以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車載ナビゲーション装置の一例の概略ハードウェア構成を示すブロック図である。車載ナビゲーション装置1は、例えば、推奨経路の探索や地図情報および交通情報の表示など、いわゆるナビゲーション機能を備えた車載ナビゲーション装置である。
図示するように、車載ナビゲーション装置1は、演算処理装置10と、ディスプレイ20と、入力装置30と、音声入出力装置40と、記憶装置50と、車内通信装置60と、ジャイロセンサ62と、GPS(Global Positionig System)受信装置66と、通信装置68と、FM多重放送受信装置70と、ビーコン受信装置72とを有している。また、車載ナビゲーション装置1は、車内通信装置60を用いて、例えばCAN(Control Area Network)などを介して、車速センサ2から車速信号を、ウィンカースイッチ3からウィンカー指示方向を示す信号(右又は左を示す信号、以下単に「指示方向」ともいう)を取得することができる。
演算処理装置10は、車載ナビゲーション装置1の様々な処理を行う中心的なユニットである。演算処理装置10は、各デバイス間をバスで接続した構成となっている。具体的には、演算処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Rancom Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、演算処理装置10に各種ハードウェアを接続するためのI/F(インターフェイス)14と、これらを相互に接続するバス15とを有している。
ディスプレイ20は、文字や画像の表示を行うための画面を備え、演算処理装置10等で生成されたグラフィックス情報を前記画面上に表示するユニットである。ディスプレイ20は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
入力装置30は、ユーザーの指示をユーザーの操作により受け付けるためのユニットである。入力装置30は、例えば、タッチパネル31、ハードスイッチ32などで構成される。
音声入出力装置40は、運転者などへの案内を音声として出力するスピーカ41と、車両内部の音声を集音するマイクロフォン42とを備える。
記憶装置50は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体であって、様々な情報が格納されている。例えば、演算処理装置10が各種処理を実行するために必要なプログラムやデータ、ナビゲーション処理に使用される地図情報200などが格納される。
車内通信装置60は、例えばCANなどの車内ネットワークに接続し、車内ネットワークに接続された車速センサ2やウィンカースイッチ3などの外部のデバイスと通信するための装置である。車速センサ2は、車速を示す信号を出力するセンサである。ウィンカースイッチ3は、右左折時や進路変更の際にウィンカレバーが操作されると、その方向を示す信号を出力するユニットである。ジャイロセンサ62は、光ファイバジャイロや振動ジャイロなどで構成され、移動体の回転による角速度を検出するセンサである。GPS受信装置66は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在置、進行速度および進行方位を測定する。もちろん、これらの測位情報は、GPSに限られず、他の衛星システムからの信号を受信する受信装置を使って得ることができる。
通信装置68は、携帯電話回線やインターネットなどのネットワークとデータを送受信するための装置である。
FM多重放送受信装置70は、FM放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、天気情報などや、FM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などが含まれる。
ビーコン受信装置72は、ビーコンから送られてくる渋滞情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報などを受信する。
図2は、地図情報の一例を示した図である。地図情報200は、地図上の道路に関するリンク情報などが格納された領域情報を有している。領域情報は、地図上の領域を識別するメッシュID210ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ220を含んでいる。また、領域情報は、メッシュID230ごとに、そのメッシュ領域に含まれる各交差点の交差点情報240を含んでいる。
