以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における第1コネクタの斜視図、図2は本発明の実施の形態における第1コネクタの斜め上から観た分解図、図3は本発明の実施の形態における第1コネクタの斜め下から観た分解図である。なお、図1において、(a)は斜め上から観た図、(b)は斜め下から観た図である。
図において、1は、本実施の形態におけるコネクタである一対の基板対基板コネクタの一方としての第1コネクタである。該第1コネクタ1は、実装部材としての図示されない基板である第1基板の表面に実装される表面実装型のコネクタであって、後述される相手方コネクタとしての第2コネクタ101と互いに嵌合される。また、該第2コネクタ101は一対の基板対基板コネクタの他方であり、実装部材としての図示されない基板である第2基板の表面に実装される表面実装型のコネクタである。
なお、本実施の形態における第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、好適には、基板としての第1基板及び第2基板を電気的に接続するために使用するものであるが、他の部材を電気的に接続するためにも使用することができる。前記第1基板及び第2基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuit)等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
また、本実施の形態において、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
そして、前記第1コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された第1コネクタ本体としてのハウジングである第1ハウジング11を有する。該第1ハウジング11は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、第2コネクタ101が嵌入される側、すなわち、嵌合面11a側(図2における上側)には、周囲が囲まれた概略長方形の凹部12が形成されている。そして、該凹部12内には島部としての第1凸部13が第1ハウジング11と一体的に形成され、また、前記第1凸部13の両側には該第1凸部13と平行に延在する側壁部14が第1ハウジング11と一体的に形成されている。
この場合、前記第1凸部13及び側壁部14は、凹部12の底面から上方に向けて突出し、第1ハウジング11の長手方向に延在する。これにより、前記第1凸部13の両側には、凹部12の一部として、第1ハウジング11の長手方向に延在する細長い凹部である凹溝部12aが第1凸部13と側壁部14との間に形成される。
ここで、前記第1凸部13の両側の側面には凹溝状の第1端子収容内側キャビティ15aが形成されている。また、前記側壁部14の内側の側面には凹溝状の第1端子収容外側キャビティ15bが形成されている。そして、前記第1端子収容内側キャビティ15aと第1端子収容外側キャビティ15bとは、凹溝部12aの底面において連結され互いに一体化しているので、第1端子収容内側キャビティ15aと第1端子収容外側キャビティ15bとを統合的に説明する場合には、第1端子収容キャビティ15として説明する。
本実施の形態において、第1端子収容キャビティ15は、第1ハウジング11の長手方向に並んで該第1ハウジング11の幅方向両側に形成されている。具体的には、第1凸部13の両側に、所定のピッチで複数個ずつ形成されている。そして、第1端子収容キャビティ15の各々に収容される端子としての第1端子61も、第1凸部13の両側に、同様のピッチで複数個ずつ配設されている。
また、第1端子収容キャビティ15の各々に収容される第1端子61には、幅広の第1端子61A及び幅狭の第1端子61Bの2種類が存在するので、第1端子収容キャビティ15にも、幅広の第1端子61Aを収容する幅広の第1端子収容キャビティ15A及び幅狭の第1端子61Bを収容する幅狭の第1端子収容キャビティ15Bの2種類が存在する。そして、幅広の第1端子収容キャビティ15Aは、第1ハウジング11の幅方向両側の各列における長手方向の両端側にそれぞれ形成され、幅狭の第1端子収容キャビティ15Bは、各列において、両端の幅広の第1端子収容キャビティ15Aの間に形成されている。図に示される例においては、説明の都合上、幅狭の第1端子収容キャビティ15Bは、第1凸部13の両側に2個ずつ形成されているが、その個数は1個ずつであっても、3個以上ずつであってもよく、任意に設定することができる。
なお、幅広の第1端子収容キャビティ15Aと幅狭の第1端子収容キャビティ15Bとは、幅寸法以外は同様の構成を有するので、統合的に説明する場合には、第1端子収容キャビティ15として説明する。また、幅広の第1端子61Aと幅狭の第1端子61Bとは、幅寸法以外は同様の構成を有するので、統合的に説明する場合には、第1端子61として説明する。
