JP2006231870A - 生分解性防湿セロハン - Google Patents
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Abstract
【課題】セロハンに防湿性を付与すると共に、好適な生分解性を発揮し、しかも、防湿加工を簡便とした包装資材に好適な生分解性防湿セロハンを提供する。
【解決手段】有機溶媒に溶解されている生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)と、ポリイソシアネート樹脂(a)、重合ロジンエステル樹脂(b)、及びパラフィン(c)を有する添加剤(B)とからなる被覆樹脂(C)を基材セロハンの片面側もしくは両面側に被覆して乾燥を経ることにより、基材セロハンの片面側もしくは両面側に防湿層を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】有機溶媒に溶解されている生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)と、ポリイソシアネート樹脂(a)、重合ロジンエステル樹脂(b)、及びパラフィン(c)を有する添加剤(B)とからなる被覆樹脂(C)を基材セロハンの片面側もしくは両面側に被覆して乾燥を経ることにより、基材セロハンの片面側もしくは両面側に防湿層を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、生分解性防湿セロハンに関し、特に基材となるセロハンに防湿層を形成した生分解性防湿セロハンに関する。
一般に、再生セルロースから調製されるセロハンは、植物由来であるため、生分解性であることが知られている。セロハンの特性としては、帯電防止性が良いことに加え、折れ性、手切れ性が良好であり、加えて粘りを有することが知られている。そのため、種々の包装資材に好適に用いられている。
その一方、セロハンは湿気に弱く、水分に晒される用途には不向きである。このような点を鑑み、セロハンの優れた生分解性能を活用しながら、その表面に防湿性の被膜を被覆することにより、防湿性能を向上させていた。以下に従来技術を示す。
例えば、セロハンの基材にゼラチン等を介装しポリ乳酸等の生分解性素材のフィルムを圧着した積層フィルムが開示されている(特許文献1参照)。他に、ポリ乳酸等の生分解性素材の押し出しコーティングに際し、ゼラチン等の介装に代えて基材に対して予めコロナ処理を実施する手法も提案されている(特許文献2参照)。
また、基材セロハンの片面に、Tダイ式溶融押出機により脂肪族ポリエステルを押し出して20μmの厚さにコーティングした積層フィルムが開示されている(特許文献3参照)。さらに、熱可塑性ポリマーをいったんプレス成形により100μmの厚さに圧延し、これを基材セロハンに圧着した積層フィルムも開示されている(特許文献4参照)。他に、種々のアンカー剤を介して、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等の親水性高分子化合物を基材セロハンに塗布、積層した積層フィルムが開示されている(特許文献5参照)。
上記のとおり、特許文献1,2等に開示の積層フィルムによると、セロハン基材の表面に防湿性の被膜を形成することが一般的である。しかしながら、生分解性素材としてのポリ乳酸は、その硬さゆえに、積層フィルムとした場合、折り曲げ使用に弱く、しかもひびが入りやすい。積層フィルムの表層に位置するポリ乳酸は、ヒートシール性が得られないため、包装時の封止の利便性は思わしくなかった。
特許文献3,4等に開示の積層フィルムによると、基材セロハンに対して溶融押し出しを行うほか、プレス成形による圧着が必要とされる等、設備負担が増す。加えて、特許文献5に示されるように、生分解性素材(親水性高分子化合物)を基材セロハンに塗布するとき、事前にアンカー剤の塗布が要求される。従って、必ずしも基材となるセロハンに対する防湿加工の簡便性は思わしくなかった。
特許第3071881号公報
特開平10−6445号公報
特許第2733426号公報
特開平7−165944号公報
特開平10−109382号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、セロハンに防湿性を付与すると共に、好適な生分解性能を発揮し、しかも、防湿加工を簡便とした包装資材に好適な生分解性防湿セロハンを提供する。
すなわち、請求項1の発明は、分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)と、ポリイソシアネート樹脂(a)、重合ロジンエステル樹脂(b)、及びパラフィン(c)を有する添加剤(B)とからなる被覆樹脂(C)を基材セロハンの片面側もしくは両面側に被覆し、前記基材セロハンの片面側もしくは両面側に防湿層を形成したことを特徴とする生分解性防湿セロハンに係る。
