JP7075161B1 - 照明付き口腔内吸引装置 - Google Patents

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Abstract

バキュームホース2と、バキュームホース2の先端に差し込み可能な基端及び吸引口11である先端を具備する管体をもつバキュームチップ1と、を備えた口腔内の吸引装置であって、バキュームホース2に設けられ、光源からの光を出力するためにバキュームホース2の先端側に向くように配置されたホース側出光端面と、バキュームチップ1に設けられ、前記バキュームチップ1の基端側に向くように配置されたチップ側入光端面を具備すると共に前記チップ側入光端面から入力された光を誘導して投射可能な導光要素と、を有し、バキュームチップ1とバキュームホース2との間の接続が完了した状態において、ホース側出光端面とチップ側入光端面が、光を伝達可能であるようにそれぞれ位置する。

Description

本発明は、バキュームチップを有する口腔内吸引装置に関する。
口腔は他の臓器にも繋がる重要な臓器の一つである。軟組織の疾患のうち、特に舌根部の腫瘍の場合、一般的な無影灯を用いても口腔内の病変に対して光が届きにくいため、早期の発見が非常に難しかった。硬組織の疾患の場合も、特に上顎の臼歯部の遠心頬側や近心頬側根の根管口には無影灯の光が届きにくいため、患部を明示することが難しかった。口腔という狭い空間に歯科医が持つ切削用ハンドピースやミラー、又はアシスタントが持つ吸引用のバキュームチップが入ると影ができるため、離れた場所から照らす無影灯は、切削用ハンドピースやバキュームチップを避けるように患部を照らさなければならなかった。そのため、従来の無影灯は、患者の口の角度が少しでも変わるとその都度角度を調整する必要があった。
歯科では、バキュームホースの先端に吸引具を装着して口腔内の不要物を吸引して除去する吸引装置が用いられている。主な先端吸引具は、専ら液体(唾液、血液又は水分)のみを吸引する排唾管(例えば特許文献3)と、液体及び固体(口腔内に脱落した歯や金属の欠片等)の両方を吸引できるバキュームチップ(例えば特許文献1、2)である。排唾管の吸引口には、固体を吸引しないようにスリットやフィルタが設けられている。バキュームチップは、排唾管よりも大きな直径の管体を有し、その吸引口も大きく開いている。歯科では、これらの2種類の先端吸引具は、必要に応じて使い分けられている。
特許文献2は、光ファイバを把持管に嵌め込んだ歯科用サクションミラーを開示している。特許文献3は、光ファイバを排唾管に装着することによって照明機能を付与した歯科用吸引装置を開示している。
また、特許文献4は、歯科において患者の舌を安定に保護するために口腔内に固定されるバイトブロックに照明機能を設けた装置を開示している。特許文献4では、装置における患者が噛む部分に光源が設けられている。
なお、歯科医療分野とは全く異なる技術分野であるが、道路や通路などの照明、撮影用の照明等において、光源からの光を誘導して内部で反射させながら進行させ、側面又は先端から光を投射するライトガイドが知られている(特許文献5)。
実開平7-17213号公報 実用新案登録第3040304号公報 米国特許第5931670号明細書 特表2012-505702号公報 特表2012-522302号公報
特許文献3に記載の照明付き歯科用吸引装置では、曲げ伸ばし可能な排唾管の先端の吸引口に、フィルタ機能を兼ねた射光チップを取り付けられている。排唾管の途中の分岐点から排唾管の先端まで光ファイバが延在している。排唾管上の光ファイバは、分岐点において光源から導かれた別の光ファイバと接続されている。光源からの光は、分岐点を経由して排唾管に沿って光ファイバにより伝達され、射光チップにより散乱され投射される。一方、排唾管の基端にはフレキシブルホースが接続され、フレキシブルホースは吸引源に接続されている。
特許文献3の照明付き排唾管においては、吸引装置をセッティングする時に2つの操作が必要であるという問題点がある。1つ目の操作は、排唾管とフレキシブルホースの先端を接続して吸引源をセッティングすることであり、2つ目の操作は、排唾管の途中の分岐点に光源からの光ファイバを接続して光源をセッティングすることである。歯科の治療前に準備すべきことは多々あるので、可能な限り事前の操作を簡便にすることは重要である。
また、排唾管は、通常、特許文献3に示されるようにU字状に曲げた形状で使用されるので、バキュームチップに比べて口腔内で頻繁に上下左右に動かすことが難しい。したがって、排唾管に照明を付けた場合、排唾管を口腔内の必要な箇所に自在にかつ速やかに移動させてその箇所を照らす操作を行うことは容易ではない。このことは、特許文献4の照明付き口腔内装置にも言えることである。特許文献4のバイトブロックは、口腔内で固定された状態で使用されるので、自在に動かすことはできない。
以上の問題点に鑑み、本発明は、バキュームチップを備え、使用前のセッティング操作を効率的に行うことができる、照明機能を有する口腔内吸引装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
1)本発明の第1の態様は、吸引源に接続されたフレキシブルなバキュームホース(2)と、前記バキュームホース(2)の先端に接続可能な基端及び吸引口(11)である先端を具備する管体を有するバキュームチップ(1)と、を備えた口腔内の吸引装置であって、
前記バキュームホース(2)の先端面を含まない先端近傍の外面上又は内面上に固定されて電力供給される発光ダイオード又はハロゲンランプである光源デバイス(41)と、
前記光源デバイス(41)からの光を出力するために前記バキュームホース(2)の先端側に向くように、前記バキュームホース(2)の先端面を含まない先端近傍に配置されたホース側出光端面と、
前記バキュームチップ(1)に設けられ、前記バキュームチップ(1)の基端側に向くように配置されたチップ側入光端面を具備し、かつ前記チップ側入光端面から入力された光を誘導して投射可能な導光要素(6)と、を有し、
前記バキュームチップ(1)と前記バキュームホース(2)との間の接続が完了した状態において、前記ホース側出光端面及び前記チップ側入光端面が、前記ホース側出光端面から前記チップ側入光端面に光を伝達可能であるようにそれぞれ位置することを特徴とする。
2)上記態様において、前記光源デバイス(41)の発光面(42)が前記ホース側出光端面であることを特徴とする。
3)上記態様において、前記光源デバイス(41)の発光面(42)に基端を接続され、かつ前記バキュームホース(2)に固定されたホース側光ファイバ(43)を有し、
前記ホース側光ファイバ(43)の先端面(44)が前記ホース側出光端面であることを特徴とする。
4)上記態様において、前記バキュームチップの管体外面上、管体内面上、又は管壁内に、長手方向に沿って延在するチップ側光ファイバを有し、
前記チップ側光ファイバが前記導光要素であり、かつ、
前記チップ側光ファイバの基端面が前記チップ側入光端面であることを特徴とする。
5)上記態様において、前記バキュームチップの管体自体が、光を全反射することにより長手方向に誘導可能なライトガイドにより形成されており、
前記バキュームチップの管体自体が前記導光要素であり、かつ、
前記バキュームチップの管体の基端面が前記チップ側入光端面であることを特徴とする。
6)上記態様において、前記バキュームチップが、管壁内を通って長手方向に延在するコア部と前記コア部以外の管壁を形成するクラッド部とから形成された管体を具備し、かつ前記コア部及び前記クラッド部は、前記管体の基端近傍において前記管体の外面から分岐して前記バキュームチップの基端側に延びる入力用光ファイバのコア及びクラッドとそれぞれ連続しており、
前記バキュームチップの管体自体及び前記入力用光ファイバが前記導光要素であり、かつ、
前記入力用光ファイバの自由端が前記チップ側入光端面であることを特徴とする。
7)上記態様において、前記コア部が、前記管体の軸を螺旋軸として前記管壁内で螺旋状に延びていることを特徴とする。
8)上記態様において、前記バキュームチップの管壁内を通って長手方向に沿って延在し、かつ管体の基端近傍において管体の外面から引き出されて前記バキュームチップの基端側に延びるチップ側光ファイバを有し、
前記チップ側光ファイバが前記導光要素であり、かつ、
前記チップ側光ファイバの基端面が前記チップ側入光端面であることを特徴とする。
9)上記態様において、前記バキュームチップの管体自体が、光を全反射することにより長手方向に誘導可能なライトガイドにより形成され、かつ前記ライトガイドの一部は、管体の基端近傍において管体の外面から分岐して前記バキュームチップの基端側に延びる分岐部を形成しており、
前記バキュームチップの管体自体及び前記分岐部が前記導光要素であり、かつ、
前記分岐部の自由端が前記チップ側入光端面であることを特徴とする。
10)上記態様において、前記バキュームチップ(1)と前記バキュームホース(2)の互いに接続される各端部のうち、一方の端部が、長手方向沿って延びる第1の部分(21a)と前記第1の部分(21a)における最奥部から周方向に延びる第2の部分(21b)とを具備する切欠き部(21)を有すると共に、他方の端部が係止突起(19)を有し、
前記バキュームチップ(1)を前記バキュームホース(2)に差し込むとき、前記バキュームチップ(1)と前記バキュームホース(2)のジョイント部(3)において、前記係止突起(19)が、前記切欠き部(21)の前記第1の部分(21a)内を長手方向に移動させられた後に、前記第2の部分(21b)内を周方向に移動させられることによって、前記バキュームチップ(1)と前記バキュームホース(2)との間の接続が完了することを特徴とする。
11)上記態様において、前記バキュームホース(2)の外面上において前記光源デバイス(41)の近傍に位置しかつ前記光源デバイス(41)の電源をオンオフするスイッチを含む制御部(7)と、前記制御部(7)を収容する筐体と、前記筐体の外面上に設けられた、前記スイッチの操作部と、を有することを特徴とする。
