本発明は、止着テープと、この止着テープを備えたテープタイプの使い捨ておむつに関するものである。本発明の止着テープは使い捨ておむつに設けられるものであり、テープ基材の一方側の主面に面ファスナーのフック部材が取り付けられ、他方側の主面に面ファスナーのループ部材が取り付けられている。このように止着テープが構成されることにより、止着テープは、テープ基材の一方側の主面に設けられたフック部材と他方側の主面に設けられたループ部材の両方が、使い捨ておむつの装着の際に止着に寄与することができる。そのため、このような止着テープを備えた使い捨ておむつは、様々な体型の着用者に対してフィット性良く装着することが可能となる。またフック部材とループ部材は、テープ基材の主面を平面視したときに、互いの位置がずれて配置されており、フック部材および/またはループ部材は、互いに対向する側の外縁または互いに重なる側の外縁が非直線状に形成されている。このように止着テープが形成されることにより、止着テープは過度に厚く構成されず、また止着テープの取り扱い性を高めることができる。以下、本発明の止着テープについて、図面を参照して詳しく説明する。なお本発明の止着テープは、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1~図4には、本発明の止着テープの構成例を示した。図1は止着テープの平面図の一例を表し、図2は図1に示した止着テープのII-II断面図を表し、図3は止着テープの平面図の他の一例を表し、図4は図3に示した止着テープのIV-IV断面図を表す。図1~図4では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、前後方向yは幅方向xに対して直交しており、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。なお、幅方向xと前後方向yは、止着テープを使い捨ておむつに取り付けたときのおむつの幅方向と前後方向に対応する。
止着テープ1は、使い捨ておむつに設けられるものであり、テープ基材2に面ファスナーのフック部材3とループ部材4が設けられて構成される。テープ基材2は第1主面2Aとその反対側の第2主面2Bを有し、第1主面2Aにフック部材3が取り付けられ、第2主面2Bにループ部材4が取り付けられる。図1および図3では、図1(a)と図3(a)に、止着テープ1をテープ基材2の第1主面2A側から見た平面図が示されており、図1(b)と図3(b)に、止着テープ1をテープ基材2の第2主面2B側から見た平面図が示されている。止着テープ1は、幅方向xの一方端が使い捨ておむつに固定され、すなわち着脱不能に取り付けられ、幅方向xの他方端が自由端として存在する。
面ファスナーは、「マジックテープ」(登録商標)、「ベルクロ」(登録商標)、「クイックロン」(登録商標)等の商品名で知られており、フック・アンド・ループファスナーとも称される。面ファスナーは通常、フック部材とループ部材が対になって用いられ、フック部材がループ部材に対して着脱可能に止着される。
フック部材3は、基盤から複数の係合素子が突出して構成される。詳細には、フック部材3は、基盤と、基盤から突出する複数の係合素子とを有し、基盤は、係合素子が設けられる面と反対側の面がテープ基材2の第1主面2Aに接着・固定されている。係合素子の形状は特に限定されず、鉤形、錨形、きのこ形、柱形等が挙げられる。
ループ部材4は、基盤上に、フック部材3の係合素子と係合可能なループ部が設けられて構成され、基盤は、ループ部が設けられる面と反対側の面がテープ基材2の第2主面2Bに接着・固定されている。ループ部は一部が基盤に固定され他部が基盤と非固定とされ、このループ部の非固定の部分にフック部材3の係合素子を係合させることができる。各ループ部は、閉じた環を形成してもよく、環の一部が開いて形成され、隣接するループ部と接続して設けられていてもよい。また、基盤上に糸条による編組織が形成され、この編組織によってループ部が形成されてもよい。
テープ基材2としては、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。なお、テープ基材2の剛性を確保し、止着テープ1の取り扱い性を高める点から、テープ基材2は、織布、編布または不織布から構成されていることが好ましく、不織布から構成されていることがより好ましい。
テープ基材2に不織布を用いる場合、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることができるが、テープ基材2としては、スパンボンド不織布またはSMS不織布を用いることが好ましく、スパンボンド不織布を用いることがより好ましい。このような不織布を用いれば、テープ基材2の強度を高めやすくなる。テープ基材2に用いられる不織布はエンボス加工されていてもよく、これによりテープ基材2の剛性が高まり、止着テープ1の取り扱い性が向上する。
テープ基材2の単位面積あたりの質量は、50g/m2以上が好ましく、55g/m2以上がより好ましく、また120g/m2以下が好ましく、100g/m2以下がより好ましい。テープ基材2の単位面積あたりの質量が50g/m2以上であれば、テープ基材2が十分な剛性を有し、テープ基材2の単位面積あたりの質量が120g/m2以下であれば、テープ基材2が厚くなりすぎず、取り扱い性が向上する。
止着テープ1は、テープ本体部5と、テープ本体部5から幅方向xに延出するつまみ部6とを有する。テープ本体部5はテープ基材2の幅方向xの内方側に形成され、つまみ部6はテープ基材2の幅方向xの外方側に形成される。止着テープ1は、テープ本体部5の少なくとも一部が使い捨ておむつに固定され、つまみ部6にフック部材3とループ部材4が設けられる。
つまみ部6は、1つのテープ本体部5に対して1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。後者の場合、つまみ部6は前後方向yに複数並んで配置され、各つまみ部6にフック部材3とループ部材4が設けられることが好ましい。図1~図4では、1つのテープ本体部5に対してつまみ部6が2つ設けられている。つまみ部6が複数設けられる場合、複数のつまみ部6の幅方向xの長さは互いに同じであっても異なっていてもよいが、互いに同じであることが好ましい。
