JP7073732B2 - 溶接ビードの外観評価方法および外観評価装置 - Google Patents

溶接ビードの外観評価方法および外観評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶接ビードの外観評価方法および外観評価装置に関し、さらに詳しくは、光学的手段を用いた検出法による溶接ビードの外観評価方法および外観評価装置に関する。
従来の溶接ビードの外観評価方法の1つに、光学的手段を用いて溶接ビードの表面形状を検出する方法がある。例えば、特許文献1に示されるように、仮付け溶接された鋼管の外面シーム部を形成する一端部および他端部の位置範囲に対応する演算処理範囲を設定の上、演算処理範囲について算出した一端部および他端部の断面形状の変位量のうちの所定の閾値以下の変位量をもとに、一端部のシームエッジ部および他端部のシームエッジ部の位置を算出する検出方法が用いられている。
また、特許文献2に示されるように、第一母材または/および第二母材と溶接ビードとを含む断面プロファイルの第一母材または/および第二母材上に、母材推定区間とビードエッジ探索区間とから成る母材区間を設定の上、母材推定区間中の断面プロファイルのデータから推定した母材推定曲線を用いて、ビードエッジ探索区間におけるビードエッジを検出する溶接ビード検査方法が用いられている。
特開2015-100838号公報 特開2010-025818号公報
溶接ビードの外観評価には、正確なビード端部の位置の特定が必要であり、ビード端部の位置の検出誤差が、溶接ビードの形状の評価における誤差として大きく影響を及ぼしうる。特に、ビード端部と母材との間の段差がほとんどない場合は、光学的手段を用いた検出法を精度良く行うことが困難となる。また、測定条件にばらつきが生じた場合や、ワークの表面に溶接ビード以外の凹凸形状が存在する場合には、ビード端部の位置を特定することが困難となりやすい。
例えば、重ね継手溶接および突き合わせ溶接において、ビード端部の位置の余盛り高さが低く、ビード端部の位置と母材との形状変化が緩やかな場合には、ビード端部の位置と母材との形状差の小ささのために、ビード端部の位置の検出が困難となりやすい。また、ビード端部の位置の近傍にスパッタ等、ビード以外の凸構造がある場合には、その凸構造をビード端部の立ち上がりと認識することによるビード端部の位置の誤検出が問題となる。中でも、ある長さにわたって形成された溶接ビードの端部の位置を検出する場合に、長さ方向の全領域で、ビード端部の位置を正確に検出することは困難となりやすい。
特許文献1では、演算処理範囲について、鋼管の外周方向の位置変化に対する一端部および他端部の断面形状の変位量をもとに、一端部および他端部のシームエッジ部の位置を算出している。しかし、断面形状の変化が緩やかな場合には、変位量が極めて小さくなり、シームエッジ部が算出されないことがありうる。
また、特許文献2では、各断面プロファイル毎にビードエッジ探索区間におけるビードエッジを検出しており、ビードエッジが検出されない場合は、ビードエッジ探索区間を、ビード側に任意の区間幅だけ移動させてビードエッジ探索区間を更新することにより、ビードエッジを検出する。しかし、母材とビードエッジとの断面形状の変化が緩やかな場合には、ビードエッジ探索区間を更新したとしても、ビードエッジを検出できないことや、ビードエッジの位置に誤差が発生することがありうる。
さらに、特許文献1、2のいずれの場合にも、シームエッジやビードエッジの検出時に、検出飛びや検出誤差が発生した場合には、シームエッジやビードエッジの位置が検出されないこと、あるいは検出された位置に誤差が発生することがある。これらのように、シームエッジやビードエッジの検出が不可能な箇所や不正確な箇所が生じた際に、対処する方法は、特許文献1、2には開示されていない。
本発明が解決しようとする課題は、溶接ビードの長手方向に沿って溶接ビードの端部の位置を検出するに際し、検出が不可能な部位や不正確な部位が生じたとしても、ビード端部の位置を、溶接ビードの長手方向に沿って連続的に、高精度に評価することができる溶接ビードの外観評価方法および外観評価装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる溶接ビードの外観評価方法は、ワークの表面に形成された溶接ビードの立ち上がりの端部であるビード端部の位置を、前記溶接ビードに光を照射して発生する反射光によって検出する検出手段を用いた溶接ビードの外観評価方法において、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードを含む前記ワークの表面形状の情報を、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿った測定幅にわたって前記検出手段によって前記溶接ビードの長手方向に沿って検出するワーク形状検出ステップと、前記ワークの表面形状の情報に含まれる、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードの立ち上がりの位置を、測定端部として検出し、前記溶接ビードの長手方向に沿ってプロットする測定端部データ作成ステップと、プロットした前記測定端部のデータを、前記溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより前記測定端部のデータの間を補間した近似端部を算出することで前記ビード端部の位置を特定する近似端部算出ステップと、を備えることを要旨とする。
ここで、前記測定端部データ作成ステップは、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って、前記ワークにおける前記溶接ビードの高さを、微分し、該微分値の絶対値が所定の閾値以上となる位置を前記測定端部とみなすとよい。
また、前記測定端部データ作成ステップにおいて、前記測定端部が検出された第一の場合には、検出された前記測定端部を前記ビード端部の位置として採用し、前記測定端部が検出されない第二の場合には、前記近似端部算出ステップにより特定した前記近似端部を、前記ビード端部の位置として採用し、前記第一の場合と第二の場合で採用した前記ビード端部の位置をつなぎ合わせることで、前記溶接ビードの長手方向に沿った前記ビード端部の位置を特定するビード端部特定ステップをさらに有するとよい。
また、前記近似端部算出ステップの後に、近似端部再検出ステップをさらに実施し、前記近似端部の長手方向に沿って、前記近似端部を含む前記ワーク形状検出ステップにおける前記測定幅よりも狭い所定幅の測定エリアを設定し、前記測定エリア内において、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って前記検出手段によって前記溶接ビードの立ち上がりの位置を再度検出することにより該立ち上がりの位置を検出して、再測定端部とし、前記再測定端部によって前記近似端部を置換し、前記ビード端部の位置を特定するとよい。
また、前記近似端部再検出ステップにおいて、前記再測定端部が検出された第一の場合には、検出された前記再測定端部を前記ビード端部の位置として採用し、前記再測定端部が検出されない第二の場合には、前記近似端部算出ステップにより特定した前記近似端部、または前記再測定端部のデータを、前記溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより前記再測定端部のデータの間を補間した再近似端部を、前記ビード端部の位置として採用し、前記第一の場合と第二の場合で採用した前記ビード端部の位置をつなぎ合わせることで、前記溶接ビードの長手方向に沿った前記ビード端部の位置を特定するビード端部特定ステップをさらに有するとよい。
また、前記ビード端部の位置のデータをもとに、前記溶接ビードの表面形状の寸法評価をする溶接ビード寸法評価ステップをさらに備えるとよい。
