JP7074982B2 - 磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置及び画像処理方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
近年、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置を用いて非造影で心筋性状(心筋梗塞部位や線維化の進展等)を判別する方法として、T1マッピング法が注目を集めている。ここで、T1マッピング法は、心電図同期を用いて、データ収集時に心臓の形が同じになるようにR波からの時間を一定にして撮像を行うとともに、縦磁化の標識を行う反転(Inversion Recovery:IR)パルスからデータ収集までの時間である反転時間(Inversion Time:TI)を変えながら複数回データ収集を行うことで、縦磁化の回復度を反映した複数のデータを取得し、それらのデータを画素ごとに解析してT1値を導出することで、2次元のT1マップを生成する方法である。
Peter Kellman,et al.,"T1-mapping in the heart:accuracy and precision",J Cardiovasc Magn Reson,2014;16:2 Daniel R Messroghli,et al.,"Modified look-locker inversion recovery (MOLLI) for high-resolution T1 mapping of the heart",Magn Reson Med,2004;52:141-146
しかしながら、従来のT1マッピング法では、撮像時の心拍数の制限や心拍間隔の変動によって、精度が低下する場合があった。
実施形態に係るMRI装置、画像処理装置及び画像処理方法によれば、T1マッピング法によるT1値の導出精度を向上させることができるという効果を奏する。
実施形態に係るMRI装置は、縦磁化の標識を行う反転パルスを被検体の心拍に同期させて印加し、当該反転パルスからデータ収集までの時間である反転時間を変えながら複数回データ収集を行うことによって、複数のデータを収集する収集部と、前記複数のデータと、一定の心拍間隔、又は、前記データ収集が行われた際に前記被検体から計測された心拍間隔とを用いて、前記反転パルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさと前記反転時間との関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する導出部とを備える。
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。 図2は、実施例1に係るMRI装置によって行われるPC-TIP法を説明するための図である。 図3は、実施例2に係るMRI装置によって行われるPC-TIP法を説明するための図である。 図4は、実施例3に係るMRI装置によって行われるMOLLI法を説明するための図である。 図5は、第1の実施形態に係るMRI装置によって行われるT1マッピング法の処理手順を示すフローチャートである。 図6は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。 図7は、データ収集による縦磁化の回復への影響を説明するための図である。 図8は、データ収集による影響を考慮した場合の縦磁化の回復曲線を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本願に係るMRI装置、画像処理装置及び画像処理方法の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態として、MRI装置の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。
例えば、図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、送信コイル4、送信部5、受信コイル6、受信部7、寝台8、入力部9、表示部10、記憶部11、寝台制御部12、シーケンス制御部13、画像生成部14、主制御部15、ECGセンサ16、及びECGモニタ17を備える。
静磁場磁石1は、被検体Sが配置される撮像空間に静磁場を発生させる。具体的には、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、その内周側にある撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、略円筒状に形成された冷却容器と、当該冷却容器内に充填された冷却材(例えば、液体ヘリウム等)に浸漬された超伝導磁石等の磁石とを有する。なお、静磁場磁石1は、例えば、永久磁石を用いて静磁場を発生させるものであってもよい。
傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置されており、被検体Sが配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸それぞれに対応するXコイル、Yコイル及びZコイルを有している。Xコイル、Yコイル及びZコイルは、傾斜磁場電源3から供給される電流に基づいて、各軸方向に沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。ここで、Z軸は、傾斜磁場コイル2の円筒の軸に一致し、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束に沿って設定される。また、X軸は、Z軸に直交する水平方向に沿って設定され、Y軸は、Z軸に直交する鉛直方向に沿って設定される。これにより、X軸、Y軸及びZ軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給することで、リードアウト方向、フェーズエンコード方向及びスライス方向それぞれに沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。具体的には、傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2のXコイル、Yコイル及びZコイルに個別に電流を供給することで、互いに直交するリードアウト方向、フェーズエンコード方向及びスライス方向それぞれに沿って線形に変化する傾斜磁場を発生させる。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、フェーズエンコード方向に沿った傾斜磁場をフェーズエンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
ここで、リードアウト傾斜磁場、フェーズエンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳されることで、被検体Sから発生するMR信号に空間的な位置情報を付与する。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、リードアウト方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。また、フェーズエンコード傾斜磁場は、フェーズエンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、フェーズエンコード方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。また、スライス傾斜磁場は、スライス方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。例えば、スライス傾斜磁場は、スライス領域を撮像する場合には、スライス領域の方向、厚さ及び枚数を決めるために用いられ、ボリューム領域を撮像する場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させるために用いられる。これにより、リードアウト方向に沿った軸、フェーズエンコード方向に沿った軸、及びスライス方向に沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。
送信コイル4は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。送信コイル4は、送信部5から出力される高周波(Radio Frequency:RF)パルスに基づいて撮像空間にRF磁場を印加する。
送信部5は、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル4に出力する。例えば、送信部5は、発振回路、位相選択回路、周波数変換回路、振幅変調回路、及び、RF増幅回路を有する。発振回路は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。位相選択回路は、発振回路から出力されるRFパルスの位相を選択する。周波数変換回路は、位相選択回路から出力されるRFパルスの周波数を変換する。振幅変調回路は、周波数変換回路から出力されるRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RF増幅回路は、振幅変調回路から出力されるRFパルスを増幅して送信コイル4に出力する。