止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aにフック部材3が取り付けられ、テープ基材2の第2主面2Bにループ部材4が取り付けられている。このように止着テープ1が構成されることにより、止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aに設けられたフック部材3と第2主面2Bに設けられたループ部材4の両方が、使い捨ておむつの装着の際に止着に寄与することができる。そのため、このような止着テープ1を備えた使い捨ておむつは、着用者の腰周りにフィット性良く装着することが可能となる。
これについて詳しく説明すると、テープタイプの使い捨ておむつは、おむつ本体の前側部の外面側にターゲットテープが設けられ、このターゲットテープに、おむつ本体の幅方向の両側に設けられた止着テープを止着させることにより、パンツ形状に形成して、着用者の腰周りに装着することができる。この際、使い捨ておむつのサイズが着用者の腰周り寸法に適合する場合は、止着テープをターゲットテープに適切に止着することができるが、着用者の腰周り寸法が小さい場合は、止着テープをターゲットテープに適切に止着できず、左右の止着テープが一部重なり合うことが起こり得る。しかし、そのような場合でも、上記の止着テープ1を備えた使い捨ておむつであれば、左右の止着テープ1どうしを重ね合わせることで、フック部材3とループ部材4とを互いに係合させて止着テープ1を適切に止着させ、使い捨ておむつを着用者の腰周りにフィット性良く装着することができる。そのため、このような止着テープ1を有する使い捨ておむつは、着用者の胴周り寸法に対する適合範囲を広げることができる。
止着テープ1が、例えば図1や図3に示すように、つまみ部6を2つ有するように構成されるような場合は、2つのつまみ部6を互いにクロスさせるように重ね合わせてターゲットテープに止着する、いわゆるクロス留めに適したものとなる。この際、上記のように止着テープ1の第1主面2Aにフック部材3が設けられ第2主面2Bにループ部材4が設けられていれば、つまみ部6どうしを重ね合わせた際に、止着テープ1に設けられたフック部材3とループ部材4とを互いに係合させて、安定してクロス留めすることができる。そのため、使い捨ておむつを着用者の腰周りによりフィット性良く装着することが可能となる。
止着テープ1では、フック部材3とループ部材4が、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、互いにずれて配置されている。フック部材3とループ部材4が互いにずれて配置される態様として、図1および図2では、フック部材3とループ部材4が、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、互いに重ならないように配置され、図3および図4では、フック部材3とループ部材4が、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、互いに一部重なって配置されている。なお、フック部材3とループ部材4は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、一方が他方に完全に重なって配置されることはない。このように、フック部材3とループ部材4が互いにずれて配置されていれば、止着テープ1は過度に厚く構成される部分が少なくなり、取り扱いやすいものとなる。また、使い捨ておむつを装着した際に、着用者が止着テープ1に対して違和感を覚えにくくなる。例えば上記に説明したように、左右の止着テープ1どうしを重ね合わせたり、クロス留めをした際にも、止着テープ1の嵩張りを抑えることができる。
止着テープ1は、上記のようにフック部材3とループ部材4が設けられた上で、フック部材3および/またはループ部材4の互いに対向する側の外縁または互いに重なる側の外縁が非直線状に形成されている。止着テープ1はこのようにフック部材3および/またはループ部材4の外縁が形成されることにより、フック部材3とループ部材4との離隔部分または重なり部分で、フック部材3からループ部材4に向かう方向(図1および図3における幅方向x)に対する剛性の変化が緩和され、当該方向に対して極端に剛性が低くなる部分または極端に剛性が高くなる部分ができるのを抑えることができる。これにより、止着テープ1の取り扱い性を高めることができる。
図1に示した止着テープ1では、フック部材3とループ部材4が互いに重ならないように配置され、フック部材3は、ループ部材4と対向する側の外縁が非直線状に形成されているが、このようにフック部材3の外縁が非直線状に形成されることにより、止着テープ1は、フック部材3とループ部材4との間で不用意に折り返されにくくなる。止着テープ1は、フック部材3を内側にして、フック部材3とループ部材4との間で折り返されると、フック部材3が意図せずテープ基材2に止着することが起こり得るが、図1に示した止着テープ1は、フック部材3のループ部材4と対向する側の外縁が非直線状に形成されているため、フック部材3とループ部材4の間で不用意に折り返されにくく、フック部材3が意図せずテープ基材2に止着することが起こりにくくなる。そのため、止着テープ1の取り扱い性を高めることができる。なお、図1に示すようにフック部材3とループ部材4が互いに重ならないように配置される場合は、フック部材3のループ部材4と対向する側の外縁が非直線状に形成されるとともに、またはその代わりに、ループ部材4のフック部材3と対向する側の外縁が非直線状に形成されてもよい。この場合も同様に、止着テープ1は、フック部材3とループ部材4の間で不用意に折り返されにくくなる。
図3に示した止着テープ1では、フック部材3とループ部材4が互いに一部重なって配置されているが、この場合、止着テープ1は、フック部材3とループ部材4との重なり部分で剛性が高まり、フック部材3からループ部材4に向かう方向に延びる折り曲げ線(図3において幅方向xに略平行に延びる折り曲げ線)が形成されるように、止着テープ1が曲がりにくくなるおそれがある。すなわち止着テープ1は、第1および第2主面の平面視で、フック部材3からループ部材4に向かう方向に対して垂直な方向(図3における前後方向y)に止着テープ1が折れ曲がりにくくなるおそれがある。しかし、図3に示した止着テープ1は、フック部材3のループ部材4と重なる側の外縁が非直線状に形成されているため、フック部材3からループ部材4に向かう方向に対して垂直な方向への折れ曲がりやすさが確保され、止着テープ1の取り扱い性が高まる。またその結果、使い捨ておむつを着用した際に、止着テープ1に邪魔されずに、着用者が前屈する動作を行いやすくなる。なお、図3に示すようにフック部材3とループ部材4が互いに一部重なって配置される場合は、フック部材3のループ部材4と重なる側の外縁が非直線状に形成されるとともに、またはその代わりに、ループ部材4のフック部材3と重なる側の外縁が非直線状に形成されてもよい。この場合も同様に、止着テープ1は、第1および第2主面の平面視で、フック部材3からループ部材4に向かう方向に対して垂直な方向への折れ曲がりやすさが確保され、取り扱い性が高まる。