また、前記検出手段は、前記溶接ビードに帯状のレーザー光を、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に掃引することなく、前記帯状の長手方向が前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って一度に照射して発生する反射光を用いて前記溶接ビードの前記ビード端部の位置を検出するとよい。
そして、前記ワークは、複数の板材間に設けられた段差部に対して、肉盛溶接することにより前記溶接ビードが形成されているとよい。
一方、本発明にかかる溶接ビードの外観評価装置は、前記溶接ビードが形成された前記ワークに対してレーザー光を照射して前記ワーク表面までの距離を測定する前記検出手段としてのレーザー変位計と、距離センサにより前記レーザー変位計を前記溶接ビードの長手方向に沿って相対的に変位させるレーザー変位計走査手段と、前記レーザー変位計によって得られた測定結果に対する情報処理を行う情報処理手段と、を有し、上記の溶接ビードの外観評価方法を実施することを要旨とする。
上記発明にかかる溶接ビードの外観評価方法においては、溶接ビードの長手方向に沿って検出したワークの表面形状の情報から測定端部を検出し、その測定端部のデータを溶接ビードの長手方向に沿ってプロットした後、直線または曲線に近似することにより溶接ビードの長手方向に沿って測定端部のデータの間を補間した近似端部を算出することでビード端部の位置を特定する。そのため、段差部に溶接する場合等、ビード端部の位置と母材との形状変化が緩やかであること等により、溶接ビードの長手方向に沿って部分的に、検出手段で得たワークの表面形状の情報から直接ビード端部の位置を検出できない箇所がある場合でも、補間して算出することにより、ビード端部の位置を特定できる。これにより、ビード端部の位置を、溶接ビードの長手方向に沿って連続的に推定し、評価することができる。また、スパッタ等、ビード端部以外の立ち上がり構造の存在や、測定条件のばらつき等の要因により、ビード端部の位置について誤検出が局所的に起こったとしても、直線または曲線への近似を行うことで、それら誤検出の寄与を小さくし、溶接ビードの長手方向全域において高精度にビード端部の位置を評価することが可能となる。
ここで、測定端部データ作成ステップは、溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って、ワークにおける溶接ビードの高さを、微分し、該微分値の絶対値が所定の閾値以上となる位置を測定端部とみなす場合には、微分により、立ち上がり構造を敏感に検出できるようになるので、ビード端部の位置と母材との形状変化が緩やかである場合にも、高感度にビード端部の位置を評価することができる。
また、測定端部データ作成ステップにおいて、測定端部が検出された第一の場合には、検出された測定端部をビード端部の位置として採用し、測定端部が検出されない第二の場合には、近似端部算出ステップにより特定した近似端部を、ビード端部の位置として採用し、第一の場合と第二の場合で採用したビード端部の位置をつなぎ合わせることで、溶接ビードの長手方向に沿ったビード端部の位置を特定するビード端部特定ステップをさらに有する場合には、検出手段における測定条件にばらつきがあることや、ワークの形状変化が緩やかなこと等に起因して、測定端部が検出されない箇所が存在する場合でも、近似端部算出ステップにより特定した近似端部をビード端部の位置として採用することにより、それらの箇所のビード端部の位置を推定できる。これにより、ビード端部を検出手段で検出できない箇所が存在しても、ビード端部の位置を、溶接ビードの長手方向に沿って連続的に評価することができる。
また、近似端部算出ステップの後に、近似端部再検出ステップをさらに実施し、近似端部の長手方向に沿って、近似端部を含むワーク形状検出ステップにおける測定幅よりも狭い所定幅の測定エリアを設定し、測定エリア内において、溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って検出手段によって溶接ビードの立ち上がりの位置を再度検出することにより該立ち上がりの位置を検出して、再測定端部とし、再測定端部の測定結果によって近似端部を置換し、ビード端部の位置を特定する場合には、より高い検出精度で、ビード端部の位置を検出することができる。なぜなら、ワーク形状検出ステップにおいては、ビード端部の位置の不確定性が高いため、測定幅を広めに設定する必要があるが、一旦、ビード端部を検出することができれば、ワーク形状検出ステップにおいて測定を行った測定幅よりも狭い所定幅を設定し、検出手段による測定を行うことができるからである。これにより、再測定端部の測定時に、狭く設定した測定エリアの外のワークの表面形状の情報は検出されなくなるため、狭い測定エリアの外に形成されているスパッタ等の凸状構造の立ち上がりを、ビード端部の位置として誤検出することがなくなる。このように、測定エリアを狭めた再測定を行わない場合に比べてビード端部の位置の検出精度を高めることができる。また、測定幅を狭くすることで、溶接ビードに光を照射して発生する反射光によってビード端部の位置を検出する検出手段による計測自体の精度も高めやすくなる。
また、近似端部再検出ステップにおいて、再測定端部が検出された第一の場合には、検出された再測定端部をビード端部の位置として採用し、再測定端部が検出されない第二の場合には、近似端部算出ステップにより特定した近似端部、または再測定端部のデータを、溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより再測定端部のデータの間を補間した再近似端部を、ビード端部の位置として採用し、第一の場合と第二の場合で採用したビード端部の位置をつなぎ合わせることで、溶接ビードの長手方向に沿ったビード端部の位置を特定するビード端部特定ステップをさらに有する場合には、検出手段における測定条件にばらつきがあることや、ワークの形状変化が緩やかなこと等に起因して、測定端部が検出されない箇所が存在する場合でも、近似端部算出ステップにより特定した近似端部、または再近似端部をビード端部の位置として採用することにより、それらの箇所のビード端部の位置を推定できる。これにより、ビード端部を検出手段で検出できない箇所が存在しても、ビード端部の位置を、溶接ビードの長手方向に沿って連続的に評価することができる。
また、特定したビード端部の位置のデータをもとに、溶接ビードの表面形状の寸法評価をする溶接ビード寸法評価ステップをさらに備える場合には、特定したビード端部の位置のデータを基準として用いて、溶接ビードの寸法評価を、長手方向に沿って連続的に、高精度に実施できる。これにより、正確な溶接ビードの表面形状の寸法評価をすることができる。
また、検出手段は、溶接ビードに帯状のレーザー光を、溶接ビードの長手方向に交差する方向に掃引することなく、帯状の長手方向が溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って一度に照射して発生する反射光を用いて溶接ビードのビード端部の位置を検出する場合には、帯状のレーザー光を一度に照射することにより、レーザー光を溶接ビードの長手方向に交差する方向に掃引して照射する場合に比べて、ワークの表面形状の情報を検出する時間を短縮できる。これにより、ビード端部の位置の検出時間を短縮できる。
そして、ワークは、複数の板材間に設けられた段差部に対して、肉盛溶接することにより溶接ビードが形成されている場合には、溶接ビードと複数の板材との形状変化が緩やかで、ビード端部と段差の上側に相当する板材との段差がほとんどない形状変化の緩やかなワークとなる場合も多いが、上記のような方法を用いることにより、形状変化の緩やかさのために、検出手段によって、ビード端部の位置を直接的に検出できない箇所や測定が不正確な箇所が部分的に生じたとしても、ビード端部の位置の評価において、溶接ビードの長手方向における連続性を担保できる。