12)上記態様において、前記光源デバイス(41)の電源が電池又は充電池であることを特徴とする。
本発明によれば、導光要素を有するバキュームチップをバキュームホースの先端に接続する口腔内吸引装置において、バキュームチップをバキュームホースに接続する吸引源のセッティング操作を行うことによって、同時に、バキュームチップの導光要素と光源との光学的接続が自動的に確立される。したがって、吸引源と光源の2つのセッティング操作を別々に行う必要が無く、治療前の準備を効率化できる。バキュームチップは、口腔内で必要に応じて自在に動かすことが可能である。よって、口腔内の所望の箇所を、照明付きバキュームチップで直ちに照らすことができる。
図1は、本発明による照明付き口腔内吸引装置の概略断面図であり、(a)はバキュームチップをバキュームホースに接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。(c)は、変形形態を示している。 図2(a)は、図1のI領域の概略拡大図であり、(b)は、図1のラインII-IIに沿った概略断面図であり、(c)は、図1のラインIII-IIIに沿った概略断面図である。 図3は、照明付き口腔内吸引装置の第2の実施形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップをバキュームホースに接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。(c)は、光源部の別の実施形態である。 図4(a)は、図3のIVa領域の概略拡大図であり、(b)は、図3のラインVa-Vaに沿った概略断面図であり、(c)は、図3のVI領域の概略拡大図である。 図5(a)は、図3のIVb領域の概略拡大図であり、(b)は、図3のラインVb-Vbに沿った概略断面図であり、(c)(d)は、さらに別の変形形態におけるバキュームチップの先端近傍部分の概略側面図である。 図6は、照明付き口腔内吸引装置の第3の実施形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップをバキュームホースに接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。 図7(a)は、図3のVIIa領域の概略拡大図であり、(b)は、図3のVIIb領域の概略拡大図であり、(c)は、図3のVIIc領域の概略拡大図である。 図8(a)は、図3のラインVIIIa-VIIIaに沿った概略断面図であり、(b)は、図3のラインVIIIb-VIIIbに沿った概略断面図である。 図9は、照明付き口腔内吸引装置の第4の実施形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップをバキュームホースに接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。 図10は、第4の実施形態の変形形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップをバキュームホースに接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。 図11は、アタッチメントを含む照明付き口腔内吸引装置の実施形態の概略断面を示している。 図12は、アタッチメントを含む照明付き口腔内吸引装置の別の実施形態の概略断面を示している。 図13は、ロック機構を設けた照明付き口腔内吸引装置の実施形態の概略的側面図であり、(a)は接続前の状態、(b)は(a)のバキュームチップをIX方向に見た図である。(c)は接続完了後の状態を示す。 図14は、ロック機構を有する実施形態において、バキュームホースとバキュームチップとの別の組合せの例を示している。 図15は、照明付き口腔内吸引装置におけるアタッチメント及びバキュームチップの接続部分の概略的側面図を示しており、(a)は接続前の状態、(b)は接続完了後の状態を示す。 図16は、ロック機構を有する実施形態において、アタッチメントとバキュームチップとの別の組合せの例を示している。
以下、例示的実施形態を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面において、各実施形態に共通する又は類似の構成要素には、同じ又は類似の符号を付している。各実施形態の説明において、幾つかの実施形態に共通して適用可能な構成は、基本的に初出の実施形態において説明し、他の実施形態の説明においては省く場合がある。
(1)第1の実施形態
図1は、照明付き口腔内吸引装置の第1の実施形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップ1をバキュームホース2に接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。なお、この断面は、バキュームチップ1及びバキュームホース2をそれらの長手方向に沿ってほぼ半分に割ったときに現れる縦断面である(以下の類似の図においても同じ)。以下、バキュームチップ1については、バキュームホース2との接続側を「基端」と称し、その反対側を「先端」と称する。バキュームホース2については、吸引源側を「基端」とし、バキュームチップ1との接続側を「先端」と称する。バキュームチップ1又はバキュームホース2に装着されるその他の部材又は要素の「基端」及び「先端」についても、同様とする。
先ず、本発明の口腔内吸引装置について、照明機能以外の基本形態を説明する。この基本形態は公知であり、以下の各実施形態においても、ほぼ共通する。口腔内吸引装置は、硬質の管体を有するバキュームチップ1と、フレキシブルなバキュームホース2とを有する。バキュームホース2の基端は、排気ポンプ等の吸引源(図示せず)に接続される。一般的なバキュームチップの材料は、例えばポリプロピレンなどのプラスチック、又は金属である。バキュームホース2の材料は、例えば軟質塩化ビニル、シリコーンゴム、ポリウレタン樹脂などである。
バキュームホース2の先端に対して、バキュームチップ1の基端の差込口17を差し込み可能である。バキュームチップ1の差込口17は、所定の長さ(例えば1~2cm)だけバキュームホース2内に挿入される。ジョイント部3は、バキュームチップ1とバキュームホース2の重なり部分を示す。ジョイント部3の長さが常に一定となるように、バキュームホース2の内面上に突起などのストッパ(図示せず)を設けてもよい。バキュームチップ1をバキュームホース2に差し込むことにより、互いの内部空間が連通する。バキュームチップ1の先端には吸引口11がある。操作者は、バキュームチップ1の基端部付近を手で持ち、バキュームチップ1を口腔内で動かして必要な吸引を行う。
バキュームチップ1の管体は、図示の例では、基端から先端まで少なくとも部分的に湾曲して延在する。バキュームチップ1の基端から先端までの大凡の長さは、例えば10~15cmである。別の例では、バキュームチップ1は、全体的に湾曲した管体、直線状に延在する管体、又は、途中で90°又は鈍角で屈曲した管体とすることもできる。管体の長手方向に垂直な断面形状は、通常、略円形又は略楕円形である。
図示の例では、吸引口11は、管体の先端を、長手方向に対して斜めに切り欠いた形状を有する。バキュームチップ1は、通常、吸引口11が向いた側を吸引対象物に向けて使用するので、吸引口11が向いた側の凸湾曲面が作業側面12であり、その反対側の凹湾曲面が非作業側面13となる。別の例として、吸引口11にゴム製チップを装着することもある。バキュームチップ1は、口腔内の固体及び液体の両方を吸引するので、固体の吸引を想定すると、吸引口11の開口面積が大きいことが好ましい。吸引口11は、トランペットのように開口面積を拡大するように成形されてもよい。一例として、バキュームチップ1の差込口17及び吸引口11の内径は、8mm~20mm程度である。
本発明の口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1が、口腔内を照らすための照明機能を有する。その場合、作業側面12及び/又は吸引口11の周囲が照らされることが好ましい。しかしながら、照明範囲は、これに限られず、非作業側面13も含むバキュームチップ1の全周囲が照らされるように構成することもできる。このために、本発明の口腔内吸引装置は、少なくとも以下の構成を備えている。
- バキュームホース2に設けられ、光源からの光を出力するためにバキュームホース2の先端側に向くように配置されたホース側出光端面を有する。
- バキュームチップ1に設けられ、バキュームチップ1の基端側を向くように配置されたチップ側入光端面を具備する導光要素6を有する。
- バキュームチップ1とバキュームホース2との間の接続が完了した状態において、ホース側出光端面及びチップ側入光端面が、ホース側出光端面からチップ側入光端面に光を伝達可能であるようにそれぞれ位置する。
後述する本発明の幾つかの実施形態において、ホース側出光端面は、例えば、光源の発光面であるか、又は、光源に接続された光ファイバの先端面である。導光要素6は、チップ側入光端面から入力された光をバキュームチップ1の先端側に誘導し、導光要素6の側面及び/又は先端から投射可能である。導光要素6は、バキュームチップ1の管体外面上、管体内面上、又は管壁内に設けることができる。あるいは、導光要素6は、バキュームチップ1の管体自体により形成することもできる。
また、「ホース側出光端面からチップ側入光端面に光を伝達可能である」ような位置とは、好ましくは、ホース側出光端面とチップ側入光端面が互いに対向して隙間なく当接する位置である。しかしながら、本明細書における「当接する」という用語は、より広い意味で用いている。ホース側出光端面から出る光の大部分(例えば90%以上)がチップ側入光端面に入ることができる接触状態であれば、2つの端面の間に僅かな隙間が存在するような場合であっても「当接する」位置に含まれる。