前記第1端子61は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、被保持部63と、該被保持部63の下端に一端が接続されたテール部62と、前記被保持部63の上端に一端が接続された弾性変形可能な接触腕部68とを含んでいる。該接触腕部68は、略U字状に曲げられた板部材であって、具体的には、前記被保持部63の上端に接続された上側接続部67と、該上側接続部67の内方端近傍に形成された第2接触部66と、該第2接触部66に接続された下側接続部64と、該下側接続部64の自由端近傍に形成された第1接触部65とを備える。
そして、前記被保持部63は、上下方向、すなわち、第1ハウジング11の厚さ方向に延在し、前記第1端子収容外側キャビティ15bに嵌入されて保持される部分である。また、前記テール部62は、被保持部63に対して曲げて接続され、左右方向、すなわち、第1ハウジング11の幅方向に外方を向いて延出し、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。
さらに、前記接触腕部68は、被保持部63から第1ハウジング11の幅方向内側に向って延出する。具体的には、前記上側接続部67は、被保持部63に対して曲げて接続され、第1ハウジング11の幅方向内側に向って延出する。そして、前記上側接続部67の内側端には、下方に向けて曲げられ、かつ、第1ハウジング11の幅方向内側に向って突出するように湾曲した第2接触部66が形成されている。また、前記下側接続部64は、前記第2接触部66の下端に接続されたU字状の側面形状を備える部分である。前記下側接続部64の自由端、すなわち、前記内側の上端近傍には、U字状に曲げられ、かつ、第1ハウジング11の幅方向外側に向って突出するように湾曲した第1接触部65が形成されている。
特に、幅広の第1端子61Aの第1接触部65は第1ハウジング11の長手方向に向って幅広であることから、接触する部分は湾曲によって長手方向を軸とする円筒状になっている。
前記第1端子61は、実装面11b側(図3における下側)から、第1端子収容キャビティ15内に嵌入され、被保持部63が側壁部14の内側の側面に形成された第1端子収容外側キャビティ15bの側壁によって両側から挟持されることにより、第1ハウジング11に固定される。この状態、すなわち、第1端子61が第1ハウジング11に装填された状態において、前記第1接触部65と第2接触部66とは、凹溝部12aの左右両側に位置し、互いに向合っている。そして、互いに向合う第1接触部65と第2接触部66との間隔は、第2コネクタ101が備える後述される第2端子161の第1接触部165と第2接触部166との間隔よりも狭くなるように設定されている。また、前記第1接触部65及び第2接触部66は、いずれも、第2端子161にオーバーラップするように設定されている。
なお、第1端子61は、金属板に加工を施すことによって一体的に形成された部材であるので、弾性を備える。そして、第1接触部65及び第2接触部66は、いずれも、第1ハウジング11の幅方向に弾性的に変位可能である。また、互いに向合う第1接触部65と第2接触部66との間隔は、弾性的に変化可能である。すなわち、第1接触部65と第2接触部66との間に第2端子161が挿入されると、第1接触部65及び第2接触部66は第1ハウジング11の幅方向に弾性的に変位し、第1接触部65と第2接触部66との間隔は弾性的に伸長する。
さらに、すべての第1端子61は、すなわち、幅広の第1端子61A及び幅狭の第1端子61Bのいずれも、縦断面形状、すなわち、テール部62の自由端から、被保持部63を通過して、接触腕部68の自由端まで延在する軸線に沿った断面形状が同一となっている。したがって、すべての第1端子61において、テール部62から第2端子161との接触部分までの電気長が等しくなる。
また、前記第1ハウジング11の長手方向両端には嵌合ガイド部としての第1突出端部21が各々配設されている。各第1突出端部21には、前記凹部12の一部として突出端凹部22が形成されている。該突出端凹部22は、略長方形の凹部であり、各凹溝部12aの長手方向両端に接続されている。そして、突出端凹部22は、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、該第2コネクタ101が備える後述される第2ハウジング111の第2突出端部122が挿入される挿入凹部として機能する。
