JP7067582B2 - フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
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「室外熱交換器の一端を、圧縮機の冷媒吐出となる高圧ガス管と圧縮機の冷媒吸入となる低圧ガス管とに切換弁を介して接続し、他端を絞り装置を介して中間圧液管と接続し、室内熱交換器の一端を、高圧ガス管と低圧ガス管とに切換弁を介して接続し、他端を絞り装置を介して中間圧液管と接続し、輻射冷房用熱交換器の一端を絞り装置を介して低圧ガス管と接続し、他端を絞り装置を介して中間圧液管と接続し、輻射暖房用熱交換器の一端を絞り装置を介して高圧ガス管と接続し、他端を絞り装置を介して中間圧液管と接続した輻射冷暖房装置。」
が開示されている。
「空調対象である室内に設置可能で且つ熱媒供給手段から供給される液体状の熱媒体を内部に流通可能な1以上の熱交換チューブを含む熱交換器を備え、
当該熱交換器と室内空気との間の熱交換および当該熱交換器による放射により、冷房および暖房のうちの一方または双方を行うことが可能な放射型空調装置であって、
前記熱交換器と間隔を隔てて略垂直に起立するように設置され前記熱交換器の表面を覆う網状のカバーを備えた
ことを特徴とする放射型空調装置。」
が開示されている。
「室内用輻射式冷暖房システムであって、冷水発生器とラジエータと冷温水マットとを有し、前記冷水発生器で生成した冷水が前記ラジエータを通過し前記冷温水マットを通過した後に前記冷水発生器に戻る冷水循環路を備えていることを特徴とする室内用輻射式冷暖房システム。」
が開示されている。
まず、発明者らは、媒体として水道水を使用する冷暖房ラジエータに用いる材料として、腐食代を確保した普通鋼を適用することを検討した。しかし、腐食代を確保するために板厚を厚くする必要が生じ、ラジエータの重量が過大となって、施工性や熱伝導性の面で問題が生じた。
しかし、上記のように成分組成を制御しても、熱伝導性の面では、なおも十分とは言えなかった。
その結果、以下の知見を得た。
(1)上記のラジエータでは、水(水道水)を媒体として使用する。媒体となる水は、閉回路(閉ループ)内を循環し、屋外のヒートポンプによって、媒体の加熱および/または冷却が繰り返される。
(2)上記のラジエータでは、点検などの際に流出した循環水を補給する目的で、稼働直後および稼働中の一定間隔で、外部から閉回路内へ媒体である水が供給される。
(3)閉回路内へ供給された直後の水には、一定量の空気が溶け込んでいる。そのため、ヒートポンプによる媒体の加熱や冷却により、媒体中に気泡が発生する。そして、この気泡が、ラジエータの内側壁面(熱交換部)に付着して、熱伝導性を低下させる。
(4)ラジエータに使用するフェライト系ステンレス鋼の表面粗さを制御しつつ、表面の親水性を高める、具体的には、ISO 25178で規定する界面の展開面積比Sdrを0.020以上とし、かつ、水との接触角を90°以下とする、ことによって、
フェライト系ステンレス鋼の表面積が増加し、同時に、上記気泡のラジエータの内側壁面(熱交換部)への付着も抑制されて、熱伝導性が大幅に向上する、
ことを知見したのである。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
1.質量%で、
C:0.001~0.030%、
Si:0.01~1.00%、
Mn:0.01~1.00%、
P:0.05%以下、
S:0.01%以下、
Cr:18.0~30.0%および
N:0.001~0.030%
を含有し、
TiおよびNbのうちの少なくとも1種を含有し、かつ、TiおよびNbの合計の含有量が4([%C]+[%N])~1.0%であり、
残部がFeおよび不可避的不純物である成分組成を有し、
ISO 25178で規定する界面の展開面積比Sdrが0.020以上であり、
水との接触角が90°以下である、
フェライト系ステンレス鋼。
Ni:3.0%以下、
Mo:3.0%以下、
Cu:1.0%以下、
W:1.0%以下および
Co:0.5%以下
のうち1種または2種以上を含有する、前記1に記載のフェライト系ステンレス鋼。
Zr:0.5%以下、
V:0.5%以下、
Al:0.5%以下、
REM:0.1%以下および
B:0.01%以下
のうち1種または2種以上を含有する、前記1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼。
前記1~3のいずれかに記載の成分組成を有する素材ステンレス鋼を準備し、
