<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る溶接ガン100について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る溶接ガン100の全体を示す斜視図である。以下では、図1に示される直交座標のうち「Fr」を「前方」、「Rr」を「後方」、「Upper」を「上方」、「Lower」を「下方」、「R」を「右方向」、および「L」を「左方向」とする。溶接ガン100の本体部103は、例えば金属材料からなるフレーム101を備える。本体部103には電子基板107及びシリンダ109が収容される。
溶接ガン100の構成は、本体部103の短辺の中線に関して左右対称である。本体部103の下部には、蓄電装置である後述のエネルギストレージ部6が格納される。エネルギストレージ部6に隣接して、後述のダイオードスタック5が備えられる。
本体部103の下方側の一部は、前方側へ突出して延びる連結体104となっている。連結体104の前方側の端部にはアーム105が取り付けられている。アーム105は、側面視でU字形状であり、その先端には固定電極113が形成される。すなわち、固定電極113は、アーム105によって支持される。アーム105の内部には電極チップ用液冷通路(図示せず)が設けられる。固定電極113は、この電極チップ用液冷通路を循環する冷却水によって常に冷却されている。
シリンダ109は、円柱状であり、その軸方向と前後方向とが平行になるように本体部103に設けられている。シリンダ109には、軸方向に沿って伸びる棒状のロッド110が連結される。シリンダ109は、このロッド110を軸方向に沿って進退させる。ロッド110の先端には、軸方向に沿って固定電極113と対向するように可動電極111が取り付けられる。すなわち、可動電極111は、ロッド110によって支持される。ロッド110の内部には電極チップ用液冷通路(図示せず)が設けられる。可動電極111は、この電極チップ用液冷通路を循環する冷却水によって常に冷却されている。ロッド110の進退に連動して、可動電極111は軸方向に沿って移動する。可動電極111と固定電極113との間にはワーク(図示せず)が挟持される。エネルギストレージ部6から供給された溶接電流が電極111,113間に印加されると、加圧されたワークは抵抗熱によって溶接される。印加電流の制御は、以下に詳述するように、電子基板107において行われる。
フレーム101の内部には、上述の電極チップ用液冷通路とは別に、冷却水が循環する吸熱支持部材用液冷通路(図示せず)が形成されている。フレーム101は、この吸熱支持部材用液冷通路を循環する冷却水によって常に冷却されている。フレーム101の両側面には、後に詳細に説明するように可動電極111及び固定電極113に流す溶接電流の大きさを調整するスイッチであるIGBTモジュール9a、9b、9c、9d(以下では、これら4つのIGBTモジュールを区別する必要がない場合、単に「IGBTモジュール9」と称する。)と、IGBTモジュール9を保護する第1の保護回路であるスナバ回路2を構成する電子部品であるスナバ抵抗21、スナバダイオード23、およびスナバコンデンサ22が取り付けられている。
IGBTモジュール9は、フレーム101の側面に接しつつ上方に配置される。スナバ抵抗21は、フレーム101の側面において、IGBTモジュール9の下方に隣接して配置される。すなわち、スナバ抵抗21は、フレーム101に支持される。
また、IGBTモジュール9aは、右方のフレーム101の前方の上方に配置され、IGBTモジュール9bは、IGBTモジュール9aの後方に隣接して配置される。IGBTモジュール9cは、左方のフレーム101の前方の上方に配置され、IGBTモジュール9dは、IGBTモジュール9cの後方に隣接して配置される。すなわち、これらIGBTモジュール9a,9b,9c,9dは、フレーム101に支持される。
スナバコンデンサ22は、IGBTモジュール9に重なるように配置される。換言すれば、スナバコンデンサ22は、フレーム101の側面に垂直な方向において、フレーム101の側面から、IGBTモジュール9およびスナバ抵抗21よりも離れた位置に配置される。
以上のように、可動電極111を支持するロッド110、固定電極113を支持するアーム105、IGBTモジュール9、スナバ回路2、ダイオードスタック5、及びエネルギストレージ部6は、本体部103及びそのフレーム101によって支持される。
スナバ抵抗21およびスナバコンデンサ22は、スナバダイオード23を介して、IGBTモジュール9に接続される。IGBTモジュール9、スナバ抵抗21、およびスナバコンデンサ22は破線で示されるカバー123によって保護される。保護回路としてのスナバ回路2は、後に図13を参照して詳細に説明するように、複数の電子部品であるスナバ抵抗21、スナバコンデンサ22、およびスナバダイオード23等を組み合わせることによって構成される。
次に、図2~図4を参照してコレクタバスバー3およびエミッタバスバー4の構成について説明する。
図2および図3は、溶接ガン100の部分分解斜視図である。より具体的には、図2および図3は、IGBTモジュール9に搭載される3つのIGBT(図15等参照)の一方の端子であるエミッタに接続されるエミッタバスバー4、およびIGBTモジュール9に搭載される3つのIGBTの他方の端子であるコレクタに接続されるコレクタバスバー3の構造を説明するための図である。
コレクタバスバー3およびエミッタバスバー4は、例えば銅やアルミニウム等の導電性の板材によって形成される。図3に示すように、コレクタバスバー3およびエミッタバスバー4は、重量の偏りおよび電気的な偏りを低減するために、本体部103(図1参照)の左右方向の中線に関しておおむね左右対称である。より具体的には、コレクタバスバー3およびエミッタバスバー4は、前後方向に沿って延びる板状であり、その幅方向に沿った断面形状はコ字状である。これらコレクタバスバー3およびエミッタバスバー4は、図1に示すようにシリンダ109および電子基板107の下方側を覆うようにフレーム101に設けられる。図3に示されるように、コレクタバスバー3は、絶縁シート134(後述の図11参照)を介して、エミッタバスバー4に重ねて配置される。エミッタバスバー4とコレクタバスバー3とは、いわゆる平行平板の積層構造を形成する。
また図3に示すように、コレクタバスバー3は、シリンダ109の軸線を通過する平面によって、コレクタバスバー3の右側の部分を構成する右側部材3Rと左側の部分を構成する左側部材3Lとに分割される。またエミッタバスバー4は、シリンダ109の軸線を通過する平面によって、エミッタバスバー4の右側の部分を構成する右側部材4Rと左側の部分を構成する左側部材4Lとに分割される。図2には、説明を容易にするため、これらコレクタバスバー3およびエミッタバスバー4のうち、左側部材3L,4Lの構成を図示する。コレクタバスバー3およびエミッタバスバー4の、右側部材3R,4Rの構成は、左側部材3L,3Rの構成とほぼ同じであるので、詳細な図示および説明を省略する。
