JP7065631B2 - 照明用電源装置のコモンモードノイズ対策 - Google Patents
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Description
光源部へ直流電流を出力する照明用電源装置であって、
前記直流電流を生成するスイッチング電源部と、
前記スイッチング電源部と光源部との間の一対の出力ラインに設けられた出力フィルタ部と、を備え、前記出力フィルタ部がコモンモード・チョークコイルを有する、
ことを特徴とする。
図1の光源部をHIDランプに置き換えた場合、光源部の浮遊容量(例えば、HIDランプの取付金具(ソケット)と筐体との間の浮遊容量)は数十pF程度と小さく、コモンモードの伝導ノイズのループAが形成される可能性は十分に低い。そのため、スイッチング電源装置(安定器)の出力側にコモンモード・チョークコイルを接続する必要性は存在しなかった。HIDランプは高温になるほど発光効率がよくなり、HIDランプの冷却(放熱)に注力する必要はなく、光源部のHIDランプの取付金具と筐体等とを放熱のために近接させる必要もなく、光源部の構造上、その浮遊容量が小さくなっていた。
環状または棒状の枠体と、
前記スイッチング電源部のプラス端子側に接続された一端、および、前記光源部のプラス端子側に接続された他端を有する第一コイルと、
前記スイッチング電源部のマイナス端子側に接続された一端、および、前記光源部のマイナス端子側に接続された他端を有する第二コイルと、を有し、
前記第一コイルおよび前記第二コイルは、コモンモードの伝導ノイズの流れによって発生する磁束が強め合う巻線方向で(言い換えると、ノーマルモードの伝導ノイズの流れによって発生する磁束が打ち消し合う巻線方向で)、前記枠体に巻装されている、
ことが好ましい。
PWM調光は、光源部の点灯と消灯の時間を変化させて明るさを制御する方式である。イベント照明等で用いる「キザミ調光」もPWM調光の一種で、点灯および消灯を100Hz~1KHz程度の比較的低い周波数で小刻みに切り換えて、光源部を点滅させている。そして、点滅中の点灯時間の比率(オンデューティ)を変えて、明るさを変化させている。
このように光源部を点滅させるため、スイッチング電源部からの電流波形を断続的な矩形波またはパルス波にしていることから、その電流波形の立上りまたは立下りにおける高い周波数成分がコモンモードの伝導ノイズの原因として問題になる。スイッチング電源部と光源部との距離が長い場合(1m以上)には、矩形波電流またはパルス電流に含まれる高周波成分がコモンモードの伝導ノイズとして出力ラインを伝わってしまうからである。
前記コモンモード・チョークコイルに含まれるノーマルモードのインダクタ成分による前記出力フィルタの遮断周波数は、前記スイッチング電源部からの前記矩形波電流または前記パルス電流の最小パルス幅の基本周波数よりも高く設定されている、ことが好ましい。
以上の構成によれば、コモンモード・チョークコイルによってコモンモードの伝導ノイズの抑制という効果と、矩形波電流又はパルス電流を確実に光源部に伝えるという効果の両方を同時に得られる。
本発明では、従来のラインフィルタ用のコモンモード・チョークコイルと同じ構造のものを出力フィルタとして適用できる。しかし、多くのラインフィルタ用のコモンモード・チョークコイルが商用交流電源ラインへ設置されることから、例えば図4の外観図のように、2つのコイルが離れた状態になっている。つまり、共通コアのある部分に第一コイルが巻装され、別の部分に第二コイルが巻装され、2つのコイルが重なっていない状態である。商用交流電源ラインは一時的に誘導雷や直撃雷により、数千ボルトの電圧が電源ラインに印加される可能性があり、ラインフィルタとして用いる場合は2つコイルを離した方が好ましいからである。
さらに、コモンモード・チョークコイルをコモンモードのインダクタ成分だけにするには、二つのコイルがまったく同じ特性を示すことが条件になる。そのようなことは現実的ではなく、どうしてもノーマルモードのインダクタ成分が生じてしまう。
前記コモンモード・チョークコイルは前記一対の出力ラインにそれぞれ直列に接続された第一コイルと第二コイルを有し、
前記第一コイルと前記第二コイルの各巻線が揃え巻きになっている、ことが好ましい。
その対策としては、図5および図6のコモンモード・チョークコイルにおいて2つのコイルを揃え巻きにする対象を、巻き枠(ボビン)のみにするとよい。
すなわち、本発明の照明用電源装置では、前記コモンモード・チョークコイルを構成する2つのコイルは空芯コイルである、ことが好ましい。
なお、通常は、コモンモードとノーマルモードの伝導ノイズが同時に発生するが、高周波数帯になるほどコモンモードの発生割合が高くなる傾向がある。そのため、本発明のコモンモード・チョークコイルからなる出力フィルタの設置のメリットが高周波帯域のノイズになるほど高くなる。