一方、上記発明にかかる溶接ビードの外観評価装置によれば、簡素な構成で、ビード端部の位置を、溶接ビードの長手方向に沿って連続的に評価できる。これにより、形状変化が緩やかなワークに対しても、ビード端部の位置の評価において、溶接ビードの長手方向における連続性を担保できる。
本発明の一実施形態の溶接ビードの外観評価装置を示す外観図である。 (a)外観評価の対象とするワークを示す図1のA-A線断面図である。(b)(a)の点線矩形部の拡大図である。 ビード端部の位置を特定する方法の一例を示すフロー図である。 (a)ワーク形状検出ステップを説明する模式図である。(b)ワークの表面の高さの分布を説明する模式図である。 ワークの表面の高さを微分して2次元的に表現したデータの実測例である。 測定端部データ作成ステップを説明する模式図である。 近似端部算出ステップにおける近似直線の算出を説明する模式図である。 近似端部再検出ステップにおける測定端部と近似直線との距離の算出を説明する模式図である。 (a)近似端部再検出ステップにおける測定エリアの設定を説明する模式図である。(b)測定エリア内による再検出および再近似直線の算出を説明する模式図である。 (a)溶接ビードの脚長およびビード高さを示すワークの断面図である。(b)(a)の脚長およびビード高さの算出方法を示すフロー図である。 (a)溶接ビードの余盛り幅を示すワークの断面図である。(b)(a)の余盛り幅の算出方法を示すフロー図である。
以下、本発明の一実施形態の溶接ビードの外観評価方法および外観評価装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の一実施形態にかかる溶接ビードの外観評価方法は、本発明の一実施形態にかかる溶接ビードの外観評価装置を用いて実行することができる。
[外観評価装置の構成]
まず、本発明の一実施形態の外観評価装置1の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態の溶接ビードの外観評価装置を示す外観図である。
図1に示すように、外観評価装置1は、検出手段であるレーザー変位計2と、レーザー変位計走査手段であるロボット3と、情報処理手段であるコンピューター4と、を備える。
レーザー変位計2は、溶接ビード51が形成されたワーク5の表面にレーザー光21を照射して発生する反射光を検出することによって、ワーク5の表面形状を検出する検出手段である。レーザー変位計2は、レーザー光21を照射する光源およびワーク5からの反射光を検出する検出器を備え、溶接ビード51が形成されたワーク5に対して、レーザー光21を照射してワーク5の表面の各位置までの距離を測定するものであり、公知のレーザー変位計を使用することができる。ここでは、ワーク5として、金属材料の表面に細長い溶接ビード51が形成されたものを想定しており、溶接ビード51の長手方向に交差する方向をX方向、溶接ビード51の長手方向をY方向とする。
レーザー変位計2は、溶接ビード51に、帯状のレーザー光21を、溶接ビード51のX方向に掃引することなく、帯状の長手方向が溶接ビード51のX方向に沿うように、一度に照射する。そして、発生する帯状の反射光を一度に検出することで、溶接ビード51のX方向に沿った高さの分布を検知する。レーザー変位計2は、通信線9bを介して、コンピューター4によって制御を受けるとともに、測定したデータをコンピューター4に入力する。
また、ロボット3は、レーザー変位計2を溶接ビード51のY方向に沿って相対的に変位させる。さらに、コンピューター4は、通信線9aを介して、ロボット3の運動を制御することにより、レーザー変位計2の溶接ビード51に対する位置の制御をする。
コンピューター4は、上記のように、レーザー変位計2およびロボット3の制御を行うとともに、レーザー変位計2により測定された溶接ビード51の表面形状のデータを処理する。具体的なデータ処理としては、レーザー変位計2で得られたデータを演算処理して、後述する溶接ビード51のビード端部51aの位置を評価することができる。また、評価したビード端部51aの位置の情報に基づき、溶接ビード51の形状を評価することができる。
次に、外観評価装置1の動作と制御について説明する。外観評価装置1は、溶接ビード51上のあるY方向位置において、レーザー光21を溶接ビード51に照射することにより、溶接ビード51のX方向に沿って溶接ビード51を含むワーク5の表面形状を計測する。計測により得られたデータは、通信線9bを介して、コンピューター4に送られる。
次に、ロボット3によって、レーザー変位計2を、溶接ビード51のY方向に沿って所定の距離だけ移動させる。その後、再度、レーザー光21を溶接ビード51に照射することにより、溶接ビード51のX方向に沿って溶接ビード51を含むワーク5の表面形状を計測する。計測により得られたデータは、コンピューター4に送られる。
上記の動作を、所定回数繰り返すことにより、溶接ビード51のX方向における溶接ビード51を含むワーク5の表面形状の情報を、溶接ビード51のY方向に沿って、所定の間隔ごとに取得する。以上により、XY平面において、溶接ビード51を含むワーク5の表面における高さの分布に関するデータを得ることができる。
[ワークの形状]
溶接ビード51の外観評価の対象とするワーク5は、溶接ビード51を表面に有するものであれば、どのようなものであっても構わないが、一例として段差部に溶接ビード51が形成されたワーク5について説明する。図2(a)は、外観評価の対象とするワークを示す図1のA-A線断面図である。また、図2(b)は、(a)の点線矩形部の拡大図である。
図2に示すように、ワーク5は、上板52および下板53の間に、上板52および下板53の面方向に交差して設けられた段差部54に対して、肉盛溶接することにより溶接ビード51が形成されている。ここでは、上板52および下板53として、直線状の端縁を有する平板を想定している。上板52の表面には、溶接ビード51の立ち上がり51bの端部であるビード端部51aが形成されている。溶接ビード51は、ビード端部51aの立ち上がり51bの高さが段差部54の下板53側の溶接ビード51の立ち上がりの高さと比べて小さく、また、両側の板材の間の段差がない場合の溶接ビードの立ち上がりの高さに比べて小さくなりやすい。よって、ビード端部51aと上板52との間の形状変化が緩やかになっている。
[外観評価方法]
(概要)
次に、本発明の一実施形態の溶接ビード51の外観評価方法の概要について説明する。本評価方法は、上記で説明した外観評価装置1を用いて実行することができる。図3は、ビード端部の位置を特定する方法の一例を示すフロー図である。
本発明の一実施形態にかかる溶接ビード51の外観評価方法は、図3に示すように、(1)ワーク形状検出ステップ、(2)測定端部データ作成ステップ、(3)近似端部算出ステップの順に実施して、ビード端部51aの位置をY方向の所定範囲、例えば溶接ビード51の全長にわたって評価する。さらに、(3)近似端部算出ステップの後に、(4)近似端部再検出ステップを実施してもよい。また、(3)近似端部算出ステップの後、またはそれに続く(4)近似端部再検出ステップの後に、(5)ビード端部特定ステップを実施してもよい。ここで、図3においては、(3)近似端部算出ステップ、(4)近似端部再検出ステップ、(5)ビード端部特定ステップと順次実施する形態を採用している。
(1)ワーク形状検出ステップは、図1に示すX方向における溶接ビード51を含むワーク5の表面形状の情報を、レーザー変位計2によってワーク5の表面の各位置までの距離を実測することで、Y方向の所定範囲にわたって取得する。
(2)測定端部データ作成ステップは、コンピューター4により、ワーク5の表面形状の情報のデータを処理して、(1)ワーク形状検出ステップにて測定を行った各X位置における溶接ビード51の立ち上がり51bの位置を検出し、溶接ビード51のY方向に沿ってプロットする。