ついで、該素材ステンレス鋼に、温度:30~60℃、濃度:5~20質量%の硝酸水溶液中で、通電電気量:10C/dm2以上の電解処理を施し、
ついで、該素材ステンレス鋼に、表面粗度Ra:0.80μm以上のダルロールを用いて、圧下率:0.1%以上のダル圧延を施す、フェライト系ステンレス鋼の製造方法。
まず、本発明の一実施形態に係るフェライト系ステンレス鋼の成分組成について説明する。なお、成分組成における単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
Cは、鋼の強度を高める効果のある元素である。ここで、冷暖房ラジエータに必要とされる強度を得るためには、C含有量を0.001%以上とすることが有効である。一方、C含有量が過剰、特には0.030%を超えると、加工性の低下を招き易くなる。よって、C含有量は0.001~0.030%とする。好ましくは、0.002~0.020%である。
Siは、脱酸に有用な元素である。その効果は、Si含有量を0.01%以上とすることで得られる。しかし、Si含有量が1.00%を超えると、加工性の低下を招き易くなる。よって、Si含有量は0.01~1.00%とする。好ましくは、0.01~0.60%である。より好ましくは、0.05~0.30%である。
Mnは、鋼の強度を高める効果のある元素である。その効果は、Mn含有量を0.01%以上とすることで得られる。しかし、Mn含有量が1.00%を超えると、加工性の低下を招き易くなる。よって、Mn含有量は0.01~1.00%とする。好ましくは、0.01~0.60%である。より好ましくは、0.03~0.30%である。
Pは、鋼に不可避的に含まれ、ステンレス鋼の耐食性を低下させる元素である。よって、P含有量は少ないほど好ましく、0.05%以下とする。好ましくは0.04%以下である。より好ましくは0.03%以下である。
Sは、鋼に不可避的に含まれ、ステンレス鋼の耐食性を低下させる元素である。特に、S含有量が0.01%を超えると、CaSやMnSなどの水溶性硫化物の形成が促進されて、耐食性の低下を招き易くなる。よって、S含有量は0.01%以下とする。
Crは、媒体として水道水を使用する冷暖房ラジエータの使用環境(媒体となる水道水との接触環境)において、優れた耐食性を得るために必要な元素である。上記の環境で、優れた耐食性を得るためには、Cr含有量を18.0%以上とすることが必要である。一方、Cr含有量が30.0%を超えると、加工性が低下し、ラジエータの形状に成形することが困難となる。よって、Crの含有量は18.0~30.0%とする。好ましくは,20.0~26.0%である。
Nは、固溶強化により鋼の強度を高める効果のある元素である。その効果は、N含有量を0.001%以上とすることで得られる。しかし、N含有量が0.030%を超えると、加工性の低下を招き易くなる。よって、N含有量は0.001~0.030%とする。好ましくは、0.002~0.020%である。
TiおよびNbはいずれも、CおよびNと優先的に結合して、Cr炭窒化物の析出による耐食性の低下を抑制する元素である。そのため、TiおよびNbのうちの1種または2種を含有させたうえで、その含有量を4([%C]+[%N])以上とすることが好ましい。一方、TiおよびNbの合計の含有量が1.0%を超えると、靭性の低下を招くおそれがある。よって、TiおよびNbのうちの少なくとも1種を含有させ、TiおよびNbの合計の含有量は4([%C]+[%N])~1.0%とする。TiおよびNbの合計の含有量は、好ましくは0.5%以下である。
ここで、[%C]および[%N]はそれぞれ、成分組成におけるCおよびNの含有量(質量%)である。
Ni:3.0%以下、Mo:3.0%以下、Cu:1.0%以下、W:1.0%以下およびCo:0.5%以下のうち1種または2種以上、および/または、
Zr:0.5%以下、V:0.5%以下、Al:0.5%以下、REM:0.1%以下およびB:0.01%以下
のうち1種または2種以上、を含有してもよい。
Niは、ステンレス鋼の耐食性を向上させる元素である。特に、Niは、不動態皮膜が形成されず活性溶解が起こる腐食環境における、腐食の進行を抑制する元素である。その効果を得る観点からは、Ni含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、Ni含有量が3.0%を超えると、応力腐食割れの感受性が高まり、却って腐食による損傷リスクが増大する。よって、Niを含有させる場合、その含有量は3.0%以下とする。より好ましくは、0.6%以下である。
