JP7068990B2 - 波巻コイル - Google Patents

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Description

本発明は、波巻コイルに関する。
従来、ステータコアのスロットに挿入される波巻コイルとして、各相を構成するコイルを渦巻き状に巻回すると共に、最も内周側で折り返すものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2017-34847号公報
上記従来の波巻コイルは、波型状に成形した2本のコイルを渦巻き状に巻回する際に編み込む必要があるが、ステータコイルの複数層を連続させた長尺の波巻コイルを作製する際、例えば略直方体状の長尺プレートに波巻コイルを巻き取りながら、長尺プレートおよび波巻コイルを旋回させる工程が必要となる。しかし、実際には、この工程を、生産性を犠牲にすることなく成立させるのが困難であるという問題点があった。また、作製した波巻コイルをステータコアのスロットに装着する際、スロットの径方向位置によって、スロット間ピッチが変化するため、波巻コイルを長尺方向へ伸縮させる工程が必要となる。しかし、編み込みされた波巻コイルのように各コイル片が単体で自由に動くことができないコイル形状の場合、剛性の高い複数本の平角線を複数本同時に伸縮させる工程の成立が困難であるという問題点があった。
本発明は、コイルを編み込む必要がなく、容易に作業可能で、かつ、波巻コイルを構成するコイル線材が単体で自由に動ける構成とした、波巻コイルの生産性とステータコアのスロットへの装着性に優れた波巻コイルを提供することを目的とする。
(1) 本発明に係る波巻コイルは、複数並列されてステータコア(例えば、後述のステータコア50)のスロット(例えば、後述のスロット52)に挿入されるストレート部(例えば、後述のストレート部11)と、隣り合う前記ストレート部の端部(例えば、後述の上端部11a、下端部11b)同士を連結する複数のターン部(例えば、後述のターン部12)と、を有する複数のコイル線材(例えば、後述のコイル線材10)により構成され、前記ステータコアの周方向に沿って渦巻き状に巻回される波巻コイル(例えば、後述の波巻コイル1)であって、前記ステータコアの周方向に延びる第1コイル部(例えば、後述の第1コイル部2)と、前記ステータコアの周方向に延びると共に前記第1コイル部と平行に配置される第2コイル部(例えば、後述の第2コイル部3)と、前記第1コイル部の一方端部(例えば、後述の一方端部2a)と前記第2コイル部の一方端部(例えば、後述の一方端部3a)とを連結する連結部(例えば、後述の連結部4)と、を有し、前記第1コイル部と前記第2コイル部とは、前記連結部において折り返され、前記スロット内の径方向に隣接している。
上記(1)に記載の波巻コイルによれば、各層において隣り合うストレート部が、スロット内の径方向の同一位置に配置されるため、編み込みの必要がなく、ステータコアのスロットへ容易に装着可能である。また、第1コイル部と第2コイル部とが連結部において折り返されているため、コイル同士の結線部分を少なくできる。更に、波巻コイルは編み込まれていないため、波巻コイルを構成するコイル線材が、単体で自由に動くことができる。このため、波巻コイルは、生産性とステータコアのスロットへの装着性に優れる。
(2) (1)に記載の波巻コイルにおいて、前記ターン部は、二つの斜行部(例えば、後述の斜行部121)と一つの頂部(例えば、後述の頂部122)とを有し、前記二つの斜行部のうちの一方は、前記ストレート部に対して前記ステータコアの径方向外側にオフセットして配置される外側部位(例えば、後述の外側部位121a)を構成すると共に、前記二つの斜行部のうちの他方は、前記ストレート部に対して前記ステータコアの径方向内側にオフセットして配置される内側部位(例えば、後述の内側部位121b)を構成し、複数の前記コイル線材は、前記ターン部の前記外側部位同士及び前記内側部位同士を、それぞれ前記ステータコアの周方向にずらしながら重ねられてもよい。
上記(2)に記載の波巻コイルによれば、コイル線材のターン部同士が干渉しないので、径方向の厚みを抑制することができる。
(3) (1)又は(2)に記載の波巻コイルにおいて、前記連結部は、前記第1コイル部の前記一方端部に対して前記第2コイル部の前記一方端部を、前記ステータコアの周方向に沿って前記第1コイル部の他方端部(例えば、後述の他方端部2b)側にずらして連結していてもよい。
上記(3)に記載の波巻コイルによれば、第1コイル部及び第2コイル部の他方端部に配置されるコイル端末部同士がステータコアの周方向にずれて配置されるようになるため、コイル端末部を利用した第1コイル部及び第2コイル部に対する結線を容易に行うことが可能である。
(4) (3)に記載の波巻コイルにおいて、前記連結部は、巻回状態の最外周側に配置されてもよい。
上記(4)に記載の波巻コイルによれば、ステータコアのスロット内に最初に連結部を挿入して以降は、コイルを1本ずつステータコアのスロットに挿入することができる。さらには、編み込みされていないコイル形状であるため、コイルを1本ずつ伸縮させることが可能であり、コイル挿入時の拡径及び縮径にも対応することができる。
(5) (4)に記載の波巻コイルにおいて、前記第1コイル部は奇数層を構成し、前記第2コイル部は偶数層を構成してもよい。
上記(5)に記載の波巻コイルによれば、巻回状態の連結部において、第1コイル部を挟んで異なる層に配置される第2コイル部のターン部同士が干渉することがないため、連結部における径方向の厚みを抑制することができる。
