本発明の攪拌装置は、被撹拌物を攪拌する攪拌装置において、被撹拌物を撹拌するための攪拌部材であって、被撹拌物を収容する容器の底面に接触する第1の攪拌羽根(底面スクレーパ)を有する攪拌部材と、攪拌部材が容器内で自転しつつ公転するように攪拌部材を駆動する駆動機構とを備え、これにより、少量の被撹拌物であっても、被撹拌物が攪拌部材とともに共回りすることを抑制することを可能にするという課題を解決したものである。
本発明の攪拌装置では、攪拌部材が容器の底面に接触する第1の攪拌羽根を有することで、被撹拌物が少量であっても、攪拌羽根が容器の底面の被撹拌物上を素通りすることはなくなり、被撹拌物が攪拌羽根に当たる。さらに、第1の攪拌羽根を有する攪拌部材が容器内で自転しつつ公転することで、第1の攪拌羽根が被撹拌物を押す方向は公転円の円周方向に維持されることはなく、常に変化することとなる。また、第1の攪拌羽根が被撹拌物を押す速さは、公転円の円周方向に沿った一定の速さに維持されることはなく、常に変化することとなる。このような第1の攪拌羽根により被撹拌物が押される方向および速さの変化により、第1の攪拌羽根の回転方向前面に被撹拌物が溜まっても、溜まった被撹拌物は第1の攪拌羽根とともに供回りすることなくすぐに解れていくこととなる。
その結果、攪拌装置に投入された被撹拌物が少量であっても、第1の攪拌羽根との供回りを抑制しつつ、被撹拌物を攪拌することができる。
本発明の攪拌装置では、駆動機構は、攪拌部材が容器内で自転しつつ公転するように攪拌部材を駆動するものであればどのようなものでもよく、攪拌部材の自公転を行わせるための具体的な構成は問わない。
また、攪拌部材は、容器の底面に接触する自公転する第1の攪拌羽根を有するものであればどのようなものでもよく、第1の攪拌羽根の他に、第1の攪拌羽根よりも容器の上方の被攪拌物の攪拌を可能とする自公転する第2の攪拌羽根(スプレッド羽根)を含むものでもよい。さらに、本発明の攪拌装置は、自公転する攪拌部材(第1の攪拌羽根または第2の攪拌羽根)を構成する攪拌羽根以外に、容器の側壁内面に付着した被撹拌物を掻き落とす公転する第3の攪拌羽根(側壁スクレーパ)を有するものでもよい。
そこで、以下の実施形態の説明では、実施形態1では、第1の攪拌羽根のみを含む攪拌部材を備えた攪拌装置を挙げ、実施形態2では、実施形態1の第1の攪拌羽根に加えてその上方に配置された第2の攪拌羽根を含む攪拌部材を備えた攪拌装置を挙げ、実施形態3では、実施形態2の攪拌部材に加えて、容器の側壁内面に沿って公転する第3の攪拌羽根を備えた攪拌装置を挙げる。しかし、本発明はこれに限定されない。第1~第3攪拌羽根以外の攪拌羽根をさらに有していてもよい。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による攪拌装置100を説明するための一部破断斜視図、図2は、図1に示す攪拌装置100をA方向から見た構造を示す側面図である。
この実施形態1の攪拌装置100は、被撹拌物Mを撹拌する撹拌装置である。攪拌装置100は、被撹拌物Mを収容する容器(以下、攪拌容器ともいう。)1と、被撹拌物Mを撹拌するための攪拌部材100aと、攪拌部材100aが攪拌容器1内で自転しつつ公転するように攪拌部材100aを駆動する駆動機構100bと、駆動機構100bを装置筐体(図示せず)に対して支持する支持アーム100cとを備えている。
被撹拌物Mは任意の材料であり得る。例えば、固形物および粘着性材料を含むものであってもよいし、液体であってもよい。
ここで、攪拌部材100aは、攪拌容器1の底面に接触する第1の攪拌羽根(底面スクレーパ)110aと、第1の攪拌羽根110aを自転させる回転シャフト110cと、回転シャフト110cを駆動機構100bに接続するためのチャック部110dと、第1の攪拌羽根110aと回転シャフト110cとを接続する接続器110bとを有する。チャック部110dは回転シャフト110cと一体に形成され、回転シャフト110cの一端(上端)は、チャック部110dにより駆動機構100bに接続されている。チャック部110dは、駆動機構100bの自転シャフト10bに回転シャフト110cを着脱するための固定ネジ110d1を有する。なお、チャック部110dは、回転シャフト110cと一体に形成されたものに限定されない。チャック部110dは、駆動機構の構成部材(自転シャフト10b)の一端に形成され、回転シャフト110cを着脱可能に保持するものでもよい。チャック部110dは、回転シャフト110cと駆動機構100bとを接続可能なものであれば、特に限定されるものではない。回転シャフト110cの他端(下端)には、接続器110bが回転シャフト110cの回転軸を含む面内で回動可能となるように取り付けられている。