リンクデータ220は、リンクの識別コード(リンクID)221ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別情報223、リンクの長さを示すリンク長情報224、道路の方位を示すリンク方位225、対応付けられている道路を通過するのに要する時間を示すリンク旅行時間226、開始ノードの接続リンク及び終了ノードの接続リンクの情報227、リンクを含む道路の車線数を示す情報を含む車線情報228、上り、下り及び双方向通行可能といった道路の進行方向を示す情報229、などを含んでいる。
交差点情報240は、交差点の座標情報241ごとに、交差点の名称242、交差点のレーン情報243、などを含んでいる。
地図情報200の構成は、本発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したものであって、上記の構成に限られない。また、一般的な地図情報が備える情報を排除するものではない。
図3は、演算処理装置の機能構成の一例を示したブロック図である。演算処理装置10は、機能部として、表示処理部110と、操作受付部120と、現在地算出部130と、指示方向取得部140と、車両状況判定部150と、表示位置算出部160とを有している。演算処理装置10は、例えば、経路探索、経路案内、交通情報案内などの様々なナビゲーション機能を実行するナビゲーション処理部を備えていてもよい。
これらの機能部は、例えば、CPU11がROM13や記憶装置50からRAM12にロードした所定のプログラムを実行することにより実現される。この所定のプログラムは、予めROM13や記憶装置50に格納される。もちろん、通信装置68を介してネットワーク上からダウンロードされてインストールや更新がされてもよい。また、CD-ROM等の記憶媒体から読み出されてインストールや更新がされてもよい。
表示処理部110は、他の機能部の指示を受け付け、ディスプレイ20にユーザーインターフェイス画面を表示させるためのグラフィックス情報を生成して出力する。例えば指定されたスケール、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、経由地、目的地、ルート、施設情報といった画像を描画するようにグラフィックス情報を生成する。また、表示処理部110は、ユーザーの指示を受け付けるためのメニュー項目や、操作ボタンなどの画像を描画するようにグラフィックス情報を生成する。
本実施形態では、表示処理部110は、表示位置算出部160により算出される地図の基準位置に従って、ディスプレイ20の画面の表示範囲に表示する地図を出力する。また、表示処理部110は、現在地算出部130により算出される現在地に従って、現在地を示すマークを地図に重ねて出力する。
操作受付部120は、入力装置30を介して入力されたユーザーの操作を受け付け、その操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部にその処理を通知する。また、操作受付部120は、マイクロフォン42を介して入力された音声から、音声認識により対応する操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部にその処理を通知する。
現在地算出部130は、車速センサ2、ジャイロセンサ62、およびGPS受信装置66から出力される情報を用いて、定期的に現在地及び車両の進行方位を算出する。また、現在地算出部130は、マップマッチ処理することにより、相関が最も高い道路(リンク)上に、現在地を合わせ込む。
指示方向取得部140は、ウィンカースイッチ3から出力される信号を用いて、車両の指示方向を取得する。
車両状況判定部150は、車速センサ2から出力される車速を示す信号および現在地算出部130が算出した現在地の情報を用いて、車両状況を判定する。例えば、車両状況判定部150は、車両が一定の速度以下であり、かつ、現在地が交差点から一定の距離以内に位置しているか否かを判定する。
表示位置算出部160は、ディスプレイ20の画面上の所定の表示範囲に表示すべき地図の基準位置(表示位置)を算出する。基準位置は、例えば、表示範囲の中心に対応する座標として規定することができる。現在地の移動に伴ってこの基準位置を移動することで、表示範囲に表示される現在地の周辺の地図がスクロールされていく。
具体的には、表示位置算出部160は、指示方向取得部140により指示方向が取得されていない場合には、通常表示のための基準位置を算出する。本実施形態では、通常表示とは、車両の進行方位を画面の上側に向けるヘディングアップ表示において、現在地を示すマークを画面の横方向中央に表示することをいう。
