以下に、本発明の実施の形態に係る電動送風機及び電気機器について、図を参照しながら説明する。
《1》実施の形態1
《1-1》構成
本発明の実施の形態1に係る電動送風機について、図1から図10を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1に係る電動送風機の一構成例の断面構造を示す図、図2は、図1に示される電動送風機1における第1の遠心ファンの一構成例を示す斜視図、図3は、図1に示される電動送風機1における気流を概略的に示す図である。なお、図3において、破線矢印及び実線矢印で気流の様子を示しているが、図示した矢印は気流の一例を概略的に示したものに過ぎず、後述する、同様の破線矢印及び実線矢印が描かれた図面についても同様のことが言える。
図1に示されるように、実施の形態1に係る電動送風機1は、回転シャフト13を有するモータ10と、回転シャフト13の第1端側に固定された第1の遠心ファン31と、回転シャフト13の上記第1端側の反対側の第2端側に固定された第2の遠心ファン32と、ケーシング(筐体)20と、を有する。
モータ10は、例えば、固定子11と、固定子11の内側に備えられ、回転シャフト13及び回転シャフト13に固定された回転子コア12を有する回転子と、を有することができる。なお、この回転子は、例えば、回転子コア12の中心部分に設けられたシャフト孔に、回転シャフト13が固定されて構成される。モータ10は、固定子11に対して回転シャフト13を回転軸として回転子が回転するようになっている。その他、図示しないが、電動送風機1は、モータ10を駆動させるために、駆動回路、電源、及び電気配線などを備えている。
図1に示されるように、第1の遠心ファン31は、回転シャフト13の第1端(図1における右端)に固定され、第2の遠心ファン32は、回転シャフト13の第2端(図1における左端)に固定されることができる。但し、回転シャフト13の右端を第1の遠心ファン31から突出させた状態で第1の遠心ファン31が固定されてもよいし、回転シャフト13の左端を第2の遠心ファン32から突出させた状態で第2の遠心ファン32が固定されてもよい。以下、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32について区別せずに説明を行う際には、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32を単に遠心ファン31,32と称する。
遠心ファン31,32は、いずれも、回転時に回転軸に平行な軸方向(つまり、回転の軸方向)に直角な方向の成分(遠心方向成分)を有する気流が発生できる形状を有するファンであり、輻流ファン、多翼ファン、ターボファンなどと称することもできる。具体的には、第1の遠心ファン31は、例えば、図2に示されるように、回転シャフト13を取り付ける基部(土台)33aに複数の羽根33bが設けられた形状を有することができ、それらの羽根33bの回転時に少なくとも遠心方向成分を有する気流を発生する。なお、羽根33bは、遠心翼と称されることもある。また、以下では、回転の軸方向を、単に「軸方向」とも称す。
第2の遠心ファン32も、第1の遠心ファン31と同様の形状を有することができるが、いずれも回転シャフト13を共通の回転軸として回転するため、例えば、第1の遠心ファン31が図2に示される形状を有するのであれば、第2の遠心ファン32は図2の紙面上において軸対称に左右反転させたような形状を有することが、同程度の気流を発生できる点から、好ましいと言える。但し、遠心ファン31,32は、前向き羽根を有するファンであっても後向き羽根を有するファンであってもよく、特に、回転シャフト13への取付前の状態で見た時に同じ向きの羽根を有すること、例えば全く同じ形状とすることもできる。
また、遠心ファン31,32の形状は、主に遠心ファン31,32が有する羽根の形状及び数などで規定されることとなるが、上述した通り、回転時に遠心方向成分を有する気流が発生できる形状であればよい。よって、遠心ファン31,32は、遠心方向成分と軸方向に平行な成分(軸方向成分)とを有する気流を発生する斜流ファンとすることもできる。つまり、ここで説明している遠心ファンの概念には、斜流ファンも含まれる。なお、遠心ファン31,32は、翼となる複数の羽根が回転運動するため、動翼の一種であると言える。
ケーシング20は、モータ10、第1の遠心ファン31、及び第2の遠心ファン32を囲うものであり、図1に示されるように、例えば、少なくとも回転シャフト13の回転軸の周りにおいて、モータ10、第1の遠心ファン31、及び第2の遠心ファン32を囲う部材である。固定子11は、例えば、ケーシング20の内壁に固定しておくことができる。
また、ケーシング20は、第1の遠心ファン31と第2の遠心ファン32との間に設けられ、気流の通過口となる少なくとも1つの開口部(便宜上、第3の開口部と称する)を有する。この第3の開口部は、ケーシング20に設けられた開口部であり、ケーシング開口部と称することができる。第3の開口部は、例えば、図1に示されるように2つの開口部27,28とすることができる。
ここで、気流の通過口とは、気体の出口及び入口のいずれか一方を指し、実施の形態1では気体の出口を指す。つまり、電動送風機1における第3の開口部27,28は、図1及び図3に示されるように気体の出口(気流の下流側に位置する開口部)となる。また、気体は、空気であることが一般的であるが、これに限らず特定の気体であってもよい。なお、上述のように、第3の開口部27,28は、図1及び図3に示される後述の第1の開口部21a及び第2の開口部22aとは別の開口部を指す。
第3の開口部27は、回転子コア12と第1の遠心ファン31との間の軸方向の位置に形成することができ、特に、後述する第1の遠心ファン31と第1の支持部材25(又は第1のベアリング23)との間の軸方向の位置に形成することができる。第3の開口部28は、回転子コア12と第2の遠心ファン32との間の軸方向の位置に形成することができ、特に、後述する第2の遠心ファン32と第2の支持部材26(又は第2のベアリング24)との間の軸方向の位置に形成することができる。
また、ケーシング20は、図1に示されるように、第1の開口部21a及び第2の開口部22aを有することができる。第1の開口部21aは、ケーシング20の第1端側に設けられた開口部であり、第2の開口部22aは、ケーシング20の第2端側に設けられた開口部である。第1の開口部21aは、第1の遠心ファン31により発生した気流を通過させることができ、第2の開口部22aは、第2の遠心ファン32により発生した気流を通過させることができる。以下、第1の開口部21a及び第2の開口部22aについて区別せずに説明を行う際には、これらを単に開口部21a,22aと称する。開口部21a,22aは、第3の開口部27,28と同様にケーシング開口部と称することができるが、カバー開口部と称することもできる。
また、ケーシング20は、図1に示されるように、第1の開口部21aが設けられ、第1の遠心ファン31により発生した遠心方向の気流を軸方向に向ける第1のファンカバー21を有することができる。第1のファンカバー21は、第1の遠心ファン31の一部(少なくとも第1の開口部21aを除く部分)を覆うカバーとなる。さらに、ケーシング20は、図1に示されるように、第2の開口部22aが設けられ、前記第2の遠心ファンにより発生した遠心方向の気流を軸方向に向ける第2のファンカバー22を有することができる。第2のファンカバー22は、第2の遠心ファン32の一部(少なくとも第2の開口部22aを除く部分)を覆うカバーとなる。但し、ケーシング20は、第1のファンカバー21及び第2のファンカバー22のような斜めに配置されたカバーを有さない構造であっても、第1の開口部21a及び第2の開口部22aを有していればよい。以下、第1のファンカバー21及び第2のファンカバー22について区別せずに説明を行う際には、これらを単にファンカバー21,22と称する。
図3に示されるように、第1のファンカバー21は、気体を吸引する口として第1の開口部21aを有するとともに、第1の遠心ファン31から遠心方向に発生した気流(吐出された気体)が衝突する傾斜面(第1傾斜面)を有する。このような構成及び第1の遠心ファン31との位置関係により、第1のファンカバー21は、第1の遠心ファン31の回転によって第1の開口部21aから吸引された気体を遠心方向に流し、上記第1傾斜面にてその気流の向き(風向)を変更する風向変更部材(風向調整変更板)として機能する。図3において破線矢印で示される気流のように、この例では、上記第1傾斜面により気流を回転子コア12側へ向かう方向に変更させること、つまり軸方向成分を有するように変更させることができる。
また、図1に示されるように、第1のファンカバー21は、回転シャフト13の回転軸を中心とし回転子コア12からの距離が離れるに連れて直径(内径及び外径)を小さくした円筒の形状を有することができる。但し、第1のファンカバー21の形状はこれに限ったものではない。なお、第1のファンカバー21は、少なくとも第1の開口部21aにおいては、第1の遠心ファン31を覆っていない。また、第1のファンカバー21は、例えば、図1に示されるように、ケーシング20の本体の内周壁に固定しておくことができる。
図3に示されるように、第2のファンカバー22は、第1のファンカバー21と同様に、気体を吸引する口として第2の開口部22aを有するとともに、第2の遠心ファン32から遠心方向に発生した気流が衝突する傾斜面(第2傾斜面)を有し、風向変更部材として機能する。図3において実線矢印で示される気流のように、この例では、上記第2傾斜面により気流を回転子コア12側へ向かうように変更させることができる。図1に示されるように、第2のファンカバー22も、第1のファンカバー21と同様に、回転シャフト13の回転軸を中心とし回転子コア12からの距離が離れるに連れて直径を小さくした円筒の形状を有することができるが、これに限ったものではない。なお、第2のファンカバー22は、少なくとも第2の開口部22aにおいては第2の遠心ファン32を覆っていない。また、第2のファンカバー22も、第1のファンカバー21と同様に、例えばケーシング20の本体の内周壁に固定しておくことができる。
なお、第1の遠心ファン31が斜流ファンである場合、回転時に斜流ファン単独で軸方向成分を含む気流を発生することができるが、この場合にも、ケーシング20は、第1のファンカバー21を備えることができる。第2の遠心ファン32が斜流ファンである場合についても第1の遠心ファン31と同様に説明できる。
また、電動送風機1は、図1に示されるように、第1のベアリング23、第2のベアリング24、第1の支持部材(第1のベアリング支持部材)25、及び第2の支持部材(第2のベアリング支持部材)26を有することができる。以下、第1のベアリング23及び第2のベアリング24について区別せずに説明を行う際には、これらを単にベアリング23,24と称する。同様に、第1の支持部材25及び第2の支持部材26について区別せずに説明を行う際には、これらを単に支持部材25,26と称する。
第1のベアリング23は、第1端側において回転シャフト13を回転可能に支持するベアリングであり、図1に示されるように、第1の遠心ファン31と回転子コア12との間の位置に配置されることができる。また、第1の支持部材25は、ケーシング20内に固定され、第1のベアリング23を支持する。第2のベアリング24は、第2端側において回転シャフト13を回転可能に支持するベアリングであり、図1に示されるように、第2の遠心ファン32と回転子コア12との間の位置に配置されることができる。また、第2の支持部材26は、ケーシング20内に固定され、第2のベアリング24を支持する。
ベアリング23,24及び支持部材25,26について、図4から図6を併せて参照しながら説明する。図4は、第1のベアリング23及び第1の支持部材25の一例を示す図、図5は、図4に示される第1の支持部材25を示す上面図で図4のA-A線から見た上面図、図6は、第1の支持部材25の他の構成例を示す断面図である。