(3)近似端部算出ステップにおいては、コンピューター4により、(2)測定端部データ作成ステップでプロットした測定端部のデータを、溶接ビード51のY方向に沿って直線または曲線に近似することにより、(2)測定端部データ作成ステップにおいて溶接ビード51のY方向に沿って離散的にプロットした測定端部のデータの間を補間した近似端部を、連続的に算出する。ここで得た近似端部をビード端部51aの位置の評価結果として採用しても、さらに、(4)近似端部再検出ステップまたは(5)ビード端部特定ステップに進んでも良い。
(4)近似端部再検出ステップにおいては、コンピューター4により、近似端部のY方向に沿って、(3)近似端部算出ステップで算出した近似端部を含んで、溶接ビード51のX方向に沿った所定幅の測定エリアを設定する。ここで、所定幅は、(1)ワーク形状検出ステップにおいて、測定幅よりも狭い幅とする。そして、設定した測定エリア内において、レーザー変位計2によって、再度、溶接ビード51のX方向に沿ってレーザー光21を照射してワーク5の表面の各位置までの距離を実測する。そして、溶接ビード51の立ち上がり51bの位置を再度検出することにより、再測定端部とし、再測定端部によって近似端部を置換し、ビード端部51aの位置を特定する。さらに、必要に応じて、再測定端部のデータを、溶接ビード51のY方向に沿って直線または曲線に近似することにより、再近似端部を連続的に算出する。
(5)ビード端部特定ステップにおいては、コンピューター4により、(2)測定端部データ作成ステップで実測結果から見積られた測定端部、または(4)近似端部再検出ステップで実測結果から見積られた再測定端部の位置と、(3)近似端部算出ステップにおいて近似端部として見積られた位置、または(4)近似端部再検出ステップで再近似端部として見積られた位置とを合成して、Y方向に沿って、ビード端部51aの位置を連続的に評価する。
本発明の一実施形態の溶接ビード51の外観評価方法を用いることで、図2に示したように、ビード端部51aの位置と上板52および下板53との形状変化が緩やかである場合等に、溶接ビード51のY方向に沿って部分的に、レーザー光21を照射してワーク5の表面の各位置までの距離を実測することでは、ビード端部51aの位置を検出できない箇所や、検出を正確に行えない箇所があったとしても、そのような箇所を含めて、溶接ビード51のY方向に沿ってビード端部51aの位置を連続的に評価することができる。また、スパッタ等、溶接ビード51以外の構造による誤検出が局所的に起こったとしても、そのような箇所を含めて、溶接ビード51のY方向に沿ってビード端部51aの位置を連続的に評価することができ、それら溶接ビード51以外の構造がビード端部51aの検出結果に誤検出として寄与するのを低減することができる。
次に、(1)ワーク形状検出ステップ、(2)測定端部データ作成ステップ、(3)近似端部算出ステップ、(4)近似端部再検出ステップ、(5)ビード端部特定ステップについて、それぞれの詳細を説明する。
(1)ワーク形状検出ステップ
図4(a)は、ワーク形状検出ステップを説明する模式図である。また、図4(b)は、ワーク形状検出ステップによって得られるワークの表面の高さの分布を説明する模式図である。
(1)ワーク形状検出ステップにおいては、図4(a)に説明する溶接ビード51のX方向に沿って、溶接ビード51を含むワーク5の表面形状W1、W2、W3、・・・Wnの情報を、溶接ビード51のY方向に沿って、所定の間隔ごとに、レーザー光21を照射してワーク5の表面の各位置までの距離を実測することで、取得する。これにより、図4(b)に模式的に説明するように、ワーク5の表面における高さ分布に関する情報を、XY平面で二次元的に取得することができる。ここでは、表面形状W1、W2、W3、・・・WnのX方向に沿った測定幅D1は、溶接ビード51の形成位置やレーザー変位計2による測定位置のずれを考慮して、レーザー変位計2の測定範囲に溶接ビード51が余裕をもって含まれるように、広めに設定しておく。
(2)測定端部データ作成ステップ
このステップでは、上記(1)ワーク形状検出ステップで得られたワーク5の表面における高さ分布の情報から、ビード端部51aの位置に関する情報を抽出する。具体的にはまず、高さ分布W1、W2、W3、・・・Wnの情報をX方向に沿って微分する。図5は、ワークの表面の高さを微分して2次元的に表現したデータの実測例である。なお、図5のコントラストは、説明を明確化するために調整をして、ビード端部51aの部分の明るさを強調している。また、図6は、測定端部データ作成ステップで、図5のような微分像をもとに、ビード端部51aの位置を検出して得られる結果を説明する模式図である。ここで、図6および後に説明する図7、8、9の図中の黒丸および斜線入りの丸は、ビード端部51aの位置として検出された箇所、白丸は、ビード端部51aが実際には存在するが、それぞれのステップでは位置が検出されなかった箇所である。また、一点鎖線Rは、ワーク5に形成されている実際のビード端部51aの位置を示す。
(2)測定端部データ作成ステップにおいては、溶接ビード51のX方向に沿って、図4(b)に説明するワーク5の表面の高さ分布を示す像において、溶接ビード51の高さZ0を、溶接ビード51が形成されていない領域から溶接ビード51が形成されている領域に向かって微分する。ここで説明する例では、図4(b)に説明する矢印X1のように、高さZ0の高い上板52側から、溶接ビード51が形成された領域を通って、高さ高さZ0の低い下板53側に向って、微分する。微分には、ソーベルフィルタ等、公知の2次元データに対する微分法を用いることができる。実測に基づく微分結果を2次元的に表現したものの例が図5である。そして、微分値の絶対値が所定の閾値以上となる位置を、各Y方向位置における溶接ビード51の立ち上がり51bの位置とみなし、測定端部Sの位置として記録する。これにより、図6に説明するように、ビード端部51aの位置として測定端部Sを検出する。その後、溶接ビード51のY方向に沿って測定端部Sの位置をプロットする。ここで、測定端部Sとは、溶接ビード51のX方向に沿って検出されるビード端部51aの位置であり、必ずしも実際のビード端部51aの位置に一致するものではなく、位置のずれやデータ点の欠落を含みうる。
図5の微分像において、暗く表示されている部分は、ワーク5の表面の形状差がほとんどない平滑面であり、明るく表示されている部分は、ワーク5の表面に立ち上がりが存在する部位であり、明度が高い程、ワーク5の表面の立ち上がりの勾配が大きい。図5の溶接ビード51の上板52側の位置に、明るい点がY方向(画像の縦方向)に沿って離散的に観測されており、それらが検出された測定端部Sに相当する。しかし、Y方向に沿って、それら明るい点が観測されていない箇所もある。それらの箇所は、測定端部が検出できなかった検出不可箇所Bである。検出不可箇所Bは、図2に示すように、ビード端部51aの位置と上板52との形状変化が緩やかであり、ビード端部51aの位置と上板52との形状差がほとんどないことや、レーザー変位計2でレーザー光21を照射してワーク5の表面の各位置までの距離を実測する時の条件がゆらいだこと等に起因し、ワーク5の表面の高さを微分した際に、所定の閾値以上の微分値が検出されなかったため、測定端部Sのデータが記録されなかったものである。
図6の図中に示すNは、実際にはビード端部51aが存在するにもかかわらず、(2)測定端部データ作成ステップにおいて測定端部Sが検出されない非検出箇所であり、図5においては、検出不可箇所Bに相当する。また、測定端部S3として検出されたPは、他の測定端部SのX方向の位置からX方向に大きく離れており、溶接ビード51以外の凹凸構造に起因するもの、例えばワーク5の表面に付着したスパッタ等に起因するものと推察される。これにより、測定端部S3は、図6に点線で示すように、Y方向に隣接する測定端部S1および測定端部S2や実際のビード端部51aの位置よりもX方向に沿って局所的に突出した形状として溶接ビード51が形成されているような検出結果を与えてしまう。
(3)近似端部算出ステップ