図4は、ヘディングアップ時の通常表示された地図表示画面の例を説明する図である。図4に示すように、地図300の表示範囲301に含まれる部分が、マーク302と共に地図情報として表示されている。マーク302は、表示範囲301の横方向中央で、表示範囲301の中心座標A1(地図の基準位置に対応する)よりも下方に表示されている。これにより、車両の進行方向の地図が広く表示される。
表示位置算出部160は、例えば、現在地が、表示範囲301の横方向中央かつ表示範囲301の中心よりも所定距離下方に表示されるように、地図の中心座標A1を算出する。
一方、表示位置算出部160は、車両状況判定部150により車両状況が所定状況を満たすと判定された場合において、指示方向取得部140により指示方向が取得されている場合には、オフセット表示のための基準位置を算出する。本実施形態では、オフセット表示とは、通常表示と比べて、現在地を示すマークを画面の横方向中央から左又は右にずらして表示することをいう。マークを画面の縦方向にずらして表示してもよい。なお、表示位置算出部160は、車両が移動して指示方向に曲がり終えたら、表示を通常表示に戻す。
図5は、ヘディングアップ時の右折する場合のオフセット表示された地図表示画面の例を説明する図である。また、図6は、ヘディングアップ時の左折する場合のオフセット表示された地図表示画面の例を説明する図である。
図5に示すように、右折する場合は、地図300の表示範囲301に含まれる部分の基準位置が指示方向に所定量オフセットされ、結果として破線で示す表示範囲303に含まれる部分がマーク302と共に表示される。マーク302は、表示範囲303の中心座標A2よりも左側で下方に表示されている。表示範囲303が画面表示されることで、指示方向である右折先の地図が広く表示され、右折した場合の進行方向の状況をドライバー等のユーザーが把握しやすくなる。
また、図6に示すように、左折する場合は、地図300の表示範囲301に含まれる部分の基準位置が指示方向に所定量オフセットされ、結果として破線で示す表示範囲304に含まれる部分がマーク302と共に表示される。マーク302は、表示範囲304の中心座標A2よりも右側で下方に表示されている。表示範囲304が画面表示されることで、指示方向である左折先の地図が広く表示され、左折した場合の進行方向の状況をユーザーが把握しやすくなる。
図7は、ヘディングアップ時の右折する場合のオフセット表示方法の一例を説明する図である。表示位置算出部160は、現在地の直近の交差点(現在地が位置するリンクが接続される進行方向の交差点)を特定し、当該交差点が表示範囲301の中心よりも左側に来るように、基準位置を算出する。
より具体的には、まず、表示位置算出部160は、交差点306のX座標を指示方向と逆方向の、表示範囲301の左端に位置させる。そこから、表示位置算出部160は、交差点のX座標を指示方向に矢印305で示すように所定量オフセットして、黒丸306´の位置に変更する。また、表示位置算出部160は、交差点306をこの位置306´に表示するときの表示範囲301における基準位置(すなわち、表示範囲303の中心座標A2)のX座標を算出する。オフセットする量は、表示画面のサイズや地図に重ねて表示されるボタン表示などにより最適な量が決められるため、製品によって設計される値で、例えば、表示領域X方向の最大寸法の8分の1などと決められる。
また、表示位置算出部160は、交差点306のY座標を、表示範囲301の縦方向中央に位置させる。表示位置算出部160は、交差点をこの位置に表示するときの表示範囲301における基準位置(すなわち、表示範囲303の中心座標A2)のY座標を算出する。
このように、表示位置算出部160が、表示範囲を表示範囲301から表示範囲303へ変更する(基準位置をA1からA2に変更する)と、マーク302及び直近の交差点が左側に表示された状態で、交差点の右側が広く表示される。これにより、ユーザーが自車位置および広い指示方向の地図(右折した場合の進行方向の状況)を把握することができる。
なお、表示位置算出部160は、指示方向が左の場合は、上述の処理と反対の処理を実行すればよい。また、基準位置のX座標のY座標は、どちらを先に算出してもよいし同時に算出してもよい。
上述したオフセット表示方法は、一例であり、別の方法も考えられる。例えば、表示位置算出部160は、直近の交差点のY座標が表示範囲301の中心座標A1のY座標と一致するように、基準位置のY座標を変更する。また、表示位置算出部160は、指示方向が右の場合は、基準位置のX座標を右側に所定量オフセットする。結果として、マーク及び交差点は左側にオフセットされる。このように、本実施形態のオフセット表示方法は、結果的に、直近の交差点から指示方向にオフセットした位置に基準位置を変更することと同様である。
図8は、地図表示処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、車載ナビゲーション装置1の動作中に繰り返し実行される。