受信コイル6は、撮像空間に配置された被検体Sに装着され、送信コイル4によって印加されるRF磁場の影響で被検体Sから放射されるMR信号を受信する。また、受信コイル6は、受信したMR信号を受信部7へ出力する。例えば、受信コイル6には、撮像対象の部位ごとに専用のコイルが用いられる。ここでいう専用のコイルは、例えば、頭部用の受信コイル、脊椎用の受信コイル、腹部用の受信コイル等である。
受信部7は、受信コイル6から出力されるMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データをシーケンス制御部13に出力する。例えば、受信部7は、選択回路、前段増幅回路、位相検波回路、及び、アナログデジタル変換回路を有する。選択回路は、受信コイル6から出力されるMR信号を選択的に入力する。前段増幅回路は、選択回路から出力されるMR信号を増幅する。位相検波回路は、前段増幅器から出力されるMR信号の位相を検波する。アナログデジタル変換回路は、位相検波器から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することでMR信号データを生成し、生成したMR信号データをシーケンス制御部13に出力する。
なお、ここでは、送信コイル4がRFパルスを印加し、受信コイル6がMR信号を受信する場合の例を説明するが、送信コイル及び受信コイルの形態はこれに限られない。例えば、送信コイル4が、MR信号を受信する受信機能をさらに有してもよい。また、受信コイル6が、RF磁場を印加する送信機能をさらに有していてもよい。送信コイル4が受信機能を有している場合は、受信部7は、送信コイル4によって受信されたMR信号からもMR信号データを生成する。また、受信コイル6が送信機能を有している場合は、送信部5は、受信コイル6にもRFパルスを出力する。
寝台8は、被検体Sが載置される天板8aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、被検体Sが載置された天板8aを撮像空間に移動する。例えば、寝台8は、天板8aの長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置されている。
なお、ここでは、MRI装置100が、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び送信コイル4それぞれが略円筒状に形成された、いわゆるトンネル型の構成を有する場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。例えば、MRI装置100は、被検体Sが配置される撮像空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルを配置した、いわゆるオープン型の構成を有していてもよい。
入力部9は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力部9は、主制御部15に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して主制御部15へ出力する。例えば、入力部9は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
表示部10は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、表示部10は、主制御部15に接続されており、主制御部15から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、表示部10は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
記憶部11は、各種データを記憶する。例えば、記憶部11は、MR信号データや画像データを被検体Sごとに記憶する。例えば、記憶部11は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
寝台制御部12は、寝台8に接続されており、制御用の電気信号を寝台8へ出力することで、寝台8の動作を制御する。例えば、寝台制御部12は、入力部9を介して、天板8aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板8aを移動するように、寝台8が有する天板8aの駆動機構を動作させる。
シーケンス制御部13は、主制御部15から出力されるシーケンス実行データに従って傾斜磁場電源3、送信部5及び受信部7を駆動することで、各種の撮像法のパルスシーケンスを実行する。ここで、シーケンス実行データは、パルスシーケンスを表すデータであり、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給する電流の強さ、送信部5が送信コイル4にRFパルス信号を供給するタイミング及び供給するRFパルスの強さ、受信部7がMR信号をサンプリングするタイミング等を規定した情報である。そして、シーケンス制御部13は、パルスシーケンスを実行した結果として受信部7から出力されるMR信号データを受信し、記憶部11に記憶させる。このとき、記憶部11に記憶されるMR信号は、前述したリードアウト傾斜磁場、フェーズエンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によってリードアウト方向、フェーズアウト方向及びスライス方向の各方向に沿った位置情報が付与されることで、2次元又は3次元に配列されたk空間データとして記憶される。
画像生成部14は、記憶部11に記憶されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、画像生成部14は、シーケンス制御部13によって収集されたMR信号データを記憶部11から読み出し、読み出したMR信号データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、2次元又は3次元の画像を生成する。また、画像生成部14は、生成した画像を記憶部11に記憶させ、操作者からの要求に応じて、記憶部11から画像データを読み出して表示部10に出力する。
主制御部15は、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、主制御部15は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示部10に表示し、入力部9を介して受け付けられた入力操作に応じて、MRI装置100が有する各構成要素を制御する。例えば、主制御部15は、操作者によって入力された撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データをシーケンス制御部13に出力することで、各種のパルスシーケンスを実行する。
ECGセンサ16は、被検体Sの体表に装着され、被検体Sの心電信号を検出する。そして、ECGセンサ16は、検出した心電信号をECGモニタ17に出力する。
ECGモニタ17は、ECGセンサ16から出力される心電信号に基づいて、所定の心電波形を検出する。例えば、ECGモニタ17は、所定の心電波形としてR波を検出する。そして、ECGモニタ17は、所定の心電波形を検出したタイミングでトリガ信号を生成し、生成したトリガ信号をシーケンス制御部13に出力する。
なお、上述した各部のうち、寝台制御部12、シーケンス制御部13、画像生成部14及び主制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の処理回路によって実現される。その場合に、寝台制御部12、シーケンス制御部13、画像生成部14及び主制御部15は、1つの処理回路によって統合されて実現されてもよいし、複数の処理回路によって分散されて実現されてもよい。
以上、本実施形態に係るMRI装置100の構成例について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、T1マッピング法によって対象組織のT1値を導出する機能を有している。
ここで、T1マッピング法は、心電図同期を用いて、データ収集時に心臓の形が同じになるようにR波からの時間を一定にして撮像を行うとともに、縦磁化の標識を行うIRパルスからデータ収集までの時間であるTIを変えながら複数回データ収集を行うことで、縦磁化の回復度を反映した複数のデータを取得し、それらのデータを画素ごとに解析してT1値を導出することで、2次元のT1マップを生成する方法である。
しかしながら、従来のT1マッピング法では、撮像時の心拍数の制限や心拍間隔の変動によって、精度が低下する場合があった。
このことから、本実施形態に係るMRI装置100は、T1マッピング法によるT1値の導出精度を向上させることができるように構成されている。
具体的には、本実施形態に係るMRI装置100では、主制御部15が、収集部15aと、導出部15bとを有する。