図1及び図4に示されるように、第1の支持部材25は、ケーシング20の内壁に固定することで、取り付けることができる。例えば、第1の支持部材25は、突起部を有し、ケーシング20に形成した孔にその突起部を貫通させた状態で、ケーシング20に固定することができる。第2の支持部材26のケーシング20への取り付け方法も第1の支持部材25の取り付け方法と同様である。
図4に示されるように、第1のベアリング23は、内輪23a、外輪23b、及びそれらの間に備えられた複数の転動体23cを有することができる。ここで、図4に示されるように、第1のベアリング23の内輪23aの内周側は、回転シャフト13の中央部分に固定された回転子コア12と第1端側(図1における右側)に固定された第1の遠心ファン31との間において、回転シャフト13に固定されている。一方、図4に示されるように、第1のベアリング23の外輪23bの外周側は、第1の支持部材25に固定されている。
なお、図4に示される例では、第1のベアリング23として、内輪23a、外輪23b、及び転動体23cを有するベアリングと、内輪23d、外輪23e、及び転動体23fを有するベアリングの、合計2つのベアリングを備えることで、回転シャフト13の傾きを防止しながら保持しているが、ベアリングの個数はこれに限ったものではない。
図示しないが、第2のベアリング24は、第1のベアリング23と同様に、内輪、外輪、及びそれらの間に備えられた複数の転動体を有することができる。また、第2のベアリング24の回転シャフト13及び第2の支持部材26への固定方法についても、第1のベアリング23の回転シャフト13及び第1の支持部材25への固定方法と同様である。つまり、第2のベアリング24の内輪の内周側は、回転子コア12と第2の遠心ファン32との間において、回転シャフト13に固定されており、第2のベアリング24の外輪の外周側は、第2の支持部材26に固定されている。
このように、第1のベアリング23を回転シャフト13及び第1の支持部材25に取り付け、第2のベアリング24を回転シャフト13及び第2の支持部材26に取り付けることで、回転シャフト13及びそれに固定された回転子コア12は、第1の支持部材25及び第2の支持部材26及びそれらが固定されたケーシング20に対して回転可能に、つまりケーシング20に固定された固定子11に対して回転可能になる。
また、第1の支持部材25は、図5に示されるように、第4の開口部25dを有することができる。第4の開口部25dは、ケーシング20の内部の開口部であり、内部開口部と称することもできる。第4の開口部25dは、第1の支持部材25の回転子コア12側の空間と第1の支持部材25の第1の遠心ファン31側の空間とを連通させる連通口とすることができる。図5に示される第1の支持部材25は、ケーシング20の内壁に固定するための環状部25aと、第1のベアリング23の外輪23b,23eに固定するための中心部25bと、環状部25aと中心部25bとを接続する複数本の枝部25cと、を有し、隣り合う枝部25c同士の間が第4の開口部25dとなっている。この例では、枝部25cが4本設けられており、第4の開口部25dの数が4つとなっている。また、第1の支持部材25に第4の開口部として設けられる連通口の数は、複数に限らず、1つであってもよい。
また、第1の支持部材25は、第4の開口部を有する構成を採用した場合であっても、上述したような形状に限ったものではなく、例えば環状部25aを取り除き、枝部25cの先端が直接ケーシング20の内壁に固定されるような形状であってもよい。より具体的には、第1の支持部材25は、図6に示されるように、図4及び図5に示される第1の支持部材25において、枝部25cをそのままに環状部25aを取り除き、且つ中心部25bを枝部25cと同様の枝部を有するように構成した取付部25baを設けたような形状を有することができる。図6に示される例では、取付部25baの枝部の先端とそれより軸方向の位置がずれた枝部25cの先端とを、ケーシング20の内壁に固定することができるため、第1の支持部材25をケーシング20に対して強固に固定することができる。
また、図示しないが、第2の支持部材26は、第1の支持部材25と同様に、内部開口部(第5の開口部と称す)を有することができ、第5の開口部は、例えば、第2の支持部材26の回転子コア12側の空間と第2の支持部材26の第2の遠心ファン32側の空間とを連通させる連通口とすることができる。また、第2の支持部材26に第5の開口部として設けられる連通口の数も、複数に限らず、1つであってもよい。以下、第4の開口部と第5の開口部とについて、区別せずに説明を行う際には、これらを単に連通口(支持部材25,26に設けられた連通口)と称する。
第1の支持部材25に第4の開口部を設け且つ第2の支持部材26に第5の開口部を設けておくことで、モータ10の放熱を促進(補助)することができ、また、第1のベアリング23の放熱を第1の遠心ファン31側からだけでなくモータ10側からも促進(補助)することができ、第2のベアリング24の放熱を第2の遠心ファン32側からだけでなくモータ10側からも促進(補助)することができる。実際、モータ10の巻線は通電時に発熱し、回転シャフト13を回転可能に支持するベアリング23,24も回転シャフト13の回転時に摩擦により発熱し、いずれも発熱によって、寿命が短くなること及び信頼性が低下することが懸念されるが、上述のような放熱の促進により、モータ10及びベアリング23,24の信頼性が向上し、長寿命化が図れる。
なお、第1のベアリング23の第1の遠心ファン31側からの放熱は、第1の遠心ファン31側からの気流が第1のベアリング23に接することによるものであり、第2のベアリング24の第2の遠心ファン32側からの放熱は、第2の遠心ファン32側からの気流が第2のベアリング24に接することによるものである。また、第1のベアリング23の放熱は、第1のベアリング23と回転シャフト13との間を、軸方向の両端のいずれか一方から他方へ気流を通すことで促進させることができる。同様に、第2のベアリング24の放熱は、第2のベアリング24と回転シャフト13との間を、軸方向の両端のいずれか一方から他方へ気流を通すことで促進させることができる。
次に、図1に示される電動送風機1における主たる特徴について、図7を併せて参照しながら説明する。図7は、図1に示される電動送風機1における回転シャフト13に与えられる軸方向の力の向きを示す図である。
実施の形態1では、回転シャフト13の回転中、図7に示されるように、第1の遠心ファン31により回転シャフト13に対して第1の方向に与えられる第1の力F1と、第2の遠心ファン32により回転シャフト13に対して第2の方向に与えられる第2の力とは、互いに反対である。ここで、第1の方向及び第2の方向は、いずれも回転シャフト13の軸方向であるが、互いに反対の方向である。換言すると、実施の形態1では、第1の遠心ファン31が回転シャフト13に対して軸方向に与える第1の力F1と、第2の遠心ファン32が回転シャフト13に対して軸方向に与える第2の力F2とは、互いに反対の向きである。なお、第1の力F1及び第2の力F2は、いずれも回転シャフト13の軸方向に作用する力を指し、スラスト力又はスラスト荷重とも称される。
このような第1の力F1及び第2の力F2は、回転シャフト13の軸の両端に固定された第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32が回転時に気体を吸い込む(図3に示される実施の形態1では、ケーシング20の外部から内部へと吸い込む)際の反作用として生じる。よって、上述のような第1の力F1と第2の力F2との関係は、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32が吸い込む気流の向きが、互いに軸方向に反対(互いに対称の向き)となることを意味する。電動送風機1は、第1の力F1と第2の力F2とが上述のような関係になるように構成することで、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32の回転軸となる回転シャフト13に双方から互いに打消し合う(相殺し合う)方向のスラスト力を与えることができるため、電動送風機1における軸方向の力のバランスを良くすること(軸方向の力を低減すること)ができる。
また、回転シャフト13にスラスト荷重が加わった場合、図4に示される、第1のベアリング23の内輪23a及び外輪23bと転動体23cとの間の摩擦、及び内輪23d及び外輪23eと転動体23fとの間の摩擦が増え、摩耗することがあり、第2のベアリング24についても同様である。しかし、実施の形態1では、回転シャフト13にかかるスラスト荷重を低減しているため、このような摩耗の量を低減することができ、第1のベアリング23及び第2のベアリング24の長寿命化を図ることができる。
また、第1の力F1と第2の力F2とを互いに反対の方向の力とすることは、図3において気流が破線矢印及び実線矢印で示されるように、遠心ファン31,32の双方でケーシング20の外部から内部へ気体を吸い込むように電動送風機1を構成することで実現できるが、第1の遠心ファン及び第2の遠心ファンの双方でケーシングの内部から外部へ気体を吸い込んで吐出する電動送風機であっても実現できる。実施の形態1では、前者の場合について説明しており、後者の場合については、実施の形態8として後述する。
前者の場合に相当する実施の形態1に係る電動送風機1では、第1の力F1は、回転シャフト13の第2端側(第2の遠心ファン32が取り付けられた側の端部)から第1端側(第1の遠心ファン31が取り付けられた側の端部)に向かう力であり、第2の力F2は、回転シャフト13の第1端側から第2端側に向かう力である。つまり、電動送風機1では、第1の方向が第2端側から第1端側に向かう方向であり、第2の方向が第1端側から第2端側に向かう方向である。
また、電動送風機1は、図3において気流が破線矢印及び実線矢印で示されるように、遠心ファン31,32によりファンカバー21,22の開口部21a,22aから気体を吸引し、その気体を開口部27,28から吐出(排出)する。よって、電動送風機1は、例えば、開口部27,28に送風口を有する管などを接続することにより、送風用途の電気機器に搭載することができる。但し、電動送風機1は、例えば、開口部21a,22aに吸引口を有する管などを接続することにより、吸引用途の電気機器に搭載することもできる。
ここで、気流の一部がモータ10を通過する構造を採用した場合、モータ10において塵が堆積しないように、ケーシング20の外部(開口部27,28又はそれに接続された管など、又は、開口部21a,22a又はそれに接続された管など)にフィルタ等を備えることが望ましい。
また、第1の力F1と第2の力F2とは、互いに釣り合うこと(大きさが等しいこと)が好ましい。これにより、遠心ファン31,32の回転に伴う電動送風機1の軸方向の力をなくし、軸方向のバランスを正確にとることができる。ここで、第1の遠心ファン31が起こす気流と第2の遠心ファン32が起こす気流とが、第1の遠心ファン31と第2の遠心ファン32との中間位置における軸方向に垂直な面に対して面対称となるように、遠心ファン31,32及びファンカバー21,22の形状及び配置を行うことで、第1の力F1と第2の力F2とを釣り合わせてもよい。また、第1の力F1と第2の力F2が正確に釣り合わなくても、ほぼ釣り合っていれば同様の効果を奏する。
《1-2》変形例
実施の形態1に係る電動送風機の変形例について、図8から図10を参照しながら説明する。図8から図10は、実施の形態1に係る電動送風機の他の構成例の断面構造を示す図であり、いずれも異なる構成例を示す図である。図8から図10において、図1と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図1で用いられた符号と同じ符号が付されている。
図8に示される電動送風機1aは、図1に示される電動送風機1において、ケーシング20の代わりに開口部27を有さない(開口部27が設けられていない)ケーシング20aを有する。電動送風機1aでは、第1の支持部材25及び第2の支持部材26にいずれも連通口が設けられているものとし、図8において破線矢印で示されるように、第1の遠心ファン31から吸い込まれた気体は、モータ10の内部を通過し、開口部28から吐出される。また、図8において実線矢印で示されるように、第2の遠心ファン32から吸い込まれた気体は、そのまま開口部28から吐出される。