非直線状に形成されるフック部材3および/またはループ部材4の外縁は、曲線状に形成されたり、折れ線状に形成されたり、これらを組み合わせた形状で形成されればよい。なかでも、非直線状に形成されるフック部材3および/またはループ部材4の外縁は、波状(例えば、正弦波状、矩形波状、三角波状等)や曲線状に形成されていることが好ましく、曲線の波状に形成されることがより好ましい。これにより、止着テープ1の取り扱い性をより高めることができる。
なお止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aには面ファスナーのループ部材は取り付けられないことが好ましく、テープ基材2の第2主面2Bには面ファスナーのフック部材は取り付けられないことが好ましい。
止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられてもよく、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられてもよい。前者の場合、使い捨ておむつの前側部の外面側には、ターゲットテープとして面ファスナーのループ部材が設けられることが好ましい。後者の場合、使い捨ておむつの前側部の外面側には、ターゲットテープとして面ファスナーのフック部材が設けられることが好ましい。なお、ターゲットテープとしては面ファスナーのループ部材が設けられることが好ましく、これにより、衣服の下に使い捨ておむつを着用した際に、ターゲットテープが衣類に係合して衣類を巻き込むことが起こりにくくなる。
フック部材3とループ部材4は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、幅方向xに並んで配置されることが好ましい。また、使い捨ておむつの肌面側に向くテープ基材2の主面に取り付けられたフック部材3またはループ部材4が、その反対側の主面に取り付けられたフック部材3またはループ部材4よりも先端側(すなわち幅方向xの外方側)に位置することが好ましい。このようにフック部材3とループ部材4が設けられることにより、止着テープ1を使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに安定して止着しやすくなる。
上記のようにフック部材3とループ部材4が配置される場合、フック部材3および/またはループ部材4は、互いに対向する側と反対側の外縁または互いに重なる側と反対側の外縁が直線状に形成されることが好ましく、特に、止着テープ1を使い捨ておむつに取り付けた際に、ターゲットテープと対向するテープ基材2の主面(すなわち、使い捨ておむつの肌面側に向いたテープ基材2の主面)に取り付けられるフック部材3またはループ部材4が、このように形成されていることが好ましい。図1に示した止着テープ1では、フック部材3は、ループ部材4と対向する側の外縁が非直線状に形成され、その反対側の外縁が直線状(前後方向yに略平行に延びる直線状)に形成されている。図3に示した止着テープ1では、フック部材3は、ループ部材4と重なる側の外縁が非直線状に形成され、その反対側の外縁が直線状(前後方向yに略平行に延びる直線状)に形成されている。このようにフック部材3が形成されていれば、おむつ本体の前側部のターゲットテープに止着テープ1を止着させた際、止着テープ1を安定して止着することができる。例えば、止着テープ1に対して、その先端側から剥がれる力が作用しても、フック部材3またはループ部材4がその力に対して広い範囲で対抗して、止着テープ1が不用意にターゲットテープから剥がれにくくなる。
テープ基材2の第1主面2Aに取り付けられるフック部材3の数は、1つであっても、2つ以上であってもよい。テープ基材2の第2主面2Bに取り付けられるループ部材4の数は、1つであっても、2つ以上であってもよい。なお、フック部材3またはループ部材4が設けられる数が過剰になると、フック部材3またはループ部材4の1つ当たりの大きさが小さくなり、十分な係合力が得られなくなるおそれがある。従って、テープ基材2の第1主面2Aに取り付けられるフック部材3の数は、1つのつまみ部6に対して、4つ以下が好ましく、3つ以下がより好ましく、2つ以下がさらに好ましい。また、テープ基材2の第2主面2Bに取り付けられるループ部材4の数は、1つのつまみ部6に対して、4つ以下が好ましく、3つ以下がより好ましく、2つ以下がさらに好ましい。
止着テープ1が、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる場合は、フック部材3はテープ基材2の第1主面2Aに複数設けられることが好ましい。具体的には、テープ基材2の第1主面2Aには、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、複数のフック部材3が互いに離隔して設けられることが好ましく、1つのつまみ部6に複数のフック部材3が互いに離隔して設けられることがより好ましい。これにより、使い捨ておむつの着用の際、止着テープ1を安定して使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着することができる。この場合、テープ基材2の第2主面2Bに設けられるループ部材4は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、複数のフック部材3の間に設けられることが好ましい。このようにループ部材4が設けられることにより、止着テープ1をターゲットテープに止着した際に、ループ部材4の位置が安定し、ずれにくくなる。そのため、このループ部材4にフック部材3を係合させることにより、左右の止着テープ1どうしを安定して重ね合わせたり、止着テープ1を安定してクロス留めすることができる。