まず、表示処理部110は、地図の通常表示を実行する(ステップS10)。具体的には表示位置算出部160は、例えば、現在地が、表示範囲の横方向中央かつ表示範囲の中心よりも所定距離下方に表示されるように、地図の基準位置を算出する。表示処理部110は、表示位置算出部160により算出された地図の基準位置に従って、ディスプレイ20の画面の表示範囲に表示する地図を出力する。また、表示処理部110は、現在地を示すマークを地図に重ねて出力する。
次に、車両状況判定部150は、車両の速度が低速か否かを判定する(ステップS20)。具体的には、車両状況判定部150は、車速センサ2から出力される車速を示す信号から車両の速度を取得する。そして、車両状況判定部150は、車両の速度が低速(例えば時速1km以下)でないと判定した場合(ステップS20でNO)、処理をステップS10に戻す。一方で、車両状況判定部150は、車両の速度が低速であると判定した場合(ステップS20でYES)、処理をステップS30に移行する。
次に、車両状況判定部150は、指示方向を取得したか否かを判定する(ステップS30)。具体的には、車両状況判定部150は、指示方向取得部140から車両の指示方向を取得する。そして、車両状況判定部150は、車両の指示方向が取得できなかった場合(ステップS30でNO)、処理をステップS10に戻す。一方で、車両状況判定部150は、車両の指示方向(左か右)を取得できた場合(ステップS30でYES)、処理をステップS40に移行する。
次に、車両状況判定部150は、車両が交差点付近にいるか否かを判定する(ステップS40)。具体的には、車両状況判定部150は、現在地算出部130から現在地を取得し、また、地図情報200を参照し、現在地が進行方向の交差点付近(例えば、交差点から30m以内)に位置するか判定する。そして、車両状況判定部150は、現在地が交差点付近ではない場合(ステップS40でNO)、処理をステップS10に戻す。一方で、車両状況判定部150は、現在地が交差点付近である場合(ステップS40でYES)、処理をステップS50に移行する。
次に、表示位置算出部160は、指示方向に道路リンクが存在するか否かを判定する(ステップS50)。具体的には、表示位置算出部160は、地図情報200を参照し、進行方向の交差点に指示方向に接続される道路リンクが存在するか判定する。そして、表示位置算出部160は、指示方向に道路リンクが存在しない場合(ステップS50でNO)、処理をステップS10に戻す。一方、表示位置算出部160は、指示方向に道路リンクが存在する場合(ステップS50でYES)、処理をステップS60に移行する。
次に、表示処理部110は、指示方向に応じた地図のオフセット表示を実行する(ステップS60)。そして、表示処理部110は、ステップS60の実行後、処理をステップS20に戻す。ステップS60の処理の詳細について、図9を参照して説明する。
図9は、オフセット表示処理の一例を示すフローチャートである。
まず、表示位置算出部160は、直近の交差点を特定し、座標を求める(ステップS110)。具体的には、表示位置算出部160は、車両状況判定部150が判定した現在地情報から、直近の交差点のノード座標を取得する。
次に、表示位置算出部160は、車両の指示方向を特定する(ステップS120)。具体的には、表示位置算出部160は、車両状況判定部150が判定した車両の指示方向が左か右のいずれであるか特定する。
次に、表示位置算出部160は、基準位置のX座標を特定する(ステップS130)。具体的には、表示位置算出部160は、指示方向の逆方向の表示範囲の端部へ、ステップS110で特定した交差点のX座標を位置させ、指示方向へ、当該交差点のX座標を所定量オフセットする。そして、表示位置算出部160は、このように移動した位置に交差点を表示するときの地図の基準位置のX座標を算出する。
次に、表示位置算出部160は、基準位置のY座標を特定する(ステップS140)。具体的には、表示位置算出部160は、ステップS110で特定した交差点の座標のY座標を、表示範囲の中心位置に位置させ、このときの地図の基準位置のY座標を算出する。
次に、表示処理部110は、オフセット表示を実行する(ステップS150)。具体的には、表示処理部110は、ステップS130及びステップS140で特定された地図の基準位置に従って、表示範囲に表示する地図を出力する。また、表示処理部110は、現在地を示すマークを地図に重ねて出力する。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。本実施形態によれば、右左折をする場合に、指示方向(右左折した場合の進行方向)の地図が広く表示され、ユーザーが進行方向の状況を把握しやすくなる。