図2に示すように、コレクタバスバー3の左側部材3Lは、水平方向に沿って延びる板状の底部31と、底部31に対し垂直な鉛直方向に沿って延びる板状の側部32と、底部31に対し平行に延びる複数(図2の例では、6つ)のフランジ状の縁部33と、を有する。底部31と側部32とは、シリンダ109の軸方向に対し垂直な断面視で直角になるように、例えば板材を曲げることによって形成される。複数の縁部33は、側部32の上方側の端部において、シリンダ109の軸方向に沿って櫛歯状に設けられている。これら複数の縁部33は、シリンダ109の軸方向に沿ってそれぞれ所定の間隔を空けて形成されている。また底部31のうち後方側の端部には、凸状の凸部34が形成されている。図3に示すように、コレクタバスバー3の左側部材3Lは、その底部31をフレーム101に形成されたスリット141に挿通させ、また側部32によってフレーム101に設けられたIGBTモジュール9a,9bを覆うようにして、スリット141に取り付けられる。
エミッタバスバー4の左側部材4Lは、水平方向に沿って延びる板状の底部41と、底部41に対し垂直な鉛直方向に沿って延びる板状の側部42と、底部41に対し平行に延びる複数(コレクタバスバー3の縁部33と同数であって、図2の例では、6つ)のフランジ状の縁部43と、を有する。底部41と側部42とは、シリンダ109の軸方向に対し垂直な断面視で直角になるように、例えば板材を曲げることによって形成される。複数の縁部43は、側部42の上方側の端部において、シリンダ109の軸方向に沿って櫛歯状に設けられている。これら複数の縁部33は、シリンダ109の軸方向に沿ってそれぞれ所定の間隔を空けて形成されている。また図4に示すように、底部41のうち前方側の端部には、側部42側から中央側へ向かって順に凹状の凹部44と凸状の凸部45とが形成されている。図3に示すように、エミッタバスバー4の左側部材4Lは、絶縁シート134(後述の図11参照)を介挿した状態でコレクタバスバー3の左側部材3Lの下方側に重ねた状態でスリット141に取り付けられる。
図4は、コレクタバスバー3およびエミッタバスバー3がフレーム101に取り付けられた状態を示す図である。図4に示すようにコレクタバスバー3とエミッタバスバー4とを重ねた状態では、コレクタバスバー3の縁部33とエミッタバスバー4の縁部43とは、前後方向に沿って交互に配置される。またコレクタバスバー3とエミッタバスバー4とを重ねた状態では、コレクタバスバー3の底部31に形成された凸部34は、エミッタバスバー4の底部41の後方側の端部に対し、後方側へ突出する。エミッタバスバー4の底部41に形成された凹部44は、コレクタバスバー3の底部31の前方側の端部に対し後方側へ距離aだけ退避し、エミッタバスバー4の底部41に形成された凸部45は、コレクタバスバー3の底部31の前方側の端部に対し前方側へ突出する。なおこの凹部44の機能については、後に詳述する。
次に、図5~図7を参照してIGBTモジュール9を保護する第2の保護回路であるダイオードスタック5の構成について説明する。
図5は、溶接ガン100とダイオードスタック5との接続を示す図である。
図6は、ダイオードスタック5の側面図である。
図7は、図6の線VI-VIに沿った断面図である。
ダイオードスタック5は、導電性の板部材であるセンタープレート51と、このセンタープレート51の左右両側に設けられた導電性の板部材である2枚のサイドプレート52,52と、センタープレート51の左右両側の面と各サイドプレート52,52の内側の面との間に設けられた2つのフリーホイールダイオード53,53と、各サイドプレート52,52の左右両側の面に設けられた拘束部材54,54と、センタープレート51の上方側に設けられたカソード側可撓銅箔55と、センタープレート51の下方側に設けられたアノード側可撓銅箔56と、を備える。図5に示すように、ダイオードスタック5は、アーム105の後端とフレーム101の先端面との間に形成された空間に取り付けられる。
図7に示すように、ダイオードスタック5は、センタープレート51を中心として、このセンタープレート51の両側の面にそれぞれフリーホイールダイオード53,53およびサイドプレート52,52を設けた積層構造を備える。フリーホイールダイオード53,53のアノードは、それぞれセンタープレート51の両面に接する。フリーホイールダイオード53,53のカソードは、それぞれサイドプレート52,52の内側の面に接する。
拘束部材54は、サイドプレート52の外側の面に接する板状の絶縁部材541と、絶縁部材541に接する柱状のピストン542と、枠状のブラケット543と、ブラケット543とピストン542との間に介挿されたばね部材544と、幅方向に沿って延びる貫通ボルト545と、を備える。ばね部材544は、例えば皿ばねが用いられる。ブラケット543は、ピストン542およびばね部材544を絶縁部材541との間に介挿した状態で貫通ボルト545を締結することにより、センタープレート51とフリーホイールダイオード53,53とサイドプレート52,52とによって構成される積層体に固定される。積層体は、その両面から拘束部材54,54によって加圧された状態で維持される。
カソード側可撓銅箔55は、側面視では略U字状である。図7に示すように、カソード側可撓銅箔55の一端側の端子55aは、エミッタバスバー4の凸部45を介してサイドプレート52,52の上方端に接続される。これにより、カソード側可撓銅箔55は、フリーホイールダイオード53,53のカソード側に接続される。
アノード側可撓銅箔56は、側面視では、後方側から前方側へ向かうに従い、やや下方へ向けて湾曲する。アノード側可撓銅箔56の一端側の端子56aは、エネルギストレージ部6の後述のマイナス端子バー621を介して、センタープレート51の下方端に接続される。これにより、アノード側可撓銅箔56は、フリーホイールダイオード53,53のアノード側に接続される。
また図6に示すように、ダイオードスタック5を本体部103に取り付けた状態では、カソード側可撓銅箔55の他端側の端子55bは、可動電極111と導通するロッド接続端子110aに接続される。またアノード側可撓銅箔56の他端側の端子56bは、固定電極113と導通するアーム接続端子105aに接続される。これにより、固定電極113は、アーム105、アノード側可撓銅箔56、フリーホイールダイオード53,53、カソード側可撓銅箔55、およびロッド110を介して可動電極111に電気的に接続される。
次に、図8および図9を参照してエネルギストレージ部6の構成について説明する。
図8は、溶接ガン100の後方斜視図である。図8に示すように、フレーム101には、図示しないロボットアームの先端部が固定されるアーム接続部143と、エネルギストレージ部6が挿入される空間である挿入部136と、が形成されている。なお図8では、説明を容易にするためスナバ回路2等の図示を省略する。また図8には、エネルギストレージ部6がフレーム101から取り出された状態を示す。
エネルギストレージ部6は箱状であり、その左右両側の側面には、前後方向に延びるレール67が形成されている。エネルギストレージ部6は、このレール67を、フレーム101の挿入部136の内壁に形成されたガイド149に沿って、後方から前方へ挿入することによりフレーム101に取り付けられる。エネルギストレージ部6がフレーム101に取り付けられると、以下に詳述するエネルギストレージ部6のマイナス端子バー621が、ダイオードスタック5(図6参照)のプレート124と端子119bとの間に配置され、プレート124と端子119bに電気的に接続される。ここで例えば、大電流用のコネクタを用いた場合、電気的な接続を確実にしながらも、エネルギストレージ部6の挿抜性を円滑にすることができる。本実施形態のように、ガイド149をレール67にスライドさせる構成は、例えば、あらかじめ充電された別のエネルギストレージ部と入れ替える場合、もしくは定期検査、交換などのメンテナンスにおいて、その作業性を向上させる。