図9に示される電動送風機1bは、図8に示される電動送風機1aにおいて、ケーシング20aの代わりに、ケーシング20aにおいて新たな第3の開口部28aが設けられたケーシング20bを有する。電動送風機1bでは、第1の支持部材25及び第2の支持部材26にいずれも連通口が設けられているものとし、図9において破線矢印で示されるように、第1の遠心ファン31から吸い込まれた気体は、モータ10の内部を通過し、開口部28,28aから吐出される。また、図9において実線矢印で示されるように、第2の遠心ファン32から吸い込まれた気体は、そのまま開口部28,28aから吐出される。なお、図9に示されるように、開口部28と開口部28aとの軸方向の位置は同じであるが、開口部28と開口部28aの軸方向の位置は、第2の遠心ファン32と第2の支持部材26との間であればよい。また、ケーシング20bにおいて、このような間の軸方向の位置に設けられる第3の開口部は、2つに限らず、3つ以上であってもよいが、回転シャフト13を中心とする円周上に均等に配置しておくことが好ましい。
図10に示される電動送風機1cは、図1に示される電動送風機1において、ケーシング20の代わりに、ケーシング20において新たな第3の開口部27a,28aが設けられたケーシング20cを有する。電動送風機1cでは、第1の支持部材25及び第2の支持部材26に連通口が設けられていても、設けられていなくてもよい。電動送風機1cでは、第1の遠心ファン31から吸い込まれた気体は、図10において破線矢印で示されるようにそのまま開口部27,27aから吐出され、連通口が設けられている場合には、一部の気体がモータ10の内部を通過し、開口部28,28aからも吐出される。同様に、電動送風機1cでは、第2の遠心ファン32から吸い込まれた気体は、図10において実線矢印で示されるようにそのまま開口部28,28aから吐出され、連通口が設けられている場合には、一部の気体がモータ10の内部を通過し、開口部27,27aからも吐出される。
なお、開口部28,28aの軸方向の位置及びこの位置に設けられる開口部の個数及び配置については、図9を参照して説明した通りである。開口部27,27aについても開口部28,28aと同様の説明が援用できる。つまり、図10に示されるように、開口部27と開口部27aとの軸方向の位置は同じであるが、開口部27と開口部27aの軸方向の位置は、第1の遠心ファン31と第1の支持部材25との間であればよい。また、ケーシング20cにおいて、このような間の軸方向の位置に設けられる開口部は、2つに限らず、3つ以上であってもよいが、回転シャフト13を中心とする円周上に均等に配置しておくことが好ましい。
《1-3》効果
実施の形態1に係る電動送風機1,1a,1b,1cによれば、回転時に第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32が起こす気流により、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32の回転軸となる回転シャフト13に双方から互いに打消し合う(相殺し合う)方向の力を与えることができ、電動送風機1,1a,1b,1cにおける軸方向の力を低減することができる。そして、実施の形態1によれば、このような軸方向の力を低減させることができるため、電動送風機において、静圧を高くするために遠心ファンを積極的に採用すること、又は静圧の高い遠心ファンを採用することが可能になる。
また、電動送風機1,1a,1b,1cでは、第1の力F1を、回転シャフト13の第2端から第1端に向かう力とし、第2の力F2を、回転シャフト13の第1端から第2端に向かう力とすることで、例えば開口部27,28に送風口を有する管などを接続することにより、送風用途の電気機器に搭載でき、例えば開口部21a,22aに吸引口を有する管などを接続することにより、吸引用途の電気機器に搭載することもできる。
また、ケーシング20,20a,20b,20cは、ケーシング20の第1端側に設けられた第1の開口部21aと、ケーシング20の第2端側に設けられた第2の開口部22aと、を有することができる。電動送風機1,1a,1b,1cによれば、開口部21a,22aを有することで、第1の遠心ファン31により発生した気流を第1の開口部21aから通過させることができ、第2の遠心ファン32により発生した気流を第2の開口部22aから通過させることができる。
また、ケーシング20,20a,20b,20cは、第1の開口部21aが設けられ、第1の遠心ファン31により発生した遠心方向の気流を軸方向に向ける第1のファンカバー21と、第2の開口部22aが設けられ、第2の遠心ファン32により発生した遠心方向の気流を軸方向に向ける第2のファンカバー22と、を有することができる。電動送風機1,1a,1b,1cによれば、このようなファンカバー21,22を有することで、第1の遠心ファン31の回転によって第1の開口部21aから吸引された気体を遠心方向に流し、その気流の向き(風向)を変更することができ、第2の遠心ファン32の回転によって第2の開口部22aから吸引された気体を遠心方向に流し、その気流の向き(風向)を変更することができる。
また、電動送風機1,1a,1b,1cによれば、第1のベアリング23、第2のベアリング24、第1の支持部材25、及び第2の支持部材26を有することで、遠心ファン31,32の回転により回転シャフト13に働くスラスト荷重に連動したベアリング23,24に働くスラスト荷重を低減することができ、ベアリング23,24の摩耗を防ぎ、長寿命化を図ることができる。
また、第1の支持部材25及び第2の支持部材26に連通口を形成し、モータ10の内部に気体を流すことで、モータ10の放熱を促進することができ、また、第1のベアリング23も、遠心ファン31側からだけでなく、モータ10側から放熱を促進することができ、第2のベアリング24も、遠心ファン32側からだけでなく、モータ10側から放熱を促進することができる。これにより、モータ10及びベアリング23,24は、いずれも、その信頼性を向上させること、及びその寿命を長くすることが期待できる。
また、第1の力F1と第2の力F2とを釣り合わせることで、回転時に第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32が起こす気流により、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32の回転軸となる回転シャフト13に働くスラスト力を互いに打消し合う(相殺し合う)ことができ、遠心ファン31,32の回転に伴う電動送風機1,1a,1b,1cにおける軸方向の力をなくすことができる。また、これにより、例えば、遠心ファン31,32の回転に伴うベアリング23,24に加わるスラスト荷重をなくすことができ、ベアリング23,24の長寿命化を図ることができる。
《2》実施の形態2
《2-1》構成
実施の形態2に係る電動送風機について、図11から図16を参照しながら説明する。図11は、実施の形態2に係る電動送風機の一構成例の断面構造を示す図、図12は、図11に示される電動送風機2における気流を概略的に示す図である。図11から図16において、図1と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図1で用いられた符号と同じ符号が付されている。以下、実施の形態2について、実施の形態1との相違点について説明するが、実施の形態2では、実施の形態1における相違点を除く様々な例が適用できる。
実施の形態1では、図1に示される支持部材25,26に連通口を形成し、遠心ファン31,32で発生した気流によりモータ10及びベアリング23,24の放熱を促進できる例を挙げたが、実施の形態2においても、基本的に、これらの支持部材25,26にモータ10の放熱の促進を目的として連通口が設けられていることを前提として説明するが、設けられなくてもよい。
図11に示されるように、実施の形態2に係る電動送風機2は、図1に示される電動送風機1において、第1の仕切り部41をさらに有する。第1の仕切り部41は、ケーシング20内に固定され、第1の遠心ファン31により発生した気流の方向を、第1の遠心ファン31と第1の支持部材25との間において変更する。そのため、図11に示されるように、第1の仕切り部41は、軸方向における第1の遠心ファン31と第1のベアリング23との間に(換言すれば、第1の遠心ファン31と第1の支持部材25との間に)に配置される。第1の仕切り部41の形状は問わないが、図11に示されるように板状であることが簡易な構造である点で好ましいと言える。
第1の仕切り部41により、ケーシング20の内側において、第1の遠心ファン31が固定された側の空間と第2の遠心ファン32が固定された側の空間とを仕切ることができる。つまり、第1の仕切り部41は、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流とが、衝突しない(合流しない)ように分ける役割を果たす。なお、第1の仕切り部41は、回転シャフト13を通すための連通口を有する。
また、第1の仕切り部41は、第3の開口部27と軸方向の位置を少なくとも一部重複させることができる。つまり、第3の開口部27は、軸方向について、第1の仕切り部41が配置された第1の配置範囲と少なくとも一部が重なる第1の範囲に設けることができる。図11においては、第3の開口部27の軸方向の中間位置と第1の仕切り部41の軸方向の中間位置とが合致するように、第3の開口部27及び第1の仕切り部41が配置された例を挙げている。また、電動送風機2では、図12において破線矢印で示される気流から分かるように、第1のファンカバー21の開口部21aと第3の開口部27とを結ぶ気体の通路が形成されている。
また、図11に示されるように、第1の仕切り部41は、径方向(軸方向に垂直な方向)において第3の開口部27の位置まで、又はその位置付近まで、延伸されていることが好ましい。これにより、気体の吐出口となる第3の開口部27まで、気流の衝突を避けることができる。なお、第3の開口部27から吐出される気流は、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流とが合流するが、第3の開口部27まで延伸された第1の仕切り部41によりほぼ同じ方向に向いた状態で合流するため、合流による圧力損失は小さい。
第1の仕切り部41が径方向において第3の開口部27の位置まで延伸されていない形態においては、第2の遠心ファン32により発生し支持部材25,26の連通口を通過する気流が存在した場合、その気流と第1の遠心ファン31により発生した気流とが第3の開口部27から吐出される前に合流する。しかし、軸方向の配置範囲が第1の仕切り部41と第3の開口部27とで重なるため、第1の仕切り部41に沿って同じ方向に向いた状態で合流されることになり、合流による圧力損失は小さい。
また、図11に示されるように、電動送風機2は、第1の仕切り部41と同様の形状の第2の仕切り部42を、第2の遠心ファン32側に有することもできる。但し、第1の仕切り部41と第2の仕切り部42とは、形状が異なってもよい。第2の仕切り部42は、ケーシング20内に固定され、第2の遠心ファン32により発生した気流の方向を、第2の遠心ファン32と第2の支持部材26との間において変更する。そのため、図11に示されるように、第2の仕切り部42は、軸方向における第2の遠心ファン32と第2のベアリング24との間に(つまり、第2の遠心ファン32と第2の支持部材26との間に)配置される。第2の仕切り部42によっても、ケーシング20の内側において、第1の遠心ファン31が固定された側の空間と第2の遠心ファン32が固定された側の空間とを仕切ることができる。