なお、前記突出端凹部22内における第1ハウジング11の幅方向両側に位置する一対の内壁面22aは、第1ハウジング11の長手方向及び第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合方向に延在する平面であって、前記突出端凹部22内に挿入された第2突出端部122の一対の外壁面122aと対向し、第1ハウジング11の幅方向に対する第2ハウジング111の位置決めの基準面として機能する。そして、互いに向合う内壁面22a同士の間隔は、前記外壁面122a同士の間隔よりも広くなるように設定されている。すなわち、対向する内壁面22aと外壁面122aとの間に、第1ハウジング11の幅方向のクリアランスが生じるように設定されている。
さらに、前記第1突出端部21は、側壁部14の長手方向両端から第1ハウジング11の長手方向に延出する側壁延長部21bと、第1ハウジング11の短手方向に延在し、両端が側壁延長部21bに接続された端壁部21cとを備える。
また、前記第1突出端部21には、補強金具としての第1補強金具51が取付けられる。該第1補強金具51は、第1突出端部21の外周に形成された第1金具保持凹部26内に収容されて保持される。該第1金具保持凹部26は、第1ハウジング11の厚さ方向、かつ、端壁部21cとその両端に接続された側壁延長部21bとが形成するへ字状の側壁の中心軸に沿った方向に延在する連続した外側端部収容部26aと、該外側端部収容部26aに連結し、側壁部14と側壁延長部21bとの間に形成され、第1ハウジング11の幅方向に外方を向いて開放する側板部収容キャビティ26dと、前記外側端部収容部26aに連結し、端壁部21cの外側面に開口する中央脚部収容キャビティ26cとを備える。
前記第1補強金具51は、金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、第1ハウジング11の幅方向に延在する細長い帯状の本体部としての第1本体部52と、該第1本体部52における第1ハウジング11の幅方向外側端に曲げて接続され、第1ハウジング11の長手方向に延在する側板部としての第1側板部57とを備える。第1補強金具51は、嵌合面11a側から観て、コ字状となっており、各第1金具保持凹部26内に収容される。
前記第1補強金具51は、さらに、第1側板部57の下端に接続された基板接続部としての第1側方脚部56と、前記第1本体部52における第1ハウジング11の幅方向内側端の下端に接続された基板接続部としての第1中央脚部55とを備える。前記第1側方脚部56は、第1側板部57と同一面上に延在する板状部材であり、前記第1中央脚部55は、第1本体部52と同一面上に延在する板状部材である。そして、前記第1側方脚部56は、その下端が第1基板の表面に形成された接続パッドにはんだ付等によって接続可能となっている。前記第1側方脚部56の下端が第1基板の補強用接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第1補強金具51はより変形しにくくなるので、第1ハウジング11の強度がより効果的に補強される。
前記第1補強金具51は、嵌合面11a側から、第1金具保持凹部26内に嵌入され、第1側方脚部56が側板部収容キャビティ26d内に収容され、第1中央脚部55が中央脚部収容キャビティ26c内に収容されて、第1ハウジング11に固定される。
次に、第2コネクタ101の構成について説明する。
図4は本発明の実施の形態における第2コネクタの斜視図、図5は本発明の実施の形態における第2コネクタの斜め上から観た分解図である。なお、図4において、(a)は斜め上から観た図、(b)は斜め下から観た図である。
相手方コネクタとしての第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された第2コネクタ本体としての相手方ハウジングである第2ハウジング111を有する。該第2ハウジング111は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備える。そして、第2ハウジング111の第1コネクタ1に嵌入される側、すなわち、嵌合面111a側(図4(a)における上側)には、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凹溝部113と、該凹溝部113の外側を画定するとともに、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凸部としての第2凸部112とが一体的に形成されている。該第2凸部112は、凹溝部113の両側に沿って、かつ、第2ハウジング111の両側に沿って形成されている。
また、各第2凸部112は、第2凸部112の内側の側面、第2凸部112の上面及び第2凸部112の外側の側面に連続して跨(またが)るようにして形成された凹溝状の第2端子収容キャビティ115を備える。そして、該第2端子収容キャビティ115内に、相手方端子としての第2端子161が収容されて装填されている。図に示されるように、凹溝部113は、第2基板に実装される側、すなわち、実装面111b(図4(b)における下面)側が底部によって閉止されている。