(6) (3)に記載の波巻コイルにおいて、前記連結部は、巻回状態の最内周側に配置されてもよい。
上記(6)に記載の波巻コイルによれば、第1コイル部及び第2コイル部のコイル端末部がステータコアの外周側に配置されるため、コイル端末部を利用した第1コイル部と第2コイル部との結線を更に容易に行うことが可能である。
(7) (6)に記載の波巻コイルにおいて、前記第1コイル部は偶数層を構成し、前記第2コイル部は奇数層を構成してもよい。
上記(7)に記載の波巻コイルによれば、巻回状態の連結部において、第1コイル部を挟んで異なる層に配置される第2コイル部のターン部同士が干渉することがないため、連結部における径方向の厚みを抑制することができる。
(8) 本発明に係る波巻コイルは、(1)~(3)のいずれかに記載の波巻コイルからなる第1波巻コイル(例えば、後述の第1波巻コイル1A)及び第2波巻コイル(例えば、後述の第2波巻コイル1B)を有し、前記第1波巻コイルは、前記連結部(例えば、後述の連結部4A)が巻回状態の最外周側に配置され、前記第2波巻コイルは、前記連結部(例えば、後述の連結部4B)が巻回状態の最内周側に配置され、前記第1波巻コイルと前記第2波巻コイルとの他方端部(例えば、後述の他方端部2b、3b)同士が、前記ステータコア(例えば、後述のステータコア50)の周方向に沿って対向して配置され、且つ、前記第2波巻コイルが前記第1波巻コイルの内周側に配置される。
上記(8)に記載の波巻コイルによれば、ステータコアに装着される波巻コイルの第1コイル部と第2コイル部とが、第1波巻コイルと第2波巻コイルとの二つに分割された構造となるため、第1波巻コイルと第2波巻コイルとに対して別々の回路接続を行うことができ、波巻コイルの回路接続の自由度が向上する。また、ステータコアのスロットへの波巻コイルの装着時に波巻コイルの長尺方向への伸縮が必要となるが、特に外径側の層のコイルの伸縮代が大きくなる。外径側に連結部を備えることで、波巻コイルの装着性を向上させつつ、長尺コイルを二分割とすることにより、コイルの生産性も同時に向上させることができる。
(9) (8)に記載の波巻コイルにおいて、前記第1波巻コイルの前記第1コイル部は奇数層を構成し、前記第1波巻コイルの前記第2コイル部は偶数層を構成し、前記第2波巻コイルの前記第1コイル部は偶数層を構成し、前記第2波巻コイルの前記第2コイル部は奇数層を構成してもよい。
上記(9)に記載の波巻コイルによれば、第1波巻コイル及び第2波巻コイルにおける巻回状態の各連結部において、それぞれの第1コイル部を挟んで異なる層に配置される第2コイル部のターン部同士が干渉することがないため、第1波巻コイル及び第2波巻コイルの各連結部における径方向の厚みを抑制することができる。
(10) (1)~(9)のいずれかに記載の波巻コイルにおいて、前記第1コイル部及び前記第2コイル部は、前記連結部において、前記ストレート部の並び方向と直交する方向に折り返されていてもよい。
上記(10)に記載の波巻コイルによれば、渦巻き状に巻回する前の波巻コイルを一平面上でシート状に成形することができるため、複数層を有する波巻コイルを容易に成形可能である。
本発明によれば、コイルを編み込む必要がなく、容易に作業可能で、かつ、波巻コイルを構成するコイル線材が単体で自由に動ける構成とした、波巻コイルの生産性とステータコアのスロットへの装着性に優れた波巻コイルを提供することができる。
本発明に係る波巻コイルが挿入されるステータコアの一例を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る波巻コイルを一平面上に展開した状態を示す正面図である。 図2に示す波巻コイルの部分拡大図である。 図2に示す波巻コイルのうちの1本のコイル線材の部分拡大図である。 図4に示すコイル線材の平面図である。 第1の実施形態に係る波巻コイルの第1使用形態を示す等価図である。 第1使用形態に係る波巻コイルを渦巻き状に巻回した状態を模式的に示す図である。 第1使用形態に係る波巻コイルをステータコアに装着した状態を示す斜視図である。 第1使用形態に係る波巻コイルにおけるスロット内の各相のストレート部の配列状態を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る波巻コイルの第2使用形態を示す等価図である。 第2使用形態に係る波巻コイルを渦巻き状に巻回した状態を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る波巻コイルを一平面上に展開した状態を示す正面図である。 第2の実施形態に係る波巻コイルを示す等価図である。 第2の実施形態に係る波巻コイルを渦巻き状に巻回した状態を模式的に示す図である。 第2の実施形態に係る波巻コイルにおけるスロット内の各相のストレート部の配列状態の一例を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[ステータコア]
先ず、本発明に係る波巻コイルが挿入されるステータコアの一実施形態について、図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る波巻コイルが挿入されるステータコアの一例を示す平面図である。