収集部15aは、縦磁化の標識を行うIRパルスを被検体の心拍に同期させて印加し、当該IRパルスからデータ収集までの時間であるTIを変えながら複数回データ収集を行うことによって、複数のデータを収集する。
具体的には、収集部15aは、操作者から入力された撮像条件に基づいて生成したシーケンス実行データをシーケンス制御部13に出力することによって、ECGモニタ17から出力されるトリガ信号に同期させてIRパルスを印加し、TIを変えながら複数回データ収集を行うように、シーケンス制御部13を制御する。
また、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータと、一定の心拍間隔、又は、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔とを用いて、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさとTIとの関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する。
具体的には、導出部15bは、シーケンス制御部13によってTIを変えながら収集された複数のデータ(MR信号データ)を記憶部11から読み出し、読み出したデータを用いて、対象組織のT1値を導出する。
ここで、導出部15bは、第1の心拍における縦磁化の大きさを、当該第1の心拍の前にIRパルスが印加された第2の心拍における縦磁化の大きさと、第1の心拍と第2の心拍との心拍間隔とで表した漸化式を用いて、縦磁化の大きさを逐次的に算出する。
このような構成によれば、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出することによって、撮像時の心拍数の制限や心拍間隔の変動による縦磁化の挙動の誤差を補正することができ、T1マッピング法によるT1値の導出精度を向上させることができる。
以下では、本実施形態に係るMRI装置100によって行われるT1マッピング法の適用例として、PC-TIP(Polarity Corrected TI Prep)法への適用例と、MOLLI(Modified Look Locker Imaging)法への適用例とを説明する。
ここで、PC-TIP法及びMOLLI法は、いずれも、TIを変えながら収集した複数のデータを解析してT1値を導出するものであるが、PC-TIP法は、1つの心拍ごとにIRパルスを印加し、1つの心拍ごとに1回データ収集を行うものであり、MOLLI法は、複数の心拍ごとにIRパルスを印加し、1つの心拍ごとに1回データ収集を行うものであるという点で異なっている。
(実施例1)
まず、実施例1として、PC-TIP法への適用例について説明する。
本実施例では、収集部15aは、1つの心拍ごとにIRパルスを印加し、1つの心拍ごとに1回データ収集を行う。
図2は、実施例1に係るMRI装置100によって行われるPC-TIP法を説明するための図である。
ここで、図2では、上側に、本実施例に係るPC-TIP法におけるIRパルス及びデータ収集のタイミングを示しており、下側に、本実施例に係るPC-TIP法における対象組織の縦磁化の挙動を示している。
具体的には、図2では、ECGモニタ17によって検出されるR波(トリガ信号)のタイミングをRで示し、IRパルスが印加されるタイミングをIRで示し、データ収集が行われるタイミングをAQで示している。また、IRパルスが印加される心拍間隔をTRRで示している。
例えば、図2の上側に示すように、収集部15aは、被検体のR波に同期させて、1つの心拍ごとに、撮像領域にIRパルスを印加してデータ収集を行う。このとき、収集部15aは、IRパルスからデータ収集までの時間であるTIを変えながら、1つの心拍ごとに1回データ収集を行う。例えば、収集部15aは、R波からIRパルスまでの時間TDを心拍ごとに徐々に短くすることで、TIが心拍ごとに徐々に長くなるようにする。また、収集部15aは、データ収集時に心臓の形が同じになるようにR波からデータ収集までの時間TAを一定にしながら、1つの心拍ごとにデータ収集を行う。これにより、収集部15aは、異なるTIに対応した複数のデータを収集する(図2に示す丸い印を参照)。
ここで、撮像領域に含まれる対象組織の縦磁化は、各心拍において、IRパルスが印加された際に反転し、次のIRパルスが印加されるまでの間、時間の経過とともに回復する。したがって、各心拍で収集されたデータは、それぞれ、各TIに応じた縦磁化の回復度を反映したものとなる。
そして、本実施例では、導出部15bが、収集部15aによって収集された複数のデータを用いて、対象組織のT1値を導出する。
例えば、従来のPC-TIP法では、TIを変えながら収集された複数のデータに対して、以下の(式1)又は(式1’)を用いてパラメータフィッティングを行うことによって、対象組織のT1値が導出される。
S=M0*(1-2*exp(-TI/T1)+exp(-TRR/T1)) ・・・(式1)
ここで、Sは、データの信号値である。また、M0は、初期磁化の大きさであり、TIは、反転時間である。また、TRRは、心拍間隔であり、T1は、対象組織のT1値である。
S=A*(1-2*exp(-TI/T1))+B*exp(-TRR/T1)) ・・・(式1’)
ここで、A=M0であり、B~M0である。なお、Bは、装置の不完全性を考慮したパラメータである。
しかしながら、上記(式1)及び(式1’)は、縦磁化が定常状態になった場合を想定したものであり、定常状態となる前の状態、すなわち過渡状態では、T1値の導出精度が低下すると考えられる。
これについて、例えば、位相エンコード数が多い撮像等のようにデータ収集の繰り返し回数が多い場合は、データ収集時に縦磁化が定常状態となるが、T1マッピング法では、通常、呼吸動の影響を避けるために息止め下で撮像が行われるため、1回の息止めで撮像に用いることができる心拍数に制限があり、その結果、データ収集の回数が限られる。例えば、平均的な心拍数を60回/分とすると、1回の息止めで撮像に使用することができる心拍数は20程度であり、T1マッピング法で主に用いられているシングルショット撮像でデータ収集を行った場合、1回の息止めで行えるスキャン数は20回程度である。このため、T1マッピング法では、データ収集が行われている間は、縦磁化がまだ過渡状態であると考えられる。
このことから、本実施例では、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータと、一定の心拍間隔とを用いて、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさとTIとの関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する。
具体的には、導出部15bは、収集部15aによってTIを変えながら収集された複数のデータに対して、以下の(式2)を用いてパラメータフィッティングを行うことによって、対象組織のT1値を導出する。
n=M0*(1-2βn*exp(-TI/T1)) ・・・(式2)
ここで、Snは、n番目(n>0)の心拍で収集されたデータの信号値である。
また、βnは、n番目の心拍で回復した縦磁化の最後の大きさのM0に対する割合である。ここで、βnは、1つ前のβn-1と、心拍間隔TRRとに依存し、以下の(式3)のように漸化式で表される。なお、n=1の場合は、β1=1である。
βn=1-βn-1*exp(-TRR/T1) ・・・(式3)
さらに、γn=exp(-TRR/T1)とすると、上記(式3)は、以下の式(4)で表される。
βn=1-γn*βn-1 ・・・(式4)
ここで、本実施例では、導出部15bは、TRRとして、一定の心拍間隔を用いる。例えば、導出部15bは、操作者によって予め設定された心拍間隔や、予め被検体から計測された心拍間隔の平均値等をTRRとして用いる。
そして、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータを用いて、画素ごとにT1値の導出を行うことにより、T1マップを生成する。
このように、実施例1では、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出することによって、過渡状態でデータ収集が行われた場合でも、縦磁化の挙動を精度よく求めることができる。これにより、実施例1では、撮像時の心拍数の制限による縦磁化の挙動の誤差を補正することができ、PC-TIP法によるT1値の導出精度を向上させることができる。
(実施例2)
なお、上述した実施例1では、PC-TIP法において、心拍間隔を一定とした場合の例を説明したが、例えば、被検体に不整脈がある場合には、心拍間隔が変動することもある。心拍間隔が変動した場合には、心拍ごとの縦磁化の回復量が変化し、その結果、収集されたデータに縦磁化の挙動が正しく反映されず、導出されるT1値に誤差が生じることもあり得る。
そこで、実施例2では、PC-TIP法において、心拍間隔の変動による縦磁化の挙動の誤差を補正する場合の例を説明する。
図3は、実施例2に係るMRI装置100によって行われるPC-TIP法を説明するための図である。
例えば、図3に示すように、n-2番目の心拍とn-1番目の心拍との心拍間隔をTRRn-1、n-1番目の心拍とn番目の心拍との心拍間隔をTRRn、n番目の心拍とn+1番目の心拍との心拍間隔をTRRn+1とする。
