[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係る殺菌装置10について、図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る殺菌装置10は、容器90(「殺菌対象物」の一例)の内面90A(「殺菌対象物の一方の面」の一例)及び外面90B(「殺菌対象物の他方の面」の一例)を殺菌する装置である。容器90は、例えば、PETボトル等の容器であり、その内面90Aに、電子線Eの照射に弱い材質の膜であるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜が被覆されている。なお、本発明に係る殺菌装置10が殺菌する殺菌対象物は容器90に限定されるものではなく、内面及び外面を有する殺菌対象物であれば、例えば、容器90を成形するためのプリフォームであっても構わない。また、容器90は、その一方の面がポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂で被覆され、又はその一方の面の一部を当該樹脂により構成する容器であっても構わない。さらに、容器90は、例えば、目薬用の容器のように、電子線照射器の電子エミッタをその内部に挿入することができない容器であっても構わない。すなわち、容器90は、何らかの事情によりその一方の面に電子線が照射できない、或いは電子線の照射が好ましくない容器である。
殺菌装置10は、クリーンルーム又はアイソレータ等の無菌環境室(図示せず)に接続され、殺菌した容器90を当該無菌環境室に供給する。図1に示すように、殺菌装置10は、容器90の外面90Bに電子線Eを照射する電子線照射器11と、容器90の内面90Aに紫外線Uを照射する紫外線照射器20と、を備える。
電子線照射器11は、容器90の外面90Bに電子線Eを照射することにより容器90の外面90Bを殺菌するものである。電子線照射器11は、電子線Eを発生させる電子線発生器12を備える。電子線発生器12には、例えば、発生した電子線Eを集束及び/又は発散させる図示しない静電レンズが必要に応じて配置される。なお、電子線照射器11は、図1に示すような構造に限定されるものではなく、容器90の外面90Bに電子線Eを照射可能なものであれば構わない。
電子線照射器11は、殺菌される容器90の一方の側面(図1では、容器90の右側面)側に、容器90の一方の側面と対向させて配置される。すなわち、電子線照射器11は、容器90の一方向側から電子線Eを照射する。なお、電子線照射器11の配置は、図1に示すような配置に限定されるものではなく、容器90の外面90Bに電子線Eを照射可能な配置であれば、例えば、容器90の両側面(図1では、容器90の左右両側面)側に、容器90の両側面と対向させて配置しても構わない。すなわち、容器90の他方向側から電子線Eを照射するように複数の電子線照射器11を容器90に対して配置しても構わない。
紫外線照射器20は、容器90の内面90Aに紫外線Uを照射することにより容器90の内面90Aを殺菌するものである。紫外線照射器20は、容器90の上方に配置される。紫外線照射器20は、紫外線Uを照射する紫外線光源21と、紫外線光源21を放射線から保護する遮蔽箱22(「遮蔽体」の一例)と、を備える。
紫外線光源21は、キセノン管、水銀ランプ等のアークランプ光源、発光ダイオード等のLED光源、或いはプラズマを利用した光源等から構成される。紫外線光源21は、その光源が容器90の上部の開口90Cに向けて下方向に配置されている。
上述のように、殺菌装置10は、容器90の外面90Bを電子線照射器11からの電子線Eにより殺菌する。また、殺菌装置10による容器90の殺菌時には、容器90や周辺機器における電子線照射器11からの電子線Eが吸収される箇所で、エックス線X(制動エックス線)が二次的に発生する。すなわち、容器90や周辺機器を基点としてエックス線Xが発生する。さらに、二次的に発生したエックス線Xが、容器90や周辺機器にあたり、新たなエックス線が発生する。紫外線光源21は、電子線照射器11からの電子線E及び二次的に発生するエックス線Xから影響を受け易い。そのため、紫外線光源21は、電子線E又はエックス線Xが照射されることにより、紫外線Uの照射量が低下し、或いは故障する。そこで、殺菌装置10においては、紫外線光源21が遮蔽箱22の内部に設けられている。これにより、紫外線光源21は、電子線照射器11から電子線Eが照射されることにより発生する放射線から保護される。ここで、電子線照射器11から電子線Eが照射されることにより発生する放射線とは、電子線照射器11から電子線Eが照射されることにより二次的に発生するエックス線X(制動エックス線)、及び電子線照射器11から照射される電子線Eを例として含む放射線をいう。