本実施の形態において、第2端子収容キャビティ115は、第2ハウジング111の長手方向に並んで該第2ハウジング111の幅方向両側に形成されている。具体的には、第2凸部112に、所定のピッチで複数個ずつ形成されている。そして、第2端子収容キャビティ115の各々に収容される端子としての第2端子161も、第2凸部112に、同様のピッチで複数個ずつ配設されている。
また、第2端子収容キャビティ115の各々に収容される第2端子161には、幅広の第2端子161A及び幅狭の第2端子161Bの2種類が存在するので、第2端子収容キャビティ115にも、幅広の第2端子161Aを収容する幅広の第2端子収容キャビティ115A及び幅狭の第2端子161Bを収容する幅狭の第2端子収容キャビティ115Bの2種類が存在する。そして、幅広の第2端子収容キャビティ115Aは、第2ハウジング111の幅方向両側の各列における長手方向の両端側にそれぞれ形成され、幅狭の第2端子収容キャビティ115Bは、各列において、両端の幅広の第2端子収容キャビティ115Aの間に形成されている。図に示される例においては、説明の都合上、幅狭の第2端子収容キャビティ115Bは、両側の第2凸部112に2個ずつ形成されているが、その個数は1個ずつであっても、3個以上ずつであってもよく、任意に設定することができる。
なお、幅広の第2端子収容キャビティ115Aと幅狭の第2端子収容キャビティ115Bとは、幅寸法以外は同様の構成を有するので、統合的に説明する場合には、第2端子収容キャビティ115として説明する。また、幅広の第2端子161Aと幅狭の第2端子161Bとは、幅寸法以外は同様の構成を有するので、統合的に説明する場合には、第2端子161として説明する。
該第2端子161は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、被保持部163と、該被保持部163の下端に接続されたテール部162と、前記被保持部163の上端に接続された接続部164と、該接続部164の内方端に接続された第1接触部165と、前記被保持部163の外側の表面に形成された第2接触部166とを備える。なお、前記第2端子161において、テール部162を除いた部分は、略U字状になっている。また、前記第2接触部166の表面には、第2接触凹部166aが形成されている。
また、本実施の形態において第1接触部165は平面状に形成されている。前述のように幅広の第1端子61Aの第1接触部65は第1ハウジング11の長手方向を軸として円筒状となっていることから、第1接触部65は平面状の第2端子161の第1接触部165に対して長手方向すなわち端子の幅方向全部を接触させることができる。
さらに、第1接触部65は第1端子61の先端側に形成されていることから比較的柔軟性があるため、平面状の第1接触部165が長手方向に対し若干斜めになったとしても追従してその幅方向全部を接触させることができる。
そして、前記第2端子161は、嵌合面111a側から、第2端子収容キャビティ115内に嵌入され、被保持部163が第2端子収容キャビティ115における第2凸部112の外側の側面に形成された部分に収容され、その側壁によって両側から挟持されることにより、第2ハウジング111に固定される。望ましくは、前記第2端子161は、インサート成形乃至オーバーモールド成形と称される成形方法によって、第2ハウジング111と一体化されて固定される。
この状態、すなわち、第2端子161が第2ハウジング111に装填された状態において、第1接触部165、接続部164及び第2接触部166の表面が第2凸部112の各側面及び嵌合面に露出した状態となる。また、前記テール部162は、第2ハウジング111の外方を向いて延出し、第2基板上の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。
そして、前記第1接触部165と第2接触部166とは、第2凸部112を両側から挟持するようにして第2ハウジング111に固定されているので、いずれも、実質的に第2ハウジング111の幅方向に変位不能であり、その間隔は不変である。すなわち、第1端子61の第1接触部65と第2接触部66との間に第2端子161が挿入されても、第1接触部165と第2接触部166とは実質的に第2ハウジング111の幅方向に変位せず、第1接触部65と第2接触部66とが弾性的に変位する。
さらに、すべての第2端子161は、すなわち、幅広の第2端子161A及び幅狭の第2端子161Bのいずれも、縦断面形状、すなわち、テール部162の自由端から、被保持部163を通過して、第1接触部165の先端まで延在する軸線に沿った断面形状が同一となっている。したがって、すべての第2端子161において、テール部162から第1端子61との接触部分までの電気長が等しくなる。