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。第2実施形態の車載ナビゲーション装置1は、五叉路など複雑な交差点でも進行方向の地図をユーザーが見やすいように表示するものである。以下、第1実施形態と第2実施形態とが異なる点を中心に説明する。
表示位置算出部160は、オフセット表示のための基準位置の決定の仕方が第1実施形態と異なる。具体的には、表示位置算出部160は、現在地の直近の交差点から指示方向に接続する道路リンクを特定する。また、表示位置算出部160は、現在地の直近の交差点から指示方向に接続する道路リンク上で、当該交差点から所定量オフセットした位置に、基準位置を変更する。指示方向に接続する複数の道路リンクがある場合は、表示位置算出部160は、それぞれの道路リンクについて当該交差点から所定量オフセットした位置を決定し、それらの位置に基づいて決定した位置に、基準位置を変更する。
より具体的には、表示位置算出部160は、直近の交差点から指示方向に接続する道路リンクを特定し、当該道路リンクの角度(例えば、交差点を通る横方向の直線に対する角度)を求める。表示位置算出部160は、複数の道路リンクを特定した場合、それぞれの道路リンクについて角度を求める。そして、表示位置算出部160は、道路リンクが1つである場合、求めた角度の方向に交差点から所定量オフセットした位置を算出し、その位置に基準位置を変更する。表示位置算出部160は、道路リンクが複数である場合、各道路リンクに関して、求めた角度の方向に交差点から所定量オフセットした位置を算出し、さらに、これらの位置の間の位置(例えば、2点の場合は中点、3点以上の場合は重心など)を算出し、その位置に基準位置を変更する。
図10は、ヘディングアップ時の右折する場合のオフセット表示方法の一例を説明する図である。図10では、車両の指示方向が右の場合に、交差点の右に接続する道路が2本の例を示している。
図10では、交差点306から接続する道路が右上方向と右下方向に存在するため、表示位置算出部160は、それぞれの道路について、角度を求める。そして、表示位置算出部160は、直近の交差点306から、算出した角度の方向(図10に示す、白抜き矢印の方向)に所定量オフセットした位置308及び位置309の座標を求める。ここで、所定量は、例えば、表示されている地図縮尺のn分の1倍とする。表示位置算出部160は、位置308及び位置309の座標の中点を、変更後の地図の基準位置(すなわち、表示範囲303の中心座標A2)として算出する。
図10では、右折先の道路が2本あったが、右折先の道路が右上方向の1本の場合は、位置308が、変更後の地図の基準位置となる。
図11は、オフセット表示処理の一例を示すフローチャートである。図11のフローチャートは、図8のステップS60の処理の詳細である。ステップS410~S420の処理は、図9のS110~S120の処理と同様なので説明を省略する。
表示位置算出部160は、接続する道路リンクを特定する(ステップS430)。具体的には、表示位置算出部160は、車両状況判定部150が判定した直近の交差点の情報を取得し、また地図情報200を参照して、当該交差点から指示方向に接続する道路リンクを特定する。
次に、表示位置算出部160は、各道路リンクの角度を特定する(ステップS440)。具体的には、表示位置算出部160は、ステップS430で特定した各道路リンクの角度を算出する。
次に、表示位置算出部160は、各道路リンクについてオフセット位置を特定する(ステップS450)。具体的には、表示位置算出部160は、各道路リンクについて、所定量(例えば、表示されている地図縮尺の8分の1倍)だけ、ステップS440で算出した角度の方向に交差点からオフセットした位置の座標を算出する。
次に、表示位置算出部160は、特定したオフセット位置が複数か否かを判定する(ステップS460)。具体的には、表示位置算出部160は、ステップS450で、複数の道路リンクについてオフセット位置を算出したか否か判定する。そして、オフセット位置が1つである場合(ステップS460でNO)、表示位置算出部160は、処理をステップS480に移行する。一方で、オフセット位置が複数である場合(ステップS460でYES)、表示位置算出部160は、処理をステップS470に移行する。
表示位置算出部160は、中点を基準位置として特定する(ステップS470)。具体的には、表示位置算出部160は、ステップS450で特定した複数のオフセット位置の中点を算出し、表示範囲の基準位置として特定する。なお、オフセット位置が3つ以上の場合は、例えば重心を基準位置として特定する。
表示位置算出部160は、ステップS450で特定したオフセット位置を基準位置として特定する(ステップS480)。