図9は、エネルギストレージ部6の分解斜視図である。エネルギストレージ部6は、溶接電流を予め蓄電する複数のキャパシタ611によって構成される電池パック61と、電池パック61の電極に接続される接続バー62と、電池パック61を冷却するウォータジャケット63と、電池パック61やウォータジャケット63が設けられる基台66と、電圧監視基板65と、これら電池パック61、接続バー62、およびウォータジャケット63等を基台66上で拘束するバインダ64と、を備える。
電池パック61は、複数個(図9の例では、13×3個)の板状のキャパシタ611によって構成される。キャパシタ611は、例えばリチウムイオンキャパシタである。複数のキャパシタ611は、幅方向に沿って13個ずつ、前後方向に沿って3個ずつ、基台66上に配置される。これら複数のキャパシタ611は、接続バー62によって電気的に接続される。
接続バー62は、マイナス端子バー621と、プラス端子バー622と、第1接続バー623と、第2接続バー624と、を備える。第1接続バー623は、1列目の13個のキャパシタ611の正極61pと、2列目の13個のキャパシタ611の負極61nとを接続する。第2接続バー624は、2列目の13個のキャパシタ611の正極61pと、3列目の13個のキャパシタ611の負極61nとを接続する。マイナス端子バー621は、1列目の13個のキャパシタ611の負極61nに接続される。プラス端子バー622は、3列目の13個のキャパシタ611の正極61pに接続される。これにより、複数のキャパシタ611は、13個並列にしたものを3組直列に接続される。
ウォータジャケット63は、前後方向に沿って延びる複数枚(図9の例では、14枚)の冷却プレート631によって構成される。各冷却プレート631は、幅方向に沿って配置される。各冷却プレート631の内部には、図9において破線で示すように冷却液が流れる流路632が形成されている。流路632には、配管ジョイント633を介して循環する冷却液が供給される。電池パック61を構成する複数のキャパシタ611は、2枚の冷却プレート631の間に形成された空間に挿入される。なお、本実施形態では冷却プレート631の材料として銅を用いた場合について説明するが、この他アルミや樹脂などを用いてもよい。なお、ウォータジャケット63によるキャパシタ611の吸熱性を向上させるため、冷却プレート631とキャパシタ611との間に、熱伝導性シート、もしくは熱伝導性ペーストを介在させてもよい。
基台66は、板状であり、その左右両側部にはレール67が形成されている。バインダ64は、前後方向に沿って延びる板状の2枚のサイドプレート641,642と、幅方向に沿って延びる複数のボルト643と、を備える。電池パック61およびウォータジャケット63は、サイドプレート641,642の間に配置される。これら電池パック61およびウォータジャケット63は、両端に設けられたサイドプレート641,642を複数のボルト643で幅方向に締結することにより、基台66上に固定される。これにより、各キャパシタ611は、冷却プレート631に密着した状態で基台66上に固定される。これによりキャパシタ611は、常に適切な温度に維持される。
電圧監視基板65は、板状であり、電池パック61の上面側に設けられる。電圧監視基板65は、各キャパシタ611の充電状態を監視し、その情報を電子基板107へ送信する。電子基板107は、電圧監視基板65から送信される情報に基づき、外部充電器からの充電電圧を調節する。
以上のようにして組み立てられたエネルギストレージ部6は、図8に示されるように、本体部103に後方から挿入される。これにより、エネルギストレージ部6のマイナス端子バー621は、アノード側可撓銅箔56の端子56a(図5および図6参照)の間に挿入されて、フリーホイールダイオード53のアノードに接続される。一方、プラス端子バー622は、コレクタバスバー3の一部である凸部34(図3参照)に接続される。
図10は、溶接ガン100において実現される電源回路200の構成を示す回路図である。電源回路200において、ワーク210と、エネルギストレージ部6と、IGBTモジュール9と、は互いに直列に接続される。またこの電源回路200において、IGBTモジュール9を保護するスナバ回路2およびダイオードスタック5のフリーホイールダイオード53は、IGBTモジュール9に対し並列に接続される。
上述のように溶接ガン100には、4つのIGBTモジュール9a,9b,9c,9dが搭載される。また各IGBTモジュール9a~9dは、それぞれ3つのIGBTによって構成される。説明を容易にするため、図10には、これら4つのIGBTモジュール9a~9dのうちの1つに含まれるIGBTを代表して図示する。また後に図12を参照して説明するように、1つのIGBTモジュール9に対し3組のスナバ回路2が並列に接続されている。またこれら3組のスナバ回路2は、1つのIGBTモジュール9に含まれる3つのIGBTに対しそれぞれ並列に接続されている。したがって溶接ガン100には、合計12組のスナバ回路2が搭載される。説明を容易にするため、図10には、これら12組のうちの1つを代表して図示する。
1組のスナバ回路2は、スナバダイオード231、スナバコンデンサ221、およびスナバ抵抗211を含む第1スナバ回路と、スナバダイオード232、スナバコンデンサ222、およびスナバ抵抗212を含む第2スナバ回路とによって構成される。これら第1スナバ回路および第2スナバ回路は、それぞれIGBTモジュール9に対し並列に接続される。
第1スナバ回路において、スナバダイオード231のアノード側端子231aは、コレクタバスバー3の一部である縁部33に接続される。スナバ抵抗211の一端は、スナバダイオード231のアノード側端子231aに接続され、他端は、スナバダイオード231のカソード側端子231bに接続される。スナバコンデンサ221の一端は、スナバダイオード231のカソード側端子231bに接続され、他端は、エミッタバスバー4の一部である縁部43に接続される。
第2スナバ回路において、スナバダイオード232のカソード側端子232bは、エミッタバスバー4の一部である縁部43に接続される。スナバ抵抗212の一端は、スナバダイオード232のカソード側端子232bに接続され、他端は、スナバダイオード232のアノード側端子232aに接続される。スナバコンデンサ222の一端は、スナバダイオード232のアノード側端子232aに接続され、他端は、コレクタバスバー3の一部である縁部33に接続される。
IGBTモジュール9のエミッタ端子は、エミッタバスバー4の一部である側部42に接続される(後述の図11参照)。またフリーホイールダイオード53のカソード端子は、エミッタバスバー4の一部である凸部45に接続される。またエミッタバスバー4の凸部45は、カソード側可撓銅箔55の一端側の端子に接続される。またカソード側可撓銅箔55の他端側の端子は、可動電極111に接続される。以上のようにエミッタバスバー4は、スナバ回路2のスナバダイオード232のカソード側端子232bと、スナバコンデンサ221と、IGBTモジュール9のエミッタ端子と、フリーホイールダイオード53のカソード端子と、カソード側可撓銅箔55と、を電気的に接続する。
IGBTモジュール9のコレクタ端子は、コレクタバスバー3の一部である側部32に接続される(後述の図11参照)。またコレクタバスバー3の一部である凸部34は、エネルギストレージ部6の陽極端子であるプラス端子バー622に接続される(図3参照)。以上のようにコレクタバスバー3は、スナバ回路2のスナバコンデンサ222と、スナバダイオード231のアノード側端子231aと、IGBTモジュール9のコレクタ端子と、エネルギストレージ部6のプラス端子バー622と、を電気的に接続する。
