JP7066536B2 - 流体制御弁 - Google Patents
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Description
図1は蒸発燃料処理装置12の構成を示す。蒸発燃料処理装置12は、自動車等の車両のエンジンシステム10に備えられている。エンジンシステム10は、エンジン14と、エンジン14に供給される燃料を貯留する燃料タンク15とを備えている。燃料タンク15には、インレットパイプ16が設けられている。インレットパイプ16は、その上端部の給油口から燃料を燃料タンク15内に導入するパイプであって、給油口にはタンクキャップ17が着脱可能に取付けられている。また、インレットパイプ16の上端部内と燃料タンク15内の蒸発燃料が存在する気層部とは、ブリーザパイプ18により連通されている。
次に、蒸発燃料処理装置12の基本的動作について説明する。通常時においては、封鎖弁38のリリーフ弁54は閉弁状態にある。
(1)先ず、[車両の駐車中]について説明する。車両の駐車中は、封鎖弁38の電動弁52が閉弁状態に維持される。したがって、燃料タンク15の蒸発燃料がキャニスタ34内に流入されることがない。また、キャニスタ34内の空気が燃料タンク15内に流入されることもない。このとき、パージ弁40が閉弁状態に維持される。なお、車両の駐車中等の電動弁52の閉弁時において、燃料タンク15内の圧力は、封鎖弁38のリリーフ弁54(後述する)によって適正圧力に保たれるようになっている。
(2)次に、[車両の走行中]について説明する。車両の走行中において、ECU45は、所定のパージ条件が成立する場合に、キャニスタ34に吸着されている蒸発燃料をパージさせる制御を実行する。この制御では、パージ弁40が開閉制御される。パージ弁40が開弁されると、エンジン14の吸気負圧がパージ通路32を介してキャニスタ34内に作用する。その結果、キャニスタ34内の蒸発燃料が、大気通路42から吸入される空気とともに吸気通路27にパージされることによりエンジン14で燃焼される。また、ECU45は、蒸発燃料のパージ中に限り、封鎖弁38の電動弁52を開弁状態とする。これにより、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧近傍値に維持される。
(3)次に、[給油中]について説明する。車両の停車中において、リッドスイッチ46が操作されると、ECU45が封鎖弁38の電動弁52を開弁状態とする。この際、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧より高圧であれば、封鎖弁38の電動弁52が開弁すると同時に、燃料タンク15内の蒸発燃料が、ベーパ通路31を通ってキャニスタ34内の吸着材に吸着される。これにより、蒸発燃料が大気に放出されることが防止される。これにともない、燃料タンク15のタンク内圧は大気圧近傍値に低下する。また、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧近傍値にまで低下すると、ECU45は、リッド48のロックを解除する信号をリッドオープナー47に出力する。その信号を受けたリッドオープナー47がリッド48のロックを解除することにより、リッド48の開動作が可能となる。そして、リッド48が開けられ、タンクキャップ17が開けられた状態で、燃料タンク15への給油が開始される。また、ECU45は、給油の終了(具体的にはリッド48が閉じられる)まで、封鎖弁38の電動弁52を開弁状態に維持する。このため、給油の際に、燃料タンク15内の蒸発燃料がベーパ通路31を通ってキャニスタ34内の吸着材に吸着される。
次に、封鎖弁38の説明をする。図2は封鎖弁38を形成する弁ケーシング56の外観斜視図を示す。図3及び図4は封鎖弁38の全体構成を示す断面図であり、図3は図2のIII―III線矢視断面の縦断面図、図4は図3のIV-IV線矢視断面の横断面図である。封鎖弁38は、図3及び図4に示すように、弁ケーシング56に形成される電動弁52と、リリーフ弁54とから構成される。なお、封鎖弁38を図示する各図に示す方向表示は、封鎖弁38は、通常、車両の床下に設置されるものであるから、車両の前後左右上下方向に対応して各方向を定めるが、封鎖弁38の配置方向を特定するものではない。
図2は封鎖弁38を形成する弁ケーシング56の外観を示す。弁ケーシング56は樹脂製であり、弁ケーシング56の内部には、図3及び図4に示すように、封鎖弁38を構成する電動弁52とリリーフ弁54とが収容されている。そのため、弁ケーシング56には、電動弁52を構成するための第1収容筒部60と、リリーフ弁54を構成するための第2収容筒部61とを有する。また、弁ケーシング56には第1管部57と第2管部58とを備えている。第1管部57と第2管部58は、弁ケーシング56においてベーパ通路31(図1参照)の一部を成すメイン通路74を形成している。
