以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
まず、本実施の形態の前提となる関連技術として、電子機器301に搭載され、3D表示又は2D表示を行う機能と、ランドスケープ表示又はポートレート表示を行う機能とを備えた表示装置310について説明する。
まず図1、図2を用いて、3D表示について説明する。図1、図2に、3D表示を簡易的に説明する図を示す。図1、図2では、3D表示を行っている表示装置310の表示画面の一部領域を模式的に抜き出した様子を図示してある。なお、図1の下側に電子機器301の概略図を併せて示す。図1ではこの領域の正面図を、図2ではこの領域を表示面内において見た断面図を示す。
電子機器301は、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話等であるが、これらに限定されるものではなく、表示装置310を搭載した電子機器であればよい。以下では電子機器301がスマートフォンであるものとして説明する。
表示装置310は、例えば液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置である。以下では表示装置310が液晶ディスプレイ装置であるものとして説明する。表示装置310は、例えば長方形の表示面を有し、この表示面に画像を表示する。なお、以下の説明では、表示装置310が表示面を有する側を正面側とし、反対側を背面側とする。ここで、この表示面の一辺方向を第1方向xとし、第1方向xと交差する他辺方向を第2方向yとする。具体的には、図1の下側に示すように、表示面の長辺方向を第1方向xとし、短辺方向を第2方向yとする。また、図1に示すように、電子機器301が第2方向yを上下方向として配置された状態を横置きとする。また、図1とは異なり、電子機器301が第1方向xを上下方向として配置された状態を縦置きとする(図9B参照)。
表示装置310は、第1方向x及び第2方向yに沿って複数の3D画素を有する表示パネル311を備える。ここで、右眼用視点画像と左眼用視点画像を形成するサブ画素グループであり、サブ画素グループ1つでは白表示可能でないとき、3D画素として定義する。なお、前記サブ画素グループ1つで白表示可能なときは、画素と定義する。具体的には図1に示すように、複数のサブ画素を含む各3D画素が、第1方向x及び第2方向yに沿って配列している。図1では、表示パネル311がRGB(R:Red、G:Green、B:blue)の3原色表示を行うものとして、各原色に係るサブ画素が配列した様子を図示している。なお、図1では説明の便宜上、各サブ画素に対し、第1方向xについては記号H1~H6により、第2方向yについては記号V1、V2により列番号を付してある。図1では、第1方向xにおいて2列(H1とH2、H3とH4、又はH5とH6)、第2方向yにおいて1列(V1又はV2)の2×1のサブ画素により各3D画素が構成されている。すなわち、図1では3×6の3D画素が図示されている。図1では、表示パネル311は第1方向xに沿ってR、G、Bの順で各原色のサブ画素が交互に並んでおり、第2方向yに沿って並ぶ全てのサブ画素はR、G、Bのいずれかで共通となっている。図1では、1個の3D画素では任意色表示を行えないが、複数の3D画素を合わせて画像処理を行うことで、任意色を表示可能である。
3D表示を行う場合、表示パネル311は、第1方向x又は第2方向yに沿って各視点用の視差画像を表示する。図1に示す例では、表示パネル311は、第1方向xに沿って右眼用及び左眼用の各視差画像を交互に表示する。例えば図1に示すように、表示パネル311は第1方向xに沿って、サブ画素1列分の配列ピッチで右眼用画像(ハッチングを付したサブ画素に表示する画像)と左眼用画像(ハッチングを付していないサブ画素に表示する画像)とを交互に表示する。
表示装置310は、表示パネル311に表示される各視点用の視差画像を、観察者の各視点に向けて振り分ける光学素子を備える。この光学素子は、例えば液晶レンズである。なお、光学素子としては、液晶レンズの他にも、例えば、エレクトロウェッティング、光学部品の可動、透明収縮体への気体/液体の充填/放出等で、各視点用の視差画像を、観察者の各視点に向けて振り分ける機能を有していればよい。以下の説明では、この光学素子が、表示パネル311における視差画像の表示向きに合わせて動的に光線分離方向を切り替え可能な液晶レンズ(図1、図2では不図示)であるものとして説明する。液晶レンズは、表示パネル311の正面に配置され、対向する2枚の電極基板の間に液晶層が封入された構成を有する。基板間に印加される電圧に応じて液晶層の液晶分子が配向し、液晶レンズは疑似的な光学レンズとして機能する。なお、表示装置310は、2D表示を行う場合、液晶レンズがオン、オフ切替可能なときは、液晶レンズをオフとする。
表示装置310は液晶レンズを駆動して、液晶レンズに係る液晶層内部に、正面側に向かって凸となるレンズ状の屈折率分布、すなわち図1において破線で示す分離領域3124を形成する。図1に示すように、分離領域3124は一組の右眼用画像及び左眼用画像の表示幅とほぼ同一の幅で形成され、第2方向yに沿って延在するように形成される。液晶レンズは分離領域3124を、第1方向xに沿って複数形成することで、図1、図2に示すように、第2方向yを延在方向とする複数のシリンドリカルレンズが第1方向xに沿って並ぶレンチキュラレンズ状の屈折率分布を形成する。図2において矢印で示すように、分離領域3124は、表示パネル311から出射して液晶レンズに入射した光を、第1方向xに沿って位置する2視点に振り分ける。観察者の右眼及び左眼が第1方向xに沿って位置する場合、右眼用画像及び左眼用画像に係る出射光はそれぞれ、観察者の右眼及び左眼に入射する。これにより、観察者は表示画像を立体的に認識する。
しかしながら、図1、図2で示した構成では、各分離領域3124の境界部分で表示特性が悪化する虞がある。すなわち、図2で示すように、分離領域3124の境界部分では、液晶レンズにおける液晶分子の配向乱れ等が原因となって、表示パネル11から出射された光が散乱しやすい。そのため、この部分では表示特性が悪化しやすい。
この問題点を解消するため、各分離領域3124の境界部分にブラックマトリクス等の遮光部材を設ける場合がある。図3、図4に、遮光部材313を設けた場合の構成例を示す。図3において太線で示すように、例えば遮光部材313は細長い矩形状の部材であり、表示パネル311と液晶レンズとの間に設けられる。具体的には、各分離領域3124の境界を覆うように、第2方向yに沿って複数の遮光部材313がストライプ状に設けられる。これにより、図4に示すように、境界部分に入射する表示パネル311からの出射光は遮光されるため、上記の問題を解消することができる。
しかしながら、図3、図4のように遮光部材313を設けた場合、本願の発明者は、以下のような課題があることを見出した。図5、6に、関連技術の課題を説明する図を示す。
図5では、表示装置310が3D表示を行う場合に、表示画面の中央部分と、図5において表示画面の左右両端の部分とを抜き出して図示する。図5の上側には、図4等と同じく、表示画面の中央及び左右両端の領域を表示画面内から見た断面図を図示してある。
実際の表示装置310の設計を考慮した場合、各3D画素の境界と遮光部材313との間には、位置の相違がある。図3、図4では各3D画素の境界上に遮光部材313が位置するものとして図示したが、実際の表示装置310では、立体画像の最適視認位置(一般的には表示パネル311の中央から延びる法線上の視点位置)に出射光を集めるため、分離領域3124の形成幅は各3D画素の配列ピッチより僅かに短く設計される。これに伴い、各分離領域3124の境界部分に設けられる遮光部材313も、各3D画素の配列ピッチより僅かに短く設計される。従って、図5に示すように、表示パネル11中央では各3D画素の境界と遮光部材313との位置ずれはないものの、表示パネル11端部では各3D画素の境界と遮光部材313との位置ずれが大きくなる。