請求項2の発明は、前記生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)が有機溶媒に溶解されている請求項1に記載の生分解性防湿セロハンに係る。
請求項3の発明は、前記被覆樹脂(C)に含有される前記ポリイソシアネート樹脂(a)の配合量が、その固形分重量比において、1重量%以上である請求項1又は2に記載の生分解性防湿セロハンに係る。
請求項4の発明は、前記被覆樹脂(C)に含有される前記重合ロジンエステル樹脂(b)の配合量が、その固形分重量比において、2重量%以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の生分解性防湿セロハンに係る。
請求項5の発明は、前記被覆樹脂(C)に含有される前記パラフィン(c)の配合量が、その固形分重量比において、2.5重量%以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の生分解性防湿セロハンに係る。
請求項1の発明に係る生分解性防湿セロハンによると、生分解性ポリエステルウレタン樹脂と、ポリイソシアネート樹脂、重合ロジンエステル樹脂、及びパラフィンを有する添加剤とからなる被覆樹脂を基材セロハンの片面側もしくは両面側に被覆し、前記基材セロハンの片面側もしくは両面側に防湿層を形成したため、セロハンに防湿性を付与すると共に、生分解性能を発揮し、包装資材におけるセロハンの用途を拡張することができる。
請求項2の発明に係る生分解性防湿セロハンによると、請求項1の発明において、生分解性ポリエステルウレタン樹脂が有機溶媒に溶解されているため、従前の技術のように、事前にアンカー剤を塗布する必要性が無く、直接、被覆樹脂からなる防湿層を基材セロハンに形成することができる。そこで、セロハンの防湿加工を容易かつ簡便とすることができ、生産性の向上、製造コストの低減が可能となる。
請求項3ないし5の発明に係る生分解性防湿セロハンによると、被覆樹脂に含有されるポリイソシアネート樹脂、重合ロジンエステル樹脂、及びパラフィンの配合量を制御することにより、樹脂(防湿層)剥離の抑制、ブロッキングの抑制、防湿性の向上を図ることが可能となる。
以下添付の図面に従って本発明を説明する。図1は本発明の生分解性防湿セロハンの断面模式図、図2は本発明の生分解性防湿セロハンの概略工程図である。
図1に示すとおり、本発明の生分解性防湿セロハン10,10Sは、基材セロハン11の両面側(図1(a)参照)もしくはその片面側(図1(b)参照)に被覆樹脂(C)からなる防湿層20が形成されている。生分解性防湿セロハン10,10Sの膜厚Tcは、種々の使用目的に応じて適宜選択されるものの、概ね10〜50μmであり、主にフィルム状に製膜される。防湿層20の膜厚Trは、防湿層の形成方法(被覆方法)により適宜であり、0.5〜5μmとされる。その場合、被覆樹脂(C)の被覆量(塗着量)は約0.5〜5g/m2である。なお、被覆樹脂(C)からなる防湿層20は、生分解性防湿セロハンの使用目的、印刷等を勘案して、基材セロハンの両面あるいは片面に形成される。
基材セロハン11とは、ビスコースの添加により得られる再生セルロースである。通常、綿花、パルプ、古紙等から得られる繊維質(セルロース)をアルカリ下、二硫化炭素と反応させてビスコースに調製される。スラリー状物となったビスコースは、硫酸、硫酸ナトリウムを含む凝固浴中に、ホッパー等により製膜されながら放出され、ビスコースはセルロース(再生セルロース)に転化(再生)される。その後、水洗、脱硫、漂白、柔軟仕上げ等が行われ、セロハンが得られる。このように、セロハンは再生セルロースに由来するため、生分解性能に優れている。
続いて、基材セロハン表面に塗着される被覆樹脂(C)の構成を説明する。同被覆樹脂(C)にあっては、図2の概略工程図に示し、請求項1の発明に規定するように、生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)と、これに添加剤(B)が添加される。特に添加剤(B)には、ポリイソシアネート樹脂(a)、重合ロジンエステル樹脂(b)、及びパラフィン(c)が含有されている。被覆樹脂(C)の存在により、セロハン単独においては成し得なかったヒートシール性能を獲得することができる。