遮蔽箱22は、電子線、エックス線等の放射線を遮蔽する材質からなる箱状の遮蔽材により構成される。具体的には、遮蔽箱22は、鉛、タングステン等の重金属から形成される箱体である。遮蔽箱22は、その外面が、オゾン、硝酸による腐食を防止するために、ステンレス、チタン、セラミック等の耐食材、或いは金等の耐食材でメッキされた部材で覆われている。遮蔽箱22には、紫外線光源21を冷却するための冷媒管15と、紫外線光源21の電源用配線の配線取出し管16と、が設けられる。遮蔽箱22は、遮蔽箱22自体を冷却するための水冷管(図示せず)或いはヒートシンク(図示せず)等を備えている。
遮蔽箱22は、その下側面部に紫外線光源21からの紫外線Uを取り出すための紫外線取出し窓23(「開口部」の一例)が形成されている。紫外線取出し窓23は、紫外線光源21が容器90に対して紫外線Uを照射可能な程度に開口する開口部である。紫外線取出し窓23は、遮蔽箱22の下側面部であって、遮蔽箱22の中心軸Pを中心として開口する。紫外線取出し窓23は、容器90の殺菌時に、容器90の開口90Cと対向するように形成されている。
遮蔽箱22は、その内部に紫外線光源21及び集光レンズ24が収納されている。紫外線光源21及び集光レンズ24は、遮蔽箱22の中心軸Pを中心として所定の間隔を空けて配置されている。
集光レンズ24は、紫外線光源21からの紫外線Uを紫外線取出し窓23に向けて集光する集光部材である。集光レンズ24は、紫外線光源21の下方、且つ紫外線取出し窓23の上方に配置される。紫外線光源21からの紫外線Uを紫外線取出し窓23に向けて集光することで、紫外線光源21からの紫外線Uを効率良く容器90に照射させることができる。
遮蔽箱22(紫外線取出し窓23)と、容器90との間には、紫外線光源21からの紫外線Uを容器90の内面90Aに導くための導光部材25が設けられている。導光部材25は、紫外線Uを導光する長尺状の部材であり、例えば、導光用ロッド或いは導光用ファイバー等により構成される。導光部材25は、その長尺状の部材の一端側が遮蔽箱22の紫外線取出し窓23に挿入されるとともに、その長尺状の部材の他端側が容器90の開口90Cから内部に挿入される。
次に、殺菌装置10の使用方法について説明する。なお、殺菌装置10の使用方法は、以下に示す使用方法に限定されるものではない。
図1に示すように、殺菌対象物である容器90を、紫外線照射器20の下方位置、且つ電子線照射器11の正面位置まで搬送する(「搬送工程」)。なお、所定位置に配置された容器90に対して、紫外線照射器20を容器90の上方から配置し、電子線照射器11を容器90の側方から配置しても構わない。紫外線照射器20は、容器90の開口90Cから導光部材25を挿入して、導光部材25を遮蔽箱22の紫外線取出し窓23と容器90の開口90Cとの間に配置する。
導光部材25が容器90内に挿入されると、電子線照射器11は、容器90の外面90Bに対して電子線Eを照射する(「電子線照射工程」)。これにより、電子線Eによる容器90の外面90Bの殺菌が開始される。電子線照射器11からの電子線Eの照射が開始されて所定時間経過後、紫外線照射器20は、容器90の内面90Aに対して紫外線Uを照射する(「紫外線照射工程」)。これにより、紫外線Uによる容器90の内面90Aの殺菌が開始される。ここで、所定時間とは、電子線照射器11による電子線Eの照射によって容器90を所定温度まで温めるために要する時間をいう。このように、殺菌装置10は、電子線照射器11から電子線Eを照射した後に、紫外線照射器20から紫外線Uを照射することにより容器90の殺菌を行う。すなわち、電子線Eの照射により容器90を温めた状態で紫外線Uを照射する。これにより、紫外線照射器20から照射される紫外線Uの殺菌効果が向上し、効率良く容器90の内面90Aを殺菌することができる。