上記の位置ずれに起因して、表示装置310が2D表示を行う場合、色モアレが発生する虞がある。図6に、表示装置310が液晶レンズを駆動せず、2D表示を行う様子を概念的に図示する。なお、図6では説明の便宜上、図5とは異なり、各表示領域を正面から見た図を上側に図示してある。
図5の上側中央に示すように、表示装置310は2D表示を行う場合に液晶レンズをオフにして、分離領域3124を形成しない。また、表示装置310は右眼用及び左眼用の視差画像を第1方向xに沿って交互に表示することなく、第1方向xに沿って一様に平面画像を表示する。
遮光部材313が設けられているため、表示パネル311の各3D画素から出射される光は、一部が遮光部材313によって遮られる。例えば表示パネル311中央では、図6に示すように、R、G、Bの各原色のサブ画素は、遮光部材313によって一部が隠されている。これにより、輝度の低下を招く。
一方で、表示パネル311中央では各3D画素の境界と遮光部材313との位置ずれはないため、遮光部材313に隠される3D画素部分は、R、G、Bの各原色について均一となる。従って、表示パネル311中央では色モアレが発生しない。
しかし、表示パネル311端部では、各3D画素の境界と遮光部材313との位置ずれが大きくなる。これにより、図6に示すように、遮光部材313に隠されないサブ画素が周期的に現れる。従って、R、G、Bの各原色の輝度に偏りが生じ、色モアレが生じる虞がある。
図7は、各原色のサブ画素の配列方向を入れ替えた説明図である。図7では図5から、R、G、Bの各原色のサブ画素が配列する方向を入れ替えた図を図示してある。図5ではR、G、Bの各原色のサブ画素が第1方向xに沿って交互に並んでいたが、図7では第2方向yに沿って交互に並んでいる。
図7の例では、第2方向yに沿ってR、G、Bの各原色のサブ画素が交互に並んでおり、かつ、第2方向yに沿って遮光部材313が延在している。従って、R、G、Bの各原色について遮光部材313に隠される部分は均一となり、色モアレを発生しにくくすることができる。
しかしながら、第2方向yに延在する遮光部材313が視差バリアとして機能する。これにより、平面画像が立体的に認識される程ではないものの、僅かながら第1方向xにかけて光線分離作用が働く。この光線分離作用によって、表示パネル311からある程度離れた視認距離において、遮光部材313が拡大されて見える現象が発生する。色モアレと区別するため、以下の説明ではこの現象を「3Dモアレ」と称する。
また、第1方向xにおける光線分離作用によって、視角によっては視認しづらい画素が生じる。従って、視角によって解像度が異なる。
図8は、3D表示を行う場合、図示していないが分離領域3124の延在方向を変更した場合の説明図である。図8A、図8Bではそれぞれ、図5及び図7から分離領域3124の延在方向を傾けた場合である。具体的には、分離領域3124の延在方向を、僅かな角度を設けて第2方向yと異ならせている。分離領域3124の延在方向に合わせて、遮光部材313の延在方向も僅かな角度を設けて第2方向yと異ならせており、分離領域3124の境界部分に入射する表示パネル311からの出射光は遮光される。このように遮光部材313を傾けることで、表示パネル311全体で見た場合、遮光部材313はR、G、Bの各原色のサブ画素を均一に覆い隠し、色モアレの発生が防止される。
しかしながら、図8に示す構成の場合、遮光部材313によって、遮光部材313の延在方向に対して垂直な方向に光線分離作用が働く。従って、上述の3Dモアレが発生する虞がある。また、図7の場合と同じく、光線分離作用が働くことで視角によっては視認しづらい画素が生じ、解像度が異なる事態が発生する。
このように、3D表示用の遮光部材313を設けることで、2D表示を行う場合に輝度の低下を招くほか、色モアレ、3Dモアレ等が生じる虞がある。
次に、上述の3D表示又は2D表示の切り替えに加えて、ランドスケープ表示又はポートレート表示の切り替えを行う場合と、その課題とについて説明する。図9は、ランドスケープ表示又はポートレート表示を説明する図である。図9Aでは、表示装置10を横置きにしてランドスケープ表示を行う場合を図示している。図9Bでは、表示装置10を縦置きにしてポートレート表示を行う場合を図示している。
なお、図9では図1~7とは異なり、表示パネル311がR、G、BにW(White)を加えた4原色表示を行う場合を図示している。図9では、第1方向xにおいて4列、第2方向yにおいて4列の4×4のサブ画素により各画素が構成されている。すなわち、図9では2×2の画素が図示されている。なお、図1では説明の便宜上、各サブ画素について、第1方向xについては記号H1~H4、第2方向yについては記号V1~V4により列番号を付してある。
なお、図9では、第1方向x及び第2方向yに沿って隣り合うサブ画素は、原色が異なるように色補償された配置となっている。x方向及びy方向の双方において隣り合うサブ画素を異なる原色とすることで、各画素における表示ムラを軽減することができる。
表示装置310は、自装置の姿勢に応じて、ランドスケープ表示及びポートレート表示のいずれかに表示形式を切り替える。具体的には、表示装置310は、横置き又は縦置きのいずれの配置状態であるかに応じて、画像を横向き又は縦向きに表示する。例えば図9Aの下側に示す配置状態では、表示装置310はランドスケープ表示を行う。図9Bの下側に示す配置状態では、表示装置310はポートレート表示を行う。
まず、ランドスケープ形式で3D表示を行う場合を説明する。この場合、表示装置310は液晶レンズを駆動して分離領域3124を形成する。ここで表示装置310は、ランドスケープ表示に合わせて、液晶レンズの状態を、表示パネル311の各画素からの出射光を第1方向xに振り分ける第1振分状態とする。これにより、各視差画像に係る出射光は第1方向xに沿う2視点に振り分けられる。具体的には、表示装置310は図1~6と同様に分離領域3124の形成幅は、一組の右眼用画像及び左眼用画像の表示幅とほぼ同一の幅で形成され、第2方向yに沿って延在する第1分離領域3124aを形成する。
ポートレート表示を行う場合、表示装置310は、各画素からの出射光を第2方向yに振り分ける第2振分状態に切り替える。具体的には図9Bに示すように、表示装置310は、液晶レンズが形成する第1分離領域3124aの延在方向を第1方向xに切り替え、レンチキュラレンズ状の屈折率分布に相当する複数の第2分離領域3124bを第2方向yに沿って形成する。これにより、各視差画像に係る出射光は第2方向yに沿う2視点に振り分けられる。
なお、以下の説明では便宜上、第1分離領域3124a及び第2分離領域3124bを総じて分離領域3124と呼ぶ。
図9に示すランドスケープ表示とポートレート表示とを切り替える場合でも、分離領域3124の境界部分における液晶分子の配向乱れ等が原因となり、表示パネル311からの出射光が散乱して表示特性が悪化しやすい。そこで、上述の遮光部材313が分離領域3124の境界に設けられる場合がある。
ここで、表示装置310が表示パネル311の表示状態に合わせて液晶レンズの振分状態を切り替えるため、第1分離領域3124aの境界と、第2分離領域3124bの境界とを覆うように、第1方向x及び第2方向yの双方に沿って格子状の遮光部材313が設けられる。これにより、ランドスケープ表示及びポートレート表示のいずれの場合でも、境界部分に入射する表示パネル311からの出射光は遮光される。
しかし、図9のように遮光部材313を設けた場合、本願の発明者は、以下のような課題があることを見出した。図10に、関連技術の課題を説明する図を示す。図10では、表示装置310が液晶レンズを駆動せず、2D表示を行う様子を概念的に示している。