ステップS470又はステップS480の後、表示処理部110は、地図のオフセット表示を実行する(ステップS490)。具体的には、表示処理部110は、ステップS470又はステップS480で特定された地図の基準位置に従って、表示範囲に表示する地図を出力する。また、表示処理部110は、現在地を示すマークを地図に重ねて出力する。
以上、本発明の第2実施形態について説明した。本実施形態によれば、右左折をした場合に進入する可能性のある道路リンクが複数存在する場合でも、これらの道路リンクの方向を考慮した基準位置の地図が表示されるため、指示方向(右左折した場合の進行方向)の地図が広く表示され、ユーザーが進行方向の状況を把握しやすくなる。道路リンクが交差点に斜めに接続されている場合などにも、当該道路リンクの方向を考慮した基準位置の地図が表示されるため、指示方向(右左折した場合の進行方向)の地図が広く表示される。
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。第3実施形態の車載ナビゲーション装置1は、地図の画面表示がノースアップ時の場合に、指示方向の地図をユーザーが見やすいように表示するものである。以下、第1実施形態及び第2実施形態と第3実施形態とが異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、通常表示とは、北方位を画面の上側に向けるノースアップ表示において、現在地を示すマークを画面の横方向中央に表示することをいう。表示位置算出部160は、例えば、現在地が、表示範囲の横方向中央かつ表示範囲の中心よりも所定距離下方に表示されるように、地図の基準位置を算出する。表示処理部110は、表示位置算出部160により算出される地図の基準位置に従って、表示範囲に表示する地図を出力する。このとき、表示処理部110は、地図の北方位が表示範囲の上側に向くように地図を出力する。
図12は、ノースアップ時の通常表示された地図表示画面の例を説明する図である。図12に示すように、地図500の表示範囲501に含まれる部分が、地図500の北方位が表示範囲501の上側に向くように、マーク502と共に地図情報として表示されている。マーク502は、表示範囲501の横方向左側で、表示範囲501の中心座標A1(地図の基準位置に対応)よりも下方に表示されている。これにより、車両よりも北側の地図が広く表示される。
一方、表示位置算出部160は、次のようにオフセット表示を行う。表示位置算出部160は、現在地算出部130から車両の進行方位を取得する。そして、表示位置算出部160は、取得した車両の進行方位と、現在地の直近の交差点から指示方向に接続する道路リンクとの角度に基づいて決定した位置に、基準位置を変更する。このオフセット表示について、以下に具体的に説明する。
表示位置算出部160は、オフセット表示の基準位置を算出するため、表示範囲501内に画面サイズに適合した楕円軌道504を設定する。ここで、表示範囲501及び楕円軌道504の中心座標をA1、楕円の長軸をa、楕円の短軸をbとする。図12では、横長ディスプレイを例としているため、画面横側が長軸、画面縦側が短軸となる。また、車両の進行方位の角度をθとする。θは、真東を0°とした場合の回転角である。進行方位が真東の場合はθ=0°、真北の場合はθ=90°とする。
図13は、ノースアップ時の右折する場合のオフセット表示方法の一例を説明する図である。表示位置算出部160は、現在地の直近の交差点から指示方向に接続する道路リンクに関して、当該交差点から所定量オフセットした位置を決定し、当該位置に、基準位置を変更する。具体的には、表示位置算出部160は、車両の進行方位の角度θと直近の交差点から右方向の道路リンクの角度θtとに基づいて、楕円軌道504上に変更後の中心座標A2が位置するようX座標とY座標の値を算出する。この場合、中心座標A2のX座標は、式(1)によって、そのY座標は、式(2)によって求められる。
X=a・cos(θ-θt) (1)
Y=b・sin(θ-θt) (2)
表示位置算出部160は、算出された中心座標A2をオフセット表示の基準位置として算出する。このように、表示位置算出部160が、表示範囲を表示範囲501から表示範囲503に変更すると、交差点の右折方向が広く表示される。
なお、左折の場合は、中心座標A2のX座標は、式(3)によって、そのY座標は、式(4)によって求められる。
X=a・cos(θ+θt) (3)
Y=b・sin(θ+θt) (4)
車両の指示方向の道路リンクが複数ある場合、第2実施形態と同様に、表示位置算出部160は、各道路リンクに関して、交差点から所定量オフセットした位置を算出する。表示位置算出部160は、それぞれ算出された位置の間の位置(例えば、2点の場合は中点など)を算出する。そして、車両の進行方位の角度θと求めた中点位置の角度θtとに基づいて、式(1)及び(2)、又は、式(3)及び(4)によって、基準位置を算出する。