また、第2の仕切り部42は、第3の開口部28と軸方向の位置を少なくとも一部重複させることができる。つまり、第3の開口部28は、軸方向について、第2の仕切り部42が配置された第2の配置範囲と少なくとも一部が重なる第2の範囲に設けることができる。図11においては、第3の開口部28の軸方向の中間位置と第2の仕切り部42の軸方向の中間位置とが合致するように、第3の開口部28及び第2の仕切り部42が配置された例を挙げている。また、電動送風機2では、図12において実線矢印で示される気流から分かるように、第2のファンカバー22の開口部22aと第3の開口部28とを結ぶ気体の通路が形成されている。
また、図11に示されるように、第2の仕切り部42は、径方向において第3の開口部28での位置まで、又はその位置付近まで延伸されていることが好ましい。これにより、気体の吐出口となる第3の開口部28まで、気流の衝突を避けることができる。なお、第3の開口部28から吐出される気流は、第3の開口部27から吐出される気流と同様の理由から、合流による圧力損失は小さい。
第2の仕切り部42が径方向において第3の開口部28の位置まで延伸されていない形態においては、仮に、第1の遠心ファン31により発生し支持部材25,26を通過する気流が存在した場合、その気流と第2の遠心ファン32により発生した気流とが第3の開口部28から吐出される前に合流する。しかし、軸方向の配置範囲が第2の仕切り部42と第3の開口部28とで重なるため、第2の仕切り部42に沿って同じ方向に向いた状態で合流されることになり、合流による圧力損失は小さい。
実施の形態2に係る電動送風機2では、以上のような構成を有することにより、ケーシング20の内部において、第1の遠心ファン31により発生した気流を図12において破線矢印で示すような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を図12において実線矢印で示すような気流とすることができ、双方の気流の衝突を抑制することができる。つまり、第1の仕切り部41及び第2の仕切り部42を備えた電動送風機2によれば、第1の仕切り部41及び第2の仕切り部42がない場合に比べて、気流の衝突及び混合による圧力損失を低減し、空力効率を向上させることができる。
《2-2》変形例
実施の形態2に係る電動送風機の変形例について、図13から図16を参照しながら説明する。図13、図15、及び図16は、実施の形態2に係る電動送風機の他の構成例の断面構造を示す図であり、いずれも異なる構成例を示す図である。図14は、図13に示される電動送風機における気流を概略的に示す図である。図13から図16において、図11と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図11で用いられた符号と同じ符号が付されている。
図13に示される電動送風機2aは、図11に示される電動送風機2において、第1の仕切り部41の代わりに、第1の遠心ファン31により発生した気流を通過させる第1の連通口41bを有する第1の仕切り部41aを有する。第1の連通口41bは、第1の仕切り部41aの第1の遠心ファン31側の空間と第1の仕切り部41aの第1の支持部材25側の空間とを連通させる連通口であり、例えば円形の連通口などで例示できる。第1の連通口41bは、複数個所に形成することもできる。
また、電動送風機2aは、図11に示される電動送風機2において、第2の仕切り部42の代わりに、第2の遠心ファン32により発生した気流を通過させる第2の連通口42bを有する第2の仕切り部42aを有する。第2の連通口42bは、第2の仕切り部42aの第2の遠心ファン32側の空間と第2の仕切り部42aの第2の支持部材26側の空間とを連通させる連通口であり、例えば円形の連通口などで例示できる。第2の連通口42bは、複数個所に形成することもできる。
第1の仕切り部41aにより、図14において破線矢印で示されるように、第1の遠心ファン31により発生した気流を、第1の支持部材25の連通口を通り、モータ10に接してモータ10の放熱を促進し、その後、第2の支持部材26の連通口を通り、第3の開口部28から吐出されるといった気流を含むようにすることができる。このとき、第1の連通口41bを通る気流により、第1のベアリング23の放熱の促進は可能であり、第1の支持部材25の連通口を通る気流により、モータ10及びベアリング23,24の放熱の促進は可能である。
また、第2の仕切り部42aにより、図14において実線矢印で示されるように、第2の遠心ファン32により発生した気流を、第2の支持部材26の連通口を通り、モータ10に接してモータ10の放熱を促進し、その後、第1の支持部材25の連通口を通り、第3の開口部27から吐出されるといった気流を含むようにすることができる。このとき、第2の連通口42bを通る気流により、第2のベアリング24の放熱の促進は可能であり、第2の支持部材26の連通口を通る気流により、モータ10及びベアリング23,24の放熱の促進は可能である。
また、第1の仕切り部41a及び第2の仕切り部42aは、いずれも、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流とが、部分的に衝突しない(合流しない)ように分ける役割を果たす。よって、第1の仕切り部41a及び第2の仕切り部42aを備えた電動送風機2aによれば、第1の仕切り部41a及び第2の仕切り部42aがない実施の形態1に係る電動送風機1に比べて、気流の衝突及び混合による圧力損失を低減し、空力効率を向上させることができる。また、以上に説明されるように、電動送風機2aによれば、図11に示される電動送風機2に比べて、モータ10及びベアリング23,24の放熱の促進が可能になる。
図15に示される電動送風機2bは、図11に示される電動送風機2において、第1の仕切り部41を備えない構成となっている。なお、この構成は、図11に示される電動送風機2において、第2の仕切り部42を備えない構成と実質的に同じである。このような構成の電動送風機2bでは、第1の遠心ファン31により発生した気流を、図15において破線矢印で示されるような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を、図15において実線矢印で示されるような気流とすることができ、双方の気流の衝突を防ぐことができ、且つモータ10及びベアリング23,24の放熱の促進も可能となる。なお、第3の開口部28で双方の気流が合流するが、上述されるように第2の仕切り部42によりほぼ同じ方向に向いた状態で合流するため、合流による圧力損失は小さい。
図16に示される電動送風機2cは、図13に示される電動送風機2aにおいて、第1の仕切り部41aを備えない構成となっている。なお、この構成は、図13に示される電動送風機2aにおいて、第2の仕切り部42aを備えない構成と実質的に同じである。このような構成の電動送風機2cでは、第1の遠心ファン31により発生した気流を、図16において破線矢印で示されるような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を、図16において実線矢印で示されるような気流とすることができ、双方の気流の衝突を一部で防ぐことができ、且つモータ10及びベアリング23,24の放熱の促進も可能となる。なお、第3の開口部28における双方の気流の合流については、説明した通りである。
図15及び図16に示される構成例のように、実施の形態2に係る電動送風機は、第1の仕切り部を備えずに第2の仕切り部を備える構成(又はその逆の構成)であってもよく、回転シャフト13の両端の遠心ファン31,32の少なくとも一方の側に仕切りを備える構成であれば、気流の衝突を抑制するような同様の効果は得られる。但し、図11又は図13に示される電動送風機2又は2aのように、第1の仕切り部41又は41a及び第2の仕切り部42又は42aを備えることで、気流の衝突をより抑制することができ、また、電動送風機のケーシング20の内部の構造も第1の遠心ファン31側と第2の遠心ファン32側とで対称に設計し易く、気流が制御し易くなる。
また、実施の形態2に係る電動送風機2,2a,2b,2cについて、支持部材25,26の双方に連通口を形成することを前提に説明したが、支持部材25,26の双方に連通口を形成しない形態も採用できる。その形態においては、モータ10の放熱の促進ができなくなるが、第1の仕切り部41aの第1の連通口41b及び第2の仕切り部42aの第2の連通口42bを形成しておくことで、ベアリング23,24の放熱の促進は可能である。
《2-3》効果
実施の形態2に係る電動送風機2,2a,2b,2cによれば、実施の形態1による軸方向の力を低減できる効果及びそれに伴うベアリング23,24の摩耗を少なくし長寿命化が図れる効果を奏する。さらに、電動送風機2,2a,2b,2cによれば、第1の仕切り部41等の仕切りを備えない場合に比べて、ケーシング20の内部において、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流との衝突を抑制することができ、気流の衝突及び混合による圧力損失を低減し、空力効率を向上させることができる。また、図15及び図16に示されるように、実施の形態2に係る電動送風機2b,2cでは、このような効果のほかに、モータ10及びベアリング23,24の放熱を促進させる効果も期待できる。
また、図13及び図14に示されるように、実施の形態2に係る電動送風機2aによれば、第1の遠心ファン31により発生した気流を通過させる第1の連通口41bを有する第1の仕切り部41aを有することで、気流の衝突及び混合による圧力損失を低減し、空力効率を向上させると共に、モータ10及びベアリング23,24の放熱を促進させることができる。
また、図11及び図13に示されるように、実施の形態2に係る電動送風機2,2aは、第1の仕切り部41に加え、ケーシング20内に固定され、第2の遠心ファン32により発生した気流の方向を、第2の遠心ファン32と第2の支持部材26との間において変更する第2の仕切り部42を、第2の遠心ファン32側に有することもできる。実施の形態2に係る電動送風機2,2aによれば、第1の仕切り部41及び第2の仕切り部42を有することで、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流との衝突をより抑制することができ、気流の衝突及び混合による圧力損失をより低減し、空力効率をより向上させることができる。また、実施の形態2に係る電動送風機2,2aによれば、ケーシング20の内部の構造も第1の遠心ファン31側と第2の遠心ファン32側とで対称に設計し易く、気流が制御し易くなる。
また、図13に示されるように、実施の形態2に係る電動送風機2aによれば、第2の遠心ファン32により発生した気流を通過させる第2の連通口42bを有する第2の仕切り部42aを有することで、気流の衝突及び混合による圧力損失を低減し、空力効率を向上させると共に、モータ10及びベアリング23,24の放熱を促進させることができる。
なお、実施の形態2における第1の仕切り部による気流衝突抑制の効果と同様の効果は、第1の仕切り部を備えない電動送風機において、単に第1の支持部材25に連通口を形成せず、第1の支持部材25を第1の仕切り部の代わりとすることでも得られる。同様に、第2の仕切り部による気流衝突抑制の効果と同様の効果は、第2の仕切り部を備えない電動送風機において、単に第2の支持部材26に連通口を形成せず、第2の支持部材26を第2の仕切り部の代わりとすることでも得られる。
《3》実施の形態3
《3-1》構成
実施の形態3に係る電動送風機について、図17から図21を参照して説明する。図17は、実施の形態3に係る電動送風機の一構成例の断面構造を示す図、図18は、図17に示される電動送風機3における気流を概略的に示す図、図19は、電動送風機3における内部ケーシング内の気流の一例を概略的に示す図である。図17、図18、図20、及び図21において、図1と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図1で用いられた符号と同じ符号が付されている。以下、実施の形態3について、実施の形態1,2との相違点について説明するが、実施の形態3では、実施の形態1,2における相違点を除く様々な例が適用できる。