接続器110bは回転シャフト110cに接続可能な形態であれば任意の形態であり得る。好ましい実施形態において、接続器110bは回転シャフト110cに対して着脱可能な態様であり得る。接続器110bを回転シャフト110cに対して着脱可能とすることにより、様々な種類の第1の攪拌羽根を選択することが可能となる。一つの実施形態において、接続器110bは、固定ピン111cにより回転シャフト110cに取り付けられており、回転シャフト110cに対して着脱可能となっている。具体的には、回転シャフト110cの下端には、固定ピン111cに嵌合するピン嵌合孔111が形成されており、接続器111dの上部には、固定ピン111cを挿入するためのピン挿入孔111dが形成されている(図3参照)。従って、回転シャフト110cのピン嵌合孔111と接続器111dのピン挿入孔111dとを位置合わせし、固定ピン111cがピン挿入孔111dに挿入された状態で固定ピン111cをピン嵌合孔111に嵌合させることにより、接続器110bが回転シャフト110cに対して着脱可能に取り付けられる。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、接続器110bと回転シャフト110cとを接続する部材は、磁石などであってもよい。
第1の攪拌羽根110aは接続器110bに固定されている。固定する手段は任意の手段であり得る。例えば、接着剤であってもよいし、図1に示すような固定ビス110a1および固定板110a2であってもよい。ここで、回転シャフト110cの回転軸は、第1の攪拌羽根110aの自転軸Yc(すなわち、攪拌部材100aの自転軸Yc)となっている。
第1の攪拌羽根110aは、第1の攪拌羽根110aの自転軸Ycの周方向に少なくとも1個配置されている。図1に示す実施形態において、第1の攪拌羽根110aは1つであるが、複数設けてもよい。第1の攪拌羽根110aを複数設ける場合は、好ましくは同じ形状のものが2枚設けられ、2枚の第1の攪拌羽根110aは、自転軸Ycの回転位相が180度ずれるように接続器110bに取り付けられる。ただし、これらの2枚の第1の攪拌羽根110aによる被撹拌物Mの供回りが起こることが予測される場合は、片方の第1の攪拌羽根110aを小さくすることにより攪拌効果を高めることもできる。しかし、本発明はこれに限定されない。求められる掻き揚げ作用、練り込み作用に応じて自転軸Ycの回転位相のずれの大きさを適宜調整し得る。
第1の攪拌羽根110aは攪拌を効果的に行うことが可能であれば任意の形状であり得る。1つの実施形態において、第1の攪拌羽根110aの自転方向側の表面は、攪拌容器1の底面に近づくに従い自転方向側に突出するように傾斜する面を有する。この場合、第1の攪拌羽根110aの自転により、被撹拌物Mの掻き上げが行われる。ここで、傾斜する面の底面に対する傾斜角度は、一つの実施形態において約45度である。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の攪拌羽根110aの自転方向側の表面は、攪拌容器1の底面に近づくに従い自転方向の後方側に後退するように傾斜する面を有していてもよい。この場合、第1の攪拌羽根110aの自転により被撹拌物Mの練り込みが行われる。さらに、第1の攪拌羽根110aは、その自転方向側の表面が攪拌容器1の底面に対して垂直な面を有していてもよい。このように第1の攪拌羽根110aの自転方向側の表面が攪拌容器1の底面に対してなす角度は、攪拌装置の用途に応じて適宜設定され得る。
また、第1の攪拌羽根110aの傾斜面はなだらかな直線状や曲線状であってもよいし、階段状であってもよい。
さらに、第1の攪拌羽根110aの形状は、特に限定されるものではないが、好ましい実施形態において、攪拌容器1の底面の形状に依存している。ここで、攪拌容器1の底面は、平面形状や種々の曲面形状を含むものであってよく、例えば、底面は、圧力容器の底面を構成する鏡板の形状と同様な形状を有していてもよい。一つの実施形態において、底面の形状は、例えば、10%鏡板、半楕円鏡板など、曲率半径が、鏡板の中央に位置する基部に比べて基部の外周に位置する外周部で小さくなる曲面形状を有する鏡板の形状であり得る。この場合、好ましい実施形態において、第1の攪拌羽根110aの形状は、攪拌容器1の底面の基部に適合した曲率半径を有する第1の部分と、攪拌容器1の底面の外周部に適合した曲率半径を有する第2の部分とを含む形状である。これにより、第1の攪拌羽根110aが攪拌容器1の底面の基部および外周部の両方に当接することとなり、被撹拌物Mを効率的に掻き取ることが可能となる。ここで、第1の攪拌羽根110aの第2の部分は、第1の攪拌羽根110aの先端部分であり、第1の攪拌羽根110aの第1の部分は、第1の攪拌羽根110aのうちの先端部分以外の部分である。さらに、第1の攪拌羽根110aは、その自転軸Ycから遠い端部での高さがそれ以外の部分での高さより高い形状を有する。これは、第1の攪拌羽根110aの周速の遅い部分で被撹拌物Mの滞留を抑えつつ、第1の攪拌羽根110aの周速の速い部分で被撹拌物Mの攪拌効果を高めるためである。