止着テープ1が、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる場合は、ループ部材4はテープ基材2の第2主面2Bに複数設けられることが好ましい。具体的には、テープ基材2の第2主面2Bには、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、複数のループ部材4が互いに離隔して設けられることが好ましく、1つのつまみ部6に複数のループ部材4が互いに離隔して設けられることがより好ましい。また、テープ基材2の第1主面2Aに設けられるフック部材3は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、複数のループ部材4の間に設けられることが好ましい。これにより、使い捨ておむつの着用の際、止着テープ1を安定して使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着することができるとともに、左右の止着テープ1どうしを安定して重ね合わせたり、止着テープ1を安定してクロス留めすることができる。
上記のように、使い捨ておむつの肌面側に向くテープ基材2の主面にフック部材3またはループ部材4が複数設けられる場合、複数設けられたフック部材3またはループ部材4の少なくとも1つが、その反対側の主面に取り付けられたフック部材3またはループ部材4よりも先端側に位置することが好ましい。このようにフック部材3とループ部材4を設けることにより、止着テープ1を使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに安定して止着することができるとともに、左右の止着テープ1どうしを重ね合わせたり、止着テープ1をクロス留めすることを安定して行うことができる。
図5~図8には、上記のように形成された止着テープの例を示した。図5は止着テープの平面図の他の一例を表し、図6は図5に示した止着テープのVI-VI断面図を表し、図7は止着テープの平面図のさらに他の一例を表し、図8は図7に示した止着テープのVIII-VIII断面図を表す。なお、図5および図7では、図5(a)と図7(a)に、止着テープをテープ基材の第1主面側から見た平面図が示されており、図5(b)と図7(b)に、止着テープをテープ基材の第2主面側から見た平面図が示されている。
図5~図8に示した止着テープ1は、1つのつまみ部6にフック部材3が2つ設けられ、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、ループ部材4が2つのフック部材3の間に設けられており、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる。そして図5および図6では、フック部材3とループ部材4は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、互いに重ならないように配置され、各フック部材3は、ループ部材4と対向する側の外縁が非直線状に形成されている。図7および図8では、フック部材3とループ部材4は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、互いに一部重なって配置され、各フック部材3は、ループ部材4と重なる側の外縁が非直線状に形成されている。このように止着テープ1が構成されることにより、使い捨ておむつの着用の際、止着テープ1を安定して使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着することができるとともに、左右の止着テープ1どうしを安定して重ね合わせたり、止着テープ1を安定してクロス留めすることができる。
図5および図7では、複数設けられたフック部材3のそれぞれが、ループ部材4と対向する側の外縁またはループ部材4と重なる側の外縁が非直線状に形成されているが、複数設けられたフック部材3のうち少なくとも1つのフック部材3がそのように形成されていればよい。また、フック部材3のループ部材4と対向する側の外縁またはループ部材4と重なる側の外縁が非直線状に形成されるとともに、またはその代わりに、ループ部材4のフック部材3と対向する側の外縁またはフック部材3と重なる側の外縁が非直線状に形成されてもよい。図5および図7では、ループ部材4の幅方向xの一方または両方の外縁が非直線状に形成されていてもよい。
図5~図8に示した止着テープ1において、フック部材3とループ部材4を交換して取り付けることもできる。この場合、止着テープ1は、ループ部材4が設けられたテープ基材2の第2主面2Bが、使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる。
止着テープ1は、図5~図8に示すように、ターゲットテープと対向するテープ基材2の主面に取り付けられるフック部材3またはループ部材4が、その反対側の主面(すなわち、ターゲットテープと非対向のテープ基材2の主面)に取り付けられるフック部材3またはループ部材4を、幅方向xに対し両側から挟むように設けられることがより好ましい。具体的には、止着テープ1が、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる場合は、テープ基材2の第1主面2Aにフック部材3が幅方向xに並んで複数設けられ、テープ基材2の第2主面2Bに設けられるループ部材4は、これら幅方向xに複数並んだフック部材3の間に設けられることが好ましい。止着テープ1が、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる場合は、テープ基材2の第2主面2Bにループ部材4が幅方向xに並んで複数設けられ、テープ基材2の第1主面2Aに設けられるフック部材3は、これら幅方向xに複数並んだループ部材4の間に設けられることが好ましい。これにより、止着テープ1を安定して使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着することができるとともに、止着テープ1をターゲットテープに止着した際に、ターゲットテープと非対向のテープ基材2の主面に設けられたフック部材3またはループ部材4の位置が安定し、左右の止着テープ1どうしを重ね合わせたり、止着テープ1をクロス留めすることを安定して行うことができる。
