JP7064245B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents
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本発明の一実施形態のガスバリアフィルムは、セロファンフィルムと、セロファンフィルムの一方の面に形成され、防湿性を有する第1の高分子樹脂層と、セロファンフィルムの他方の面に形成され、易接着性を有する第2の高分子樹脂層と、第2の高分子樹脂層上に形成され、ガスバリア性物質を含むガスバリア層とを有する。本実施形態のガスバリアフィルムによれば、セロファンフィルムが用いられていることにより、生分解性を示し、環境負荷が小さい。また、ガスバリアフィルムは、一般的なPETフィルムと同様に、優れた加工適性を示す。さらに、ガスバリアフィルムは、第2の高分子樹脂層を介してガスバリア層が設けられていることにより、このようなガスバリア層の密着性が優れる。以下、それぞれの構成について説明する。
セロファンフィルムは、ガスバリアフィルムの基材として用いられる。セロファンフィルムは、たとえば、綿花、パルプなどから得られる繊維質を、アルカリ存在下、二硫化炭素と反応させることによりスラリー状のビスコースを得て、そのビスコースを、硫酸などの酸で中和しながらスリットから放出して製膜することによりセルロースに転化させた後、水洗、脱硫、漂白などを行うことによって、得ることができる。
第1の高分子樹脂層は、セロファンフィルムの一方の面に形成される高分子樹脂層であり、防湿性を有する。なお、本実施形態において、「防湿性」は、たとえば、真空槽内が5.0×10-2Pa以下という条件下において真空蒸着を行った場合にシワやカールを生じない程度の防湿性をいう。
第2の高分子樹脂層は、セロファンフィルムの他方の面に形成される高分子樹脂層であり、易接着性を有する。なお、本実施形態において、「易接着性」は、第2の高分子樹脂層が、包装等の形態において、デラミネーション等の不具合を生じさせない程度の接着性を有する、ことを意味する。即ち、「易接着性」は、T型剥離試験等、一般的な密着強度測定で評価することが可能である。
ガスバリア層は、第2の高分子樹脂層上に形成され、ガスバリア性物質を含む。本実施形態のガスバリア層に含まれるガスバリア性物質は特に限定されない。一例を挙げると、ガスバリア性物質は、従来ガスバリアフィルムにおいて周知に用いられるガスバリア性物質であればよく、ケイ素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、ガスバリア性物質は、これら一群の金属の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物などの化合物であってもよい。ガスバリア性物質は、併用されてもよい。より具体的には、ガスバリア性物質は、ケイ素を用いても良く、また酸化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ素化合物でもよく、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物であってもよい。また、ガスバリア性物質は、スズとインジウムとの合金の酸化物や窒化物であってもよい。すなわち、ガスバリア性物質は、これら一群の金属を原材料とした物質を含むことが好ましい。また、本実施形態のガスバリアフィルムは、ガスバリア性物質としてケイ素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムおよびこれらの酸化物等の化合物が用いられることにより、種々の金属を含む金属蒸着層からなるガスバリア層が形成される。これにより、ガスバリアフィルムは、アルミ蒸着フィルムを用いたガスバリアフィルムの用途以外に、上記他の金属を用いたガスバリアフィルムの用途にも好適に適用され得る。
セロファンフィルム(PL、フタムラ化学(株)製、厚み:21μm)を基材とし、基材の一方の面に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物(サランラテックスL232A、旭化成(株)製)を、バーコーター法により塗工した。得られた第1の高分子樹脂層の厚みは、0.1μmであった。次いで、基材の他方の面に、アンカーコート剤(アンカーコート剤a)としてポリエステルポリオール(アドコートAD76H5、東洋インキ(株)製)とポリイソシアネート(タケネートD110N、三井化学(株)製)をポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=84/16の比率で混合・撹拌して得た高分子樹脂を、バーコーター法により塗工した。得られた第2の高分子樹脂層の厚みは、0.1μmであった。さらに、第2の高分子樹脂層の上に、真空槽内が5.0×10-2Pa以下という条件下において真空蒸着を行い、Al(ガスバリア性物質)を含むガスバリア層(金属蒸着層)を形成し、ガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリア層の厚みは、45nmであった。