第1の攪拌羽根110aは、攪拌容器1の底面に接触する部材であり、攪拌容器1の底面よりも硬度が低い範囲内で任意の材料であり得る。好ましい実施形態において、テフロン(登録商標)などの低い摩擦係数の樹脂材料で形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。抗菌性や耐腐食性の高い材料などから形成されていてもよい。第1の攪拌羽根110aが取付られる接続器110bは、ステンレスなどの耐腐食性の高い金属材料で構成されている。また、被撹拌物Mに直接接触する攪拌容器1、回転シャフト110cなどの部材も、ステンレスなどの耐腐食性の高い金属材料で構成されている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、鉄材料の容器や接続器の表面に耐腐食性の高い金属材料や樹脂材料などを被覆したりしてもよい。
駆動機構100bは、攪拌部材100aを回転させるための回転機構10と、回転機構10を駆動する回転駆動部20とを有する。回転駆動部20は、回転機構10に伝達する回転力を発生する動力源であれば任意の形態でよく、例えば、モータである。回転機構10は、攪拌容器1の中心で回転する公転シャフト10aと、公転シャフト10aとともに回転する回転筐体10cと、回転筐体10cに回転可能に支持された自転シャフト10bとを有する。
ここで、公転シャフト10aの回転軸は、第1の攪拌羽根110aの公転軸Xc(すなわち、攪拌部材100aの公転軸Xc)となっている。公転シャフト10aには回転筐体10cが固定されている。回転筐体10cは、回転駆動部20からの回転力で公転シャフト10aが回転することにより回転し、自転シャフト10bは、回転駆動部20からの回転力を回転筐体10c内部の回転力伝達機構(図示せず)を介して受けて回転するように構成されている。
回転機構10では、自転軸および公転軸の回転速度および自転係数(すなわち、公転しながら自転する攪拌部材の回転軸が1公転する間に何回自転するかを示す値)は、被撹拌物Mに対する効率的な攪拌が行える範囲内で、被撹拌物Mの攪拌により得られる製品に合わせて設定され得る。なお、回転機構10は、自転軸の回転速度、公転軸の回転速度、自転係数を各自独立して調整可能に構成したものが好ましい。しかし、本発明はこれに限定されない。
図1に示す実施形態において、自転シャフト10bの回転方向と公転シャフト10aが回転方向とは逆向きであり、自転シャフト10bの回転軸(自転軸)Ycは、r回転軸となっている。ただし、自転シャフト10bの回転軸(自転軸)Ycは、公転シャフト10aの回転方向と同じ方向に回転するQ回転軸であってもよい。なお、r回転軸は、この回転軸に取り付けられた攪拌羽根の先端の軌跡が英文字「r」に似た形状(図4(b)参照)となることからr回転軸と呼ばれ、Q回転軸は、この回転軸に取り付けられた攪拌羽根の先端の軌跡が英文字「Q」に似た形状(図4(d)参照)となることからQ回転軸と呼ばれている。
さらに、この実施形態1の攪拌装置100の攪拌部材100aでは、回転シャフト110cがチャック部10dにより自転シャフト10bに保持され、さらに、第1の攪拌羽根110aが固定された接続器110bが固定ピン111cで回転シャフト110cに支持されているので、攪拌部材100aは、回転機構10に対して着脱可能であり、さらに、第1の攪拌羽根110aは回転シャフト110cに対して着脱可能である。
図3は、図1に示す攪拌装置100における攪拌部材100aの着脱を説明するための分解斜視図である。
自転シャフト10bに対する攪拌部材100aの固定はチャック部110dにより行うことができ、固定のための具体的な構成は、特に限定されるものではないが、ここでは、その一例として、回転シャフト10bの先端に形成された固定軸部10b1を、チャック部110d1の中央部分に形成された固定孔110d2に挿入して固定ねじ110d1により固定軸部10b1をチャック部110dに対して締め付けるものとする。
この場合、回転機構10に対する攪拌部材100aの着脱作業では、自転シャフト10bから攪拌部材100aを外す際には、まず、図3に示すようにチャック部110dの固定ねじ110d1を緩めて既設の攪拌部材100aを取り外す。その後、新たな攪拌部材100aに交換したり、あるいは、異なる構造の別の攪拌部材と交換したりすることが可能である。