またエネルギストレージ部6の陰極端子であるマイナス端子バー621は、フリーホイールダイオード53のアノード端子とアノード側可撓銅箔56の一端側とに接続される。またアノード側可撓銅箔56の他端側は、アーム105を介して固定電極113に接続される。
以上のようにスナバ回路2では、スナバダイオード231,232は、コレクタバスバー3の縁部33側からエミッタバスバー4の縁部43側へ向かう方向の電流のみを許容する。このため、コレクタバスバー3では凸部34側から縁部33側へ電流が流れるのに対し、エミッタバスバー4では縁部43側から凸部45側へ電流が流れる。したがって、コレクタバスバー3の電流方向と、エミッタバスバー4の電流方向とは互いに逆向きである。
次に、以上のように構成される電源回路200の動作について説明する。
始めに溶接前の初期状態では、シリンダ109によって可動電極111をワーク210から退避させ、IGBTモジュール9をオフ状態にする。またこの初期状態では、スナバ回路2のスナバコンデンサ221,222はエネルギストレージ部6のプラス端子バー622と直列に接続されているため、これらスナバコンデンサ221,222はエネルギストレージ部6の蓄電電圧まで充電されている。なおエネルギストレージ部6は、電圧監視基板65によって、図示しない外部充電器によって常に適正な蓄電電圧まで充電されている。
次に溶接時には、シリンダ109によって可動電極111をワーク210に当接させ、可動電極111と固定電極113とによってワークを所定の圧力で加圧する。これにより、電源回路200には、閉回路が形成される。また溶接時には、IGBTモジュール9をオフ状態からオン状態にする。これにより、エネルギストレージ部6に蓄えられた電気エネルギは、プラス端子バー622から、IGBTモジュール9、カソード側可撓銅箔55、および可動電極111を経てワーク210に至り、さらに固定電極113、アーム105、およびアノード側可撓銅箔56を経てエネルギストレージ部6のマイナス端子バー621に達する。この閉回路において最も電気抵抗が高くなっているワーク210では、溶接電流が流れることによって発熱し、溶融し、ナゲットが形成されることによって溶接される。なおこの際、スナバコンデンサ221,222は、溶接電流の経路と接続されているため、これらスナバコンデンサ221,222に蓄えられていた電気エネルギは、溶接電流に転流し、その充電電圧はほぼ0になる。
次に、上述のようにエネルギストレージ部6の電気エネルギをワーク210に印加した後、IGBTモジュール9をオン状態からオフ状態にすると、溶接電流が遮断される。これにより溶接電流は急激に減少するが、電源回路200においてバスバー3,4等によって形成される溶接電流の電路の誘導成分(インダクタンス)により、IGBTモジュール9には逆起電力が発生する。しかしながらIGBTモジュール9がオフ状態に移行しても、スナバ回路2のスナバダイオード231,232がIGBTモジュール9をバイパスするように順方向に導通を開始するため、暫定的に溶接電流が継続して流れる。ただしスナバダイオード231,232は、スナバコンデンサ221,222と直列に接続されているため、スナバダイオード231,232が導通状態になるのは、サージ発生時、即ち溶接電流が変化する過渡時だけである。そしてこのようにIGBTモジュール9のオフ時に発生するサージは、スナバコンデンサ221,222によって吸収されるため、IGBTモジュール9はその影響を受けることがない。なおスナバコンデンサ221,222によって吸収されたサージは、スナバ抵抗211,212によって熱変換され、徐々に減少し、スナバコンデンサ221,222の充電電圧は、初期の蓄電電圧まで降下する。
またIGBTモジュール9のオフ時には、溶接電流の減少に伴い、フリーホイールダイオード53では順方向に導通が開始する。これにより、カソード側可撓銅箔55、可動電極111、固定電極113、およびアーム105に残留していたエネルギは、ワーク210を介して循環し、最も抵抗が高いワーク210で熱に変換され、時間とともに減少する。
以上のように、スナバ回路2およびフリーホイールダイオード53は、IGBTモジュール9に対し、その保護効果が発揮される。なお以上の説明では、溶接時にはIGBTモジュール9をオン状態で維持する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。溶接時には、IGBTモジュール9を、高速DCチョッピングによって所定の周期でオン状態とオフ状態とを繰り返してもよい。この場合も、IGBTモジュール9をオフ状態にする度にサージが発生するものの、上述のようにスナバ回路2およびフリーホイールダイオード53によってIGBTモジュール9が保護される。
図11は、図1の線I-Iに沿った断面図である。
上述のようにフレーム101にはスリット141が形成されており、コレクタバスバー3およびエミッタバスバー4の底部31,41は、このスリット141に挿入されている。またフレーム101のうちスリット141の鉛直方向上方側には、IGBTモジュール9aが取り付けられる。IGBTモジュール9aのコレクタ端子は、コレクタワッシャ38を介して、コレクタバスバー3の側部32に接続される。
コレクタバスバー3の側部32の外側には、エミッタバスバー4の側部42が配置される。エミッタバスバー4とコレクタバスバー3との間には絶縁シート134が設けられている。これにより、エミッタバスバー4とコレクタバスバー3とは、電気的に絶縁されている。
コレクタバスバー3の側部32には、貫通孔37が形成されている。IGBTモジュール9aのエミッタ端子は、この貫通孔37に挿通して設けられたエミッタワッシャ48を介して、エミッタバスバー4の側部42に接続される。
エミッタバスバー4の側部42の外側には、上方側から下方側へ向かって順にスナバ回路2のスナバコンデンサ221,222が設けられている。またフレーム101のうちスリット141の鉛直方向下方側には、上方側から下方側へ向かって順に、スナバ回路2のスナバ抵抗211,212が設けられている。
またフレーム101のうちスリット141の鉛直方向下方側の部分とコレクタバスバー3およびエミッタバスバー4の底部31,41とによって形成される空間Sには、エネルギストレージ部6(図9参照)が設けられる。
図12は、コレクタバスバー3とエミッタバスバー4との積層構造を模式的に示す図である。図10において上述したように、コレクタバスバー3とエミッタバスバー4とでは、電流が流れる向きである電流方向は逆である。したがって図12に示すように、コレクタバスバー3を流れる電流によってコレクタバスバー3の周囲に形成される磁界3mの向きは、エミッタバスバー4を流れる電流によってエミッタバスバー4の周囲に形成される磁界4mの向きと逆向きとなる。またコレクタバスバー3の底部31および側部32は、それぞれエミッタバスバー4の底部41および側部42と絶縁シート134を介して積層して設けられるため、これらバスバー3,4を流れる電流によって形成される磁界3m,4mは互いに相殺されるため、電源回路200におけるインダクタンスが低減される。
次に、図13を参照しながらスナバ回路2を構成する各種電子部品の配置構成について説明する。
図13は、スナバ回路2の斜視図である。図13には、フレーム101に設けられた2つのIGBTモジュール9a,9bに対して設けられる6組のスナバ回路2を示す。上述のように溶接ガン100には、1つのIGBTモジュール9に対し3組のスナバ回路2が並列に接続されている。