このように、本発明の実施の形態1に係る殺菌装置10は、紫外線照射器20の紫外線光源21が遮蔽箱22によって電子線照射器11から電子線Eが照射されることにより発生する放射線から保護されていることから、紫外線光源21が当該放射線による影響を受け難くすることができる。また、紫外線照射器20を電子線照射器11の近傍に設置することができるため、殺菌装置10自体を小型化することができる。さらに、紫外線光源21からの紫外線Uを集光レンズ24により紫外線取出し窓23に向けて集光することで、紫外線光源21からの紫外線Uを効率良く容器90に照射させることができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る殺菌装置10Aについて、図面に基づき説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、殺菌装置10Aの使用方法は、殺菌装置10と同様のためその説明を省略する。
図2に示すように、本発明の実施の形態2に係る殺菌装置10Aは、遮蔽箱22の紫外線取出し窓23の開口面積を、本発明の実施の形態1に係る殺菌装置10の遮蔽箱22の紫外線取出し窓23の開口面積より小さく形成している。本発明の実施の形態1に係る殺菌装置10の遮蔽箱22は、電子線照射器11から電子線Eが照射されることにより発生する放射線(電子線E及びエックス線X)から紫外線光源21を保護するものであるが、紫外線取出し窓23から進入する当該放射線(特に、エックス線X)については充分に遮蔽することができない。そこで、殺菌装置10Aでは、紫外線取出し窓23の開口面積を小さくすることで、紫外線取出し窓23からの上記放射線の進入を防止している。
紫外線取出し窓23は、その開口面積が、紫外線光源21からの紫外線Uを容器90に対して照射可能な大きさで、且つ紫外線取出し窓23からの上記放射線の進入を防止可能な大きさとなるように形成されている。具体的には、紫外線取出し窓23は、その開口面積が、導光部材25の幅方向の断面積と略同程度の大きさに形成される。紫外線取出し窓23の開口面積は、紫外線光源21と紫外線取出し窓23間の距離、容器90と紫外線取出し窓23間の距離、電子線照射器11から照射される電子線Eのエネルギー強度、容器90の形状等の様々な要素を考慮して設定される。
殺菌装置10Aは、集光レンズ24が紫外線取出し窓23側に近づけて配置されている。集光レンズ24を紫外線取出し窓23側に近づけて配置することで、開口面積が小さい紫外線取出し窓23に向けて紫外線光源21からの紫外線Uを集光し易くなる。
このように、本発明の実施の形態2に係る殺菌装置10Aは、紫外線取出し窓23の開口面積を小さく形成することで、紫外線光源21からの紫外線Uを容器90に対して照射しつつ、紫外線取出し窓23からの上記放射線の進入を防止することができる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る殺菌装置10Bについて、図面に基づき説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、殺菌装置10Bの使用方法は、殺菌装置10と同様のためその説明を省略する。
図3(a)に示すように、本発明の実施の形態3に係る殺菌装置10Bは、紫外線光源21が、遮蔽箱22の中心軸Pからずらした位置に配置される。殺菌装置10Bは、紫外線取出し窓23が、遮蔽箱22の中心軸Pからずらした位置で、且つ紫外線光源21が配置されている側(図3(a)では右側)と反対側(図3(a)では左側)に配置される。紫外線取出し窓23は、その開口面積を、導光部材25の幅方向の断面積と略同程度の大きさに形成することで、紫外線取出し窓23の開口面積を小さくしている。
殺菌装置10Bは、紫外線光源21からの紫外線Uを反射するミラー26が、中心軸Pからずらした位置で、且つ中心軸Pを挟んだ紫外線光源21の反対側に配置される。上述のように、殺菌装置10Bは、紫外線光源21及び紫外線取出し窓23が、中心軸Pからずらした位置にあるため、紫外線光源21からの紫外線Uが紫外線取出し窓23に向けて照射され難い。そのため、ミラー26を中心軸Pからずらした位置で、且つ紫外線光源21と対向する位置に配置することで、紫外線光源21からの紫外線Uを紫外線取出し窓23に向けて反射させる。ミラー26は、紫外線光源21からの紫外線Uを紫外線取出し窓23に向けて反射可能な程度に、中心軸Pに対して所定の角度で傾斜して配置される。
このように、本発明の実施の形態2に係る殺菌装置10Bは、紫外線光源21を中心軸Pからずらした位置に配置し、且つ紫外線取出し窓23を中心軸Pからずらした位置で紫外線光源21が配置されている側と反対側に配置することで、紫外線取出し窓23から進入する放射線が直接紫外線光源21に照射されることを防止することができる。さらに、殺菌装置10Bは、ミラー26を設けることで、紫外線光源21からの紫外線Uを効率良く紫外線取出し窓23に向けて集光することができる。