まず、図10Aに示すランドスケープ形式で表示する場合の例を説明する。すなわち、表示パネル311は第2方向yを上下方向として設置している。図10Aに示す状態では、表示装置310は液晶レンズを駆動していないため、本来、各画素からの出射光は分離されない。しかしながら、図7等で説明したように、第2方向yに延在する遮光部材313が視差バリアとして機能し、第1方向xにかけて光線分離作用が働く。これにより、第1方向xのH1、H2、H3、H4の各列に並ぶ1×4のサブ画素の集合の輝度、色度は、V1、V2、V3、V4に位置する各サブ画素の積分値で認識される。例えばH1列において図中上下方向に並ぶ4つのサブ画素の集合を考えた場合、このサブ画素の集合の輝度、色度は、V1、V2、V3、V4のそれぞれに位置する各サブ画素R、B、W、Gの積分値により認識される。ここで、遮光部材313は第1方向xに延在する部分も有するため、各画素において図中上下端に位置するV1、V4のサブ画素は一部覆い隠される。従って、例えば、表示装置310で白表示する場合、画素内の出射光の輝度、色度に係る第2の方向yの積分値は、第1の方向xに並ぶ列毎で白にならず各々異なる。
上記の例の場合、H1列のV1、V4に係るサブ画素R、Gは遮光部材313の第1方向xに延在する部分により一部覆い隠されるため、1×4のサブ画素の集合全体では、R、Gについては輝度が低くなり、B、WについてはR、Gに比べ相対的に輝度が高くなる。同様に、H2列では、V1、V4に係るサブ画素G、Bが一部覆い隠されるため、1×4のサブ画素の集合全体では、G、Bについては輝度が低くなり、W、RについてはG、Bに比べ相対的に輝度が高くなる。H3列では、V1、V4に係るサブ画素B、Wが一部覆い隠されるため、1×4のサブ画素の集合全体では、B、Wについては輝度が低くなり、R、GについてはB、Wに比べ相対的に輝度が高くなる。H4列では、V1、V4に係るサブ画素W、Rが一部覆い隠されるため、1×4のサブ画素の集合全体では、W、Rについては輝度が低くなり、G、BについてはW、Rに比べ相対的に輝度が高くなる。このように、列ごとに色のバランスが異なるので、第1方向x及び第2方向yの双方に沿って遮光部材313を設けた場合、表示色のムラ、すなわち色モアレが発生する虞がある。すなわち、表示装置310で白表示しているにもかかわらず、観察者には表示が色づいて見える虞がある。
上記では、画素内の第1方向xに並ぶ列毎の輝度、色度について考察したが、画素内の第2方向yにならぶ行毎の輝度、色度についても同様のことが起こり、色モアレが発生する虞がある。この説明を便宜上、図10Bに示すポートレート形式で説明する。表示パネル311は第1方向xを上下方向として設置している。ランドスケープ表示と同様に、第1方向xに延在する遮光部材313が視差バリアとして機能する。これにより、平面画像が立体的に認識される程ではないものの、僅かながら第2方向yにかけて光線分離作用が働く。これにより、第2方向yのV1、V2、V3、V4の各列に並ぶ1×4のサブ画素の集合の輝度、色度は、H1、H2、H3、H4に位置する各サブ画素の積分値で認識される。例えばV1列において図中左右方向に並ぶ4つのサブ画素の集合を考えた場合、このサブ画素の集合の輝度、色度は、H1、H2、H3、H4のそれぞれに位置する各サブ画素R、G、B、Wの積分値により認識される。ここで、遮光部材313は第2方向yに延在する部分も有するため、各画素において図中左右端に位置するH1、H4のサブ画素は一部覆い隠される。上記の例の場合、H1、H4に係るサブ画素R、Wは一部覆い隠されるため、1×4のサブ画素の集合全体では、R、Wについては輝度が低くなり、G、BについてはR、Wに比べ相対的に輝度が高くなる。このように、列ごとに色のバランスが異なるので、第1方向x及び第2方向yの双方に沿って遮光部材313を設けた場合、表示色のムラ、すなわち色モアレが発生する虞がある。
以上説明したように、ランドスケープ形式やポートレート形式の表示に関わらず、遮光部材313を設けた場合、色モアレ等が発生する虞がある。また、ランドスケープ形式及びポートレート形式の双方に対応可能なように遮光部材313を設けた場合、これに起因して色モアレ等が発生する虞もある。そこで以下の実施の形態では、これらの課題を解決するため、2D表示時に遮光領域の形成を停止する遮光部を備えた表示装置について説明する。さらに、この表示装置に、ランドスケープ形式やポートレート形式の表示機能と、遮光領域の延在方向を切替可能な機能とを備えた表示装置について説明する。
(実施の形態1)
以下で本実施の形態に係る表示装置10について説明する。本実施の形態に係る表示装置10は、表示パネル11からの出射光の一部を遮光するストライプ状の遮光領域136(図16の第1遮光領域136a、第2遮光領域136b参照)を形成する遮光部13(図14参照)を備え、画像の表示向きの切り替えに合わせて遮光領域136の延在方向を第1方向x又は第2方向yに動的に切り替える。この切り替えにより、色モアレの発生を防止する。
図11は、表示装置10を有する電子機器1の斜視図である。図11Aは電子機器1が横置きの状態を、図11Bに電子機器1が縦置きの状態をそれぞれ示す。電子機器1は、関連技術に係る電子機器301と同様に、例えばスマートフォン等の電子機器である。表示装置10は、電子機器1に搭載された液晶ディスプレイ等の表示装置であり、3D表示及び2D表示を行う。また、表示装置10は、図11A、Bにそれぞれ示すように、電子機器1の配置状態に応じてランドスケープ表示及びポートレート表示を切り替える。すなわち表示装置10は、図11Aに示す横置き状態ではランドスケープ表示を、図11Bに示す縦置き状態ではポートレート表示を行う。
図12は、表示装置10の構成例を示すブロック図である。表示装置10は、電子機器1に搭載される3D表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ装置である。表示装置10は、制御部21、記憶部22、画像信号源23、姿勢検出部24、振分駆動回路25、遮光駆動回路26、受付部27、表示パネル11、振分部12、遮光部13を含む。
制御部21はCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を含み、表示装置10に係る画像表示処理の制御を行う表示コントローラである。記憶部22はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP又はデータ等を記憶している。また、記憶部22は、制御部21が処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。画像信号源23は、図示しない画像処理回路を含み、制御部21が画像を表示パネル11に表示させるための画像信号を生成して制御部21に与える。画像信号源23は、例えば電子機器1が備える通信アンテナ(図示せず)に接続されており、外部から入力される画像信号を処理して制御部21に与える。
振分駆動回路25は、制御部21からの指令に従って振分部12を駆動する駆動回路である。例えば振分部12が液晶レンズである場合、振分駆動回路25は液晶レンズの駆動電極に交流電圧を印加し、液晶層にレンチキュラレンズ状の屈折率分布を形成させる。
遮光駆動回路26は、後述する遮光部13を駆動するための駆動回路であり、制御部21からの指令に従って遮光部13を駆動する。
姿勢検出部24は、表示装置10の姿勢を検出する。例えば姿勢検出部24は、表示パネル11の傾きを検出するジャイロセンサであり、検出値を制御部21に与える。
