JP7073049B2 - 燃料電池および複合発電システム - Google Patents
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Description
メタンをベースとする都市ガスや天然ガスを用いる場合には、燃料極の触媒作用を用いてメタンの燃料電池セルでの内部改質が可能である。内部改質は、メタン(CH4)と水蒸気との混合ガスを反応させ、燃料電池セルで水素(H2)と一酸化炭素(CO)に改質するものである。この内部改質は吸熱反応であるため、燃料電池セルを冷却する役割を果たしている。
特許文献2では、水蒸気改質に用いる水蒸気を得るために、発電部を囲む断熱材の内部に伝熱管を配置し、伝熱管内に水を供給することによって水蒸気を生成する発明が開示されている。
「水蒸気改質が可能なガスが10vol%以下とされた炭化水素系ガス」としては、例えば、石炭ガス化ガスが挙げられる。
冷却水供給経路と蒸気供給経路とが切り替え可能とすることで、起動時にはボイラから導かれた蒸気を伝熱管に供給するようにし、発電時には冷却水を伝熱管に供給するようにする。これにより、伝熱管を冷却用だけでなく昇温用としても利用することができる。
「水蒸気改質が可能なガスが10vol%以下とされた炭化水素系ガス」としては、例えば、石炭ガス化ガスが挙げられる。
なお、水スプレー管に供給される水は、スプレー水が混合され発電室から排出されたガス(例えば排空気)を冷却して凝縮させた水を再利用しても良い。
なお、酸化性ガス供給管がガスタービンの圧縮機と接続されている場合には、圧縮機から導かれた酸化性ガスは高温とされているので、加湿スプレーから供給された水は酸化性ガスの顕熱によって容易に水蒸気となる。
また、加湿スプレーに供給される水は、発電室から排出された酸化性ガス(例えば排空気)を冷却して凝縮させた水を再利用しても良い。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて各構成要素の位置関係を特定するが、鉛直方向に対して必ずしもこの限りである必要はない。例えば、紙面における上方向が鉛直方向における下方向に対応してもよい。また、紙面における上下方向が鉛直方向に直行する水平方向に対応してもよい。
<複合発電システム>
図1には、SOFCモジュール201を用いた複合発電システム1が示されている。本実施形態の複合発電システム1は、石炭(炭素含有固体燃料)をガス化して得られる燃料を用いて複合発電をする石炭ガス化燃料電池複合発電システム(IGFC:Integrated coal Gasification Fuel cell Combined Cycle)である。なお、ガス化炉でガス化する炭素含有固体燃料は、本実施形態の石炭に限定されることはなく、例えば間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ等のバイオマス燃料にも適用可能である。
次に、SOFCモジュール201の発電室215の冷却構造について説明する。
図1に示すように、圧力容器とされたモジュール容器229内には、SOFCカートリッジ203が設けられている。なお、モジュール容器229内には複数のSOFCカートリジ203が設けられているが、図1では理解の容易のために1つのSOFCカートリッジ203のみが示されている。
SOFCモジュール201の起動時には、復水ポンプ53からの水供給が行われず、給水ポンプ6から補助ボイラ8へ給水が行われる。このとき、制御部12の指令により、給水流量制御弁7は開とされ、冷却水流量制御弁10は閉とされる。補助ボイラ8へと導かれた給水は、補助ボイラ8にて加熱されて蒸気とされ、復水供給配管5を通り伝熱管3へと導かれる。伝熱管3内を蒸気が通過する際に、発電室215内を加熱する。これにより、SOFCモジュール201が発電開始するまでの昇温を加勢する。
例えば、抽気蒸気流量制御弁57aと給水流量制御弁7と冷却水流量制御弁10を用いることで、以下のような運転が可能になる。SOFCモジュール201の起動前は補助ボイラ8からの蒸気のみで加熱し、SOFCモジュール201の発電前後は補助ボイラ8からの蒸気及び蒸気タービン51の抽気蒸気で緩やかに冷却する。SOFCモジュール201の運転負荷が低いうちは冷却水及び蒸気タービン51の抽気蒸気で冷却し、SOFCモジュール201の運転負荷が高くなり所定負荷以上になると冷却水のみで冷却する。
SOFCモジュール201は、水蒸気改質が可能なガス(メタンやプロパン等)をほとんど含まない石炭ガス化ガスを燃料としているので、メタン等の水蒸気改質による吸熱反応を利用できない。そこで、発電室215内の酸化性ガスが流れる領域に、内部に冷却水または水蒸気が導かれる伝熱管3を配置することで、発電室215内を冷却し、発電室215内の温度の上昇を抑制することとした。これにより、発電室215内を冷却するために酸化性ガス(例えば空気)を大量に供給する必要がなくなる。
