JP7073732B2 - 溶接ビードの外観評価方法および外観評価装置 - Google Patents
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Description
まず、本発明の一実施形態の外観評価装置1の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態の溶接ビードの外観評価装置を示す外観図である。
溶接ビード51の外観評価の対象とするワーク5は、溶接ビード51を表面に有するものであれば、どのようなものであっても構わないが、一例として段差部に溶接ビード51が形成されたワーク5について説明する。図2(a)は、外観評価の対象とするワークを示す図1のA-A線断面図である。また、図2(b)は、(a)の点線矩形部の拡大図である。
(概要)
次に、本発明の一実施形態の溶接ビード51の外観評価方法の概要について説明する。本評価方法は、上記で説明した外観評価装置1を用いて実行することができる。図3は、ビード端部の位置を特定する方法の一例を示すフロー図である。
図4(a)は、ワーク形状検出ステップを説明する模式図である。また、図4(b)は、ワーク形状検出ステップによって得られるワークの表面の高さの分布を説明する模式図である。
このステップでは、上記(1)ワーク形状検出ステップで得られたワーク5の表面における高さ分布の情報から、ビード端部51aの位置に関する情報を抽出する。具体的にはまず、高さ分布W1、W2、W3、・・・Wnの情報をX方向に沿って微分する。図5は、ワークの表面の高さを微分して2次元的に表現したデータの実測例である。なお、図5のコントラストは、説明を明確化するために調整をして、ビード端部51aの部分の明るさを強調している。また、図6は、測定端部データ作成ステップで、図5のような微分像をもとに、ビード端部51aの位置を検出して得られる結果を説明する模式図である。ここで、図6および後に説明する図7、8、9の図中の黒丸および斜線入りの丸は、ビード端部51aの位置として検出された箇所、白丸は、ビード端部51aが実際には存在するが、それぞれのステップでは位置が検出されなかった箇所である。また、一点鎖線Rは、ワーク5に形成されている実際のビード端部51aの位置を示す。
このステップにおいては、(2)測定端部データ作成ステップで得られた測定端部Sのデータを基に、近似端部を算出する。図7は、(3)近似端部算出ステップにおける近似直線の算出を説明する模式図である。
このステップにおいては、上記(1)~(3)のステップで近似直線K1として評価されたビード端部51aの位置を、レーザー変位計2を用いた再計測により、さらに正確に評価する。(4)近似端部再検出ステップは、以下のように、(a)~(e)の各ステップによって、実施することができる。
(4)近似端部再検出ステップにおいては最初に、レーザー変位計2を用いた再測定のための準備として、図7の測定端部S、および近似直線K1のデータを使用して、図8に示すように、溶接ビード51のX方向に沿って、近似直線K1に対する各測定端部Sの座標を算出する。具体的には、近似直線K1に対して溶接ビード51のX方向に沿って、各測定端部Sと近似直線K1との間の距離LSを算出する。これにより、後述する図9(a)の測定エリアEを設定するための準備を行う。
次に、図9(a)に示すように、近似直線K1のY方向に沿って、近似直線K1を含んで、(1)ワーク形状検出ステップにおける測定幅D1(図4(a)参照)よりも狭い測定幅D2の測定エリアEを、レーザー変位計2による再計測を行う範囲として設定する。ここで、測定幅D2は、ステップ(a)で算出した測定端部Sと近似直線K1との間の距離LSのデータを用いて、溶接ビード51のX方向の幅を十分に含んでおり、かつ(1)ワーク形状検出ステップにおける測定幅D1よりも狭く設定をする。測定幅D1は、溶接ビード51をレーザー変位計2の測定範囲に余裕をもって含めるために、広めに設定していたが、上記(1)~(3)および(a)のステップで、既に測定幅D1の中における溶接ビード51の位置を特定しているため、溶接ビード51を確実に範囲に含ませるように、測定幅D1よりも小さい測定幅D2を設定することができる。測定幅D2の小ささにより、スパッタP等、溶接ビード51以外の凹凸構造物が、測定幅D1において測定する場合よりも、測定エリアEに入りにくくなる。
次に、図9(b)に示すように、測定エリアEの範囲内において、再度、溶接ビード51のX方向における溶接ビード51を含むワーク5の表面形状の情報を、図1に示すレーザー変位計2によって、溶接ビード51のY方向に沿って検出する。これにより、図4(b)よりもX方向の範囲の狭い、ワークの表面の高さ分布の像を得る。次に、(2)測定端部データ作成ステップと同様に、溶接ビード51のX方向に沿って微分して、微分値の絶対値が所定の閾値以上となる位置を、各位置における溶接ビード51の立ち上がり51bの位置とみなし、再測定端部Tとして記録する。これにより、図9(b)に示すように、ビード端部51aの位置として再測定端部Tを検出し、溶接ビード51のY方向に沿ってプロットする。なお、この再測定においては、測定幅だけではなく、レーザー変位計2による測定にかかる条件自体も、(1)ワーク形状検出ステップから変更してもよい。例えば、測定幅を狭くすることで、測定幅内の各X方向位置における測定精度を向上させることができる形態のレーザー変位計2を用いているならば、そのように測定条件を変更することが考えられる。