ステータコア50は、中央に円形の軸孔51を有する六角柱状に形成される。軸孔51の内周側には、後述の波巻コイル1を装着する複数のスロット52が、ステータコア50の周方向(D1方向に沿う方向)に沿って均等間隔で放射状に配列されている。各スロット52は、ステータコア50の軸方向(図1における紙面に対する垂直方向)に貫通している。また、各スロット52は、径方向(D2方向に沿う方向)の内側の軸孔51に開放する開口部521から、径方向の外側に配置される底部522に向けて凹設された溝状に形成されている。このステータコア50は、72個のスロット52を備え、各スロット52に後述の波巻コイル1が挿入されることにより、72スロットのステータを構成する。
[第1の実施形態]
次に、波巻コイルの第1の実施形態について、図2、図3を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る波巻コイルを一平面上に展開した状態を示す正面図である。図3は、図2に示す波巻コイルの部分拡大図である。
本実施形態に示す波巻コイル1は、図2に示すように、第1コイル部2と第2コイル部3とを有する。第1コイル部2と第2コイル部3は、一平面上に展開した状態で、図中の上下に並列して配置されると共に、それぞれ図中のD1方向に沿って長尺に延びている。このD1方向は、ステータコア50の周方向に対応する。
第1コイル部2の一方端部(図2における上側の第1コイル部2の左端部)2aと、この一方端部2aと同じ側に配置される第2コイル部3の一方端部(図2における上側の第2コイル部3の左端部)3aとは、連結部4によって一体に連結されている。また、第1コイル部2の他方端部(図2における下側の第1コイル部2の右端部)2bと、この他方端部2bと同じ側に配置される第2コイル部3の他方端部(図2における下側の第2コイル部3の右端部)3bとは、図示しない駆動回路と電気的に接続されるコイル端末部16、17とされる。なお、図2に示す波巻コイル1の上側の第1コイル部2及び第2コイル部3のそれぞれの右端部と、下側の第1コイル部2及び第2コイル部3のそれぞれの左端部とは途切れることなく連続している。
波巻コイル1は、図3に示すように、複数本のコイル線材10により構成される。1本のコイル線材10はステータの一つの相に対応する。本実施形態に示す波巻コイル1は、U1及びU2の二つのU相と、V1及びV2の二つのV相と、W1及びW2の二つのW相と、に対応する3相6本のコイル線材10により構成される。1本のコイル線材10は、第1コイル部2と第2コイル部3とに亘って連続して延びている。
6本のコイル線材10は、同一の波型形状を有するため、1本のコイル線材10について図4を用いて説明する。図4は、図2に示す波巻コイルのうちの1本のコイル線材の部分拡大図である。
コイル線材10は、銅やアルミ等の断面矩形状の導体と、その導体の外表面を覆う絶縁被覆とからなる平角線により形成される。コイル線材10は、ステータコア50の周方向(D1方向)に沿って所定の間隔をおいて平行に並列される複数のストレート部11と、隣り合うストレート部11、11の上端部11a、11a同士又は下端部11b、11b同士を山型状に連結する複数のターン部12と、を有し、ステータコア50の周方向に長尺な波型形状に形成される。
ストレート部11は、ステータコア50のスロット52内に挿入される部位であり、スロット52の軸方向の長さと同一又は僅かに長く形成される。本実施形態に示す1本のコイル線材10は、第1コイル部2と第2コイル部3とで48本ずつ、合計96本のストレート部11を有する。1本のコイル線材10におけるストレート部11は、D1方向に隣り合うストレート部11、11の間に5スロット分の間隔をおいて並列配置される。このコイル線材10の第1コイル部2及び第2コイル部3において、隣り合う12本のストレート部11は、ステータコア50の1周分に対応する。従って、本実施形態に示すコイル線材10の第1コイル部2と第2コイル部3とは、ステータコア50の4周分ずつのストレート部11をそれぞれ有する。
コイル線材10の全てのストレート部11は、図4に示すように、第1コイル部2と第2コイル部3とが連結部4において折り返されていない展開状態において、同一平面上に配列されるように形成されている。
ターン部12は、コイル線材10の隣り合うストレート部11、11を、ステータコア50の軸方向の両外側で山型状に連結してコイルエンドを形成する部位である。具体的には、ターン部12は、コイル線材10の隣り合うストレート部11、11の上端部11a、11a同士又は下端部11b、11b同士を、ステータコア50の周方向に沿って交互に連結する。
ターン部12は、二つの斜行部121、121と、一つの頂部122と、を有する。斜行部121の一端は、ストレート部11の上端部11a又は下端部11bと一体に連結されている。一つのターン部12を構成する二つの斜行部121、121は、ストレート部11、11との連結部位から互いに近づく方向に斜め上方又は斜め下方に延びている。頂部122は、二つの斜行部121、121の他端同士が一体に連結することにより形成される。
ここで、更に図5を用いて、ターン部12における二つの斜行部121、121のオフセットについて説明する。図5は、図4に示すコイル線材の平面図である。
展開状態の波巻コイル1において、各ターン部12の二つの斜行部121、121のうちの一方は、ストレート部11の位置に対して、コイル線材10の線幅Xの半分の幅X/2だけステータコア50の径方向(D2方向に沿う方向、図4における紙面垂直方向)に対応する一方側(本実施形態では図4の紙面奥側)にオフセットして配置される外側部位121aを構成する。同様に、各ターン部12の二つの斜行部121、121のうちの他方は、ストレート部11の位置に対して、コイル線材10の線幅Xの半分の幅X/2だけステータコア50の径方向に対応する他方側(本実施形態では図4の紙面手前側)にオフセットして配置される内側部位121bを構成する。