次に、本発明の第2実施形態について、図2~図4を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、冷却方式が異なり、その他については同様である。したがって、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付しその説明を省略し、第1実施形態に対する相違点についてのみ説明する。
SOFCモジュール201は、水蒸気改質が可能なガス(メタンやプロパン等)をほとんど含まない石炭ガス化ガスを燃料としているので、メタン等の水蒸気改質による吸熱反応を利用できない。そこで、SOFCカートリッジ203間に伝熱パネル部3cを配置して、SOFCカートリッジ203間の領域、ひいてはSOFCカートリッジ203内(すなわち発電室215内)の温度の上昇を抑制することとした。これにより、発電室215内を冷却するために酸化性ガス(例えば空気)を大量に供給する必要がなくなる。
次に、本発明の第3実施形態について、図5を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、発電室215内の冷却方式が異なり、その他については同様である。したがって、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付しその説明を省略し、第1実施形態に対する相違点についてのみ説明する。
発電室215内の酸化性ガスが流れる領域に水スプレー管20から水を供給することとしたので、水の蒸発潜熱によって発電室215内を効果的に冷却することができる。
次に、本発明の第4実施形態について、図6及び図7を用いて説明する。本実施形態は、第3実施形態と同様に水スプレー管を用いて冷却するものであるが、第2実施形態のようにSOFCカートリッジ203間に水スプレー管が配置される点で第3実施形態と異なる。したがって、以下の説明では、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成については同一符号を付しその説明を省略し、第1実施形態乃至第3実施形態に対する相違点についてのみ説明する。
図6及び図7には、SOFCモジュール201内に配置された水スプレー管(水供給手段)20が示されている。冷却水は、導入部20aからSOFCモジュール201内へ導かれ、上方に立設する複数の水スプレー管20からSOFCカートリッジ203に向けて噴射される。水スプレー管20は、各SOFCカートリッジ203間に配置されている。水は、各SOFCカートリッジ203の中央の高温領域H近傍へ噴射することが好ましい。
SOFCカートリッジ203間に水スプレー管20を設け、水スプレー管20から水を供給することとしたので、水の蒸発潜熱によってSOFCカートリッジ203間の領域、ひいてはSOFCカートリッジ203内(すなわち発電室215内)を効果的に冷却することができる。
次に、本発明の第5実施形態について、図8を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態乃至第4実施形態に対して、発電室215内の冷却方式が異なり、その他については同様である。したがって、以下の説明では、第1実施形態乃至第4実施形態と同様の構成については同一符号を付しその説明を省略し、第1実施形態乃至第4実施形態に対する相違点についてのみ説明する。
加湿スプレー30によって酸化性ガス供給管208内を流れる空気を加湿することにより、発電室215に供給される空気の熱容量を増大させて冷却能力を向上させることができる。これにより、冷却のための空気投入量を減らすことができる。
3 伝熱管
3a 導入部
3b 導出部
3c 伝熱パネル部
5 復水供給配管
5a 供給配管(蒸気供給経路)
6 給水ポンプ
7 給水流量制御弁(蒸気流量制御手段)
8 補助ボイラ
9 冷却水供給配管(冷却水供給経路)
10 冷却水流量制御弁(冷却水流量制御手段)
11 温度センサ
12 制御部
15 蒸気排出配管
16 抽気配管(水蒸気供給管)
17 抽気流量制御弁
20 水スプレー管(水供給手段)
21 冷却器
22 循環ポンプ
30 加湿スプレー
31 循環ポンプ
32 給水配管
33 給水流量制御弁
34 循環水配管
40 ガスタービン
40G ガスタービン発電機
41 燃焼器
42 圧縮機
43 タービン
44 燃焼排ガス排出管
45 再生熱交換器
50 HRSG(排ガスボイラ)
51 蒸気タービン
51G 蒸気タービン発電機
52 煙突
53 復水ポンプ
54 復水器
56 蒸気入口配管
57 出口蒸気抽気配管
57a 抽気蒸気流量制御弁
101 セルスタック
201 SOFCモジュール(燃料電池)
203 SOFCカートリッジ(セルスタック群)