また、請求項2の発明に規定するように、生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)は、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、へキサン等、あるいはジブチルエーテル、ベンジルエーテル等、またはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等、さらには酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機溶媒に溶解される。特に、後述する乾燥の利便性より、有機溶媒の揮発性は高い程良い。また、生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)の溶媒への溶解度に応じて前掲の溶媒は複数種類混合して用いられることもある。そして、生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)は有機溶媒への溶解性が良好である樹脂種が選択される。このように、有機溶媒への溶解性を高めることにより、添加剤(B)の各成分の分散を容易とすることができる。同時に、基材セロハンに対する塗工性も向上する。
基材セロハン表面に被覆樹脂(C)が被覆(塗着)された後、温風あるいは熱風に晒す他、自然乾燥等の適宜の乾燥が行われる。乾燥を経ることにより、揮発性の有機溶媒は蒸発して残渣(被覆樹脂(C)中の固形分)が基材セロハン表面に被着する。調製される被覆樹脂(C)において、当該塗剤中の総固形分量は、適宜ではあるものの塗工性等を考慮して1〜10重量%に希釈される。
本発明の生分解性防湿セロハンは、その防湿層の形成に際し、単に基材セロハン表面に被覆樹脂を被覆(塗布)することのみによって完結する。すなわち背景技術にて開示したように事前にアンカー剤を塗工する工程を必要としない。また、防湿層をプレス成形により圧着させる必要も無い。この結果、例えば、スプレー塗装等の比較的簡便な塗工方法、塗工装置を採用することができる。そこで、生分解性防湿セロハンの製造に際し、生産性の向上、製造コストの低減が可能となる。
なお、図1及び図2から理解されるように、被覆樹脂(C)を被覆(塗着)することにより基材セロハンに防湿層を形成しているため、従前の張り合わせ構造の生分解性積層フィルムと比較して、防湿層の層厚(膜厚)を薄くすることができる。このため、生分解性防湿セロハン自体の厚さも薄くすることができる。
前出の生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)とは、ジカルボン酸・グリコール型のポリエステル樹脂にポリイソシアネートを反応させて得た樹脂である。同樹脂に用いられるジカルボン酸には、アジピン酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、単独種もしくは適宜配合により混合されて用いられる。また、グリコールとして1,4−ブタンジオール等が用いられる。これらのジカルボン酸とグリコールとの重合により、まず、ポリエステル樹脂が得られる。当該ポリエステル樹脂は、酸性条件のもと、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のポリイソシアネートの添加により鎖伸長反応が生じ、最終的にポリエステルウレタン樹脂が生成される。この生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)の生成に用いた各成分の配合比率、反応条件等は、所望の性状に合わせて好適に選択される。例えば、生分解性ポリエステルウレタン樹脂として、昭和高分子株式会社製:OLY−5520(特注品)等が好ましく用いられる。このOLY−5520は、ポリエステルウレタン樹脂をトルエンに溶解した微黄色の液体である。
続いて、添加剤(B)に含まれるポリイソシアネート樹脂(a)、重合ロジンエステル樹脂(b)、及びパラフィン(c)について、以下順に説明する。
ポリイソシアネート樹脂(a)としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(XDI)等のポリイソシアネート成分を含有する樹脂が例示できる。これらの樹脂において、前述の有機溶媒への溶解性から、トリレンジイソシアネート(TDI)を含有する樹脂が好ましく用いられる。例えば、日本ポリウレタン工業株式会社製:コロネートL−12EBT等である。
ポリイソシアネート樹脂(a)を被覆樹脂(C)に添加すると、後述する実施例からも明らかなように、樹脂剥離(防湿層剥離)が抑制される。すなわち、好適なアンカー剤として作用し、被覆樹脂(C)(乾燥後の防湿層)と基材セロハンとの塗着強化が推定される。
重合ロジンエステル樹脂(b)は、例えば松脂に由来するアビエチン酸、ピマル酸等より得られるロジンを二量体ないし三量体に重合させたいわゆる重合ロジンエステルに、グリセリン等の多価アルコールを反応させ、エステル化することにより得た樹脂である。例えば、荒川化学工業株式会社製:ペンセルKK等が好ましく用いられる。