具体的には、各ターン部12における一方の外側部位121aは、ストレート部11との連結部位において、ストレート部11に対して一方側(図4の紙面奥側)にX/2だけ変位(+X/2)した後、頂部122に向けて傾斜状に延びている。他方の内側部位121bは、頂部122において、外側部位121aに対して他方側(図4の紙面手前側)に1Xだけ変位(-1X)した後、隣りのストレート部11に向けて傾斜状に延び、そのストレート部11との連結部位において、再びステータコア50の径方向外側にX/2だけ変位(+X/2)している。
このため、一つのストレート部11から外側部位121a、頂部122及び内側部位121bを経て、隣りのストレート部11に向かうコイル線材10の径方向の変位は、合計で(+X/2)+(-1X)+(+X/2)=0となり、図3に示すように6本を並べて重ねたコイル線材10の各ストレート部11は、スロット52内の径方向の同一位置に配置される。即ち、6本のコイル線材10は、並べて重ねることにより一つの層を構成しても、ストレート部11の部位は、コイル線材10の線幅X分の幅しか有していない。なお、線幅Xは、ステータコア50の径方向(図4における紙面垂直方向、図5におけるD2方向)に沿うコイル線材10の厚みである。また、図5は、図4に示すコイル線材10のうちの第1コイル部2のみを示すが、第2コイル部3におけるターン部12の斜行部121、121も同様にオフセットされる。
図4に示すように、1本のコイル線材10において、第1コイル部2の外側部位121aは、ターン部12を構成する二つの斜行部121、121のうち、頂部122を境にしてD1方向(図示右側)に配置される斜行部121により構成され、第1コイル部2の内側部位121bは、頂部122を境にしてD1方向の反対方向(図示左側)に配置される斜行部121により構成される。一方、第2コイル部3の外側部位121aは、ターン部12を構成する二つの斜行部121、121のうち、頂部122を境にしてD1方向と反対方向(図示左側)に配置される斜行部121により構成され、第2コイル部3の内側部位121bは、頂部122を境にしてD1方向(図示右側)に配置される斜行部121により構成される。従って、コイル線材10の各ターン部12をD1方向に沿って見た場合、第1コイル部2及び第2コイル部3のいずれも、外側部位121aと内側部位121bとが交互に配置される。
連結部4は、第1コイル部2の一方端部2aに対応する部位に設けられる第1連結線13と、第2コイル部3の一方端部3aに対応する部位に設けられる第2連結線14と、を有する。第1連結線13は、第1コイル部2において最も連結部4側の端部に配置されるストレート部11の下端部11bから、第2コイル部3に向けて傾斜状(図2及び図3における右斜め下方)に延びている。一方、第2連結線14は、第2コイル部3において最も連結部4側の端部に配置されるストレート部11の上端部11aから、第1コイル部2に向けて傾斜状(図2及び図3における左斜め上方)に延びている。第1連結線13と第2連結線14との傾斜方向及び傾斜角度は略同一である。この第1連結線13及び第2連結線14の傾斜角度は、ターン部12において傾斜方向を略同一とする一方の斜行部121の傾斜角度と略同一である。
これにより、連結部4は、第1コイル部2の一方端部2aに対して第2コイル部3の一方端部3aを、ステータコア50の周方向に対応するD1方向に沿って第1コイル部2の他方端部2b(図2参照)側にずらして連結している。具体的には、第1連結線13に連結される第1コイル部2のストレート部11と、第2連結線14に連結される第2コイル部3のストレート部11とは、ストレート部11の並び方向(D1方向)に6スロットずれている。このため、第2コイル部3において連結部4の第2連結線14と連結されるストレート部11は、第1コイル部2において連結部4の第1連結線13と連結させるストレート部11の1本右隣りのストレート部11と、D1方向に沿って同一位置に配置される。
第1連結線13と第2連結線14との端部同士は、第3連結線15によって一体に連結されている。第3連結線15は、ストレート部11と平行に配置されているが、ストレート部11よりも遥かに短い。なお、第1連結線13、第2連結線14及び第3連結線15は一体となって、第1コイル部2のターン部12における斜行部121の内側部位121bと同様に、ストレート部11の位置に対してステータコア50の径方向に対応する他方側(図4における紙面手前側)にX/2だけオフセットして配置されている。
第1コイル部2と第2コイル部3とが連結部4において折り返されていない展開状態の波巻コイル1は、同一構造の6本のコイル線材10を、図2、図3における紙面奥側から手前側にかけて、編み込むことなく順次重ねることによって構成される。具体的には、6本のコイル線材10は、ステータコア50の軸方向(D3方向に沿う方向)の位置を同一に揃えられると共に、ステータコア50の周方向(D1方向)に1スロット分ずつずらされている。即ち、6本のコイル線材10は、ターン部12の外側部位121a同士及び内側部位121b同士を、それぞれステータコア50の周方向(D1方向)にずらしながら重ねられる。