このステップにおいては、(2)測定端部データ作成ステップで得られた測定端部Sのデータを基に、近似端部を算出する。図7は、(3)近似端部算出ステップにおける近似直線の算出を説明する模式図である。
(3)近似端部算出ステップは、図7に示すように、(2)測定端部データ作成ステップにおいて検出した測定端部Sのデータを、溶接ビード51のY方向に沿って直線に近似して、溶接ビード51のY方向に沿って、近似端部である近似直線K1を算出する。直線に近似する方法は、最小二乗法等、公知の方法を用いればよい。ここでは、上板52および下板53が直線状の端縁を有しており、その端縁の段差54に略直線状の溶接ビード51を形成しているので、直線への近似を採用しているが、溶接ビード51を形成する母材の端縁の形状や溶接ビード51の形状に応じて、任意の関数形を有する曲線に近似してもよい。
この(3)近似端部算出ステップの後、次の(4)近似端部再検出ステップまたは(5)ビード端部特定ステップに進むことが好ましい。しかし、それら(4)および(5)のステップを実施しない場合には、近似直線K1をもって、ビード端部51aの評価結果とすればよい。つまり、近似直線K1を、ビード端部51aの形成された位置とみなして、溶接ビード51の各部の寸法(脚長、高さ、余盛り幅等)の評価等に、適宜利用すればよい。
(4)近似端部再検出ステップ
このステップにおいては、上記(1)~(3)のステップで近似直線K1として評価されたビード端部51aの位置を、レーザー変位計2を用いた再計測により、さらに正確に評価する。(4)近似端部再検出ステップは、以下のように、(a)~(e)の各ステップによって、実施することができる。
図8は、(4)近似端部再検出ステップにおける測定端部と近似直線との距離の算出を説明する模式図である。また、図9(a)は、(4)近似端部再検出ステップにおける測定エリアの設定を説明する模式図である。また、図9(b)は、測定エリア内による再検出および再近似直線の算出を説明する模式図である。
(a)測定端部と近似直線との距離の算出
(4)近似端部再検出ステップにおいては最初に、レーザー変位計2を用いた再測定のための準備として、図7の測定端部S、および近似直線K1のデータを使用して、図8に示すように、溶接ビード51のX方向に沿って、近似直線K1に対する各測定端部Sの座標を算出する。具体的には、近似直線K1に対して溶接ビード51のX方向に沿って、各測定端部Sと近似直線K1との間の距離LSを算出する。これにより、後述する図9(a)の測定エリアEを設定するための準備を行う。
(b)測定エリアの設定
次に、図9(a)に示すように、近似直線K1のY方向に沿って、近似直線K1を含んで、(1)ワーク形状検出ステップにおける測定幅D1(図4(a)参照)よりも狭い測定幅D2の測定エリアEを、レーザー変位計2による再計測を行う範囲として設定する。ここで、測定幅D2は、ステップ(a)で算出した測定端部Sと近似直線K1との間の距離LSのデータを用いて、溶接ビード51のX方向の幅を十分に含んでおり、かつ(1)ワーク形状検出ステップにおける測定幅D1よりも狭く設定をする。測定幅D1は、溶接ビード51をレーザー変位計2の測定範囲に余裕をもって含めるために、広めに設定していたが、上記(1)~(3)および(a)のステップで、既に測定幅D1の中における溶接ビード51の位置を特定しているため、溶接ビード51を確実に範囲に含ませるように、測定幅D1よりも小さい測定幅D2を設定することができる。測定幅D2の小ささにより、スパッタP等、溶接ビード51以外の凹凸構造物が、測定幅D1において測定する場合よりも、測定エリアEに入りにくくなる。
(c)測定エリア内における再検出
次に、図9(b)に示すように、測定エリアEの範囲内において、再度、溶接ビード51のX方向における溶接ビード51を含むワーク5の表面形状の情報を、図1に示すレーザー変位計2によって、溶接ビード51のY方向に沿って検出する。これにより、図4(b)よりもX方向の範囲の狭い、ワークの表面の高さ分布の像を得る。次に、(2)測定端部データ作成ステップと同様に、溶接ビード51のX方向に沿って微分して、微分値の絶対値が所定の閾値以上となる位置を、各位置における溶接ビード51の立ち上がり51bの位置とみなし、再測定端部Tとして記録する。これにより、図9(b)に示すように、ビード端部51aの位置として再測定端部Tを検出し、溶接ビード51のY方向に沿ってプロットする。なお、この再測定においては、測定幅だけではなく、レーザー変位計2による測定にかかる条件自体も、(1)ワーク形状検出ステップから変更してもよい。例えば、測定幅を狭くすることで、測定幅内の各X方向位置における測定精度を向上させることができる形態のレーザー変位計2を用いているならば、そのように測定条件を変更することが考えられる。
ここで、測定端部Sは、(1)ワーク形状検出ステップにおいて、測定幅D1において、ワーク5の表面の高さ分布を計測した結果に基づいて検出されたものであるのに対し、再測定端部Tは、この(4)近似端部再検出ステップのステップ(c)において、測定幅D1よりも狭い測定幅D2において、ワーク5の表面の高さ分布を再計測した結果に基づいて検出されるものである。(2)測定端部データ作成ステップでは、測定端部Sとして、スパッタPが誤検出されていたのに対し、この再検出のステップでは、測定幅D2を、スパッタPを含まない狭い領域に設定していることに対応して、再測定端部Tは、スパッタPに起因する検出結果を含まないものとなっている。スパッタP等、溶接ビード51以外の構造が形成されている位置以外でも、各Y方向位置における測定端部Sと再測定端部Tの位置は、必ずしも一致するものではない。例えば、(1)ワーク形状検出ステップから測定条件を変更している場合等には、測定端部Sよりも実際の溶接ビード51の位置に近い位置として、再測定端部Tを得ることができる。図9(b)に白丸で示す点Mは、測定エリアEの範囲内において、測定幅D2での再測定でも再測定端部Tが検出されない非検出箇所であり、必ずしも(1)ワーク形状検出ステップで発生した非検出箇所Nに一致するものではないが、図6に説明する例では一致している。
(d)再近似端部の算出
次に、上記(c)のステップで得た再測定端部Tの情報をもとに、再近似端部を算出する。つまり、上記(3)近似端部算出ステップで測定端部Sのデータに対して行ったのと同様に、上記で得た再測定端部Tのデータを、溶接ビード51のY方向に沿って直線(または曲線)に近似して、溶接ビード51のY方向に沿って、再近似端部である再近似直線K2を算出する。なお、再測定端部Tと測定端部Sの位置がほぼ一致している場合等、再近似直線K2を改めて算出する必要性が低い場合には、(3)近似端部算出ステップで算出した近似直線K1を、再近似直線K2としてそのまま採用してもよい。
この(4)近似端部再検出ステップの後、次の(5)ビード端部特定ステップに進むことが好ましい。しかし、(5)ビード端部特定ステップを実施しない場合には、再近似直線K2をもって、ビード端部51aの評価結果とすればよい。つまり、再近似直線K2を、ビード端部51aの形成された位置とみなして、ビード寸法の評価等に、適宜利用すればよい。
(5)ビード端部特定ステップ
(4)近似端部再検出ステップの後、あるいは、(4)近似端部再検出ステップを省略する場合には、(3)近似端部算出ステップの後に、コンピューター4により、(5)ビード端部特定ステップを行う。ここでは、レーザー変位計2による計測でビード端部51aの位置を実測によって検出することができたY方向位置(第一の場合)のデータと、レーザー変位計2による計測でビード端部51aの位置を実測によって検出することができなかったY方向位置(第二の場合)のデータをつなぎ合せて、ビード端部51aの位置を特定する。