次に、図1及び図2を参照して、口腔内吸引装置の第1の実施形態における照明機能について説明する。図2(a)は、図1のI領域の概略拡大図であり、(b)は、図1のラインII-IIに沿った概略断面図であり、(c)は、図1のラインIII-IIIに沿った概略断面図である。図2(a)には、光の大凡の進行方向を模式的に白矢印で示している(以下の類似の図において同じ)。
図1に示すように、バキュームホース2の先端近傍の外面上に、光源部4Aが取り付けられている。光源部4Aは、バキュームホース2の外面上に固定される適宜の筐体と、筐体内に収容された光源デバイス41とを具備する。光源デバイス41は、例えば発光ダイオード(LED)又はハロゲンランプなどである。光源デバイス41は、バキュームホース2の先端側に向かって発光するように構成されている。図示の例では、バキュームホース2の先端側に向いた筐体側面に発光面42が露出している。この発光面42には、ホース側光ファイバ43の基端が接続され、光源デバイス41からの光がホース側光ファイバ43に入る。
図2(a)に示すように、ホース側光ファイバ43は、例えば、光源部4Aの筐体と一体に形成されかつ貫通孔を有する支持部45によって支持されている。これにより、ホース側光ファイバ43の先端面44は、バキュームホース2の先端側に向くように固定される。先端面44は、図1(a)に示す円筒状のジョイント部3の軸に対して垂直である。第1の実施形態では、このホース側光ファイバ43の先端面44が、ホース側出光端面である。この比較的短いホース側光ファイバ43は、必須要素ではなく、軸方向におけるホース側出光端面の位置を調整する役割を果たしている。
一例として、バキュームホース2の外面上において、光源部4Aの近傍に制御部7が取り付けられている。制御部7は、例えば商用電源又は蓄電池等の電源(図示せず)に導線を介して接続されており、電力を供給される。制御部7と光源部4Aとは電気的に接続されており、光源デバイス41に電力を供給可能である。制御部7は、少なくとも電源のオンオフを行うスイッチを有する。図示しないが、例えば制御部7の筐体の外面上にスイッチの操作部が設けられる。制御部7は、照明の強度を調整する機能を有することもできる。その場合、調整のための操作部も筐体の外面上に設けられる。操作者は、スイッチ等を操作することで、照明機能をオンオフしたり、調整したりすることができる。
図示の例では、光源部4Aと制御部7を別個に設けているが、別の例では、これらを1つの筐体内に設けてもよい。図示しないが、さらに別の例として、電源が、小型の電池又は充電池である場合、電源を制御部7に収容することもできる。さらに別の例として、制御部7をバキュームホース2に取り付けず、口腔内吸引装置以外の場所に設けてもよい。例えば、制御部7の構成要素を歯科ユニットの操作パネルに組み込むこともできる。
次にバキュームチップ1Aについて説明する。なお、図面では、バキュームチップに関して、符号1は、上位概念としてのバキュームチップを示し、符号1に英大文字を付加した1A、1B..等は、各実施形態のバキュームチップを示している。また、導光要素に関しても、符号6は、上位概念としての導光要素を示し、符号6に英大文字を付加した6A、6B..等は、各実施形態の導光要素を示している。ここで、「導光要素」の用語は、光を伝達可能な部材を意味する上位概念として用いる。
バキュームチップ1Aの管体外面上に、長手方向に沿って延在するチップ側光ファイバ6Aが取り付けられている(光ファイバのコアとクラッドの境界を模式的に破線で示している。以下の図でも同様)。第1の実施形態では、このチップ側光ファイバ6Aが、バキュームチップ1Aにおける導光要素である。この場合、バキュームチップ1Aの管体には、導光機能は不要であるので、管体を不透明な材料、例えば一般的なバキュームチップに用いられる材料で作製できる。好ましくは、チップ側光ファイバ6Aは、作業側面12上に取り付けられている。図2(c)に示すように、チップ側光ファイバ6Aは、例えば接着剤等の固着部64によりバキュームチップ1Aの外面に固定される。
チップ側光ファイバ6Aの先端の出光部62は、一例として、吸引口11の近傍に位置する。出光部62の位置は、図示の位置に限定されず、吸引口11により近く、又は、吸引口11からより遠い位置でもよい。出光部62には、光を散乱又は拡散する部材を設けてもよい。さらに別の例として、光ファイバは側面発光も可能であるので、先端の出光部62に替えて又は出光部62に追加して、チップ側光ファイバ6Aの側面から光を投射することができる。その場合、例えば、チップ側光ファイバ6Aの先端近傍のみ、先端側の半分、又は全体から照射することができる。
チップ側光ファイバ6Aの基端近傍の入光部61は、バキュームチップ1Aの外面から離れて若干立ち上げられ、バキュームチップ1Aの基端側に延びている。チップ側光ファイバ6Aの入光部61の立ち上がりは、ホース側光ファイバ43との位置合わせのために設けられている。チップ側光ファイバ6Aの基端面63は、バキュームチップ1Aの基端側に向いている。基端面63は、図1(a)に示す円筒状のジョイント部3の軸に対して垂直である。第1の実施形態では、このチップ側光ファイバ6Aの基端面63が、チップ側入光端面である。図示しないが、入光部61を固定し保護するために、入光部61を硬質樹脂等からなる部材で囲み封止してもよい。
図2(a)(b)に示すように、一例として、光源部4Aの筐体に形成された支持部45の先端に凹部46が形成されている。この凹部46に、チップ側光ファイバ6Aの基端を挿入可能である。これにより、バキュームホース2にバキュームチップ1Aを差し込んだ状態において、チップ側光ファイバ6Aの入光部61をさらに安定に支持できる。凹部46は、位置決めと支持のために有効であるが、必須ではない。
図示の例では、1つの光源部4A及び1つのチップ側光ファイバ6Aを示しているが、別の例として、複数の光源部4A及びそれらに対応する複数のチップ側光ファイバ6Aを、バキュームホース2及びバキュームチップ1の各々の外面上に周方向に沿って所定の間隔を空けてそれぞれ配置することもできる。その場合、1つの制御部7から複数の光源部4Aに電力供給することができる。
図1に示す口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1Aとバキュームホース2を、図1(b)に示す離脱状態から図1(a)に示す差込状態としたとき、すなわちバキュームチップ1Aとバキュームホース2の接続が完了した状態において、ホース側出光端面であるホース側光ファイバ43の先端面44と、チップ側入光端面であるチップ側光ファイバ6Aの基端面63とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。差し込み操作は、基本的に、バキュームチップ1Aをジョイント部3の軸方向に動かすように行う。この当接状態を実現できるように、バキュームホース2におけるホース側出光端面の位置と、バキュームチップ1におけるチップ側入光端面の位置が、それぞれ設定されている。なお、ホース側出光端面とチップ側入光端面の当接面がジョイント部3の軸方向に対して垂直であることは必須ではなく、傾斜していてもよい。あるいは、ホース側出光端面とチップ側入光端面のうち一方が凸面で他方が凹面の場合、当接面は湾曲面となる。
ホース側出光端面(先端面44)とチップ側入光端面(基端面63)の当接状態においてホース側出光端面から出る光の全てがチップ側入光端面に入るように、両者が当接することが最適である。そのために、ジョイント部3の軸方向から視て、ホース側出光端面の全領域が、チップ側入光端面の領域内に含まれるように、両者の位置を設定することが好ましい。このことは、以下の他の実施形態においても同様である。
図1(c)は、第1の実施形態の変形形態を示す。図1(c)に示すバキュームチップ1Aにおいては、導光要素であるチップ側光ファイバ6Aが、管体内面上に取り付けられている。この内面は、非作業側面13の裏面に相当する。チップ側光ファイバ6Aの先端の出光部62は、吸引口11の近傍に位置し、吸引口11の周囲を内側から照らすことができる。チップ側光ファイバ6Aの基端近傍の入光部61は、バキュームチップ1Aの管体を貫通して外側に引き出され、外面から離れて若干立ち上げられ、バキュームチップ1Aの基端側に延びている。チップ側光ファイバ6Aの基端面63が、チップ側入光端面である。
図1(c)は、バキュームホース2に設けた光源部4Aの変形形態も示している。バキュームホース2の先端近傍の外面上に固定された光源部4Aには、図1(a)に示したホース側光ファイバ43が設けられておらず、光源デバイス41の発光面42が、ホース側出光端面である。
図示しないが、図1(c)の例において、チップ側光ファイバ6Aの入光部61を管体の外側に配置することに替えて、入光部61を管体内面に沿ってバキュームチップ1Aの基端面まで延在させてもよい。その場合、後述する幾つかの実施形態におけるバキュームホースを組み合わせることができる。それらの組合せ可能なバキュームホースでは、ホース側出光端面が、バキュームホース内に設けられている。
(2)第2の実施形態及びその変形形態
図3、図4、及び図5を参照して、本発明の口腔内吸引装置の第2の実施形態及びその変形形態を説明する。
図3は、照明付き口腔内吸引装置の第2の実施形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップ1をバキュームホース2に接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。(c)は光源部4Bの別の実施形態である。
