以下に、本開示の情報処理方法、情報処理システム及びプログラムについて、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
市中に設置された金融機関の端末を用いて、予めユーザに対応付けて登録してある現金の払出スケジュールに従ったタイミングで現金を払い出す情報処理システムについて説明する。図1は情報処理システムの構成例を示す模式図である。本実施形態の情報処理システム100は、金融機関サーバ10、金融機関の端末20、管理者用端末40等を含み、金融機関サーバ10、金融機関の端末20及び管理者用端末40は、広域イーサネット、VPN(Virtual Private Network )、専用回線又はインターネット等のネットワークNに接続可能であり、ネットワークNを介して情報の送受信を行う。例えば金融機関サーバ10及び金融機関の端末20を広域イーサネット、VPN又は専用回線を介して接続し、金融機関サーバ10及び管理者用端末40をインターネットを介して接続してもよい。金融機関の端末20は、例えばATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払い機)等を用いることができるが、以下では、ATM20として説明する。
金融機関サーバ10は、金融機関のサーバであり、金融機関に開設された各顧客の預貯金口座(以下では単に口座という)に対して、現金を払い出す払出スケジュールを登録する処理、払出スケジュールに従ってATM20にて現金を払い出す処理等、種々の情報処理を行う。なお、金融機関サーバ10は、各顧客の口座に対して、ATM、CD及びインターネットバンキング等を介して受け付けた入金、出金、振込、振替等の各取引に係る処理を行うが、これらの処理は公知であるため、詳細については説明を省略する。金融機関サーバ10は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を用いて構成される。金融機関サーバ10は、複数台設けられて分散処理する構成でもよく、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されてもよく、クラウドサーバを用いて実現されてもよい。
ATM20は、金融機関の店舗、コンビニエンスストア及びショッピングモール等の商業施設等、市中に分散配置されており、顧客の口座に対する入金、出金、振込、振替等の各取引の実行指示を受け付け、各取引に係る処理を行うように構成されている。ATM20は、例えば略四角柱状の筐体を有し、筐体内部に、紙幣及び貨幣(現金)が金種(金額)毎に収納される現金収納部(図示せず)が設けられている。またATM20の一面側(正面側)にはタッチパネル23、生体認証センサ26、金融機関で発行されたカード30をATM20内に挿入するためのカード挿入口20a、払い出された(出金された)現金が排出される現金トレイ20bが設けられている。なお、現金トレイ20bは、紙幣及び貨幣をATM20内に投入する際の現金投入口としても利用され、現金トレイ20bに投入された現金は金種毎に現金収納部に収納される。現金トレイ20bには、制御部21(図2参照)によって開閉が制御される開閉蓋が取り付けられていてもよい。タッチパネル23、生体認証センサ26、カード挿入口20a、現金トレイ20bの配置位置は、図1に示す例に限定されず、ユーザが操作し易い位置にそれぞれ設けてあればよい。
本実施形態のATM20は、生体認証センサ26として手のひらの静脈を読み取る静脈センサを用いる。よって、本実施形態の情報処理システム100は、ユーザの手のひらの静脈を用いた生体認証によってユーザ認証を行う構成を有する。しかし、ユーザ認証に用いる生体認証は、手のひらの静脈認証に限定されず、指の静脈、指紋、瞳の虹彩、声紋、顔形等による生体認証であってもよく、複数の生体情報を組み合わせて認証を行う構成でもよい。よって、生体認証センサ26は、生体認証の種類に応じて、ユーザが生体認証に必要な操作(例えば手のひらをかざす操作)をし易い位置に設けてあればよい。
管理者用端末40は、例えばATM20を介して現金の払い出しを受けるユーザの保護者、家族又は介助者等、ユーザの金銭の管理を行う管理者が使用する端末である。管理者用端末40は、ユーザに対応付けて現金の払出スケジュールを金融機関サーバ10に登録する処理、ATM20を介してユーザに払い出された現金の払出履歴を閲覧する処理等、種々の情報処理を行う。管理者用端末40は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置を用いて構成されるが、専用の端末によって構成されていてもよい。
本実施形態の情報処理システム100において、例えば金銭の管理を自身で行うことが難しいユーザ(被介助者等)に対して、ユーザの管理者(介助者等)が定期的に現金を渡したい場合、ユーザへの現金払い出し用の口座を金融機関に開設する。以下では、ユーザへの現金払い出し用の口座の名義人はユーザとする。そして、管理者は、開設した口座及びユーザに対して、ATM20を介した現金の払出取引を利用するための契約を金融機関との間で行い、現金の払出スケジュールを設定して金融機関サーバ10に登録する。金融機関は、現金の払出取引を利用するための契約を行ったユーザ(口座)に対して、ATM20を用いて現金の払い出しを受ける際に用いるカード30を発行する。カード30は、現金の払い出し用の専用カードとするが、ATM20を用いて各種の取引(入出金取引、振込・振替取引等)を行う際に使用するカードであってもよい。カード30は、例えば磁気テープ(磁気ストライプ)を有する磁気カード、又は、IC(Integrated Circuit)チップを有するICカードであり、口座の顧客(ユーザ)の情報(カード情報)が磁気テープ又はICチップに記憶されている。
現金の払出スケジュールが金融機関サーバ10に登録された後、ユーザは、現金を受け取りたい場合、いずれかのATM20に出向き、生体認証によるユーザ認証を行う。ユーザ認証が成功した場合、金融機関サーバ10は、認証されたユーザに対して登録してある払出スケジュールに従ったタイミングに適合すれば、払出スケジュールに従った金額の現金をATM20によって払い出す。よって、本実施形態の情報処理システム100では、管理者が払出スケジュールを設定しておくことにより、ユーザは自身が欲しいタイミングで現金を受け取ることができる。本実施形態の情報処理システム100では、現金の払い出しを受けるユーザ(現金の受取者)に対して、ユーザの金銭を管理する管理者は1人であっても複数人であってもよく、1人の管理者が管理するユーザは1人であっても複数人であってもよい。
図2はATM20の内部構成例を示すブロック図である。ATM20は、制御部21、記憶部22、タッチパネル23、通信部24、カード読取部25、生体認証センサ26、現金払出部27、スピーカ28等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部21は、記憶部22に記憶してある制御プログラム22Pを適宜実行することにより、ATM20が行うべき種々の情報処理及び制御処理を実行する。記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部22は、制御部21が実行する制御プログラム22P及び制御プログラム22Pの実行に必要な各種のデータ等を予め記憶している。また記憶部22は、制御部21が制御プログラム22Pを実行する際に発生するデータ等を一時的に記憶する。
タッチパネル23は表示部23a及び入力部23bを有する。表示部23aは液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部21からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部23bはタッチセンサであり、ATM20を操作するユーザによる操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部21へ送出する。なお、表示部23a及び入力部23bは各別に設けられていてもよく、入力部23bはタッチセンサ以外に、押圧式等の操作ボタンを含んでいてもよい。通信部24は、有線通信又は無線通信によってネットワークNに接続するためのインタフェースを有し、ネットワークNを介して他の装置との間で情報の送受信を行う。
カード読取部25は、磁気カードリーダ又はICカードリーダであり、カード30に設けられた磁気テープ又はICチップに記憶してあるカード情報を読み取り、読み取ったカード情報を制御部21へ送出する。カード読取部25は、カード挿入口20aからATM20内に挿入されたカード30からカード情報を読み取る。なお、カード読取部25は、ATM20の筐体の所定位置に載置されたカード30に対して接触又は非接触で読み取り処理を行う構成でもよい。
生体認証センサ26は、所定の検知範囲内でかざされた手のひらの静脈を読み取って静脈データを取得し、取得した静脈データを制御部21へ送出する。生体認証センサ26は、例えば近赤外光を出射する発光部と、発光部が出射した近赤外光の手のひらによる反射光を受光する受光部とを有し、受光した反射光に基づいて静脈データを取得する。生体認証センサ26は、図1に示すようにATM20と一体に構成された内蔵型のセンサであってもよく、ATM20に外付けされるセンサであってもよい。生体認証センサ26が外付けされる場合、ATM20は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して外部センサとの接続が可能な接続部、又は外部センサとの無線通信が可能な無線通信部を備え、外部センサが取得した静脈データを接続部又は無線通信部を介して取得するように構成される。
現金払出部27は例えば、現金収納部に収納されている現金を金種毎に現金トレイ20bまで搬送する搬送路、各搬送路を開閉する開閉部を有する。現金払出部27は、制御部21からの指示に従って開閉部にて各搬送路を開閉させることにより、制御部21からの指示に従った金額の現金を現金トレイ20bまで搬送する(払い出す)。スピーカ28は、制御部21からの指示に従って音声出力する音声出力部であり、制御部21が指示するメッセージを音声出力する。
ATM20は、上述した構成に加えて、現金トレイ20bに投入された紙幣及び貨幣(現金)の金種(金額)を判別する金種判別部、投入された現金を金種毎に現金収納部まで搬送する搬送部等を含む現金受付部(図示せず)を有する。現金受付部は、投入された現金を、金種判別部が判別した金種毎に搬送部にて搬送することにより、現金収納部に金種毎に収納することができる。
図3は金融機関サーバ10及び管理者用端末40の内部構成例を示すブロック図である。金融機関サーバ10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読み取り部16等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。金融機関サーバ10の制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14及び表示部15のそれぞれは、ATM20の制御部21、記憶部22、通信部24、入力部23b及び表示部23aと同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、金融機関サーバ10の記憶部12は、制御部11が実行する制御プログラム12Pに加え、後述する顧客口座DB12a及びスケジュールDB12bを記憶する。顧客口座DB12a及びスケジュールDB12bは、金融機関サーバ10に接続された他の記憶装置に記憶されてもよく、金融機関サーバ10が通信可能な他の記憶装置に記憶されてもよい。
読み取り部16は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード等を含む可搬型記憶媒体1aに記憶された情報を読み取る。記憶部12に記憶される制御プログラム12P及び各種のデータは、制御部11が読み取り部16を介して可搬型記憶媒体1aから読み取って記憶部12に記憶してもよい。また、記憶部12に記憶される制御プログラム12P及び各種のデータは、制御部11が通信部13を介して他の装置からダウンロードして記憶部12に記憶してもよい。
管理者用端末40は、制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44、表示部45等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。管理者用端末40の制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44及び表示部45のそれぞれは、金融機関サーバ10の制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14及び表示部15と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、管理者用端末40の記憶部42は、制御部41が実行する制御プログラム42Pに加え、金融機関サーバ10が提供するインターネットバンキングを利用するためのインターネットバンキング用アプリケーションプログラム42AP(以下では、インターネットバンキング用アプリ42APという)を記憶する。インターネットバンキング用アプリ42APは、制御部41が通信部43を介して他の装置からダウンロードして記憶部42に記憶してもよい。また管理者用端末40が可搬型記憶媒体に記憶された情報を読み取る読み取り部を有する場合、インターネットバンキング用アプリ42APは、制御部41が読み取り部を介して可搬型記憶媒体から読み取って記憶部42に記憶してもよい。