受付部27は、観察者による操作入力を受け付けるための入力インターフェイスであり、例えばタッチパネル、押下式のボタン等である。受付部27は、受け付けた操作内容を制御部21に与える。
制御部21は、プログラムPを読み出して実行することにより、以下のように機能する。判定部214は、姿勢検出部24が表示装置10の姿勢を検出した検出結果に基づき、表示装置10が横置き又は縦置きのいずれの配置状態であるかを判定する。表示制御部211は、表示パネル11の表示状態を、視差画像を表示する第1表示状態(3D表示)、又は平面画像を表示する第2表示状態(2D表示)に切り替える処理を行う。また、表示制御部211は、判定部214から判定結果を取得し、判定結果に応じたランドスケープ又はポートレートのいずれかの表示形式で表示パネル11に平面画像又は視差画像を表示させる。振分制御部212は、3D表示を行う場合、判定部214による判定結果に応じて振分駆動回路25を制御し、振分部12の状態を第1振分状態又は第2振分状態に切り替える。遮光制御部213は、表示制御部211が3D表示を行う場合、判定部214による判定結果に応じて遮光駆動回路26を制御し、振分部12の状態に合わせて、後述する遮光領域136を遮光部13に形成させる。なお、制御部21を回路構成としてもよい。
図13は、表示装置10の構成例を示す部分断面図である。なお、図13では、図11AのXIII-XIII線を切断線とした表示装置10の断面図を示す。本実施の形態に係る表示装置10は、表示パネル11、振分部12、遮光部13を備える。
表示パネル11は液晶パネルであり、隙間を隔てて対向する2枚の透明基板112、113と、透明基板112、113の対向面間に封入された液晶層111と、透明基板112正面及び透明基板113背面にそれぞれ積層された偏光板114、115を備える。表示パネル11は、表示画像に応じて液晶層111の液晶分子を配向させ、背面側にあるバックライト光源(不図示)からの入射光を正面側に透過させることで、画像表示を行う。例えば表示パネル11はTN(Twisted Nematic)方式の液晶パネルであり、偏光板114、115の透過軸は互いに直交している。
振分部12は、光線分離方向を切替可能な電気光学素子であり、例えば液晶レンズである。図13に示すように、振分部12は、対向する2枚の透明基板122、123と、透明基板122、123の間に封入された液晶層121とを有する。透明基板122、123の対向面上には駆動電極(不図示)が配置されており、外部の電圧源から駆動電極に電圧が印加されることで、液晶層121の液晶分子が配向する。これにより、振分部12は、第2方向y又は第1方向xを延在方向とするレンチキュラレンズ状の屈折率分布を形成し、表示パネル11からの出射光を第1方向x又は第2方向yに沿って振り分ける。
遮光部13は、表示パネル11及び振分部12の間に配置されている。遮光部13は、3D表示が行われる場合に表示パネル11からの出射光の一部を遮光する光学素子であり、例えば液晶バリアである。以下の説明では、遮光部13が液晶バリアであるものとして説明する。なお、表示パネル11と遮光部13との間には偏光板14が介在し、偏光板14と偏光板114との透過軸は互いに直交する。
図14は、遮光部13の構成例を示す部分断面図である。図15は、電極134、135の配置構成を示す説明図である。なお、図14では図13と同様に、第2方向yに直交する断面図を示す。遮光部13は、2枚の透明基板132、133、液晶層131、電極134、135を備える。透明基板132、133は隙間を隔てて互いに対向している。液晶層131は、透明基板132、133の対向面間に封入されている。また、電極134、135はそれぞれ、透明基板132、133の対向面上に配置されている。電極134は第2方向yに沿って表示パネル11の短辺全長にわたって延在し、第1方向xに沿ってストライプ状に複数配置されている。電極135は、第1方向xに沿って表示パネル11の長辺全長にわたって延在し、第2方向yに沿ってストライプ状に複数配置されている。図15に示すように、電極134、135は正面視において互いに直交する。
電極134、135に対して電圧が印加されることで、液晶層131の液晶分子の一部が配向し、表示パネル11から遮光部13に入射する光の一部が遮光される。例えばランドスケープ形式で3D表示が行われる場合を考える。この場合、電極134に電圧が印加される。具体的には、第1方向xに沿って配列した複数の電極134の中の一部の電極134に対して選択的に電圧が印加される。例えば図14において、符号136aで示す領域(後述の遮光領域)に位置する電極134に対して、選択的に電圧が印加される。なお、電圧を印可しない電極134、電極135は0Vとする。電極134に電圧が印加された場合、電圧が印加された電極134近傍において液晶層131の液晶分子は図14中の縦方向に配向する。これにより、表示パネル11から透明基板132を通過して液晶層121に入射する光は、液晶分子が正面方向に配向した部分において偏光状態は変わらず、そのまま透明基板132を通過して正面側に出射される。この場合、遮光部13の正面に位置する偏光板14と、背面に位置する偏光板114との透過軸は互いに直交するため、遮光部13を透過した光は偏光板14により遮られる。すなわち遮光部13は、電極134に電圧が印加されることで、図14に示す第1遮光領域136aを形成し、表示パネル11からの出射光の一部を遮光する。複数の電極134に対して選択的に電圧が印加されることで、図14に示すように、複数の第1遮光領域136aが第1方向xに沿って配列する形で形成される。電極134は第2方向yに沿って延在することから、各第1遮光領域136aは、第2方向yに沿って延在する。これにより、全体として遮光部13には、複数の第1遮光領域136aがストライプ状に形成される。
ポートレート形式で3D表示を行う場合に、背面側に配置された電極134ではなく、正面側に配置された電極135に電圧が印加される。電圧を印可しない電極135、電極134は0Vとする。これにより、液晶層131には第1方向xに沿って延在する第2遮光領域136bが形成される(図16B参照)。このように、表示装置10は電極134、135のいずれの電極に電圧を印加するかを選択することで、第1遮光領域136a又は第2遮光領域136bを形成する。なお、以下では説明の便宜上、第1遮光領域136a及び第2遮光領域136bのいずれか又は両者を遮光領域136と記す。
図16、図17に、本実施の形態に係る3D表示を簡易的に説明する図を示す。図16、図17では図9等と同様に、表示パネル11が4×4のサブ画素を画素単位として4原色表示を行う場合を概念的に示す。例えばランドスケープ形式である場合、図16A、図17Aに示すように、表示パネル11は第1方向xにおいてサブ画素2列分で各視差画像を交互に表示する。また、振分部12は第1方向xにおいてサブ画素4列分の形成幅で第1分離領域124aを形成し、各視差画像に係る出射光を各視点に振り分ける。ポートレート形式で3D表示を行う場合、図16B、図17Bに示すように、表示パネル11は第2方向yに沿ってサブ画素2列分のピッチで各視差画像を交互に表示する。また、振分部12は第2方向yに沿ってサブ画素4列分の形成幅で第2分離領域124bを形成する。
また、遮光部13は、第1方向x又は第2方向yに沿って延在する複数の遮光領域136を形成する。例えばランドスケープ形式である場合、図16Aに示すように、遮光部13は各分離領域124の境界部分において表示パネル11からの出射光を遮光するように、第1方向xにおいてサブ画素4列分のピッチで配列し、第2方向yに沿って延在する複数の第1遮光領域136aを形成する。遮光部13は、各第1分離領域124aの境界部分に面する位置に、第2方向yに沿って延在する第1遮光領域136aを形成する。これにより、分離領域124の境界部分は覆い隠される一方、第1方向xに沿って延在する遮光領域は形成されない。すなわち、各画素において図中の上下端部に位置するサブ画素の一部が覆い隠されることはない。従って、例えば、白表示をする場合、H1~H4の各列に並ぶV1、V2、V3、V4の各サブ画素から出射される出射光の輝度、色度に係る積分値は、H1~H4の列毎にほぼ同じ色度の白となる。つまり、画素内の出射光の輝度、色度に係る第2方向yの積分値は、第1方向xに並ぶ列毎にほぼ同じ色度の白となり、色モアレの発生をより効果的に抑止することができる。