図9(b)に、(4)近似端部再検出ステップにおいて、再測定端部Tの検出および再近似直線K2の算出を行った後に、(5)ビード端部特定ステップを実行する場合を示す。具体的には、(4)近似端部再検出ステップにおける測定エリアE内において、再測定端部Tが検出されたY方向位置においては、検出した再測定端部Tをビード端部51aの位置として採用し、再測定端部Tが検出されなかったY方向位置(レーザー変位計2による離散的な測定の対象とならなかった位置、および測定の対象となったが検出データが得られなかった非検出箇所Mの両方を含む)においては、(4)近似端部再検出ステップにより検出した再近似直線K2を、ビード端部51aの位置として採用し、それらをつなぎ合わせて、溶接ビード51のY方向に連続したビード端部51aの位置として評価する。そのように、合成して得られたY方向に連続した評価結果を、ビード端部51aの形成された位置とみなして、ビード寸法の評価等に、適宜利用すればよい。
(4)近似端部再検出ステップを行っていない場合には、再測定端部Tの代わりに測定端部Sを用いるとともに、再近似直線K2の代わりに近似直線K1を用いて、上記と同様に、溶接ビード51のY方向に連続したビード端部51aの位置を評価することができる。
(外観評価方法の特性)
本発明の溶接ビード51の外観評価方法は、(1)ワーク形状検出ステップにより、溶接ビード51のX方向に沿った測定幅D1にわたって溶接ビード51のY方向に沿ってワーク5の表面形状W1、W2、W3、・・・Wnの情報を取得し、(2)測定端部データ作成ステップにより、その測定端部Sのデータを検出して溶接ビード51のY方向に沿ってプロットした後、(3)近似端部算出ステップにより、溶接ビード51のY方向に沿って測定端部Sのデータを直線または曲線に近似して、近似直線K1を算出する。(3)近似端部算出ステップのような近似の工程を含むことで、ビード端部51aの位置と上板52および下板53との形状変化が緩やかであるため、溶接ビード51のY方向に沿って部分的に、ワーク5の表面形状W1、W2、W3、・・・Wnの情報からビード端部51aの位置を検出できない箇所(非検出箇所N)や検出されたビード端部51aの位置(スパッタPによる測定端部S3)が不正確な箇所がある場合でも、ビード端部51aの位置を、溶接ビード51のY方向に沿って連続的に推定できる。
また、(2)測定端部データ作成ステップは、溶接ビード51のX方向に沿って、ワーク5における溶接ビード51の高さZ0を、微分し、その微分値の絶対値が所定の閾値以上となる位置を測定端部Sとみなしている。この場合には、微分により、立ち上がり構造を敏感に検出できるようになるので、ビード端部51aの位置と上板52との形状変化が緩やかである場合にも、高感度にビード端部51aの位置を評価することができる。しかし、微分を行う形態に限られるものではなく、高さZ0の立ち上がり51bを検出できればよい。例えば、溶接ビード51の立ち上がり51bが急峻である場合等には、図4(b)のような高さ分布のデータを微分することなくそのまま利用して、高さZ0を解析してもよい。
(3)近似端部算出ステップは、(2)測定端部データ作成ステップにおいて検出した測定端部Sのデータに対して、直線(または曲線)への近似を行うことで、ビード端部51aの位置と上板52との間の形状変化が緩やかであることや、レーザー変位計2の測定条件のゆらぎ等に由来して、溶接ビード51のY方向に沿って局所的に、測定端部Sを検出できない箇所が生じたとしても、それらの箇所を含めて、ビード端部51aの位置をY方向に沿って連続的に評価することができる。レーザー変位計2による離散的な計測の間の位置に相当し、計測が行われないY方向位置を含めて、ビード端部51aの位置を推定することもできる。さらに、スパッタP等、ビード端部51a以外の立ち上がり構造の存在や、測定条件のばらつき等の要因によりビード端部51aの位置について誤検出が局所的に起こったとしても、それら誤検出がビード端部51aの位置の検出結果に与える寄与を希釈し、溶接ビード51のY方向全域において連続的に、かつ高精度にビード端部51aの位置を評価することが可能となる。
(1)~(3)のステップに加えて、(4)近似端部再検出ステップを実行する場合には、近似直線K1のY方向に沿って、近似直線K1を含んで、(1)ワーク形状検出ステップにおける測定幅D1よりも狭い測定幅D2において、レーザー変位計2による測定を再度行って、溶接ビード51の立ち上がり51bの位置を再度検出して再測定端部Tとすることにより、ビード端部51aの位置を特定する。この場合には、より高い検出精度で、ビード端部51aの位置を検出することができる。なぜなら、(1)ワーク形状検出ステップにおいては、検出すべきビード端部51aの位置の不確定性が高いため、測定幅D1を広めに設定する必要があるが、一旦、ビード端部51aを検出することができれば、測定幅D2を測定幅D1よりも狭く設定できる。これにより、その狭い測定幅D2で規定される測定エリアEの外のワーク5の表面形状の情報は検出されなくなるため、測定エリアEの外に形成されているスパッタP等の溶接ビード51以外の凹凸構造の立ち上がりを、ビード端部51aの位置として誤検出することがなくなる。このように、狭い測定幅D2を再設定して再計測を行わない場合に比べて、ビード端部51aの位置の検出精度を高めることができる。また、測定幅を狭くすることで、溶接ビード51に光を照射して発生する反射光によってビード端部51aの位置を検出するレーザー変位計2自体の測定精度も高めやすくなる。
(3)近似端部算出ステップで得た近似端部K1または(4)近似端部再検出ステップで得た再近似端部K2を、ビード端部51aの位置の評価結果として採用して、ビード寸法(脚長、高さ、余盛り幅等)の評価の基礎等として利用してもよいが、さらに、(5)ビード端部特定ステップを実行することで、レーザー変位計2によって実測に基づいて検出した測定端部Sや再測定端部Tの情報を有効に利用し、検出結果の欠落や不正確性を補いながら、実際のビード端部51aの位置をより正確に評価することができる。上記のように、(5)ビード端部特定ステップにおいては、第一の場合、つまり(2)測定端部データ作成ステップにおいて測定端部Sが検出された場合、または(4)近似端部再検出ステップにおいて、再測定端部Tが検出された場合には、それぞれ、検出した測定端部S、または再測定端部Tを、ビード端部51aの位置として採用する。一方、第二の場合、つまり測定端部Sまたは再測定端部Tが検出されない場合には、それぞれ、(3)近似端部算出ステップにより算出した近似端部K1または(4)近似端部再検出ステップにより算出した再近似端部K2を、ビード端部51aの位置として採用する。そして、それぞれの場合において、採用した測定端部Sまたは再測定端部Tと、近似端部K1または再近似端部K2と、を合わせることで、溶接ビード51のY方向のビード端部51aの位置を連続的に特定する。このように、実測に基づくビード端部51aの位置の検出結果と、近似に基づくビード端部51aの位置の推定結果とを合成することで、実測に基づく検出が可能であったY方向位置においては、実際のビード端部51aの位置を正確に評価することができると同時に、測定条件のばらつきや、ワーク5の形状変化の緩やかさ等に起因して、測定端部が検出できなかったY方向位置においては、他のY方向位置における検出結果を利用して、確からしいビード端部51aの位置を推定することができる。これにより、ビード端部51aの位置の評価において、溶接ビード51のY方向に沿った連続性と、高い精度とを、両立することができる。
溶接ビード51のビード端部51aの位置を検出する対象とするワーク5は、具体的な種類や形状を問うものではないが、上記のように、ワーク5が、上板52および下板53の間に設けられた段差部54に対して、肉盛溶接することにより溶接ビード51が形成されたものである場合には、上記実施形態にかかる評価方法の特性を有効に利用することができる。つまり、そのような段差部54に溶接ビード51が形成されている場合には、溶接ビード51と上板52との形状変化が緩やかで、ビード端部51aと段差部54の上側に相当する上板52との段差がほとんどない形状変化の緩やかなワーク5となり、従来一般のビード端部検出方法では、正確なビード端部51aの位置をY方向に沿って連続的に評価することが困難となる場合も多いが、上記のような本実施形態にかかる評価方法を用いることにより、レーザー変位計2による計測では、ビード端部51aの位置を直接的に検出できない箇所や測定が不正確な箇所が部分的に生じたとしても、ビード端部51aの位置の評価において、溶接ビード51のY方向における連続性を担保することができる。なお、本外観評価方法は、ワーク5の下板53側の下板側端部51cも同様に特定できるものである。