次に、上記(c)のステップで得た再測定端部Tの情報をもとに、再近似端部を算出する。つまり、上記(3)近似端部算出ステップで測定端部Sのデータに対して行ったのと同様に、上記で得た再測定端部Tのデータを、溶接ビード51のY方向に沿って直線(または曲線)に近似して、溶接ビード51のY方向に沿って、再近似端部である再近似直線K2を算出する。なお、再測定端部Tと測定端部Sの位置がほぼ一致している場合等、再近似直線K2を改めて算出する必要性が低い場合には、(3)近似端部算出ステップで算出した近似直線K1を、再近似直線K2としてそのまま採用してもよい。
(4)近似端部再検出ステップの後、あるいは、(4)近似端部再検出ステップを省略する場合には、(3)近似端部算出ステップの後に、コンピューター4により、(5)ビード端部特定ステップを行う。ここでは、レーザー変位計2による計測でビード端部51aの位置を実測によって検出することができたY方向位置(第一の場合)のデータと、レーザー変位計2による計測でビード端部51aの位置を実測によって検出することができなかったY方向位置(第二の場合)のデータをつなぎ合せて、ビード端部51aの位置を特定する。
本発明の溶接ビード51の外観評価方法は、(1)ワーク形状検出ステップにより、溶接ビード51のX方向に沿った測定幅D1にわたって溶接ビード51のY方向に沿ってワーク5の表面形状W1、W2、W3、・・・Wnの情報を取得し、(2)測定端部データ作成ステップにより、その測定端部Sのデータを検出して溶接ビード51のY方向に沿ってプロットした後、(3)近似端部算出ステップにより、溶接ビード51のY方向に沿って測定端部Sのデータを直線または曲線に近似して、近似直線K1を算出する。(3)近似端部算出ステップのような近似の工程を含むことで、ビード端部51aの位置と上板52および下板53との形状変化が緩やかであるため、溶接ビード51のY方向に沿って部分的に、ワーク5の表面形状W1、W2、W3、・・・Wnの情報からビード端部51aの位置を検出できない箇所(非検出箇所N)や検出されたビード端部51aの位置(スパッタPによる測定端部S3)が不正確な箇所がある場合でも、ビード端部51aの位置を、溶接ビード51のY方向に沿って連続的に推定できる。
本発明の一実施形態の溶接ビード51の外観評価方法は、(1)ワーク形状検出ステップ、(2)測定端部データ作成ステップ、(3)近似端部算出ステップ、さらに必要に応じて(4)近似端部再検出ステップおよび/または(5)ビード端部特定ステップの順に実施して、特定したビード端部51aの位置のデータをもとに、脚長、高さ、余盛り幅等、溶接ビード51の各部の寸法を評価する溶接ビード寸法評価ステップをさらに備えてもよい。
脚長Lおよびビード高さHの算出においては、図10(a)のワーク5に示す脚長Lおよびビード高さHを、図10(b)に示すステップ(a)から(e)により算出する。ここで、図10(a)に示すように、脚長Lとは、ビード端部51aと下板側端部51c(溶接ビード51の下板53側の端部)とを結ぶ線分llの長さである。また、ビード高さHとは、脚長Lに垂直な線分hhの最大長さである。
まず、溶接ビード51のY方向の所定の位置において、X方向に沿って、ワーク5の表面において特定したビード端部51aおよび下板側端部51cの位置を示すデータから、ビード端部51aと下板側端部51cとの間の距離である脚長Lを算出する。このとき、下板53側の下板側端部51cは、上板52側のビード端部51aの位置の特定と同様に、溶接ビード51の外観評価方法における、(1)ワーク形状検出ステップ、(2)測定端部データ作成ステップ、(3)近似端部算出ステップの順に実施して、特定することができる。(1)ワーク形状検出ステップは、新たに実施しなくても、上記ビード端部51aの位置の特定の際に実行した(1)ワーク形状検出ステップの結果をそのまま用いることができる。また、下板側端部51cの下板53からの立ち上がり構造は、ビード端部51aの上板52からの立ち上がり構造に比べて、明瞭であるので、(2)測定端部データ作成ステップにおける微分操作および(3)近似端部算出ステップは適宜省略してもよい。
次に、溶接ビード51のY方向の所定の位置に対して実行した上記(a)のステップを、Y方向の全域に対して、所定の間隔で繰り返し、各Y方向位置における脚長Lを算出する。これにより、溶接ビード51の全域にわたる脚長Lの評価が完了する。