表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ガスバリアフィルムを作製した。なお、表1中、「塩酢ビ系」は、一方の面に第1の高分子樹脂層が設けられた片面防湿セロファンフィルム(MOT、フタムラ化学(株)製、厚み:21μm)を示し、「アンカーコート剤b」は、バイロン20SS(ポリエステル系樹脂組成物、東洋紡(株)製)とポリイソシアネート(タケネートD165N、三井化学(株)製)をポリエステルポリオール/ポリイソシアネート=87/13の比率で混合・撹拌して得た高分子樹脂を示し、「PET」はPETフィルム(E5100、東洋紡(株)製、厚み:12μm)を示す。
水蒸気透過率(%)は、「MOCON法(JIS K 7129(B))」により測定した。
酸素透過率(%)は、「MOCON法(JIS K 7126-2(A))」により測定した。
ガスバリアフィルムのガスバリア層側に、LLDPE(T.U.X FC-S、直鎖状低密度ポリエチレン、厚み:50μm、三井化学東セロ(株)製)を、厚み4.0g/m2のドライラミネート用接着剤を介してドライラミネートした。オートグラフ(AGS-100A、(株)島津製作所製)を使用し、LLDPEを引張速度300mm/分で引っ張り、ガスバリアフィルムからLLDPEが剥離した際の荷重(gf/15mm)を測定した。なお、剥離に際し、基材と第1の高分子樹脂層との間や、基材と第2の高分子樹脂層との間に生じないかどうかも確認した。
ガスバリア層を形成する際の蒸着加工において、作業に問題が生じないか、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
◎:ガスバリア層の蒸着加工は、問題無く作業可能であった。
〇:ガスバリア層の蒸着加工により、ややカール、シワが発生したが、問題無く作業可能であった。
△:ガスバリア層の蒸着加工は、カール、シワの発生が多かったが、作業は可能であった。
×:ガスバリア層の蒸着加工は、困難であった。また、真空引きによるフィルムの脱水の影響でシート切れが発生した。
得られたガスバリアフィルムの物性を、参考例と比較するとともに、蒸着フィルムとしての最低限の物性(OTR:2.0cc/m2/日/atm、WVTR:2.0g/m2/日、ラミネート強度:200gf/15mm)を満たすかどうか、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
◎:ガスバリアフィルムは、PETフィルムを用いた参考例と同程度の物性を示した。
〇:ガスバリアフィルムは、いずれかの物性がPETフィルムを用いた参考例よりも劣ったが、そのほかは上記最低限の物性を満たした。
△:ガスバリアフィルムは、PETフィルムを用いた参考例よりも物性が劣ったが、上記最低限の物性を満たした。
×:ガスバリアフィルムは、いずれかの物性が、上記最低限の物性よりも劣った。
上記評価結果に基づいて、ガスバリアフィルムの総合評価を行った。上記評価結果を◎:3点、○:2点、△:1点、×:0点とし、全項目を加算した総合評価点を算出し、以下の評価基準にしたがった。
◎:総合評価点が8点以上であった。
〇:総合評価点が7点であった。
△:総合評価点が6~5点であった。
×:総合評価点が4点以下であった。
Claims (3)
- セロファンフィルムと、
前記セロファンフィルムの一方の面に形成され、防湿性を有する第1の高分子樹脂層と、
前記セロファンフィルムの他方の面に形成され、易接着性を有する第2の高分子樹脂層と、
前記第2の高分子樹脂層上に形成され、ガスバリア性物質を含むガスバリア層と、
を有する、ガスバリアフィルム。 - 前記第2の高分子樹脂層は、ポリエステル樹脂を主成分とするアンカーコート剤を含む、請求項1記載のガスバリアフィルム。
- 前記ガスバリア性物質は、ケイ素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2記載のガスバリアフィルム。
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