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4に係る殺菌装置10Cについて、図面に基づき説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、殺菌装置10Cの使用方法は、殺菌装置10と同様のためその説明を省略する。
図3(b)に示すように、本発明の実施の形態4に係る殺菌装置10Cは、紫外線光源21が上方向に向けて配置される。すなわち、紫外線光源21が、紫外線取出し窓23が形成される方向と反対方向に向けて配置される。殺菌装置10Cは、紫外線光源21の下方(紫外線光源21と紫外線取出し窓23との間)に遮蔽板27を配置することで紫外線取出し窓23から進入する放射線を遮蔽する。遮蔽板27は、鉛、タングステン等の重金属からなる板状の遮蔽材により構成される。
殺菌装置10Cは、一対のミラー26が、遮蔽箱22の中心軸Pからずらした位置で、且つ紫外線光源21の上方の紫外線光源21を挟んで対向する位置に配置される。ミラー26は、紫外線光源21からの紫外線Uを紫外線取出し窓23に向けて反射可能な程度に、中心軸Pに対して所定の角度で傾斜して配置される。
このように、本発明の実施の形態4に係る殺菌装置10Cは、紫外線光源21を紫外線取出し窓23と反対方向に向けて配置することで、紫外線取出し窓23から進入する放射線が直接紫外線光源21に照射されることを防止することができる。また、殺菌装置10Cは、ミラー26を設けることで、紫外線光源21からの紫外線Uを効率良く紫外線取出し窓23に向けて集光することができる。
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5に係る殺菌装置10Dについて、図面に基づき説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、殺菌装置10Dの使用方法は、殺菌装置10と同様のためその説明を省略する。
図3(c)に示すように、本発明の実施の形態5に係る殺菌装置10Dは、一対の紫外線光源21が遮蔽箱22の内部に配置されている。すなわち、複数の紫外線光源21が遮蔽箱22の内側側面に沿って配置されている。紫外線光源21は、遮蔽箱22の中心軸Pからずらした位置で、且つ他方の紫外線光源21と対向する位置に配置される。具体的には、一方の紫外線光源21を遮蔽箱22の左側側面に沿って配置し、他方の紫外線光源21を遮蔽箱22の右側側面に沿って配置する。紫外線光源21は、中心軸Pに対して所定の角度で傾斜して配置される。
殺菌装置10Dは、複数のミラー26(図3(c)では4つのミラー26)が、遮蔽箱22の中心軸Pからずらした位置で、且つ紫外線光源21の下方に他方のミラー26と対向する位置に遮蔽箱22の内側側面に沿って配置される。具体的には、一方のミラー26を遮蔽箱22の左側側面に沿って配置し、他方のミラー26を遮蔽箱22の右側側面に沿って配置する。ミラー26は、紫外線光源21からの紫外線Uを紫外線取出し窓23に向けて反射可能な程度に、中心軸Pに対して所定の角度で傾斜して配置される。
このように、本発明の実施の形態5に係る殺菌装置10Dは、複数の紫外線光源21が遮蔽箱22の内側側面に沿って配置されることで、紫外線取出し窓23から進入する放射線が直接紫外線光源21に照射されることを防止することができる。また、殺菌装置10Dは、ミラー26を設けることで、紫外線光源21からの紫外線Uを効率良く紫外線取出し窓23に向けて集光することができる。
[実施の形態6]
次に、本発明の実施の形態6に係る殺菌装置10Eについて、図面に基づき説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、殺菌装置10Eの使用方法は、殺菌装置10と同様のためその説明を省略する。
図4に示すように、本発明の実施の形態6に係る殺菌装置10Eは、遮蔽箱22の内部に、紫外線取出し窓23から進入する放射線を遮蔽し、且つ紫外線光源21からの紫外線Uを透過する紫外線透過部材28が設けられている。紫外線透過部材28は、紫外線Uを除く放射線を遮断し、且つ紫外線Uを透過する板状体により構成される。紫外線透過部材28は、例えば、鉛、タングステン等の重元素粒子を含む石英ガラス、板厚の厚い石英ガラス等から構成される。紫外線透過部材28は、紫外線光源21と紫外線取出し窓23との間に配置される。紫外線透過部材28は、紫外線取出し窓23の開口部分の開口面積より大きな表面積の板状部材により構成される。