そして、前記第2ハウジング111の長手方向両端には相手方嵌合ガイド部としての第2突出端部122が各々配設されている。該第2突出端部122は、第2ハウジング111の幅方向に延在し、両端が各第2凸部112の長手方向両端に接続された肉厚の部材である。そして、前記第2突出端部122は、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、前記第1コネクタ1が備える第1突出端部21の突出端凹部22に挿入される挿入凸部として機能する。
なお、前記第2突出端部122における第2ハウジング111の幅方向両側に位置する一対の外壁面122aは、第2ハウジング111の長手方向及び第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合方向に延在する平面であって、前記第2突出端部122が挿入される第1突出端部21の突出端凹部22の一対の内壁面22aと対向し、第2ハウジング111の幅方向に対する第1ハウジング11の位置決めの基準面として機能する。そして、外壁面122a同士の間隔は、前記内壁面22a同士の間隔よりも狭くなるように設定されている。すなわち、対向する内壁面22aと外壁面122aとの間に、第2ハウジング111の幅方向のクリアランスが生じるように設定されている。
次に、前記構成の第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる動作について説明する。
図6は本発明の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合した状態を示す三面図、図7は本発明の実施の形態における第1端子及び第2端子のオーバーラップと第1ハウジング及び第2ハウジングのクリアランスとの関係を説明する図である。なお、図6において、(a)は斜め上から観た斜視図、(b)は斜め下から観た斜視図、(c)は側面図であり、図7において、(a)及び(b)は図6(c)におけるA-A及びB-B矢視断面図である。
本実施の形態において、第1端子61及び第2端子161は、信号ラインに接続されるものであってもよいし、電力ラインに接続されるものであってもよい。
例えば、第1端子61のすべて及び第2端子161のすべてを並列回路として電力ラインに接続することができる。この場合、幅広の第1端子61A及び幅狭の第1端子61Bは、縦断面形状が同一であって電気長が等しく、幅寸法のみが相違し、同様に、幅広の第2端子161A及び幅狭の第2端子161Bは、縦断面形状が同一であって電気長が等しく、幅寸法のみが相違するのであるから、抵抗値は幅寸法のみに依存し、分流計算を容易に行うことが可能となる。また、電流量が大きく、その結果、発熱量が大きな幅広の第1端子61A及び第2端子161Aが第1ハウジング11及び第2ハウジング111の長手方向の両端側に存在するので、熱が外部に散逸しやすく、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の内部に熱がこもることがない。
また、例えば、幅広の第1端子61A及び第2端子161Aを電力ラインに接続し、幅狭の第1端子61B及び第2端子161Bを信号ラインに接続することもできる。この場合、例えば、電子機器等に搭載される電池からの電力ラインを幅広の第1端子61A及び第2端子161Aに接続し、前記電池の識別番号、残量、温度等を示す信号を搬送する信号ラインを、幅狭の第1端子61B及び第2端子161Bに接続することが可能となる。また、この場合も、電力ラインが接続された幅広の第1端子61A及び第2端子161Aが第1ハウジング11及び第2ハウジング111の長手方向の両端側に存在するので、熱が外部に散逸しやすく、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の内部に熱がこもることがない。
ここでは、第1コネクタ1は、第1端子61のテール部62が図示されない第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されるとともに、第1補強金具51の第1側方脚部56の下端が第1基板の補強用接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第1基板に表面実装されているものとする。なお、幅狭の第1端子61Bのテール部62が接続される接続パッドに連結された導電トレースは、信号ラインであり、幅広の第1端子61Aのテール部62が接続される接続パッドに連結された導電トレースは電力ラインであるものとする。また、各テール部62が接続される接続パッドは、互いに分離された別個のものとする。したがって、第1コネクタ1が備える合計4つの幅広の第1端子61Aの各々には、4本の電力ラインの各々が接続されているものとする。