これにより、図3に示すように、6本のコイル線材10は、各ターン部12において反対方向にオフセットしている斜行部121の外側部位121aと内側部位121bとが交差するように重ねられる。このとき、各ターン部12における外側部位121a同士及び内側部位121b同士は、径方向の同一位置に配置されるようになる。このため、ターン部12同士の干渉がなくなり、径方向の厚みが抑制される。
展開状態の波巻コイル1は、6本のコイル線材10が重ねられた状態で、図3に示すA線に沿って折り返される。具体的には、連結部4の第3連結線15が、A線を境にして、ストレート部11の並び方向(D1方向)と直交する方向(D3方向に沿う方向)に折り曲げられる。これにより、ステータコア50に装着される前の波巻コイル1は、第1コイル部2と第2コイル部3とが、連結部4で折り重ねられた二層構造とされる。折り返された後の第1コイル部2のストレート部11と第2コイル部3のストレート部11とは、1本ずれた同一位置に互いに重なり合う。第1連結線13と第2連結線14とは、連結部4で折り返されることで山型状となり、新たにターン部を形成する。第3連結線15は、新たに形成されたターン部の頂部となる。
このように、波巻コイル1は、第1コイル部2と第2コイル部3とが連結部4において折り返されているため、コイル同士の結線部分が少なくて済む。更に、波巻コイル1の第1コイル部2及び第2コイル部3は、連結部4において、ストレート部11の並び方向(D1方向)と直交する方向(D3方向に沿う方向)に折り返されるため、渦巻き状に巻回する前の波巻コイル1を一平面上でシート状に成形することができる。このため、複数層を有する波巻コイル1を容易に成形可能である。
連結部4で折り返された二層構造の波巻コイル1は、軸孔51よりも小径の渦巻き状に巻回された後、軸孔51内に挿入される。その後、波巻コイル1は、スロット52の開口部521から底部522に向けて拡径され、各層のストレート部11が、編み込まれることなく、スロット52に挿入される。波巻コイル1を構成する各コイル線材10は、編み込まれていないため、単体で自由に動くことが可能である。このため、コイル線材10を複数本同時に伸縮させることが可能であり、ストレート部11をスロット52に容易に挿入可能である。
ここで、以上のように6本のコイル線材10が重ねられて波巻コイル1が構成されることにより、第1コイル部2及び第2コイル部3は、それぞれ288本ずつのストレート部11を有する。ステータコア50は72スロットであるため、第1コイル部2及び第2コイル部3は、それぞれステータコア50の4周分ずつに相当する。具体的には、第1コイル部2は、ステータコア50の1周分を1層とする4層分の層ユニット21~24を構成し、第2コイル部3は、同様に4層分の層ユニット31~34を構成する。従って、波巻コイル1は、渦巻き状に巻回されてステータコア50のスロット52に挿入されることにより、全体として8層分の層ユニット21~24、31~34が、スロット52の径方向に積層される。
(波巻コイルの第1使用形態)
次に、この第1の実施形態に係る波巻コイル1の第1使用形態について、図6~図9を用いて説明する。
図6は、第1の実施形態に係る波巻コイルの第1使用形態を示す等価図である。図7は、第1使用形態に係る波巻コイルを渦巻き状に巻回した状態を模式的に示す図である。図8は、第1使用形態に係る波巻コイルをステータコアに装着した状態を示す斜視図である。図9は、第1使用形態に係る波巻コイルにおけるスロット内の各相のストレート部の配列状態を示す平面図である。
図6、図7に示すように、波巻コイル1の第1コイル部2は、8つの層のうちの奇数層を構成し、第2コイル部3は、偶数層を構成することができる。即ち、渦巻き状に巻回された波巻コイル1において、ステータコア50の径方向の最も内側(スロット52の開口部521側)を第1層とした場合、第1コイル部2の層ユニット24が第1層、層ユニット23が第3層、層ユニット22が第5層、層ユニット21が第7層をそれぞれ構成し、第2コイル部3の層ユニット34が第2層、層ユニット33が第4層、層ユニット32が第6層、層ユニット31が第8層をそれぞれ構成する。なお、図7において、第1コイル部2を破線で示し、第2コイル部3を実線で示している。また、図7中の白丸は、ステータコア50の周方向に隣り合う層ユニット同士の境界部を示し、黒丸は、第1コイル部2と第2コイル部3との連結部4を示す。
巻回状態の波巻コイル1の連結部4は、図7に示すように最外周側に配置される。具体的には、連結部4は、第1コイル部2の最も外周側に配置される最外周端部20aと、第2コイル部3の最も外周側に配置される最外周端部30aと、が連結されることにより構成される。最外周端部20aは、第一コイル部2の一方端部2aに対応し、最外周端部30aは、第2コイル部3の一方端部3aに対応する。また、第1コイル部2のコイル端末部16及び第2コイル部3のコイル端末部17は最内周側に配置される。
波巻コイル1は、第1コイル部2の層ユニット24が最も内周側(スロット52の開口部521側)となり、第2コイル部3の層ユニット31が最も外周側(スロット52の底部522側)となるように渦巻き状に巻回されて軸孔51に挿入され、スロット52の開口部521に向けて拡径される。その後、各層ユニット21~24、31~34のストレート部11が、第8層から第1層にかけて、スロット52に順次挿入される。全ての層ユニット21~24、31~34のストレート部11が、対応するスロット52に挿入されることにより、図8、図9に示すように、第1コイル部2及び第2コイル部3による8層分の層ユニット21~24、31~34からなる波巻コイル1が、ステータコア50のスロット52に挿入される。層ユニット21~24、31~34毎のストレート部11は、図9に示すように、スロット52内の径方向の同一位置に配置される。また、各スロット52には、同一相のストレート部11が積層されて配置される。