ポートレート形式で3D表示を行う場合、図16B、図17Bに示すように、遮光部13は遮光領域136の延在方向を第1方向xに切り替える。具体的には、遮光部13は第2方向yにおいてサブ画素4列分のピッチで配列し、第1方向xに沿って延在する複数の第2遮光領域136bを形成する。これにより、画像の表示向きの切り替えに合わせて遮光領域136の延在方向も切り替えられ、分離領域124の境界部分に入射する表示パネル11からの出射光を好適に遮光することができる。
また、2D表示を行う場合、表示装置10は振分部12及び遮光部13を停止し、表示パネル11に平面画像を表示する。具体的には図18、図19に示すように、ランドスケープ及びポートレートに係る画像の表示向きの切り替えのみが表示パネル11において行われ、振分部12及び遮光部13は分離領域124及び遮光領域136を形成しない。これにより、振分部12及び遮光部13は表示パネル11からの出射光をそのまま正面に向かって透過する。このように、表示装置10は2D表示(第2表示状態)において振分部12による出射光の振り分けを停止すると共に、遮光領域136の形成を停止することで、図5等で説明した色モアレ、3Dモアレ等の問題を回避することができる。
上記のように、表示装置10は3D表示時に画像の表示向きの切り替えに合わせて分離領域124及び遮光領域136の延在方向を切り替えると共に、2D表示時は分離領域124及び遮光領域136の形成を停止する。これにより、色モアレ等の発生を抑止する。
次に、図20、図21を用いて視差画像の表示パターンの他の例について説明する。図20、図21に、図16、図17で示した表示パターンとは異なる視差画像の表示パターンの一例を示す。図20では図1と同様に、各視差画像はサブ画素2列分ではなく、サブ画素1列分のピッチで交互に表示されている。この場合、振分部12はサブ画素2列分の形成幅で各分離領域124を形成する。そして、表示装置10には遮光部材313に代えて遮光部13が設けられ、遮光部13はサブ画素2列分のピッチで各遮光領域136を形成する。遮光領域136は、表示装置10の配置状態に応じて第2方向y又は第1方向xのいずれかのみに延在するため、表示パネル11からの出射光を分離領域126の境界部分のみで好適に遮光することができる。
上記のように、サブ画素における各視差画像の表示パターンを図16、図17で示した表示パターンから変更した場合であっても、振分部12は、各視差画像に係る出射光を各視点に振り分けることができる。また、遮光部13は、振分部12に係る各分離領域124の境界部分における光の散乱を防止すると共に、色モアレ等の発生を抑止することができる。
図22は、3原色に係るサブ画素の配列パターンの一例を示す説明図である。上記で表示パネル11はRGBWの4原色により画像を表示することとしたが、本実施の形態はこれに限定されず、例えばRGBの3原色により表示を行ってもよい。この場合、例えば図22Aに示すようにRGBの各サブ画素が配列している。具体的には、各画素は2×6のサブ画素からなり、隣接する奇数列、偶数列のサブ画素の2列、例えばH1、H2列を1単位とした場合、この一単位毎(すなわち2列毎)に第1方向xに沿って配列している。なお、図22の例では、4原色の場合と同じく、第1方向x及び第2方向yに沿って隣り合うサブ画素は異なる原色となるように色補償されている。
例えば表示パネル11は、サブ画素1列分のピッチで各視差画像を表示する。また、振分部12は、サブ画素2列分の形成幅で各分離領域124を形成する。また、遮光部13は、サブ画素2列分の配列ピッチで各遮光領域136を形成する。図22に示す構成、すなわち3原色の場合であっても、各画素において任意色を表示可能である。また、図16で説明したように、分離領域124の境界部分は覆い隠される一方、図22Aでは第1方向xまた図22Bでは第2方向yに沿って延在する遮光領域136は形成されない。そのため、上記と同様に、例えば、白表示をする場合、図22Aでは画素内の出射光の輝度、色度に係る第2の方向yの積分値は、第1の方向xに並ぶ列毎でほぼ同じ色度の白となり、色モアレの発生を抑止することができる。例えば、白表示をする場合、図22Bでは、画素内の出射光の輝度、色度に係る第1方向xの積分値は、第2方向yに並ぶ列毎でほぼ同じ色度の白となり、色モアレの発生を抑止することができる。
図23に、3原色に係るサブ画素の配列パターンの他の例を示す。サブ画素の配列パターンとしては上記した実施の形態の配列パターンに限定されることはなく、様々な配列パターンを採用することができる。例えば、図23では、図22と異なり、隣り合うサブ画素が異なる原色となるように色補償されていないサブ画素の配列パターンを示す。具体的には、第2方向yにおいて同一の原色のサブ画素が一列に並んだ構成となっている。例えば、図23Aでは1個の3D画素を2×1のサブ画素とする。すなわち、H1・H2列のV1(またはV2)、H3・H4列のV1(V2)、H5・H6列のV1(V2)を1個の3D画素とする。図23Bでは1画素は2×3のサブ画素とする。すなわち、V1・V2列のH1・H2・H3(又はH4・H5・H6)を1画素とする。図23Aの場合、1個の3D画素では任意色表示を行えないが、複数の3D画素を合わせて画像処理を行うことで、任意色を表示可能である。また、図16で説明したように、図23Bでは分離領域124の境界部分は覆い隠される一方、第2方向yに沿って延在する遮光領域は形成されない。そのため、例えば、白表示をする場合、上記と同様に、画素内の出射光の輝度、色度に係る第1の方向xの積分値は、第2の方向yに並ぶ列毎でほぼ同じ色度の白となり、色モアレ等の発生を抑止することができる。
図24は、制御部21が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図24に基づいて、制御部21が実行する画像処理の内容について説明する。
制御部21は、受付部27を介して、視差画像を表示する第1表示状態とするか、又は平面画像を表示する第2表示状態とするかについて設定入力を受け付ける(ステップS11)。すなわち制御部21は、3D表示又は2D表示のいずれを行うかについて設定入力を受け付ける。制御部21は、ステップS11で受け付けた設定入力に基づき、3D表示を行うか否かを判定する(ステップS12)。3D表示を行うと判定した場合(S12:YES)、制御部21は、自装置の姿勢を検出した検出結果を姿勢検出部24から取得する(ステップS13)。具体的に制御部21は、表示パネル11の傾きに関する検出値を取得する。制御部21は、ステップS13で取得した検出結果に基づき、自装置が横置きであるか否かを判定する(ステップS14)。
横置きであると判定した場合(S14:YES)、制御部21は、表示パネル11の表示状態を第1表示状態とし、複数の視点に対応する各視点用の視差画像を第1方向xに沿って交互に表示する(ステップS15)。つまり制御部21は、ランドスケープ形式で視差画像を表示する。
さらに制御部21は、振分部12の状態を、各画素からの出射光を第1方向xに沿う複数の視点に振り分ける第1振分状態に切り替える(ステップS16)。具体的に制御部21は、振分駆動回路25を制御して振分部12を駆動し、第2方向yに沿って延在する第1分離領域124aを、第1方向xに沿ってアレイ状に複数形成させる。これにより、液晶層121の液晶分子が配向し、第2方向yを延在方向とする複数のシリンドリカルレンズが第1方向xに沿って並ぶレンチキュラレンズ状の屈折率分布が形成される。