同様に、第2コネクタ101は、第2端子161のテール部162が図示されない第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第2基板に表面実装されているものとする。なお、幅狭の第2端子161Bのテール部162が接続される接続パッドに連結された導電トレースは、信号ラインであり、幅広の第2端子161Aのテール部162が接続される接続パッドに連結された導電トレースは、電力ラインであるものとする。また、各テール部162が接続される接続パッドは、互いに分離された別個のものとする。したがって、第2コネクタ101が備える合計4つの幅広の第1端子161Aの各々には、4本の電力ラインの各々が接続されているものとする。
まず、オペレータは、第1コネクタ1の第1ハウジング11の嵌合面11aと第2コネクタ101の第2ハウジング111の嵌合面111aとを対向させた状態とし、第2コネクタ101の第2凸部112の位置が第1コネクタ1の対応する凹溝部12aの位置と合致し、第2コネクタ101の第2突出端部122の位置が第1コネクタ1の対応する突出端凹部22の位置と合致すると、第1コネクタ1と第2コネクタ101との位置合せが完了する。
この状態で、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近する方向、すなわち、嵌合方向に移動させると、第2コネクタ101の第2凸部112及び第2突出端部122が第1コネクタ1の凹溝部12a及び突出端凹部22内に挿入される。これにより、図6に示されるように、第1ハウジング11と第2ハウジング111とが嵌合して第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、第1端子61と第2端子161とが導通した状態となる。
詳細には、各第1端子61の第1接触部65と第2接触部66との間に第2コネクタ101の第2端子161が挿入され、第1端子61の第1接触部65と第2端子161の第1接触部165とが接触し、第1端子61の第2接触部66と第2端子161の第2接触部166とが接触する。その結果、第1端子61のテール部62が接続された第1基板上の接続パッドに連結された導電トレースと、第2端子161のテール部162が接続された第2基板上の接続パッドに連結された導電トレースとが導通する。この場合、第1端子61と第2端子161とが多点接触となるので、導通状態が確実に維持される。
そして、接触腕部68のばね部としての機能によって、第1接触部65と第2接触部66とが第2端子161を両側から挟持する。さらに、第1端子61の第2接触部66が第2端子161の第2接触部166の表面に形成された第2接触凹部166aと係合する。これにより、第2端子161が第1端子61によって強固に保持されるので、第2端子161が第1端子61から離脱することが防止され、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が確実に維持される。
また、接触腕部68のばね部としての機能によって、第2端子161が第1端子61に対して第1ハウジング11の幅方向に相対的に変位しても、第1接触部65及び第2接触部66は、第2端子161の第1接触部165及び第2接触部166との接触状態を維持することができる。したがって、第1基板及び第2基板が実装されている電子機器等が落下したり外力を受けたりする際に発生する振動や衝撃が伝達され、第1端子61に対して第2端子161が第1ハウジング11の幅方向に相対的に変位した場合であっても、第1端子61と第2端子161との導通状態を維持することができるので、導通が一時的に遮断される、いわゆる瞬断と呼ばれる現象が発生することがない。
さらに、接触腕部68のばね部としての機能が、幅狭の第1端子61Bよりも強く発揮される幅広の第1端子61Aが第1ハウジング11の長手方向の両端側に存在するので、第2ハウジング111が第1ハウジング11に対して相対的に回転したり、捩(ねじ)れたりするように変位した場合であっても、回転中心から遠距離に存在する幅広の第1端子61Aの接触腕部68が発揮するばね力に起因する回転モーメントが大きいので、変位量が抑制され、瞬断が発生することがない。
前述のように、第1端子61の第1接触部65及び第2接触部66は、第2端子161とオーバーラップするように設定されている。ここで、オーバーラップとは、接触腕部68が弾性的に変形しない、すなわち、第1接触部65及び第2接触部66が弾性的に変位しないと仮定した場合において、図7(a)に示されるように、第1ハウジング11の幅方向の中心軸と第2ハウジング111の幅方向の中心軸とが、軸線Cで示されるように、一致した状態で第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了したときに、第1接触部65及び第2接触部66が第2端子161に重なることであり、その重なり量がオーバーラップ量である。