実施の形態2では、第1の仕切り部等の仕切りを備えた電動送風機について、仕切りとして板状の仕切りを例に挙げて説明したが、実施の形態3に係る電動送風機は、板状の仕切りの代わりに、同様の仕切りの効果が得られるケーシング(ケーシング20と区別して説明するために、内部ケーシングと称す)を有する。
図17に示されるように、実施の形態3に係る電動送風機3は、図11に示される電動送風機2において、第1の仕切り部41及び第2の仕切り部42の代わりに、第1の内部ケーシング43及び第2の内部ケーシング44を有する。
第1の内部ケーシング43は、図18において破線矢印で示されるように、ケーシング20d内に固定され、第1の遠心ファン31により発生した気流の方向を、第1の遠心ファン31と第1の支持部材25との間において変更する。第1の内部ケーシング43は、第1の仕切り部41と同様に気流の方向を変更する機能を有し、第1の仕切り部41の一例であると言える。なお、ケーシング20dは、図1等に示される第3の開口部27,28の代わりに、第1の内部ケーシング43及び第2の内部ケーシング44に合った大きさの第3の開口部27d,28dを有するケーシングである。
図17及び図18においては簡略化して図示しているが、第1の内部ケーシング43は、第1のファンカバー21と第3の開口部27dとを結ぶ第1の流路を有する内部ケーシングである。図17においては、第1の内部ケーシング43が、その気体の吐出口が第3の開口部27dと一致するように設けられた例を挙げている。
第1の内部ケーシング43の形状は問わないが、例えば、図19に示されるようなスパイラル状の気流を内部で生じさせるように制御可能な流路を有する形状とすることで、圧力損失をより低減させることができる。つまり、上述の第1の流路は、例えば、図19で示されるような気流を導くようなスパイラル状の流路とすることができ、このような流路は、例えば、渦巻きケーシングと称されるケーシングの内部に形成されている。よって、第1の内部ケーシング43は、例えば渦巻きケーシングとすることもでき、この渦巻きケーシングにより第1の遠心ファン31により遠心方向に発生し、第1のファンカバー21によりその方向が変更された気流を1つの方向を向く気流にまとめ、第3の開口部27dから吐出させることができる。なお、第1の内部ケーシング43は、回転シャフト13を通すための連通口を有することができるが、例えば渦巻きケーシングを採用することで、回転シャフト13の表面が第1の内部ケーシング43の流路を形成する壁とならないように構成することもできる。
第2の内部ケーシング44は、図18において実線矢印で示されるように、ケーシング20d内に固定され、第2の遠心ファン32により発生した気流の方向を、第2の遠心ファン32と第2の支持部材26との間において変更する。第2の内部ケーシング44は、第2の仕切り部42と同様に気流の方向を変更する機能を有し、第2の仕切り部42の一例であると言える。
図17及び図18においては簡略化して図示しているが、第2の内部ケーシング44は、第2のファンカバー22と第3の開口部28dとを結ぶ第2の流路を有する内部ケーシングである。図17においては、第2の内部ケーシング44が、その気体の吐出口が第3の開口部28dと一致するように設けられた例を挙げている。第2の内部ケーシング44の形状についても、第1の内部ケーシング43の形状と同様である。よって、第2の内部ケーシング44は、例えば、渦巻きケーシングとすることができる。
なお、第1の内部ケーシング43又は第2の内部ケーシング44のような内部ケーシングは、ファンのためのケーシングであるため、ファンケーシングと称されることがある。また、内部ケーシングと第1のファンカバー21又は第2のファンカバー22のようなファンカバーとを合わせたものを、ファンケーシングと称することもある。
以上に説明したように、上述のように仕切り部として内部ケーシングを採用することで、図18において破線矢印で示されるように第1の遠心ファン31により発生した気流を第3の開口部27dに導き、図18において実線矢印で示されるように第2の遠心ファン32により発生した気流を第3の開口部28dに導くことができる。その結果、電動送風機3によれば、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流とを効率良く分流すること(それらの気流の衝突をより抑制すること)ができ、空力効率をより向上させることができる。なお、図17及び図18に示される電動送風機3では、支持部材25,26に連通口が設けられているか否かは問わない。
特に、第1の内部ケーシング43の形状を、スパイラル状の気流を内部で生じさせるような流路を形成する形状とすることで、第1の遠心ファン31により発生し、第1のファンカバー21により変更された気流が、スラスト方向からラジアル方向に効率良く(気流が急な角度で方向転換することなく)制御され、これにより圧力損失が低減し、空力効率をさらに高めることができる。第2の内部ケーシング44の形状についても、第1の内部ケーシング43の形状と同様に、スパイラル状の気流を内部で生じさせるような流路を形成する形状とすることで、第2の遠心ファン32及び第2のファンカバー22により発生した気流がスラスト方向からラジアル方向に効率良く制御され、これにより圧力損失が低減し、空力効率をさらに高めることができる。
《3-2》変形例
実施の形態3に係る電動送風機の変形例について、図20及び図21を参照しながら説明する。図20及び図21は、実施の形態3に係る電動送風機の他の構成例の断面構造を示す図であり、いずれも異なる構成例を示す図である。図20及び図21において、図17と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図17で用いられた符号と同じ符号が付されている。
図20に示される電動送風機3aは、図17に示される電動送風機3において、第1の内部ケーシング43を備えない構成となっている。なお、この構成は、図17に示される電動送風機3において、第2の内部ケーシング44を備えない構成と実質的に同じである。このような構成の電動送風機3aでは、第1の遠心ファン31により発生した気流を、図20において破線矢印で示されるような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を、図20において実線矢印で示されるような気流とすることができる。つまり、電動送風機3aでは、これらの気流の衝突を防ぐことができ、且つ第1のベアリング23の放熱の促進も可能となる。なお、図20に示される電動送風機3aは、少なくとも第1の支持部材25に連通口を形成しておくことで、破線矢印で示されるようなモータ10側への気流を生じさせることができるため、モータ10及び第2のベアリング24の放熱の促進も可能となる。
図21に示される電動送風機3bは、図17に示される電動送風機3において、第1の内部ケーシング43の代わりに第1の仕切り部41cを有する。第1の仕切り部41cは、板状の仕切りであり、図11に示される第1の仕切り部41とその軸方向の位置が異なり、第1の遠心ファン31側の空間と第1の支持部材25側の空間とを遮断できる位置において、ケーシング20dの内壁に固定されている。なお、この構成は、図17に示される電動送風機3において、第2の内部ケーシング44の代わりに第2の仕切り部を備えた構成と実質的に同じである。
このような構成の電動送風機3bでは、第1の遠心ファン31により発生した気流を、図21において破線矢印で示されるような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を、図21において実線矢印で示されるような気流とすることができ、双方の気流の衝突をより防ぐことができる。なお、図21に示される電動送風機3bでは、支持部材25,26に連通口が設けられているか否かは問わない。
図20及び図21に示される構成例のように、実施の形態3に係る電動送風機は、第1の内部ケーシングを備えずに第2の内部ケーシングを備える構成(又はその逆の構成)であってもよく、回転シャフト13の両端の遠心ファン31,32の少なくとも一方の側に内部ケーシングを備える構成であれば、気流の衝突を抑制するような同様の効果は得られる。但し、図17又は図21に示される電動送風機3又は3bのように、第1の遠心ファン31側と第2の遠心ファン32側の双方に内部ケーシング又は板状等の仕切りを備えることで、気流の衝突をより抑制することができる。
《3-3》効果
実施の形態3に係る電動送風機3,3a,3bによれば、実施の形態1による軸方向の力を低減できる効果及びそれに伴うベアリング23,24の摩耗を少なくし長寿命化が図れる効果を奏する。さらに、電動送風機3,3a,3bによれば、第1の内部ケーシング等の内部ケーシングを備えない場合に比べて、ケーシング20dの内部において、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流との衝突を抑制することができ、気流の衝突及び混合による圧力損失を低減し、空力効率を向上させることができる。さらに、電動送風機3,3a,3bによれば、図11に示されるような板状の仕切りを備えた場合に比べて、これらの気流の衝突をより抑制することができ、空力効率をより向上させることができる。特に、内部ケーシングの形状を、スパイラル状の気流を内部で生じさせるような流路を形成する形状とすることで、より圧力損失が低減し、空力効率をさらに高めることができる。
また、図17に示されるように、実施の形態3に係る電動送風機3によれば、第1の内部ケーシング43及び第2の内部ケーシング44を有することで、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流との衝突をより抑制することができ、気流の衝突及び混合による圧力損失をより低減し、空力効率をより向上させることができる。また、実施の形態3に係る電動送風機3によれば、ケーシング20dの内部の構造も第1の遠心ファン31側と第2の遠心ファン32側とで対称に設計し易く、気流が制御し易くなる。
《4》実施の形態4
《4-1》構成
実施の形態4に係る電動送風機について、図22から図28を参照して説明する。図22は、実施の形態4に係る電動送風機の一構成例の断面構造を示す図、図23は、図22に示される電動送風機4における気流を概略的に示す図である。図22から図28において、図1、図11、図13、及び図17と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図1、図11、図13、及び図17で用いられた符号と同じ符号が付されている。以下、実施の形態4について、実施の形態1から3との相違点について説明するが、実施の形態4では、実施の形態1から3における相違点を除く様々な例が適用できる。
実施の形態3では、第1の支持部材及び第2の支持部材が連通口を有する場合と有さない場合の双方について説明した。実施の形態4として、連通口を有する第1の支持部材及び連通口を有する第2の支持部材と、内部ケーシングと、を備えた電動送風機について説明する。
図22に示されるように、実施の形態4に係る電動送風機4は、図13に示される電動送風機2aにおいて、第1の仕切り部41aの代わりに第1の内部ケーシング45を有する。第1の内部ケーシング45は、図17に示される第1の内部ケーシング43と同様の機能を有する内部ケーシングである。
但し、図22に示されるように、電動送風機4が有するケーシング20eは、図13に示される電動送風機2aが有するケーシング20において、第3の開口部27を第3の開口部27eとしたものである。さらに、第1の内部ケーシング45は、その気体の吐出口が第3の開口部27eと一致するのではなく、第3の開口部27eにおける第1の遠心ファン31側の一部に対応するように配置されている。また、図22に示される電動送風機4では、支持部材25,26に連通口(第4,第5の開口部)が設けられている。