図4(a)は、図3のIVa領域の概略拡大図であり、(b)は、図3のラインVa-Vaに沿った概略断面図であり、(c)は、図3のVI領域の概略拡大図である。
図5(a)は、図3のIVb領域の概略拡大図であり、(b)は、図3のラインVb-Vbに沿った概略断面図である。図4及び図5におけるa, bの添え字は、それぞれ別のバリエーションであることを意味する。
図3及び図4を参照して、第2の実施形態を説明する。図3に示すように、バキュームホース2の先端近傍の内面上に、1又は複数の光源部4Bが取り付けられている。複数の光源部4Bを取り付ける場合、各光源部4Bは、バキュームホース2の内面の周方向に沿って所定の間隔を空けてそれぞれ配置される。光源部4Bは、バキュームホース2の内面上に固定される適宜の筐体と、筐体内に収容された光源デバイス41とを具備する。この場合、光源部4Bの大きさは、吸引装置の吸引機能に影響を及ぼさない程度に設計する。
光源部4Bの内部構成は、上述した第1の実施形態の光源部4Aと同様であり、光源デバイス41は、例えばLED又はハロゲンランプなどである。光源デバイス41の発光面42は、バキュームホース2の先端側に向いている。発光面42は、図3(a)に示す円筒状のジョイント部3の軸に対して垂直である。第2の実施形態では、この光源デバイス41の発光面42が、ホース側出光端面である。複数の光源部4Bを取り付ける場合、発光面42も複数存在する。
光源部4Bの別の実施形態として、図3(c)に示すように、光源41の発光面42に所定の長さのホース側光ファイバ43の基端を接続し、そのホース側光ファイバ43の先端面44がバキュームホース2の先端側に向くように構成してもよい。その場合、そのホース側光ファイバ43の先端面44が、ホース側出光端面となる。
第2の実施形態では、制御部7は、バキュームホース2の外面上に取り付けられている。制御部7は、電源(図示せず)に導線を介して接続されている。制御部7は、上述した第1の実施形態と同様に構成されており、光源部4Bへの電力供給をオンオフするスイッチを有し、必要に応じて照明強度の調整部を有する。図4(a)に示すように、制御部7と光源部4Bとは、バキュームホース2の管壁の貫通孔72を通る導線71により電気的に接続されている。複数の光源部4Bが存在する場合、1つの制御部7から複数の光源部4Bに電力供給することができる。
図4(b)の断面図に示すように、バキュームチップ1Bは、その管体のほぼ全体が、一様な材料からなるチューブ状のライトガイドにより形成されている(例えば、特表2012-522302号公報)。このライトガイドは、例えば透明なアクリル系樹脂を、バキュームチップ1Bの形状に成形したものである。例えば、入光部及び投光部を除いて、管壁の内面と外面が管壁内部に対して鏡面となるように構成されている。このために、例えば、管壁の内面上と外面上に適宜の反射被覆層を設けてもよい。したがって、このライトガイドは、外部に配置された光源から光を取り込み、取り込んだ光を管壁内部で全反射させて進行させ、先端から、もしくは必要に応じて途中の側面から外部に投射することができる。したがって、第2の実施形態では、バキュームチップ1Bの管体自体が、バキュームチップ1Bにおける導光要素である。
図4(a)に示すように、バキュームチップ1Bの管体の基端面15は、図3(a)に示す円筒状のジョイント部3の軸に対して垂直である。基端面15は、当然にバキュームチップ1Bの基端側に向いている。第2の実施形態では、このバキュームチップ1Bの基端面15が、チップ側入光端面である。
基端面15から入力された光は、バキュームチップ1の管壁内部を全反射しつつ先端に向かって進行する。最終的には、バキュームチップ1Bの先端の吸引口11に到達し、そこで投射される。好ましくは、図4(c)に示すように、バキュームチップ1Bの管壁の一部に、例えば複数の溝もしくは突起、又は粗面を有するプリズム部16を形成することによって、管体側面から外部に光を投射することも可能である。なお、投光部では、管体外面に反射被覆層を設けない。ライトガイドの側面から光を投射する多様な方法は、周知である。
図3及び図4に示す口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1Bとバキュームホース2を、図3(b)に示す離脱状態から図3(a)に示す差込状態としたとき、すなわちバキュームチップ1Bとバキュームホース2の接続が完了した状態において、ホース側出光端面である1又は複数の発光面42と、チップ側入光端面であるバキュームチップ1Bの管体の基端面15とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。また、図3(c)に示す実施形態では、光源部4Bに接続されたホース側光ファイバ43の先端面44と、チップ側入光端面であるバキュームチップ1Bの管体の基端面15とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。
次に、図3及び図5を参照して、第2の実施形態の変形形態を説明する。ただし、変形形態におけるバキュームチップ1Cの導光要素は、図3には具体的に表現されておらず、図5に示されている。
図5の変形形態では、バキュームチップ1Cにおける導光要素が図4の第2の実施形態とは異なるが、それ以外の構成は第2の実施形態と共通する。したがって、ここでも、ホース側出光端面は、光源デバイス41の発光面42(図3(c)の光源部4Bの場合、ホース側光ファイバ43の先端面44)である。
図5(a)に示すように、バキュームチップ1Cは、その管壁内を通って長手方向に沿って延在する1又は複数のチップ側光ファイバ6Bを設けられている。チップ側光ファイバ6Bの先端は、バキュームチップ1Cの先端又は先端近傍に位置する。この場合、チップ側光ファイバ6Bが、バキュームチップ1Cにおける導光要素である。そして、チップ側光ファイバ6Bの基端面63が、チップ側入光端面である。チップ側光ファイバ6Bの基端面63は、バキュームチップ1Cの基端面と同一面内に位置する。よって、チップ側光ファイバ6Bの基端面63は、当然にバキュームチップ1Cの基端側に向いている。
バキュームホース2の内面の周方向に沿って複数の光源部4Bが取り付けられている場合、それらの各々に対応する複数のチップ側光ファイバ6Bが、バキュームチップ1Cに設けられる。光源部4Bの数は、例えば、2~6とすることができる。その場合、バキュームホース2にバキュームチップ1が差し込まれたとき、各チップ側光ファイバ6Bの基端面63の位置が各発光面42の位置に一致するように、各チップ側光ファイバ6Bの位置が設定されている。
図5(b)に示す図3のラインVb-Vbに沿った概略断面図では、一例として、バキュームチップ1Cが、4つのチップ側光ファイバ6B、6B、6B、6B(各チップ側光ファイバを下付文字で区別している)を有し、それらは周方向に90°の角度間隔で埋設されている。なお、チップ側光ファイバ6Bの周方向における位置は、図示の例に限られない。図3(a)に示す作業側面12に近い方により多くのチップ側光ファイバ6Bが配置されるように、複数の光源部4Bを配置してもよい。
チップ側光ファイバ6Bに入力された光は、チップ側光ファイバ6Bの先端から投射されることができる。チップ側光ファイバ6Bがバキュームチップ1Cの先端まで延在しかつ光をその先端からのみ投射する場合、バキュームチップ1Cの管体を透明又は半透明とする必要はない。別の例として、チップ側光ファイバ6Bの側面から、好ましくは先端近傍の側面から光を投射することもできる。光をチップ側光ファイバ6Bの側面から投射する場合、バキュームチップ1Cの管体は、少なくとも投光部において、光を透過させるように透明又は半透明でなければならない。透明又は半透明の材料は、例えばアクリル系樹脂であるが、これに限られない。
図5(c)及び(d)は、さらに別の変形形態を例示する、バキュームチップ1Cの先端近傍部分の概略側面図である。ここでは、1又は複数のチップ側光ファイバ6Bの先端又は先端近傍が、バキュームチップ1Cの管体外面上又は管体内面上に露出している。図5(c)では、チップ側光ファイバ6B、6Bの先端6B11、6B21が、それぞれ管体外面上に露出し、チップ側光ファイバ6Bの先端6B31が、管体内面上に露出している。図5(d)では、チップ側光ファイバ6Bは、その先端近傍6B32が所定の長さだけ管体外面上に露出し、そして管壁を貫通し、その先端6B31は管体内面上に露出している。この変形形態では、少なくとも管体外面上又は管体内面上に露出した部分から発光する。この場合、バキュームチップ1Cの管体が透明又は半透明でなくともよい。
図3及び図5に示す口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1Cとバキュームホース2を、図3(b)に示す離脱状態から図3(a)に示す差込状態としたとき、すなわちバキュームチップ1Cとバキュームホース2の接続が完了した状態において、ホース側出光端面である1又は複数の発光面42(図3(c)の光源部4Bの場合は、ホース側光ファイバ43の先端面44)と、チップ側入光端面である1又は複数のチップ側光ファイバ6Bの基端面63とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。
図示しないが、第2の実施形態及びその変形形態は、上述した第1の実施形態と組み合わせて実施することもできる。
(3)第3の実施形態及びその変形形態
図6、図7及び図8を参照して、本発明の口腔内吸引装置の第3の実施形態及びその幾つかの変形形態を説明する。
図6は、照明付き口腔内吸引装置の第3の実施形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップ1をバキュームホース2に接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。