さらに制御部21は、遮光部13に、第2方向yに沿って延在し、各画素からの出射光の一部を遮光する第1遮光領域136aを第1方向xに沿って複数形成させる(ステップS17)。具体的に制御部21は、遮光駆動回路26を制御し、ストライプ状に並置された複数の電極134のうち、振分部12の各分離領域124の境界部分に位置する一部の電極134に対して選択的に電圧を印加させる。これにより、液晶層131の液晶分子の一部が配向し、振分部12に係る各分離領域124の形成幅とほぼ同一のピッチで配列し、各分離領域124の境界部分を覆う複数の第1遮光領域136aが形成される。制御部21は、処理をステップS24に移行する。
横置きでないと判定した場合(S14:NO)、制御部21は、表示パネル11の表示状態を第1表示状態とし、各視差画像を第2方向yに沿って交互に表示する(ステップS18)。つまり制御部21は、ポートレート形式で視差画像を表示する。制御部21は振分部12を、第2方向yに沿う複数の視点に出射光を振り分ける第2振分状態に切り替える(ステップS19)。具体的に制御部21は、第1方向xに沿って延在する複数の第2分離領域124bを振分部12に形成させる。制御部21は遮光部13に、第1方向xに沿って延在し、各画素からの出射光の一部を遮光する第2遮光領域136bを第2方向yに沿って複数形成させる(ステップS20)。制御部21は、処理をステップS24に移行する。
3D表示を行わないと判定した場合(S12:NO)、制御部21は、表示パネル11の表示状態を第2表示状態とし、2D表示用の平面画像を表示パネル11に表示する(ステップS21)。制御部21は、振分部12による分離領域124の形成を停止する(ステップS22)。制御部21は、遮光部13による遮光領域136の形成を停止する(ステップS23)。
ステップS17、S20、又はS23の処理を実行した後、制御部21は、画像表示処理を終了するか否かを判定する(ステップS24)。例えば制御部21は、受付部27を介して終了指示に係る操作入力を受け付けたか否かを判定する。終了しないと判定した場合(S24:NO)、制御部21は処理をステップS11に戻す。終了すると判定した場合(S24:YES)、制御部21は一連の処理を終了する。
なお、上記では第1方向x及び第2方向yが互いに直交する場合を例に取って説明を行ったが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。図25に、表示装置10の構成の他の例を示す。例えば図25に示すように、表示パネル11は矩形状ではなく、斜方形状に構成されていてもよい。この場合であっても、各画素の配置構成に合わせて分離領域124及び遮光領域136の形状を変更することで、3D表示を行うことができる。すなわち本実施の形態に係る表示装置10は、第1方向x及び第2方向yが非直交関係にある場合であっても適用することができる。
なお、本実施の形態1の表示装置10は、ランドスケープ表示及びポートレート表示を切り替え可能な機能と遮光領域の延在方向を切替可能な機能とを備えていたが、この2つの機能を備えていなくてもよい。この2つの機能を備えていない場合、例えば、姿勢検出部24、判定部214は不要になり、表示制御部211は、ランドスケープ又はポートレートのいずれかの表示形式で表示パネル11に平面画像又は視差画像を表示させる処理を実行しない。さらに、遮光部13は、遮光領域136の延在方向の切り替え処理も実行しない。
また、本実施の形態1の表示装置10は、ランドスケープ形式やポートレート形式の表示機能と、遮光領域の延在方向を切替可能な機能とを備えるが、2D表示(第2表示状態)において振分部12による出射光の振り分けを停止する機能を備えていなくても良い。
以上より、本実施の形態1によれば、表示装置10は、3D表示時(第1表示状態)においては振分部12及び遮光部13を駆動して出射光の振り分け及び遮光領域136の形成を行うと共に、2D表示時(第2表示状態)においては振分部12及び遮光部を駆動せず、出射光の振り分け及び遮光領域136の形成を停止する。これにより、上述の色モアレ、3Dモアレ等の問題を回避し、良好な表示特性を得ることができる。
また、本実施の形態1によれば、表示装置10がランドスケープ表示及びポートレート表示を切り替え可能に構成される場合でも、画像の表示向きに応じて遮光領域136の延在方向を切り替えるため、色モアレ等の発生を抑止しつつ3D表示を適切に行うことができる。
また、本実施の形態1によれば、各分離領域124の境界部分に遮光領域136が形成されるため、適切に色モアレ等の発生を抑止することができる。
また、本実施の形態1によれば、遮光領域136が延在する第1方向x又は第2方向yに沿って一列に並ぶ複数のサブ画素は、配色の異なるサブ画素の数が各画素内で等しい。従って、例えば、白表示をする場合、画素内の出射光の輝度、色度に係る遮光領域136の延在方向における積分値は、遮光領域136の垂直方向に並ぶ列毎でほぼ同じ色度の白となる。上記のように各サブ画素の配色を設定することで、色モアレの発生を効果的に抑止することができる。
また、本実施の形態1によれば、図23とは異なり、図16、図20、図22のように隣り合うサブ画素の配色が異なるように色補償している。この色補償により、ポートレート形式の表示とランドスケープ形式の表示の両表示で色モアレの発生を効果的に抑止することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では2視点を例示して説明したが2視点に限定されず2視点よりも多い多視点に対しても実施の形態1の遮光制御を適用できる。本実施の形態では、表示装置10が2視点よりも多い多視点に対して画像表示を行う形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態について説明する前に、多視点への画像表示に関する関連技術と、その課題とについて説明する。図26は、多視点に対する画像表示を説明する図である。図26A、図26Bではそれぞれ、実施の形態1と同じく2視点に対して画像表示を行う場合と、実施の形態1と異なり8視点に対して画像表示を行う場合とを図示してある。
図26Aに示す2視点への画像表示の場合、2つのサブ画素を1画素として3D表示を行っており、第1方向xに沿って各サブ画素に左眼用画像及び右眼用画像がそれぞれ交互に表示されている。また、図26Aでは、表示パネル311における視差画像の表示パターンに合わせて、サブ画素2列分の形成幅を有する分離領域3124が形成されている。
一方で、図26Bに示す8視点への画像表示の場合、8つのサブ画素を1画素として3D表示を行っており、8つの視点それぞれに向けた画像が第1方向xに沿って各サブ画素に表示されている。すなわち、表示パネル311は、第1方向xに沿って第1の視点用の画像、第2の視点用の画像、第3の視点用の画像、第4の視点用の画像…という形で、各視点用の画像に各サブ画素に交互に表示している。また、表示装置310は、表示パネル311での表示に合わせて、第1方向xにおいてサブ画素8列分の幅を有する分離領域3124を液晶レンズに形成する。これにより、図26Bに示すように、各視点用の画像が8視点それぞれに振り分けられる。
このように、表示装置310は視点数に応じた画像を表示パネル311に表示し、当該視点数に合わせて、分離領域3124の形成幅を変更する。これにより、2視点のみならず多視点への3D表示も行うことができる。