図4は、金融機関サーバ10に記憶されるDB12a,12bの構成例を示す模式図である。図4Aは顧客口座DB12aを、図4BはスケジュールDB12bをそれぞれ示す。顧客口座DB12aは、金融機関に開設された各顧客(ユーザ)の口座に関する情報を記憶する。図4Aに示す顧客口座DB12aは、店番号列、口座番号列、顧客情報列、カード情報列、ユーザID列、管理者認証用データ列、入出金履歴列等を含み、各店番号について、各顧客の口座番号に対応付けて、顧客及び口座に関する情報を記憶する。店番号列は、金融機関の本支店を含む各店舗に割り当てられた識別情報(店番号)を記憶し、口座番号列は、各店舗に開設された各口座に割り当てられた識別情報(口座番号)を記憶する。顧客情報列は、口座の名義人の顧客に関する情報を記憶し、例えばユーザの氏名、住所、電話番号、生年月日等の個人情報を記憶する。カード情報列は、各口座に対応付けて顧客(ユーザ)に発行されたカード30に記憶されているカード情報を記憶し、ユーザID列は、各口座から現金の払い出しを受けるユーザ(口座の名義人のユーザ)に割り当てられた識別情報(ユーザID)を記憶する。管理者認証用データ列は、例えば金融機関サーバ10が提供するインターネットバンキングを利用する際のログイン処理で行われる管理者認証に用いる認証用データを記憶する。管理者認証用データは、例えばユーザの金銭(口座)を管理する管理者に割り当てられたログインID及びパスワード(文字列データ)であってもよく、ログイン処理の際に生体データ(例えば静脈データ)を用いた管理者認証を行うように構成されている場合には、管理者の生体データであってもよい。なお、各口座(ユーザ)を管理する管理者が複数人いる場合、複数人の管理者のそれぞれの管理者認証用データが記憶される。入出金履歴列は、口座に対して行われた入出金取引に関する履歴情報を記憶する。履歴情報は、口座に対する通常の入出金取引に関する情報と、予め登録された払出スケジュールに従った現金の払出取引による出金処理に関する情報とを含む。顧客口座DB12aに記憶される店番号は、新たな店舗が設けられた場合に、店舗に割り当てられた店番号が制御部11によって記憶される。顧客口座DB12aに記憶される口座番号、顧客情報及びカード情報は、新たな口座が開設された場合に、顧客に割り当てられた口座番号、顧客によって指定された顧客情報、ユーザに発行されたカード30に記憶してあるカード情報が制御部11によって記憶される。顧客口座DB12aに記憶されるユーザIDは、口座からATM20を介して現金の払い出しを受けるユーザが登録された場合に、ユーザに割り当てられたユーザIDが制御部11によって記憶される。顧客口座DB12aに記憶される管理者認証用データは、例えば現金の払い出しを受けるユーザが登録された場合に、管理者によって指定された管理者認証用データが制御部11によって記憶される。顧客口座DB12aに記憶される入出金履歴は、各口座に対して入出金処理が行われた場合に、入出金処理に関する情報が制御部11によって記憶される。顧客口座DB12aの記憶内容は図4Aに示す例に限定されない。なお、金融機関に口座を開設した顧客のうちで、現金の払出取引を利用するための契約を行っていない顧客については、ユーザID及び管理者認証用データが顧客口座DB12aに登録されない。
スケジュールDB12bは、定期的に現金の払い出しを受けるユーザに関する情報を記憶する。図4Bに示すスケジュールDB12bは、ユーザID列、生体認証用データ列、払出スケジュール列、払出履歴列等を含み、ユーザIDに対応付けて払出処理に関する情報を記憶する。ユーザID列は、各ユーザに割り当てられた識別情報(ユーザID)を記憶し、生体認証用データ列は、各ユーザに対して生体認証を行う際に用いる生体データ(静脈データ)を記憶する。払出スケジュール列は、各ユーザに対して設定された現金の払い出し予定を示す払出スケジュールを記憶する。払出履歴列は、各ユーザに対して、予め登録された払出スケジュールに従って行われた現金の払出処理に関する情報を記憶する。具体的には、払出履歴列は、日時列、ATM-ID列、金額列を含む。日時列は、払出処理が行われた日時を記憶し、ATM-ID列は、払出処理に使用されたATM20に割り当てられている識別情報(ATM-ID)を記憶し、金額列は、払出処理によって払い出された金額を記憶する。生体認証用データは、スケジュールDB12bに記憶されるほかに、記憶部12の所定領域又は他の記憶装置に記憶されてもよく、この場合、生体認証用データ列は、各データを読み出すための情報(例えばデータの記憶場所を示すファイル名)を記憶する。スケジュールDB12bに記憶されるユーザIDは、新たなユーザが追加された場合に制御部11によって発行されて記憶される。スケジュールDB12bに記憶される生体認証用データは、新たなユーザが追加される際にユーザから取得された生体データが制御部11によって記憶される。スケジュールDB12bに記憶される払出スケジュールは、新たなユーザが追加される際に入力部14又は通信部13を介して入力された場合に制御部11によって記憶され、入力部14又は通信部13を介して変更指示が入力された場合に制御部11によって変更される。スケジュールDB12bに記憶される払出履歴は、各ユーザに対して現金の払出処理が行われた場合に制御部11によって記憶される。スケジュールDB12bの記憶内容は図4Bに示す例に限定されず、ユーザに関する各種の情報が記憶されてもよく、管理者に関する各種の情報が記憶されてもよい。
以下に、本実施形態において、管理者が管理者用端末40を用いてユーザに対する払出スケジュールを設定する処理、及びユーザによる払出履歴を確認する処理を行う際に各装置が行う処理について説明する。図5及び図6は払出スケジュールの設定処理手順の一例を示すフローチャート、図7~図9は画面例を示す模式図である。以下の処理は、管理者用端末40の記憶部42に記憶してある制御プログラム42Pに従って制御部41によって実現され、金融機関サーバ10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現される。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
本実施形態の情報処理システム100において、管理者は、自身が管理するユーザに対する払出スケジュールを設定又は変更したい場合、管理者用端末40にインターネットバンキング用アプリ42APを起動させる。管理者用端末40の制御部41は、入力部44を介してインターネットバンキング用アプリ42APの実行指示を受け付けた場合、インターネットバンキング用アプリ42APを起動する。制御部41は、インターネットバンキング用アプリ42APを起動した場合、例えば図7Aに示すようなログイン画面を表示部45に表示する(S11)。ログイン画面は、金融機関サーバ10が提供するインターネットバンキングを利用する際のログイン処理(管理者認証)に用いる認証用データ(具体的にはログインID及びパスワード)を入力するための入力欄と、入力されたログインID及びパスワードに基づくログイン処理の実行を指示するためのログインボタンとを有する。なお、ログイン処理の際に生体データ(例えば静脈データ)を用いた管理者認証を行うように構成されており、管理者用端末40が管理者の生体データを読み取るセンサを備える場合、ログイン画面は、生体データの読み取りを指示するための生体データ読み取りボタンを有していてもよい。
管理者は、ログイン画面においてログインID及びパスワードを入力してログインボタンを操作することにより、ログイン処理の実行を指示する。管理者用端末40の制御部41は、ログイン画面を介して、ログイン処理に必要な顧客(管理者)の認証用データ(ログインID及びパスワード)を取得し(S12)、ログインボタンが操作されたか否かを判断する(S13)。制御部41は、ログインボタンが操作されていないと判断した場合(S13:NO)、認証用データの取得を継続する(S12)。制御部41は、ログインボタンが操作されたと判断した場合(S13:YES)、取得した認証用データに基づく管理者認証を金融機関サーバ10に要求する(S14)。
金融機関サーバ10の制御部11は、管理者用端末40から認証用データに基づく管理者認証を要求された場合、取得した認証用データに基づいて管理者認証を行う(S15)。具体的には、制御部11は、顧客口座DB12aに記憶してある管理者認証用データにおいて、認証用データとして取得したログインID及びパスワードに一致する管理者認証用データがあるか否かを判断する。そして制御部11は、一致する管理者認証用データがある場合、認証成功と判断し、一致する管理者認証用データがない場合、認証失敗と判断する。制御部11は、管理者認証が成功したか否かを判断し(S16)、失敗したと判断した場合(S16:NO)、認証に失敗したことを示すメッセージを表示するエラー画面(図示せず)を生成して管理者用端末40へ送信する(S17)。管理者用端末40の制御部41は、金融機関サーバ10からエラー画面を受信した場合、エラー画面を表示部45に表示し(S18)、ログイン処理に失敗したことを管理者に通知する。
管理者認証が成功したと判断した場合(S16:YES)、金融機関サーバ10の制御部11は、例えば図7Bに示すように、インターネットバンキングを利用して実行可能な処理のいずれかに対する選択を受け付けるための初期画面を生成して管理者用端末40へ送信する(S19)。管理者用端末40の制御部41は、金融機関サーバ10から初期画面を受信した場合、初期画面を表示部45に表示する(S20)。図7Bに示す初期画面は、現金の払出取引に関する処理の実行を指示するための現金払出ボタン、残高照会の実行を指示するための残高照会ボタン、振込又は振替処理の実行を指示するための振込・振替ボタン、各種の変更手続の実行を指示するための各種変更手続ボタン等を表示する。なお、初期画面は、これらのボタンのほかに、インターネットバンキングを利用して行うことが可能な各種処理の実行を指示するためのボタンを表示している。顧客(管理者)は、初期画面中のいずれかのボタンを操作することにより、インターネットバンキングを利用して行いたい処理を選択する。
管理者用端末40の制御部41は、初期画面中の現金払出ボタンが操作されたか否かを判断しており(S21)、操作されていないと判断した場合(S21:NO)、他の処理を行いつつ待機する。なお、初期画面中の他のボタンが操作された場合、制御部41は、操作されたボタンに対応して、残高照会、振込・振替、各種変更手続等の各処理の実行を金融機関サーバ10に要求し、金融機関サーバ10にて各処理を実行する。現金払出ボタンが操作されたと判断した場合(S21:YES)、制御部41は、現金の払出取引に関する処理の実行を金融機関サーバ10に要求する(S22)。金融機関サーバ10の制御部11は、管理者用端末40から現金の払出取引に関する処理の実行を要求された場合、図7Cに示すように、ここでの顧客(管理者)が管理可能なユーザの一覧画面を生成して管理者用端末40へ送信する(S23)。管理者用端末40の制御部41は、金融機関サーバ10からユーザの一覧画面を受信した場合、ユーザの一覧画面を表示部45に表示する(S24)。図7Cに示す画面は、ログインした(認証された)顧客である管理者が管理可能なユーザの氏名及びユーザIDの一覧を表示しており、各ユーザの氏名及びユーザIDはそれぞれ選択できるように構成されている。制御部11は、認証した顧客(管理者)の情報に対応付けて顧客口座DB12aに記憶してあるユーザ情報(ユーザID及びユーザの氏名)を読み出し、読み出したユーザ情報を表示したユーザ一覧を生成することにより、図7Cに示す画面を生成する。
図7Cに示す画面において、管理者はユーザ一覧に表示されたユーザのうちで、払出スケジュールの設定又は払出履歴の確認を行いたいユーザを選択する。管理者用端末40の制御部41は、ユーザの一覧画面においていずれかのユーザが選択されたか否かを判断し(S25)、選択されていないと判断した場合(S25:NO)、選択されるまで待機する。いずれかのユーザが選択されたと判断した場合(S25:YES)、制御部41は、選択されたユーザに対して現金の払出取引に関するメニュー画面を金融機関サーバ10に要求する(S26)。金融機関サーバ10の制御部11は、管理者用端末40からメニュー画面を要求された場合、図7Dに示すように、選択されたユーザに対応するメニュー画面を生成して管理者用端末40へ送信する(S27)。管理者用端末40の制御部41は、金融機関サーバ10からユーザのメニュー画面を受信した場合、ユーザのメニュー画面を表示部45に表示する(S28)。図7Dに示す画面は、選択されたユーザの氏名及びユーザIDと、このユーザが最後に現金の払出を行った最終払出実行日時と、ユーザに対して管理者が操作可能な処理(オペレーション)の実行を指示するためのメニューボタンとを表示する。メニューボタンは、オペレーションメニューとしてユーザの払出スケジュールの設定処理の実行を指示するためのスケジュール設定ボタンと、ユーザによる払出履歴の表示を指示するための払出履歴確認ボタンとを有する。また、管理メニューとしてユーザに関する情報の設定変更を指示するためのユーザ情報変更ボタンと、管理者に関する情報の設定変更を指示するための管理者情報変更ボタンとを有する。メニュー画面は図7Dに示した構成に限定されず、例えば、ユーザに対応付けられた口座の残高を表示する構成でもよい。
なお、例えばログインした管理者によって管理可能なユーザが1人である場合、金融機関サーバ10の制御部11は、図7Cに示すようなユーザ一覧画面を生成することなく、図7Dに示すようなメニュー画面を生成して管理者用端末40へ提供してもよい。この場合、金融機関サーバ10の制御部11及び管理者用端末40の制御部41は、図5~図6中のステップS23~S26の処理を実行しない。
図7Dに示すメニュー画面において、管理者はスケジュール設定ボタンを操作することにより、ユーザに対する払出スケジュールの設定処理の実行を指示し、払出履歴確認ボタンを操作することにより、ユーザによる払出履歴の表示を指示する。また管理者は、ユーザ情報変更ボタンを操作することにより、ユーザに関する登録情報の設定変更を指示し、管理者情報変更ボタンを操作することにより、管理者自身に関する登録情報の設定変更を指示する。管理者用端末40の制御部41は、メニュー画面においてスケジュール設定ボタンが操作されたか否かを判断しており(S29)、操作されたと判断した場合(S29:YES)、このユーザに対する払出スケジュールの設定画面を金融機関サーバ10に要求する(S30)。金融機関サーバ10の制御部11は、管理者用端末40から払出スケジュールの設定画面を要求された場合、図8に示すような設定画面を生成して管理者用端末40へ送信する(S31)。管理者用端末40の制御部41は、金融機関サーバ10から設定画面を受信した場合、設定画面を表示部45に表示する(S32)。