この第1使用形態に係る波巻コイル1によれば、第1コイル部2と第2コイル部3とが最外周端部20a、30aのみで連結されており、且つ編み込みされていないコイル形状であるため、ステータコア50のスロット52に対して内径側から挿入する際に、最初に連結部4側からスロット52に挿入した以降は、コイルを1本ずつステータコア50のスロット52に挿入することができる。更には、波巻コイル1は編み込みされていないことにより、コイルを1本ずつ伸縮させることが可能であり、コイル挿入時の拡径及び縮径にも容易に対応することができる。このため、渦巻き状に巻回された波巻コイル1を第8層側からスロット52に順次挿入する際の作業性が良好となる。
また、第1コイル部2と第2コイル部3とは連結部4によってステータコア50の周方向にずれて連結されているため、図7に示すように、第1コイル部2及び第2コイル部3のコイル端末部16、17同士もステータコア50の周方向にずれて配置される。従って、各コイル端末部16、17を利用した第1コイル部2及び第2コイル部3に対する結線を容易に行うことが可能である。
更に、第1コイル部2と第2コイル部3とがずれて連結されていることにより、図7に示すように、連結部4は、僅かに第8層側にずれて配置される。このとき、第7層の第1コイル部2を挟んで第6層と第8層にそれぞれ第2コイル部3が配置されるが、連結部4が第8層側にずれて配置されるために、連結部4において第6層と第8層の第2コイル部3同士(第2コイル部3のターン部12、12同士)が干渉することがなく、連結部4の径方向の厚みが抑制される。
(波巻コイルの第2使用形態)
次に、第1の実施形態に係る波巻コイル1の第2使用形態について、図10、図11を用いて説明する。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る波巻コイルの第2使用形態を示す等価図である。図11は、第2使用形態に係る波巻コイルを渦巻き状に巻回した状態を模式的に示す図である。
図10に示すように、第2使用形態に係る波巻コイル1は、第1コイル部2が偶数層を構成し、第2コイル部3が奇数層を構成する点で、第1使用形態に係る波巻コイル1と異なる。即ち、この波巻コイル1は、第1コイル部2の層ユニット21が第2層、層ユニット22が第4層、層ユニット23が第6層、層ユニット24が第8層をそれぞれ構成し、第2コイル部3の層ユニット31が第1層、層ユニット32が第3層、層ユニット33が第5層、層ユニット34が第7層をそれぞれ構成する点で、第1使用形態に係る波巻コイル1と相違する。
巻回状態の波巻コイル1の連結部4は、図11に示すように最内周側に配置される。具体的には、連結部4は、第1コイル部2の最も内周側に配置される最内周端部20bと、第2コイル部3の最も内周側に配置される最内周端部30bと、が連結されることにより構成される。最内周端部20bは、第1コイル部2の一方端部2aに対応し、最内周端部30bは、第2コイル部3の一方端部3aに対応する。また、第1コイル部2及び第2コイル部3のコイル端末部16、17は最外周側に配置される。
波巻コイル1は、第1コイル部2の層ユニット24が最も外周側(スロット52の底部522側)となるように渦巻き状に巻回されて軸孔51に挿入される。その後、スロット52の開口部521に向けて拡径されることにより、各ストレート部11が、第8層から第1層にかけてスロット52に順次挿入される。層ユニット21~24、31~34毎のストレート部11は、図9と同様に、スロット52内の径方向の同一位置に配置される。また、各スロット52には、同一相のストレート部11が積層されて配置される。
第2使用形態に係る波巻コイル1も、第1使用形態に係る波巻コイル1の場合と同様に、渦巻き状に巻回された波巻コイル1を第8層側からスロット52に順次挿入する際の作業性が良好となる効果が得られる。しかも、第1コイル部2及び第2コイル部3のコイル端末部16、17がステータコア50の最も外周側に配置されるため、各相の線をステータコア50の外周側から容易に取り出すことができる。
また、第1コイル部2と第2コイル部3とは連結部4によってステータコア50の周方向にずれて連結されていることにより、図11に示すように、連結部4は、僅かに第1層側にずれて配置される。このとき、第1コイル部2を挟んで第1層と第3層にそれぞれ第2コイル部3が配置されるが、連結部4が第1層側にずれて配置されるために、第1層と第3層の第2コイル部3同士(第2コイル部3のターン部12、12同士)が干渉することがなく、連結部4における径方向の厚みが抑制される。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る波巻コイルについて、図12~図15を用いて説明する。図12は、本発明の第2の実施形態に係る波巻コイルを一平面上に展開した状態を示す正面図である。図13は、第2の実施形態に係る波巻コイルを示す等価図である。図14は、第2の実施形態に係る波巻コイルを渦巻き状に巻回した状態を模式的に示す図である。図15は、第2の実施形態に係る波巻コイルにおけるスロット内の各相のストレート部の配列状態の一例を示す平面図である。
