体のまとまり、の計6項目に分けて官能評価を実施した。トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻に関しては、発酵乳を口に入れてから飲み込んだ後の余韻に至る継時的な風味変化を数値化する目的で評価を行った。評点は以下に記載の通り5段階評価とし、各パネルの平均を求めた。具体的には、比較用発酵乳10-1を喫食したときの評点を基準点(3点)とし、優れていれば4、5と評価し、劣っていれば2、1と評価した。尚、上記評価項目のうち、「全体の風味のまとまり」とは、全体の調和感を意味する。「総合評価」は、トップの風味の強さ、トップとミドルの風味の繋がり、ミドルの風味の強さ、ラストの余韻の平均値から算出した。結果を表25、表26、図13に示す。
〔トップの風味の強さ〕、〔ミドルの風味の強さ〕、〔ラストの余韻〕についての評価基準
5:強い
4:やや強い
3:比較用発酵乳10-1と同等
2:やや弱い
1:弱い
〔トップとミドルの風味の繋がり〕についての評価基準
5:一体感を感じる
4:やや一体感を感じる
3:比較用発酵乳10-1と同等
2:やや一体感を感じない
1:一体感を感じない
〔全体のまとまり〕についての評価基準
5:まとまっている
4:ややまとまっている
3:比較用発酵乳10-1と同等
2:ややまとまりが悪い
1:まとまりが悪い
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000025
Figure 0007076767000026
表25、表26、及び図13の結果から本発明品発酵乳10-1において、比較用発酵乳10-1と比べて、「ラストの余韻」「全体のまとまり」の評定平均が顕著に増加していた。このため、32℃での培養では、発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合する効果が顕著に得られることが考えられた。
〔本発明品発酵乳10-2の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳10-2と比較用発酵乳10-2を6人のパネルに試食してもらい、本発明品発酵乳10-1と同様の方法で比較用発酵乳10-2を基準点(3点)として、評価を行った。結果を表27、表28、図14に示す。
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000027
Figure 0007076767000028
表27、表28、及び図14の結果から、本発明品発酵乳10-2において、比較用発酵乳10-2と比べて、「ミドルの風味の強さ」「ラストの余韻」「全体のまとまり」項目で評定平均が増加することが確認された。35℃の培養では、発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合する効果は認められるものの、培養温度を32℃とした場合よりも小さかった。

〔本発明品発酵乳10-3の官能評価方法〕
上記のようにして得られた本発明品発酵乳10-3と比較用発酵乳10-3を6人のパネルに試食してもらい、本発明品発酵乳10-2と同様の方法で比較用発酵乳10-3を基準点(3点)として、評価を行った。結果を表29、表30、図15に示す。
各発酵乳間で、各評価項目の評定平均が0.5以上の差を示した場合、当該項目について顕著な風味の差を有するものと判断する。
Figure 0007076767000029
Figure 0007076767000030
表29、表30、及び図15の結果から、本発明品発酵乳10-3において、比較用発酵乳10-4と比べて、「トップとミドルの風味の繋がり」「ラストの余韻」「全体のまとまり」にて評定平均が増加する傾向が見られた。37℃の培養温度では、発酵乳調製の始めの段階で天然ミルク香料を混合する効果は認められるものの、培養温度を35℃とした場合よりも小さかった。
実施例9、および10より、15℃から37℃の温度範囲にて、発酵前に香料を混合する効果があることが確認されたが、より強い効果が見られる範囲は18℃から35℃であり、特に顕著な効果が得られる範囲は20℃から32℃であることが示された。
本実施例で作製された発酵食品によって、本発明によれば風味バランスが改善し、かつラストにコク味を持つ、香料を含む発酵食品を製造することができることが分かった。
本発明は発酵食品の分野において利用することができる。

Claims (2)

  1. 発酵を行う前段階にて天然香料を脱脂粉乳と混合し、ラクトコッカス・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ロイコノストック・クレモリスから選ばれる一種又は二種以上の微生物を混合物に接種して20~32℃にて18~96時間発酵させることを特徴とする、風味全体がまとまり、かつラストのコク味が増強された発酵の製造方法。
  2. 天然香料の含有量が0.001重量%~3.0重量%であることを特徴とする、請求項記載の発酵の製造方法。
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