図8に示す払出スケジュールの設定画面は、ATM20を用いてユーザに対して現金を払い出すスケジュール(条件)を設定するための画面である。具体的には、設定画面は、払出スケジュールとして、1日あたりの払出回数を設定する回数設定、払い出しを行う曜日を設定する曜日設定、払い出しが行われなかった金額を繰り越すか否かを設定する繰越設定、払い出す金額を設定する金額設定に関する情報を入力するための入力欄を有する。回数設定の入力欄は、1日あたり1回又は複数回のいずれかを選択するためのチェックボックスと、現金の払出を可能とする払出時間帯の入力欄とを有し、払出時間帯の入力欄には、払出時間帯の開始時刻及び終了時刻として任意の時刻を選択できるプルダウンメニューが設けられている。曜日設定の入力欄は、毎日、毎週、周期のいずれかを選択するためのチェックボックスと、毎週が選択された場合に選択可能な曜日として、月曜日から日曜日までの各曜日から任意の曜日を選択できるチェックボックスと、周期が選択された場合に払い出し周期(例えば2日に1回又は3日に1回)を入力できる入力欄とを有する。繰越設定の入力欄は、払出可能な時間帯に払い出されなかった金額(未払い金額)を次回以降の払い出し時に合わせて払い出す(繰り越す)か否かを選択するためのチェックボックスと、「未払い金額を繰り越して払出できる」が選択された場合に繰越可能な限度として繰越可能日数又は繰越可能金額(繰越上限金額)を入力できる入力欄とを有する。金額設定の入力欄は、1回あたりに払い出される金額を入力できる入力欄を有する。また、設定画面は、例えば日付毎に払出時間帯及び金額の設定が可能な詳細設定の実行を指示するための詳細設定ボタンと、設定画面を介して入力された内容での払出スケジュールの設定を指示するための設定ボタンとを有する。なお、払出スケジュールの設定対象のユーザに対して既に払出スケジュールが設定されている場合、金融機関サーバ10の制御部11は、このユーザの払出スケジュールをスケジュールDB12bから読み出し、読み出した払出スケジュールの各情報を対応する入力欄に入力した状態の設定画面を生成して管理者用端末40へ提供してもよい。払出スケジュールの設定画面は図8に示した構成に限定されない。
図8に示す設定画面において、管理者はユーザの同意を得た払出スケジュールに従って各入力欄に設定内容を入力する。例えば、1日あたり1回で払出時間帯が午前8時から午後6時までで払出額が500円の払出スケジュールを設定する場合、管理者は、回数設定の入力欄において、1日あたり1回のチェックボックスを選択し、払出時間帯として8:00~18:00を入力し、金額設定の入力欄に500円を入力する。そして管理者は、入力した内容での払出スケジュールの設定(登録)を指示する場合、設定ボタンを操作する。制御部41は、払出スケジュールの設定画面を介して払出スケジュールに関する設定内容(払出条件)を受け付け、受け付けた設定内容を各入力欄に表示する(S33)。そして制御部41は、設定画面の設定ボタンが操作されたか否かを判断し(S34)、操作されていないと判断した場合(S34:NO)、設定内容の受付及び表示を継続する(S33)。設定ボタンが操作されたと判断した場合(S34:YES)、制御部41は、設定画面を介して入力された設定内容での払出スケジュールの登録を金融機関サーバ10に要求する(S35)。
金融機関サーバ10の制御部11(登録部)は、払出スケジュールの登録を要求された場合、管理者用端末40から取得した設定内容に基づいて払出スケジュールをスケジュールDB12bに記憶する(S36)。具体的には、制御部11は、払出スケジュールの登録対象のユーザのユーザIDに対応する払出スケジュールとして、管理者用端末40から受信した設定内容をスケジュールDB12bに記憶する登録処理を行う。払出スケジュールを登録した後、制御部11は、登録完了を通知する通知画面を管理者用端末40へ送信し、管理者用端末40は、通知画面を表示部45に表示することによって払出スケジュールの登録完了を管理者に通知してもよい。
なお、図示は省略するが、払出スケジュールの設定画面において詳細設定ボタンが操作された場合、管理者用端末40は、詳細スケジュールの設定画面を金融機関サーバ10から取得して表示部45に表示し、詳細スケジュールの設定画面を介して払出スケジュールに関する詳細な設定内容を受け付ける。詳細スケジュールの設定画面は、例えば1ヶ月分のカレンダーを表示し、日付毎に払出時間帯及び払出金額の入力を受け付ける入力欄を有する。管理者用端末40は、詳細スケジュールの設定画面を介して日付毎の設定内容を受け付けた場合、受け付けた日付毎の設定内容での払出スケジュールを金融機関サーバ10(スケジュールDB12b)に登録する。
一方、メニュー画面においてスケジュール設定ボタンが操作されていないと判断した場合(S29:NO)、制御部41は、メニュー画面の払出履歴確認ボタンが操作されたか否かを判断する(S37)。払出履歴確認ボタンが操作されたと判断した場合(S37:YES)、制御部41は、このユーザに対して行われた現金の払出処理の履歴情報(払出履歴)を金融機関サーバ10に要求する(S38)。金融機関サーバ10の制御部11は、管理者用端末40から払出履歴を要求された場合、図9に示すような払出履歴画面を生成して管理者用端末40へ送信する(S39)。管理者用端末40の制御部41は、金融機関サーバ10から払出履歴画面を受信した場合、払出履歴画面を表示部45に表示する(S40)。図9に示す払出履歴画面は、ユーザがATM20を用いて現金を払い出した日時及び金額(払出履歴)と、ユーザに対応付けられている口座の残高とを表示する。金融機関サーバ10の制御部11は、ユーザのユーザIDに対応付けてスケジュールDB12bに記憶してある払出履歴を読み出し、読み出した払出履歴の情報を表示することにより、図9に示す払出履歴画面(表示情報)を生成する。払出履歴画面は図9に示した構成に限定されない。
図9に示す払出履歴画面は、画面の表示終了を指示するための閉じるボタンを有しており、管理者用端末40の制御部41は、払出履歴画面の閉じるボタンが操作された場合、払出履歴画面の表示を終了し、例えば図7Dに示すメニュー画面の表示に戻す。制御部41は、払出履歴画面を、例えば通信部43を介してプリンタへ送信できるように構成されていてもよく、通信部43を介して他の装置へ送信できるように構成されていてもよい。このような構成により、払出履歴画面は、管理者用端末40の表示部45に表示されるだけでなく、プリンタによって用紙に印刷され、又は他の装置へ送信されることができる。この場合、払出履歴画面は、画面の印刷を指示するための印刷ボタンと、画面の送信を指示するための送信ボタンとを有していてもよい。
メニュー画面において払出履歴確認ボタンが操作されていないと判断した場合(S37:NO)、制御部41は、ステップS38~S40をスキップして処理を終了する。なお、メニュー画面中の管理メニューにおいてユーザ情報変更ボタンが操作された場合、管理者用端末40の制御部41は、ユーザ情報変更画面(図示せず)を金融機関サーバ10から取得して表示し、ユーザ情報変更画面を介してユーザに関する設定情報の変更指示を受け付ける。例えばユーザ情報変更画面は、ユーザの静脈データの変更指示を受け付けるように構成されており、制御部41は、ユーザ情報変更画面を介して静脈データの変更指示を受け付けた場合、金融機関サーバ10のスケジュールDB12bに記憶してある生体認証用データを、受け付けた静脈データに更新する。また、管理者情報変更ボタンが操作された場合、管理者用端末40の制御部41は、管理者情報変更画面(図示せず)を金融機関サーバ10から取得して表示し、管理者情報変更画面を介して管理者に関する設定情報の変更指示を受け付ける。例えば管理者情報変更画面は、パスワード等の管理者の認証用データを受け付けるように構成されている。制御部41は、管理者情報変更画面を介して認証用データを受け付けた場合、金融機関サーバ10の顧客口座DB12aに記憶してある管理者認証用データを、受け付けた認証用データに更新する。
上述した処理により、管理者は、自身が管理するユーザの払出スケジュールを設定及び変更することができ、各ユーザの払出履歴を確認することができる。なお、管理者は、自身の認証用データに基づく認証処理によって適切な権限を有する管理者であることが認証された後に、各種の処理の実行が可能となるので、インターネットバンキングに対する安全性を確保できる。
次に、ユーザがATM20を用いて現金の払い出しを受ける際に各装置が行う処理について説明する。図10は払出処理手順の一例を示すフローチャート、図11は画面例を示す模式図である。以下の処理は、ATM20の記憶部22に記憶してある制御プログラム22Pに従って制御部21によって実現され、金融機関サーバ10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現される。処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
待機状態のATM20において、制御部21は、カード読取部25によって、カード挿入口20aから挿入されたカード30からカード情報を読み取ったか否かを判断しており(S51)、読み取っていないと判断した場合(S51:NO)、待機する。カード30からカード情報を読み取ったと判断した場合(S51:YES)、制御部21は、図11に示すように、生体認証を要求する生体認証画面を表示部23a(タッチパネル23)に表示する(S52)。図11に示す生体認証画面は、生体認証として手のひらを使用することと、手のひらをかざす生体認証センサ26の設置場所とをユーザに通知する。本実施形態では、カード30は現金の払出取引の専用カードであるので、ATM20の制御部21は、カード30からカード情報を読み取った場合に、生体認証画面を表示部23aに表示するが、この構成に限定されない。例えばカード30がATM20にて各種の取引を行う際に使用するカードである場合、制御部21は、読み取ったカード情報を一旦金融機関サーバ10へ送信し、金融機関サーバ10に、このカードのユーザが現金の払出取引の契約を行っているか否かを問い合わせ、現金の払出取引の契約を行っている場合に、生体認証画面を表示するように構成されていてもよい。
制御部21は、生体認証センサ26によって生体データ(ここでは静脈データ)を取得したか否かを判断し(S53)、取得していないと判断した場合(S53:NO)、取得するまで待機する。なお、待機状態において、制御部21は、生体データの読み取りを促すメッセージをスピーカ28から音声出力してもよく、また、生体認証センサ26の近傍にライトが設けてある場合にはライトを点灯又は点滅させることによって、生体認証センサ26の場所をユーザに通知してもよい。
生体認証センサ26によって生体データを取得したと判断した場合(S53:YES)、制御部21は、取得した生体データに基づくユーザ認証を金融機関サーバ10に要求する(S54)。ここでは制御部21は、カード30から読み取ったカード情報と、ユーザの手のひらから取得した生体データとを金融機関サーバ10へ送信してユーザ認証を要求する。金融機関サーバ10の制御部11(認証部)は、管理者用端末40から生体データに基づくユーザ認証を要求された場合、取得した生体データに基づいてユーザ認証を行う(S55)。具体的には、制御部11は、ATM20から受信したカード情報に対応するユーザIDを顧客口座DB12aから読み出し、読み出したユーザIDに対応する生体認証用データをスケジュールDB12bから読み出す。そして制御部11は、スケジュールDB12bから読み出した生体認証用データが、ATM20から受信した生体データに一致するか否かを判断し、一致する場合は認証成功と判断し、一致しない場合は認証失敗と判断する。
制御部11は、ユーザ認証が成功したか否かを判断し(S56)、失敗したと判断した場合(S56:NO)、認証に失敗して現金を払い出せないことを示すメッセージを表示するエラー画面(図示せず)を生成してATM20へ送信する(S57)。ATM20の制御部21は、金融機関サーバ10からエラー画面を受信した場合、エラー画面を表示部23aに表示し(S58)、生体認証に失敗して現金を払い出せないことをユーザに通知する。制御部11は、ユーザ認証が成功したと判断した場合(S56:YES)、認証されたユーザの払出スケジュールに基づいて、この時点での現金の払い出し(出金)が可能であるか否かを判断する(S59)。ここでは、制御部11は、認証されたユーザの払出スケジュール及び払出履歴をスケジュールDB12bから読み出し、この時点での払い出しが、読み出した払出スケジュールに沿ったタイミングに合致するか否かを判断し、合致する場合、払出可能であると判断する。例えば、払出スケジュールが1日あたり1回で登録してあり、既に今日の分の現金が払い出されている場合、この時点での払い出しは払出スケジュールに合致しないので、制御部11は払出可能でないと判断する。また制御部11は、ユーザの払い出し用の口座の残高を、顧客口座DB12aに記憶してある入出金履歴から読み出し、読み出した残高が払い出し予定の金額未満であるか否かを判断し、残高が払い出し予定の金額未満である場合に払出可能でない(残高不足)と判断してもよい。
この時点での払い出しが可能であると判断した場合(S59:YES)、制御部11(払出部)は、払出スケジュールで設定されている金額の現金の払出指示をATM20へ送信する(S60)。なお、前回の払出タイミングまでに払い出されていない現金がある場合、制御部11は、未払出の金額と、設定された繰越上限金額とに基づいて、払出可能な金額を算出し、算出した金額の現金の払出指示をATM20へ送信する。そして制御部11は、現金を払い出したユーザ、即ちステップS55で認証されたユーザのユーザIDに対応する払出履歴として、この時点の日時、払出指示を送信したATM20のATM-ID、及び金額を含む払出履歴情報をスケジュールDB12bに記憶する(S61)。なお制御部11は、現金を払い出したユーザの口座に対する出金履歴として、この時点の日時及び金額を含む出金履歴情報を顧客口座DB12aに記憶する。これにより、ユーザの口座から現金の払い出しが行われ、その履歴情報が顧客口座DB12aに登録される。ATM20の制御部21は、金融機関サーバ10から現金の払出指示を受信した場合、払出指示に従った金額の現金を現金払出部27にて払い出す(出金する)(S62)。その後、制御部21は、現金の払出処理が完了したことを通知する完了画面を表示部23aに表示し(S63)、一連の処理を終了する。なお、金融機関サーバ10の制御部11は、例えばステップS61の処理後に、現金を払い出したユーザに対応する管理者の管理者用端末40に対して、ユーザが現金の払い出しを受けたこと(払い出し履歴)を通知する通知情報を送信してもよい。この場合、ユーザが現金を受け取る都度、管理者に通知することが可能となる。