しかしながら、いずれかの視点数に合わせて遮光部材313を設けた場合、視点数を変更すると、出射光の利用効率の低下、又は出射光の散乱を招く虞がある。図27は、関連技術の課題を説明する図である。図27A~Cでは、2視点に合わせてサブ画素2列分のピッチで遮光部材313を設けた場合を図示している。図27D~Fでは、8視点に合わせてサブ画素8列分のピッチで遮光部材313を設けた場合を図示している。また、図27A及びDは2視点への画像表示を行う場合を、図27B及びEは4視点への画像表示を行う場合を、図27C及びFでは8視点への画像表示を行う場合を、それぞれ図示している。
図27A~Cに示すように、2視点に合わせてサブ画素2列分のピッチで遮光部材313を設けた場合、図27Aでは各分離領域3124の境界を好適に遮光できているが、図27B及び図27Cでは、分離領域3124の境界とは無関係な部分の出射光も遮光されることになる。従って、表示パネル311からの出射光の利用効率の低下を招く。
また、図27D~Fに示すように、8視点に合わせてサブ画素2列分のピッチで遮光部材313を設けた場合、図27Fでは各分離領域3124の境界を好適に遮光できているが、図27D及び図27Eでは、遮光領域313によって遮光されない分離領域3124の境界が存在する。従って、表示パネル311からの出射光が散乱し、表示特性が悪化する虞がある。
そこで本実施の形態では、遮光部材313に代えて遮光部13を利用し、視点数に応じて遮光領域136の配列ピッチを動的に制御することで、上記の問題を解決する。
図28、図29は、4視点に対する画像表示を簡易的に説明する図である。なお、図28、図29では、4×4のサブ画素により各画素が構成されている。図28、図29に示す構成では、表示パネル11はサブ画素1列分のピッチで、各視点用の画像を表示する。例えばランドスケープ形式の場合、図28A、図29Aに示すように、表示パネル11は第1方向xに沿って第1の視点用の画像、第2の視点用の画像、第3の視点用の画像、第4の視点用の画像を交互に表示する。例えば、第1の視点用の画像はH1列、第2の視点用の画像はH2列、第3の視点用の画像はH3列、第4の視点用の画像はH4列で表示する。
振分部12及び遮光部13は、この視点数に応じて分離領域124及び遮光領域136を形成する。例えばランドスケープ形式で表示を行う場合、図28Aに示すように、振分部12は、サブ画素4列分の形成幅で、第2方向yを延在方向とする複数の分離領域124を形成する。また、遮光部13は、サブ画素4列分の配列ピッチで、第2方向yを延在方向とする複数の遮光領域136を各分離領域124の境界部分に形成する。上記構成により、図29Aに示すように、各画素に表示される各視差画像の出射光は、4視点に振り分けられる。これにより、例えば2人の観察者が別々の立体画像を視認できるなど、多視点に対する別々の画像表示が可能となる。
また、実施の形態1と同じく、表示装置10は自装置の姿勢に応じて表示向きの切り替えを行う。すなわち、横置き状態から縦置き状態となった場合、図28B、図29Bに示すように、表示パネル11における表示形式はランドスケープ形式からポートレート形式に切り替えられ、表示パネル11は第2方向yに沿って各視差画像を交互に表示する。この場合、振分部12及び遮光部13は、分離領域124及び遮光領域136の延在方向を第2方向yから第1方向xに切り替える。
図30、図31、図32に、多視点に対する画像表示を行う場合の説明図を示す。図30では6視点、図31では8視点、図32では12視点に対して画像表示を行う場合の構成例を図示している。図30では、6×4のサブ画素により各画素が構成される。図31では、8×8のサブ画素により各画素が構成される。なお、図31において、例えば8×4のサブ画素を画素単位としてもよい。図32では、12×12のサブ画素により各画素が構成される。なお、図32において、12×4のサブ画素を画素単位としてもよい。
図30~図32に示す構成においても、表示パネル11はサブ画素1列分のピッチで各視点用の画像を表示する。また、振分部12は、視点数に応じて分離領域124の形成幅を調整する。例えば6視点表示を行う場合、振分部12はサブ画素6列分を形成幅として各分離領域124を形成する。8視点、12視点の場合も同様である。また、遮光部13は、視点数に応じて遮光領域136の配列ピッチを調整する。例えば6視点表示を行う場合、遮光部13は、サブ画素6列分の配列ピッチで遮光領域136を形成する。
表示装置10は、視点数の変更に応じて上述の如く振分部12及び遮光部13を駆動し、分離領域124の形成幅と、遮光領域136の形成位置とを変更する。図33は、制御部21が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図33に基づき、表示装置10が行う処理内容について説明する。
3D表示を行うと判定した場合(S12:YES)、例えば表示装置10の制御部21は、受付部27を介して視点数の設定入力を受け付ける(ステップS201)。制御部21は処理をステップS13に移行する。
自装置が横置きであると判定した場合(S14:YES)、制御部21は、ステップS201で設定された視点数に応じて、各視点用の視差画像を第1方向xに沿って交互に表示する(ステップS202)。すなわち制御部21は、図28等に示したように、各視点用の画像を第1方向xに沿って順に表示する。制御部21は、振分部12の状態を第1振分状態に切り替え、第1方向xにおいて視点数に応じた幅を有する第1分離領域124aを振分部12に形成させる(ステップS203)。このように、制御部21は、第1分離領域124aの第1方向xにおける幅を視点数に応じて変更する。制御部21は遮光部13を駆動し、変更後の第1分離領域124aの幅に対応して、第1分離領域124aそれぞれの境界に第1遮光領域136aを形成する(ステップS204)。
自装置が横置きでないと判定した場合(S14:NO)、制御部21は、ステップS201で設定された視点数に応じて、各視点用の視差画像を第2方向yに沿って交互に表示する(ステップS205)。制御部21は、振分部12の状態を第2振分状態に切り替え、第2方向yにおいて視点数に応じた幅を有する第2分離領域124bを振分部12に形成させる(ステップS206)。すなわち制御部21は、第2分離領域124bの第2方向yにおける幅を視点数に応じて変更する。制御部21は遮光部13を駆動し、変更後の第2分離領域124bの幅に対応して、第2分離領域124bそれぞれの境界に第2遮光領域136bを形成する(ステップS207)。
なお、上記では4原色表示の場合について説明したが、実施の形態1において図22、図23等を用いて説明したように、3原色により画像表示を行ってもよいことは勿論である。
以上より、図16で説明したように、分離領域124の境界部分は覆い隠される一方、本実施の形態2の図28A、図29A~32Aでは第1方向xまた図28B、図29B~32Bでは第2方向yに沿って延在する遮光領域は形成されない。そのため、上記と同様に、表示装置10は2視点より多い多視点に対して画像表示を行う場合であっても、色モアレ等の発生を抑止することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、観察者の位置に応じて3D表示を行う形態について述べる。
図34は、表示装置10の構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係る表示装置10は、位置検出部28を備える。位置検出部28は、例えば電子機器1の正面空間を撮像するカメラ等を含み、画像認識処理により撮像画像から観察者の眼の位置を認識し、認識結果を制御部21に与える。