また、上記本発明の実施形態にかかる外観評価方法を実施する装置は、特に限定されるものではないが、上記本発明の実施形態の外観評価装置1を用いることで、簡素な装置構成とし、ビード端部51aの位置を、溶接ビード51のY方向に沿って連続的に、かつ高い精度で検出することができる。
例えば、ビード端部51aの位置の実測に用いる測定手段は、ワーク5に光を照射し、反射光に含まれるワーク5の各部の高さZ0に関する情報を取得できるものであれば、どのような形態のものであってもよいが、上記のように、溶接ビード51に帯状のレーザー光21を、溶接ビード51のX方向に掃引することなく、帯状の長手方向が溶接ビード51のX方向に沿うように一度に照射して、発生する反射光を一度に検出する形態のものを用いることで、レーザー光21を溶接ビード51のX方向に掃引して照射し、X方向各部からの反射光を順次検出する場合に比べて、ワーク5の表面形状の情報を検出する時間を短縮でき、計測における利便性が高められる。
(溶接ビード寸法評価ステップ)
本発明の一実施形態の溶接ビード51の外観評価方法は、(1)ワーク形状検出ステップ、(2)測定端部データ作成ステップ、(3)近似端部算出ステップ、さらに必要に応じて(4)近似端部再検出ステップおよび/または(5)ビード端部特定ステップの順に実施して、特定したビード端部51aの位置のデータをもとに、脚長、高さ、余盛り幅等、溶接ビード51の各部の寸法を評価する溶接ビード寸法評価ステップをさらに備えてもよい。
溶接ビード51の寸法評価には、基準として、ビード端部51aの位置の特定が必要である。上記の各ステップによって評価したビード端部51aの位置に関する情報は、ビード端部51aの位置を、Y方向に沿って連続的に、また高精度に特定するものであるため、溶接ビード51の寸法評価のための正確性の高い基礎情報となりうる。
ここで、溶接ビード51の寸法として、脚長および高さ、余盛り幅を評価する場合を例に、溶接ビード寸法評価ステップについて説明する。溶接ビード51の寸法の評価は、図4(b)に示したような、上記のビード端部51aの特定のための(1)ワーク形状検出ステップにおいて取得したワーク5の表面形状に関するデータを用いて行うことができる。
(A)脚長およびビード高さの算出
脚長Lおよびビード高さHの算出においては、図10(a)のワーク5に示す脚長Lおよびビード高さHを、図10(b)に示すステップ(a)から(e)により算出する。ここで、図10(a)に示すように、脚長Lとは、ビード端部51aと下板側端部51c(溶接ビード51の下板53側の端部)とを結ぶ線分llの長さである。また、ビード高さHとは、脚長Lに垂直な線分hhの最大長さである。
(a)ワーク表面の脚長の算出
まず、溶接ビード51のY方向の所定の位置において、X方向に沿って、ワーク5の表面において特定したビード端部51aおよび下板側端部51cの位置を示すデータから、ビード端部51aと下板側端部51cとの間の距離である脚長Lを算出する。このとき、下板53側の下板側端部51cは、上板52側のビード端部51aの位置の特定と同様に、溶接ビード51の外観評価方法における、(1)ワーク形状検出ステップ、(2)測定端部データ作成ステップ、(3)近似端部算出ステップの順に実施して、特定することができる。(1)ワーク形状検出ステップは、新たに実施しなくても、上記ビード端部51aの位置の特定の際に実行した(1)ワーク形状検出ステップの結果をそのまま用いることができる。また、下板側端部51cの下板53からの立ち上がり構造は、ビード端部51aの上板52からの立ち上がり構造に比べて、明瞭であるので、(2)測定端部データ作成ステップにおける微分操作および(3)近似端部算出ステップは適宜省略してもよい。
(b)溶接ビードのY方向の脚長の算出
次に、溶接ビード51のY方向の所定の位置に対して実行した上記(a)のステップを、Y方向の全域に対して、所定の間隔で繰り返し、各Y方向位置における脚長Lを算出する。これにより、溶接ビード51の全域にわたる脚長Lの評価が完了する。
(c)脚長に垂直な線分の長さの算出
溶接ビード51のY方向の所定の位置において、上記ステップ(a)において、脚長Lの算出に用いた上板52側のビード端部51aと下板53側の下板側端部51cの間を結ぶ線分llに対して垂直に、線分llと溶接ビード51の頂部を結ぶ線分hhを、設定する。そして、線分hhの長さを算出する。ここで、溶接ビード51の頂部の位置は、上記(1)ワーク形状検出ステップで得たワーク5の表面の高さ分布のデータおよび/または(2)測定端部データ作成ステップで得た微分データを用いて、見積もることができる。線分hhの設定と長さの算出を、線分llに沿って、ビード端部51aから下板側端部51cまでの範囲の全域で行う。
(d)ビード高さの算出
上記ステップ(c)により線分llの全域で算出した、線分llに対して垂直な線分hhの内、最大となる線分hhの長さを算出する。そして、最大となる線分hhの長さを、ビード高さHとする。
(e)溶接ビードのY方向のビード高さの算出
次に、溶接ビード51のY方向の所定の位置に対して実行した上記(c)および(d)のステップを、Y方向の全域に対して、所定の間隔で繰り返し、各Y方向位置におけるビード高さHを算出する。これにより、溶接ビード51のビード高さHの評価が完了する。
(B)余盛り幅の算出
余盛り幅Cの算出においては、図11(a)のワーク5に示す余盛り幅Cを、図11(b)に示すステップ(a)および(b)により算出する。ここで、余盛り幅Cとは、図11(a)のX方向に沿ってビード端部51aと下板側端部51cとを結ぶ線分の長さである。
(a)ワーク表面の余盛り幅の算出
まず、溶接ビード51のY方向の所定の位置において、X方向に沿って、ワーク5の表面において特定した上板52側のビード端部51aおよび下板53側の下板側端部51cの位置のデータから、溶接ビード51のビード端部51aと下板側端部51cとを結ぶ、X方向に平行な線分ccの長さとして、余盛り幅Cを算出する。
(b)溶接ビードのY方向の余盛り幅の算出
次に、溶接ビード51のY方向の所定の位置に対して実行した上記(a)のステップを、Y方向の全域に対して、所定の間隔で繰り返し、各Y方向位置における余盛り幅Cを算出する。これにより、溶接ビード51の余盛り幅Cの評価が完了する。
本発明の一実施形態の溶接ビード51の外観評価方法は、溶接ビード寸法評価ステップをさらに備えることにより、上記(1)~(5)の各ステップで特定したビード端部51aの位置のデータを用いて、溶接ビード51の各部の寸法を高精度で評価することができる。なお、溶接ビード51の外観評価方法においては、溶接ビード51の脚長L、ビード高さH、および余盛り幅C以外にも、溶接ビード51の形状にかかる各種パラメータを、求めたビード端部51aを基準にして評価することができる。
以上、本発明の実施形態および実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 外観評価装置
2 レーザー変位計(検出手段)
3 ロボット(レーザー変位計走査手段)
4 コンピューター(情報処理手段)
5 ワーク
21 レーザー光
51 溶接ビード
51a ビード端部
51b 立ち上がり
51c 下板側端部
52 上板(板材)
53 下板(板材)
54 段差部
D1、D2 測定幅
E 測定エリア
K1 近似直線(近似端部)
K2 再近似直線(再近似端部)
S 測定端部
T 再測定端部
W1、W2、W3、・・・Wn ワーク5の表面形状
X方向 溶接ビード51の長手方向に交差する方向