ステップS59で払い出しが可能でないと判断した場合(S59:NO)、制御部11は、現時点では現金の払い出しができないことを通知する払出不可画面(図示せず)を生成してATM20へ送信する(S64)。ATM20の制御部21は、金融機関サーバ10から払出不可画面を受信した場合、払出不可画面を表示部23aに表示し(S65)、現時点では現金を受け取れないことをユーザに通知する。なお、金融機関サーバ10の制御部11は、ユーザの払出スケジュールから次に払出可能な日時を特定し、特定した日時を通知する払出不可画面をATM20に提供してもよい。例えば制御部11は、「今日の午後1時になれば現金を受け取れます」、「次回は明日の朝8時です」等のメッセージを表示する払出不可画面をATM20に提供してもよい。ATM20の制御部21は、払出不可画面を表示するほかに、現時点では現金の払い出しができないことを通知するメッセージ、次に払出可能な日時を通知するメッセージをスピーカ28から音声出力してもよい。また、金融機関サーバ10の制御部11は、例えばステップS64の処理後に、現金の払い出しに失敗したユーザに対応する管理者の管理者用端末40に対して、ユーザが現金の払い出しに失敗したことを通知する通知情報を送信してもよい。このとき、制御部11は、現金の払い出しに失敗した理由(例えば、既に払い出し済み又は残高不足)を管理者用端末40に通知してもよい。この場合、管理者は、ユーザが現金の払い出しを試みたタイミングを把握でき、また、残高不足を早期に把握できる。
上述した処理により、ユーザの生体データに基づくユーザ認証によって適切なユーザであることが認証された場合に、ユーザに対して現金の払い出しが行われるので、ユーザは自身が欲しいタイミングで現金を取得することができる。また、各ユーザに対して行われる現金の払出処理は、ユーザ毎に設定してある払出スケジュールに従って行われるので、払出スケジュールに設定されている金額以上の現金が払い出されない。よって、ユーザによる浪費が発生しない。また、ユーザ毎に払出スケジュールを設定できるので、ユーザ毎に異なる払出タイミング及び払出金額の設定が可能である。更に、本実施形態の情報処理システム100では、市中に設置されたATM20を用いてユーザに現金を払い出すので、管理者はユーザに対応付けた口座(ユーザ名義の現金払い出し用の口座)に入金しておけばよく、例えばユーザに渡す現金を前もって用意する必要がない。よって、ユーザの金銭管理に要する負担を軽減できる。また、例えば払出スケジュールに沿ったタイミングとは別に臨時にユーザに現金を渡すことが可能となる。
本実施形態では、ユーザがATM20を用いて現金の払い出しを受ける際に、金融機関サーバ10は、カード30から読み取ったカード情報及びユーザの生体データに基づいてユーザ認証を行うが、この構成に限定されない。例えばユーザの生体データのみに基づいてユーザ認証を行う構成としてもよい。この場合、ユーザは、ATM20を介して現金を受け取りたい場合、ATM20に自身の生体データを読み取らせる。金融機関サーバ10は、ATM20が読み取ったユーザの生体データが、スケジュールDB12bに登録してあるいずれかのユーザの生体認証用データに一致するか否かを判断し、一致する場合、生体認証用データが一致したユーザを特定し、特定したユーザに対して認証が成功したと判断する。このような構成の場合、ユーザはカード30を携帯する必要がなく、現金を受け取りたい場合にATM20に自身の手のひらをかざせばよいので操作性がよい。
本実施形態では、現金の払い出しを受けるユーザ毎に、ユーザ名義で金融機関に口座を開設し、この口座を現金払い出し用の口座として用いる構成である。即ち、1人のユーザに対して1つの現金払い出し用の口座が用意され、管理者は、自身が管理するユーザの現金払い出し用の口座に適宜入金すればよい。なお、ユーザの現金払い出し用の口座への入金は、このユーザ名義の他の口座からの入金、管理者の口座からの入金、他の人の口座からの入金、現金による入金のいずれであってもよい。よって、例えば1人の管理者が複数のユーザの金銭を管理している場合に、それぞれのユーザの現金払い出し用の口座に適宜入金すればよく、金銭管理の負担が増大しない。また、ユーザ名義の1つの口座において、通常の預金口座と、現金払い出し用の口座とが設けられていてもよい。この場合、管理者は、ユーザの口座において、通常の預金口座から現金払い出し用の口座に適宜入金(振替)することにより、現金払い出し用の口座の残高を維持することができる。上述したような本実施形態の構成では、1人の管理者が複数人のユーザの金銭を管理することが可能であり、また、1人のユーザの金銭を複数の管理者で管理することが可能である。
本実施形態では、ユーザがATM20を介して現金の払い出しを受けた場合、又は、現金の払い出しに失敗した場合に、金融機関サーバ10が管理者用端末40に通知情報を送信する構成である。これにより、管理者は、ユーザの現金の払い出し状況(払い出し履歴)及び現金払い出し用の口座の残高不足を把握できる。このほかに、金融機関サーバ10は、例えばユーザが払出スケジュールに登録されたタイミングで現金の払い出しを行わなかった場合に、その旨を管理者用端末40に通知してもよい。具体的には、金融機関サーバ10の制御部11は、ユーザが現金の払い出しを行わずに、払出スケジュールが示すタイミング(払出可能な時間帯)が経過した場合に、管理者用端末40に、現金の払い出しが行われなかったことを通知する通知情報を送信してもよい。この場合、管理者は、ユーザが現金の払い出しを行わなかったことを把握できる。このように、ユーザが現金の払い出しを行わなかったことを含む日々の払い出し状況(払い出し履歴)を管理者に通知することにより、管理者は、ユーザの生活状態を把握できる。例えばユーザが毎日所定時刻に現金の払い出しを行う場合、管理者は、ユーザの払い出し状況によってユーザの健康状態を把握できる。また、例えば毎日所定時刻に現金の払い出しを行っていたユーザが、現金の払い出しを行わなかった場合、管理者は、ユーザの体調の変化を把握できので、ユーザによる払い出し履歴によってユーザの日々の体調管理も可能となる。また、現金の払い出しが行われなかった時点で管理者に通知されるので、管理者はユーザの体調の変化を早期に把握できる。また、金融機関サーバ10は、ユーザの現金払い出し用の口座の残高が不足した時点で管理者用端末40に通知するほかに、現金払い出し用の口座の残高が所定額(例えば1日分の払い出し金額又は1週間分の払い出し金額)未満となった時点で通知してもよい。この場合、管理者は、残高不足の発生を前もって把握することができる。
上述したように金融機関サーバ10が管理者用端末40に通知する内容は、管理者によって選択できるように構成されていてもよい。例えば、通知内容として、現金の払い出しが行われたこと、現金の払い出しが行われなかったこと、現金の払い出しに失敗したこと、又は、現金払い出し用の口座の残高が不足していること(残高の不足状況)等のいずれかを選択して金融機関サーバ10に登録しておく。そして、金融機関サーバ10は、各ユーザの登録内容に従って、ユーザに応じた通知情報を適宜の通知タイミングで管理者用端末40に送信する。このような構成によれば、管理者用端末40への不要な通知情報の送信が抑制され、管理者は必要な情報の通知を受けることができる。
(実施形態2)
ATM20に加えて、装置内部に現金を収納し、ユーザに対応付けて登録してある払出スケジュールに従って現金を払い出す現金払出装置を用いて、ユーザに現金を払い出す情報処理システムについて説明する。図12は実施形態2の情報処理システムの構成例を示す模式図である。本実施形態の情報処理システム100は、金融機関サーバ10、ATM20、管理者用端末40に加えて現金払出装置50を含み、現金払出装置50はネットワークNに接続可能である。本実施形態の金融機関サーバ10、ATM20、及び管理者用端末40は、実施形態1の金融機関サーバ10、ATM20、及び管理者用端末40と同様の装置であるので、詳細な説明は省略する。
現金払出装置50は、個人住宅、集合住宅の共用エリア、医療施設、福祉施設等に設置されて利用される。本実施形態の現金払出装置50では、現金の払い出しを受けるユーザ(現金の受取者)は1人であっても複数人であってもよく、各ユーザの入出金を管理する管理者も1人であっても複数人であってもよい。以下では、現金払出装置50が、複数人の管理者で複数人のユーザを管理する状況の施設に設置された場合を例に説明する。
本実施形態の現金払出装置50は、例えば四角柱状の筐体を有し、筐体の内部には、紙幣及び貨幣(現金)が金種(金額)毎に収納される現金収納部(図示せず)が設けられている。また現金払出装置50の一面にはタッチパネル53が設けられており、タッチパネル53が設けられた一面を現金払出装置50の正面とする。現金払出装置50の正面には、紙幣及び貨幣を投入するための現金投入口50bが設けられており、現金投入口50bから投入された現金は金種判別部57a(図13参照)によって金種(金額)が判別された後、判別された金種毎に現金収納部に収納される。また現金払出装置50の正面には、現金払出部56(図13参照)によって払い出された現金が排出される払出口及び払出トレイ56aが設けられている。更に現金払出装置50の正面にはスピーカ58が設けられている。タッチパネル53、現金投入口50b、払出トレイ56a及びスピーカ58の配置位置は、図12に示す例に限定されず、またこれらのいずれかが現金払出装置50の正面以外の面に設けられていてもよい。例えばタッチパネル53は現金払出装置50を操作する操作者が操作し易い位置に設けてあればよく、スピーカ58は操作者に出力音声が届く位置に設けてあればよい。また現金投入口50bは現金払出装置50に現金を投入し易い位置に設けてあればよく、払出口及び払出トレイ56aは現金払出装置50から払い出された現金を取り易い位置に設けてあればよい。
また、現金払出装置50の上面には生体認証センサ55が設けられている。本実施形態の生体認証センサ55は、手のひらの静脈を読み取る静脈センサであり、本実施形態の現金払出装置50は、手のひらの静脈を用いた生体認証を行う構成を有する。しかし、現金払出装置50による生体認証は、手のひらの静脈認証に限定されず、指の静脈、指紋、瞳の虹彩、声紋、顔形等による生体認証であってもよく、複数の生体情報を組み合わせて認証を行う構成でもよい。生体認証センサ55は現金払出装置50の上面以外の面に設けられていてもよく、生体認証の種類に応じて、操作者が生体認証に必要な操作(例えば手のひらをかざす操作)をし易い位置に設けてあればよい。更に、現金払出装置50の側面には、紙幣及び貨幣をまとめて投入するための一括投入口50aが設けられており、一括投入口50aには鍵付きの蓋が取り付けてある。一括投入口50aから投入された現金も金種判別部57aによって金種(金額)が判別された後、判別された金種毎に現金収納部に収納される。一括投入口50aは現金払出装置50の側面以外の面に設けられていてもよく、操作者が現金をまとめて投入し易い位置に設けてあればよい。上述した構成の現金払出装置50は、例えば水平な載置台上に載置され、取付金具50cにて載置台、壁又は柱等に固定されて使用される。
図13は現金払出装置50の内部構成例を示すブロック図である。現金払出装置50は、制御部51、記憶部52、タッチパネル53、通信部54、生体認証センサ55、現金払出部56、現金受付部57、スピーカ58等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。現金払出装置50の制御部51、記憶部52、タッチパネル53、通信部54、生体認証センサ55、現金払出部56、及びスピーカ58のそれぞれは、ATM20の制御部21、記憶部22、タッチパネル23、通信部24、生体認証センサ26、現金払出部27、及びスピーカ28と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、現金払出装置50の記憶部52は、制御部51が実行する制御プログラム52Pに加え、後述する管理者情報DB52a及びユーザ情報DB52bを記憶する。管理者情報DB52a及びユーザ情報DB52bは、現金払出装置50に接続された他の記憶装置に記憶されてもよく、現金払出装置50が通信可能な他の記憶装置に記憶されてもよい。
現金受付部57は例えば、一括投入口50a又は現金投入口50bから投入された紙幣及び貨幣(現金)の金種(金額)を判別する金種判別部57a、投入された現金を金種毎に現金収納部まで搬送する搬送路、投入された現金を金種毎に各搬送路に誘導するガイド部を有する。現金受付部57は、金種判別部57aが判別した金種に応じて、投入された現金をガイド部によって各搬送路に誘導することにより、投入された現金が金額(金種)に応じた搬送路にて現金収納部まで搬送される。金種判別部57aは、一括投入口50a又は現金投入口50bから投入された現金の金種を判別した場合、判別した金種を制御部51に通知する。
図14は、現金払出装置50に記憶されるDB52a,52bの構成例を示す模式図である。図14Aは管理者情報DB52aを、図14Bはユーザ情報DB52bをそれぞれ示す。管理者情報DB52aは、現金払出装置50を利用するユーザの現金及び入出金状況を管理する管理者に関する情報を記憶する。ここで管理者とは、例えば現金払出装置50が設置された施設の従業員であり、現金払出装置50を利用するユーザの入出金を管理する業務を行う担当者である。図14Aに示す管理者情報DB52aは、管理者ID列、認証用データ列、担当するユーザ情報列、作業履歴列等を含み、管理者IDに対応付けて管理者に関する各情報を記憶する。管理者ID列は、各管理者に割り当てられた識別情報(管理者ID)を記憶し、認証用データ列は、各管理者を認証する際に用いるデータを記憶する。なお、管理者の認証用データは例えば管理者が指定したパスワード(文字列データ)であってもよく、生体認証センサ55にて読み取り可能な生体データ(本実施形態では手のひらの静脈データ)であってもよい。本実施形態では、パスワード及び生体データの両方が管理者情報DB52aに記憶されている構成を例に説明するが、いずれか一方のみが管理者情報DB52aに記憶されている構成でもよい。担当するユーザ情報列は、各管理者に割り振られたユーザの情報を記憶し、具体的には各管理者が担当するユーザに割り当てられたユーザ識別情報(ユーザID)を記憶する。作業履歴列は、各管理者が現金払出装置50に対して行った作業の内容及び日時を含む履歴情報を記憶する。なお、作業履歴情報は、例えば管理者が現金払出装置50に対してログインした日時、管理者が担当するユーザに対して各種の設定処理を行った日時、管理者が担当するユーザの入出金履歴を確認した日時等、管理者が現金払出装置50に対して行う全ての作業についての履歴情報を含む。認証用データ及び作業履歴は、管理者情報DB52aに記憶されるほかに、記憶部52の所定領域又は他の記憶装置に記憶されてもよく、この場合、認証用データ列及び作業履歴列は、各データを読み出すための情報(例えばデータの記憶場所を示すファイル名)を記憶する。