フック部材3とループ部材4は、つまみ部6において、テープ基材2を前後方向yに横切るように設けられることが好ましい。すなわち、フック部材3とループ部材4は、前後方向yに対して、各つまみ部6の一方側の縁から他方側の縁まで延在して設けられることが好ましい。これにより、フック部材3とループ部材4が前後方向yに対してより広い範囲で設けられ、止着テープ1を安定して使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに止着しやすくなるとともに、左右の止着テープ1どうしを安定して重ね合わせたり、止着テープ1を安定してクロス留めしやすくなる。
図1や図5に示されるように、フック部材3とループ部材4が、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、互いに重ならないように配置される場合、フック部材3とループ部材4との離隔長さ(フック部材3からループ部材4に向かう方向の最短の離隔長さ)は20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。これにより、止着テープ1は、フック部材3とループ部材4との間で不用意に折り返されにくくなる。また、止着テープ1を使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに止着した際、ターゲットテープと非対向となるテープ基材2の主面(すなわち、使い捨ておむつの外面側に向いたテープ基材2の主面)に取り付けられたフック部材3またはループ部材4の位置が安定化する。そのため、左右の止着テープ1どうしを安定して重ね合わせたり、止着テープ1を安定してクロス留めしやすくなる。
図3や図7に示されるように、フック部材3とループ部材4が、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、互いに一部重なって配置される場合は、フック部材3とループ部材4との重なり部分の長さ(フック部材3からループ部材4に向かう方向の最長の重なり長さ)は、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。これにより、止着テープ1は、第1および第2主面の平面視で、フック部材3からループ部材4に向かう方向に対して垂直な方向への折れ曲がりやすさが確保されやすくなる。また、止着テープ1は過度に厚く構成される部分が少なくなり、使い捨ておむつを装着した際に、着用者が止着テープ1に対して違和感を覚えにくくなる。
図3や図7に示されるように、フック部材3は、非直線状に形成された外縁の一部のみが、ループ部材4と重なっていることが好ましい。すなわちフック部材3は、非直線状に形成された外縁が、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、ループ部材4の外縁と交差するように設けられることが好ましい。この場合、フック部材3の非直線状に形成された外縁の一部は、ループ部材4と重ならないこととなる。これにより、止着テープ1は、第1および第2主面の平面視で、フック部材3からループ部材4に向かう方向に対して垂直な方向への折れ曲がりやすさが確保されやすくなる。なお図面には示されていないが、ループ部材4が、フック部材3と重なる側の外縁が非直線状に形成される場合は、当該非直線状に形成された外縁がフック部材3の外縁の一部のみと重なっていることが好ましい。
本発明の止着テープは、例えば図9に示した製造方法により製造することができる。図9には、図5に示した止着テープの製造方法を示した。なお本発明の止着テープに係る製造方法は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図9に示した製造方法は、面ファスナー搬送工程31と、面ファスナー切断工程32と、テープ基材搬送工程33と、面ファスナー設置工程34と、蛇行線切断工程35と、個別切断工程36を有する。
面ファスナー搬送工程31では、面ファスナーの長尺体41,42を搬送方向vに繰り出す。面ファスナーの長尺体41と面ファスナーの長尺体42は、一方がフック部材の長尺体であり、他方がループ部材の長尺体である。図5に示した止着テープ1を製造する場合は、面ファスナーの長尺体41がフック部材の長尺体となり、面ファスナーの長尺体42がループ部材の長尺体となる。面ファスナーの長尺体41,42は搬送方向vに長い形状を有し、搬送方向vに長い矩形形状を有することが好ましい。
面ファスナー切断工程32では、面ファスナーの長尺体41を、搬送方向vに延びる波状の切断線43で切断して、幅方向wに2つに分割し、第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bを得る。波状の切断線43には、正弦波状、三角波状、矩形波状等が含まれる。このように面ファスナーの長尺体41を切断することにより、第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bの互いに対向する側の外縁が互いに相補的な形状を有するように形成することができる。一方、第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bの互いに対向する側と反対側の外縁は、直線状に形成することができる。
テープ基材搬送工程33では、テープ基材の長尺体44を搬送方向vに繰り出す。テープ基材の長尺体44は、搬送方向vに長い形状を有する。テープ基材の長尺体44は、幅方向wに対して両側部とそれらの間の中央部とを有する。両側部は、テープ基材の長尺体44の幅方向wの側縁を含み、当該側縁から幅方向wに所定の長さの領域として定められる。
面ファスナー設置工程34では、面ファスナー切断工程32で得られた第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bを搬送方向vに繰り出し、幅方向wに互いに離隔させてテープ基材の長尺体44に取り付ける。第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bは、テープ基材の長尺体44の幅方向wの中央部に、幅方向wに互いに間隔を開けて配置される。一方、テープ基材の長尺体44の第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bが設置される面と反対側の面に、面ファスナーの長尺体42を取り付ける。面ファスナーの長尺体42は、幅方向wに対して、第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bの間に取り付け、これにより止着テープの前駆体が得られる。面ファスナーの長尺体42は、第1の面ファスナーの長尺体41Aおよび/または第2の面ファスナーの長尺体41Bと重ならないように配置されてもよく、一部重なって配置されてもよい。図5に示した止着テープ1を製造する場合は、前者の態様で面ファスナーの長尺体42が配置される。なお、第1の面ファスナーの長尺体41A、第2の面ファスナーの長尺体41B、面ファスナーの長尺体42は、テープ基材の長尺体44上に配置する前に、テープ基材の長尺体44との対向面に接着剤が塗布されることが好ましい。