さらに、この実施形態1の攪拌装置100では、接続器110bは、固定ピン111cで回転シャフト110cの先端に取り付けられているので、図3に示すように、固定ピン111cを回転シャフト110cのピン嵌合孔111から引き抜くことにより、第1の攪拌羽根110aだけを回転シャフト110cから取り外して交換することも可能である。
次に攪拌装置100の作用効果を説明する。
図4は、第1の攪拌羽根110aの動きを模式的に説明するための図であり、図4(a)、図4(c)はそれぞれ、自転シャフト10bの回転軸(転軸)Ycがr回転軸、Q回転軸である場合の第1の攪拌羽根110aの動きを示し、図4(b)、図4(d)はそれぞれ、自転シャフト10bの回転軸(自転軸)Ycがr回転軸、Q回転軸である場合の第1の攪拌羽根110aの先端Paの軌跡Tr、Tqを示す。なお、図4では、図1に示す公転シャフト10aおよび自転シャフト10bを上方から見たときの第1の攪拌羽根110aの動きを示す。
なお、以下の説明では、駆動手段100bは、図4(a)に示すように、公転シャフト10aの回転が右回転Xとなり、自転シャフト10bの回転が左回転Yとなるように公転シャフト10aおよび自転シャフト10bを回転させる場合を示す。
この攪拌装置100では、電源スイッチ(図示せず)の投入により回転駆動部20を駆動させると、図4(a)に示すように、公転シャフト10aがX方向に回転し、自転シャフト10bがY方向に回転する。このとき、自転シャフト10bは、その公転円TLc上を移動し、自転シャフト10bに一端(根元)が取り付けられた第1の攪拌羽根110aの他端(先端)Paは、図4(b)に示す軌跡Trを描く。この場合、第1の攪拌羽根110aの先端Paの速さは、攪拌容器1の内壁に近づくにつれて減少し、その容器内壁に最接近したときに最小となり、容器1の内壁から遠ざかるにつれて増大し、容器の側壁から最も遠い位置に来たとき最大となる。
なぜなら、第1の攪拌羽根110aの先端Paが攪拌容器1の内壁に最も近づいたときは、自転による移動方向と公転による移動方向とが反対方向となり、自転による左回転の周速から公転による右回転の周速が差し引かれ、一方、第1の攪拌羽根110aの先端Paが攪拌容器1の内壁から最も遠ざかったときは、自転による移動方向と公転による移動方向とが同じ方向となり、自転による左回転の周速に公転による右回転の周速が加算されるからである。
従って、実施形態1の攪拌装置100では、第1の攪拌羽根110aが接触する被撹拌物Mを押す速さは、第1の攪拌羽根110aが単に自転している場合、あるいは単に公転している場合のように、自転あるいは公転の円周方向に一定に維持されることはなく、第1の攪拌羽根110aが1回自転する間にも変化することとなる。
さらに、第1の攪拌羽根110aの先端Paの移動方向は、軌跡Trの接線方向となることから、図4(b)から分かるように、第1の攪拌羽根110aの先端Paが容器1の内壁に近づくにつれて、先端Paの移動方向が公転の半径方向に平行な方向から公転の半径方向に垂直な方向に急激に変化しており、第1の攪拌羽根110aが被撹拌物Mを押す方向が大きく変化している。
その結果、第1の攪拌羽根110aが被撹拌物を押す方向、さらに、第1の攪拌羽根110aが被撹拌物を押す速さの変化により、第1の攪拌羽根の回転方向前面に一時的に溜まった被撹拌物は供回りすることなく解れていくこととなる。
なお、駆動手段100bは、図4(c)に示すように、公転シャフト10aの回転が右回転Xとなり、自転シャフト10bの回転が右回転Xとなるように公転シャフト10aおよび自転シャフト10bを回転させてもよい。この場合、第1の攪拌羽根110aの先端Paは、図4(d)に示す軌跡Tqを描く。この場合、第1の攪拌羽根110aの先端Paの速さは、容器1の内壁に近づくにつれて増大し、容器の内壁に最接近したときに最大となり、容器1の内壁から遠ざかるにつれて減少し、容器の側壁から最も遠い位置に来たとき最小となる。
その理由は、第1の攪拌羽根110aの先端Paが攪拌容器1の内壁に最も近づいたときは、自転による右回転の周速に公転による右回転の周速が加算され、一方、第1の攪拌羽根110aの先端Paが攪拌容器1の内壁に最も遠ざかったときは、自転による右回転の周速から公転による右回転の周速が差し引かれるからである。
この場合も、公転シャフト10aと自転シャフト10bとを逆向きに回転させた場合と同様に、第1の攪拌羽根110aが被撹拌物を押す方向、さらに、第1の攪拌羽根110aが被撹拌物を押す速さの変化により、第1の攪拌羽根の回転方向前面に一時的に溜まった被撹拌物が供回りすることなく解れていくこととなる。