換言すると、オーバーラップとは、第1端子61が、接触腕部68が弾性的に変形する前の初期状態にあるときの第1コネクタ1の横断面図を、第1ハウジング11の幅方向の中心軸と第2ハウジング111の幅方向の中心軸とが一致するように第2コネクタ101の横断面図に重ねた場合に、第1接触部65及び第2接触部66が第2端子161に重なることであり、その重なり量がオーバーラップ量である。
本実施の形態においては、第1端子61の2つの接触部のうちのいずれか一方のみでなく、2つの接触部の両方ともが、すなわち、第1接触部65及び第2接触部66のいずれもが第2端子161とオーバーラップするように設定されている。具体的には、第1接触部65のオーバーラップ量は、第2端子161の第1接触部165に対するオーバーラップ量であり、図7(a)において、α1で示され、第2接触部66のオーバーラップ量は、第2端子161の第2接触部166の表面に形成された第2接触凹部166aに対するオーバーラップ量であり、図7(a)において、α2で示されている。
なお、α1>α2となるように設定される。これは、第1ハウジング11に保持されて固定されている被保持部63に比較的近い第2接触部66は、弾性が比較的低く、すなわち、比較的硬く、弾性的な変位量が比較的小さいのに対し、前記被保持部63から比較的離れている第1接触部65は、弾性が比較的高く、すなわち、比較的軟らかく、弾性的な変位量が比較的大きいためである。
このように、第2端子161の両側に存在する第1接触部65及び第2接触部66のいずれもが第2端子161とオーバーラップするので、第2端子161が第1端子61に対して第1ハウジング11の幅方向の左右いずれに相対的に変位しても、第1接触部65及び第2接触部66が、それに追随して変位することができ、第2端子161を両側から挟持した状態を維持することができる。したがって、第1端子61に対して第2端子161が第1ハウジング11の幅方向に相対的に変位した場合であっても、第2端子161が第1端子61から離脱することが防止され、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が確実に維持されるとともに、変位量が抑制され、瞬断が発生することがない。また、テール部62から第2端子161との接触部分までの電気長が変化することがない。
例えば、仮に、第1接触部65のみが第2端子161とオーバーラップし、第2接触部66が第2端子161とオーバーラップしないように設定されているとすると、第2端子161が第1端子61に対して被保持部63から離れる方向に変位した場合、第2接触部66は、それに追随して変位することができず、第2端子161から離れてしまう。そうすると、第1端子61が第2端子161を両側から挟持した状態が維持されないので、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合の維持が不確実になり、変位量が大きくなって、瞬断が発生する可能性がある。さらに、テール部62から近い位置での第2端子161との接触が消滅してテール部62から遠い位置で第2端子161と接触することになるので、電気長が増大してしまう。
また、前述のように、第1ハウジング11の突出端凹部22の内壁面22aと第2コネクタ101の第2突出端部122の外壁面122aとの間に、第1ハウジング11の幅方向のクリアランスが生じるように設定されている。ここで、第1ハウジング11の幅方向のクリアランスとは、図7(b)に示されるように、第1ハウジング11の幅方向の中心軸と第2ハウジング111の幅方向の中心軸とが、軸線Cで示されるように、一致した状態で第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了したときに、第1ハウジング11の突出端凹部22の内壁面22aと、前記突出端凹部22に挿入された第2コネクタ101の第2突出端部122の外壁面122aとの間の間隙(げき)であり、間隙の量がクリアランス量である。
換言すると、第1ハウジング11の幅方向のクリアランスとは、第1コネクタ1の横断面図を、第1ハウジング11の幅方向の中心軸と第2ハウジング111の幅方向の中心軸とが一致するように第2コネクタ101の横断面図に重ねた場合に、互いに対向する内壁面22aと外壁面122aとの間に生じる間隙であり、間隙の量がクリアランス量である。
本実施の形態においては、第1接触部65及び第2接触部66のオーバーラップ量のいずれもが、第1ハウジング11の幅方向のクリアランス量よりも大きく設定されている。具体的には、第1ハウジング11の幅方向のクリアランス量は、図7(b)において、βで示されている。そして、α1>α2>βとなるように設定される。