蛇行線切断工程35では、止着テープの前駆体を、搬送方向vに延び、第1の面ファスナーの長尺体41Aと面ファスナーの長尺体42と第2の面ファスナーの長尺体41Bをそれぞれ幅方向wに横切る蛇行線状の切断線45で切断する。これにより、止着テープの前駆体が幅方向wに2つに分割され、止着テープの連続体46(46A,46B)が得られる。蛇行線状の切断線45は、止着テープのつまみ部の外縁を形成する。切断線45の蛇行線の振幅の頂点は、搬送方向vに延びる直線部を含むものであってもよい。このように止着テープの前駆体を蛇行線状の切断線45で切断することにより、蛇行線の振幅範囲の部分からつまみ部が形成され、振幅範囲よりも幅方向wの外方部分からテープ本体部が形成される。
止着テープの連続体46Aでは、第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bから、第1主面に取り付けられる面ファスナー(フック部材)が形成され、面ファスナーの長尺体42から第2主面に取り付けられる面ファスナー(ループ部材)が形成される。止着テープの連続体46は、上記のように第1の面ファスナーの長尺体41Aと第2の面ファスナーの長尺体41Bと面ファスナーの長尺体42がテープ基材の長尺体44に取り付けられて、蛇行線状の切断線45で切断されることにより、各つまみ部において、フック部材とループ部材がつまみ部を搬送方向vに横切るように設けられる。すなわち、各つまみ部において、フック部材とループ部の搬送方向vの端縁が、当該端縁の幅方向wの全体にわたって、テープ基材の搬送方向vの端縁と一致するように形成される。
蛇行線切断工程35の後、個別切断工程36において、止着テープの連続体46を、蛇行線状の切断線45の谷部で幅方向wに延びる切断線47で切断して、個別の止着テープ48を得る。図9では、蛇行線状の切断線45の谷部1つおきに切断線47を形成しており、これにより1つのテープ本体部に2つのつまみ部を有する止着テープ48が得られる。図9では、ループ部材と対向する側の外縁が非直線状に形成されたフック部材がテープ基材の第1主面に取り付けられ、ループ部材がテープ基材の第2主面に取り付けられた止着テープ48が得られる。
このようにして得られた止着テープ48は、過度に厚く構成される部分が少なくなり、取り扱いやすいものになるとともに、止着テープ48がフック部材とループ部材の間で不用意に折り返されにくくなる。あるいは、面ファスナー設置工程34で、面ファスナーの長尺体42が、第1の面ファスナーの長尺体41Aおよび/または第2の面ファスナーの長尺体41Bと一部重なって配置される場合は、止着テープ48は、テープ基材の第1および第2主面の平面視で、フック部材からループ部材に向かう方向に対して垂直な方向への折れ曲がりやすさが確保され、取り扱い性に優れるものとなる。上記の止着テープの製造方法によれば、止着テープの製造の際、テープ基材へのフック部材とループ部材の配置位置が設計上の位置から多少ずれても、得られる止着テープ48は所望の効果を適切に有するものとなる。例えば、フック部材とループ部材が、テープ基材の第1および第2主面の平面視で互いに重ならないように設計した場合に、製造時にフック部材とループ部材の配置位置がずれて互いに一部重なっても、得られる止着テープ48は、折れ曲がりやすさが確保され取り扱い性に優れるものとなる。また、フック部材とループ部材が、テープ基材の第1および第2主面の平面視で、互いに一部重なるように設計した場合に、製造時にフック部材とループ部材の配置位置がずれてさらに重なり部分が増えても、その重なった部分の剛性の増大が一定範囲に限られるため、得られる止着テープ48は取り扱い性に優れるものとなる、あるいは、製造時にフック部材とループ部材の配置位置がずれて互いに重ならないようになっても、得られる止着テープ48は、フック部材とループ部材の間で不用意に折り返されにくくなり、取り扱い性に優れるものとなる。そのため、製造上の公差を大きく確保することができる。
本発明の止着テープは、使い捨ておむつに取り付けて好適に用いることができる。従って、本発明は、上記に説明した止着テープを備えた使い捨ておむつも提供する。以下、本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。なお本発明の使い捨ておむつは、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図10および図11には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。図10は使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図11は図10に示した使い捨ておむつのXI-XI断面図を表す。図10および図11には、図7に示した止着テープを備えた使い捨ておむつが示されている。なお図10では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。
使い捨ておむつ11(11A)は、おむつ本体12と、おむつ本体12の幅方向xの両側に取り付けられた止着テープ1とを有する。おむつ本体12は、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有し、止着テープ1はおむつ本体12の後側部の両側に取り付けられている。図10では、おむつ本体12の右側に取り付けられた止着テープ1は展開状態となっており、おむつ本体12の左側に取り付けられた止着テープ1は折り畳まれた状態となっている。使い捨ておむつ11は、着用の際、前側部を着用者の腹部に、股部を着用者の股間部に、後側部を着用者の背部に当て、止着テープ1を展開した状態でおむつ本体12の前側部に設けられたターゲットテープ20に止着することで、パンツ形状に形成して使用する。