図35は、実施の形態3に係る3D表示処理の概要について説明する図である。裸眼方式の3D表示方法では、一般的に、観察者が視差画像を観察する上で最適な位置が予め設定されている。例えば図35Aに示すように、最適な観察位置は、表示パネル11の中央正面に設定される。ここで、図35Bに示すように、この位置から観察者の視点位置がずれた場合、例えば観察者の右眼に右眼用画像ではなく左眼用画像の出射光が入射するなどの事態が生じ、視差画像が適切に認識されない虞がある。本実施の形態では、観察者の位置に応じて各視差画像の分離方向を制御することで、観察位置が最適位置からずれた場合でも視差画像が適切に認識されるようにする。
本実施の形態では、例えば、光線分離方向の切替時間を短くするため、振分部12を使用せず、遮光部13により光線分離を行う表示装置について説明する。すなわち、表示装置10は遮光部13をアクティブパララックスバリアとして機能させる。
図36は、実施の形態3に係る3D表示を簡易的に説明する図である。図36Aはランドスケープ形式の場合を、図36Bはポートレート形式の場合をそれぞれ図示している。なお、図36では、4×4のサブ画素を画素単位として2視点表示を行う場合を図示している。
本実施の形態において振分部12は、各画素からの出射光の振り分けを行わない第3状態に切り替えられる。すなわち、振分部12は駆動されず、停止状態となる。従って、振分部12は分離領域124を形成せず、背面側から入射した光をそのまま正面に向かって透過する。
遮光部13は、実施の形態1に係る遮光領域136と比較して幅広の遮光領域136を形成し、正面視において各画素の一部を覆い隠す。具体的に遮光部13は、延在方向と異なる第1方向x又は第2方向yにおける遮光領域136の形成幅を変更する。例えば図36Aに示すランドスケープ形式の場合、遮光部13は、第1方向xにおいてサブ画素2列分の形成幅で第1遮光領域136aを形成する。すなわち遮光部13は、各画素の約2分の1の幅で第1遮光領域136aを形成する。これにより、第1方向xにおいて各画素は半分覆われた状態になり、半分が露出した状態になる。つまり、各遮光領域136の間にはスリットが形成される。ポートレート形式で3D表示を行う場合、図36Bに示すように、遮光部13は、第2方向yにおける形成幅をサブ画素2列分に変更して、第2遮光領域136bを形成する。
図37に、観察者の視点位置に応じて遮光領域136の形成位置を切り替える様子を示す。なお、図37ではランドスケープ形式の場合のみを図示している。上述の如く、遮光部13は各遮光領域136の形成幅を変更することで、各遮光領域136の間にスリットを形成する。これにより、図37Aに示すように、右眼用画像及び左眼用画像をそれぞれ表示する各サブ画素からの出射光は、各遮光領域136の間のスリットを通して2方向に振り分けられる。このように、表示装置10は遮光部13をアクティブパララックスバリアとして機能させ、光線分離を行う。
さらに遮光部13は、観察者の位置に応じて遮光領域136の形成位置を変更する。具体的には図37A、Bに示すように、遮光部13は、各画素に対する遮光領域136の相対的な形成位置を変更する。図37A、Bに示す構成では、双方とも第1方向xにおける遮光領域136の形成幅は1画素の約2分の1である。しかし、図37A、Bでは、遮光領域136の形成位置が異なる。具体的には、図37Bの遮光領域136は、図37Aと比較して、第1方向xにおける形成位置が図中右寄りの位置に変更されている。これにより、図37Bに示すように、各視差画像に係る出射光の分離方向は、図37Aと比較して右寄りに変更される。制御部21は、観察者の視点が右寄りに位置すると判定した場合、図37Bのように遮光領域136の形成位置を変更させる。このように、制御部21は観察者の位置に合わせて、遮光部13による各視差画像の光線分離方向を制御する。
図38は、実施の形態3に係る4視点表示について説明する図である。なお、図38ではランドスケープ形式の場合を図示している。また、図38Aでは観察者が表示パネル11の中央正面に位置する場合を、図38Bでは図38Aよりも観察者が図中右寄りに位置する場合をそれぞれ図示している。ランドスケープ形式で4視点表示を行う場合、実施の形態1と同様に、表示パネル11は4パターンの各視差画像を第1方向xに沿って交互に表示する。この場合に、遮光部13は上記と同じく、観察者の位置に応じて遮光領域136の形成幅及び形成位置を変更する。例えば図38に示すように、遮光部13は各画素の配列ピッチの2分の1の幅で遮光領域136を形成する。なお、図37及び図38では、2視点の場合も4視点の場合も各遮光領域136の形成幅が同一であるが、視点数に応じて異なる形成幅としてもよい。また、図38A、Bに示すように、遮光部13は観察者の位置に応じて遮光領域136の形成位置を変更する。このように、表示装置10は多視点の場合であっても観察者の位置に応じた3D表示が可能である。
図39は、実施の形態3に係る制御部21が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。姿勢検出部24により自装置の姿勢を検出する処理を実行した後で(ステップS13)、表示装置10の制御部21は以下の処理を実行する。 制御部21は、観察者の位置に応じて3D表示を行うか否かを判定する(ステップS301)。例えば制御部21は、ステップS11に係る操作受付時に、併せて動的に表示制御を行うか否かの設定入力を受け付ける。制御部21は、この設定内容に応じて判定を行う。観察者の位置に応じた3D表示を行わないと判定した場合(S301:NO)、制御部21は処理をステップS14に移行する。
観察者の位置に応じた3D表示を行うと判定した場合(S301:YES)、制御部21は、観察者の位置を検出した検出結果を位置検出部28から取得する(ステップS302)。例えば制御部21は、位置検出部28による画像認識処理の処理結果を取得する。制御部21は、自装置が横置きであるか否かを判定する(ステップS303)。横置きであると判定した場合(S303:YES)、制御部21は表示パネル11の表示状態を第1表示状態とし、第1方向xに沿って視差画像を交互に表示する(ステップS304)。
制御部21は振分部12の駆動制御を停止し、各画素からの出射光の振り分けを停止する(ステップS305)。すなわち制御部21は、振分部12は駆動されず、分離領域124を形成しない。これにより、表示パネル11からの出射光は振分部12において分離されない。
制御部21は、振分部12における出射光の振り分けを停止後、位置検出部28により検出した観察者の位置に応じて、第1方向xにおける形成幅及び形成位置を変更して遮光部13に第1遮光領域136aを形成させる(ステップS306)。具体的に制御部21は、観察者の位置に応じて電圧を印加する電極134を選択し、第1方向xにおける第1遮光領域136aの形成幅を制御する。また、制御部21は、観察者の位置に応じて各画素に対する遮光領域136の相対的な形成位置を制御する。これにより、制御部21は遮光部13をアクティブパララックスバリアとして機能させ、視差画像に係る出射光の分離方向を動的に制御する。制御部21は、処理をステップS24に移行する。
横置きでないと判定した場合(S303:NO)、制御部21は表示パネル11の表示状態を第1表示状態とし、第2方向yに沿って視差画像を交互に表示する(ステップS307)。制御部21は、振分部12による出射光の振り分けを停止する(ステップS308)。制御部21は、出射光の振り分けを停止後、位置検出部28により検出した観察者の位置に応じて、第2方向yにおける第2遮光領域136bの形成幅及び形成位置を変更して遮光領域136に第2遮光領域136bを形成させる(ステップS309)。制御部21は、処理をステップS24に移行する。
以上より、本実施の形態3によれば、観察者の位置に応じて各視差画像に係る出射光の分離方向を制御できるため、観察者の視点位置について自由度が増大する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。