特に、光源部への直流電流が矩形波電流又はパルス電流であるような照明用電源装置においては、コモンモードの伝導ノイズの発生が増加しやすいが、出力ラインに所定のコモンモード・チョークコイルを設けることによって、コモンモードの伝導ノイズの抑制という効果と、重要な矩形波電流又はパルス電流を確実に光源部に伝えるという効果の両方を同時に得ることができる。すなわち、コモンモード・チョークコイルにおけるノーマルモードのインダクタ成分(例えば図3)の遮断周波数を、矩形波電流又はパルス電流の最小パルス幅の基本周波数よりも高めに設定することで、極深調光時のように非常に高い基本周波数の矩形波電流又はパルス電流がノーマルモードのインダクタ成分に遮られることなく通過でき、同時に、その矩形波電流又はパルス電流に伴って発生する高周波数帯のコモンモードの伝導ノイズについては、コモンモードのインダクタ成分(例えば図2)により確実に除去されるようになる。これによって、高周波数帯のコモンモードのノイズが多く発生するような条件下であっても、照明や通信などに必要な矩形波電流又はパルス電流を確実に光源部に伝えることができるようになった。
また、出力フィルタ20が無い場合は、スイッチング電源部10に接続された比較的長い接続ケーブル40がアンテナとなって、コモンモードの伝導ノイズが放射ノイズとなって周辺にまき散らされてしまう。
また、出力されるパルス電流のパルス幅が狭い場合、パルス電流の周波数成分が高いので、コモンモードの出力フィルタ20に存在するノーマルモードのインダクタ成分によって、パルスが通過しなくなり、極深調光では点灯できなくなる問題点がある。その対策として、出力フィルタ20の遮断周波数をパルス電流の基本周波数より高く設定している。
このコモンモード・チョークコイルには、上記のコア、第一および第二コイルに加え、図2の回路図に示されるコンデンサC1、C2を独立した素子として含んでいる。これらのコンデンサC1、C2とインダクタ成分L1との組合せによって、ノーマル成分として必要なパルス列が減衰されないような周波数帯が生じ、パルス電流によるLEDの点灯が正常に実行される。このようなコンデンサC1、C2は、前述の図5および図6のコモンモード・チョークコイルにも同様に設けられている。
図9に道路灯具への適用例を示す。この道路灯具は、立設された金属製ポールの上端の光源部130と、ポールの下部に取り付けられた電源装置と、これらを接続するケーブル140とを備えている。電源装置には、光源へ連続的な直流電流を出力するスイッチング電源部と、本発明に特徴的なコモンモード・チョークコイルからなる出力フィルタ120とが内蔵されている。スイッチング電源部には一般的な公知の回路構成を用いる。出力フィルタ120には、前述の実施形態と同様のコモンモード・チョークコイルを用いる。
20,120,220 コモンモード・チョークコイルの出力フィルタ
30,130,230 光源部(LED照明器具)
40,140,240 接続ケーブル
51,52,152 筐体
260 信号付与手段
Claims (5)
- 光源部へ直流電流を出力する照明用電源装置であって、
前記直流電流として矩形波電流又はパルス電流を生成するスイッチング電源部と、
前記スイッチング電源部と前記光源部との間の一対の出力ラインに設けられた出力フィルタ部と、を備え、
前記出力フィルタ部がコモンモード・チョークコイルを有し、
前記コモンモード・チョークコイルに含まれるノーマルモードのインダクタ成分による前記出力フィルタ部の遮断周波数は、前記スイッチング電源部からの前記矩形波電流または前記パルス電流の最小パルス幅の基本周波数よりも高く設定されている、
ことを特徴とする照明用電源装置。 - 請求項1記載の照明用電源装置において、
さらに、前記スイッチング電源部へ調光信号を送る調光信号処理部を備え、
前記スイッチング電源部は、
スイッチング素子の動作によって連続的な直流電流を生成し、
前記調光信号に応じて、該連続的な直流電流を前記スイッチング素子の動作よりも低い周波数の断続的な直流電流にして出力する、ことを特徴とする照明用電源装置。 - 請求項1または2記載の照明用電源装置において、
前記コモンモード・チョークコイルは前記一対の出力ラインにそれぞれ直列に接続された第一コイルと第二コイルを有し、
前記第一コイルと前記第二コイルの各巻線が揃え巻きになっている、ことを特徴とする照明用電源装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の照明用電源装置において、
前記コモンモード・チョークコイルを構成する2つのコイルは空芯コイルである、ことを特徴とする照明用電源装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載の照明用電源装置において、
前記コモンモード・チョークコイルは、
環状または棒状の枠体と、
前記スイッチング電源部のプラス端子側に接続された一端、および、前記光源部のプラス端子側に接続された他端を有する第一コイルと、
前記スイッチング電源部のマイナス端子側に接続された一端、および、前記光源部のマイナス端子側に接続された他端を有する第二コイルと、を有し、
前記第一コイルおよび前記第二コイルは、コモンモードの伝導ノイズの流れによって発生する磁束が強め合う巻線方向で、前記枠体に巻装されている、
ことを特徴とする照明用電源装置。
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JP2016131208A (ja) | 2015-01-14 | 2016-07-21 | 株式会社村田製作所 | 接合型コイル部品、コイル部品の実装方法、及び、配線基板 |
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