このように、本発明の実施の形態6に係る殺菌装置10Eは、遮蔽箱22の内部に紫外線透過部材28を設けることで、紫外線取出し窓23から進入する放射線が直接紫外線光源21に照射されることを防止しつつ、紫外線光源21からの紫外線Uを紫外線取出し窓23に向けて照射させることができる。
[実施の形態7]
次に、本発明の実施の形態7に係る殺菌装置10Fについて、図面に基づき説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、殺菌装置10Fの使用方法は、殺菌装置10と同様のためその説明を省略する。
図5に示すように、本発明の実施の形態7に係る殺菌装置10Fは、紫外線取出し窓23から進入する放射線を遮蔽する遮蔽板29が遮蔽箱22の内部に設けられている。遮蔽板29は、鉛、タングステン等の重金属からなる板状の遮蔽材により構成される。殺菌装置10Fは、複数の遮蔽板29(図5では2枚の遮蔽板29)が、紫外線光源21と、紫外線取出し窓23との間で、遮蔽箱22の上下方向に所定の間隔を空けて配置される。殺菌装置10Fは、2枚の遮蔽板29のうちの一方の遮蔽板29が、遮蔽箱22の一方の側面(左側側面)から水平に中心軸Pと直交するように突出して固定され、他方の遮蔽板29が、遮蔽箱22の他方の側面(右側側面)から水平に中心軸Pと直交するように突出して固定される。このように複数の遮蔽板29を配置することで、平面視において紫外線取出し窓23が遮蔽板29によって塞がれた状態となり、紫外線取出し窓23から進入する放射線を遮蔽板29によって遮蔽することができる。
遮蔽箱22の内部において、紫外線光源21と紫外線取出し窓23との間に遮蔽板29によって形成される空間Kには、紫外線光源21からの紫外線Uを紫外線取出し窓23に導く導光用ファイバー30(「導光体」の一例)が配置されている。殺菌装置10Fは、平面視において紫外線光源21と紫外線取出し窓23との間が遮蔽板29によって遮蔽されているため、紫外線光源21からの紫外線Uが紫外線取出し窓23まで照射されない。そこで、殺菌装置10Fでは、紫外線光源21と紫外線取出し窓23との間に遮蔽板29によって形成される空間Kに導光用ファイバー30を配置することで、紫外線光源21からの紫外線Uを、導光用ファイバー30を介して紫外線取出し窓23まで導光させる。導光用ファイバー30は、遮蔽板29によって形成される空間Kに沿って配置できるように、湾曲可能な部材により構成されている。
このように、本発明の実施の形態7に係る殺菌装置10Fは、遮蔽箱22の内部に遮蔽板29を設けることで、紫外線取出し窓23から進入する放射線が直接紫外線光源21に照射されることを防止することができる。殺菌装置10Fは、導光用ファイバー30を設けることで、紫外線光源21からの紫外線Uを効率良く紫外線取出し窓23に向けて集光することができる。なお、遮蔽板29は、紫外線取出し窓23から進入する放射線を遮蔽する遮蔽材により構成されているが、これに限定されるものではなく、紫外線透過部材28と同様に、紫外線取出し窓23から進入する放射線を遮蔽し、且つ紫外線光源21からの紫外線Uを透過する紫外線透過部材により構成しても構わない。すなわち、遮蔽板29は、紫外線Uを除く放射線を少なくとも遮蔽可能な部材により構成されていれば構わない。
[実施の形態8]
次に、本発明の実施の形態8に係る殺菌装置10Gについて、図面に基づき説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6(a)に示すように、本発明の実施の形態8に係る殺菌装置10Gは、容器90の内部に配置される紫外線照射器20Aによって容器90の内面90Aを殺菌するものである。紫外線照射器20Aは、容器90の内部中央であって、容器90の長手方向に沿って配置される。紫外線照射器20Aは、紫外線Uを照射する紫外線光源21Aと、紫外線光源21Aを放射線から保護する遮蔽板群31(「遮蔽体」の一例)と、を備える。
紫外線光源21Aは、キセノン管、水銀ランプ等の棒状のアークランプ光源、或いは紫外線Uを360°照射可能な発光ダイオード等のLED光源の集合体、プラズマ光源から構成される。紫外線光源21Aは、その光源が容器90の内面90Aと対向するように、容器90の中央部に、容器90の長手方向に沿って配置される。