第2の実施形態に係る波巻コイル100は、図12に示すように、第1波巻コイル1Aと第2波巻コイル1Bとの二つの独立した波巻コイルで構成される。このため、波巻コイル100は、ステータコア50の周方向(D1方向)に二分割された構造を有する。第1波巻コイル1Aと第2波巻コイル1Bとは、層ユニットの数が半分である以外、即ち、D1方向の長さが半分である以外、それぞれ第1の実施形態に係る波巻コイル1と同様の構成を有する。
第1波巻コイル1Aは、第1コイル部2Aと第2コイル部3Aとで構成され、第2波巻コイル1Bは、第1コイル部2Bと第2コイル部3Bとで構成される。第1波巻コイル1Aにおいて、第1コイル部2Aは、二つの層ユニット201、202のみを有し、第2コイル部3Aは、二つの層ユニット301、302のみを有する。また、第2波巻コイル1Bにおいて、第1コイル部2Bは、二つの層ユニット203、204のみを有し、第2コイル部3Bは、二つの層ユニット303、304のみを有する。
第1波巻コイル1Aは、第1の実施形態に係る波巻コイル1と同様に、第1コイル部2Aの一方端部2aと第2コイル部3Aの一方端部3aとが連結部4Aで連結される。第1コイル部2Aの他方端部2bはコイル端末部16Aとされ、第2コイル部3Aの他方端部3bはコイル端末部17Aとされる。連結部4Aは、波巻コイル1の連結部4と同様に、第1コイル部2Aに対して、第2コイル部3Aを第1コイル部2Aの他方端部2b側にずらして連結している。
また、第2波巻コイル1Bも、第1の実施形態に係る波巻コイル1と同様に、第1コイル部2Bの一方端部2aと第2コイル部3Bの一方端部3aとが連結部4Bで連結される。第1コイル部2Bの他方端部2bはコイル端末部16Bとされ、第2コイル部3Bの他方端部3bはコイル端末部17Bとされる。連結部4Bは、波巻コイル1の連結部4と同様に、第1コイル部2Bに対して、第2コイル部3Bを第1コイル部2Bの他方端部2b側にずらして連結している。
この波巻コイル100では、第1波巻コイル1Aにおける第1コイル部2Aの層ユニット201が第7層を構成し、層ユニット202が第5層を構成する。また、第1波巻コイル1Aにおける第2コイル部3Aの層ユニット301が第8層を構成し、層ユニット302が第6層を構成する。一方、第2波巻コイル1Bにおける第1コイル部2Bの層ユニット203が第4層を構成し、層ユニット204が第2層を構成する。また、第2波巻コイル1Bにおける第2コイル部3Bの層ユニット303が第3層を構成し、層ユニット304が第1層を構成する。従って、第1波巻コイル1Aの第1コイル部2A及び第2波巻コイル1Bの第2コイル部3Bが奇数層を構成し、第1波巻コイル1Aの第2コイル部3A及び第2波巻コイル1Bの第1コイル部2Bが偶数層を構成する。
第1波巻コイル1Aと第2波巻コイル1Bとは、図13、図14に示すように、他方端部2b、3b同士がステータコア50の周方向に沿って対向して配置される。即ち、第1波巻コイル1Aの第1コイル部2Aの他方端部2bと、第2波巻コイル1Bの第2コイル部3Bの他方端部3bとが対向して配置され、第1波巻コイル1Aの第2コイル部3Aの他方端部2bと、第2波巻コイル1Bの第1コイル部2Bの他方端部3bとが対向して配置される。
これにより、第1波巻コイル1Aにおける第1コイル部2Aの層ユニット202と、第2波巻コイル1Bにおける第2コイル部3Bの層ユニット303と、が突き合わされるように配置されると共に、第1波巻コイル1Aにおける第2コイル部3Aの層ユニット302と、第2波巻コイル1Bにおける第1コイル部2Bの層ユニット203と、が突き合わされるように配置される。そして、第1波巻コイル1Aにおける第2コイル部3Aの層ユニット301が最も外周側(スロット52の底部522側)になり、第2波巻コイル1Bにおける第2コイル部3Bの層ユニット304が最も内周側(スロット52の開口部521側)になるように渦巻き状に巻回される。
巻回状態の波巻コイル100において、第1波巻コイル1Aの連結部4Aは、図14に示すように外周側に配置される。具体的には、連結部4Aは、第1波巻コイル1Aにおける第1コイル部2Aの最も外周側に配置される最外周端部200aと、第2コイル部3Aの最も外周側に配置される最外周端部300aと、が連結されることにより構成される。最外周端部200aは、第1波巻コイル1Aにおける第1コイル部2Aの一方端部2aに対応し、最外周端部300aは、第1波巻コイル1Aにおける第2コイル部3Aの一方端部3aに対応する。また、第1波巻コイル1Aにおける第1コイル部2A及び第2コイル部3Aのコイル端末部16A、17Aは、第1波巻コイル1Aにおける最内周側に配置される。
一方、巻回状態の波巻コイル100において、第2波巻コイル1Bの連結部4Bは、図14に示すように、波巻コイル100の内周側に配置される。具体的には、連結部4Bは、第2波巻コイル1Bにおける第1コイル部2Bの最も内周側に配置される最内周端部200bと、第2コイル部3Bの最も内周側に配置される最内周端部300bと、が連結されることにより構成される。最内周端部200bは、第2波巻コイル1Bにおける第1コイル部2Bの一方端部2aに対応し、最内周端部300bは、第2波巻コイル1Bにおける第2コイル部3Bの一方端部3aに対応する。また、第2波巻コイル1Bにおける第1コイル部2B及び第2コイル部3Bのコイル端末部16B、17Bは、第2波巻コイル1Bの最外周側に配置され、第1波巻コイル1Aのコイル端末部16A、17Aと対峙している。