使い捨ておむつ11において、前後方向yとは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当し、幅方向xとは、使い捨ておむつと同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
おむつ本体12は、トップシート13と、バックシート14と、これらの間に配された吸収体15とを有する。トップシート13は、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートであり、バックシート14は、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外面側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート13を透過して吸収体15に収容される。バックシート14は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
トップシート13は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート13として、織布、編布、有孔樹脂フィルム等を用いてもよい。
バックシート14は液不透過性であることが好ましく、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、樹脂フィルム等を用いることができる。またバックシート14として、不織布とフィルムとの積層体を用いてもよい。
吸収体15は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体15としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収体15は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
吸収体15の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体(あるいは吸収体を構成する成形体)の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収体が着用者の大腿部に挟まれて幅方向に圧迫されても歪みにくくする点から、吸収体、あるいは吸収体を構成する成形体は、砂時計形に形成されていることが好ましい。
おむつ本体12には、トップシート13の幅方向xの両側に、トップシート13よりも幅方向xの外方に延在するサイドシート16が接合していることが好ましい。サイドシート16は液不透過性であることが好ましく、バックシート14に使用可能なシート材料から構成することができる。
使い捨ておむつ11は、サイドシート16により、トップシート13の幅方向xの両側に、立ち上がりフラップ17が形成されることが好ましい。この場合、サイドシート16には、図11に示すように、トップシート13との接合部19よりも幅方向xの内方部分に前後方向yに延びる起立用弾性部材18が設けられることが好ましく、起立用弾性部材18の収縮力によってサイドシート16の内方部分が立ち上げられて、立ち上がりフラップ17を形成することができる。立ち上がりフラップ17を設けることにより、尿等の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ17は前後方向yの端部の内面がトップシート13上に接合されてもよく、これにより、おむつを着用の際に立ち上がりフラップ17が着用者の肌に向かって立ち上がりやすくなる。
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
おむつ本体12には、幅方向xの両側にそれぞれ、前後方向yに延びる脚部弾性部材21が設けられることが好ましい(図10を参照)。脚部弾性部材21を設けることにより、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
おむつ本体12には、前後方向yの端部に、幅方向xに延びるウェスト用弾性部材22を設けてもよい。ウェスト用弾性部材22の収縮力により、着用者の胴周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
上記に説明した各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
ターゲットテープ20は、おむつ本体12の前側部の外面側に設けられ、止着テープ1と着脱可能に形成される。ターゲットテープ20としては、面ファスナーのフック部材またはループ部材を用いることができ、これらの説明は上記の止着テープのフック部材とループ部材の説明が参照される。
図10に示した使い捨ておむつ11Aでは、止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつ11Aの肌面側を向くように、おむつ本体12に取り付けられている。従って、止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aに取り付けられたフック部材3がターゲットテープ20と着脱可能となっており、ターゲットテープ20として面ファスナーのループ部材が設けられている。
止着テープ1は、テープ本体部5がおむつ本体12に取り付けられる。使い捨ておむつ11Aでは、テープ本体部5の幅方向xの内方部分がおむつ本体12に取り付けられ、当該内方部分から幅方向xの外方にテープ本体部5がさらに延出している。テープ本体部5の幅方向xの内方部分はサイドシート16とバックシート14の間に固定されることが好ましく、これにより止着テープ1をおむつ本体12に安定して取り付けることができる。
止着テープ1は、テープ本体部5からさらに幅方向xの外方につまみ部6が延出して形成され、つまみ部6の肌面側にフック部材3が設けられ、外面側にループ部材4が設けられている。使い捨ておむつ11Aでは、1つの止着テープ1において、つまみ部6が前後方向yに並んで複数(具体的には2つ)配置されており、複数のつまみ部6のそれぞれにフック部材3とループ部材4が設けられている。