Y方向 溶接ビード51の長手方向
Z0 溶接ビード51の高さ

Claims (8)

  1. ワークの表面に形成された溶接ビードの立ち上がりの端部であるビード端部の位置を、前記溶接ビードに光を照射して発生する反射光によって検出する検出手段を用いた溶接ビードの外観評価方法において、
    前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードを含む前記ワークの表面形状の情報を、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿った測定幅にわたって前記検出手段によって前記溶接ビードの長手方向に沿って検出するワーク形状検出ステップと、
    前記ワークの表面形状の情報に含まれる、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードの立ち上がりの位置を、測定端部として検出し、前記溶接ビードの長手方向に沿ってプロットする測定端部データ作成ステップと、
    プロットした前記測定端部のデータを、前記溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより前記測定端部のデータの間を補間した近似端部を算出することで前記ビード端部の位置を特定する近似端部算出ステップと、を備え
    ビード端部特定ステップをさらに有し、
    前記ビード端部特定ステップにおいては、
    前記測定端部データ作成ステップにおいて、前記測定端部が検出された第一の場合には、検出された前記測定端部を前記ビード端部の位置として採用し、
    前記測定端部が検出されない第二の場合には、前記近似端部算出ステップにより特定した前記近似端部を、前記ビード端部の位置として採用し、
    前記第一の場合と第二の場合で採用した前記ビード端部の位置をつなぎ合わせることで、前記溶接ビードの長手方向に沿った前記ビード端部の位置を特定することを特徴とする溶接ビードの外観評価方法。
  2. 前記近似端部算出ステップの後に、近似端部再検出ステップをさらに実施し、前記近似端部の長手方向に沿って、前記近似端部を含む前記ワーク形状検出ステップにおける前記測定幅よりも狭い所定幅の測定エリアを設定し、
    前記測定エリア内において、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って前記検出手段によって前記溶接ビードの立ち上がりの位置を再度検出することにより該立ち上がりの位置を検出して、再測定端部とし、
    前記再測定端部によって前記近似端部を置換し、前記ビード端部の位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の溶接ビードの外観評価方法。
  3. ワークの表面に形成された溶接ビードの立ち上がりの端部であるビード端部の位置を、前記溶接ビードに光を照射して発生する反射光によって検出する検出手段を用いた溶接ビードの外観評価方法において、
    前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードを含む前記ワークの表面形状の情報を、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿った測定幅にわたって前記検出手段によって前記溶接ビードの長手方向に沿って検出するワーク形状検出ステップと、
    前記ワークの表面形状の情報に含まれる、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向における前記溶接ビードの立ち上がりの位置を、測定端部として検出し、前記溶接ビードの長手方向に沿ってプロットする測定端部データ作成ステップと、
    プロットした前記測定端部のデータを、前記溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより前記測定端部のデータの間を補間した近似端部を算出することで前記ビード端部の位置を特定する近似端部算出ステップと、を備え
    前記近似端部算出ステップの後に、近似端部再検出ステップをさらに有するとともに、
    ビード端部特定ステップをさらに有し、
    前記近似端部再検出ステップにおいては、
    前記近似端部の長手方向に沿って、前記近似端部を含む前記ワーク形状検出ステップにおける前記測定幅よりも狭い所定幅の測定エリアを設定し、
    前記測定エリア内において、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って前記検出手段によって前記溶接ビードの立ち上がりの位置を再度検出することにより該立ち上がりの位置を検出して、再測定端部とし、
    前記再測定端部によって前記近似端部を置換し、前記ビード端部の位置を特定し、
    前記ビード端部特定ステップにおいては、
    前記近似端部再検出ステップにおいて、前記再測定端部が検出された第一の場合には、検出された前記再測定端部を前記ビード端部の位置として採用し、
    前記再測定端部が検出されない第二の場合には、前記近似端部算出ステップにより特定した前記近似端部、または前記再測定端部のデータを、前記溶接ビードの長手方向に沿って直線または曲線に近似することにより前記再測定端部のデータの間を補間した再近似端部を、前記ビード端部の位置として採用し、
    前記第一の場合と第二の場合で採用した前記ビード端部の位置をつなぎ合わせることで、前記溶接ビードの長手方向に沿った前記ビード端部の位置を特定することを特徴とする溶接ビードの外観評価方法。
  4. 前記測定端部データ作成ステップは、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って、前記ワークにおける前記溶接ビードの高さを、微分し、該微分値の絶対値が所定の閾値以上となる位置を前記測定端部とみなすことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶接ビードの外観評価方法。
  5. 前記ビード端部の位置のデータをもとに、前記溶接ビードの表面形状の寸法評価をする溶接ビード寸法評価ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の溶接ビードの外観評価方法。
  6. 前記検出手段は、前記溶接ビードに帯状のレーザー光を、前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に掃引することなく、前記帯状の長手方向が前記溶接ビードの長手方向に交差する方向に沿って一度に照射して発生する反射光を用いて前記溶接ビードの前記ビード端部の位置を検出することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の溶接ビードの外観評価方法。
  7. 前記ワークは、複数の板材間に設けられた段差部に対して、肉盛溶接することにより前記溶接ビードが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の溶接ビードの外観評価方法。
  8. 前記溶接ビードが形成された前記ワークに対してレーザー光を照射して前記ワーク表面までの距離を測定する前記検出手段としてのレーザー変位計と、
    距離センサにより前記レーザー変位計を前記溶接ビードの長手方向に沿って相対的に変位させるレーザー変位計走査手段と、
    前記レーザー変位計によって得られた測定結果に対する情報処理を行う情報処理手段と、を有し、
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の溶接ビードの外観評価方法を実施することを特徴とする溶接ビードの外観評価装置。
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