この波巻コイル100は、図13に示すように、第1波巻コイル1Aと第2波巻コイル1Bとが突き合わされて長尺にされた後、第1波巻コイル1Aにおける第2コイル部3Aの層ユニット301が最も外周側であり、第2波巻コイル1Bにおける第2コイル部3Bの層ユニット304が最も内周側となるように、渦巻き状に巻回されて軸孔51に挿入される。その後、スロット52の開口部521に向けて拡径されることにより、各ストレート部11が、第8層から第1層にかけてスロット52に順次挿入される。層ユニット21~24、31~34毎のストレート部11は、図9と同様に、スロット52内の径方向の同一位置に配置される。各コイル端末部16A、16B、17A、17Bは、渦巻き状に巻回された波巻コイル100の径方向の中途部に配置される。
この第2の実施形態に係る波巻コイル100は、独立した第1波巻コイル1Aと第2波巻コイル1Bとで8層分のコイルを構成するため、径方向外側に配置される第1波巻コイル1Aの第1コイル部2A及び第2コイル部3Aと、径方向内側に配置される第2波巻コイル1Bの第1コイル部2B及び第2コイル部3Bとは、それぞれ異なる相に接続可能となり、回路接続の自由度が向上する。
波巻コイル100は、コイル線材10を編み込みせずに構成されるため、コイルエンド部を径方向にオフセットしてターン部を構成し、同一層のみでレーンチェンジを実現するコイル形状では、そのコイルエンド部が干渉してしまうため、内周側/外周側コイルを1スロットずらすことが難しい。しかし、この波巻コイル100のように、スロットをずらした位置に結線部を配置することで、電気的に位相をずらすことが可能である。例えば図15に示すように、第1コイル部2A及び第2コイル部3Aの各ストレート部11の相と、第1コイル部2B及び第2コイル部3Bの各ストレート部11の相とを、1スロット分ずらした構成とすることもできる。
また、ステータコア50のスロット52への波巻コイル100の装着時に波巻コイル100の長尺方向への伸縮が必要となるが、特に外径側の層のコイルの伸縮代が大きくなる。外径側(最外周側)に連結部4Aを備えることで、波巻コイル100の装着性を向上させつつ、長尺コイルを二分割とすることにより、コイルの生産性も同時に向上させることができる。
以上の各実施形態に示す波巻コイル1、100は、8層分の層ユニット21~24、31~34、201~204、301~304を有するものとしたが、波巻コイルの層数は、それぞれ複数の偶数層と奇数層とを含むものであればよく、8層に限定されない。また、ステータコア50のスロット数も72スロットに限定されない。
1、100 波巻コイル
1A 第1波巻コイル
1B 第2波巻コイル
10 コイル線材
11 ストレート部
11a (ストレート部の)上端部
11b (ストレート部の)下端部
12 ターン部
121 斜行部
121a 外側部位
121b 内側部位
2、2A、2B 第1コイル部
2a (第1コイル部の)一方端部
3、3A、3B 第2コイル部
3a (第2コイル部の)一方端部
4、4A、4B 連結部
50 ステータコア
52 スロット

Claims (5)

  1. 複数並列されてステータコアのスロットに挿入されるストレート部と、隣り合う前記ストレート部の端部同士を連結する複数のターン部と、を有する複数のコイル線材により構成され、前記ステータコアの周方向に沿って渦巻き状に巻回される波巻コイルであって、
    前記ステータコアの周方向に延びる第1コイル部と、
    前記ステータコアの周方向に延びると共に前記第1コイル部と平行に配置される第2コイル部と、
    前記第1コイル部の一方端部と前記第2コイル部の一方端部とを連結する連結部と、を有し、
    前記第1コイル部と前記第2コイル部とは、前記連結部において折り返され、前記スロット内の径方向に隣接している、波巻コイルからなる第1波巻コイル及び第2波巻コイルを有し、
    前記第1波巻コイルは、前記連結部が巻回状態の最外周側に配置され、
    前記第2波巻コイルは、前記連結部が巻回状態の最内周側に配置され、
    前記第1波巻コイルと前記第2波巻コイルとの他方端部同士が、前記ステータコアの周方向に沿って対向して配置され、且つ、前記第2波巻コイルが前記第1波巻コイルの内周側に配置される、波巻コイル。
  2. 前記ターン部は、二つの斜行部と一つの頂部とを有し、
    前記二つの斜行部のうちの一方は、前記ストレート部に対して前記ステータコアの径方向外側にオフセットして配置される外側部位を構成すると共に、前記二つの斜行部のうちの他方は、前記ストレート部に対して前記ステータコアの径方向内側にオフセットして配置される内側部位を構成し、
    複数の前記コイル線材は、前記ターン部の前記外側部位同士及び前記内側部位同士を、それぞれ前記ステータコアの周方向にずらしながら重ねられる、請求項1に記載の波巻コイル。
  3. 前記連結部は、前記第1コイル部の前記一方端部に対して前記第2コイル部の前記一方端部を、前記ステータコアの周方向に沿って前記第1コイル部の他方端部側にずらして連結している、請求項1又は2に記載の波巻コイル。
  4. 前記第1波巻コイルの前記第1コイル部は奇数層を構成し、前記第1波巻コイルの前記第2コイル部は偶数層を構成し、
    前記第2波巻コイルの前記第1コイル部は偶数層を構成し、前記第2波巻コイルの前記第2コイル部は奇数層を構成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の波巻コイル。
  5. 前記第1コイル部及び前記第2コイル部は、前記連結部において、前記ストレート部の並び方向と直交する方向に折り返されている、請求項1~のいずれか1項に記載の波巻コイル。
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