1組のスナバ回路2は、第1スナバ回路を構成するスナバダイオード231、スナバコンデンサ221、およびスナバ抵抗211と、第2スナバ回路を構成するスナバダイオード232、スナバコンデンサ222、およびスナバ抵抗212と、これら電子部品を接続する第1コンデンサ接続バー251と、第2コンデンサ接続バー252と、第3コンデンサ接続バー253と、第4コンデンサ接続バー254と、第1抵抗接続バー261と、第2抵抗接続バー262と、第3抵抗接続バー263と、第4抵抗接続バー264とを備える。また図13に示すように、フレーム101には、部品の配列方向である上方側から下方側へ向かって順に、第2スナバ回路のスナバコンデンサ222、第1スナバ回路のスナバコンデンサ221、第2スナバ回路のスナバ抵抗212、および第1スナバ回路のスナバ抵抗211が列状に配置されている。
まず、第1スナバ回路側の構成について説明する。スナバダイオード231には、アノード側にボルト締結面を有するスタッド型のダイオードが用いられる。スナバダイオード231のアノード側端子231a(図10参照)は、部品の配列方向に沿って延びる棒状の第1コンデンサ接続バー251を介してコレクタバスバー3の縁部33に螺合されている。スナバダイオード231のカソード側端子231b(図10参照)は、部品の配列方向に沿って延びる棒状の第2コンデンサ接続バー252が接続されている。
スナバコンデンサ221の一端は、第2コンデンサ接続バー252の略中央部に形成された開口部252aに接続され、スナバコンデンサ221の他端は、後述の第4コンデンサ接続バー254の略中央部に形成された開口部254aに接続される。スナバ抵抗211の一端は、第1抵抗接続バー261を介して第1コンデンサ接続バー251に接続される。またスナバ抵抗211の他端は、第2抵抗接続バー262を介して第2コンデンサ接続バー252に接続される。
次に、第2スナバ回路側の構成について説明する。スナバダイオード232には、カソード側にボルト締結面を有するスタッド型のダイオードが用いられる。スナバダイオード232のカソード側端子232b(図10参照)は、部品の配列方向に沿って延びる棒状の第4コンデンサ接続バー254を介してエミッタバスバー4の縁部43に螺合されている。スナバダイオード232のアノード側端子232a(図10参照)は、部品の配列方向に沿って延びる棒状の第3コンデンサ接続バー253が接続されている。
スナバコンデンサ222の一端は、第1コンデンサ接続バー251の略中央部に形成された開口部251aに接続され、スナバコンデンサ222の他端は、第3コンデンサ接続バー253の略中央部に形成された開口部253aに接続される。スナバ抵抗212の一端は、第3抵抗接続バー263を介して第3コンデンサ接続バー253に接続される。またスナバ抵抗212の他端は、第4抵抗接続バー264を介して第4コンデンサ接続バー254に接続される。
上述のように1つのIGBTモジュール9に対し、3組のスナバ回路2が並列に接続される。そこで図13に示すように、第1抵抗接続バー261と、第2抵抗接続バー262と、第3抵抗接続バー263と、第4抵抗接続バー264とについては、これら3組のスナバ回路2で共通のものが用いられる。
また図13に示すように、IGBTモジュール9a,9bは、フレーム101に取り付けられた状態では、部品の配列方向に対し垂直な前後方向に沿って列状に配置される。このため溶接ガン100では、各IGBTモジュール9a,9bに搭載される3つのIGBTのコレクタ端子を、部品の配列方向に対し垂直な前後方向に沿って列状に配置することができる。また各IGBTモジュール9a,9bに搭載される3つのIGBTのエミッタ端子についても同様に、部品の配列方向に対し垂直な前後方向に沿って列状に配置することができる。
またコレクタバスバー3およびエミッタバスバー4をフレーム101に取り付けた状態では、コレクタバスバー3の縁部33とエミッタバスバー4の縁部43とは、前後方向に沿って交互にかつ等間隔で配置される。これによりスナバ回路2では、図13に示すように、第1コンデンサ接続バー251と、第2コンデンサ接続バー252と、第3コンデンサ接続バー253と、第4コンデンサ接続バー254と、を互いに平行かつ前後方向に沿って等間隔になるように配置することができる。また各コンデンサ接続バー251,252,253,254に形成される開口部251a,252a,253a,254aも前後方向に沿って等間隔になるように配置することができる。また各コンデンサ接続バー251~254とIGBTモジュール9aとの間には、板状の絶縁材29が設けられている。
図14は、各コンデンサ接続バー251~254の延在方向に対し垂直な断面図である。上述のように各コンデンサ接続バー251~254は、互いに平行かつ等間隔で配置される。またスナバダイオード231のアノード側端子231aは第1コンデンサ接続バー251に接続され、カソード側端子231bは第2コンデンサ接続バー252に接続され、スナバダイオード232のアノード側端子232aは第3コンデンサ接続バー253に接続され、カソード側端子232bは第4コンデンサ接続バー254に接続されている。このため、これらコンデンサ接続バー251~254を流れる電流方向は、交互に逆向きとなっており、したがって第1コンデンサ接続バー251を流れる電流によって形成される磁界251m、第2コンデンサ接続バー252を流れる電流によって形成される磁界252m、第3コンデンサ接続バー253を流れる電流によって形成される磁界253m、および第4コンデンサ接続バー254を流れる電流によって形成される磁界254mの向きも交互に逆向きとなっている。このため、各コンデンサ接続バー251~254を流れる電流によって形成される磁界251m~254mは、互いに相殺されるため、スナバ回路2におけるインダクタンスが低減される。
また溶接ガン100によれば、図13に示すように複数のスナバ回路2を前後方向に沿って等間隔で設けることにより、IGBTモジュール9a,9bに含まれるIGBTのエミッタ端子と各スナバ回路2に含まれるスナバコンデンサ221との間の距離を全て略等しくできる。また同様に、IGBTモジュール9a,9bに含まれるIGBTのコレクタ端子と各スナバ回路2に含まれるスナバコンデンサ222との間の距離を全て略等しくできる。また溶接ガン100によれば、IGBTモジュール9a,9bに含まれるIGBTのエミッタ端子と各スナバ回路2に含まれるスナバコンデンサ221との間の距離と、IGBTモジュール9a,9bに含まれるIGBTのコレクタ端子と各スナバ回路2に含まれるスナバコンデンサ222との間の距離とをも略等しくできる。これにより、各スナバ回路2では、IGBTモジュール9a,9bに含まれる各IGBTを、均等かつ効率的に保護することができる。
ここでエミッタバスバー4に設けられる凹部44(図3参照)の機能について説明する。上述のようにIGBTモジュール9a,9bは、前後方向に沿って設けられている。このため、凹部44を形成しなかった場合、IGBTモジュール9a,9bに含まれる各IGBTのエミッタ端子から可動電極111までの距離に差が生じてしまい、溶接電流を出力する際に、各IGBTにかかる負荷に差が生じてしまう場合がある。即ちこの凹部44は、各IGBTにかかる負荷を均等にするために形成される。したがって凹部44の退避量a(図3参照)は、各IGBTにかかる負荷が均等になるように調整される。