また、n-1番目の心拍で回復した縦磁化の最後の大きさをMrn-1、n番目の心拍で回復した縦磁化の最後の大きさをMrnとする。この場合に、n-1番目の心拍でIRパルスによって反転した直後の縦磁化の大きさMinは、Mrn-1が反転され、Min=-Mrn-1となる。なお、n=1の場合は、Mi1=-M0(初期磁化が反転されたもの)である。
ここで、例えば、図3に示すように、不整脈等によってTRRn-1とTRRnとが異なる長さになると、n-1番目の心拍における縦磁化の回復量と、n番目の心拍における縦磁化の回復量とが変化し、Mrn-1と、Mrnとが異なる大きさになる。すなわち、心拍ごとに縦磁化の挙動にずれが生じることになり、その結果、収集されたデータに縦磁化の挙動が正しく反映されず、導出されるT1値に誤差が生じることがあり得る。
このことから、本実施例では、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータと、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔とを用いて、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさとTIとの関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する。
具体的には、導出部15bは、収集部15aによってTIを変えながら収集された複数のデータに対して、以下の(式5)を用いてパラメータフィッティングを行うことによって、対象組織のT1値を導出する。
n=M0*(1-2βn*exp(-TI/T1)) ・・・(式5)
ここで、Snは、n番目(n>0)の心拍で収集されたデータの信号値である。
また、βnは、MrnのMn-1に対する割合である。ここで、βnは、1つ前のβn-1と、n-1番目の心拍とn番目の心拍との心拍間隔TRRnとに依存し、以下の(式6)のように漸化式で表される。なお、n=1の場合は、β1=1である。
βn=1-βn-1*exp(-TRRn/T1) ・・・(式6)
ここで、TRRnが十分に長い場合(TRRn→∞)は、βn→1となる。
さらに、γn=exp(-TRRn/T1)とすると、上記(式6)は、以下の(式7)で表される。
βn=1-γn*βn-1 ・・・(式7)
ここで、本実施例では、導出部15bは、TRRnとして、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔を用いる。例えば、ここで用いられる心拍間隔は、シーケンス制御部13によって、ECGモニタ17から出力されるトリガ信号に基づいて計測され、データが収集されるごとに各データにタグ情報として付与されて記憶部11に記憶される。
そして、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータを用いて、画素ごとにT1値の導出を行うことにより、T1マップを生成する。
このように、実施例2では、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出することによって、心拍間隔の変動によって心拍ごとに縦磁化の回復量が変化した場合でも、縦磁化の挙動を精度よく求めることができる。これにより、実施例2では、撮像時の心拍間隔の変動による縦磁化の挙動の誤差を補正することができ、PC-TIP法によるT1値の導出精度を向上させることができる。
(実施例3)
次に、実施例3として、MOLLI法への適用例について説明する。
本実施例では、収集部15aは、複数の心拍ごとにIRパルスを印加し、1つの心拍ごとに1回データ収集を行う。
図4は、実施例3に係るMRI装置100によって行われるMOLLI法を説明するための図である。
ここで、図4では、上側に、本実施例に係るMOLLI法におけるIRパルス及びデータ収集のタイミングと対象組織の縦磁化の挙動とを示しており、下側に、本実施例に係るMOLLI法で収集されたデータにおける縦磁化の大きさとTIとの関係を示している。
具体的には、図4では、心拍をn1~n17で示し、n1とn2との心拍間隔をTRR1で示し、n2とn3との心拍間隔をTRR2で示している(他の心拍間隔については図示を省略)。また、図4では、ECGモニタ17によって検出されるR波(トリガ信号)のタイミングをRで示し、IRパルスが印加されるタイミングをn-ir1、n-ir2及びn-ir3で示し、n-ir1とn-ir2との心拍間隔をIR_TRR1で示し、n-ir2とn-ir3との心拍間隔をIR_TRR2で示し、n-ir3とn-ir4(図示を省略)との心拍間隔をIR_TRR3で示している。また、データ収集が行われるタイミングを三角形の印で示し、対象組織の縦磁化の挙動を破線で示している。
例えば、図4の上側に示すように、収集部15aは、被検体のR波に同期させて、1番目の心拍n1と、7番目の心拍n7と、13番目の心拍n13とで、撮像領域にIRパルスを印加し、1つの心拍ごとに、データを収集する。このとき、収集部15aは、1~3番目の心拍n1~n3、7~9番目の心拍n7~n9、及び、13~17番目の心拍n13~n17において、IRパルスからデータ収集までの時間であるTIを変えながら、1つの心拍ごとに1回データ収集を行う。例えば、収集部15aは、心拍n1、心拍n7及び心拍n13のそれぞれごとに、R波からIRパルスまでの時間TDを徐々に短くすることで、IRパルスから最初のデータ収集までのTIが徐々に長くなるようにする。また、収集部15aは、データ収集時に心臓の形が同じになるようにR波からデータ収集までの時間TAを一定にしながら、1つの心拍ごとにデータ収集を行う(図4に示す三角形の印を参照)。これにより、収集部15aは、異なるTIに対応する複数のデータを収集する(図4の丸い印を参照)。
ここで、撮像領域に含まれる対象組織の縦磁化は、心拍n1、心拍n7及び心拍n13それぞれにおいて、IRパルスが印加された際に反転し、次のIRパルスが印加されるまでの間、時間の経過とともに回復する。したがって、心拍n1~n3、心拍n7~n9、及び、心拍n13~n17で収集されたデータは、それぞれ、各TIに応じた縦磁化の回復度を反映したものとなる。
そして、本実施例では、導出部15bが、収集部15aによって収集された複数のデータを用いて、対象組織のT1値を導出する。
例えば、従来のMOLLI法では、まず、TIを変えながら収集された複数のデータに対して、以下の(式8)を用いてパラメータフィッティングを行うことによって、みかけのT1値であるT1*が導出される。
S=A-B*exp(-TI/T1*) ・・・(式8)
ここで、Sは、データの信号値である。また、TIは、反転時間である。また、A及びBは、初期磁化の大きさをM0として、A~M0、B~2*Aである。
その後、以下の(式9)によって、対象組織のT1値が導出される。
T1=T1*(B/A-1) ・・・(式9)
しかしながら、上記(式8)及び(式9)は、心拍間隔が一定であることを前提としたものであり、被検体に不整脈がある場合には、心拍間隔が変動することによって、収集されたデータに縦磁化の挙動が正しく反映されず、導出されるT1値に誤差が生じることもあり得る。
すなわち、MOLLI法では、図4の上側に示すように、IRパルスが印加されてから次のIRパルスが印加されるまでの間に縦磁化が回復するが、心拍間隔が変動すると、それに伴って、IRパルスが印加される間隔が変化することになり、IRパルス間における縦磁化の挙動にずれが生じることになる。その結果、収集されたデータに縦磁化の挙動が正しく反映されず、導出されるT1値に誤差が生じることがあり得る。
このことから、本実施例では、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータと、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔とを用いて、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさとTIとの関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する。
ここで、導出部15bは、収集部15aによってデータ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔を用いて、IRパルスが印加された心拍の間隔を算出し、算出された間隔に基づいて、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出する。
具体的には、導出部15bは、ir_n回目のIRパルスが印加された心拍とir_n+1回目のIRパルスが印加された心拍との間に含まれる複数の心拍間隔TRRnから、ir_n回目のIRパルスが印加された心拍とir_n+1回目のIRパルスが印加された心拍との心拍間隔IR_TRRir_nを算出する(ir_n=1、2・・・)。
ここで、本実施例では、導出部15bは、TRRnとして、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔を用いる。例えば、ここで用いられる心拍間隔は、シーケンス制御部13によって、ECGモニタ17から出力されるトリガ信号に基づいて計測され、データが収集されるごとに各データにタグ情報として付与されて記憶部11に記憶される。なお、何心拍ごとにIRパルスを印加するか、及び、IRパルス間の何心拍でデータ収集を行うかは、撮像条件の1つとして予め設定される。