使い捨ておむつ11Aは上記のように構成された止着テープ1が設けられることにより、着用者の胴周り寸法に対する適合範囲を広げることができる。使い捨ておむつ11Aは、例えば通常の体型の着用者であれば、止着テープ1を使い捨ておむつ11Aの前側部に設けられたターゲットテープ20に止着することができるところ、胴周り寸法が小さい着用者に対しては、左右の止着テープ1の一部が重なり合うことが起こりうる。しかし、そのような場合でも、重なり合った下側の止着テープ1の外面側のループ部材4に上側の止着テープ1の肌面側のフック部材3を係合させることで、止着テープ1を使い捨ておむつ11Aの前側部に適切に止着することができる。
使い捨ておむつ11Aはまた、前後方向yに並んで配置された2つのつまみ部6を互いにクロスさせるように重ね合わせて止着する、いわゆるクロス留めを行う場合にも、止着テープ1を好適に止着することが可能となる(図12を参照)。この場合は、前後方向yに並んで配置された一方のつまみ部6を他方のつまみ部6に重ね合わせた際に、一方のつまみ部6の外面側のループ部材4に他方のつまみ部6の肌面側のフック部材3を係合させることで、安定してクロス留めを行うことができる。そのため、使い捨ておむつ11Aを着用者の腰周りにフィット性良く装着することが可能となる。
使い捨ておむつ11Aでは、図10の左側に取り付けられた止着テープ1が、つまみ部6に形成された折り目F1で幅方向xに折り返されており、これにより使い捨ておむつ11Aの使用前、止着テープ1をコンパクトに折り畳むことができる。止着テープ1は第1主面2Aを内側にして折り返されており、これにより、止着テープ1を折り目F1で折り返した際、フック部材3をテープ基材2に仮留めすることができる。そのため、使い捨ておむつ11Aの使用前、止着テープ1を折り返した状態を安定して保持することができる。折り目F1は、フック部材3またはループ部材4の直線状の外縁に沿って形成されることが好ましく、これにより止着テープ1を折り目F1で折り返しやすくなる。図10では、折り目F1は、幅方向xに並んで設けられたフック部材3のうち、幅方向xの内方側に設けられたフック部材3の幅方向xの内方縁に沿って形成されている。折り目F1は、フック部材3またはループ部材4の直線状の外縁から5mm以内に形成されることが好ましく、3mm以内がより好ましい。これにより、止着テープ1を折り目F1で折り返す際、止着テープ1をフック部材3またはループ部材4の縁に沿って折り返しやすくなる。
使い捨ておむつ11Aは、止着テープ1が、おむつ本体12の幅方向xの側縁に沿った折り目F2でさらに折り返されていてもよい。これにより、使い捨ておむつ11Aの使用前、止着テープ1をさらにコンパクトに折り畳むことができる。折り目F2は、おむつ本体12の幅方向xの側縁から3mm以内に形成されることが好ましく、2mm以内がより好ましい。折り目F2は、折り目F1で折り返されたつまみ部6と重ならないように形成されることが好ましい。
なお図面には示されていないが、止着テープ1は、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつ11Aの肌面側を向くように、おむつ本体12に取り付けられていてもよい。この場合、止着テープ1は、使い捨ておむつ11Aの着用の際、テープ基材2の第2主面2Bに取り付けられたループ部材4がターゲットテープ20に止着されることとなり、ターゲットテープ20には面ファスナーのフック部材が設けられることとなる。
図13および図14には、本発明の使い捨ておむつの他の一例を示した。図13は使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図14は図13に示した使い捨ておむつに備えられた止着テープの平面図を表す。図14では、図14(a)に、止着テープをテープ基材の第1主面側から見た平面図が示されており、図14(b)に、止着テープをテープ基材の第2主面側から見た平面図が示されている。図13および図14において、図1~図11に示した止着テープおよび使い捨ておむつと同じ構成部材は同一の参照符号を用いて示されている。また、下記の図13および図14の使い捨ておむつと止着テープの説明において、上記と重複する部分の説明は省略する。
図13に示した使い捨ておむつ11(11B)は、図10に示した使い捨ておむつ11Aと止着テープ1の設置態様が異なり、おむつ本体12の幅方向xの両側に、止着テープ1が前後方向yに並んで複数(具体的には2つ)設けられている。なお、使い捨ておむつ11Bに設けられる止着テープ1は、つまみ部6が1つのみ設けられることが好ましい。使い捨ておむつ11Bはこのように止着テープ1が設けられることにより、前後方向yに並んで配置された2つのつまみ部6を互いにクロスさせるように重ね合わせて止着する、いわゆるクロス留めを行うのに適したものとなる。すなわち、前後方向yに並んで配置された一方のつまみ部6を他方のつまみ部6に重ね合わせた際に、一方のつまみ部6の外面側のループ部材4に他方のつまみ部6の肌面側のフック部材3を係合させることで、安定してクロス留めを行うことができる。そのため、使い捨ておむつ11Bを着用者の腰周りにフィット性良く装着することが可能となる。
使い捨ておむつ11Bでは、止着テープ1のテープ本体部5の全体がおむつ本体12に取り付けられており、つまみ部6がおむつ本体12から幅方向xの外方に延在するように設けられている。このように止着テープ1がおむつ本体12に取り付けられていてもよい。なお、図13および図14に示した止着テープ1は、テープ本体部5の一部のみがおむつ本体12に取り付けられる態様を排除するものではない。
使い捨ておむつ11Bでは、止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつ11Bの肌面側を向くように、おむつ本体12に取り付けられている。従って、使い捨ておむつ11Bでは、ターゲットテープ20として面ファスナーのループ部材が設けられている。なお、止着テープ1は、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつ11Bの肌面側を向くように、おむつ本体12に取り付けられていてもよく、この場合、ターゲットテープ20には面ファスナーのフック部材が設けられることとなる。
使い捨ておむつ11Bでは、図13の左側に取り付けられた止着テープ1が、つまみ部6に形成された折り目F1で幅方向xに折り返されており、折り返されたつまみ部6に設けられたフック部材3がおむつ本体12の肌面側に仮留めされている。このように、使い捨ておむつ11Bの使用前、止着テープ1のフック部材3はおむつ本体12に仮留めされていてもよく、これにより止着テープ1を折り返した状態を安定して保持することができる。