なお抵抗接続バー261~264は、コンデンサ接続バー251~254と異なり、それぞれ形状が異なる。しかしながらこれら抵抗接続バー261~264は、スナバコンデンサ221,222に対し下流に設けられるため、その形状の差がIGBTモジュール9の保護に与える影響は小さい。またこの影響を小さくする場合、各抵抗接続バー261~264を抵抗体とみなし、これらに接続されるスナバ抵抗211,212の大きさを調整すればよい。
次に図15および図16を参照して、電子基板107によるIGBTモジュール9の制御手順について説明する。
図15に示すように、IGBTモジュール9は、ゲート駆動回路10と、スイッチ間電流抑制部20と、3つの半導体スイッチ30と、を有している。ゲート駆動回路10は、電子基板107によって制御される。ゲート駆動回路10は、電子基板107の制御下で半導体スイッチ30のゲート端子に供給するゲート駆動電圧をエミッタ端子の電位に対して変化させることにより、3つの半導体スイッチ30におけるオフの状態とオンの状態とを、同時に切換可能である。ゲート駆動回路10は、電子基板107の制御下で半導体スイッチ30の短絡を検出して半導体スイッチ30をオフの状態とすることが可能である。電子基板107は、可動電極111と固定電極113との間に、例えば100[ms]以下の高周波のDCチョッピング電流波形に調整された溶接電流が流れるように、ゲート駆動電圧を制御する。
3つの半導体スイッチ30は、第1半導体スイッチ301と、第2半導体スイッチ302と、第3半導体スイッチ303と、を有する。これら半導体スイッチ301~303は、それぞれ例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)により構成されている。3つの半導体スイッチ301~303は、IGBTモジュール9においてアームを構成し、直流電源(図示せず)の正極Pと交流出力端子Uとの間において、互いに電気的に並列接続されている。具体的には、これら半導体スイッチ301~303の各コレクタ端子は、信号線を介してそれぞれ直流電源(図示せず)の正極Pに電気的に接続されている。これら半導体スイッチ301~303の各エミッタ端子は、信号線を介してそれぞれ交流出力端子Uに電気的に接続されている。また、これら半導体スイッチ301~303の各エミッタ端子は、信号線であるエミッタ補助線311、321、331、312、322、332を介してゲート駆動回路10に電気的に接続されている。これら半導体スイッチ301~303の各ゲート端子は、信号線313、323、333、314、324、334を介してそれぞれゲート駆動回路10に電気的に接続されている。
各半導体スイッチ301~303とゲート駆動回路10との間には、スイッチ間電流抑制部20としてのトランス(変成器)が設けられている。より具体的には、第1半導体スイッチ301とゲート駆動回路10との間には、第1トランス201が設けられ、第2半導体スイッチ302とゲート駆動回路10との間には、第2トランス202が設けられ、第3半導体スイッチ303とゲート駆動回路10との間には、第3トランス203が設けられている。スイッチ間電流抑制部20は、ゲート駆動回路10により半導体スイッチ301~303をオフの状態とする制御の際に、3つの半導体スイッチ301~303の電流出力端子としてのエミッタ端子からエミッタ補助線311、321、331に流れるスイッチ間電流を利用して、半導体スイッチ301~303のうちオフの状態になるタイミングの遅れが発生したものをオフさせる動作を促進させる。
具体的には、トランス201~203を構成するトランスは、一次側巻線(図15、図16中に示すI)および二次側巻線(図15、図16中に示すII)の2つの巻線を有するコイルを備えている。一次側巻線の巻数と二次側巻線とは、互いに逆巻きの状態、即ち、一次側巻線の巻回方向に対して二次側巻線の巻回方向は、逆方向に巻かれた状態とされている。例えば、一次側巻線の軸心と二次側巻線の軸心とを平行の位置関係として配置させて、軸心方向における一端側から一次側巻線の軸心および二次側巻線を見た場合に、一次側巻線が右巻で巻かれ、かつ、二次側巻線が左巻で巻かれているか、又は、一次側巻線が左巻で巻かれ、かつ二次側巻線が右巻で巻かれている。
また、二次側巻線の巻数は、一次側巻線の巻数と同等、もしくは、一次側巻線の巻数よりも大きく設定されている。一次側巻線と二次側巻線とは、互いに対向してトランス(トランス201~203)を構成している。トランス201~203の一次側巻線の一端部は、信号線により構成されるエミッタ補助線311、321、331を介して、各半導体スイッチ301~303のエミッタ端子に電気的に接続されている。トランス201~203の一次側巻線の他端部は、信号線により構成されるエミッタ補助線312、322、332を介して、ゲート駆動回路10に電気的に接続されている。トランス201~203の二次側巻線の一端部は、信号線314、324、334を介してゲート駆動回路10に電気的に接続されている。トランス201~203の二次側巻線の他端部は、信号線313、323、333を介して各半導体スイッチ301~303のゲート端子に電気的に接続されている。
このように、ゲート駆動回路10と、半導体スイッチ301~303の制御信号入力端子としてのゲート端子及び電流出力端子としてのエミッタ端子との間には、スイッチ間電流抑制部20が電気的に接続されて設けられている。スイッチ間電流抑制部20は、対向する互いに逆巻きのコイルを有し、複数の半導体スイッチ301~303の電流出力端子間に流れるスイッチ間電流と、エミッタ補助線311、321、331、312、322、323に存在する寄生インダクタンスと、を用いて、ゲート駆動回路10により半導体スイッチ301~303をオフの状態とすることを促進させる。
これにより、複数の半導体スイッチ301~303の個体のばらつきにより、いずれかの半導体スイッチ301~303においてオフの状態になるタイミングの遅れが発生した場合に、遅れが発生したスイッチのゲート端子電圧に帰還をかけることができ、遅れが発生したスイッチを、早くオフの状態とすることができる。このため、既にオフの状態になったスイッチにおいて流れなくなった電流が、遅れが発生したスイッチに偏って、当該遅れが発生したスイッチに大電流が流れて、スイッチが破壊されることを回避することが可能となる。また、ターンオフ時に発生する電流偏差と、エミッタ補助線311、321、331、312、322、323の寄生インダクタンスと、による電圧で、ゲート電圧を絞る方向にトランスの出力が働くため、電流偏差の発生を極めて小さく抑えることができる。
また、一次側巻線の巻数と二次側巻線の巻数との巻き数比に応じた電圧を二次側巻線に発生させることができる。即ち、エミッタ主電路のインダクタンスを減らして、トランスのエミッタ電位が減少した場合であっても、ゲート側の電圧が大きくなるようにトランスの巻き数比が調整されることにより、ゲート側の信号線314、324、334に加わる帰還電圧を増大させることができる。
本実施形態に係る溶接ガン100によれば、以下の効果を奏する。
(1)溶接ガン100では、溶接電流を発生するエネルギストレージ部6とワーク210に当接する電極111,113とを接続する電源回路200に、エネルギストレージ部6に対して直列になるようにIGBTモジュール9を設け、さらにこのIGBTモジュール9に対し並列になるようにスナバ回路2を接続する。このようなスナバ回路2を接続することにより、IGBTモジュール9をオンとオフとで切り替えたときに生じる誘起電圧からIGBTモジュール9を保護することができる。また溶接ガン100では、IGBTモジュール9およびスナバ回路2の一方の端子を接続するコレクタバスバー3の近傍に、IGBTモジュール9およびスナバ回路2の他方の端子を接続するエミッタバスバー4を設け、さらにコレクタバスバー3の電流方向をエミッタバスバー4の電流方向と逆にする。これにより、これらコレクタバスバー3およびエミッタバスバー4を電流が流れる際に各バスバー3,4の周囲に生じる磁界は互いに相殺されるので、電源回路200のインダクタンスを低減でき、ひいては溶接電流の損失も低減できる。