図7(a)は、図3のVIIa領域の概略拡大図であり、(b)は、図3のVIIb領域の概略拡大図であり、(c)は、図3のVIIc領域の概略拡大図である。a, b, cの添え字はそれぞれ別のバリエーションを意味する。
図8(a)は、図3のラインVIIIa-VIIIaに沿った概略断面図であり、(b)は、図3のラインVIIIb-VIIIbに沿った概略断面図である。a, bの添え字はそれぞれ別のバリエーションを意味する。
図6、図7(a)及び図8を参照して、口腔内吸引装置の第3の実施形態を説明する。ただし、図6には、第3の実施形態のバキュームチップ1Cの導光要素は、具体的に表現されておらず、図7(a)に示されている。
図6に示すように、バキュームホース2の先端近傍の外面上に、光源部4Aが取り付けられている。光源部4Aは、バキュームホース2の外面上に固定される適宜の筐体と、筐体内に収容された光源デバイス41とを具備する。光源部4Aの内部構成は、第1の実施形態の光源部4Aと同様であり、光源デバイス41は、例えばLED又はハロゲンランプなどである。光源デバイス41の発光面42は、バキュームホース2の先端側に向いている。発光面42は、図6(a)に示す円筒状のジョイント部3の軸に対して垂直である。第3の実施形態では、この光源デバイス41の発光面42が、ホース側出光端面である。光源部4Aに接続された制御部7は、第1の実施形態と同じ構成とすることができる。光源部4Aは、バキュームホース2の周方向に沿って複数設けてもよい。
図6に概略的に示すように、バキュームチップ1Dは、その基端近傍において、かつジョイント部3よりも先端側の位置において、分岐部14を有する。分岐部14は、管体の外面から分岐して若干立ち上げられ、バキュームチップ1Dの基端側に向かって所定の長さだけ延在する。分岐部14は、バキュームチップ1Dの導光要素の一部を含む。分岐部14の立ち上がりは、導光要素の位置合わせのために設けられる。なお、複数の光源部4Aが設けられる場合は、それらに対応して複数の分岐部14が設けられる。
図7(a)は、分岐部14を含む領域を拡大して示している。バキュームチップ1Dの管体は、管壁内を通って長手方向に延在するコア部6C1と、コア部6C1以外の管壁領域を形成するクラッド部6C2とから形成されている。コア部6C1は、一般的な樹脂系光ファイバにおけるコアと同じ材料で形成され、クラッド部6C2は、一般的な樹脂系光ファイバにおけるクラッドと同じ材料で形成されている。よって、バキュームチップ1Dの管体は、一般的な樹脂系光ファイバと同じ構造を有する。コア部6C1を伝わる光は、先端の吸引口11から投射され得る。また、コア部6C1を伝わる光は、先端からの投射に替えて又は先端からの投射に追加して、管体の側面から、好ましくは先端近傍の側面から投射され得る。
一方、分岐部14の内部には、長手方向に沿って入力用光ファイバ6Cが通っている。入力用光ファイバ6Cは、硬質樹脂等からなる光ファイバ支持部18で囲まれ封止されることによって、保護されかつ固定されている。入力用光ファイバ6Cのコアは、管体のコア部6C1と連続しておりかつ同じ材料からなる。そして、入力用光ファイバ6Cのクラッドは、管体のクラッド部6C2と連続しておりかつ同じ材料からなる。したがって、第3の実施形態では、バキュームチップ1Dの管体自体及び入力用光ファイバ6Cが、導光要素である。
入力用光ファイバ6Cの自由端63は、分岐部14の自由端と同じ面内にある。この入力用光ファイバ6Cにおける自由端63を含む部分は、光源部4Aの筐体の先端側に形成された支持部45の凹部46内に挿入可能である。この凹部46は、位置決めと支持のために有効であるが、必須ではない。この入力用光ファイバ6Cの自由端63が、チップ側入光端面である。
図6及び図7(a)に示す口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1Dとバキュームホース2を、図6(b)に示す離脱状態から図6(a)に示す差込状態としたとき、すなわちバキュームチップ1Dとバキュームホース2の接続が完了した状態において、ホース側出光端面である発光面42と、チップ側入光端面である入力用光ファイバ6Cの自由端63とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。
図8(a)(b)を参照して、図7(a)に示した第3の実施形態の変形形態を説明する。図8(a)に示す変形形態では、バキュームチップ1Dの管壁内のコア部6C1が、管体の軸を螺旋軸として管壁内で先端に向かって螺旋状に延びている。
図8(b)に示す別の変形形態では、複数の入力用光ファイバ6Cが1つの束として分岐部14内を通っており、各入力用光ファイバ6Cのコアが、管壁内に配置された複数のコア部6C1の各々と連続している。複数のコア部6C1の各々は、管体の軸を螺旋軸として管壁内でそれぞれ先端に向かって螺旋状に延びている。図8(a)(b)に示した変形形態では、管体の側面から光を投射することによって、バキュームチップ1Dの周囲全体を照らすことができる。
図示しないが、本発明の他の実施形態においても、バキュームチップの管壁内の導光要素を、管体の長手方向に沿って配置する替わりに、管体の軸を螺旋軸として螺旋状に配置することができる。
図7(b)に戻り、第3の実施形態のさらに別の変形形態を説明する。図7(b)は、分岐部14を含む領域を拡大して示している。バキュームチップ1Eでは、その管壁内にチップ側光ファイバ6Dが長手方向に沿って延在している。チップ側光ファイバ6Dの先端は、吸引口11又はその近傍に位置する。チップ側光ファイバ6Dは、通常の光ファイバと同様に、コア6D1とクラッド6D2とを有する。したがって、この変形形態では、チップ側光ファイバ6Dが、バキュームチップ1Eにおける導光要素である。チップ側光ファイバ6Dを伝わる光は、チップ側光ファイバ6Dの先端から投射され得る。それに替えて又はそれに加えて、光は、チップ側光ファイバ6Dの側面から、好ましくは先端近傍の側面から投射され得る。光が、チップ側光ファイバ6Dの先端のみから投射される場合は、チップ側光ファイバ6Dを囲む管体材料が透明である必要はないが、側面から光が投射される場合は、少なくとも投光部において管体を透明又は半透明の材料で作製する。
別の例として、チップ側光ファイバ6Dの先端又は先端近傍を、上述した図5(c)に示した形態と同様に、バキュームチップ1Eの管体外面上又は管体内面上に露出するようにしてもよい。
チップ側光ファイバ6Dは、管体の基端近傍において管体の外面から引き出されて分岐部14の内部を通ってバキュームチップ1Eの基端側に向かって所定の長さだけ延びている。チップ側光ファイバ6Dの基端は、分岐部14の自由端と同じ面内に位置する。分岐部14において、チップ側光ファイバ6Dは、硬質樹脂等からなる光ファイバ支持部18で囲まれ封止されることによって、保護されかつ固定されている。チップ側光ファイバ6Dの基端は、光源部4Aの筐体の先端側に形成された支持部45の凹部46内に挿入可能である。この凹部46は、位置決めと支持のために有効であるが、必須ではない。このチップ側光ファイバ6Dの基端面63が、チップ側入光端面である。
図6及び図7(b)に示す口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1Eとバキュームホース2を、図6(b)に示す離脱状態から図6(a)に示す差込状態としたとき、すなわちバキュームチップ1Eとバキュームホース2の接続が完了した状態において、ホース側出光端面である発光面42と、チップ側入光端面であるチップ側光ファイバ6Dの基端面63とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。
次に、図7(c)を参照して、第3の実施形態のさらに別の変形形態を説明する。図7(c)は、分岐部14を含む領域を拡大して示している。バキュームチップ1Fの管体及びその分岐部14は、ライトガイドで形成されている。このライトガイドは、上述した第2の実施形態のバキュームチップ1Bの管体と同じであり、例えば透明なアクリル系樹脂により形成され、必要に応じて表面に反射被覆層が設けられる。分岐部14の自由端から入力した光は、全反射しつつ分岐部14から管体に入り、先端に向かって誘導される。上述したバキュームチップ1Bと同様に、先端から、もしくは必要に応じて途中の側面から光を投射することができる。したがって、この変形形態では、バキュームチップ1Fの管体自体及び分岐部14が、バキュームチップ1Fにおける導光要素である。
分岐部14は、光源部4Aの筐体に形成された支持部45の凹部46内に挿入可能である。この凹部46は、位置決めのために有効であるが、必須ではない。分岐部14の自由端15が、チップ側入光端面である。
図6及び図7(c)に示す口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1Eとバキュームホース2を、図6(b)に示す離脱状態から図6(a)に示す差込状態としたとき、すなわちバキュームチップ1Eとバキュームホース2の接続が完了した状態において、ホース側出光端面である発光面42と、チップ側入光端面である分岐部14の自由端15とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。
図6~図8の例では、1つの光源部4A及び1つの分岐部14を図示しているが、別の例として、複数の光源部4A及びそれらに対応する複数の分岐部14を、バキュームホース2及びバキュームチップ1の各々の外面の周方向に沿って所定の間隔を空けてそれぞれ配置することもできる。
(4)第4の実施形態及びその変形形態
図9を参照して、本発明の口腔内吸引装置の第4の実施形態を説明する。図9は、照明付き口腔内吸引装置の第4の実施形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップ1をバキュームホース2に接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。