溶接ビード51のY方向の所定の位置において、上記ステップ(a)において、脚長Lの算出に用いた上板52側のビード端部51aと下板53側の下板側端部51cの間を結ぶ線分llに対して垂直に、線分llと溶接ビード51の頂部を結ぶ線分hhを、設定する。そして、線分hhの長さを算出する。ここで、溶接ビード51の頂部の位置は、上記(1)ワーク形状検出ステップで得たワーク5の表面の高さ分布のデータおよび/または(2)測定端部データ作成ステップで得た微分データを用いて、見積もることができる。線分hhの設定と長さの算出を、線分llに沿って、ビード端部51aから下板側端部51cまでの範囲の全域で行う。
上記ステップ(c)により線分llの全域で算出した、線分llに対して垂直な線分hhの内、最大となる線分hhの長さを算出する。そして、最大となる線分hhの長さを、ビード高さHとする。
次に、溶接ビード51のY方向の所定の位置に対して実行した上記(c)および(d)のステップを、Y方向の全域に対して、所定の間隔で繰り返し、各Y方向位置におけるビード高さHを算出する。これにより、溶接ビード51のビード高さHの評価が完了する。
余盛り幅Cの算出においては、図11(a)のワーク5に示す余盛り幅Cを、図11(b)に示すステップ(a)および(b)により算出する。ここで、余盛り幅Cとは、図11(a)のX方向に沿ってビード端部51aと下板側端部51cとを結ぶ線分の長さである。
まず、溶接ビード51のY方向の所定の位置において、X方向に沿って、ワーク5の表面において特定した上板52側のビード端部51aおよび下板53側の下板側端部51cの位置のデータから、溶接ビード51のビード端部51aと下板側端部51cとを結ぶ、X方向に平行な線分ccの長さとして、余盛り幅Cを算出する。
次に、溶接ビード51のY方向の所定の位置に対して実行した上記(a)のステップを、Y方向の全域に対して、所定の間隔で繰り返し、各Y方向位置における余盛り幅Cを算出する。これにより、溶接ビード51の余盛り幅Cの評価が完了する。
2 レーザー変位計(検出手段)
3 ロボット(レーザー変位計走査手段)
4 コンピューター(情報処理手段)
5 ワーク
21 レーザー光
51 溶接ビード
51a ビード端部
51b 立ち上がり
51c 下板側端部
52 上板(板材)
53 下板(板材)
54 段差部
D1、D2 測定幅
E 測定エリア
K1 近似直線(近似端部)
K2 再近似直線(再近似端部)
S 測定端部
T 再測定端部
W1、W2、W3、・・・Wn ワーク5の表面形状
X方向 溶接ビード51の長手方向に交差する方向
Y方向 溶接ビード51の長手方向
Z0 溶接ビード51の高さ
Claims (8)
- ワークの表面に形成された溶接ビードの立ち上がりの端部であるビード端部の位置を、前記溶接ビードに光を照射して発生する反射光によって検出する検出手段を用いた溶接ビードの外観評価方法において、
前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードを含む前記ワークの表面形状の情報を、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿った測定幅にわたって前記検出手段によって前記溶接ビードの長手方向に沿って検出するワーク形状検出ステップと、
前記ワークの表面形状の情報に含まれる、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードの立ち上がりの位置を、測定端部として検出し、前記溶接ビードの長手方向に沿ってプロットする測定端部データ作成ステップと、
プロットした前記測定端部のデータを、前記溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより前記測定端部のデータの間を補間した近似端部を算出することで前記ビード端部の位置を特定する近似端部算出ステップと、を備え、
ビード端部特定ステップをさらに有し、
前記ビード端部特定ステップにおいては、
前記測定端部データ作成ステップにおいて、前記測定端部が検出された第一の場合には、検出された前記測定端部を前記ビード端部の位置として採用し、
前記測定端部が検出されない第二の場合には、前記近似端部算出ステップにより特定した前記近似端部を、前記ビード端部の位置として採用し、
前記第一の場合と第二の場合で採用した前記ビード端部の位置をつなぎ合わせることで、前記溶接ビードの長手方向に沿った前記ビード端部の位置を特定することを特徴とする溶接ビードの外観評価方法。 - 前記近似端部算出ステップの後に、近似端部再検出ステップをさらに実施し、前記近似端部の長手方向に沿って、前記近似端部を含む前記ワーク形状検出ステップにおける前記測定幅よりも狭い所定幅の測定エリアを設定し、
前記測定エリア内において、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って前記検出手段によって前記溶接ビードの立ち上がりの位置を再度検出することにより該立ち上がりの位置を検出して、再測定端部とし、
前記再測定端部によって前記近似端部を置換し、前記ビード端部の位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の溶接ビードの外観評価方法。 - ワークの表面に形成された溶接ビードの立ち上がりの端部であるビード端部の位置を、前記溶接ビードに光を照射して発生する反射光によって検出する検出手段を用いた溶接ビードの外観評価方法において、