管理者情報DB52aに記憶される管理者IDは、新たな管理者が追加された場合に制御部11によって発行されて記憶される。管理者情報DB52aに記憶される認証用データ及び担当するユーザ情報は、新たな管理者が追加される際に入力部53b又は通信部54を介して入力された場合に制御部51によって記憶され、入力部53b又は通信部54を介して変更指示が入力された場合に制御部51によって変更される。なお、認証用データに手のひらの静脈データを用いる場合、認証用データは生体認証センサ55を介して入力される。管理者情報DB52aに記憶される作業履歴は、入力部53bを介して管理者が現金払出装置50に対する操作(作業)を行った場合に、制御部51によって作業日時及び作業内容が対応付けて記憶される。管理者情報DB52aの記憶内容は図14Aに示す例に限定されず、管理者に関する各種の情報を記憶することができる。例えば、管理者の氏名、所属部署等が記憶される構成でもよい。
ユーザ情報DB52bは、現金払出装置50に現金を預けて定期的に払い出しを受けるユーザに関する情報を記憶する。ユーザは例えば、現金払出装置50が設置された施設の利用者又は居住者である。図14Bに示すユーザ情報DB52bは、ユーザID列、生体認証用データ列、氏名列、出金スケジュール列、入出金履歴列等を含み、ユーザIDに対応付けて、ユーザに関する各情報を記憶する。ユーザID列は、各ユーザに割り当てられた識別情報(ユーザID)を記憶し、生体認証用データ列は、各ユーザに対して生体認証を行う際に用いる生体データ(静脈データ)を記憶し、氏名列は各ユーザの氏名を記憶する。出金スケジュール列は、各ユーザに対して設定された出金予定を示す出金スケジュール(払出スケジュール)を記憶し、入出金履歴列は、各ユーザに対応して行われた入出金の内容及び日時を含む履歴情報を記憶する。なお、入出金履歴情報は、例えば管理者が入金した日時及び入金額、ユーザが出金した日時及び出金額等の履歴情報を含む。生体認証用データ及び入出金履歴は、ユーザ情報DB52bに記憶されるほかに、記憶部52の所定領域又は他の記憶装置に記憶されてもよく、この場合、生体認証用データ列及び入出金履歴列は、各データを読み出すための情報(例えばデータの記憶場所を示すファイル名)を記憶する。
ユーザ情報DB52bに記憶されるユーザIDは、新たなユーザが追加された場合に制御部51によって発行されて記憶される。ユーザ情報DB52bに記憶される生体認証用データは、新たなユーザが追加される際に生体認証センサ55を介して入力された場合に制御部51によって記憶され、入力部53b又は通信部54を介して変更が指示された際に生体認証センサ55を介して入力された場合に制御部51によって変更される。ユーザ情報DB52bに記憶される氏名は、新たなユーザが追加される際に入力部53b又は通信部54を介して入力された場合に、制御部51によって記憶される。ユーザ情報DB52bに記憶される出金スケジュールは、新たなユーザが追加される際に入力部53b又は通信部54を介して入力された場合に、制御部51によって記憶され、入力部53b又は通信部54を介して変更指示が入力された場合に制御部51によって変更される。ユーザ情報DB52bに記憶される入出金履歴は、ユーザに対応付けて入金が行われた場合に制御部51によって入金日時及び入金額が対応付けて記憶され、ユーザによる出金が行われた場合に制御部51によって出金日時及び出金額が対応付けて記憶される。ユーザ情報DB52bの記憶内容は図14Bに示す例に限定されず、ユーザに関する各種の情報を記憶することができる。例えば、ユーザの年齢、性別、医療機関における診察券番号及び入院している場合の病室番号、福祉施設に居住している場合の部屋番号、住所、電話番号、家族等の連絡先(電話番号等)等の個人情報が記憶される構成でもよい。
本実施形態の情報処理システム100において、管理者用端末40及び金融機関サーバ10は、図5及び図6に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、管理者認証用データに基づいて認証された管理者は、自身が管理するユーザの払出スケジュール(出金スケジュール)を金融機関サーバ10(スケジュールDB12b)に対して設定及び変更することができ、ユーザの払出履歴を確認することができる。なお、本実施形態の情報処理システム100では、ステップS36の処理後、金融機関サーバ10の制御部11は、スケジュールDB12bに記憶した払出スケジュールを、払出スケジュールが登録されたユーザのユーザIDに対応付けて、このユーザの使用が登録されている現金払出装置50へ送信する。現金払出装置50は、金融機関サーバ10からユーザID及び払出スケジュールを受信した場合、受信したユーザIDに対応する出金スケジュールとして、受信した払出スケジュールをユーザ情報DB52bに記憶する。これにより、管理者用端末40を用いて金融機関サーバ10に登録された払出スケジュールが、現金払出装置50にも登録することができる。なお、各ユーザの使用が登録されている現金払出装置50の情報は、例えばスケジュールDB12bに、ユーザIDに対応付けて記憶されている。
本実施形態の現金払出装置50は、金融機関サーバ10から送信される払出スケジュール(出金スケジュール)をユーザ情報DB52bに登録するほかに、入力部53bを介して入力された出金スケジュールをユーザ情報DB52bに登録できる。また、現金払出装置50は、登録してあるユーザに対応付けて入金を受け付けるように構成されており、ユーザに対して行われた入出金処理の履歴を閲覧できるように構成されている。以下に、管理者が現金払出装置50を操作してユーザに対する出金スケジュールを設定する処理、ユーザの入出金履歴を確認する処理、ユーザに対する入金を登録する処理を行う際に現金払出装置50が行う処理について説明する。図15は現金払出装置50による出金スケジュールの設定処理手順の一例を示すフローチャート、図16~図18は画面例を示す模式図である。以下の処理は、現金払出装置50の記憶部52に記憶してある制御プログラム52Pに従って制御部51によって実現されるが、処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
現金払出装置50は、待機状態である場合、例えば図16Aに示すような初期画面(ログイン画面)をタッチパネル53(表示部53a)に表示している。ログイン画面は、ログインID及びパスワードをそれぞれ入力するための入力欄と、入力されたログインID及びパスワードに基づくログイン処理の実行を指示するためのログインボタンと、生体データの読み取りを指示するための生体データ読み取りボタンとを有する。管理者は現金払出装置50に対する操作を行う場合、ログイン画面においてログインID及びパスワードを入力してログインボタンを操作するか、生体データ読み取りボタンを操作することにより、ログイン処理の実行を指示する。なお、ログインIDには例えば各管理者に割り当てられている管理者IDが用いられる。
図16Aに示すようなログイン画面を表示している現金払出装置50において、制御部51は、ログイン処理に必要な管理者の認証用データを取得したか否かを判断する(S71)。例えば管理者がログイン画面においてログインID及びパスワードを入力してログインボタンを操作した場合、制御部51は、認証用データとしてログインID及びパスワードを取得する。ログインID及びパスワードは、例えばタッチパネル53に表示されたキーボード又はテンキーを介して入力される。また現金払出装置50が例えばICカードに記憶されているカード情報を読み取るカードリーダを有する場合、各管理者の管理者ID及びパスワードが記憶してあるICカードからカードリーダにて管理者ID及びパスワードを読み取ってもよい。また管理者がログイン画面において生体データ読み取りボタンを操作した場合、制御部51は、静脈データの読み取りを促すメッセージをタッチパネル53に表示又はスピーカ58から音声出力した後、生体認証センサ55によって管理者の静脈データを取得する。静脈データの読み取りを促すメッセージは例えば「手のひらを生体認証センサにかざして下さい」、「手のひらを装置の上面にかざして下さい」等であってもよい。また、生体認証センサ55の近傍にライトを設けておき、制御部51は、ライトを点灯又は点滅させることによって、生体認証センサ55の場所を通知すると共に静脈データの読み取りを促してもよい。
制御部51は、管理者の認証用データを取得していないと判断した場合(S71:NO)、取得するまで待機する。管理者の認証用データを取得したと判断した場合(S71:YES)、制御部51は、取得した認証用データに基づいて管理者を認証する(S72)。具体的には、制御部51は、認証用データとして管理者ID及びパスワードを取得した場合、取得した管理者IDに対応付けて管理者情報DB52aに記憶してある認証用データ(パスワード)に、取得したパスワードが一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合、認証成功と判断する。また制御部51は、認証用データとして静脈データを取得した場合、取得した静脈データが、管理者情報DB52aに記憶してある認証用データ(静脈データ)のいずれかに一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合、認証成功と判断する。このとき制御部51は、取得した静脈データに一致する認証用データに対応する管理者(管理者ID)を特定し、特定した管理者に対して認証が成功したと判断する。
制御部51は、取得した認証用データに基づく管理者の認証が成功したか否かを判断し(S73)、失敗したと判断した場合(S73:NO)、ステップS71の処理に戻る。このとき制御部51は、認証に失敗したことを示すメッセージを表示又は音声出力してもよく、メッセージを表示又は音声出力した後に図16Aに示すログイン画面の表示に戻る。取得した認証用データに基づく管理者の認証が成功したと判断した場合(S73:YES)、制御部51は、図16Bに示すように、認証した管理者が担当するユーザの一覧画面を生成してタッチパネル53に表示する(S74)。図16Bに示す画面は、ログインした(認証された)管理者の管理者IDと、この管理者が担当するユーザの氏名及びユーザIDの一覧(担当ユーザ一覧)とを表示する。なお、担当ユーザ一覧において各ユーザの氏名及びユーザIDはそれぞれ選択できるように構成されている。また図16Bに示す画面は、この管理者による操作の終了を指示するための終了ボタンを有する。制御部51は、認証した管理者の管理者IDに対応付けて管理者情報DB52aに記憶してある担当するユーザ情報(ユーザID)を読み出し、読み出したユーザIDのユーザの氏名をユーザ情報DB52bから読み出し、担当するユーザの氏名及びユーザIDを表示した担当ユーザ一覧を生成する。そして制御部51は、生成した担当ユーザ一覧に、ログイン中の管理者の管理者ID及び終了ボタンを付加することにより、図16Bに示す画面を生成する。なお、管理者の認証が成功した後、制御部51は、認証した管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時を含み、ログイン処理が行われたことを示すログイン履歴情報を管理者情報DB52aに記憶しておく。
図16Bに示す画面において、管理者は担当ユーザ一覧に表示されたユーザのうちで、操作対象としたいユーザを選択する。制御部51は、担当ユーザ一覧を介していずれかのユーザに対する選択を受け付けたか否かを判断し(S75)、受け付けていないと判断した場合(S75:NO)、受け付けるまで待機する。なお、制御部51は、担当ユーザ一覧において終了ボタンが操作された場合、担当ユーザ一覧の表示を終了し、図16Aに示すログイン画面の表示に戻す。
担当ユーザ一覧においていずれかのユーザに対する選択を受け付けたと判断した場合(S75:YES)、制御部51は、図16Cに示すように、選択されたユーザに対応するメニュー画面を生成してタッチパネル53に表示する(S76)。図16Cに示すメニュー画面は、ログイン中の管理者の管理者IDと、選択されたユーザの氏名及びユーザIDと、このユーザの現在の残高(現金払出装置50に対する入金額から出金額を減算した残りの金額)と、このユーザが最後に現金の払出を行った最終払出実行日時とを表示する。なお、最終払出実行日時は、現金払出装置50による払出の実行日時であってもよく、ATM20による払出の実行日時であってもよい。ATM20による払出の実行日時の場合、制御部51は、金融機関サーバ10から、このユーザが最後にATM20を用いて現金の払出を行った最終払出実行日時を取得する。また図16Cに示すメニュー画面は、ユーザに対して管理者が操作可能な処理(オペレーション)の実行を指示するためのメニューボタンと、このユーザに対する操作の終了を指示するための終了ボタンとを有する。メニューボタンは、オペレーションメニューとしてユーザの出金スケジュールの設定処理の実行を指示するためのスケジュール設定ボタンと、ユーザに対する入出金履歴の表示を指示するための入出金履歴確認ボタンと、ユーザに対応付けて入金するための入金ボタンとを有する。また、管理メニューとしてユーザに関する情報の設定変更を指示するためのユーザ情報変更ボタンと、管理者に関する情報の設定変更を指示するための管理者情報変更ボタンとを有する。制御部51は、予め記憶部52に記憶してあるメニュー画面の情報を読み出し、選択されたユーザのユーザIDに対応付けてユーザ情報DB52bに記憶してある入出金履歴から現在の残高及び最終払出実行日時を読み出す。そして制御部51は、読み出した画面情報に、管理者の管理者ID、ユーザの氏名及びユーザID、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を付加することにより、図16Cに示すメニュー画面を生成する。メニュー画面は図16Cに示した構成に限定されない。
図16Cに示すメニュー画面において、管理者はスケジュール設定ボタンを操作することにより、ユーザに対する出金スケジュールの設定処理の実行を指示し、入出金履歴確認ボタンを操作することにより、ユーザに対する入出金履歴の表示を指示し、入金ボタンを操作することにより、ユーザに対する入金の受付を指示する。また管理者は、ユーザ情報変更ボタンを操作することにより、ユーザに関する登録情報の設定変更を指示し、管理者情報変更ボタンを操作することにより、管理者自身に関する登録情報の設定変更を指示する。制御部51は、メニュー画面においてスケジュール設定ボタンが操作されたか否かを判断しており(S77)、操作されたと判断した場合(S77:YES)、図17に示すような出金スケジュール設定画面をタッチパネル53に表示する(S78)。