(2)溶接ガン100では、コレクタバスバー3の一部である板状の底部31および側部32とエミッタバスバー4の一部である板状の底部41および側部42とを絶縁シート134を介して層状に設け、さらにこれら底部31および側部32の電流方向を底部41および側部42の電流方向と逆にする。これにより、電源回路200における電流の損失を低減しながら、これらバスバー3,4を含む溶接ガン100全体の大きさを小さなものにできる。
(3)溶接ガン100では、スナバ回路2に設けられる複数のコンデンサ接続バー251,252,253,254のうち互いに隣接するコンデンサ接続バーの三組(例えば、コンデンサ接続バー251とコンデンサ接続バー252との組、コンデンサ接続バー252とコンデンサ接続バー253との組、およびコンデンサ接続バー253とコンデンサ接続バー254との組)において、一方のコンデンサ接続バーの電流方向を他方のコンデンサ接続バーの電流方向と逆にする。これにより、これらコンデンサ接続バー251~254を電流が流れる際に各コンデンサ接続バー251~254の周囲に生じる磁界は互いに相殺されるので、スナバ回路2のインダクタンスを低減でき、ひいては溶接電流の損失も低減できる。
(4)溶接ガン100では、スナバ回路2におけるコンデンサ接続バーの数を4本以上とし、これらコンデンサ接続バー251~254を、互いに平行かつ電流方向が交互に逆向きになるように列状に設ける。これにより、スナバ回路2における電流の損失を低減しながら、スナバ回路2を含む溶接ガン100全体の大きさを小さなものにできる。
(5)溶接ガン100によれば、スナバ回路2がIGBTモジュール9に対し並列に接続されているので、IGBTモジュール9が効果的に保護される。また、例えばDCチョッピング電流波形における、IGBTモジュール9をOFFとしたときに生じる逆起電力から、IGBTモジュール9が効果的に保護される。さらに、スナバ回路2とIGBTモジュール9が共に溶接ガン100の本体部103に支持されているため、IGBTモジュール9とスナバ回路2との電路の長さを短く設定できる。これにより、電路の有するインダクタンス、および電流損失が最小限に抑えられるとともに、スナバ回路2そのものを小型化できるので、溶接ガン100を小型化、軽量化できる。
(6)溶接ガン100によれば、IGBTモジュール9を金属製のフレーム101に近接して配置できるので、IGBTモジュール9を効果的に冷却できる。
(7)溶接ガン100よれば、スナバ抵抗21をフレーム101により効果的に冷却できる。また、IGBTモジュール9とスナバ抵抗21とがともにフレーム101に支持されるため、IGBTモジュール9とスナバ抵抗21とをつなぐ電路を短く設定できるので、結果として電路が有するインダクタンス及び電流損失を抑制できる。また、スナバコンデンサ22はスナバ抵抗21ほど発熱しないため、スナバコンデンサ22はIGBTモジュール9と重ねて配置する。これにより、発熱するスナバ抵抗21をフレーム101によって支持しながら、IGBTモジュール9とスナバ抵抗21との間の電路を短縮できる。
(8)溶接ガン100によれば、フレーム101の内部に吸熱支持部材用液冷通路を形成することによって、フレーム101を常に冷却できる。これにより、フレーム101に近接して配置されるIGBTモジュール9を効果的に冷却できる。
(9)溶接ガン100によれば、IGBTモジュール9、スナバ回路2、およびエネルギストレージ部6のすべてが溶接ガン100の本体部103に搭載されるため、これらをつなぐ電路の長さを最小限にできる。これにより、スナバ回路2がコンパクトになるので、結果として、溶接ガン100全体のサイズを小型化できる。
(10)本発明によれば、多種の組板に対応することが出来るという利点がある。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る溶接ガン100Aについて、図面を参照して説明する。
図17は、本実施形態に係る溶接ガン100Aの全体を示す斜視図である。溶接ガン100Aは、作業者が直接操作することによってその位置や姿勢を変えることができる所謂ポータブル溶接ガンである。そこで図17には、作業者が触れていない自由姿勢にある状態における溶接ガン100Aを図示する。なお以下の溶接ガン100Aの説明において、第1実施形態に係る溶接ガン100と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。第1実施形態では、本体部103とアーム105とが連結体104を介して連結された溶接ガン100について説明した。これに対し本実施形態に係る溶接ガン100Aは、本体部103とアーム105とは図17に示すように略円盤状の連結体7を介して連結されている点において第1実施形態に係る溶接ガン100と異なる。
図18は、連結体7の斜視図である。連結体7は、アーム105に対し垂直な円形鍔状のステータ71と、このステータ71の内周に回動自在に支持されたロータ72と、棒状のハンガー73と、このハンガー73に沿って延びエネルギストレージ部6のキャパシタ611を充電するための電力を溶接ガン100Aの外部電源から供給する2本の充電ケーブル74,75と、これらステータ71、ハンガー73及び充電ケーブル74,75を支持する支持部76と、充電ケーブル74,75とロータ72に設けられた後述の環状電路722,725とを電気的に接続するコネクタ部77と、を備える。
ハンガー73は、鉛直方向に沿って延びる棒状である。ハンガー73の下端部は支持部76によって支持され、ハンガー73の図示しない上端部は、溶接ガン100Aが設けられる作業エリアの天井に架設されたレールによって水平方向及び鉛直方向に沿って摺動自在に吊持されている。これにより作業者は、溶接ガン100Aを、作業エリアにおいて水平方向及び鉛直方向に沿って移動させることが可能となっている。
支持部76は、ハンガー73の延在方向と平行なY軸(図18参照)周りで回動自在にハンガー73を支持する。これにより作業者は、溶接ガン100Aを、Y軸周りで回動させることが可能となっている。
また図17に示すように、ステータ71は、その右方側の縁部に設けられた支持軸78を介して支持部76によって支持されている。この支持軸78は、ハンガー73の延在方向に対し垂直なP軸(図18参照)に沿って延びる棒状である。支持部76は、この支持軸78周りで回動自在にステータ71を支持する。これにより作業者は、溶接ガン100Aを、P軸周りで回動させることが可能となっている。
ロータ72は、円盤状である。ロータ72の前方側の面にはアーム105及びロッド110が固定されている。またロータ72の後方側の面は、本体部103が取り付けられる本体取付面721となっている。またロータ72は、ステータ71によって、ハンガー73の延在方向及び支持軸78の延在方向の両方に対し垂直なR軸(図18参照)回りで回動自在に支持されている。これにより作業者は、溶接ガン100Aを、R軸周りで回動させることが可能となっている。