前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードを含む前記ワークの表面形状の情報を、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿った測定幅にわたって前記検出手段によって前記溶接ビードの長手方向に沿って検出するワーク形状検出ステップと、
前記ワークの表面形状の情報に含まれる、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードの立ち上がりの位置を、測定端部として検出し、前記溶接ビードの長手方向に沿ってプロットする測定端部データ作成ステップと、
プロットした前記測定端部のデータを、前記溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより前記測定端部のデータの間を補間した近似端部を算出することで前記ビード端部の位置を特定する近似端部算出ステップと、を備え、
前記近似端部算出ステップの後に、近似端部再検出ステップをさらに有するとともに、
ビード端部特定ステップをさらに有し、
前記近似端部再検出ステップにおいては、
前記近似端部の長手方向に沿って、前記近似端部を含む前記ワーク形状検出ステップにおける前記測定幅よりも狭い所定幅の測定エリアを設定し、
前記測定エリア内において、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って前記検出手段によって前記溶接ビードの立ち上がりの位置を再度検出することにより該立ち上がりの位置を検出して、再測定端部とし、
前記再測定端部によって前記近似端部を置換し、前記ビード端部の位置を特定し、
前記ビード端部特定ステップにおいては、
前記近似端部再検出ステップにおいて、前記再測定端部が検出された第一の場合には、検出された前記再測定端部を前記ビード端部の位置として採用し、
前記再測定端部が検出されない第二の場合には、前記近似端部算出ステップにより特定した前記近似端部、または前記再測定端部のデータを、前記溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより前記再測定端部のデータの間を補間した再近似端部を、前記ビード端部の位置として採用し、
前記第一の場合と第二の場合で採用した前記ビード端部の位置をつなぎ合わせることで、前記溶接ビードの長手方向に沿った前記ビード端部の位置を特定することを特徴とする溶接ビードの外観評価方法。 - 前記測定端部データ作成ステップは、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って、前記ワークにおける前記溶接ビードの高さを、微分し、該微分値の絶対値が所定の閾値以上となる位置を前記測定端部とみなすことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接ビードの外観評価方法。
- 前記ビード端部の位置のデータをもとに、前記溶接ビードの表面形状の寸法評価をする溶接ビード寸法評価ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の溶接ビードの外観評価方法。
- 前記検出手段は、前記溶接ビードに帯状のレーザー光を、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に掃引することなく、前記帯状の長手方向が前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って一度に照射して発生する反射光を用いて前記溶接ビードの前記ビード端部の位置を検出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の溶接ビードの外観評価方法。
- 前記ワークは、複数の板材間に設けられた段差部に対して、肉盛溶接することにより前記溶接ビードが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の溶接ビードの外観評価方法。
- 前記溶接ビードが形成された前記ワークに対してレーザー光を照射して前記ワーク表面までの距離を測定する前記検出手段としてのレーザー変位計と、
距離センサにより前記レーザー変位計を前記溶接ビードの長手方向に沿って相対的に変位させるレーザー変位計走査手段と、
前記レーザー変位計によって得られた測定結果に対する情報処理を行う情報処理手段と、を有し、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の溶接ビードの外観評価方法を実施することを特徴とする溶接ビードの外観評価装置。
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