重合ロジンエステル樹脂(b)を被覆樹脂(C)に添加することにより、被覆樹脂(C)自体の粘張性が増すと共に、パラフィン(c)との相溶性を高めるものと考えられる。そのため、基材セロハンに被覆樹脂(C)を塗工して乾燥する場合、被覆樹脂(C)の基材セロハン表面への固着性に寄与する。加えて、実施例中の評価からも明らかなとおり、ブロッキングを抑制する。また、軟化点を上げる作用も推定される。
パラフィン(c)は脂肪族飽和炭化水素であり、主に室温下にて固体である樹脂が用いられる。パラフィン(c)が被覆樹脂(C)に添加されることにより、被覆樹脂(C)のバリア性(不透過性)が増し、形成される塗膜の撥水性の向上が推察される。
被覆樹脂(C)に配合される生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)と添加剤(B)との好適な混合比は、その固形分重量比において規定される。前者−生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)/後者−添加剤(B)として、およそ、81/19〜92/8の範囲内であることが、後述する実施例からも望ましいと想定される。
発明者らは、被覆樹脂(C)を調製するにあたり、これに配合される添加剤(B)に、ポリイソシアネート樹脂(a)、重合ロジンエステル樹脂(b)、及びパラフィン(c)のいずれもが必須であることを見出した。生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)と、(a),(b),(c)の各成分により、被覆樹脂(C)全体として有効に作用している知見は後述する実施例のとおり得られている。
ここで、請求項3ないし5の発明に規定するように、被覆樹脂(C)に含有されるポリイソシアネート樹脂(a)の配合量、重合ロジンエステル樹脂(b)の配合量、パラフィン(c)の配合量は、その固形分重量比において、順に1重量%以上(aについて)、2重量%以上(bについて)、2.5重量%以上(cについて)であることが望ましいとされる。
上記の説明から明らかなとおり、生分解性防湿セロハンは、その大半をセロハンが占め、さらに表面に生分解性ポリエステルウレタン樹脂を主剤とする被覆樹脂が被覆されているため、生分解性能と共に防湿性能、さらにはヒートシールも可能となる特性を併せ持つ。従って、従前のセロハン単独と比して、包装資材としての用途を拡張することができる。例えば、飴、キャラメル、ガム等の食品の包装に加え、処方箋調剤薬を分封する包装資材、窓つき封筒あるいは窓つき包装箱の視認可能部分への貼付等の用途が検討される。
[使用原料]
生分解性防湿セロハンの試作に当たり、下記の原料を使用した。
生分解性ポリエステルウレタン樹脂として昭和高分子株式会社製:OLY−5520(特注品)を用い、当該樹脂をメイン樹脂とした。
ポリイソシアネート樹脂として、日本ポリウレタン工業株式会社製:コロネートL−12EBTを用いた。
重合ロジンエステル樹脂として、荒川化学工業株式会社製:ペンセルKKを用いた。
パラフィンとして、新日本石油株式会社製:パラフィン135゜を用いた。
揮発性有機溶媒として、トルエンを用いた。
比較例において、重合ロジンエステル樹脂の代わりに荒川化学工業株式会社製:エステルガムHD、荒川化学工業株式会社製:DF−50を用いた。
基材セロハンにあっては、フタムラ化学株式会社製:普通セロハンPL−DG#300〔坪量:30g/m2、柔軟剤:グリセリン、水可溶分(柔軟剤):15%〕を用いた。
生分解性防湿セロハンの試作に当たり、下記の原料を使用した。
生分解性ポリエステルウレタン樹脂として昭和高分子株式会社製:OLY−5520(特注品)を用い、当該樹脂をメイン樹脂とした。
ポリイソシアネート樹脂として、日本ポリウレタン工業株式会社製:コロネートL−12EBTを用いた。
重合ロジンエステル樹脂として、荒川化学工業株式会社製:ペンセルKKを用いた。
パラフィンとして、新日本石油株式会社製:パラフィン135゜を用いた。
揮発性有機溶媒として、トルエンを用いた。
比較例において、重合ロジンエステル樹脂の代わりに荒川化学工業株式会社製:エステルガムHD、荒川化学工業株式会社製:DF−50を用いた。
基材セロハンにあっては、フタムラ化学株式会社製:普通セロハンPL−DG#300〔坪量:30g/m2、柔軟剤:グリセリン、水可溶分(柔軟剤):15%〕を用いた。
[被覆樹脂の調製]
前掲の生分解性ポリエステルウレタン樹脂(メイン樹脂)を10重量%含有するトルエン溶液に対し、図3の表中に記載の各々の配合からなる添加剤を添加混合して混合溶液を得た。さらに、これらの混合溶液中に含有される総固形分量が5重量%となるように適宜トルエンを添加し、試作例の被覆樹脂を得た。