ただし、第1の攪拌羽根110aの先端Paが容器1の内壁に近づくときの、第1の攪拌羽根110aが被撹拌物を押す方向の変化は、公転シャフト10aと自転シャフト10bとを同じ向きに回転させた場合、公転シャフト10aと自転シャフト10bとを逆向きに回転させた場合と比べると緩やかである。
従って、公転シャフト10aの回転方向と自転シャフト10bの回転方向とを逆方向にするか同じ方向にするかは、被撹拌物の性質などに応じて適宜選択すればよい。
また、本実施形態1では、第1の攪拌羽根110aは、攪拌部材の自転シャフト10b(第1の攪拌羽根110aの自転軸)の周方向に1つのみ配置されているので、被撹拌物Mは、第1の攪拌羽根110aの周方向の一か所でのみ回転トルクを受けることとなり、第1の攪拌羽根110aの自転周方向で被撹拌物Mに働く回転モーメントが、自転周方向の広い範囲に及ぶのを回避でき、第1の攪拌羽根110aにより被撹拌物が回転させられることを抑制することができる。
さらに、第1の攪拌羽根110aが被撹拌物Mを押す自転方向側の表面は、容器1の底面に近づくに従い自転方向側に突出するように傾斜する面を有するので、第1の攪拌羽根110aの自転により被撹拌物Mは攪拌容器1の底面から持ち上げられることとなり、被撹拌物Mは、回転する第1の攪拌羽根110aを越えて、第1の攪拌羽根110aの後ろ側に移動する。このため、第1の攪拌羽根110aの回転方向前面に被撹拌物Mが溜まることを抑制することが可能となる。
さらに、第1の攪拌羽根110aは、攪拌部材100aの自転軸Ycから遠い端部の高さがそれ以外の部分の高さより高い形状を有するので、第1の攪拌羽根110aの自転方向側表面のうちの自転周速の遅い自転軸Ycに近い部分では、被撹拌物Mと接触する面積が狭く、第1の攪拌羽根110aの自転方向側表面のうちの自転周速の速い自転軸Yから遠い部分では、被撹拌物Mと接触する面積が広い。従って、このような形状を有する第1の攪拌羽根110aでは、周速の遅い部分で被撹拌物Mの滞留を抑えつつ、周速の速い部分で被撹拌物Mの攪拌効果を高めることができる。
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2による攪拌装置200を説明するための一部破断斜視図である。図6は、図5に示す攪拌装置200をA方向から見た構造を示す平面図である。
この実施形態2の攪拌装置200は、実施形態1の撹拌装置100における攪拌部材100aに代わる攪拌部材200aを備えたものであり、その他の構成は実施形態1におけるものと同一である。
ここで、攪拌部材200aは、実施形態1の攪拌部材100aにおいて、第1の攪拌羽根110aに加えて第2の攪拌羽根(スプレッド羽根)210aを備えたものである。
実施形態2の攪拌部材200aは、攪拌容器1の底面からの高さが第1の攪拌羽根110aより第2の攪拌羽根210aの方が高く、かつ、第1の攪拌羽根110aの自転軸Yc周りの回転と第2の攪拌羽根210aの自転軸Yc周りの回転との間に位相差が生ずるように構成されたものであれば、特に限定されるものではないが、以下では、攪拌部材200aの具体的な構成の一例を示す。
実施形態2の攪拌部材200aは、実施形態1の攪拌部材100aにおける回転シャフト110cに代えて、上側回転シャフト210cおよび下側回転シャフト210dを有する。さらに、実施形態2の攪拌部材200aは、実施形態1の攪拌部材100aの構成に加えて、第2の攪拌羽根210aと、第2の攪拌羽根210aを支持する羽根支持片210bとを有している。
ここで、チャック部110dは、上側回転シャフト210cと一体に形成され、上側回転シャフト210cの上端は、チャック部110dにより駆動機構100bに接続されている。ただし、チャック部110dは、上側回転シャフト210cと一体に形成されたものに限らず、駆動機構の構成部材(自転シャフト10b)の一端に形成され、上側回転シャフト210cを着脱可能に保持するものでもよい。チャック部110dは、上側回転シャフト210cと駆動機構100bとを接続可能なものであれば、特に限定されるものではない。上側回転シャフト210cの下端には羽根支持片210bの一端が固定されており、羽根支持片210bの他端には第2の攪拌羽根210aの上端が固定されている。第2の攪拌羽根210aの中間部には下側回転シャフト210dが、その回転軸が上側回転シャフト210cの回転軸と一致するように取り付けられている。さらに、下側回転シャフト210dの下端には、固定ピン111cに嵌合するピン嵌合孔211が形成されており(図7参照)、実施形態1の攪拌部材100aと同様に、接続器110bが下側回転シャフト210dの回転軸を含む面内で回動可能となるように取り付けられ、接続器110bには、第1の攪拌羽根110aが固定されている。ここで、接続器110bおよび第1の攪拌羽根110aは実施形態1の攪拌部材100aにおけるものと同一の構成を有する。
