JP7073319B2 - 色調の変化を抑えられる、アミノ変性シリコーン含有水中油型エマルジョン組成物、その製造方法、設計方法、および、該組成物を配合した化粧料 - Google Patents
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ところが、アミノ変性シリコーンは、色調の変化、特に黄色の着色がしやすいという欠点を有している。この問題は特に、化粧品用のエマルジョンの形態で大きな問題となっている。
また、特許文献2には、シリコーン組成物として色調の変化を防止する工夫が開示されている。しかし、複数の成分を組み合わせる必要があり、しかもその配合比には工夫が必要であり、限定した構成でないと効果を奏しなかった。また、積極的な色調変化防止の作用が示されていなかった。
また、いかなる公知技術も、化粧品向けの原料として好適で、かつ、単一成分でも十分に、アミノ変性シリコーンによる色調の変化を抑える薬剤が配合されたエマルジョン組成物、さらに化粧料について開示したものはなかった。
また、いかなる公知技術も、そのようなエマルジョン組成物の製造方法、さらには、目的の色調の変化の抑制に応じたエマルジョン組成物の設計方法を開示したものはなかった。
また、本発明は、アミノ変性シリコーンを含有する水中油型エマルジョンの色調の変化を抑えるための成分として、単一の成分でも十分な性能を発揮し、かつ化粧品用の原料として好適な薬剤を使用できる、アミノ変性シリコーン含有水中油型エマルジョン組成物、および、該組成物を配合した化粧料を提供することを目的とする。また、該組成物の製造方法、さらには、目的の色調の変化の抑制に応じたエマルジョン組成物の設計方法を提供することを目的とする。
(A)アミノ変性シリコーンオイル: 100質量部
(B)水への溶解度とアミノ変性シリコーンオイルへの溶解度が、共に正の値をもつ、1種または2種以上の混合物からなる化合物: 0.1~50質量部
(C)水
を含有し、色調の変化が抑制されたことを特徴とする水中油型エマルジョン組成物である。
また、本発明者は、所定の物性値を満たす化合物を、化粧品用原料として好適な化合物の中から選択し、それを色調変化抑制剤として、アミノ変性シリコーンと混合し、水中油型エマルジョンを作製することで課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、
(A)アミノ変性シリコーンオイル: 100質量部
(B)色調変化抑制剤として、水への溶解度とアミノ変性シリコーンオイルへの溶解度が、共に正の値をもつ、1種または2種以上の混合物からなる化合物: 0.1~50質量部
(C)水
を含有し、色調の変化が抑制されたことを特徴とする水中油型エマルジョン組成物である。
y>-42x+42 (1)
式(1)において、x>0、かつ、y>0である。
また、その化合物は、化粧品原料として最適な化合物の中から選択できるので、人体等に害を与えないほか、場合により、防腐効果やエマルジョン粒子の安定効果や粒子径を小さくする効果も期待できる。
また、そのような化合物を、単一の成分でも使用でき、製造方法も容易であることから、コストを下げ、生産性を高めることができる。
また、そのような化合物を色調変化抑止剤として、種々のアミノ変性シリコーンへ加えることにより色調変化の抑制された水中油型エマルジョン組成物および化粧品を作製できるので、簡便な製品構成および簡便な使用を実現できる。
また、所望の色調の変化の抑制の度合いや、その他の要望に応じての化合物の選択と使用量の設定により、エマルジョンの設計ができる。
本発明の成分(A)は、アミノ変性シリコーンであり、その構造や性状は限定されないが、通常、平均組成が一般式(2)で表されるアミノ変性オルガノポリシロキサンである。このアミノ変性オルガノポリシロキサンは、水性エマルジョンの中で、化粧品としての機能、特に、毛髪に対して滑らかな感触、通り性などを付与する成分である。
R1 aR2 bSiO(4-a-b)/2 (2)
一般式(2)において、R1は、分子中で同一でも異なっていてもよく、炭素数1~20の非置換の1価の炭化水素基もしくは水素原子または水酸基から選択される。非置換の1価の炭化水素基の例としては、メチル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;2-フェニルエチル、2-フェニルプロピルなどのアラルキル基を挙げることができる。これらの中ではメチル基及び/またはフェニル基が好ましく、50モル%以上がメチル基であることが特に好ましい。R1として、一部に、炭素数1~3のアルコキシ基を含むことを妨げない。
-R3-[(NR4)-R5]tNR6R7 (3)
式(3)中、R3、R5は、2価のC1~C18炭化水素残基を表し、R4、R6及びR7は、水素原子または未置換のC1~C10のアルキル基を表し、tは、0または1~6の整数を表す。
化粧品用に好ましい、R2は、-CH2-CH2-CH2-NH-CH2-CH2-NH2、-CH2-CH2-CH2-NH2-CH2-CH2-CH2-NH-CH2-CH2-NH2であり、特に好ましくは、-CH2-CH2-CH2-NH-CH2-CH2-NH2である。
以上の成分(A)のアミノ変性シリコーンの構造因子は、化粧品等へ応用する場合は、上記の範囲が好ましいが、本発明にとってそれらは限定されるものではない。
成分(A)の粘度範囲は限定されないが、好ましくは、25℃で100~10000mPa・sであり、より好ましくは、200~4000mPa・sである。100mPa・s未満では、毛髪に対する十分なコンディショニング効果が得られず、10000mPa・sを超えると毛髪に対し毛先まで均一な通り性やまとまり性を与えることができない。
成分(A)とこれらオイルおよび/またはレジンの比率は全く限定されない。アミノ変性シリコーンとしての目的の特性がエマルジョンとして発揮されればよい。ただし、成分(A)とオイルおよび/またはレジンの全体は、混合した状態で流動性を示すことが好ましい。そうでないとエマルジョンを形成するのが困難となるからである。エマルジョン組成物全体中における成分(A)とオイルおよび/またはレジンの全体の配合量は限定されないが、エマルジョン組成物全体を100質量部中、0.01~70質量部の範囲が好ましい。
成分(B)は、本発明の水中油型エマルジョンおよび該エマルジョンが配合された化粧料の色調の変化、特に黄色に変化することを抑える作用を発揮する成分である。成分(B)は、水への溶解度とアミノ変性シリコーンオイルへの溶解度が、共に正の値をもつ、1種または2種以上の混合物からなる化合物からなる。