前掲の生分解性ポリエステルウレタン樹脂(メイン樹脂)を10重量%含有するトルエン溶液に対し、図3の表中に記載の各々の配合からなる添加剤を添加混合して混合溶液を得た。さらに、これらの混合溶液中に含有される総固形分量が5重量%となるように適宜トルエンを添加し、試作例の被覆樹脂を得た。
[生分解性防湿セロハンの試作]
前出の基材セロハンの両表面に試作例の各被覆樹脂をバーコーター#10でコート(塗布)した。塗布後速やかに熱風乾燥機を用いて120℃、30秒間熱風に晒して乾燥し、有機溶媒であるトルエンを蒸発させた。こうして、試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンを得た。
前出の基材セロハンの両表面に試作例の各被覆樹脂をバーコーター#10でコート(塗布)した。塗布後速やかに熱風乾燥機を用いて120℃、30秒間熱風に晒して乾燥し、有機溶媒であるトルエンを蒸発させた。こうして、試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンを得た。
[防湿層剥離の評価]
試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンを温度20℃、湿度92%のデシケーター内に収容し、24時間静置して調湿した。図4(a)に示すように、各生分解性防湿セロハンについて、生分解性防湿セロハン10の防湿層20の表面に、市販の12mm幅のセロハンテープ30を当ててゴムローラー(図示せず)で強く押しつけ、防湿層20とセロハンテープとを密着させた。
試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンを温度20℃、湿度92%のデシケーター内に収容し、24時間静置して調湿した。図4(a)に示すように、各生分解性防湿セロハンについて、生分解性防湿セロハン10の防湿層20の表面に、市販の12mm幅のセロハンテープ30を当ててゴムローラー(図示せず)で強く押しつけ、防湿層20とセロハンテープとを密着させた。
次に、図4(b)に示すように、生分解性防湿セロハン10(基材セロハン11)とセロハンテープ30とをほぼ90度の角度(図中、破線にて示す。)として、一気にセロハンテープ30を引き剥がした。そこで防湿層20が剥がれるか否かについて観察した。引き剥がして防湿層が剥がれなければ‘○’とし、剥がれたならば‘×’として示した。図中、図1と共通する箇所は同一符号とした。また、符号D1は引き剥がし方向、31はセロハンテープの基材セロハン、32はセロハンテープの粘着層である。
[ヒートシール強度]
試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンについて、それぞれ2枚ずつ用意し、各々の生分解性防湿セロハンの防湿層同士を重ね合わせ、5点式熱傾斜試験機(東洋精機株式会社製)を使用し、シール圧147kPa、2秒間、シールバー温度を120から70℃まで10℃刻みでヒートシールした後、15mm巾に裁断した。次に、オリエンテック株式会社製引張試験機「テンシロン」を使用してヒートシール強度を測定した。この際のヒートシール強度とは、ヒートシール後の生分解性防湿セロハン同士が引張試験機の引張速度300mm/minによって剥離したときの強度の測定値である。
試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンについて、それぞれ2枚ずつ用意し、各々の生分解性防湿セロハンの防湿層同士を重ね合わせ、5点式熱傾斜試験機(東洋精機株式会社製)を使用し、シール圧147kPa、2秒間、シールバー温度を120から70℃まで10℃刻みでヒートシールした後、15mm巾に裁断した。次に、オリエンテック株式会社製引張試験機「テンシロン」を使用してヒートシール強度を測定した。この際のヒートシール強度とは、ヒートシール後の生分解性防湿セロハン同士が引張試験機の引張速度300mm/minによって剥離したときの強度の測定値である。
[透湿度の測定]
JIS−Z−0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠し、試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンの透湿度(g/m2・24hr)を測定した。
JIS−Z−0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠し、試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンの透湿度(g/m2・24hr)を測定した。
[ブロッキングの評価]