遮蔽板群31は、電子線、エックス線等の放射線を遮蔽する材質からなる複数の遮蔽板31A(図6(a)では6枚の遮蔽板31A)の集合体により構成される。遮蔽板31Aは、鉛、タングステン等の重金属からなる板状体により構成される。さらに、遮蔽板31Aは、その表面に紫外線Uの反射率が高い材質(例えば、アルミニウム)の膜が成膜されている。すなわち、遮蔽板31Aは、電子線、エックス線等の放射線を遮蔽するとともに、紫外線Uを反射する板状体である。遮蔽板31Aは、その長手方向の長さが紫外線光源21の長手方向の長さと同程度又は若干長く形成されている。
遮蔽板群31は、複数の遮蔽板31Aが紫外線光源21の周囲に、紫外線光源21の軸心と直交して配置される。遮蔽板31Aは、隣り合う遮蔽板31Aと互いに所定の間隔を空けて、互いに接触することなく配置される。また、紫外線光源21の側面視において、紫外線光源21の側面全周が複数の遮蔽板31Aによって覆われた状態となるように、遮蔽板31Aは、隣接する遮蔽板31Aに対して所定の角度で配置される。遮蔽板群31は、このように遮蔽板31Aを配置することで、容器90の側面から進入する電子線E及びエックス線Xを、紫外線光源21に対して遮断するとともに、紫外線光源21からの紫外線Uを、遮蔽板31Aに反射させつつ、隣り合う遮蔽板31A間を進んで、容器90の内面90Aに照射させる。
次に、殺菌装置10Gの使用方法について説明する。なお、殺菌装置10Gの使用方法は、以下に示す使用方法に限定されるものではない。
殺菌対象物である容器90を、紫外線照射器20Aの下方位置、且つ電子線照射器11の側方位置まで搬送する(「搬送工程」)。なお、所定位置に配置された容器90に対して、紫外線照射器20Aを容器90の上方から配置し、電子線照射器11を容器90の側方から配置しても構わない。続いて、紫外線照射器20Aを容器90の開口90Cから挿入して容器90の内部に配置する。なお、容器90を紫外線照射器20Aに対して挿入させても構わない。
紫外線照射器20Aが容器90の内部に配置されると、容器90が所定方向(図6(a)においては時計回り)に回転する。そして、電子線照射器11は、回転する容器90の外面90Bに対して電子線Eを照射する(「電子線照射工程」)。これにより、電子線Eによる容器90の外面90Bの殺菌が開始される。電子線照射器11からの電子線Eの照射が開始されて所定時間経過後、紫外線照射器20Aは、容器90の内面90Aに対して紫外線Uを照射する(「紫外線照射工程」)。これにより、紫外線Uによる容器90の内面90Aの殺菌が開始される。ここで、所定時間とは、電子線照射器11による電子線Eの照射によって容器90を所定温度まで温めるために要する時間をいう。
このように、本発明の実施の形態8に係る殺菌装置10Gは、紫外線照射器20Aの紫外線光源21Aが、遮蔽板群31によって、電子線照射器11から電子線Eが照射されることにより発生する放射線から保護されていることから、紫外線光源21Aが当該放射線による影響を受け難くすることができる。また、紫外線照射器20Aを電子線照射器11の近傍に設置することができるため、殺菌装置10G自体を小型化することができる。
[実施の形態9]
次に、本発明の実施の形態9に係る殺菌装置10Hについて、図面に基づき説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、殺菌装置10Hの使用方法は、殺菌装置10Gと同様のためその説明を省略する。
図6(b)に示すように、本発明の実施の形態9に係る殺菌装置10Hは、殺菌装置10Gと同様に、容器90の内部中央に配置される紫外線照射器20Bによって容器90の内面90Aを殺菌するものである。紫外線照射器20Bは、紫外線U照射する紫外線光源21Aと、紫外線光源21Aを放射線から保護する中空状遮蔽体32(「遮蔽体」の一例)と、を備える。
中空状遮蔽体32は、石英、サファイヤ、フッ素樹脂等の紫外線Uを透過可能な中空状の透明体により構成される。さらに、中空状遮蔽体32は、その透明体に電子線、エックス線等の放射線(紫外線Uを除く)を遮蔽するための鉛、タングステン等の重金属粒子が含有されている。すなわち。中空状遮蔽体32は、電子線、エックス線等の放射線を遮蔽するとともに、紫外線Uを透過する透明体である。中空状遮蔽体32は、その中空部分に紫外線光源21Aが挿着され、紫外線光源21Aの長手方向の外周を覆う。