図4に示す第1管部57及び第2管部58により形成されるメイン通路74には、図3に示すように、このメイン通路74をバイパスするバイパス通路90が形成される。バイパス通路90は、第1通路部75を分岐して配置されるリリーフ弁54の第2弁口80、第2弁室67を経由し、電動弁52の第1弁室65に連通通路84を経由して接続されて形成される。本実施形態で連通通路84とは、バイパス通路90中におけるリリーフ弁54の第2弁室67と電動弁52の第1弁室65を接続する通路を指称している。なお、これによりバイパス通路90はメイン通路74の経路にある電動弁52の第1弁口71をバイパスして形成される。バイパス通路90はメイン通路74にある電動弁52が閉弁状態にあり、メイン通路74が遮断状態にある際の燃料タンク内の異常な正圧や負圧の圧力状態を、このバイパス通路90に設けられたリリーフ弁54の制御により逃がして調整する通路である。なお、バイパス通路90は本発明でいう「流路」に相当する。
次に、電動弁52の構成を説明する。図5は電動弁52の拡大断面図であり、図6は分解斜視図である。図5に示すように、電動弁52は、弁ケーシング56の第1収容筒部60内に収容されている。電動弁52は、電動モータ92とバルブガイド94とバルブ体96とバルブスプリング98とを備えている。なお、図5は電動弁52の開弁状態を示している。
次に、リリーフ弁54の説明をする。図7はリリーフ弁54の拡大断面図を示す。リリーフ弁54は正圧リリーフ弁機構130と負圧リリーフ弁機構132とを備える。図7の図示状態は当該両リリーフ弁機構130,132共、閉弁状態を示している。図7に示すように、リリーフ弁54は、弁ケーシング56の第2収容筒部61に配置されている。なお、負圧リリーフ弁機構132を備えるリリーフ弁54は本発明でいう「流体制御弁」に相当する。
次に、正圧リリーフ弁機構130(図7参照)について説明する。正圧リリーフ弁機構130は第1コイルバネ154によって正圧側の開弁圧が設定されている。これにより、第2弁口80側(燃料タンク側)の圧力が正圧側の開弁圧以上になると、第1弁部材134が第1コイルバネ154の付勢に抗して上昇する。これにより、正圧リリーフ弁機構130が開弁される。このとき、外側シール部165は、バルブシート82から離れ、自由状態となる。
次に、負圧リリーフ弁機構132(図7参照)について説明する。負圧リリーフ弁機構132は第2コイルバネ161によって負圧側の開弁圧が設定されている。これにより、第2弁口80側の圧力(燃料タンク側)の圧力が負圧側の開弁圧以下になると、第2弁部材136が第2コイルバネ161の付勢に抗して下降する。これにより、負圧リリーフ弁機構132が開弁される。このとき、内側シール部164は、第2弁部材136の弁板156から相対的に離れ、自由状態となる。
前述した封鎖弁38は、車両(不図示)に搭載される蒸発燃料処理装置12(図1参照)におけるベーパ通路31に介装される。すなわち、図3及び図4に示すように、弁ケーシング56の第1管部57にベーパ通路31の燃料タンク15側の通路部31aが接続されるとともに、第2管部58にベーパ通路31のキャニスタ34側の通路部31bが接続される。これにより、ベーパ通路31の両通路部31a,31bが弁ケーシング56のメイン通路74を介して相互に連通されている。このため、メイン通路74は、ベーパ通路31の一部を構成している。また、図3に示すように、弁ケーシング56の取付部63は、車両の床下側の固定側部材167に対してボルト等の締結により固定される。これにより、リリーフ弁54(図3参照)の軸線が天地方向に向くように、封鎖弁38が車両に搭載される。そして、リリーフ弁54の第2弁口80は、車両搭載状態で、メイン通路74に対して天側に配置されている。すなわち、図3に示されるように、第2弁口80は第1管部57により形成されるメイン通路74より上方位置に設定される。
次に、封鎖弁38における電動弁52の動作について説明する。電動弁52の動作は、リリーフ弁54の正圧リリーフ弁機構130及び負圧リリーフ弁機構132が閉弁状態(図3参照)において行われる。
先ず、電動弁52の開弁状態について説明する。図5に示すように、電動弁52の開弁状態においては、バルブガイド94及びバルブ体96(第1シール部材117を含む)が第1収容筒部60の弁座72から前方(図5において上方)に離れている。また、バルブガイド94に対してバルブ体96がバルブスプリング98の弾性により後方(図5において下方)へ付勢されており、図6に示すバルブガイド94の係合溝124の溝底部(溝形成壁126の前端部)にバルブ体96の係合突起122が当接されている。このため、バルブガイド94とバルブ体96とが連結手段120を介して連結されている。