207 燃料ガス供給管
208 酸化性ガス供給管
209 燃料ガス排出管
210 酸化性ガス排出管
215 発電室
228 断熱壁部
229 モジュール容器
H 高温領域
Claims (10)
- 水蒸気改質が可能なガスが10vol%以下とされた炭化水素系ガスが燃料として導かれ、燃料電池セルが形成された複数のセルスタックが配置されたセルスタック群と、
前記セルスタック群を収容して発電室を形成する断熱壁部と、
前記発電室内に配置され、内部に冷却水または水蒸気が導かれる伝熱管と、
前記伝熱管に接続されたボイラと、
前記伝熱管に前記冷却水を供給する冷却水供給経路と、
前記伝熱管に前記ボイラにて生成された蒸気を供給する蒸気供給経路と、
を備え、
前記冷却水供給経路と前記蒸気供給経路とが切り替え可能とされている燃料電池。 - 前記発電室内の温度を計測する温度センサと、
前記伝熱管内を流れる前記冷却水または水蒸気の流量を制御する流量制御弁と、
前記温度センサから得られた前記温度に基づいて前記流量制御弁を制御する制御部と、
を備えている請求項1に記載の燃料電池。 - 水蒸気改質が可能なガスが10vol%以下とされた炭化水素系ガスが燃料として導かれ、燃料電池セルが形成された複数のセルスタックが配置されたセルスタック群と、
前記セルスタック群は、複数とされ、
各前記セルスタック群の間には、内部に冷却水または水蒸気が導かれる伝熱管が設けられ、
前記伝熱管に接続されたボイラと、
前記伝熱管に前記冷却水を供給する冷却水供給経路と、
前記伝熱管に前記ボイラにて生成された蒸気を供給する蒸気供給経路と、
を備え、
前記冷却水供給経路と前記蒸気供給経路とが切り替え可能とされている燃料電池。 - 前記伝熱管に接続され、水蒸気を前記炭化水素系ガスに導く水蒸気供給管を備えている請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記冷却水供給経路を流れる冷却水の流量を制御する冷却水流量制御手段と、
前記蒸気供給経路を流れる蒸気の流量を制御する蒸気流量制御手段と、
を備えている請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池。 - 水蒸気改質が可能なガスが10vol%以下とされた炭化水素系ガスが燃料として導かれ、燃料電池セルが形成された複数のセルスタックが配置されたセルスタック群と、
該セルスタック群を収容して発電室を形成する断熱壁部と、
前記発電室内に配置された各前記セルスタックと前記断熱壁部との間に水または水蒸気を供給する水供給手段と、
前記水供給手段に接続されたボイラと、
前記水供給手段に冷却水を供給する冷却水供給経路と、
前記水供給手段に前記ボイラにて生成された蒸気を供給する蒸気供給経路と、
を備え、
前記冷却水供給経路と前記蒸気供給経路とが切り替え可能とされている燃料電池。 - 前記水供給手段は、各前記セルスタックと前記断熱壁部との間に配置された水スプレー管とされている請求項6に記載の燃料電池。
- 水蒸気改質が可能なガスが10vol%以下とされた炭化水素系ガスが燃料として導かれ、燃料電池セルが形成された複数のセルスタックが配置されたセルスタック群と、
前記セルスタック群は、複数とされ、
各前記セルスタック群の間には、水または水蒸気を供給する水供給手段が設けられ、
前記水供給手段に接続されたボイラと、
前記水供給手段に冷却水を供給する冷却水供給経路と、
前記水供給手段に前記ボイラにて生成された蒸気を供給する蒸気供給経路と、
を備え、
前記冷却水供給経路と前記蒸気供給経路とが切り替え可能とされている燃料電池。 - 各前記セルスタックと前記断熱壁部との間に酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給管を備え、
前記水供給手段は、前記酸化性ガス供給管内を流れる酸化性ガスを加湿する加湿スプレーとされている請求項6に記載の燃料電池。 - 炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉と、
前記ガス化炉にてガス化されたガス化ガスが導かれる請求項1から9のいずれかに記載された燃料電池と、
前記燃料電池から排気される排燃料ガスと排酸化性ガスとを用いて回転動力を生成するガスタービンと、
前記ガスタービンの回転動力によって駆動されて発電するガスタービン発電機と、
前記ガスタービンから排出された排ガスによって蒸気を生成する排ガスボイラと、
前記排ガスボイラで生成された蒸気によって回転動力を生成する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンの回転動力によって駆動されて発電する蒸気タービン発電機と、
を備えている複合発電システム。
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