このような構成の電動送風機4では、第1の遠心ファン31により発生した気流を、図23において破線矢印で示されるような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を、図23において実線矢印で示されるような気流とすることができる。つまり、電動送風機4は、図23において破線矢印で示されるように、一方の気流(第1の遠心ファン31により発生した気流)をそのまま第3の開口部27eからケーシング20eの外部へ導くとともに、図23において実線矢印で示されるように、他方の気流(第2の遠心ファン32により発生した気流)を第3の開口部28からケーシング20eの外部へ導き、且つ第2の支持部材26の連通口及び第1の支持部材25の連通口を通過させ、第3の開口部27eからケーシング20eの外部へ導く。
よって、電動送風機4では、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流との衝突を防ぐことができる。また、図23において実線矢印で示されるように、モータ10が存在する支持部材25,26の間に気流が生じるため、モータ10及びベアリング23,24の放熱を促進することもできる。また、第3の開口部27eにおいては、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流とが第1の内部ケーシング45の内壁と外壁に沿って同じ方向に向いた状態で合流されるため、電動送風機4によれば、この合流による圧力損失を小さくすることができる。
《4-2》変形例
実施の形態4に係る電動送風機の変形例について、図24から図28を参照しながら説明する。図24、図27、及び図28は、実施の形態4に係る電動送風機の他の構成例の断面構造を示す図であり、いずれも異なる構成例を示す図である。図25は、図24に示される電動送風機4aにおける気流を概略的に示す図、図26は、電動送風機4aにおける第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32の回転子コアからの距離を示す図である。図24から図28において、図22と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図22で用いられた符号と同じ符号が付されている。
図24に示される電動送風機4aは、図22に示される電動送風機4において、第2の仕切り部42aを取り除き、且つケーシング20eの代わりに第3の開口部28を埋めた(第3の開口部28が設けられていない)ケーシング20fを有する。
このような構成の電動送風機4aでは、第1の遠心ファン31により発生した気流を、図25において破線矢印で示されるような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を、図25において実線矢印で示されるような気流とすることができる。つまり、電動送風機4aは、図25において破線矢印で示されるように、一方の気流(第1の遠心ファン31により発生した気流)をそのまま第3の開口部27eからケーシング20fの外部へ導くとともに、図25において実線矢印で示されるように、他方の気流(第2の遠心ファン32により発生した気流)を第2の支持部材26の連通口及び第1の支持部材25の連通口を通過させ、第3の開口部27eにおける第2の遠心ファン32側の一部からケーシング20fの外部へ導く。
これにより、図24に示される電動送風機4aは、図22に示される電動送風機4に比べて、第2の遠心ファン32により発生した気流が第2の支持部材26の連通口及び第2のベアリング24と回転シャフト13との間、並びに第1の支持部材25の連通口及び第1のベアリング23と回転シャフト13との間を通過し易くなるため、より確実に支持部材25,26の間の空間に気流を導くことが可能になる。よって、電動送風機4aによれば、電動送風機4に比べて、モータ10及びベアリング23,24の放熱を確実に促進させることができ、より放熱効率を高めることができる。
また、図26に示される電動送風機4aは、距離L1と距離L2とが互いに異なるようになっている。特に、この例では、距離L1が距離L2より長くなるように、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32が回転シャフト13に固定されている。ここで、距離L1は、第1の遠心ファン31と第1の支持部材25との間の距離(つまり、気体の吐出口となる第3の開口部27eが設けられた側における遠心ファンと支持部材との距離)である。また、距離L2は、第2の遠心ファン32と第2の支持部材26との間の距離である。このような構成を採用することで、電動送風機4aは、気体の吐出口となる第3の開口部27eを確保した上で、ケーシング20fのサイズ、つまり電動送風機4aのサイズを小さくすることができ、また、電動送風機の設計の自由度を増すことができる。
また、距離L1及び距離L2の代わりに、図26に示される距離L1a及び距離L2aを採用することもできる。ここで、距離L1aは、第1の遠心ファン31と回転子コア12の第1の遠心ファン31側の端部との間の距離(つまり、気体の吐出口となる第3の開口部27eが設けられた側における遠心ファンと回転子コアのその遠心ファン側の端部との距離)である。また、距離L2aは、第2の遠心ファン32と回転子コア12の第2の遠心ファン32側の端部との間の距離である。また、図示しないが、距離L1及び距離L2の代わりに、第1の遠心ファン31と第1のベアリング23との間の距離及び第2の遠心ファン32と第2のベアリング24との間の距離を採用することもできる。いずれの距離を採用して電動送風機4aを構成した場合でも、同様の効果を奏する。
図27に示される電動送風機4bは、図22に示される電動送風機4において、第2の仕切り部42aの代わりに第2の内部ケーシング46を有するとともに、ケーシング20eの代わりに第2の内部ケーシング46の吐出口に合わせた第3の開口部28dを有するケーシング20gを有する。第2の内部ケーシング46は、図27に示されるように、図17に示される第2の内部ケーシング44において、第2の連通口46aが設けられている。第2の連通口46aは、第2の遠心ファン32により発生した気流を通過させる連通口である。具体的には、第2の連通口46aは、第2の内部ケーシング46の内壁により形成された流路から第2の支持部材26側(回転子コア12側又は第2のベアリング24側)へと通じるように、第2の内部ケーシング46の壁に形成された連通口であり、例えば円形の連通口などで例示できる。第2の連通口46aは、複数個所に形成することもできる。
このような構成の電動送風機4bでは、第1の遠心ファン31により発生した気流を、図27において破線矢印で示されるような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を、図27において実線矢印で示されるような気流とすることができる。つまり、電動送風機4bは、図27において破線矢印で示されるように、一方の気流(第1の遠心ファン31により発生した気流)をそのまま第3の開口部27eからケーシング20gの外部へ導く。さらに、電動送風機4bは、図27において実線矢印で示されるように、他方の気流(第2の遠心ファン32により発生した気流)を、そのまま第3の開口部28dからケーシング20gの外部へ導くとともに、第2の内部ケーシング46の第2の連通口46aを通じて第2の支持部材26の連通口及び第1の支持部材25の連通口を通過させ、第3の開口部27eからケーシング20gの外部へ導く。
これにより、図27に示される電動送風機4bは、図22に示される電動送風機4に比べて、第2の支持部材26の第2の遠心ファン32側の空間の密閉度が高いため、第2の遠心ファン32により発生した気流が第2の支持部材26の連通口及び第2のベアリング24と回転シャフト13との間、並びに第1の支持部材25の連通口及び第1のベアリング23と回転シャフト13との間を通過し易くなり、より確実に支持部材25,26の間の空間に気流を導くことが可能になる。よって、電動送風機4bによれば、電動送風機4に比べて、モータ10及びベアリング23,24の放熱を確実に促進させることができ、より放熱効率を高めることができる。
図28に示される電動送風機4cは、図27に示される電動送風機4bにおいて、第1の内部ケーシング45の代わりに第1の内部ケーシング47を有する。第1の内部ケーシング47は、図28に示されるように、図27に示される第1の内部ケーシング45において、第1の連通口47aが設けられている。第1の連通口47aは、第1の遠心ファン31により発生した気流を通過させる連通口である。具体的には、第1の連通口47aは、第1の内部ケーシング47の内壁により形成された流路から第1の支持部材25側(回転子コア12側又は第1のベアリング23側)へと通じるように、第1の内部ケーシング47の壁に形成された連通口であり、例えば円形の連通口などで例示できる。第1の連通口47aは、複数個所に形成することもできる。
このような構成の電動送風機4cでは、第1の遠心ファン31により発生した気流を、図28において破線矢印で示されるような気流とし、第2の遠心ファン32により発生した気流を、図28において実線矢印で示されるような気流とすることができる。つまり、電動送風機4cは、図28において破線矢印で示されるように、一方の気流(第1の遠心ファン31により発生した気流)を、そのまま第3の開口部27eからケーシング20gの外部へ導くとともに、第1の内部ケーシング47の第1の連通口47aを通じて第1の支持部材25側に通過させ、第3の開口部27eからケーシング20gの外部へ導く。なお、電動送風機4cは、第1の連通口47aの形状及び位置によっては、第1の連通口47aから吐出された気流を、第1の支持部材25の連通口を介して第2の支持部材26側へ一旦導き、再度、第1の支持部材25の連通口を介して第1の内部ケーシング47側へ導き、第3の開口部27eからケーシング20gの外部へ導くこともできる。さらに、電動送風機4cは、図28において実線矢印で示されるように、他方の気流(第2の遠心ファン32により発生した気流)を、そのまま第3の開口部28dからケーシング20gの外部へ導くとともに、第2の内部ケーシング46の第2の連通口46aを通じて第2の支持部材26の連通口及び第1の支持部材25の連通口を通過させ、第3の開口部27eからケーシング20gの外部へ導く。
これにより、図28に示される電動送風機4cは、図22に示される電動送風機4に比べて、第2の支持部材26の第2の遠心ファン32側の空間の密閉度が高いため、第2の遠心ファン32により発生した気流が第2の支持部材26の連通口及び第2のベアリング24と回転シャフト13との間、並びに第1の支持部材25の連通口及び第1のベアリング23と回転シャフト13との間を通過し易くなり、より確実に支持部材25,26の間の空間に気流を導くことが可能になる。よって、電動送風機4cによれば、電動送風機4に比べて、モータ10及びベアリング23,24の放熱を確実に促進させることができ、より放熱効率を高めることができる。
また、図示しないが、図27に示される電動送風機4b又は図28に示される電動送風機4cにおいて、第3の開口部28dを第3の開口部27eと同様に構成して、第2の内部ケーシング46と第2の支持部材26との間の空間を直接外部と連通させることもできる。いずれの構成においても、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流とを、いずれも第3の開口部28dと第3の開口部27eの双方へ導くことが可能であるため、モータ10及びベアリング23,24の放熱を促進させることができる。
《4-3》効果
実施の形態4に係る電動送風機4,4a,4b,4cによれば、実施の形態1による軸方向の力を低減できる効果及びそれに伴うベアリング23,24の摩耗を少なくし長寿命化が図れる効果を奏するとともに、支持部材25,26が連通口を有するため、モータ10及びベアリング23,24の放熱を促進し、モータ10及びベアリング23,24の信頼性の向上及び長寿命化が期待できる。また、電動送風機4,4a,4bによれば、内部ケーシングを有することで、第1の遠心ファン31により発生した気流と第2の遠心ファン32により発生した気流との衝突を防ぐことができ、モータ10及びベアリング23,24の放熱促進効果と気流の衝突を防止する効果とを同時に得ることができる。