次に、電動弁52の閉弁作動時について説明する。電動弁52の開弁状態(図5の状態)において、電動モータ92が閉弁作動されると、出力軸93が閉弁方向に回転される。これにより、送りネジ機構110を介してバルブガイド94及びバルブ体96は後方へ移動していく。すると、バルブ体96(詳しくは第1シール部材117)が弁座72に着座して、バルブ体96の後方への移動が規制される。続いて、バルブガイド94がさらに後方へ移動していく。これにともない、図6に示すバルブ体96の係合突起122に対してバルブガイド94の係合溝124の溝底部(溝形成壁126の前端部)が前方へ移動していく。このため、連結手段120によるバルブガイド94とバルブ体96との連結が解除される。
次に、電動弁52の閉弁状態について説明する。電動弁52の閉弁状態では、バルブ体96がバルブスプリング98の付勢力によって弁ケーシング56の弁座72に着座した状態に弾性的に保持される。また、バルブ体96と弁座72との間は第1シール部材117によって弾性的にシールされる。また、閉弁状態において、電動モータ92の通電をオフ(OFF)にしても、電動モータ92のディテントトルク、送りネジ機構110のリード角等によって閉弁状態を保持することができる。
次に、電動弁52の開弁作動時について説明する。電動弁52の閉弁状態において、電動モータ92が開弁作動されると、出力軸93が開弁方向に回転される。これにより、送りネジ機構110を介してバルブガイド94が前方(開方向)へ移動されていく。これにともない、バルブガイド94の係合溝124がバルブ体96の係合突起122に沿って上方へ移動していく。これにともない、バルブスプリング98及び補助バネ112がその弾性復元力により伸長する。そして、係合溝124の溝底部(溝形成壁126の前端部)がバルブ体96の係合突起122に当接する。これにより、バルブガイド94とバルブ体96との相対移動が規制される。このため、バルブガイド94とバルブ体96とが連結手段120を介して連結される。続いて、バルブガイド94及びバルブ体96がさらに上昇されていく。これにともない、補助バネ112がその弾性復元力により伸長する。これにより、バルブ体96(詳しくは第1シール部材117)が弁ケーシング56の弁座72から離座することにより、開弁状態となる(図5の状態)。
次に、封鎖弁38におけるリリーフ弁54の動作について説明する。リリーフ弁54における正圧リリーフ弁機構130の開弁動作、及び負圧リリーフ弁機構132の開弁動作は、いずれも電動弁52の閉弁状態において行われる。
正圧リリーフ弁機構130の開弁動作は、燃料タンク15に正圧リリーフ弁機構130の開弁圧以上の正圧が生じた場合に行われる。すなわち、開弁圧以上の正圧が生じると前述したように第1弁部材134が上動して、正圧リリーフ弁機構130が開弁し、第2弁口80と第2弁室67が連通する。これにより、バイパス通路90が連通状態となり、メイン通路74における電動弁52の第1弁口71が閉弁状態にあり、メイン通路74が遮断された状態にあっても、バイパス通路90を介して連通状態となる。このバイパス通路90の連通により、燃料タンク15側からの流体は、第1通路部75からバイパス通路90を通り、第2通路部76からキャニスタ34側へと流れる。これにより、燃料タンク15内の圧力を低下させることができる。
負圧リリーフ弁機構132の開弁動作は、燃料タンク15に負圧リリーフ弁機構132の開弁圧以下の負圧が生じた場合に行われる。すなわち、開弁圧以下の負圧が生じると前述したように第2弁部材136が下降して開弁して、負圧リリーフ弁機構132が開弁し、第2弁口80と第2弁室67が連通する。これにより、正圧リリーフ弁機構130の開弁の場合と同様に、バイパス通路90が連通状態となり、メイン通路74が遮断された状態にあっても、バイパス通路90を介して連通状態となる。このバイパス通路90の連通により、燃料タンク15側からの流体は、第1通路部75からバイパス通路90を通り、第2通路部76からキャニスタ34側へと流れる。これにより、燃料タンク15内の圧力を上昇させることができる。
本実施形態が特徴とする構成は、弁体160において第1弁部材134が第2シール部材163を保持する構成である(図7参照)。図8はリリーフ弁の弁体の上面図、図9は同じく下面図、図10は第1弁部材の上面図、図11は同じく下面図、図12は図8のXII-XII線矢視断面図、図13は図8のXIII-XIII線矢視断面図、図14は図8のXIV-XIV線矢視断面図、図15は弁体の要部を示す断面図である。