図17に示す出金スケジュール設定画面は、実施形態1で説明した図8に示す払出スケジュールの設定画面と同様の構成を有し、更に、現金払出装置50におけるユーザの現在の残高を表示する。制御部51は、予め記憶部52に記憶してある出金スケジュール設定画面の情報を読み出し、読み出した画面情報に、管理者ID、ユーザの氏名及びユーザID、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を付加することにより、図17に示す出金スケジュール設定画面を生成する。出金スケジュール設定画面は図17に示した構成に限定されない。
制御部51は、出金スケジュール設定画面を介して出金スケジュールに関する設定内容(出金条件)を受け付けた場合、受け付けた設定内容を各入力欄に表示する(S79)。そして制御部51は、出金スケジュール設定画面の設定ボタンが操作されたか否かを判断し(S80)、操作されていないと判断した場合(S80:NO)、ステップS79の処理を繰り返す。出金スケジュール設定画面の設定ボタンが操作されたと判断した場合(S80:YES)、制御部51は、出金スケジュール設定画面を介して入力された設定内容での出金スケジュールを記憶する(S81)。具体的には、制御部51は、設定対象のユーザのユーザIDに対応する出金スケジュールとして、入力された設定内容をユーザ情報DB52bに記憶する。出金スケジュールを記憶した後、制御部51は、ここでの管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時及びユーザのユーザIDを含み、出金スケジュールの設定が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB52aに記憶しておく。また制御部51は、ステップS81の処理後、図16Cに示すメニュー画面の表示に戻してもよい。更に制御部51は、ユーザ情報DB52bに記憶した出金スケジュールをユーザIDに対応付けて金融機関サーバ10へ送信し、金融機関サーバ10(スケジュールDB12b)に登録させてもよい。この場合、現金払出装置50を介して入力された出金スケジュール(払出スケジュール)を金融機関サーバ10に登録することができ、現金払出装置50に登録した出金スケジュールと金融機関サーバ10に登録した払出スケジュールとを一致させることができる。
ステップS77でスケジュール設定ボタンが操作されていないと判断した場合(S77:NO)、制御部51は、メニュー画面の入出金履歴確認ボタンが操作されたか否かを判断する(S82)。入出金履歴確認ボタンが操作されたと判断した場合(S82:YES)、制御部51は、図18Aに示すような入出金履歴画面を生成してタッチパネル53に表示する(S83)。図18Aに示す入出金履歴画面は、処理対象のユーザが現金払出装置50から現金を払い出した日時及び金額(出金履歴)と、ユーザに対応して現金払出装置50に入金された日時及び金額(入金履歴)と、各日時での残高とを表示する。制御部51は、処理対象のユーザのユーザIDに対応付けてユーザ情報DB52bに記憶してある入出金履歴を読み出して入出金履歴一覧を生成し、入出金履歴一覧に、管理者ID、ユーザの氏名及びユーザID、ユーザの現在の残高及び最終払出実行日時を付加することにより、図18Aに示す入出金履歴画面を生成する。入出金履歴画面は図18Aに示した構成に限定されない。例えば入出金履歴画面は、現金払出装置50による入出金履歴だけでなく、ATM20を介して払い出された現金の払出履歴も表示する構成でもよい。入出金履歴画面を表示した後、制御部51は、ここでの管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時及びユーザのユーザIDを含み、入出金履歴画面の表示が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB52aに記憶しておく。
図18Aに示す入出金履歴画面は、画面の表示終了を指示するための閉じるボタンを有しており、制御部51は、入出金履歴画面の閉じるボタンが操作された場合、入出金履歴画面の表示を終了し、例えば図16Cに示すメニュー画面の表示に戻す。制御部51は、入出金履歴画面を、例えば通信部54を介してプリンタへ送信できるように構成されていてもよく、通信部54を介して他の装置へ送信できるように構成されていてもよい。このような構成により、入出金履歴画面は、現金払出装置50の表示部53aに表示されるだけでなく、プリンタによって用紙に印刷され、又は他の装置へ送信されることができる。この場合、入出金履歴画面は、画面の印刷を指示するための印刷ボタンと、画面の送信を指示するための送信ボタンとを有していてもよい。
メニュー画面の入出金履歴確認ボタンが操作されていないと判断した場合(S82:NO)、制御部51は、メニュー画面の入金ボタンが操作されたか否かを判断する(S84)。入金ボタンが操作されたと判断した場合(S84:YES)、制御部51は、図18Bに示すような金額受付画面をタッチパネル53に表示する(S85)。図18Bに示す金額受付画面は、処理対象のユーザに対応付けて現金払出装置50に入金する金額を入力するための入力欄と、入力欄に入力された金額を登録するためのOKボタンとを有する。管理者は、ユーザ又はユーザの家族等から預かった現金の金額を入力欄に入力し、入力した金額の登録を指示する場合、OKボタンを操作する。制御部51は、金額受付画面を介して入金額を受け付け(S86)、OKボタンが操作された場合、処理対象のユーザのユーザIDに対応する入金履歴として、この時点の日時及び受け付けた金額を含む入金履歴情報をユーザ情報DB52bに記憶する(S87)。入金履歴を記憶した後、制御部51は、ここでの管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時及びユーザのユーザIDを含み、入金が行われたことを示す履歴情報を管理者情報DB52aに記憶しておく。また管理者は、各ユーザに対する入金額の登録を行った場合に、又は複数のユーザに対する入金額の登録を行った場合にまとめて、現金払出装置50に現金を収納してもよく、このとき一括投入口50aから現金収納部に現金を投入してもよい。一括投入口50aから現金が投入された場合、制御部51は、投入された現金の金額を金種判別部57aにて判別し、判別した金額が、管理者が入金処理によって登録した入金額に一致するか否かを判断し、一致した場合に入金処理を完了する。一方、金種判別部57aにて判別した金額が入金額に一致しない場合、制御部51は、タッチパネル53にエラーメッセージを表示して管理者に確認を促してもよい。また制御部51は、金種判別部57aにて判別した金額を投入金額としてタッチパネル53に表示して管理者に投入金額の確認を促し、管理者が入金処理によって登録した入金額と、表示された投入金額とが一致することを確認した後に入力処理を完了してもよい。
メニュー画面の入金ボタンが操作されていないと判断した場合(S84:NO)、制御部51は、ステップS85~S87の処理をスキップして処理を終了する。なお、メニュー画面中の管理メニューにおいてユーザ情報変更ボタンが操作された場合、制御部51は、ユーザ情報変更画面(図示せず)を表示し、ユーザ情報変更画面を介して操作対象のユーザに関する設定情報の変更指示を受け付ける。また、管理者情報変更ボタンが操作された場合、制御部51は、管理者情報変更画面(図示せず)を表示し、管理者情報変更画面を介して操作中の管理者に関する設定情報の変更指示を受け付ける。上述したようにユーザ情報及び管理者情報の変更処理を行った場合にも、制御部51は、管理者の管理者IDに対応する作業履歴として、この時点の日時を含み、行われた処理内容を示す履歴情報を管理者情報DB52aに記憶しておく。
上述した処理により、管理者は、自身が担当するユーザの出金スケジュールを現金払出装置50のタッチパネル53を操作することによって設定及び変更でき、各ユーザの入出金履歴を確認することができ、各ユーザの現金を入金登録することができる。なお、管理者は、自身の認証用データに基づく認証処理によって適切な権限を有する管理者であることが認証された後に、現金払出装置50の操作が可能となるので、現金払出装置50に対する安全性を確保できる。
本実施形態のATM20及び金融機関サーバ10は、図10に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、本実施形態の情報処理システム100においても、ユーザが自身の生体データに基づいて認証された場合にATM20を介して現金の払い出しを受けることができる。本実施形態の情報処理システム100では、現金払出装置50を介しても現金の払い出しを受けることができる。以下に、ユーザが現金払出装置50から現金の払い出しを受ける際に現金払出装置50が行う処理について説明する。図19は実施形態2の払出処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、現金払出装置50の記憶部52に記憶してある制御プログラム52Pに従って制御部51によって実現され、金融機関サーバ10の記憶部12に記憶してある制御プログラム11Pに従って制御部11によって実現される。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
待機状態の現金払出装置50において、制御部51は、生体認証センサ55によって生体データ(ここでは静脈データ)を取得したか否かを判断しており(S91)、取得していないと判断した場合(S91:NO)、取得するまで待機する。なお、待機状態において、制御部51は、図16Aに示すログイン画面をタッチパネル53に表示すると共に、静脈データの読み取りを促すメッセージを表示又は音声出力していてもよい。また、生体認証センサ55の近傍にライトが設けてある場合、制御部51は、ライトを点灯又は点滅させることによって、生体認証センサ55の場所を通知すると共に静脈データの読み取りを促してもよい。
生体認証センサ55によって静脈データを取得したと判断した場合(S91:YES)、制御部51(認証部)は、取得した静脈データに基づいてユーザを認証する(S92)。ここでは制御部51は、取得した静脈データが、ユーザ情報DB52bに記憶してある生体認証用データのいずれかに一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合、静脈データが一致したユーザを特定し、特定したユーザに対して認証が成功したと判断する。制御部51は、静脈データに基づくユーザ認証が成功したか否かを判断し(S93)、失敗したと判断した場合(S93:NO)、ステップS91の処理に戻る。このとき制御部51は、ユーザ認証に失敗したことを示すメッセージを表示又は音声出力してもよい。静脈データに基づくユーザ認証が成功したと判断した場合(S93:YES)、制御部51は、認証されたユーザに対して、この時点での現金の払い出し(出金)が可能であるか否かを金融機関サーバ10に問い合わせる(S94)。
金融機関サーバ10の制御部11は、払い出しの可否の問い合わせを受けた場合、現金払出装置50で認証されたユーザの出金スケジュール(払出スケジュール)に基づいて、この時点での現金の払い出しが可能であるか否かを判断する(S95)。ここでは、制御部11は、認証されたユーザの出金スケジュール(払出スケジュール)及び払出履歴をスケジュールDB12bから読み出し、この時点での払い出しが、読み出した払出スケジュールに沿ったタイミングに合致するか否かを判断し、合致する場合、払出可能であると判断する。制御部11は、判断した結果を現金払出装置50へ送信する(S96)。
現金払出装置50の制御部51は、金融機関サーバ10による判断結果に基づいて、この時点での払い出しが可能であるか否かを判断する(S97)。また制御部51は、現金払出装置50におけるユーザの現在の残高を、ユーザ情報DB52bに記憶してある入出金履歴から読み出し、読み出した残高が出金予定の金額未満であるか否かを判断し、残高が出金予定の金額未満である場合に払出可能でないと判断してもよい。この時点での払い出しが可能であると判断した場合(S97:YES)、制御部51(払出部)は、出金スケジュールで設定されている金額の現金を現金払出部56にて払い出す(S98)。なお、前回の出金タイミングまでに未出金(払い出されていない現金)がある場合、制御部51は、未出金の金額と、設定された繰越上限金額とに基づいて、出金可能な金額を算出し、算出した金額の現金を現金払出部56にて払い出す。そして制御部51は、現金を払い出したユーザ、即ちステップS92で認証されたユーザのユーザIDに対応する出金履歴として、この時点の日時及び出金した金額を含む出金履歴情報をユーザ情報DB52bに記憶する(S99)。制御部51は、ユーザ情報DB52bに記憶した出金履歴情報をユーザIDに対応付けて金融機関サーバ10へ送信する(S100)。金融機関サーバ10の制御部11は、現金払出装置50から出金履歴情報(払出履歴情報)を受信した場合、受信した出金履歴情報を、受信したユーザIDに対応する払出履歴としてスケジュールDB12bに記憶する(S101)。これにより、現金払出装置50を介して払い出された現金の払出履歴が金融機関サーバ10(スケジュールDB12b)に記憶される。よって、金融機関サーバ10は、ATM20にて行われた現金の払出処理だけでなく、現金払出装置50にて行われた現金の払出処理についても履歴情報をスケジュールDB12bに記憶できる。なお、金融機関サーバ10の制御部11又は現金払出装置50の制御部51のいずれかは、例えばステップS101又はS100の処理後に、現金払出装置50を用いて現金を払い出したユーザに対応する管理者の管理者用端末40に対して、ユーザが現金の払い出しを受けたこと(払い出し履歴)を通知する通知情報を送信してもよい。
この時点での払い出しが可能でないと判断した場合(S97:NO)、制御部51は、現時点では払い出しできないことを示すメッセージをタッチパネル53に表示又はスピーカ58から音声出力することによって、払出不可をユーザに通知する(S102)。なお、制御部51は、払出不可を通知する際に、ユーザの出金スケジュールから次に出金可能な日時を特定し、特定した日時を通知してもよい。また、現金払出装置50の制御部51は、例えばステップS102の処理後に、現金の払い出しに失敗したユーザに対応する管理者の管理者用端末40に対して、ユーザが現金を払い出そうとしたこと、及び払い出しに失敗したことを通知する通知情報を送信してもよい。なお、ユーザに対応する残高が不足していることによって払出可能でない場合、管理者は、現金払出装置50からの通知情報によって現金の不足を把握できる。