例えば、図4に示す例では、導出部15bは、以下のように、IR_TRR1、IR_TRR2、及び、IR_TRR3を算出する。
Figure 0007074982000001
Figure 0007074982000002
Figure 0007074982000003
そして、導出部15bは、収集部15aによってTIを変えながら収集された複数のデータに対して、以下の(式10)を用いてパラメータフィッティングを行うことによって、みかけのT1値であるT1*を導出する。
n=A-Bβir_n*exp(-TI/T1*) ・・・(式10)
ここで、Snは、n番目(n>0)の心拍で収集されたデータの信号値である。また、TIは、反転時間である。また、A及びBは、初期磁化の大きさをM0として、A~M0、B~2*Aである。
また、βir_nは、n番目の心拍で回復した縦磁化の最後の大きさのM0に対する割合である。ここで、βir_nは、1つ前のβir_n-1と、ir_n回目のIRパルスが印加された心拍とir_n+1回目のIRパルスが印加された心拍との心拍間隔であるIR_TRRir_nとに依存し、以下の(式11)及び(式12)のように漸化式で表される。なお、ir_n=1の場合は、β1=1である。
βir_n=1-γir_n*βir_n-1 ・・・(式11)
γir_n=exp(-IR_TRRir_n/T1*) ・・・(式12)
その後、導出部15bは、以下の(式13)によって、対象組織のT1値を導出する。
T1=T1**(B/A-1) ・・・(式13)
そして、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータを用いて、画素ごとにT1値の導出を行うことにより、T1マップを生成する。
このように、実施例3では、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出することによって、心拍間隔の変動によって心拍ごとに縦磁化の回復量が変化した場合でも、縦磁化の挙動を精度よく求めることができる。これにより、実施例3では、撮像時の心拍間隔の変動による縦磁化の挙動の誤差を補正することができ、MOLLI法によるT1値の導出精度を向上させることができる。
(実施例4)
なお、上述した実施例3では、MOLLI法において、IRパルスが印加された心拍の間隔に基づいて、心拍間隔の変動による縦磁化の挙動の誤差を補正する場合の例を説明したが、一般的に、MOLLI法では、T1値の導出を行う際に、IRパルスが印加されない心拍に対応するTIついては、IRパルスが印加された心拍に対応するTIと一定の心拍間隔とから算出される。そのため、撮像時に心拍間隔が変動すると、IRパルスが印加されない心拍に対応するTIにずれが生じ、その結果、導出されるT1値に誤差が生じることもあり得る。
そこで、実施例4では、MOLLI法において、IRパルスが印加されなかった心拍に対応するTIのずれをさらに補正する場合の例を説明する。
例えば、図4に示す例において、心拍間隔TRR(TRR1、TRR2等)を一定の1000[ms]とし、1回目のIRパルスで収集するTIの初期値を140[ms]、2回目のIRパルスで収集するTIの初期値を140[ms]、3回目のIRパルスで収集するTIの初期値を440[ms]とすると、1回目のIRパルスが印加された後に収集される3つのデータに対応するTIは、それぞれ、以下のようになる。
TI1=140[ms]
TI2=TI1+TRR=1140[ms]
TI3=TI1+TRR+TRR=2140[ms]
また、2回目のIRパルスが印加された後に収集される3つのデータに対応するTIは、それぞれ、以下のようになる。
TI4=280[ms]
TI5=TI4+TRR=1280[ms]
TI6=TI4+TRR+TRR=2280[ms]
また、3回目のIRパルスが印加された後に収集される5つのデータに対応するTIは、それぞれ、以下のようになる。
TI7=440[ms]
TI8=TI7+TRR=1440[ms]
TI9=TI7+TRR+TRR=2440[ms]
TI10=TI7+TRR+TRR+TRR=3440[ms]
TI11=TI7+TRR+TRR+TRR+TRR=3440[ms]
そして、従来のMOLLI法では、各TIを以下のように短い順に並び替えることで、パラメータフィッティングが行われる。
140[ms](TI1)
280[ms](TI4)
440[ms](TI7)
1140[ms](TI2)
1280[ms](TI5)
1440[ms](TI8)
2140[ms](TI3)
2280[ms](TI6)
2440[ms](TI9)
3440[ms](TI10)
3440[ms](TI11)
ここで、被検体に不整脈がある場合には、TRRが心拍ごとに異なる長さになるため、1回目のIRパルスが印加された後に収集される3つのデータに対応するTIは、それぞれ、以下のようになる。
TI1=140[ms]
TI2=TI1+TRR1≠1140[ms]
TI3=TI1+TRR1+TRR2≠2140[ms]
また、2回目のIRパルスが印加された後に収集される3つのデータに対応するTIは、それぞれ、以下のようになる。
TI4=280[ms]
TI5=TI4+TRR7≠1280[ms]
TI6=TI4+TRR7+TRR8≠2280[ms]
また、3回目のIRパルスが印加された後に収集される5つのデータに対応するTIは、それぞれ、以下のようになる。
TI7=440[ms]
TI8=TI7+TRR13≠1440[ms]
TI9=TI7+TRR13+TRR14≠2440[ms]
TI10=TI7+TRR13+TRR14+TRR15≠3440[ms]
TI11=TI7+TRR13+TRR14+TRR15+TRR16≠3440[ms]
このように、IRパルスが印加されない心拍では、心拍間隔の変動によって、TIのずれが生じる。この結果、収集されたデータに縦磁化の挙動が正しく反映されず、導出されるT1値に誤差が生じることがあり得る。
このことから、本実施例では、導出部15bは、実施例3で説明した縦磁化の補正を行ったうえで、収集部15aによってデータ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔を用いて、IRパルスが印加されなかった心拍に対応するTIを算出し、算出されたTIに基づいて、対象組織のT1値を導出する。
具体的には、導出部15bは、実施例3と同様に、収集部15aによってTIを変えながら収集された複数のデータに対して、(式10)を用いてパラメータフィッティングを行うことによって、みかけのT1値であるT1*を導出する。
このとき、本実施例では、導出部15bは、IRパルスが印加されなかった心拍ごとに、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔TRRnと、直前にIRパルスが印加された心拍に対応するTIとを用いて、TIを逐次的に算出する。具体的には、導出部15bは、IRパルスが印加された心拍に対応するTIに、その心拍に続くTRRnを逐次加算することで、IRパルスが印加されなかった各心拍に対応するTIを算出する。そして、導出部15bは、算出した全てのTIを用いて、パラメータフィッティングを行う。
その後、導出部15bは、実施例3と同様に、(式13)によって、対象組織のT1値を導出する。
そして、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータを用いて、画素ごとにT1値の導出を行うことにより、T1マップを生成する。
このように、実施例4では、IRパルスが印加されなかった心拍に対応するTIのずれをさらに補正することによって、縦磁化の挙動をより精度よく求めることができる。これにより、実施例4では、撮像時の心拍間隔の変動による縦磁化の挙動の誤差をより高精度に補正することができ、MOLLI法によるT1値の導出精度をさらに向上させることができる。
次に、第1の実施形態に係るMRI装置によって行われるT1マッピング法の処理手順について説明する。
図5は、第1の実施形態に係るMRI装置によって行われるT1マッピング法の処理手順を示すフローチャートである。
例えば、図5に示すように、本実施形態では、まず、収集部15aが、縦磁化の標識を行うIRパルスを被検体の心拍に同期させて印加し、当該IRパルスからデータ収集までの時間であるTIを変えながら複数回データ収集を行うことによって、複数のデータを収集する(ステップS11)。
続いて、導出部15bが、収集部15aによって収集された複数のデータと、一定の心拍間隔、又は、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔とを用いて、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出する(ステップS12)。また、導出部15bは、算出された縦磁化の大きさとTIとの関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する(ステップS13)。