図14は、オフセット表示処理の一例を示すフローチャートである。図14のフローチャートは、図8のステップS60の処理の詳細である。
表示位置算出部160は、直近の交差点を特定する(ステップS610)。具体的には、表示位置算出部160は、車両状況判定部150が判定した現在地情報から、直近の交差点のノード座標を取得する。
次に、表示位置算出部160は、車両の指示方向及び車両の進行方位を特定する(ステップS620)。具体的には、表示位置算出部160は、車両状況判定部150が判定した車両の指示方向が左か右のいずれであるか特定する。また、表示位置算出部160は、現在地算出部130から車両の進行方位を取得し、角度θを算出する。
次に、表示位置算出部160は、接続する道路リンクを特定する(ステップS630)。具体的には、表示位置算出部160は、車両の指示方向及び車両の進行方位を基に地図情報200を参照して、直近の交差点から指示方向に接続する道路リンクを特定する。
次に、表示位置算出部160は、各道路リンクの角度を特定する(ステップS640)。具体的には、表示位置算出部160は、ステップS630で特定した各道路リンクについて、角度θtを算出する。
次に、表示位置算出部160は、各道路リンクについてオフセット位置を特定する(ステップS650)。具体的には、表示位置算出部160は、各道路リンクに関して、ステップS620及びステップS640で特定した角度を基に、式(1)及び(2)、又は、式(3)及び(4)から、オフセット位置のX座標とY座標の値を求める。
次に、表示位置算出部160は、特定したオフセット位置が複数か否かを判定する(ステップS660)。具体的には、表示位置算出部160は、ステップS650で、複数の道路リンクについてオフセット位置を算出したか否か判定する。そして、オフセット位置が1つである場合(ステップS660でNO)、表示位置算出部160は、処理をステップS690に移行する。一方で、オフセット位置が複数である場合(ステップS660でYES)、表示位置算出部160は、処理をステップS670に移行する。
表示位置算出部160は、中点を特定する(ステップS670)。具体的には、表示位置算出部160は、ステップS650で各道路リンクに関して特定した複数のオフセット位置の中点を算出する。なお、オフセット位置が3つ以上の場合は、例えば重心を基準位置として特定する。
次に、表示位置算出部160は、中点に基づくオフセット位置を基準位置として特定する(ステップS680)。具体的には、表示位置算出部160は、ステップS670で特定した中点について、角度θtを算出する。また、表示位置算出部160は、特定した角度を基に、式(1)及び(2)、又は、式(3)及び(4)から、オフセット位置のX座標とY座標の値を求める。そして、表示処理部110は、求めたオフセット位置を基準位置として特定する
表示位置算出部160は、ステップS650で特定したオフセット位置を基準位置として特定する(ステップS690)。
ステップS680又はステップS690の後、表示処理部110は、地図のオフセット表示を実行する(ステップS700)。具体的には、表示処理部110は、ステップS680又はステップS690で特定された地図の基準位置に従って、表示範囲に表示する地図を出力する。また、表示処理部110は、現在地を示すマークを地図に重ねて出力する。
以上、本発明の第3実施形態について説明した。本実施形態によれば、ノースアップ表示の場合でも、右左折する先の地図が広く表示され、ユーザーが進行方向の状況を把握しやすくなる。
上述の第1~第3実施形態の変形例について説明する。表示処理部110は、オフセット表示を実行する際に、表示範囲の指示方向と反対側に地図に重ねて表示されている画像(例えば、アイコンやボタンなど)を、消去あるいは指示方向に移動させて表示する処理を行ってもよい。これにより、オフセット表示されている現在地を示すマークや直近の交差点が、アイコン等の画像に隠れてしまったり、アイコン等の画像に近接して見えにくくなったりするのを防ぐことができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、これら以外にも様々な実施形態や変形例が含まれる。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本発明は、車載ナビゲーション装置だけでなく、ウィンカー指示方向を外部から取得可能なナビゲーション装置(例えば、ナビゲーション機能を有するスマートフォンやタブレットコンピュータなど)にも適用可能である。また、本発明は、車載ナビゲーション装置だけでなく、地図表示方法、コンピュータプログラムなどの様々な態様で提供することが可能である。