Moは、ステンレス鋼の耐食性を向上させる元素である。特に、Moは、不動態皮膜の形成を促進するとともに、不動態皮膜の安定性を高める効果がある。その効果を得る観点からは、Mo含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、Mo含有量が3.0%を超えると、強度が過度に高まり、加工性の低下を招き易くなる。よって、Moを含有させる場合、その含有量は3.0%以下とする。より好ましくは、2.0%以下である。さらに好ましくは、1.0%以下である。
Cuは、ステンレス鋼の耐食性を向上させる元素である。特に、Cuは、大気環境における初期発銹を軽減する効果がある。その効果を得る観点からは、Cu含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、Cu含有量が1.0%を超えると、粗大なε-Cuの生成を誘引し、耐食性の低下を招くおそれがある。よって、Cuを含有させる場合、その含有量は1.0%以下とする。より好ましくは、0.6%以下である。
Wは、Moと同様に、ステンレス鋼の耐食性を向上させる元素である。その効果を得る観点からは、W含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、W含有量が1.0%を超えると、強度が過度に高まり、加工性の低下を招き易くなる。よって、Wを含有させる場合、その含有量は1.0%以下とする。
Coは、靭性を向上させる元素である。その効果を得る観点からは、Co含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、Co含有量が0.5%を超えると、加工性の低下を招き易くなる。よって、Coを含有させる場合、その含有量は0.5%以下とする。
Zrは、CおよびNと結合して、鋭敏化を抑制する効果がある。その効果を得る観点からは、Zr含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、Zr含有量が0.5%を超えると、加工性の低下を招き易くなる。また、Zrは、非常に高い元素であるため、コストの増大を招く。よって、Zrを含有させる場合、その含有量は0.5%以下とする。より好ましくは、0.2%以下である。
Vは、VNを形成することで、Cr窒化物の析出による耐食性の低下を抑制する元素である。その効果を得る観点からは、V含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、V含有量が0.5%を超えると、加工性の低下を招き易くなる。よって、Vを含有させる場合、その含有量は0.5%以下とする。より好ましくは、0.3%以下である。さらに好ましくは0.1%以下である。
Alは、脱酸に有用な元素である。その効果を得る観点からは、Al含有量を0.01%以上とすることが好ましい。しかし、Al含有量が0.5%を超えると、フェライトの結晶粒径が増大して、ステンレス鋼を加工した際に生じる加工部の肌荒れを悪化させるおそれがある。よって、Alを含有させる場合、その含有量は0.5%以下とする。より好ましくは、0.12%以下である。
REMは、耐酸化性を向上させる元素である。その効果を得る観点からは、REM含有量を 0.01%以上とすることが好ましい。しかし、REM含有量が0.1%を超えると、酸洗性などの製造性を低下させるおそれがる。また、コストの増大を招く。よって、REM を含有させる場合、その含有量は0.1%以下とする。
Bは、二次加工脆性を改善する元素である。その効果を得る観点からは、B含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。しかし、B含有量が0.01%を超えると、固溶強化により加工性の低下を招き易くなる。よって、B を含有させる場合、その含有量は0.01%以下とする。
上述したように、冷暖房ラジエータにおいて水(水道水)を媒体として使用する場合には、媒体となる水が、閉回路(閉ループ)内を循環し、屋外のヒートポンプによって、媒体の加熱および/または冷却が繰り返される。また、冷暖房ラジエータにおいて水(水道水)を媒体として使用する場合には、稼働直後および稼働中の一定間隔で、外部から閉回路内へ媒体である水が供給される。閉回路内へ供給された直後の水には、一定量の空気が溶け込んでいる。そのため、ヒートポンプによる媒体の加熱や冷却により、媒体中に気泡が発生する。そして、この気泡が、ラジエータの内側壁面(熱交換部)に付着して、熱伝導性が低下する。
この点、フェライト系ステンレス鋼の表面粗さを制御する、具体的には、ISO 25178で規定する界面の展開面積比Sdrを0.020以上とすることにより、フェライト系ステンレス鋼の表面積が増加し、同時に、上記気泡のラジエータの内側壁面(熱交換部)への付着も抑制され、熱伝導性が大幅に向上する。