また、図26に示される電動送風機4aによれば、距離L1と距離L2とが互いに異なるように、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32が回転シャフト13に固定されているため、例えば、気体の吐出口となる第3の開口部27eを確保した上で、ケーシング20fのサイズ、つまり電動送風機4aのサイズを小さくすることができ、また、電動送風機の設計の自由度を増すことができる。
《5》実施の形態5
《5-1》構成
実施の形態5に係る電動送風機について、図29を参照して説明する。図29は、実施の形態5に係る電動送風機の一構成例の断面構造を示す図で、ここでは、便宜上、軸方向の中央部分を省略している。図29において、図1と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図1で用いられた符号と同じ符号が付されている。以下、実施の形態5について、実施の形態1から4との相違点について説明するが、実施の形態5では、実施の形態1から4における相違点を除く様々な例が適用できる。
図29に示されるように、実施の形態5に係る電動送風機5は、実施の形態1から4に係る電動送風機において、第1の遠心ファン31と第1のファンカバー21との間の間隔(クリアランス)C1と、第2の遠心ファン32と第2のファンカバー22との間の間隔(クリアランス)C2と、を互いに異なるようにしている。なお、間隔C1と間隔C2とを異ならせることは、例えば、ファンカバー21,22をケーシングに取り付ける軸方向の位置及び角度の少なくとも一方を調整することで実現でき、また、ファンカバー21,22の形状を異ならせることでも実現できる。
例えば、図22(図23),図24(図25及び図26),図27,図28に示される実施の形態4に係る電動送風機4,4a,4b,4cは、いずれも、第1の力F1と第2の力F2とを釣り合わせるために、第1の遠心ファン31より第2の遠心ファン32の方で強い気流が必要な構造である。特に、図26に示されるように、電動送風機4aでは、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32が、距離L1が距離L2より大きい条件を満たすように回転シャフト13に固定されている。
一方で、同じ遠心ファン及び同じファンカバーであれば、遠心ファンとファンカバーとの間のクリアランスは、小さくするほど強い気流を生み出すことが可能である。従って、図29に示されるように、実施の形態5に係る電動送風機5は、電動送風機4,4a,4b,4cのいずれかの構造を適用した場合、間隔C1を間隔C2より大きくした構造を採用するとよい。
また、図8,図9に示される電動送風機1a,1bは、いずれも、第1の力F1と第2の力F2とを釣り合わせるために、第2の遠心ファン32より第1の遠心ファン31の方で強い気流が必要な構造である。従って、実施の形態5に係る電動送風機は、電動送風機1a,1bのいずれかの構造を適用した場合、図示しないが、間隔C1を間隔C2より小さくした構造を採用するとよい。
《5-2》効果
実施の形態5に係る電動送風機5では、第1の遠心ファン31と第1のファンカバー21との間の間隔C1と、第2の遠心ファン32と第2のファンカバー22との間の間隔C2と、が異なることを許容することで、第1の遠心ファン31の仕事量と第2の遠心ファン32の仕事量とを調整することを許容している。従って、電動送風機5では、ケーシング20等のケーシングの内部の形状に応じて、回転シャフト13の回転時に発生するスラスト荷重を、例えば第1の力F1と第2の力F2とが釣り合うように調整することが容易になる。ここで、ケーシングの内部形状とは、ケーシングの内壁及び気流の障害物となるモータ10、ベアリング23,24、及び支持部材25,26の形状を指し、仕切り又は内部ケーシングを有する場合にはそれらの形状も含む。すなわち、電動送風機5によれば、遠心ファン31,32の仕事量を調整することにより、風路上の障害物等による気流アンバランス(回転シャフト13に遠心ファン31,32の双方から与えられるスラスト荷重のアンバランス)を低減化するように調整することが可能となり、また、電動送風機の設計の自由度を増すことができる。
例えば、実施の形態5によれば、電動送風機を設計するに際し、遠心ファン31,32で発生する気流の風路が遠心ファン31,32の中間位置における軸方向に垂直な面に対して非対称となるような設計(特に、第1の力と第2の力とがアンバランスになるような設計)を余儀なくされた場合であっても、間隔C1と間隔C2とを調整することで、例えば、第1の遠心ファン31により発生した気流によるスラスト力と第2の遠心ファン32により発生した気流によるスラスト力とを釣り合わせるように調整することができる。
《6》実施の形態6
《6-1》構成
実施の形態6に係る電動送風機について、図30から図32を参照して説明する。図30から図32は、実施の形態6に係る電動送風機の一構成例の断面構造を示す図で、いずれも異なる構成例を示す図であり、ここでは、便宜上、軸方向の中央部分を省略している。図30から図32において、図1と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図1で用いられた符号と同じ符号が付されている。以下、実施の形態6について、実施の形態1から5との相違点について説明するが、実施の形態6では、実施の形態1から5における相違点を除く様々な例が適用できる。
図30から図32に示されるように、実施の形態6に係る電動送風機は、実施の形態1から5に係る電動送風機において、第1の遠心ファンの形状と第2の遠心ファンの形状とを異なるようにしている。第1の遠心ファンと第2の遠心ファンとで形状を異ならせることで、第1の遠心ファンにより発生する気流によるスラスト力と第2の遠心ファンにより発生する気流によるスラスト力とを異ならせることができる。
図30に示される電動送風機6は、遠心ファンの形状を示すパラメータ(形状パラメータ)の一つ(形状パラメータのうちのサイズを示すパラメータの一つ)として外径を異なるようにしている。つまり、図30に示されるように、電動送風機6は、第1の遠心ファン31の外径D1と第2の遠心ファン32の外径D2とを異なるようにしている。外径D1は、第1の遠心ファン31の外径のうち最も大きい値、厚み方向に平均した値など、任意に定義しておけばよい。なお、外径D2は、第2の遠心ファン32についての値であるほかは、外径D1と同じ定義の値とする。
例えば、図22(図23),図24(図25及び図26),図27,図28に示される実施の形態4に係る電動送風機4,4a,4b,4cは、いずれも、第1の力F1と第2の力F2とを釣り合わせるために、第1の遠心ファン31より第2の遠心ファン32の方で強い気流が必要な構造である。一方で、遠心ファンは、他の形状パラメータが同じであれば、その外径が大きいほど強い気流を生み出すことが可能である。従って、図30に示されるように、実施の形態6に係る電動送風機は、電動送風機4,4a,4b,4cのいずれかの構造を適用した場合、第1の遠心ファン31の外径D1を第2の遠心ファン32の外径D2より小さくした構造を採用するとよい。
また、図8,図9に示される電動送風機1a,1bは、いずれも、第1の力F1と第2の力F2とを釣り合わせるために、第2の遠心ファン32より第1の遠心ファン31の方で強い気流が必要な構造である。従って、実施の形態6に係る電動送風機は、電動送風機1a,1bのいずれかの構造を適用した場合、図示しないが、外径D1を外径D2より大きくした構造を採用するとよい。
実施の形態6に係る電動送風機では、図30に示される電動送風機6のように、第1の遠心ファン31の外径D1が第2の遠心ファン32の外径D2と異なることを許容することで、第1の遠心ファン31の仕事量と第2の遠心ファン32の仕事量とを調整することを許容している。従って、実施の形態6に係る電動送風機では、ケーシング20等のケーシングの内部の形状に応じて、回転シャフト13の回転時に発生するスラスト荷重を、例えば第1の力F1と第2の力F2とが釣り合うように調整することが容易になる。すなわち、実施の形態6に係る電動送風機によれば、遠心ファン31,32の仕事量を調整することにより、風路上の障害物等による気流アンバランス(回転シャフト13に遠心ファン31,32の双方から与えられるスラスト荷重のアンバランス)を低減化するように調整することが可能になり、また、電動送風機の設計の自由度を増すことができる。また、実施の形態6に係る電動送風機によれば、このようなアンバランスの低減化のために、ファンカバー21,22等の他の部材の設計を変更する必要がなくなる。
例えば、実施の形態6によれば、電動送風機を設計するに際し、風路が非対称となるような設計を余儀なくされた場合であっても、異なる外径の遠心ファンの中から第1の遠心ファン及び第2の遠心ファンとして取り付けるものを選択し、第1の遠心ファンにより発生した気流によるスラスト力と第2の遠心ファンにより発生した気流によるスラスト力とを釣り合わせるように調整することができる。
《6-2》変形例
図31に示される電動送風機6aは、遠心ファンの形状パラメータの一つ(形状パラメータのうちのサイズを示すパラメータの一つ)として遠心ファンの厚さを異なるように、つまり、第1の遠心ファン31の厚みT1と第2の遠心ファン32の厚みT2とを異なるようにしている。ここで、遠心ファンの厚みとは、軸方向の高さを指す。
遠心ファンは、他の形状パラメータが同じであれば、その厚みが大きいほど強い気流を生み出すことが可能であり、第1の遠心ファン31の厚みT1と第2の遠心ファン32の厚みT2との関係は、外径D1と外径D2との関係と同様である。よって、図31に示されるように、電動送風機6aは、例えば図22から図28に示される電動送風機4,4a,4b,4cのいずれかの構造を適用した場合、第1の遠心ファン31の厚みT1を第2の遠心ファン32の厚みT2より小さくした構造を採用するとよい。また、厚みT1と厚みT2とを異ならせる電動送風機は、図8,図9に示される電動送風機1a,1bのいずれかの構造を適用した場合、図示しないが、第1の遠心ファン31の厚みT1を第2の遠心ファン32の厚みT2より大きくした構造を採用するとよい。
このように、電動送風機において、第1の遠心ファンの厚みT1が第2の遠心ファンの厚みT2と異なることを許容することで、外径を異ならせた際と同様の効果を奏する。例えば、電動送風機を設計するに際し、風路が非対称となるような設計を余儀なくされた場合であっても、異なる厚みの遠心ファンの中から第1の遠心ファン及び第2の遠心ファンとして取り付けるものを選択し、第1の遠心ファンにより発生した気流によるスラスト力と第2の遠心ファンにより発生した気流によるスラスト力とを釣り合わせるように調整することができる。
図32に示される電動送風機6bは、遠心ファンの形状パラメータの一つとして羽根の枚数を異なるように、つまり、第1の遠心ファン31の羽根の枚数と第2の遠心ファン32bの羽根の枚数とを異なるようにしている。なお、第2の遠心ファン32bは、上述した第2の遠心ファン32の代わりに設けられる遠心ファンである。
遠心ファンは、他の形状パラメータが同じであれば、一般的にその羽根の枚数が多いほど強い気流を生み出すことが可能であり、第1の遠心ファン31の羽根の枚数N1と第2の遠心ファン32bの羽根の枚数N2との関係は、外径D1と外径D2との関係と同様である。よって、図32に示されるように、電動送風機6bは、例えば図22から図28に示される電動送風機4,4a,4b,4cのいずれかの構造を適用した場合、第1の遠心ファン31の羽根の枚数N1を第2の遠心ファン32bの羽根の枚数N2より少なくした構造を採用するとよい。また、枚数N1と枚数N2とを異ならせる電動送風機は、図8,図9に示される電動送風機1a,1bのいずれかの構造を適用した場合、図示しないが、第1の遠心ファン31の羽根の枚数N1を第2の遠心ファン32bの羽根の枚数N2より多くした構造を採用するとよい。