上述した本実施形態の特徴構成によれば、第2シール部材163が、第1弁部材134の弁板138の内側係合凹部172内に設けられる内側投錨部182と、弁板138の内側貫通孔171を貫通しかつベース部166と内側投錨部182とを連結する内側嵌合部181と、を有する。したがって、第1弁部材134の弁板138に第2シール部材163が内側投錨部182によって抜け止め状態で保持される。また、第2シール部材163の取り付けに接着材等を必要としない。したがって、接着材等にかかるコストを低減しつつ、第1弁部材134の弁板138に第2シール部材163を安定した状態で保持させることができる。
以上、本発明を特定の実施形態について説明したが、本発明はその他各種の形態でも実施可能なものである。
90…バイパス通路(流路)
134…第1弁部材
136…第2弁部材(弁部材)
138…弁板(リテーナ部)
147…弁座
160…弁体
163…第2シール部材(シール部材)
164…内側シール部(シール部)
164a…先端部
166…ベース部
166b…最遠端部
171…内側貫通孔(貫通孔)
172…内側係合凹部(係合凹部)
173…外側貫通孔(補助貫通孔)
174…外側係合凹部(補助係合凹部)
181…内側嵌合部(連結部)
182…内側投錨部(投錨部)
182a…外端部
183…外側嵌合部(補助連結部)
184…外側投錨部(補助投錨部)
184a…外端部
Claims (7)
- 流路に形成された弁座を開閉する弁部材を備えた流体制御弁であって、
前記弁座又は前記弁部材には、該弁部材の閉弁時において前記弁座と前記弁部材との間を弾性的にシールするシール部を有する円環状のシール部材が設けられており、
前記シール部材が設けられる前記弁座又は前記弁部材は、板状のリテーナ部を有しており、
前記リテーナ部は、板厚方向に貫通する貫通孔と、前記シール部材側とは反対側において前記貫通孔と連通しかつ該貫通孔の軸方向に交差する方向に張り出すように形成された係合凹部と、を有しており、
前記シール部材は、前記係合凹部内に設けられる投錨部と、前記貫通孔を貫通しかつ該シール部材のベース部と前記投錨部とを連結する連結部と、を有しており、
前記係合凹部は、前記貫通孔の開口の周方向全周に亘って形成され、
前記連結部の両端部には、周方向全周に亘って前記ベース部と前記投錨部が形成され、
前記投錨部は、前記リテーナ部に対してのみ接触する流体制御弁。 - 流路に形成された弁座を開閉する弁部材を備えた流体制御弁であって、
前記弁座又は前記弁部材には、該弁部材の閉弁時において前記弁座と前記弁部材との間を弾性的にシールするシール部を有する円環状のシール部材が設けられており、
前記シール部材が設けられる前記弁座又は前記弁部材は、板状のリテーナ部を有しており、
前記リテーナ部は、板厚方向に貫通する貫通孔と、前記シール部材側とは反対側において前記貫通孔と連通しかつ該貫通孔の軸方向に交差する方向に張り出すように形成された係合凹部と、を有しており、
前記シール部材は、前記係合凹部内に設けられる投錨部と、前記貫通孔を貫通しかつ該シール部材のベース部と前記投錨部とを連結する連結部と、を有しており、
前記貫通孔は、前記リテーナ部の周方向に延びる長円孔状の形状を有し、周方向の長さが径方向の長さよりも大きく形成され、
前記投錨部は、前記リテーナ部に対してのみ接触する流体制御弁。 - 請求項1又は2に記載の流体制御弁であって、
前記投錨部は、前記連結部の軸方向に交差する方向の相反する方向に張り出している、流体制御弁。 - 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の流体制御弁であって、
前記連結部と前記シール部とは、該連結部の軸方向から見て少なくとも一部が重なるように配置されている、流体制御弁。 - 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の流体制御弁であって、
前記リテーナ部の軸線及び前記連結部の軸線を含む一平面において、前記連結部の軸線上における前記投錨部の外端部から前記ベース部の略中央部を通過して前記投錨部から最遠となる最遠端部までの経路の長さは、前記投錨部の外端部から前記シール部の先端部までの経路の長さより長い、流体制御弁。 - 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の流体制御弁であって、
前記リテーナ部は、前記貫通孔と並ぶ補助貫通孔、及び、前記係合凹部と並ぶ補助係合凹部を有しており、
前記シール部材は、前記補助係合凹部内に設けられる補助投錨部と、前記補助貫通孔を貫通しかつ前記ベース部と前記補助投錨部とを連結する補助連結部と、を有する、流体制御弁。 - 請求項6に記載の流体制御弁であって、
前記連結部の軸線及び前記補助連結部の軸線を含む一平面において、前記連結部の軸線上における前記投錨部の外端部から前記ベース部の略中央部を通過して前記補助投錨部の外端部までの経路の長さは、前記投錨部の外端部から前記シール部の先端部までの経路の長さより長い、流体制御弁。
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