このように、本発明の実施の形態9に係る殺菌装置10Hは、紫外線照射器20Bの紫外線光源21Aが、中空状遮蔽体32によって、電子線照射器11から電子線Eが照射されることにより発生する放射線から保護されていることから、紫外線光源21Aが当該放射線による影響を受け難くすることができる。また、紫外線照射器20Bを電子線照射器11の近傍に設置することができるため、殺菌装置10G自体を小型化することができる。
以上のように、前記実施の形態1から9では、電子線、エックス線等の放射線(紫外線Uを除く)を遮蔽するための遮蔽箱22、遮蔽板31A、中空状遮蔽体32を、鉛、タングステン等の重金属の部材により構成しているが、これに限定されるものではなく、電子線照射器11から電子線Eが照射されることにより発生する放射線のエネルギーが弱い場合には、遮蔽箱22、遮蔽板31A、中空状遮蔽体32を、重金属以外の他の金属、樹脂、ガラス、セラミック等で構成しても構わない。なお、このような部材により構成する場合には、部材の厚みを上記放射線を遮蔽可能な厚みにする必要がある。
また、前記実施の形態1から9では、紫外線Uと同時照射する放射線を電子線Eとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、コバルト60の放射線源を用いたγ線と紫外線Uとの同時照射であっても構わない。
さらに、前記実施の形態1から9では、電子線照射器11からの電子線Eの照射(「電子線照射工程」)が開始されて所定時間経過後に、紫外線照射器20Aからの紫外線Uの照射(「紫外線照射工程」)を開始しているが、このような方法に限定されるものではなく、電子線照射器11からの電子線Eの照射(「電子線照射工程」)と、紫外線照射器20Aからの紫外線Uの照射(「紫外線照射工程」)と、を同時に行っても構わない。両照射工程を同時に行うことで、容器90の殺菌時間を短縮することができ、容器90の殺菌を効率良く行うことができる。
さらに、前記実施の形態1から9では、殺菌対象物として、容器90の内面90Aが電子線Eの照射に弱い材質の膜であるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜により被覆された容器90としているが、これに限定されるものではなく、容器90の外面90Bが電子線Eの照射に弱い材質の膜で被覆された容器であっても構わない。なお、この場合には、殺菌装置を、容器の内面に電子線Eを照射し、容器の外面に紫外線Uを照射可能な構成とする必要がある。
さらに、前記実施の形態1から9では、殺菌対象物を容器90としているが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、一方の表面が電子線に弱い材質で構成されるフィルム95を、殺菌対象物としても構わない。この場合、フィルム95において電子線に弱い材質で構成される一方の表面95A側に紫外線照射器20Cを配置し、フィルム95において電子線に強い材質で構成される他方の表面95B側に電子線照射器11を配置した殺菌装置10Jを使用する。
紫外線照射器20は、紫外線Uを照射する複数(図7では2体)の紫外線光源21と、紫外線光源21を放射線から保護する遮蔽箱22(「遮蔽体」の一例)と、を備える。紫外線光源21は、遮蔽箱22内の一端側(図7では左側)に配置され、水平方向に紫外線Uを照射するように構成されている。遮蔽箱22は、電子線、エックス線等の放射線を遮蔽する材質からなる箱状の遮蔽材により構成される。遮蔽箱22は、その下側面部であって、紫外線光源21が配置される側と反対側(図7では右側)に、紫外線光源21からの紫外線Uを取り出すための紫外線取出し窓23が形成されている。紫外線取出し窓23とフィルム95との間には、紫外線光源21からの紫外線Uをフィルム95の表面95Aに導くための導光部材25が設けられている。遮蔽箱22内には、紫外線光源21からの紫外線Uを反射するミラー26が、紫外線光源21が配置される側と反対側(図7では右側)に設けられている。
さらにまた、前記実施の形態1から9は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。前記実施の形態1~9で説明した構成のうち「課題を解決するための手段」での第1の発明として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除および変更することが可能である。