上側回転シャフト210cの回転軸および下側回転シャフト210dの回転軸はそれぞれ、駆動手段100bの自転シャフト10bの回転軸Ycと一致しており、第2の攪拌羽根210aの自転軸、および第1の攪拌羽根110aの自転軸となっている。
さらに、第2の攪拌羽根210aは、攪拌容器1の底面からの高さが第1の攪拌羽根110aよりも高い位置に配置されている。第1の攪拌羽根110aの自転軸Yc周りの回転と第2の攪拌羽根210aの自転軸Yc周りの回転とは、位相がずれるように、第1の攪拌羽根110aと第2の攪拌羽根210aとが位置決めされている。図5に示す実施形態においては、第1の攪拌羽根110aの自転軸Yc周りの回転位相は、第2の攪拌羽根210aの自転軸Yc周りの回転位相とは180度ずれている。しかし、本発明はこれに限定されない。すなわち、第1の攪拌羽根110aによる被撹拌物Mの攪拌効果が、攪拌容器1の底面の基部および外周部を中心として発揮され、第1の攪拌羽根110aより高い位置に設けられている第2の攪拌羽根210aによる被撹拌物Mの攪拌効果が、攪拌容器1の底面の外周部だけでなく攪拌容器1内の全体で発揮される範囲内で自転軸Yc周りでの第1の攪拌羽根110aと第2の攪拌羽根210aとの回転位相のずれは適宜調整され得る。第2の攪拌羽根210aは自公転運動において、好ましくは第2の攪拌羽根210aの外周側先端部が攪拌容器1の内壁に限りなく接近するように構成されている。そうすることにより、容器内壁面に付いている被撹拌物Mを攪拌する効果が発揮され得る。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、第2の攪拌羽根210aの外周側先端部が攪拌容器1の内壁に当接させてもよい。その場合には、第2の攪拌羽根210aの外周側先端部をテフロン(登録商標)などの低い摩擦係数の樹脂材料で形成もしくは被覆するのが好ましい。
さらに、第2の攪拌羽根210aの自転方向側の表面は、攪拌容器1の底面に近づくに従い自転方向側に突出するように傾斜する面を有する。この場合、第2の攪拌羽根210aの自転により、被撹拌物Mの掻き上げが行われる。ここで、傾斜する面の底面に対する傾斜角度は、一つの実施形態において約45度である。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、第2の攪拌羽根210aの自転方向側の表面は、攪拌容器1の底面に近づくに従い自転方向の後方側に後退するように傾斜する面を有していてもよい。この場合、第2の攪拌羽根210aの自転により被撹拌物Mの練り込みが行われる。さらに、第2の攪拌羽根210aは、その自転方向側の表面が攪拌容器1の底面に対して垂直になるように設けられる場合であってもよい。このように第2の攪拌羽根210aの自転方向側の表面が攪拌容器1の底面に対してなす角度は、攪拌装置の用途に応じて適宜設定され得る。また、第2の攪拌羽根210aの傾斜面はなだらかな直線状や曲線状であってもよいし、階段状であってもよい。
さらに、第2の攪拌羽根210aの外周縁は、櫛歯形状を有していてもよい。櫛歯形状にすることにより被攪拌部材が液体状物の場合に特に効率よく攪拌することが可能となる。
ここで、被撹拌物Mに直接接触する第2の攪拌羽根210a、上側回転シャフト210c、下側回転シャフト210dなどの部材も、ステンレスなどの耐腐食性の高い金属材料で構成されている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、鉄材料の容器の表面に耐腐食性の高い金属材料や樹脂材料を被覆したりしてもよい。
さらに、この実施形態2の攪拌装置200の攪拌部材200aでは、上側回転シャフト210cがチャック部10dにより自転シャフト10bに保持され、さらに、第1の攪拌羽根110aが固定された接続器110bが固定ピン111cで下側回転シャフト210dに支持されているので、攪拌部材200aは、回転機構10に対して着脱可能であり、さらに、第1の攪拌羽根110aは下側回転シャフト210dに対して着脱可能である。
図7は、図5に示す攪拌装置200における攪拌部材200aの着脱を、第1の攪拌羽根110aの着脱とともに説明するための分解斜視図である。
この実施形態2の攪拌装置200においても、自転シャフト10bに対する攪拌部材200aの固定は、チャック部110dにより行うことができ、固定のための具体的な構成は、特に限定されるものではないが、実施形態1の攪拌装置100におけるものと同様とする。
この場合、回転機構10に対する攪拌部材200aの着脱作業では、図7に示すようにチャック部110dの固定ねじ110d1を緩めて既設の攪拌部材200aを取り外す。その後、新たな攪拌部材200aに交換したり、あるいは、異なる構造の別の攪拌部材と交換したりすることが可能である。