そして、導出部15bは、収集部15aによって収集された複数のデータを用いて、画素ごとにT1値の導出を行うことにより、T1マップを生成する(ステップS14)。
上述したように、第1の実施形態によれば、TIを変えながら収集された複数のデータと、一定の心拍間隔、又は、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔とを用いて、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出することによって、T1マッピング法によるT1値の導出精度を向上させることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、画像処理装置の実施形態について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。
例えば、図6に示すように、本実施形態では、MRI装置100と、画像処理装置200とが、ネットワーク300を介して通信可能に接続されている。
MRI装置100は、磁気共鳴現象を利用して被検体の画像データを収集する。具体的には、MRI装置100は、操作者によって設定された撮像条件に基づいて各種撮像シーケンスを実行することで、被検体から磁気共鳴データを収集する。そして、MRI装置100は、収集した磁気共鳴データに対してフーリエ変換処理等の画像処理を施すことで、二次元又は三次元の画像データ(MR画像)を生成する。
画像処理装置200は、MRI装置100によって収集された画像データを処理する。具体的には、画像処理装置200は、ネットワーク300を介して、MRI装置100から画像データを取得し、装置内又は装置外に設けられた記憶部に記憶させる。また、画像処理装置200は、取得した画像データに対して各種画像処理を行い、画像処理を行う前又は画像処理を行った後の画像データをディスプレイ等に表示する。例えば、画像処理装置200は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
具体的には、画像処理装置200は、ネットワーク(Network:NW)インタフェース210と、記憶部220と、入力部230と、表示部240と、制御部250とを備える。
NWインタフェース210は、ネットワーク300を介して接続された他の装置と画像処理装置200との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、NWインタフェース210は、制御部250に接続され、制御部250から出力される画像データを所定の通信プロトコルに準拠した形式に変換し、MRI装置100に送信する。また、NWインタフェース210は、MRI装置100から受信した画像データを制御部250に出力する。例えば、NWインタフェース210は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
記憶部220は、各種データを記憶する。具体的には、記憶部220は、制御部250に接続され、制御部250から送られる命令に応じて、入力された画像データを記憶し、又は、記憶している画像データを制御部250に出力する。例えば、記憶部220は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
入力部230は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力部230は、制御部250に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して制御部250へ出力する。例えば、入力部9は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
表示部240は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、表示部240は、制御部250に接続され、制御部250から出力される画像データに基づいて、各種の形式で画像を表示する。例えば、表示部240は、液晶モニタやCRTモニタ、タッチパネル等によって実現される。
制御部250は、入力部230を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、画像処理装置200が備える各構成要素を制御する。具体的には、制御部250は、NWインタフェース210から出力される画像データを記憶部220に記憶させる。また、制御部250は、記憶部220から読み出した画像データを表示部240に表示する。
例えば、制御部250は、CPUやMPU、ASIC、PLD等の処理回路によって実現される。その場合に、制御部250は、1つの処理回路によって実現されてもよいし、複数の処理回路によって分散されて実現されてもよい。
以上、本実施形態に係る画像処理装置200の構成例について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係る画像処理装置200は、MRI装置100によって収集されたデータを用いて、T1マッピング法によって対象組織のT1値を導出する機能を有している。
そして、本実施形態に係る画像処理装置200は、T1マッピング法によるT1値の導出精度を向上させることができるように構成されている。
具体的には、本実施形態では、制御部250が、取得部251と、導出部252とを有する。
取得部251は、縦磁化の標識を行うIRパルスを被検体の心拍に同期させて印加し、当該IRパルスからデータ収集までの時間であるTIを変えながら複数回データ収集を行うことによって収集された複数のデータをMRI装置100から取得する。
具体的には、取得部251は、上述した第1の実施形態及び実施例で説明した収集部15aによるデータ収集と同様の方法で収集された複数のデータをMRI装置100から取得する。
導出部252は、取得部251によって収集された複数のデータと、一定の心拍間隔、又は、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔とを用いて、IRパルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさとTIとの関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する。
具体的には、導出部252は、上述した第1の実施形態及び実施例で説明した導出部15bと同様に、対象組織のT1値を導出する。ここで、導出部15bは、上述した実施例1と同様に、T1値を導出する際に、一定の心拍間隔を用いる場合には、例えば、操作者によって予め設定された心拍間隔や、予め被検体から計測された心拍間隔の平均値等を用いる。また、導出部15bは、上述した実施例2~4と同様に、T1値を導出する際に、データ収集が行われた際に被検体から計測された心拍間隔を用いる場合には、例えば、データが収集されるごとに各データにタグ情報として付与された心拍間隔を用いる。
上述した構成によれば、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、T1マッピング法によるT1値の導出精度を向上させることができる。
なお、上記実施形態で説明した制御部250の機能は、例えば、ソフトウェアによって実現することもできる。例えば、制御部250の機能は、上記実施形態において制御部250が行うものとして説明した処理の手順を規定した画像処理プログラムをコンピュータに実行させることで、実現される。当該画像処理プログラムは、例えば、ハードディスクや半導体メモリ素子等に記憶され、CPUやMPU等の処理回路によって読み出されて実行される。また、この医用画像処理プログラムは、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)やMO(Magnetic Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録されて、配布され得る。
なお、上記実施形態及び実施例で説明したT1マッピング法は、心筋を撮像対象とする場合に限られず、例えば、脳等の他の部位を撮像対象とする場合も、同様に適用することが可能である。
また、上記実施形態及び実施例では、T1値のみを導出する場合の例を説明したが、本願が開示する技術の適用例はこれに限られない。例えば、上記実施形態及び実施例で説明した方法は、T1値やT2値等を含む複数種類の組織定量値を同時にデータ収集して導出するマルチパラメータマッピングに適用することも可能である。
その場合には、収集部15aは、T1値やT2値等を含む複数種類の組織定量値を導出するマルチパラメータマッピング用のパルスシーケンスを実行することによって、複数のデータを収集する。そして、導出部15bは、マルチパラメータマッピング用のパルスシーケンスによって収集された複数のデータに基づいて、T1値やT2値等を含む複数種類の組織定量値を導出する。このとき、導出部15bは、上記実施形態及び実施例で説明した方法でT1値を導出し、さらに、T2値等を含む他の複数種類の組織定量値を導出し、導出した各組織定量値をマッピングした定量マップを生成する。
これにより、マルチパラメータマッピングが行われる場合でも、T1値を高い精度で導出することができる。