以上のように作業者は、溶接ガン100Aを、作業エリアにおいて水平方向及び鉛直方向に沿って並進させたり、Y軸、P軸及びR軸周りで回動させたりすることにより、電極111,113を任意の位置において任意の向きにすることができる。なお図17に示すように溶接ガン100Aは、自由姿勢にある状態では、アーム105及びロッド110が水平になるように調整されている。
ロータ72の外周縁には、内側から外側へ向かって順に、同心円状に、正極環状電路722と負極環状電路725と環状絶縁体728とが設けられている。
正極環状電路722及び負極環状電路725はそれぞれ導電性材料で形成されている。正極環状電路722及び負極環状電路725の各々の内周側は、R軸に沿って延びるフランジ部723,724となっている。また正極環状電路722及び負極環状電路725の下方側には、それぞれ本体103側へ向けて凸状の正極電極724及び負極電極727が設けられている。本体部103を連結体7の本体取付面721に取り付けると、正極電極724は、エネルギストレージ部6のキャパシタ611の正極61p(図9参照)に電気的に接続され、負極電極727は、キャパシタ611の負極61n(図9参照)に電気的に接続される。なお本実施形態では、これら正極電極724及び負極電極727を凸状とすることにより、これら電極を凹状とした場合よりもエネルギストレージ部6の着脱性を向上できる。
図19は、コネクタ部77の斜視図である。コネクタ部77は、支持部76によって支持された充電ケーブル74,75と、ステータ71によって支持されたロータ72の環状電路722,725と、を電気的に接続する。コネクタ部77は、板状の絶縁プレート79を介してステータ71に取り付けられている。
コネクタ部77は、充電ケーブル74と正極環状電路722とを電気的に接続する正極接続部770と、充電ケーブル75と負極環状電路725とを電気的に接続する負極接続部774と、これら接続部770,774を保護するカバー778と、これら接続部770,774を環状電路722,725へ押し付けるスプリング779と、を備える。
正極接続部770は、断面視で略L字状であり、支持部76に沿って延びるケーブル接続部771と、ステータ71に沿って延びるスライドプレート772と、このスライドプレート772の先端側に設けられた摺接子773と、を備える。
正極接続部770のケーブル接続部771は、充電ケーブル74に接続されている。また正極接続部770の摺接子773は、正極環状電路722に対し接しかつこの正極環状電路722に対し摺動自在となっている。正極接続部770及び摺接子773は、導電性の材料によって構成されており、これにより充電ケーブル74と正極環状電路722とが電気的に接続される。またこれにより充電ケーブル74とエネルギストレージ部6のキャパシタ611の正極61pとが電気的に接続される。
負極接続部774は、断面視で略L字状であり、支持部76に沿って延びるケーブル接続部775と、ステータ71に沿って延びるスライドプレート776と、このスライドプレート776の先端側に設けられた摺接子777と、を備える。
負極接続部774のケーブル接続部775は、充電ケーブル75に接続されている。また負極接続部774の摺接子777は、負極環状電路725に対し接しかつこの負極環状電路725に対し摺動自在となっている。負極接続部774及び摺接子777は、導電性の材料によって構成されており、これにより充電ケーブル75と負極環状電路725とが電気的に接続される。またこれにより充電ケーブル75とエネルギストレージ部6のキャパシタ611の負極61nとが電気的に接続される。
これら正極接続部770及び負極接続部774は、図示しない絶縁材を介して重ねた状態で絶縁プレート79に対しロータ72の径方向に沿って摺動自在に設けられている。またスプリング779は、これら正極接続部770及び負極接続部774の摺動方向に沿って圧縮された状態でこれら正極接続部770及び負極接続部774と絶縁プレート79との間に介挿されている。このためこれら正極接続部770及び負極接続部774の先端側に設けられた摺接子773,777は、ロータ72の径方向内側へ常に付勢され、常に環状電路722,725のフランジ部723,726と摺接する。
上述のようにロータ72は、ステータ71によってR軸周りで回動自在に設けられている。これに対し溶接ガン100Aでは、以上のようなコネクタ部77を介して充電ケーブル74,75と環状電路722,725とを接続する。これにより作業者は、充電ケーブル74,75とキャパシタ611との導通を確保しながら、溶接ガン100AをR軸周りで回動させることができる。
また上述のようにステータ71は、P軸周りで回動自在に設けられている。これに対し溶接ガン100Aでは、充電ケーブル74,75のうち支持部76によって支持される部分とコネクタ部77に接続される部分との間に、図18に示すようなたわみ部74a,75aを設ける。これにより作業者は、充電ケーブル74,75とキャパシタ611との導通を確保しながら、溶接ガン100AをP軸周りで回動させることができる。
以上のような本実施形態に係る溶接ガン100Aによれば、以下の効果を奏する。
本実施形態では、溶接ガン100Aを、ハンガー73を介して作業エリアの天井に設けられたレールに接続する。これにより、溶接ガン100Aの重量の大部分をハンガー73が担うこととなるので、溶接ガン100Aの位置や姿勢を変更する際における作業者の負担を軽減できる。
第1実施形態を参照して説明したように、本発明を適用した溶接ガンによれば、エネルギストレージ部6から供給される溶接電流の損失を低減できるという利点がある。よって本実施形態の溶接ガン100Aによれば、溶接電流の損失を低減できる分だけ、エネルギストレージ部6の重量も小さくでき、ひいては溶接ガン100A全体の重量も小さくできる。また本実施形態の溶接ガン100Aは、充電ケーブル74,75を介して外部から供給される電力でエネルギストレージ部6のキャパシタ611を充電する。このため溶接ガン100Aには、溶接トランスを搭載する必要がないため、その分だけ溶接ガン100A全体の重量も小さくできる。よって本実施形態によれば、溶接ガン100Aの位置や姿勢を変更する際における作業者の負担を軽減できる。
ところで以上のように充電ケーブル74,75を設けると、作業者が溶接ガン100Aの姿勢を変更する際(特にP軸周りで回動させる際)には、充電ケーブル74,75の張力が作用するため、少なからず操作性が悪化する。これに対し本発明を適用した溶接ガンによれば、エネルギストレージ部6から供給される溶接電流の損失を低減できるという利点があることから、エネルギストレージ部6の重量を小さくでき、ひいてはこれを充電するための充電ケーブル74,75には被覆が薄く、径の細いものを用いることができる。このため本実施形態によれば、作業者が溶接ガン100Aの姿勢を変更する際における充電ケーブル74,75の張力を小さくできるので、作業者による溶接ガン100Aの操作性を向上できる。
また溶接ガン100Aでは、摺接子773,777を介して充電ケーブル74,75とエネルギストレージ部6とを電気的に接続する。このように摺接子を用いて電気的に接続した場合、ねじ締結によって電気的に接続した場合よりも、溶接ガン100Aの作業者による操作性を向上できるという利点があるものの、電気抵抗が増加するという欠点がある。これに対し本発明を適用した溶接ガンによれば、エネルギストレージ部6から供給される溶接電流の損失を低減でき、ひいてはエネルギストレージ部6の重量を小さくできるという利点がある。このため溶接ガン100Aでは、エネルギストレージ部6へ供給する充電電力も少なくできるため、上述のように摺接子を採用することによる欠点が顕在化することもない。