さらに、この実施形態2の攪拌装置200では、接続器110bは、固定ピン111cで下側回転シャフト210dの先端に取り付けられているので、図7に示すように、固定ピン111cを下側回転シャフト210dのピン嵌合孔211から引き抜くことにより、第2の攪拌羽根210aを駆動手段100bの自転シャフト10bに取り付けたままで、第1の攪拌羽根110aだけを自転シャフト10bから取り外すことも可能である。
次に攪拌装置200の動作を説明する。
この実施形態2の攪拌装置200では、電源スイッチの投入により回転駆動部20を駆動させると、実施形態1の攪拌装置100と同様、公転シャフト10aが右回転し、自転シャフト10bが左回転する。自転シャフト10bの左回転により、上側回転シャフト210cおよび下側回転シャフト210dがそれぞれ左回転しながら逆の回転方向に公転する。
これにより、この実施形態2では、第1の攪拌羽根110aは実施形態1と同様に自転しながら公転することとなる。さらに、この実施形態2では、第1の攪拌羽根110aとは自転シャフト10bの回転軸(自転軸)Ycを挟んで反対側に取り付けられている第2の攪拌羽根210aが、第1の攪拌羽根110aから180度の位相差でもって自転しながら公転することとなる。
位相差が存在する場合、攪拌部材200aの第1、第2の2つの攪拌羽根による攪拌は、離れた領域でそれぞれ行われるため、効率的に攪拌することが可能となる。特に、第2の攪拌羽根210aの自公転の位相と第1の攪拌羽根110aの自公転の位相との位相差が180度である場合は、攪拌部材200aの第1、第2の2つの攪拌羽根による攪拌される領域を最も離すことができ、より効率的な攪拌を行うことが可能となる。
その結果、容器内の高さの低い領域と容器内での高さの高い領域との間では、攪拌羽根の公転面内でより離れた位置に存在する被撹拌物M同士が混ざり合うこととなり、容器の高さ方向での被撹拌物Mの攪拌をより広い範囲に渡って均等に行うことができる。
(実施形態3)
図8は、本発明の実施形態3による攪拌装置300を説明するための一部破断斜視図であり、図8(a)は攪拌装置300の全体を示し、図8(b)および図8(c)は攪拌装置300における固定器具311および固定具313を示す。図9は、図8(a)に示す攪拌装置300をA方向から見た構造を示す側面図である。
この実施形態3の攪拌装置300は、実施形態2の撹拌装置200における攪拌部材200aに加えて、被撹拌物Mを攪拌するための第3の攪拌羽根(側壁スクレーパ)300aを備え、実施形態2の駆動機構100bに代えて、攪拌部材200aおよび第3の攪拌羽根300aを駆動する駆動機構300bを備えたものである。
ここで、駆動機構300bは、第3の攪拌羽根300aが容器1の側壁内面1aに沿って移動するように第3の攪拌羽根300aを駆動するものであれば特に限定されるものではないが、以下では、駆動機構300bの具体的な構成の一例を示す。
駆動機構300bは、実施形態2の駆動機構100bの構成に加えて、第3の攪拌羽根300aが容器1の側壁内面1aに沿って移動可能となるように第3の攪拌羽根300aを支持する支持機構30を備え、攪拌部材200aを実施形態2の駆動機構100bと同様に駆動するとともに、第3の攪拌羽根300aが側壁内面1aに沿って移動するように第3の攪拌羽根300aを駆動するものである。実施形態3の攪拌装置300におけるその他の構成は実施形態2におけるものと同一である。
第3の攪拌羽根300aも特に限定されるものではないが、ここでは、第3の攪拌羽根300aは、羽根体310aと、羽根体310aの土台となる羽根ホルダ310bと、羽根ホルダ310bを支持するL字型の支持フレーム310cとを有する。羽根体310aは、攪拌容器1の側壁内面1aに線接触する部分であり、テフロン(登録商標)などの低い摩擦係数の樹脂材料で形成されている。ただし、本発明はこれに限定されない。羽根体310aは、抗菌性や耐腐食性の高い材料などから形成されていてもよい。
第3の攪拌羽根300aは、側壁に付着などしている被攪拌物をはぎ取ることが出来る範囲で任意の形状であり得る。第3の攪拌羽根300aの回転方向は攪拌部材(第1の攪拌羽根および第2の攪拌羽根)の公転方向と同じ方向であってもよいし、反対方向であってもよい。
羽根ホルダ310bおよびL型フレーム310cは、ステンレスなどの耐腐食性の高い金属材料で構成されている。ただし、本発明はこれに限定されない。例えば、羽根ホルダ310bおよびL型フレーム310cは、鉄材料の基材の表面に耐腐食性の高い金属材料や樹脂材料を被覆したりしてもよい。