以上のように、上記実施形態及び実施例によれば、PC-TIP法及びMOLII法のいずれの場合でも、T1マッピング法によるT1値の導出精度を向上させることができる。なお、上記実施形態及び実施例は、データ収集による縦磁化の回復への影響を考慮することによって、T1値の導出精度をさらに改善することも可能である。
一般的に、IRパルスが印加された後の縦磁化の回復は、データ収集に伴うRF磁場や傾斜磁場の印加によって影響を受けることが知られている。
図7は、データ収集による縦磁化の回復への影響を説明するための図である。
ここで、図7は、IRパルスが印加された後の縦磁化の変化を示しており、縦軸が縦磁化の大きさを示し、横軸がTIを示している。また、図7において、破線の曲線は、IRパルスが印加された後にデータ収集が行われずに自然回復した場合の縦磁化の変化を示しており、実線の曲線は、IRパルスが印加された後にデータ収集が行われた場合の縦磁化の変化を示している。なお、図7に示す実線の曲線は、IRパルスが印加された後に縦磁化が回復する全期間においてRFパルスが印加され続けた場合の例を示している。
例えば、図7に示すように、IRパルスが印加された後にデータ収集が行われた場合には、データ収集が行われずに自然回復した場合と比べて、縦磁化の回復が遅れるとともに、最終的な到達点もやや小さくなる。
以下では、このようなデータ収集による縦磁化の回復への影響を考慮することによって、T1値の導出精度をさらに向上させる場合の実施例を説明する。なお、以下で説明する実施例は、第1の実施形態に係るMRI装置100及び第2の実施形態に係る画像処理装置200のいずれにも適用可能であるが、以下では、第1の実施形態に係るMRI装置100に適用した場合の例を説明する。
具体的には、以下の実施例では、MRI装置100において、導出部15bが、データ収集による影響で生じる縦磁化の回復の遅れを加味して、心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出することで、対象組織のT1値を導出する。
より具体的には、導出部15bは、IRパルスが印加された心拍の間隔ごとに、データ収集による影響で生じる縦磁化の回復の遅れを加味して、縦磁化が自然回復したと想定した場合の回復時間を算出し、当該回復時間を用いて、心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出する。ここで、回復時間とは、縦磁化の回復に用いられた時間である。
(実施例5)
まず、実施例5として、PC-TIP法への適用例について説明する。
例えば、上述したPC-TIP法の実施例では、図2において、心拍間隔(TRR)ごとのIRパルスの印加及び縦磁化の回復状態を示し、図3において、不整脈等によって心拍間隔が変化した場合の縦磁化の変化を示したが、データ収集(AQ)の期間中に印加されるRF磁場等の影響については、部分的であるため少ないものとして無視した。しかしながら、より正確には、図7に示すように、データ収集の期間中は、縦磁化の回復が自然回復よりもやや遅れることが予想される。
そこで、本実施例では、PC-TIP法において、このようなデータ収集による縦磁化の回復への影響を補正することによって、T1値の導出精度をさらに向上させるようにしている。
図8は、データ収集による影響を考慮した場合の縦磁化の回復曲線を示す図である。
ここで、図8では、IRパルスが印加された後、所定のTI(図示は省略)が経過した後にデータ収集が行われた場合の縦磁化の回復曲線を示しており、縦軸が縦磁化の大きさを示し、横軸が時間を示している。また、図8では、データ収集の期間をデータ収集時間Taqで示し、実効シフト時間をtestで示している。
例えば、図8に示すように、IRパルスが印加された後、縦磁化は、曲線81のように、データ収集が開始されるa点までの間は自然回復する。その後、データ収集が行われるa点~b点の期間(Taq)では、縦磁化は、曲線82のように、曲線81aのように自然回復が続いた場合と比べて、遅い速さで回復する。そして、データ収集が終了したb点以降は、縦磁化は、図8に示す曲線83のように、再び自然回復する。
このとき、データ収集が終了したb点以降の曲線83は、自然回復が続いた場合の曲線81aを時間方向に平行移動したものに一致する。そして、この平行移動における移動量は、曲線83をb点から時間が遡る方向に延長して、縦磁化の大きさがa点と同じになる時刻まで遡ったc点と、a点との時間差に等しい。この時間差を、以下では、実効シフト時間testと呼ぶ。
本実施例では、導出部15bは、このような実効シフト時間testを用いて、T1値の導出に用いられる解析式を補正することで、データ収集による縦磁化の回復への影響を補正する。
例えば、前述した実施例2では、導出部15bは、収集部15aによってTIを変えながら収集された複数のデータに対して、以下の(式5)を用いてパラメータフィッティングを行うことによって、対象組織のT1値を導出することとした。
n=M0*(1-2βn*exp(-TI/T1)) ・・・(式5)
βn=1-γn*βn-1 ・・・(式7)
γn=exp(-TRRn/T1)
ここで、TRRnは、n-1番目の心拍とn番目の心拍との心拍間隔であり、γnは、TRRnの間に時定数T1で縦磁化が回復する量であり、βnは、n番目の心拍で回復した縦磁化の最後の大きさのM0に対する割合である。
これに対し、本実施例では、導出部15bは、以下の(式14)ように、心拍ごとに、心拍間隔TRRnから実効シフト時間testを差し引くことで、縦磁化が自然回復したと想定した場合の回復時間Trcvnを算出する。
Trcvn=TRRn-test ・・・(式14)
そして、本実施例では、導出部15bは、以下の(式15)のように、TRRnの代わりに回復時間Trcvnを用いてγnを定義したうえで、実施例2と同様に、(式5)を用いたパラメータフィッティングを行うことによって、対象組織のT1値を導出する。
γn=exp(-Trcvn/T1) ・・・(式15)
なお、本実施例で用いられる実効シフト時間testは、データ収集の諸条件によって影響を受けると考えられる。例えば、実効シフト時間testに影響する条件として、RFパルスのフリップ角、RFパルスの繰り返し時間(TR:Repetition Time)、RFパルスの印加数(エンコード数)、パルスシーケンスのタイプ(GRE(Gradient Echo)、SSFP(Steady State Free Precession)等)などがある。
例えば、データ収集時間Taqは、RFパルスの繰り返し時間をTR、エンコード数をNe、パラレルイメージングファクターをPIとした場合に、Taq=TR*Ne/PIによって表される。このため、実効シフト時間testも、RFパルスの繰り返し時間、エンコード数、及び、パラレルイメージングファクターの影響を受けることになる。
このように、実効シフト時間testは、データ収集に関する多くのファクターの影響を受けるため、例えば、実験的に決められた値が用いられる。
ここで、実効シフト時間testは、絶対的な時間として定義されてもよいが、例えば、より使いやすい指標として、データ収集時間Taqに対する比率である実効時間シフトファクターαestを導入することで、以下の(式16)のように定義する。
est=Taq*αest ・・・(式16)
この場合に、αestの値は、同じパルスシーケンスのタイプでは同一になると考えられ、testを絶対的な時間とした場合よりも一般性の高い使用が可能と考えられる。
ここで、例えば、αestの値は、実験的に決められた値が用いられる。例えば、PC-TIP法の場合、αestの値は0<αest<1の範囲で設定される。
このように、実施例5では、PC-TIP法において、データ収集による縦磁化の回復への影響を補正することによって、T1値の導出精度をさらに向上させることができる。
(実施例6)
次に、実施例6として、MOLLI法への適用例について説明する。
前述したように、MOLLI法では、TIを変えながら収集された複数のデータに対して、以下の(式8)を用いてパラメータフィッティングを行うことによってT1*が導出された後に、以下の(式9)によって、対象組織のT1値が導出される。
S=A-B*exp(-TI/T1*) ・・・(式8)
T1=T1*(B/A-1) ・・・(式9)
すなわち、MOLII法では、データ収集によって縦磁化の回復が変わった(遅くなった)曲線に対してパラメータフィッティングが行われており、データ収集の影響が予め組み込まれているといえる。これは、データ収集による影響で変形した回復曲線から、自然回復する曲線へ戻しているとも解釈できる。
しかしながら、上記(式8)及び(式9)は、心拍間隔(正確にはIRパルスの間隔)の全ての期間でデータ収集が行われるという前提で定められており、それに対して、実際にはデータ収集は心拍間隔の一部の期間でしか行われないため、誤差が生じ得る。
例えば、図8を用いて説明すると、MOLLI法では、a点~b点の期間はデータ収集が行われるため誤差は生じないが、a点までの期間及びb点以降の期間は、縦磁化が、MOLLI法で想定している回復曲線よりも速く回復している期間と解釈されることになる。そのため、MOLLI法では、a点までの期間及びb点以降の期間も、回復が遅いa点~b点の期間と同様に回復曲線が回復の速い曲線へ戻されることになり、結果として、T1値が実際より小さく(回復が速い部分として)導出されてしまうことになる。これは、MOLII法がT1値を過小に導出(アンダーエスティメイト)すると言われている事実と良く一致する。