そのため、本発明の一実施形態に係るフェライト系ステンレス鋼では、ISO 25178で規定する界面の展開面積比Sdrを0.020以上とすることが極めて重要である。好ましくは、0.050以上である。さらに好ましくは0.070以上である。上限については特に限定されるものではないが、0.300とすることが好ましい。
上述したように、冷暖房ラジエータにおいて水(水道水)を媒体として使用する場合には、媒体中で発生した気泡が、ラジエータの内側壁面(熱交換部)に付着して、熱伝導性を低下させる。そのため、熱伝導性の向上の観点からは、ステンレス鋼表面の親水性を高める、具体的には、水との接触角を90°以下にして、ラジエータの内側壁面(熱交換部)への気泡の付着を抑制することが重要となる。好ましくは75°以下である。下限については特に限定されるものではないが、10°とすることが好ましい。
まず、上記の成分組成を有する素材ステンレス鋼を準備する。
例えば、上記の成分組成を有する鋼スラブを、1100~1300℃に加熱後、熱間圧延し、板厚:2.0~15.0mm程度の熱間圧延鋼帯(熱延板)とする。ついで、当該熱間圧延鋼帯を、800~1100℃の温度域で焼鈍(熱延板焼鈍)し、焼鈍後、酸洗を行って、スケールを除去する。ついで、熱間圧延鋼帯に冷間圧延を施し、板厚:0.3~3.0mm程度の冷間圧延鋼帯(冷延板)とする。ついで、当該冷延圧延鋼帯を、700~1100℃の温度域で焼鈍(冷延板焼鈍)し、焼鈍後、酸洗を行って、スケールを除去する。当該酸洗は、温度:30~70℃の5~30質量%NaSO4水溶液中での通電電気量:10~80C/dm2の中性塩電解、および、温度:20~60℃の1~10質量%HF-5~30質量%HNO3水溶液中に10~240秒浸漬する硝弗酸酸洗により行うことが好ましい。なお、上記した各工程の中間および最後では、適宜、スキンパス圧延やショットブラストなどの機械的作用による脱スケール処理、グラインダや研磨ベルトによる研削および研磨処理を行ってもよい。これにより、上記の成分組成を有する素材ステンレス鋼を得ることができる。
これにより、ISO 25178で規定する界面の展開面積比Sdrを0.020以上とし、かつ、水との接触角を90°以下に制御することが可能となる。
なお、電解処理における通電電気量は、例えば、直接通電法の場合、以下のようにして算出する。
被処理材が鋼板である場合(バッチ処理の場合)、次式により算出する。
[通電電気量(C/dm2)]={I/(W×L×2)}×T
ここで、Iは、被処理材を挟むように配置した電極間に流れる直流電流(A)
Wは、被処理材の幅(dm)
Lは、被処理材の長さ(dm)
Tは、処理時間(s)
である。
また、被処理材が鋼帯である場合(連続処理の場合)、次式により算出する。
[通電電気量(C/dm2)]=I/(W×S×2)
ここで、Iは、被処理材を挟むように配置した電極間に流れる直流電流(A)
Wは、被処理材の幅(dm)
Sは、ライン速度(dm/s)
である。
加えて、電解処理で使用する硝酸水溶液には、硝酸以外の酸(例えば、塩酸や弗酸)や酸洗促進剤(メルカプト酢酸等)、酸洗抑制剤(ジエチルチオ尿素等)が合計で5.0質量%以下含まれていてもよい。
ダル圧延の圧下率は0.5%以上が好ましい。ダル圧延の圧下率の上限は特に限定されるものではないが、5.0%以下とすることが好ましい。
ついで、表2に示す条件で、電解処理およびダル圧延を行い、供試材となるフェライト系ステンレス鋼を得た。なお、No.12では、電解処理およびダル圧延は行わずに、75体積%H2-25体積%N2の雰囲気で、1000℃、15秒の光輝焼鈍を行った。No.18では、電解処理を行わずに、ダル圧延のみを行った。No.21では、電解処理のみを行い、ダル圧延を行わなかった。
供試材となるフェライト系ステンレス鋼の表面における0.5mm×0.5mmの範囲において、レーザー顕微鏡(キーエンス製:VK-X250)を用いて3次元形状を観察し、界面の展開面積比Sdr を測定した。この測定を供試材となるフェライト系ステンレス鋼の表面の5か所で行い、これらの平均値を、当該フェライト系ステンレス鋼の界面の展開面積比Sdrとした。なお、ローパスフィルタは2μm、ハイパスフィルタは0.2mmとした。得られた界面の展開面積比Sdrを表2に併記する。