このように、第1接触部65及び第2接触部66のオーバーラップ量のいずれもが、第1ハウジング11の幅方向のクリアランス量よりも大きいので、第2端子161が第1端子61に対して第1ハウジング11の幅方向の左右いずれに相対的に変位しても、その変位量がクリアランス量を超えないから、第1接触部65及び第2接触部66が、それに追随して変位することができ、第2端子161を両側から挟持した状態を維持することができる。したがって、第1端子61に対して第2端子161が第1ハウジング11の幅方向に相対的に変位した場合であっても、第2端子161が第1端子61から離脱することが防止され、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が確実に維持されるとともに、変位量が抑制され、瞬断が発生することがない。また、テール部62から第2端子161との接触部分までの電気長が変化することがない。
このように、本実施の形態において、コネクタは、第1ハウジング11と、第1ハウジング11の長手方向に並んで第1ハウジング11の幅方向両側に装填される複数の第1端子61とを備える第1コネクタ1と、第1ハウジング11と嵌合する第2ハウジング111と、第2ハウジング111の長手方向に並んで第2ハウジング111の幅方向両側に装填される複数の第2端子161とを備える第2コネクタ101とを含む。そして、第1端子61の各々は、互いに向合う第1接触部65及び第2接触部66を含み、第1接触部65及び第2接触部66は、いずれも、第2端子161にオーバーラップし、第2端子161の各々は、第1ハウジング11と第2ハウジング111とが嵌合すると、対応する第1端子61の第1接触部65と第2接触部66との間に挿入されて第1端子61と接触する。
これにより、第1端子61と第2端子161との係合状態を確実に維持することができ、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が確実に保持され、信頼性を向上させることができる。また、第1端子61に対して第2端子161が第1ハウジング11の幅方向に相対的に変位した場合であっても、第2端子161が第1端子61から離脱することが防止され、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が確実に維持されるとともに、変位量が抑制され、瞬断が発生することがない。
また、第1接触部65及び第2接触部66のオーバーラップ量は、第1ハウジング11の幅方向のクリアランス量よりも大きい。これにより、第1端子61に対して第2端子161が第1ハウジング11の幅方向に相対的に変位した場合であっても、第1接触部65及び第2接触部66のいずれもが第2端子161から離脱することがなく、テール部62から第2端子161との接触部分までの電気長が変化することがない。
さらに、複数の第1端子61のうちの第1ハウジング11の長手方向の両端側に位置する第1端子61Aは、他の第1端子61Bよりも幅広であり、複数の第2端子161のうちの第2ハウジング111の長手方向の両端側に位置する第2端子161Aは、他の第2端子161Bよりも幅広である。これにより、熱が外部に散逸しやすく、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の内部に熱がこもることがない。また、第2ハウジング111が第1ハウジング11に対して相対的に回転したり、捩れたりするように変位した場合であっても、変位量が抑制され、瞬断が発生することがない。
さらに、複数の第1端子61のすべては縦断面形状が同一であり、複数の第2端子161のすべては縦断面形状が同一である。これにより、すべての第1端子61と第2端子161との係合状態が等しくなるので、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が確実に保持され、信頼性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、第2端子161の外側の第2接触凹部166aと第1端子61のテール部62及び被保持部63に近い第2接触部66を接触させ、第2端子内側で平面状の第1接触部165と第1端子61のテール部62から遠い先端側の第1接触部65を接触させている。
第1端子61の第2接触部66はテール部62及び被保持部63から近いため剛性が高く、嵌合時に第2接触凹部166aと接触することで良好な接触圧と嵌合力を持つことができる。
また、第1端子61の第1接触部65はテール部62及び被保持部63から遠く、比較的柔軟性があるため、平面状の第2端子161の第1接触部165に良好に接触することができ、衝撃などで第2接触凹部166aと第2接触部66の全幅での接触が保てなくなったときでも、第1接触部65での端子の幅方向での接触を安定して保つことができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。