そこで、本実施例では、MOLLI法において、このようにデータ収集による影響がない部分も影響がある部分として扱われる点を補正することによって、T1値の導出精度をさらに向上させるようにしている。
例えば、実施例5では、PC-TIP法の場合に、データ収集による縦磁化の回復への影響が実効シフト時間testで表されることとし、さらに、実効時間シフトファクターαestの値を0<αest<1の範囲で設定することで、データ収集による縦磁化の回復への影響を補正することとした。
これに対し、MOLLI法の場合は、1回のIRパルスに対してデータ収集が複数回行われる。例えば、3(3)3(3)5の場合は、1回目のIRパルスの後に3回のデータ収集が行われ、2回目のIRパルスの後に3回のデータ収集が行われ、3回目のIRパルスの後に5回のデータ収集が行われる。
そこで、本実施例では、まず、導出部15bが、上記(式8)のように、データ収集によって歪んだ回復曲線を前提としたT1*を用いるのではなく、以下の(式17)のように、自然回復を前提としたT1を用いた解析式を用いることとする。
S=A-B*exp(-TI/T1) ・・・(式17)
より具体的には、導出部15bは、不整脈等を考慮して、以下の(式18)~(式20)を用いる。
n=A-Bβir_n*exp(-TI/T1) ・・・(式18)
βir_n=1-γir_n*βir_n-1 ・・・(式19)
γir_n=exp(-IR_TRRir_n/T1) ・・・(式20)
そして、導出部15bは、実施例5と同様に、実効時間シフトファクターαestを導入することで、実効シフト時間testを定義する。
ここで、MOLLI法の場合は、1回のIRパルスに対してデータ収集が複数回行われるため、基本的には、実効時間シフトファクターαestも複数個必要となるが、各データ収集で同じタイプのパルスシーケンスが繰り返し用いられるとすれば、各回の実効時間シフトファクターαestは同一としてもよいと考えられる。
したがって、MOLLI法において、n回目のIRパルスが印加された心拍における実効シフト時間test,nは、以下の(式21)に示すように、(式16)で表したtest=Taq*αestをデータ収集の回数倍することによって定義することができる。
est,n=Taq*αest*n・・・(式21)
例えば、3(3)3(3)5の場合は、以下の(式22)~(式24)ように、各回における実効シフト時間が定義される。
est,1=Taq*αest*3 ・・・(式22)
est,2=Taq*αest*3 ・・・(式23)
est,3=Taq*αest*5 ・・・(式24)
そして、導出部15bは、実施例5と同様に、実効シフト時間test,nを用いることで、データ収集による縦磁化の回復への影響を補正する。
すなわち、本実施例では、導出部15bは、以下の(式25)ように、心拍ごとに、ir_n回目のIRパルスが印加された心拍とir_n+1回目のIRパルスが印加された心拍との心拍間隔IR_TRRir_nから実効シフト時間test,nを差し引くことで、縦磁化が自然回復したと想定した場合の回復時間Trcvnを算出する。
Trcvn=IR_TRRir_n-test,n ・・・(式25)
そして、本実施例では、導出部15bは、以下の(式26)のように、IR_TRRir_nの代わりに回復時間Trcvnを用いてγnを定義したうえで、上記(式18)を用いたパラメータフィッティングを行うことによって、対象組織のT1値を導出する。
γir_n=exp(-Trcvn/T1) ・・・(式26)
このように、実施例6では、MOLLI法において、縦磁化の自然回復をベースに、その間にデータ収集による縦磁化の回復曲線の歪みが複数回生じると想定してT1値を直接求めることによって、T1値の導出精度をさらに向上させることができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、T1マッピング法によるT1値の導出精度を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (10)

  1. 縦磁化の標識を行う反転パルスを被検体の心拍に同期させて印加し、当該反転パルスからデータ収集までの時間である反転時間を変えながら複数回データ収集を行うことによって、複数のデータを収集する収集部と、
    前記複数のデータと、一定の心拍間隔、又は、前記データ収集が行われた際に前記被検体から計測された心拍間隔とを用いて、前記反転パルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさと前記反転時間との関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する導出部と
    を備える、磁気共鳴イメージング装置。
  2. 前記導出部は、第1の心拍における縦磁化の大きさを、当該第1の心拍の前に反転パルスが印加された第2の心拍における縦磁化の大きさと、前記第1の心拍と前記第2の心拍との心拍間隔とで表した漸化式を用いて、前記縦磁化の大きさを逐次的に算出する、
    請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 前記収集部は、1つの心拍ごとに前記反転パルスを印加し、1つの心拍ごとに1回データ収集を行う、
    請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  4. 前記収集部は、複数の心拍ごとに前記反転パルスを印加し、1つの心拍ごとに1回データ収集を行い、
    前記導出部は、前記計測された心拍間隔を用いて、前記反転パルスが印加された心拍の間隔を算出し、算出された間隔に基づいて、前記反転パルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出する、
    請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  5. 前記導出部は、前記計測された心拍間隔を用いて、前記反転パルスが印加されなかった心拍に対応する反転時間を算出し、算出された反転時間に基づいて、前記T1値を導出する、
    請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  6. 前記収集部は、T1値を含む複数種類の組織定量値を導出するマルチパラメータマッピング用のパルスシーケンスを実行することによって、前記複数のデータを収集し、
    前記導出部は、前記複数のデータに基づいて、前記T1値を含む複数種類の組織定量値を導出する、
    請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  7. 前記導出部は、前記データ収集による影響で生じる前記縦磁化の回復の遅れを加味して、前記心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出することで、前記T1値を導出する、
    請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  8. 前記導出部は、前記反転パルスが印加された心拍の間隔ごとに、前記データ収集による影響で生じる前記縦磁化の回復の遅れを加味して、前記縦磁化が自然回復したと想定した場合の回復時間を算出し、当該回復時間を用いて、前記心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出する、
    請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  9. 縦磁化の標識を行う反転パルスを被検体の心拍に同期させて印加し、当該反転パルスからデータ収集までの時間である反転時間を変えながら複数回データ収集を行うことによって収集された複数のデータを取得する取得部と、
    前記複数のデータと、一定の心拍間隔、又は、前記データ収集が行われた際に前記被検体から計測された心拍間隔とを用いて、前記反転パルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさと前記反転時間との関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する導出部と
    を備える、画像処理装置。
  10. 縦磁化の標識を行う反転パルスを被検体の心拍に同期させて印加し、当該反転パルスからデータ収集までの時間である反転時間を変えながら複数回データ収集を行うことによって収集された複数のデータを取得し、
    前記複数のデータと、一定の心拍間隔、又は、前記データ収集が行われた際に前記被検体から計測された心拍間隔とを用いて、前記反転パルスが印加された心拍ごとの縦磁化の大きさを逐次的に算出し、算出された縦磁化の大きさと前記反転時間との関係に基づいて、対象組織のT1値を導出する
    ことを含む、画像処理方法。
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