供試材となるフェライト系ステンレス鋼の表面に、導電率:1.0μS/cm以下の純水4μLの液滴を、マイクロピペットを用いて、滴下した。なお、液滴の滴下中は、マイクロピペット先端を液滴に接触させた。滴下後、当該液滴を側面から撮影し、撮影したデジタル画像から、ステンレス鋼表面との接触点における液滴接線の角度を、画像処理により測定した。そして、測定した液滴接線の角度を、水との接触角とした。得られた水との接触角を表2に併記する。
供試材となるフェライト系ステンレス鋼を用いて、長さ500mmとなる扁平パイプ(断面形状が外寸で12mm×75mmの長方形)を作製した。なお、造管溶接はTIG溶接とし、焼け取りや後熱処理は行わなかった。
ついで、NaClを用いてCl-濃度を1000質量ppmとした溶液を調製し、当該溶液が上記の扁平パイプ内を流通するように、当該溶液を2か月間循環させる耐久試験を行った。なお、当該溶液は貯留槽において空気と接触させた。また、当該耐久試験では、8時間ごとに溶液の温度を変化(10℃⇔70℃)させた。流速は5L/minとした。
そして、当該耐久試験において、扁平パイプからの水漏れが発生しなかったものを○(合格)、水漏れが発生したものを×(不合格)として評価した。評価結果を表2に併記する。
上記(3)で作製した扁平パイプを、室温:20℃の室内に配置し、当該扁平パイプ内に、70℃の水(水道水)を流速:5L/minで流通させた。また、気泡の発生を模擬するために、水槽用ポンプにより、当該パイプ内に、0.05L/minの空気を注入した。そして、70℃の水(水道水)および空気を流し始めてから30分経過後、扁平パイプ外面の温度を、放射温度計により測定した。なお、測定は、放射温度計が扁平パイプの表面(平面部分)と直角になるように、放射温度計と扁平パイプの表面(平面部分)の距離を30cmとして行った。そして、以下の基準により、熱伝導性を評価した。評価結果を表2に併記する。
◎(合格、優れている):扁平パイプ外面の温度が69.0℃以上
○(合格):扁平パイプ外面の温度が68.5℃以上69.0℃未満
×(不合格):扁平パイプ外面の温度が68.5℃未満
一方、比較例であるNo.10では、Cr含有量が適正範囲に満たなかったため、十分な耐食性が得られなかった。
また、比較例であるNo.11および21では、界面の展開面積比Sdrが適正範囲に満たなかったため、十分な熱伝導性が得られなかった。
さらに、比較例であるNo.12,18、19および20では、水との接触角が適正範囲を超えたため、十分な熱伝導性が得られなかった。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.001~0.030%、
Si:0.01~1.00%、
Mn:0.01~1.00%、
P:0.05%以下、
S:0.01%以下、
Cr:18.0~30.0%および
N:0.001~0.030%
を含有し、
TiおよびNbのうちの少なくとも1種を含有し、かつ、TiおよびNbの合計の含有量が4([%C]+[%N])~1.0%であり、
残部がFeおよび不可避的不純物である成分組成を有し、
ISO 25178で規定する界面の展開面積比Sdrが0.020以上であり、
水との接触角が90°以下である、
フェライト系ステンレス鋼。 - 前記成分組成が、さらに、質量%で、
Ni:3.0%以下、
Mo:3.0%以下、
Cu:1.0%以下、
W:1.0%以下および
Co:0.5%以下
のうち1種または2種以上を含有する、請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。 - 前記成分組成が、さらに、質量%で、
Zr:0.5%以下、
V:0.5%以下、
Al:0.5%以下、
REM:0.1%以下および
B:0.01%以下
のうち1種または2種以上を含有する、請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼。 - 屋内冷暖房ラジエータ用である、請求項1~3のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 請求項1~4のいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼を製造するための方法であって、
請求項1~3のいずれかに記載の成分組成を有する素材ステンレス鋼を準備し、
ついで、該素材ステンレス鋼に、温度:30~60℃、濃度:5~20質量%の硝酸水溶液中で、通電電気量:10C/dm2以上の電解処理を施し、
ついで、該素材ステンレス鋼に、表面粗度Ra:0.80μm以上のダルロールを用いて、圧下率:0.1%以上のダル圧延を施す、フェライト系ステンレス鋼の製造方法。
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