第4の実施形態では、バキュームホース2の構成が、上述した各実施形態とは異なる。光源デバイス41を収容する光源部4Aは、バキュームホース2には取り付けられていない。光源部4Aは、任意の場所(例えば歯科治療室の床上)に設置されている。この場合、電源を制御する制御部は、例えば、光源部4Aに組み込むか、又は、歯科ユニットの操作パネルに組み込むことができる。
光源部4Aの発光面42に、ホース側光ファイバ43の基端が接続される。ホース側光ファイバ43は、バキュームホース2の途中の所定の箇所において、バキュームホース2のホース壁内に導入されている。ホース側光ファイバ43は、ホース壁内を通ってバキュームホース2の先端まで延在する。
図示の例では、ホース側光ファイバ43の先端近傍部分は、バキュームホース2の外面から外側に引き出されてバキュームホース2の先端まで延びている。ホース側光ファイバ43の引き出された先端部の周囲は、硬質樹脂等からなる光ファイバ支持部28により封止されることにより、保護されかつ固定されている。この場合、ホース側光ファイバ43の先端面44が、ホース側出光端面である。
図9では、バキュームホース2と組み合わせるバキュームチップ1として、上述した図8(a)に示したバキュームチップ1D(コア部6C1が螺旋状に配置されている)を組み合わせている。しかしながら、これは一例であり、バキュームチップ1として、上述したバキュームチップ1A、1E、1Fも、組み合わせることも可能である。すなわち、図9のバキュームホース2は、管体の外側にチップ側入光端面を有するバキュームチップと組み合わせることができる。
図9に示す口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1とバキュームホース2を、図9(b)に示す離脱状態から図9(a)に示す差込状態としたとき、すなわちバキュームチップ1とバキュームホース2の接続が完了した状態において、ホース側出光端面である先端面44と、チップ側入光端面である基端面63とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。
図示しないが、別の例として、ホース側光ファイバ43の先端部をバキュームホース2の外側に引き出さずに、そのまま真っ直ぐにホース壁の先端まで延ばしてもよい。その場合、組み合わせられるバキュームチップ1A、1D、1E、1Fのチップ側入光端面の位置は、ホース側光ファイバ43の先端面44に対向する位置に設定される。
図10を参照して、第4の実施形態の変形形態を説明する。図10は、第4の実施形態の変形形態の概略断面図であり、(a)はバキュームチップ1をバキュームホース2に接続した状態、(b)は取り外した状態を示している。
この変形形態では、ホース側光ファイバ43の先端部は、バキュームホース2の内面から引き出されてバキュームホース2の先端の方に所定の長さだけ延びている。ホース側光ファイバ43の引き出された先端部は、硬質樹脂等からなる光ファイバ支持部28により封止されることにより、保護されかつ固定されている。
図10に示したバキュームホース2には、上述した図3に示したバキュームチップ1B、1Cを組み合わせることができる。すなわち、図10のバキュームホース2は、管体の基端面にチップ側入光端面を有するバキュームチップと組み合わせることができる。
図10に示す口腔内吸引装置においては、バキュームチップ1とバキュームホース2を、図10(b)に示す離脱状態から図10(a)に示す差込状態としたとき、すなわちバキュームチップ1とバキュームホース2の接続が完了した状態において、ホース側出光端面である先端面44と、チップ側入光端面であるバキュームチップ1の管体の基端面15とが対向し、光を伝達可能な状態で互いに当接することができる。
図示しないが、第4の実施形態の別の変形形態として、ホース側光ファイバ43を、バキュームホース2のホース壁内に通す替わりに、バキュームホース2の外面上又は内面上に長手方向に沿って取り付けることもできる。
図9及び図10では、1本のホース側光ファイバ43のみ示しているが、複数のホース側光ファイバ43(例えば2~6本)をバキュームホース2の周方向に沿って適宜の間隔でそれぞれ配置してもよい。その場合、バキュームチップ1については、複数のホース側光ファイバ43に対応する導光要素を備えたものが組み合わせられる。また、1本のホース側光ファイバ43は、複数の光ファイバからなる1つの束であってもよい。
(5)アタッチメントを有する実施形態
本発明による別の態様は、バキュームホースとバキュームチップとの間に取付可能なアタッチメントを有する実施形態である。図11は、アタッチメント8Aを含む照明付き口腔内吸引装置の概略断面を示している。
上述した口腔内吸引装置の第1~第3の実施形態においては、光源部4A又は4B及び制御部7がバキュームホース2に固定されている。また、第4の実施形態においては、ホース側光ファイバ43がバキュームホース2に固定されている。これらの実施形態では、一般的なバキュームホースに対する加工が必要となる。図11に示したアタッチメント8Aを用いることにより、そのような加工が不要となり、一般的なバキュームホースをそのまま用いることができる。
アタッチメント8Aは、バキュームチップ1及びバキュームホース2と接続可能な管体を有する。管体は、好ましくは略円筒状である。管体の材料は、バキュームチップ1と同じ材料でよく、例えば、プラスチック又は金属である。管体の基端82はバキュームホース2の先端に差し込み可能であり、先端81にはバキュームチップ1の基端を差し込み可能である。アタッチメント8Aの両端部におけるジョイント部の長さは、バキュームチップ1とバキュームホース2を互いに直接接続したときのジョイント部の長さと同じになるように設定される。このために、例えば、基端82と管体中央部との境界に段差82aが設けられている。また、先端81においては、管体内面上に突起などのストッパ(図示せず)を設けることができる。アタッチメント8Aの内部空間は、吸引物の通路となる。
アタッチメント8Aの管体外面上に、上述した図1に示した光源部4A及び制御部7を収容した筐体が取り付けられている。図示しないが、操作用スイッチもこの筐体に設けられている。あるいは、制御部7は、歯科ユニットの操作パネルに設けてもよい。
光源部4Aの筐体におけるバキュームチップ側の側面には、比較的短い光ファイバ43が接続され、光ファイバ43の先端面44が、光源からの光の出光端面となる。別の例として、光ファイバ43を省いて、光源デバイス41の発光面42を出光端面としてもよい。いずれの場合も、出光端面は、アタッチメント8Aの先端側に向いている。なお、アタッチメント8Aの出光端面は、上述した各実施形態におけるホース側出光端面に相当する要素である。筐体には、外部電源との接続コネクタも設けられている。電池又は充電池を筐体に内蔵する場合は、外部電源は不要である。アタッチメント8Aの軸方向の長さは、これらの装備を搭載するために必要十分な長さであればよい。
光源部4Aを有するアタッチメント8Aに対して、管体外面上にチップ側入光端面を有するバキュームチップを組合せることができる。例えば、上述した口腔内吸引装置のバキュームチップ1A、1D、1E、1Fである。
変形形態として、図11中に点線で示すように、アタッチメント8Aの管体内面上に、図3に示した光源部4Bを設けることができる(その場合も、制御部7は外面上に設ける)。この場合、管体の基端面にチップ側入光端面を有するバキュームチップを組み合わせることができ、例えば、上述したバキュームチップ1B、1Cである。
図示しないが、アタッチメント8Aに、1つの制御部7と、複数の光源部4A又は4Bを設けることもできる。その場合、複数の光源部4A又は4Bは、アタッチメント8Aの外面上又は内面上の周方向に沿って所定の間隔を開けてそれぞれ配置される。
使用方法の一例として、バキュームホース2とアタッチメント8Aは、常時接続しておいてもよい。バキュームチップ1の交換時には、アタッチメント8Aからバキュームチップ1を取り外し、新しいバキュームチップ1を差し込む。バキュームチップ1をアタッチメント8Aに差し込むと同時に、すなわちバキュームチップ1とアタッチメント8Aとの接続が完了すると同時に、光源との光学的接続も完了する。
(6)アタッチメントを有する別の実施形態
図12は、アタッチメントを有する照明付き口腔内吸引装置の別の実施形態の概略断面を示している。
アタッチメント8Bは、バキュームチップ1及びバキュームホース2と接続可能な管体を有する。アタッチメント8Bの管体は、図11のアタッチメント8Aの管体と同様である。アタッチメント8Bの管体外面上には、光ファイバ43の先端及び先端近傍が固定されている。このために、光ファイバ43の先端部分は、硬質樹脂等からなる光ファイバ支持部28により封止されることによって、保護されかつ固定されている。光ファイバ43の先端面44は、アタッチメント8Bの先端側に向いている。この先端面44が、出光端面となる。アタッチメント8Bの軸方向の長さは、光ファイバ43の先端部分を安定に固定するために必要十分な長さであればよい。
光ファイバ43の基端は、光源部4Aに接続されている。この実施形態では、一例として、光源部4A及び制御部7が1つの筐体内に収容され、任意の場所(例えば歯科治療室の床上)に置かれている。光ファイバ43は、アタッチメント8Bと光源部4Aとの間の距離に応じた十分な長さを有する。電源を制御する操作用スイッチ等は、制御部7の筐体上に設けてもよく、又は、制御部7に接続された適宜の導線(図示せず)の先に操作用の手元スイッチやフットスイッチを設けてもよい。あるいは、制御部7は、歯科ユニットの操作パネルに設けてもよい。
光ファイバ43の先端部分を有するアタッチメント8Bに対して、管体外面上にチップ側入光端面を有するバキュームチップを組合せることができる。例えば、上述した口腔内吸引装置のバキュームチップ1A、1D、1E、1Fである。使用方法は、図11に示したアタッチメント8Aと同様である。