L型フレーム310cは、縦片311cと、縦片311cにつながる横片312cとを有し、横片312cの先端には第3の攪拌羽根300aの羽根ホルダ310bが接合されている。
支持機構30は、回転筐体10cに取り付けられた固定器具311と、固定器具311に固定ねじ311a2により固定される棒状フレーム312と、棒状フレーム312の先端に取り付けられた固定具313とを有する。
ここで、固定器具311は、図8(b)に示すように、固定ねじ(図示せず)を通す孔311b1が形成されている上板部311bを有し、固定器具311は、回転筐体10cの底面に形成されている取付基部11に固定ねじ(図示せず)により固定されている。さらに、固定器具311の本体部311aには、棒状フレーム312を挿入するための挿入孔311a1が形成され、棒状フレーム312を挿入孔311a1に挿入した状態で、固定ねじ311a2を締め付けることにより、棒状フレーム312が固定器具311に固定されるようになっている。従って、固定器具311と、固定器具311の挿入孔311a1に挿入される棒状フレーム312との相対位置を調整することにより、第3の攪拌羽根300aと攪拌容器1の側壁内面1aとの距離、あるいは第3の攪拌羽根300aが攪拌容器1の側壁内面1aに接する強さを調整することができる。
また、固定具313は、図8(c)に示すように円筒形状を有し、固定具313の内部には、L型フレーム310cを挿入するためのフレーム挿入部313bが形成されている。固定具313の側面には、内部に挿入されたL型フレーム310cを固定ねじ313aで絞め込むための絞込み間隙313cが形成されている。固定具313では、フレーム挿入部313bに挿入されたL型フレーム310cの横片312cと棒状フレーム312とがなす角度を調整することにより、第3の攪拌羽根300aの羽根体310aが攪拌容器1の側壁内面1aとなす角度を調整することができる。
この実施形態3の攪拌装置300においても、攪拌部材200aは、回転機構10に対して着脱可能であり、さらに、第1の攪拌羽根110aは下側回転シャフト210dに対して着脱可能である。さらに、攪拌装置300では、第3の攪拌羽根300aを支持する支持機構30は、複数の部材を固定ねじ311a2、313aを用いて組み立てたものであることから、第3の攪拌部材300aも公転シャフト10aに対して着脱可能である。
図10は、図8(a)に示す攪拌装置300における第3の攪拌部材300aの着脱の様子を、第1の攪拌羽根110aおよび第2の攪拌羽根210aの着脱の様子とともに説明するための分解斜視図である。
回転機構10に対する攪拌部材200aの着脱作業については、実施形態2で説明したとおりであり、チャック部10dによる自転シャフト10bに対する攪拌部材200aの固定あるいは固定解除により行うことができる。さらに、下側回転シャフト210dに対する接続器110bの固定および固定解除を固定ピン111cにより行うことで、実施形態2と同様に、第2の攪拌羽根210aを駆動手段100bの自転シャフト10bに取り付けたままで、第1の攪拌羽根110aだけを自転シャフト10bから取り外すことも可能である。
さらに、この実施形態3では、固定具313にL型フレーム310cを固定したり、固定具313からL型フレーム310cを取り外したりすることにより、回転筐体10c、すなわち、公転シャフト10aに対する第3の攪拌羽根300aの着脱を行うことができる。
次に攪拌装置300の動作を説明する。
この実施形態3の攪拌装置300では、電源スイッチの投入により回転駆動部20を駆動させると、実施形態2の攪拌装置200と同様、公転シャフト10aが右回転し、自転シャフト10bが左回転する。
この実施形態3では、実施形態2と同様に、自転シャフト10bに取り付けられている第1の攪拌羽根110aおよび第2の攪拌羽根210aが180度の位相差でもって自転軸Ycの周りを回転することとなる。
さらに、この実施形態3では、公転シャフト10aの回転により回転筐体10cが回転することにより、第3の攪拌羽根300aが攪拌容器1の側壁内面1aに沿って移動することとなり、側壁内面1aに付着している被撹拌物Mを攪拌容器1の底面上に掻き落とすことができる。
このように実施形態3では、多量の被撹拌物Mを攪拌容器1に投入した場合には、第1の攪拌羽根110aによる攪拌作用に加えて、第2の攪拌羽根210aによる攪拌作用が働くだけでなく、攪拌部材200aによる攪拌により攪拌容器1の側壁内面1aに飛び散った被撹拌物Mを、攪拌容器1のうちの攪拌部材200aにより攪拌が行われる領域に戻すことができる。そのため、被撹拌物Mの攪拌を効果的に行いつつ、被撹拌物Mが攪拌されないで側壁内面1aに残るのを抑制することができる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。