現金払出装置50の制御部51は、生体認証センサ55が静脈データを取得する都度、上述した処理を行う。これにより、ユーザの静脈データに基づく認証処理によって適切なユーザであることが認証された場合に、ユーザに対して現金の払い出しが行われる。よって、現金払出装置50に収納されている現金に対する安全性を確保できると共に、ユーザは自身が欲しいタイミングで現金を取得することができる。また、本実施形態では、ATM20又は現金払出装置50を介して現金を受け取ることができるので、ユーザは使用したい装置から現金を受け取ることができ、利便性がよい。また、本実施形態の情報処理システム100では、ATM20による現金の払出履歴と、現金払出装置50による現金の払出履歴(出金履歴)とを金融機関サーバ10が管理しているので、それぞれの装置を介した払出処理が重複して行われることを防止できる。よって、ユーザ毎に設定してある払出スケジュールに沿った金額以上の現金が払い出されないので、ユーザによる浪費が発生しない。
本実施形態では、上述した実施形態1と同様の効果が得られる。また本実施形態では、ATM20による現金の払出処理と現金払出装置50による現金の払出処理とを連携させることができ、ユーザはいずれかの装置から現金を受け取ることができる。本実施形態においても、上述した実施形態1で適宜説明した変形例の適用が可能である。
本実施形態の情報処理システム100において、各ユーザの出金スケジュール及び入出金履歴は、金融機関サーバ10(スケジュールDB12b)のみで管理される構成でもよい。この場合、現金払出装置50は、出金スケジュール(払出スケジュール)及び払出履歴に従って現金の払い出しが可能であるか否かを判断する処理を金融機関サーバ10に実行させる。また、管理者の認証用データ、又はユーザの生体認証用データ(生体データ)は、金融機関サーバ10(スケジュールDB12b)のみで管理される構成でもよい。この場合、現金払出装置50は、取得した管理者の認証用データを金融機関サーバ10へ送信し、認証用データに基づく管理者認証を金融機関サーバ10に実行させる。また、現金払出装置50は、取得したユーザの生体データを金融機関サーバ10へ送信し、生体データに基づくユーザ認証を金融機関サーバ10に実行させる。
本実施形態の情報処理システム100において、ユーザに対応付けて現金払出装置50に入金する処理は、管理者だけでなくユーザ自身が行える構成でもよく、ユーザの家族が行える構成でもよい。
(実施形態3)
ユーザに対して、ATM20又は現金払出装置50を介して現金を払い出す代わりに、ユーザに対応付けられているキャッシュレス決済用の口座に、払出スケジュール(入金スケジュール)に従ったタイミングで入金する情報処理システムについて説明する。図20は実施形態3の情報処理システムの構成例を示す模式図である。本実施形態の情報処理システム101は、金融機関サーバ10及び管理者用端末40に加えて、キャッシュレス決済用サーバ60、POS(Point Of Sales)端末70、ユーザ端末80を含み、キャッシュレス決済用サーバ60、POS端末70及びユーザ端末80はネットワークNに接続可能である。本実施形態の金融機関サーバ10及び管理者用端末40は、実施形態1の金融機関サーバ10及び管理者用端末40と同様の装置であるので、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態の金融機関サーバ10において、記憶部12に記憶してある顧客口座DB12aには、各口座に対応付けて、キャッシュレス決済の支払用口座の口座番号が記憶してある。
キャッシュレス決済用サーバ60は、キャッシュレス決済サービスを提供する会社のサーバであり、キャッシュレス決済サービスを利用したい各ユーザに対応付けて開設された支払用口座を管理する処理等、種々の情報処理を行う。キャッシュレス決済用サーバ60は、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を用いて構成される。キャッシュレス決済用サーバ60は、複数台設けられて分散処理する構成でもよく、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されてもよく、クラウドサーバを用いて実現されてもよい。
POS端末70は、店舗内でのキャッシュレス決済に係る種々の処理を行う決済処理端末であり、1つの店舗に複数台設けられていてもよい。POS端末70は、携帯端末(ユーザ端末80)を用いたアプリ決済に対応した決済処理(支払い処理)を行う。アプリ決済は、スマホ決済又はQRコード(登録商標)決済等と呼ばれ、スマートフォン等のユーザ端末80にインストールした決済処理用のアプリケーション(以下では決済用アプリという)を用いて行う支払い方法である。ユーザ端末80は、店舗で買い物するユーザの携帯端末であり、スマートフォン、タブレット端末等である。ユーザ端末80は、決済用アプリがインストールされており、決済用アプリを実行することによってアプリ決済に係る処理を行う。
図21はキャッシュレス決済用サーバ60及びPOS端末70の内部構成例を示すブロック図である。キャッシュレス決済用サーバ60は、制御部61、記憶部62、通信部63、入力部64、表示部65、読み取り部66等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61、記憶部62、通信部63、入力部64、表示部65、及び読み取り部66のそれぞれは、金融機関サーバ10の制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読み取り部16と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、キャッシュレス決済用サーバ60の記憶部62は、制御部61が実行する制御プログラム62Pに加えて、後述する支払用口座DB62aを記憶する。支払用口座DB62aは、キャッシュレス決済用サーバ60に接続された他の記憶装置に記憶されてもよく、キャッシュレス決済用サーバ60が通信可能な他の記憶装置に記憶されてもよい。
POS端末70は、制御部71、記憶部72、通信部73、入力部74、表示部75、コードリーダ76等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。POS端末70の制御部71、記憶部72、通信部73、入力部74、及び表示部75のそれぞれは、キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61、記憶部62、通信部63、入力部64、表示部65と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。コードリーダ76は、例えばQRコードのような二次元コードを読み取る装置であり、読み取ったコードをデコードしてコード情報を取得し、得られたコード情報を制御部71へ送出する。コードリーダ76は、二次元コードのほかに、バーコード等の1次元コードを読み取る構成でもよい。
図22は支払用口座DB62aの構成例を示す模式図である。支払用口座DB62aは、キャッシュレス決済を利用するユーザの支払用口座に関する情報を記憶する。図22に示す支払用口座DB62aは、口座番号列、顧客情報列、コード情報列、ユーザID列、金融機関口座情報列、入出金履歴列等を含み、口座番号に対応付けて口座及びユーザに関する各情報を記憶する。口座番号列は、キャッシュレス決済の支払用に開設された各口座(支払用口座)に割り当てられた識別情報(口座番号)を記憶する。顧客情報列は、支払用口座の名義人の顧客に関する情報を記憶し、例えばユーザの氏名、住所、電話番号、生年月日等の個人情報を記憶する。コード情報列は、キャッシュレス決済を行う際に用いるコード情報を記憶する。コード情報は、キャッシュレス決済を行う際にユーザ端末80に表示される決済用コード(例えばQRコード)を生成する際に用いられるコード情報である。ユーザID列は、支払用口座を用いてキャッシュレス決済を行うユーザに割り当てられた識別情報(ユーザID)を記憶する。金融機関口座情報は、支払用口座に入金するために金融機関に開設された口座に割り当てられた識別情報(口座番号)を記憶する。入出金履歴列は、支払用口座に対して行われた入出金処理に関する履歴情報を記憶する。支払用口座DB62aに記憶される口座番号、顧客情報、コード情報、ユーザID及び金融機関口座情報は、新たな支払用口座が開設された場合に、顧客に割り当てられた口座番号、顧客によって指定された顧客情報、ユーザに割り当てられたコード情報及びユーザID、顧客によって指定された金融機関の口座番号が制御部61によって記憶される。支払用口座DB62aに記憶される入出金履歴は、各支払用口座に対して入出金処理が行われた場合に、入出金処理に関する情報が制御部61によって記憶される。支払用口座DB62aの記憶内容は図22に示す例に限定されない。
図23はユーザ端末80の内部構成例を示すブロック図である。ユーザ端末80は、制御部81、記憶部82、通信部83、入力部84、表示部85、生体認証センサ86等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。ユーザ端末80の制御部81、記憶部82、通信部83、入力部84、及び表示部85のそれぞれは、キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61、記憶部62、通信部63、入力部64、表示部65と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、ユーザ端末80の記憶部82は、制御部81が実行する制御プログラム82Pに加えて、決済用アプリ82APを記憶する。決済用アプリ82APは、例えば制御部81が通信部83を介した他の装置からダウンロードして記憶部82に記憶される。
生体認証センサ86は、例えば手のひらの静脈を読み取る静脈センサであり、所定の検知範囲内でかざされた手のひらの静脈を読み取って静脈データを取得し、取得した静脈データを制御部81へ送出する。本実施形態のユーザ端末80は、手のひらの静脈を用いた生体認証を行う構成を有するが手のひらの静脈認証に限定されず、指の静脈、指紋、瞳の虹彩、声紋、顔形等による生体認証であってもよく、複数の生体情報を組み合わせて認証を行う構成でもよい。
本実施形態の情報処理システム101において、管理者用端末40及び金融機関サーバ10は、図5及び図6に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、管理者認証用データに基づいて認証された管理者は、自身が管理するユーザの払出スケジュールを金融機関サーバ10(スケジュールDB12b)に対して設定及び変更することができ、ユーザの払出履歴(支払用口座への入金履歴)を確認することができる。なお、本実施形態の情報処理システム101では、ステップS32で管理者用端末40の表示部45に表示される払出スケジュールの設定画面が、図8に示す構成と若干異なる。
図24は、実施形態3における設定画面の構成例を示す模式図である。図24に示す設定画面は、ユーザに対応付けられているキャッシュレス決済の支払用口座に対して入金するスケジュール(条件)を設定するための画面である。図24に示す設定画面は、回数設定の入力欄及び繰越設定の入力欄が、図8に示す実施形態1の設定画面と異なる。図24に示す設定画面において、回数設定の入力欄は、1日あたり1回又は複数回のいずれかを選択するためのチェックボックスと、金融機関の口座から支払用口座への入金時刻(払出時刻)の入力欄とを有し、入金時刻の入力欄には、任意の時刻を選択できるプルダウンメニューが設けられている。繰越設定の入力欄は、支払用口座の残高上限額を設定するか否かを選択するためのチェックボックスと、支払用口座の残高上限額を1回の払出金額に設定するか、任意の金額に設定するかを選択するためのチェックボックスと、残高上限額を入力するための入力欄とを有する。支払用口座の残高上限額を1回の払出金額に設定するか、任意の金額に設定するかを選択するためのチェックボックスは、「支払用口座の残高上限額を設定する」が選択された場合に選択可能となり、残高上限額の入力欄は、「残高上限額に任意の金額を設定する」が選択された場合に入力可能となる。本実施形態では、払出スケジュールに従ったタイミング及び金額で金融機関の口座から支払用口座に入金が行われるので、ユーザがキャッシュレス決済を使用しなかった場合、支払用口座の残高が増えることになる。従って、支払用口座の残高上限額を1回の払出金額、又は任意の金額に設定することにより、支払用口座の残高が設定された上限額以上になることを防止できる。
本実施形態においても、管理者はユーザの同意を得た払出スケジュールに従って、図24に示す設定画面の各入力欄に設定内容を入力し、入力した内容での払出スケジュールを金融機関サーバ10(スケジュールDB12b)に登録する。また、金融機関サーバ10は、ユーザに設定された払出スケジュールに従った支払用口座への入金(払出処理)の履歴を管理しているので、管理者は管理者用端末40を用いて、金融機関サーバ10からユーザの払出履歴(支払用口座への入金履歴)を取得して閲覧することができる。
次に、金融機関サーバ10が各ユーザの払出スケジュールに従って、各ユーザの金融機関口座からキャッシュレス決済の支払用口座に入金する際に各装置が行う処理について説明する。図25は入金処理手順の一例を示すフローチャート、図26は画面例を示す模式図である。以下の処理は、金融機関サーバ10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って制御部11によって実現され、キャッシュレス決済用サーバ60の記憶部62に記憶してある制御プログラム62Pに従って制御部61によって実現される。処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
金融機関サーバ10の制御部11は、スケジュールDB12bに記憶してある払出スケジュールに基づいて、金融機関口座から支払用口座に入金すべき払出タイミングのユーザがいるか否かを判断する(S111)。例えば制御部11は、各ユーザの払出スケジュールが示す払出タイミング(払出時刻)が到来したか否かを判断し、払出タイミングが到来したと判断した場合、対応するユーザに対して払出タイミングであると判断する。払出タイミングのユーザがいないと判断した場合(S111:NO)、制御部11は、他の処理を行いつつ待機する。払出タイミングのユーザがいると判断した場合(S111:YES)、制御部11は、このユーザの支払用口座の残高をキャッシュレス決済用サーバ60に問い合わせる(S112)。キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61は、金融機関サーバ10から支払用口座の残高の問い合わせを受けた場合、対応するユーザの支払用口座の残高を支払用口座DB62aから読み出し(S113)、読み出した残高を金融機関サーバ10へ送信する(S114)。