変形形態として、図12中に点線で示すように、光ファイバ43を、アタッチメント8Bの管壁の外側から内側に貫通させ、光ファイバ43の先端部分を管体内面上にファイバ支持部28で固定することもできる。この場合、管体の基端面にチップ側入光端面を有するバキュームチップを組み合わせることができ、例えば、上述したバキュームチップ1B、1Cである。
図示しないが、光ファイバ43の先端部分が複数の光ファイバに分岐していてもよい。その場合、複数の光ファイバは、アタッチメント8Bの外面上又は内面上の周方向に沿って所定の間隔を開けてそれぞれ配置される。
(7)ジョイント部のロック機構を有する実施形態
図13は、バキュームホースとバキュームチップのジョイント部3にロック機構を設けた照明付き口腔内吸引装置の実施形態を示している。ここでは、ジョイント部3及びその近傍部分のみを示している。図13(a)は、接続前の状態の概略側面図であり、(b)は(a)のバキュームチップ1CをIX方向に見た図である。(c)は接続完了後の状態の概略側面図である。
上述した各実施形態においては、バキュームホース2に対してバキュームチップ1を長手方向に沿って差し込むことで、バキュームチップ1とバキュームホース2との間の接続が完了する。一方、本実施形態においては、バキュームホース2に対してバキュームチップ1を差し込み、さらに周方向に回すことで、バキュームチップ1とバキュームホース2との間の接続が完了する。
図13(a)に示すように、バキュームホース2の先端には、ホース壁の一部に切欠き部21が形成されている。切欠き部21は、ホース壁先端から長手方向沿って延びる部分21aと、部分21aにおける最奥部から周方向に延びる部分21bとを有する。すなわち、切欠き部21は、全体として略L字状に延在する。部分21aの長さは、ジョイント部3の長さにほぼ等しい。部分21bの周方向に占める角度範囲は、例えば、20度~90度であるが、この範囲に限定されない。
一方、バキュームチップ1の基端に隣接する管体外面には、径方向外向きに突出する係止突起19が形成されている。図示の例では係止突起19は略円柱形状である。バキュームチップ1の周方向における係止突起19の最大長さ(図示の例では円柱の直径)は、バキュームホース2の切欠き部21の幅にほぼ相当する。また、係止突起19の突出高さは、バキュームホース2のホース壁の厚さと同じかそれ以上であることが好ましい。
切欠き部21と係止突起19は、少なくとも1組設ければ十分である。しかしながら、複数組の切欠き部21と係止突起19を設けてもよい。例えば、2組の切欠き部21と係止突起19を、ジョイント部3の軸を中心として0°の位置と180°の位置に設けてもよい。
図13では、一例として、図3に示したバキュームホース2と、図5に示したバキュームチップ1Cとを組み合わせている。ここでは、バキュームホース2の内面上に周方向に沿って3つの光源デバイス41(2つのみ図示)が設けられている。それらに対応して、バキュームチップ1Cの管壁内には3本の光ファイバ6B、6B、6Bが設けられている。これ以外にも、バキュームホース2とバキュームチップ1との多様な組合せが可能である。
バキュームホース2の切欠き部21は、バキュームホース2に設けられる光源デバイス又はホース側光ファイバと干渉しない位置に設けられる。同様に、バキュームチップ1の係止突起19は、バキュームチップ1の導光要素と干渉しない位置に設けられる。
図13(c)を参照して、バキュームチップ1Cとバキュームホース2の接続方法を説明する。先ず、バキュームチップ1Cの係止突起19をバキュームホース2の切欠き部21の位置に合わせて、バキュームチップ1Cをバキュームホース2に対し長手方向に差し込む(白矢印参照)。係止突起19を切欠き部21の部分21aの最奥まで差し込んだ後、バキュームチップ1Cをバキュームホース2に対して周方向に回す(白矢印参照)。これにより係止突起19が、部分21bに入り込み、部分21bの最奥まで到達する。これにより、バキュームチップ1Cとバキュームホース2との間の接続が完了する。係止突起19が部分21b内に拘束されることによって、バキュームチップ1Cの長手方向への移動が阻止される。このロック状態において、バキュームチップ1Cがバキュームホース2に対して周方向に容易に回ることがないように、両者の間に適度の摩擦があることが好ましい。
バキュームチップ1Cとバキュームホース2との間の接続が完了すると同時に、バキュームホース2の3つの光源デバイス41の各発光面と、バキュームチップ1Cの光ファイバ6B、6B、6Bの各チップ側入光端面との位置合わせも完了し、両者が互いに当接する。これを実現するために、3つの光源デバイス41及び光ファイバ6B、6B、6Bの位置が設定されている。
図14は、ロック機構を有する実施形態における、バキュームホースとバキュームチップの別の組合せの例を示す、接続状態における概略側面図である。バキュームホース2は、図9に示した実施形態と同様のものである。ホース側光ファイバ43が、バキュームホース2のホース壁内に埋設され、先端近傍でホース壁外に引き出され、ファイバ支持部28により支持固定されている。一方、バキュームチップ1Eは、図7(b)に示した実施形態と同様のものである。チップ側光ファイバ6Dが、バキュームチップ1Eの管壁内に埋設され、基端近傍で管壁外に引き出され、ファイバ支持部18により支持固定されている。
ジョイント部3において、ホース側には切欠き部21が、チップ側には係止突起19がそれぞれ形成されている。この場合も、白矢印のようにバキュームチップ1Eを長手方向に差し込んだ後、周方向に回すことによって、バキュームチップ1Eとバキュームホース2との間の接続が完了する。それと同時に、ホース側光ファイバ43の先端の出光端面と、チップ側光ファイバ6Dの基端の入光端面とが互いに当接する。
図示しないが、バキュームチップに切欠き部を、バキュームホースに係止突起を設けてもよい。その場合、バキュームホースの係止突起は、ホース壁の内面から径方向内側に突出する。
(8)アタッチメント及びロック機構を有する実施形態
図15は、アタッチメントとバキュームチップのジョイント部3にロック機構を設けた照明付き口腔内吸引装置の実施形態を示している。ここでは、ジョイント部3及びその近傍部分のみを示している。図15(a)は、接続前の状態の概略側面図であり、(b)は接続完了後の状態の概略側面図である。
一例として、アタッチメントは、図11に示したアタッチメント8Aと同様のものであり、管体内面上に周方向に沿って3つの光源デバイス41(2つのみ図示)が設けられている。一方、バキュームチップ1Cの管壁内には3本の光ファイバ6B、6B、6Bが延在している(図13の実施形態と同じ)。これ以外にも、アタッチメントとバキュームチップとの多様な組合せが可能である。
図15(a)に示すように、アタッチメント8Aの管体の先端81には、管壁の一部に切欠き部21が形成されている。切欠き部21は、管壁先端から長手方向に沿って延びる部分21aと、部分21aの最奥部から周方向に延びる部分21bとを有する。すなわち切欠き部21は、略L字状に延在する。部分21aの長さは、ジョイント部3の長さにほぼ等しい。部分21bの周方向に占める角度範囲は、例えば、20度~90度であるが、この範囲に限定されない。
一方、バキュームチップ1Cには、係止突起19が形成されている。係止突起19については、図13に示した実施形態について説明した通りである。
切欠き部21と係止突起19は、少なくとも一組設ければよい。しかしながら、複数組の切欠き部21と係止突起19を設けてもよい。例えば、2組の切欠き部21と係止突起19を、ジョイント部3の軸を中心として0°の位置と180°の位置に設けてもよい。
図15(b)に白矢印で示すように、先ず、バキュームチップ1Cの係止突起19をアタッチメント8Aの切欠き部21の位置に合わせて、バキュームチップ1Cをアタッチメント8Aに対し軸方向に差し込む。係止突起19を切欠き部21の部分21aの最奥まで差し込んだ後、バキュームチップ1Cをアタッチメント8Aに対して周方向に回す。これにより係止突起19が、部分21bに入り込み、最奥まで到達する。これにより、バキュームチップ1Cとアタッチメント8Aとの間の接続が完了する。係止突起19が部分21b内に拘束されることによって、バキュームチップ1Cの軸方向への移動が阻止される。このロック状態において、バキュームチップ1Cがアタッチメント8Aに対して周方向に容易に回ることがないように、両者の間に適度の摩擦があることが好ましい。
バキュームチップ1Cとアタッチメント8Aとの間の接続が完了すると同時に、アタッチメント8Aの3つの光源デバイス41の各発光面と、バキュームチップ1Cの光ファイバ6B、6B、6Bの各チップ側入光端面との位置合わせも完了し、両者が互いに当接する。これを実現するために、光源デバイス41及び光ファイバ6B、6B、6Bの位置が設定されている。
図示しないが、光源デバイス41が管体外面上に設けられたアタッチメント8A(図11参照)についても、同様に切欠き部21を形成することができる。その場合に組み合わせるバキュームチップは、管体外面の外側に導光要素の入光端面を有するタイプである。
アタッチメント8Aの切欠き部21は、アタッチメント8Aに設けられる光源デバイス又は光ファイバと干渉しない位置に設けられる。同様に、バキュームチップ1の係止突起19は、バキュームチップ1に設けられる導光要素と干渉しない位置に設けられる。
図16は、ロック機構を有する実施形態における、アタッチメントとバキュームチップの別の組合せの例を示している。アタッチメント8Bは、図10に示した実施形態と同様のものである。光ファイバ43が、アタッチメント8Bの管体外面上に取り付けられている。一方、バキュームチップ1Eは、図7(b)に示した実施形態と同様のものである。チップ側光ファイバ6Dが、バキュームチップ1Eの管壁内に埋設され、基端近傍で管壁外に引き出され、ファイバ支持部18により支持固定されている。