水への溶解度またはアミノ変性シリコーンオイルへの溶解度のどちらかがゼロまたは双方がゼロであると、エマルジョン中で、油相と水相のどちらかだけに存在する、または、析出または沈降することにより、アミノ変性シリコーンの色調の変化を抑制する作用を示すことができないからである。双方が生の値をもつことにより、成分(B)がエマルジョン中で、油相と水相の界面に存在することにより、色調の変化を抑制する働きを示すことができる。
また、成分(B)は、色調変化抑制剤として使用できる成分である。色調変化抑制剤として準備しておき、必要に応じて成分(A)のアミノ変性シリコーンに対し加えることにより、色調の変化を抑制せしめる薬剤として位置付けることができる。
y>-42x+42 (1)
式(1)において、x>0、かつ、y>0である。
この範囲を満たすことにより、成分(B)がエマルジョン中で、より効率的に油相と水相の界面に存在することにより、色調の変化を抑制する働きを示すことができる。
さらに好ましい範囲は、y>-51x+51を満たす範囲である。
アミノ変性シリコーンを含有する水中油型エマルジョンが黄色に着色する現象を例に取り、これらの化合物が好適に抑制作用を発揮することを下記に説明する。
黄色に着色する機構は、次のように考えられている。すなわち、アミノ変性シリコーンのアミノ基が酸化することである。アミノ基の酸化は、酸素濃度の増大および/または温度の上昇により加速される。そして、酸化はこのような条件のもと、経時的に進んでいく、すなわち、着色の程度は増大していく。
これに対し、上記の化合物は、アミノ変性シリコーンと水に対して、一定の溶解性があり、油相と水相の界面に存在する確率が大きくなる場合に、アミノ基を立体障害することにより、酸化防止の作用を発揮することにより、着色の抑制とその経時的維持がなされると考えられる。
そのような作用が発揮されるための要件として、本発明者は、成分(B)の水への溶解度とアミノ変性シリコーンオイルへの溶解度が共に正の値をもつことであることを見出し、より好ましくは、式(1)で示す関係を満たすことであることを突き止めた。色調の変化を抑えるためには、従来は経験に頼った方策しかなかったところ、本発明は、そのための要件を見出し、好ましい組成を定量的に見出すという、従来は成し得なかったことを実現できることを見出した。
本発明における界面活性剤の含有量は限定されないが、本発明のエマルジョン中で、1~20質量%である。1質量%未満では乳化が困難であり、10質量%を超えると、水性エマルジョン組成物の粘度が高くなり取り扱い性が悪くなる。より好ましくは3~7質量%である。
ただし、成分(B)の化合物が、エマルジョン中で、油相と水相の界面に存在するためには、成分(A)を含むオイル分全体と成分(B)を混合し、しかる後にエマルジョンを形成する製造方法を採ることが好ましい。
そうした化粧料の具体的な組成は限定されず、水中油型エマルジョンの配合量も限定されない。
化粧料としての色調の変化を抑止できるのは、水中油型エマルジョン中と同様に、成分(B)の化合物が、アミノ変性シリコーン相と水相の界面に存在していることが理由であると推定される。
作製した水中油型エマルジョンを50mlスクリュー管に30g入れ、初期および40℃で貯蔵1か月後に、クリーミング、沈降分離、色調の経時変化の有無を確認した。
評価基準;
◎:クリーミング、沈降分離全くなし、○:クリーミング、沈降分離ほとんどなし、△:クリーミング、沈降分離の傾向あり、×:クリーミング、沈降分離あり。
作製した水中油型シリコーン組成物、または、該組成物を配合した化粧料を目視にて色調の変化を観察した。観察は、初期と、40℃で貯蔵1か月後の条件で行った
評価基準;
++++:黄色の着色が極めて強い、+++:黄色の着色が強い、++:黄色の着色が弱い、+:変化していない。+および++の評価のものが合格である。
成分(A)として、粘度が1000mPa・s、アミン数が0.6であるN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基含有ジメチルポリシロキサン(アモジメチコン)20質量部に、成分(B)として、フェノキシエタノールを、2.0質量部、界面活性剤として、エチレンオキサイド付加数が13モルであるポリオキシエチレンセチルエーテルと、乳酸とグリセリンを含む相分離しないオイル状の混合物を得た。オイル状の混合物に精製水を加えて、合計100質量部とし、混合しIKA製、ウルトラタラックスT50ベーシック シャフトジェネレーターG45G 3000rpmにて、室温で20分撹拌することにより、水中油型エマルジョン1を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン1の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン1を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン1およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(B)として、フェノキシエタノールの代りにヘキシルグリセリンを用いた以外は、実施例1と同様にして、水中油型エマルジョン2を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン2の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン2を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン2およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(B)として、フェノキシエタノールの代りにシクロヘキシルグリセリンを用いた以外は、実施例1と同様にして、水中油型エマルジョン3を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン3の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン3を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン3およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(B)として、フェノキシエタノールの代りにヘキサンジオールを用いた以外は、実施例1と同様にして、水中油型エマルジョン4を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン4の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン4を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン4およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(B)として、フェノキシエタノールの代りにエチルヘキシルグリセリンを用いた以外は、実施例1と同様にして、水中油型エマルジョン5を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン5の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン5を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン5およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(A)として、粘度が1000mPa・s、アミン数が0.6であるN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基含有ジメチルポリシロキサン(アモジメチコン)の代りに、粘度が200mPa・s、アミン数が0.6であるN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基含有ジメチルポリシロキサン(アモジメチコン)を用いた以外は、実施例1と同様にして、水中油型エマルジョン5を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン5の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン5を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン5およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(A)として、粘度が200mPa・s、アミン数が0.25であるN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基含有ジメチルポリシロキサン(アモジメチコン)20質量部に、界面活性剤として、エチレンオキサイド付加数が13モルであるポリオキシエチレンセチルエーテル7質量部加え、相分離しないオイル状の混合物を得た。オイル状の混合物に精製水を加えて合計100質量部とし、混合しIKA製、ウルトラタラックスT50ベーシック シャフトジェネレーターG45G 3000rpmにて、室温で20分撹拌することにより、水分散体7を得た。処方を表1に示す。
水分散体7の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水分散体7を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水分散体7およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(A)として、粘度が1000mPa・s、アミン数が0.6であるN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基含有ジメチルポリシロキサン(アモジメチコン)の代りに、粘度が200mPa・s、アミン数が0.6であるN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基含有ジメチルポリシロキサン(アモジメチコン)を用い、成分(B)として、フェノキシエタノールの代りにカプリリルグリコールを1.0質量部用い、水を1.0質量部増やした以外は、実施例1と同様にして、水中油型エマルジョン8を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン8の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン8を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン8およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(B)の配合部数を2質量部の代わりに0.01質量部とし、水の使用量を1.99質量部増やした以外は、実施例6と同様にして、水中油型エマルジョン9を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン9の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン9を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン9およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
成分(B)の配合部数を2質量部の代わりに15質量部とし、水の使用量を13質量部減らした以外は、実施例6と同様にして、水中油型エマルジョン10を得た。処方を表1に示す。
水中油型エマルジョン10の安定性評価と色調経時変化の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、水中油型エマルジョン10を用いて、表2に示すようにコンディショナー組成物を作製し、同様に色調の経時変化を評価した。その結果を表1に示す。
なお、水中油型エマルジョン10およびそのコンディショナー組成物は、作製直後は黄色等の着色はなかった。
また、本発明による水中油型エマルジョン組成物の成分(B)として用いる化合物において、y>-42x+42であれば、色調の変化の抑制が良好となり、さらに、y>-51x+51であれば、より良好であることが示された。
Claims (3)
- (A)アミノ変性シリコーン: 5~70質量部
(B)フェノキシエタノール、ヘキシルグリセリン、シクロヘキシルグリセリン、ヘキサンジオール、および、エチルヘキシルグリセリンの群より選択される1種または2種以上の混合物である化合物: 2~21質量部
(C)水
を含有し、前記(B)成分により色調の変化を抑制させるものであり、色調の変化が前記(B)成分を含まない水中油型エマルジョン組成物の当該変化よりも抑制された水中油型エマルジョン組成物。 - 請求項1に記載の水中油型エマルジョン組成物の製造方法であって、
成分(A)を含むオイル分全体と成分(B)を混合し、しかる後にエマルジョンを形成することを特徴とする、水中油型エマルジョン組成物の製造方法。 - 請求項1に記載の水中油型エマルジョン組成物を配合することを特徴とする化粧料。
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