金融機関サーバ10の制御部11は、キャッシュレス決済用サーバ60から、払出タイミングのユーザの支払用口座の残高を受信した場合、このユーザに対する払い出しが可能であるか否かを判断する(S115)。例えば制御部11(判断部)は、このユーザに対して設定されている残高上限額(具体的には1回の払出金額又は任意の金額)をスケジュールDB12bから読み出し、キャッシュレス決済用サーバ60から受信した残高が残高上限額未満であるか否かを判断する。制御部11は、ユーザの支払用口座の残高が残高上限額未満であるか否かに応じて、払い出しが可能であるか否かを判断する。また、このユーザに対して残高上限額が設定されていない場合、制御部11は、払い出しが可能であると判断してもよい。なお、制御部11は、払出タイミングのユーザがいると判断した場合に(S111:YES)、このユーザに対して残高上限額が設定されているか否かを判断し、設定されていない場合にはステップS112~S116の処理をスキップしてもよい。ユーザに対する払い出しが可能であると判断した場合(S115:YES)、制御部11は、このユーザに対して入金すべき金額を算出する(S116)。具体的には、制御部11(特定部)は、払出スケジュールで設定されている金額と、支払用口座の残高と、残高上限額とに基づいて、払出スケジュールで設定されている金額を上限とし、支払用口座の残高が残高上限額により近づく金額(入金額)を算出(特定)する。なお、ユーザに対して残高上限額が設定されていない場合、制御部11は、払出スケジュールで設定されている金額を、このユーザに対して入金すべき金額とする。そして、制御部11(入金部)は、このユーザに対して、算出した金額を金融機関の口座から支払用口座に入金する振替処理を行う(S117)。具体的には、制御部11は、金融機関の口座に対して出金処理を行い、キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61は、支払用口座に対して入金処理を行う(S118)。なお、制御部11が金融機関の口座から支払用口座に入金する振替処理を行う際に、金融機関の口座に、入金すべき金額がない場合、金額不足のために入金(払い出し)できないとして、ステップS117~S120の処理をスキップしてもよい。
金融機関サーバ10の制御部11は、振替処理後、支払用口座に入金したユーザのユーザIDに対応する払出履歴として、この時点の日時及び金額を含む払出履歴情報をスケジュールDB12bに記憶する(S119)。なお、キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61は、支払用口座に入金したユーザのユーザIDに対応する入金履歴として、この時点の日時及び金額を含む入金履歴情報を支払用口座DB62aに記憶する。更に制御部11は、例えば図26に示すように金融機関の口座から支払用口座に入金したことを通知するメッセージを表示する画面(通知情報)を生成してユーザ端末80へ送信することにより、支払用口座に入金したことをユーザ端末80に通知する(S120)。図26に示す画面は、支払用口座に入金があったこと及び入金額、支払用口座の残高、最後にキャッシュレス決済を使用した日時等を表示する。ユーザ端末80は、金融機関サーバ10から受信した画面を表示部85に表示することにより、ユーザにキャッシュレス決済の支払用口座に入金があったことを通知できる。なお、制御部11は、例えばステップS120の処理後に、ユーザに対応する管理者の管理者用端末40に対して、ユーザの支払用口座に入金したことを通知する通知情報を送信してもよい。これにより、ユーザの支払用口座に入金があったことを管理者にも通知できる。
一方、ユーザに対する払い出しが可能でないと判断した場合(S115:NO)、制御部11は、ステップS116~S120の処理をスキップする。即ち、ユーザに対する払い出しが可能でない場合、ユーザの支払用口座に入金処理を行わない。具体的には、キャッシュレス決済の支払用口座の残高が、設定されている残高上限額(1回の払出金額又は任意の金額)以上である場合、ユーザの支払用口座への入金処理が行われない。上述した処理により、ユーザ毎に設定してある払出スケジュールに従ってキャッシュレス決済の支払用口座に入金が行われるので、ユーザはキャッシュレス決済によって商品を購入することができる。なお、各ユーザに対して、払出スケジュールに設定されている金額以上の入金は行われないので、ユーザによる浪費が発生しない。また、ユーザの支払用口座の残高に対する上限額の設定が可能であるので、ユーザがキャッシュレス決済を使用しなかった場合であっても、支払用口座の残高が上限額以上とならない。なお、金融機関サーバ10の制御部11は、ユーザに対する払い出しが可能でないと判断した場合(S115:NO)、このユーザに対応する管理者の管理者用端末40に対して、支払用口座への入金に失敗したこと、及びその理由(残高が残高上限額に到達、又は金融機関の口座の残高不足)を通知する通知情報を送信してもよい。ユーザに対応する金融機関の口座の残高が不足していることによって払出可能でない場合、管理者は、金融機関サーバ10からの通知情報によって口座の残高不足を把握できる。
次に、ユーザがキャッシュレス決済を行う際に各装置が行う処理について説明する。図27は決済処理手順の一例を示すフローチャート、図28は画面例を示す模式図である。以下の処理は、ユーザ端末80の記憶部82に記憶してある制御プログラム82Pに従って制御部81によって実現され、POS端末70の記憶部72に記憶してある制御プログラム72Pに従って制御部71によって実現され、キャッシュレス決済用サーバ60の記憶部62に記憶してある制御プログラム62Pに従って制御部61によって実現される。処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
ユーザは、キャッシュレス決済で商品を購入する場合、ユーザ端末80に決済用アプリ82APを起動させる。ユーザ端末80の制御部81は、入力部84を介したユーザによる指示に従って決済用アプリ82APを起動し(S121)、図28Aに示すように生体認証を要求する生体認証画面を表示部85に表示する(S122)。図28Aに示す生体認証画面は、生体認証を促すメッセージを表示するが、そのほかに生体認証として手のひらを使用すること、及び手のひらをかざす生体認証センサ86の設置位置をユーザに通知するメッセージを表示してもよい。
制御部81は、生体認証センサ86によってユーザの生体データ(例えば静脈データ)を取得したか否かを判断し(S123)、取得していないと判断した場合(S123:NO)、取得するまで待機する。ユーザの生体データを取得したと判断した場合(S123:YES)、制御部81は、取得した生体データに基づくユーザ認証を行う(S124)。なお、ユーザ認証に用いる生体認証用データは、予め決済用アプリ82APに登録しておく。よって、制御部81は、決済用アプリ82APから生体認証用データを取得し、取得した生体認証用データが、生体認証センサ26で取得した生体データに一致するか否かを判断し、一致する場合は認証成功と判断し、一致しない場合は認証失敗と判断する。
制御部81は、ユーザ認証が成功したか否かを判断し(S125)、失敗したと判断した場合(S125:NO)、図28Bに示すように、認証に失敗したことを示すメッセージを表示するエラー画面を生成して表示部85に表示する(S127)。これにより、認証に失敗してキャッシュレス決済を使用できないことをユーザに通知できる。制御部81は、ユーザ認証が成功したと判断した場合(S125:YES)、キャッシュレス決済に用いる決済用コードを生成し、図28Cに示すように決済用コードを表示した画面を表示部85に表示する(S126)。決済用コードを生成する際に用いるコード情報は決済用アプリ82APに登録されており、制御部81は、決済用アプリ82APからコード情報を読み出し、コード情報から決済用コードを生成する。ユーザは、図28Cに示すように決済用コードが表示されたユーザ端末80を店舗スタッフに提示し、店舗スタッフは、提示された決済用コードをPOS端末70にて読み取ってキャッシュレス決済処理を行う。
POS端末70の制御部71は、コードリーダ76を介して決済用コードを読み取ってコード情報を取得し(S128)、取得したコード情報に基づく決済処理をキャッシュレス決済用サーバ60に要求する(S129)。なお、制御部71は、コード情報と、キャッシュレス決済で支払われる金額とを含む決済情報をキャッシュレス決済用サーバ60へ送信して決済処理を要求する。キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61は、POS端末70から決済処理を要求された場合、受信したコード情報に基づく決済処理が可能であるか否かを判断する(S130)。例えば制御部61は、受信したコード情報に対応する支払用口座の残高を支払用口座DB62aから取得し、取得した残高が、支払予定の金額よりも多いか否かに応じて、決済処理が可能であるか否かを判断する。
決済処理が可能であると判断した場合(S130:YES)、制御部61は、決済処理を行い(S131)、決済処理が完了したことをPOS端末70に通知する(S132)。決済処理は、例えばコード情報に対応する支払用口座から支払金額を出金する処理、出金した金額を店舗の口座に入金する処理等を含む。POS端末70の制御部71は、キャッシュレス決済用サーバ60から決済処理の完了を通知された場合、決済処理が完了したことを示すメッセージを表示部75に表示し(S133)、店舗スタッフに通知する。一方、決済処理が可能でないと判断した場合(S130:NO)、制御部61は、決済処理を失敗したことをPOS端末70に通知し(S134)、POS端末70の制御部71は、決済処理が失敗したことを示すメッセージを表示部75に表示し(S135)、店舗スタッフに通知する。
上述した処理により、ユーザの生体データに基づくユーザ認証によって適切なユーザであることが認証された場合に、ユーザはキャッシュレス決済を使用できるので、ユーザは所望のタイミングで商品を購入することができる。なお、キャッシュレス決済に用いる支払用口座には、ユーザに設定された払出スケジュールに従って入金されるので、払出スケジュールに設定されている金額以上の使用は行えず、ユーザによる浪費が発生しない。更に、本実施形態の情報処理システム101では、キャッシュレス決済が使用されるので、管理者及びユーザは現金を取り扱う必要がなく、金銭管理に要する負担を軽減できる。
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、キャッシュレス決済に使用する支払用口座への入金を払出スケジュールに従って行うことができるので、ユーザは現金を受け取る必要がなく、ユーザ端末80を携帯して商品の購入を行えばよいので操作性がよい。特にキャッシュレス決済に慣れたユーザであれば、浪費を抑制しつつ使い勝手のよい支払い処理が可能である。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。
本実施形態において、ユーザがキャッシュレス決済にて商品を購入した後、キャッシュレス決済用サーバ60は、ユーザが商品を購入したことを、このユーザの管理者の管理者用端末40に通知してもよい。具体的には、例えば図27中のステップS132の処理後に、キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61は、キャッシュレス決済の完了を通知する通知情報を、ユーザの金銭を管理する管理者の管理者用端末40に送信する。なお、管理者用端末40の宛先情報は、例えば支払用口座DB62aに登録しておく。また、キャッシュレス決済用サーバ60は、ユーザがキャッシュレス決済に失敗した場合に、キャッシュレス決済の失敗を管理者の管理者用端末40に通知してもよい。具体的には、例えば図27中のステップS134の処理後に、キャッシュレス決済用サーバ60の制御部61は、キャッシュレス決済の失敗を通知する通知情報を管理者用端末40に送信する。これにより、管理者は、ユーザのキャッシュレス決済の使用状況、及びキャッシュレス決済の支払用口座の残高を把握できる。
本実施形態では、ユーザの支払用口座に入金があった場合、又は、支払用口座への入金が失敗した場合に、金融機関サーバ10が管理者用端末40に通知情報を送信する構成である。このほかに、金融機関サーバ10は、ユーザの支払用口座に入金するための金融機関口座の残高(支払用口座への入金用金銭の残高)が不足又は所定額未満となった場合に、管理者に通知してもよい。この場合、管理者は、金融機関口座の残高不足を把握でき、又は、残高不足の発生を前もって把握することができる。また、本実施形態においても、金融機関サーバ10が管理者用端末40に通知する内容は、管理者によって選択できるように構成されていてもよい。例えば、通知内容として、ユーザの支払用口座に入金が行われたこと、入金が行われなかったこと、金融機関口座の残高が不足していること(残高の不足状況)等のいずれかを選択して金融機関サーバ10に登録しておく。そして、金融機関サーバ10は、各ユーザの登録内容に従って、ユーザに応じた通知情報を適宜の通知タイミングで管理者用端末40に送信する。このような構成によれば、管理者用端末40への不要な通知情報の送信が抑制され、管理者は必要な情報の通知を受けることができる。
本実施形態において、キャッシュレス決済を利用できる時間帯を任意の時間帯に制限できるように構成されていてもよい。具体的には、ユーザ毎に、キャッシュレス決済を利用できる時間帯又は利用できない時間帯を設定し、支払用口座DB62aに登録しておく。そしてキャッシュレス決済用サーバ60は、POS端末70から決済処理を要求された場合に、その時点での時刻がキャッシュレス決済を利用できる時間帯であるか否かに応じて、キャッシュレス決済が可能であるか否かを判断する。このようにキャッシュレス決済を利用できる時間帯を制限した場合には、ユーザによる浪費をより抑制することができる。例えばユーザがオンラインゲームの課金又はネットショッピング等でキャッシュレス決済を利用する場合には、オンラインゲームの課金又はネットショッピング等を行える時間帯が制限されるので、ユーザによる浪費を効果的に抑制できる。また、例えばキャッシュレス決済を利用できない時間帯として夜中の時間帯を登録しておくことにより、ユーザが夜中に外出又は徘徊することを抑制することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。