ジョイント部3において、アタッチメント側には切欠き部21が、チップ側には係止突起19がそれぞれ形成されている。この場合も、白矢印のようにバキュームチップ1Eを軸方向に差し込んだ後、周方向に回すことによって、バキュームチップ1Eとアタッチメント8Bとの間の接続が完了する。それと同時に、アタッチメント側の光ファイバ43の先端の出光端面と、チップ側光ファイバ6Dの基端の入光端面とが互いに当接するように、それぞれの位置を設定されている。
図示しないが、光ファイバ43が管体内面上に設けられたアタッチメント8B(図12参照)についても、同様に切欠き部21を形成することができる。その場合に組み合わせるバキュームチップは、管体自体が導光要素であるか又は管壁内に導光要素を有するタイプである。
図示しないが、バキュームチップに切欠き部を、アタッチメントに係止突起を設けてもよい。その場合、アタッチメントの係止突起は、管壁内面から内側に突出する。
(9)その他の実施形態
本発明によるバキュームチップは、上記いずれかの実施形態の照明付き口腔内吸引装置に用いられる。その場合、バキュームチップは、導光要素を有する。導光要素は、バキュームチップの管体外面上、管体内面上、もしくは管壁内に、長手方向に沿って設けられるか、又は、バキュームチップの管体自体により形成される。導光要素は、バキュームチップの基端側に向くように配置されたチップ側入光端面を具備し、かつチップ側入光端面から入力された光を誘導し、その長手方向に沿った側面又は先端から投射可能である。
本発明によるバキュームホースは、上記アタッチメントを用いる実施形態を除くいずれかの実施形態の照明付き口腔内吸引装置に用いられる。その場合、バキュームホースは、光源からの光を出力するためにバキュームホースの先端側に向くように配置されたホース側出光端面を有する。
以上、本発明の幾つかの実施形態を示す図面を参照して本発明を説明したが、1つの実施形態で説明された1又は複数の構成を、他の実施形態で説明された1又は複数の構成と組み合わせた形態についても、本発明の主旨に沿う限り、本発明の実施形態の1つに含まれる。また、本発明の主旨に沿う限りにおいてさらに多様な変形形態が可能であり、それらについても本発明の実施形態に含まれる。
1A、1B、1C、1D、1E、1F バキュームチップ
11 吸引口
12 作業側面
13 非作業側面
14 分岐部
15 基端面(自由端)
16 プリズム部
17 差込口
18 光ファイバ支持部
19 係止突起
2 バキュームホース
21 切欠き部
28 光ファイバ支持部
3 ジョイント部
4A、4B 光源部
41 光源デバイス
42 発光面
43 ホース側光ファイバ
44 先端面
45 支持部
46 凹部
6 導光要素
6A、6A’、6B、6C、6D チップ側光ファイバ
6C1 コア部
6C2 クラッド部
6D1 コア
6D2 クラッド
61 入光部
62 出光部
63 入光端面
64 固着部
7 制御部
71 導線
72 貫通孔
8A、8B アタッチメント
81 アタッチメント先端
82 アタッチメント基端
PS 電源

Claims (12)

  1. 吸引源に接続されたフレキシブルなバキュームホース(2)と、前記バキュームホース(2)の先端に接続可能な基端及び吸引口(11)である先端を具備する管体を有するバキュームチップ(1)と、を備えた口腔内の吸引装置であって、
    前記バキュームホース(2)の先端面を含まない先端近傍の外面上又は内面上に固定されて電力供給される発光ダイオード又はハロゲンランプである光源デバイス(41)と、
    前記光源デバイス(41)からの光を出力するために前記バキュームホース(2)の先端側に向くように、前記バキュームホース(2)の先端面を含まない先端近傍に配置されたホース側出光端面と、
    前記バキュームチップ(1)に設けられ、前記バキュームチップ(1)の基端側に向くように配置されたチップ側入光端面を具備し、かつ前記チップ側入光端面から入力された光を誘導して投射可能な導光要素(6)と、を有し、
    前記バキュームチップ(1)と前記バキュームホース(2)との間の接続が完了した状態において、前記ホース側出光端面及び前記チップ側入光端面が、前記ホース側出光端面から前記チップ側入光端面に光を伝達可能であるようにそれぞれ位置することを特徴とする照明付き口腔内吸引装置。
  2. 前記光源デバイス(41)の発光面(42)が前記ホース側出光端面であることを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  3. 前記光源デバイス(41)の発光面(42)に基端を接続され、かつ前記バキュームホース(2)に固定されたホース側光ファイバ(43)を有し、
    前記ホース側光ファイバ(43)の先端面(44)が前記ホース側出光端面であることを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  4. 前記バキュームチップ(1A、1C)の管体外面上、管体内面上、又は管壁内に、長手方向に沿って延在するチップ側光ファイバ(6A、6B)を有し、
    前記チップ側光ファイバ(6A、6B)が前記導光要素(6)であり、かつ、
    前記チップ側光ファイバ(6A、6B)の基端面(63)が前記チップ側入光端面であることを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  5. 前記バキュームチップ(1B)の管体自体が、光を全反射することにより長手方向に誘導可能なライトガイドにより形成されており、
    前記バキュームチップ(1B)の管体自体が前記導光要素(6)であり、かつ、
    前記バキュームチップ(1B)の管体の基端面(15)が前記チップ側入光端面であることを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  6. 前記バキュームチップ(1D)が、管壁内を通って長手方向に延在するコア部(6C1)と前記コア部(6C1)以外の管壁を形成するクラッド部(6C2)とから形成された管体を具備し、かつ前記コア部(6C1)及び前記クラッド部(6C2)は、前記管体の基端近傍において前記管体の外面から分岐して前記バキュームチップ(1D)の基端側に延びる入力用光ファイバ(6C)のコア及びクラッドとそれぞれ連続しており、
    前記バキュームチップ(1D)の管体自体及び前記入力用光ファイバ(6C)が前記導光要素(6)であり、かつ、
    前記入力用光ファイバ(6C)の自由端(63)が前記チップ側入光端面であることを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  7. 前記コア部(6C1)が、前記管体の軸を螺旋軸として前記管壁内で螺旋状に延びていることを特徴とする請求項6に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  8. 前記バキュームチップ(1E)の管壁内を通って長手方向に沿って延在し、かつ管体の基端近傍において管体の外面から引き出されて前記バキュームチップ(1E)の基端側に延びるチップ側光ファイバ(6D)を有し、
    前記チップ側光ファイバ(6D)が前記導光要素(6)であり、かつ、
    前記チップ側光ファイバ(6D)の基端面(63)が前記チップ側入光端面であることを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  9. 前記バキュームチップ(1F)の管体自体が、光を全反射することにより長手方向に誘導可能なライトガイドにより形成され、かつ前記ライトガイドの一部は、管体の基端近傍において管体の外面から分岐して前記バキュームチップ(1F)の基端側に延びる分岐部(14)を形成しており、
    前記バキュームチップ(1F)の管体自体及び前記分岐部(14)が前記導光要素(6)であり、かつ、
    前記分岐部(14)の自由端(15)が前記チップ側入光端面であることを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  10. 前記バキュームチップ(1)と前記バキュームホース(2)の互いに接続される各端部のうち、一方の端部が、長手方向沿って延びる第1の部分(21a)と前記第1の部分(21a)における最奥部から周方向に延びる第2の部分(21b)とを具備する切欠き部(21)を有すると共に、他方の端部が係止突起(19)を有し、
    前記バキュームチップ(1)を前記バキュームホース(2)に差し込むとき、前記バキュームチップ(1)と前記バキュームホース(2)のジョイント部(3)において、前記係止突起(19)が、前記切欠き部(21)の前記第1の部分(21a)内を長手方向に移動させられた後に、前記第2の部分(21b)内を周方向に移動させられることによって、前記バキュームチップ(1)と前記バキュームホース(2)との間の接続が完了することを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  11. 前記バキュームホース(2)の外面上において前記光源デバイス(41)の近傍に位置しかつ前記光源デバイス(41)の電源をオンオフするスイッチを含む制御部(7)と、前記制御部(7)を収容する筐体と、前記筐体の外面上に設けられた、前記スイッチの操作部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
  12. 前記光源デバイス(41)の電源が電池又は充電池であることを特徴とする請求項1に記載の照明付き口腔内吸引装置。
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