このように、電動送風機において、第1の遠心ファンの羽根の枚数N1が第2の遠心ファンの羽根の枚数N2と異なることを許容することで、外径を異ならせた際と同様の効果を奏する。例えば、電動送風機を設計するに際し、風路が非対称となるような設計を余儀なくされた場合であっても、羽根の枚数が異なる遠心ファンの中から第1の遠心ファン及び第2の遠心ファンとして取り付けるものを選択し、第1の遠心ファンにより発生した気流によるスラスト力と第2の遠心ファンにより発生した気流によるスラスト力とを釣り合わせるように調整することができる。
その他、遠心ファンの形状パラメータの一つとして、羽根の軸方向の高さ又は羽根の一枚毎の表面積(又は遠心ファンの全ての羽根の表面積)など、羽根の枚数以外の形状を異ならせてもよいし、羽根が取り付け等により設けられる基部(土台)の形状を異ならせることもできる。また、第1の遠心ファンと第2の遠心ファンとでは、以上に説明した形状パラメータのうち複数を異ならせてもよい。つまり、実施の形態6においては、第1の遠心ファンと第2の遠心ファンとは、外径、軸方向の厚み、羽根の数、羽根の表面積、羽根の軸方向の高さ、羽根が設けられる基部の形状のうち、少なくとも1つが異なるようにする。
《6-3》効果
実施の形態6に係る電動送風機6,6a,6bによれば、第1の遠心ファンの形状パラメータが第2の遠心ファンの形状パラメータと異なることを許容しているため、風路上の障害物等による気流アンバランスを低減化するように調整することが容易になり、また、電動送風機の設計の自由度を増すことができる。また、実施の形態6に係る電動送風機によれば、このようなアンバランスの低減化のために、ファンカバー21,22等の他の部材の設計を変更する必要がなくなる。例えば、実施の形態6に係る電動送風機によれば、電動送風機を設計するに際し、第1の遠心ファン及び第2の遠心ファンで発生する気流の風路が非対称になるような設計を余儀なくされた場合であっても、異なる形状パラメータの遠心ファンの中から第1の遠心ファン及び第2の遠心ファンとして取り付けるものを選択し、第1の遠心ファンにより発生した気流によるスラスト力と第2の遠心ファンにより発生した気流によるスラスト力とを釣り合わせるように調整することができる。
また、説明を省略するが、第1のファンカバー及び第2のファンカバーの形状を異ならせることでも、同様の効果が得られる。
《7》実施の形態7
《7-1》構成
実施の形態7に係る電動送風機について、図33を参照して説明する。図33は、実施の形態7に係る電動送風機の一構成例の断面構造を示す図であり、便宜上、軸方向の端の部分(第1の遠心ファン及び第2の遠心ファンが取り付けられる部分)を省略している。図33において、図1と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図1で用いられた符号と同じ符号が付されている。以下、実施の形態7について、実施の形態1から6との相違点について説明するが、実施の形態7では、実施の形態1から6における相違点を除く様々な例が適用できる。
図33に示されるように、実施の形態7に係る電動送風機7は、回転子コア12の軸方向の中心位置が、固定子11の軸方向の中心位置からずれた構造を有する。つまり、実施の形態7では、固定子11と回転子の軸方向の位置関係が異なっており、固定子11の軸方向中心に対し、回転子の軸方向中心がずれた状態となっている。この例では、回転子コア12の軸方向の中心位置が固定子11の軸方向の中心位置より、距離Δmだけ第1の遠心ファン31側にある構造を有する。このような構造を採用することで、固定子11と回転子の回転子コア12との間には軸方向(スラスト方向)の磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力は、回転子の回転数に依存せず働くため、結果として回転子には図33において矢印で示される方向のスラスト力Fmが働くことになり、実施の形態5及び6と同様の効果を奏する。
《7-2》効果
実施の形態7に係る電動送風機7によれば、固定子11に対する回転子の軸方向の位置関係を任意にずらすことを許容しているため、風路上の障害物等による気流アンバランスを低減化するように調整することが容易になり、また、電動送風機の設計の自由度を増すことができる。例えば、実施の形態7に係る電動送風機7によれば、電動送風機を設計するに際し、第1の遠心ファン31及び第2の遠心ファン32で発生する気流の風路が非対称になるような設計を余儀なくされた場合であっても、距離Δmを調整することで、スラスト力Fmと第1の遠心ファン31により発生した気流によるスラスト力と第2の遠心ファン32により発生した気流によるスラスト力とを釣り合わせるように調整することができる。
《8》実施の形態8
《8-1》構成
実施の形態8に係る電動送風機について、図34を参照しながら説明する。図34は、実施の形態8に係る電動送風機の一構成例の断面構造を示す図である。図34において、図1と同じ又は対応する機能を持つ部位には、図1で用いられた符号と同じ符号が付されている。以下、実施の形態8について、実施の形態1から7との相違点(特に実施の形態1との相違点)を中心に説明するが、実施の形態8では、実施の形態1から7における相違点を除く様々な例が適用できる。
実施の形態1から7では、第1の力F1と第2の力F2とが互いに反対の向きである一例として、遠心ファン31,32の双方でケーシング20の外部から内部へ気体を吸い込む場合について説明した。
図34に示されるように、実施の形態8に係る電動送風機8は、遠心ファン31,32の双方でケーシング20hの内部から外部へ気体を吸い込んで吐出するように構成することもできる。ここで、ケーシング20hは、図1に示されるケーシング20において、ファンカバー21,22を軸方向に垂直な面に対して反転させたものである。また、図34に示される遠心ファン31,32は、図1に示される遠心ファン31,32とは逆向きに回転シャフト13に固定されている。そして、電動送風機8では、第1の遠心ファン31がケーシング20hの外部(第1の開口部21aより軸方向に外側)に固定されており、第2の遠心ファン32もケーシング20hの外部(第2の開口部22aより軸方向に外側)に固定されている。
ファンカバー21,22について、実施の形態8に合わせて説明する。
図34に示されるように、第1のファンカバー21は、気体を吸引する口として第1の開口部21aと、第1の遠心ファン31から遠心方向に発生した気流(吐出された気体)が衝突する傾斜面(第1傾斜面)と、気体を吐出する口としての開口部21bと、を有する。図34に示されるように、第1のファンカバー21は、回転シャフト13の回転軸を中心とし回転子コア12からの距離が離れるに連れて直径(内径及び外径)を大きくした円筒の形状を有することができる。但し、第1のファンカバー21の形状はこれに限ったものではない。このような構成及び第1の遠心ファン31との位置関係により、第1のファンカバー21は、第1の遠心ファン31の回転によって第1の開口部21aから吸引された気体を遠心方向に流し、上記第1傾斜面にてその気流の向き(風向)を変更し、開口部21bから吐出させる。なお、第1のファンカバー21は、少なくとも第1の開口部21a及び開口部21bにおいては、第1の遠心ファン31を覆っていない。また、第1のファンカバー21は、開口部21bにおいてケーシング20hの内周壁に固定されている。
また、図34に示されるように、第2のファンカバー22は、気体を吸引する口として第2の開口部22aと、第2の遠心ファン32から遠心方向に発生した気流(吐出された気体)が衝突する傾斜面(第2傾斜面)と、気体を吐出する口としての開口部22bと、を有する。図34に示されるように、第2のファンカバー22は、回転シャフト13の回転軸を中心とし回転子コア12からの距離が離れるに連れて直径(内径及び外径)を大きくした円筒の形状を有することができる。但し、第2のファンカバー22の形状はこれに限ったものではない。このような構成及び第2の遠心ファン32との位置関係により、第2のファンカバー22は、第2の遠心ファン32の回転によって第2の開口部22aから吸引された気体を遠心方向に流し、上記第2傾斜面にてその気流の向き(風向)を変更し、開口部22bから吐出させる。なお、第2のファンカバー22は、少なくとも第2の開口部22a及び開口部22bにおいては、第2の遠心ファン32を覆っていない。また、第2のファンカバー22は、開口部22bにおいてケーシング20hの内周壁に固定されている。
実施の形態8に係る電動送風機8は、例えば上述のような構成を有することで、第1の力F1を、回転シャフト13の第1端側(第1の遠心ファン31が取り付けられた側の端部)から第2端側(第2の遠心ファン32が取り付けられた側の端部)に向かう力とし、第2の力F2を、回転シャフト13の第2端側から第1端側に向かう力とする。つまり、電動送風機8では、第1の方向が第1端側から第2端側に向かう方向であり、第2の方向が第2端側から第1端側に向かう方向である。また、実施の形態8においても、第1の力F1と第2の力F2とは、互いに釣り合うことが好ましい。
電動送風機8は、図34において破線矢印で示されるように、第1の遠心ファン31の回転に伴い、第1のファンカバー21の第1の開口部21aを介して第3の開口部27から気体を吸引し、その気体をケーシング20hの外部に吐出(排出)するように導く。また、電動送風機8は、図34において実線矢印で示されるように、第2の遠心ファン32の回転に伴い、第2のファンカバー22の第2の開口部22aを介して第3の開口部28から気体を吸引し、その気体をケーシング20hの外部に吐出するように導く。
《8-2》効果
実施の形態8に係る電動送風機8によれば、実施の形態1から7のいずれかによる効果と同様の効果を、別の構成で得ることができる。つまり、実施の形態8に係る電動送風機8では、第1の力F1を、回転シャフト13の第1端から第2端に向かう向きとし、第2の力F2を、回転シャフト13の第2端から第1端に向かう向きとすることで、例えば第3の開口部27,28に吸引口を有する管などを接続することにより、吸引用途の電気機器に搭載することができる。但し、電動送風機8は、例えば開口部21b,22bに送風口を有する管などを接続することにより、送風用途の電気機器に搭載することもできる。
《9》実施の形態9
《9-1》構成
実施の形態9に係る電気機器について、図35及び図36を参照しながら説明する。図35は、実施の形態9に係る電気機器としての掃除機の一例を示す斜視図、図36は、実施の形態9に係る電気機器としてのジェットタオルの一例を示す斜視図である。
実施の形態1から8に係る電動送風機は、様々な電気機器に備えることができる。例えば、図35に示される掃除機9aは、本体91と、本体91に取り付けられる集塵部92と、ダクト93と、ダクト93の先端に取り付けられた吸引ノズル94と、を有する。また、本体91には排気口も設けられている。そして、掃除機9aは、本体91に、図34に示される電動送風機8を有することができる。例えば、掃除機9aは、電動送風機8の第3の開口部27,28をダクト93側に接続し、ファンカバー21,22の開口部21b,22bを排気口側に接続し、ダクト93と第3の開口部27,28との間又は開口部21b,22bと排気口との間に集塵部92を設けることができる。また、掃除機9aは、電動送風機8の代わりに、例えば図1に示される電動送風機1を有することもできるなど、実施の形態1から8に係る電動送風機のいずれを搭載してもよい。
図36に示されるジェットタオル9bは、その本体96に吸引口97及び送風口98が設けられており、本体96の内部に、図1に示される電動送風機1を有することができる。例えば、ジェットタオル9bは、電動送風機1のファンカバー21,22の開口部21a,22aを吸引口97側に接続し、第3の開口部27,28を送風口98側に接続し、第3の開口部27,28と送風口98との間に図示しない熱源を設けることができる。また、ジェットタオル9bは、電動送風機1の代わりに、例えば図34に示される電動送風機8を有することもできるなど、実施の形態1から8に係る電動送風機のいずれを搭載してもよい。
《9-2》効果
実施の形態9によれば、実施の形態1から8のいずれかによる効果を奏する電動送風機を備えた電気機器を提供することができる。