試作例1ないし18の各生分解性防湿セロハンについて、それぞれ2枚ずつ用意し、各々の生分解性防湿セロハンの防湿層同士を重ね合わせた。これらの重ね合わせた生分解性防湿セロハンを熱風乾燥機内に収容し、温度50℃、圧力9.8×104Paの荷重をかけて3時間静置した。熱風乾燥機から重ね合わされた生分解性防湿セロハンを取り出し、図5に示すとおり、2枚の生分解性防湿セロハン10,10をほぼ180度となる反対方向(図中の符号D2,D3方向)にそれぞれ手動で引張した。このときの剥がれにくさによりブロッキングの評価とした。
試作例1ないし18の各生分解性防湿セロハンについて、それぞれ2枚ずつ用意し、各々の生分解性防湿セロハンの防湿層同士を重ね合わせた。これらの重ね合わせた生分解性防湿セロハンを熱風乾燥機内に収容し、温度50℃、圧力9.8×104Paの荷重をかけて3時間静置した。熱風乾燥機から重ね合わされた生分解性防湿セロハンを取り出し、図5に示すとおり、2枚の生分解性防湿セロハン10,10をほぼ180度となる反対方向(図中の符号D2,D3方向)にそれぞれ手動で引張した。このときの剥がれにくさによりブロッキングの評価とした。
引張時、抵抗無く2枚の生分解性防湿セロハンを引き剥がすことができ、かつ、防湿層の表面破壊等がみられず外観の性状が良好であるものは‘○’とした。一方、下記の1)ないし3)のいずれか1つの項目に該当するものは全て‘×’とした。項目1)2枚の生分解性防湿セロハンを引き剥がすときに抵抗を感じた。項目2)引き剥がすときに防湿層の表面破壊等が生じた。項目3)防湿層の白化等の外観性状が不良である。
図3の表は、試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンにおける被覆樹脂の配合量(重量%換算)を示すと共に、樹脂剥離、透湿度(g/m2・24hr)、ブロッキング、各温度ごとのヒートシール強度(mN/15mm)の結果を示す。図3の表中、メイン樹脂(A)は生分解性ポリエステルウレタン樹脂、イソシアネート(a)はポリイソシアネート樹脂、ロジン(b)は重合ロジンエステル樹脂をそれぞれ示す。パラフィン(c)はそのままパラフィンである。また、‘*1)’は重合ロジンエステル樹脂の代わりのエステルガムHD(荒川化学工業株式会社製)を5重量部用い、‘*2)’は重合ロジンエステル樹脂の代わりのダンマルガム:DF−50(荒川化学工業株式会社製)を5重量部用いた。
併せて、図3の表に試作例1ないし18の生分解性防湿セロハンに関し、防湿セロハンとして使用ができるか否かについて、各評価項目を勘案し総合評価を付した。図3の表中、‘○’は防湿セロハンとして使用可能である。‘×’は防湿セロハンとして使用不可能である。
[セロハンフィルム性状の結果]
図3の表における各種の物性値及び総合評価から把握されるように、試作例1,2,3,4,及び試作例16,17の性状は優れている。とりわけ、試作例1,2,3は良好な防湿性能を備える。併せて、ヒートシール強度も高い。
図3の表における各種の物性値及び総合評価から把握されるように、試作例1,2,3,4,及び試作例16,17の性状は優れている。とりわけ、試作例1,2,3は良好な防湿性能を備える。併せて、ヒートシール強度も高い。
そこで、被覆樹脂を構成する各樹脂成分の配合量の比率を見ると、当該被覆樹脂において、ポリイソシアネート樹脂、重合ロジンエステル樹脂、及びパラフィンのいずれもが必須であるといえる。
ポリイソシアネート樹脂の配合量は、樹脂剥離(防湿層剥離)の対比より、被覆樹脂の固形分重量比において、1重量%以上、特には3重量%付近が好ましいと想定される。
重合ロジンエステル樹脂の配合量は、ブロッキングの有無より、被覆樹脂の固形分重量比において、2重量%以上から効果を発揮するものと考えられる。
パラフィンの配合量は、透湿度(防湿性の度合い)の観点から、被覆樹脂の固形分重量比において、2.5重量%以上が望ましいと考えられる。なお、パラフィンの配合量に応じて透湿度を制御することができるため、所望の用途に合わせてパラフィンの配合量を調整できる。
さらに、各成分の配合量は、成分同士の調和を鑑み、前者−生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)/後者−(A)以外の3種類の樹脂として、およそ、81/19〜92/8の範囲内であることが望ましいと仮定される。
[生分解性能の評価]
前出の試作例1及び2の生分解性防湿セロハンと、対照例1として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる樹脂フィルムを基材セロハン表面に被着した防湿セロハン(フタムラ化学株式会社製:G−3#300)、対照例2として、新聞紙を用意した。
前出の試作例1及び2の生分解性防湿セロハンと、対照例1として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる樹脂フィルムを基材セロハン表面に被着した防湿セロハン(フタムラ化学株式会社製:G−3#300)、対照例2として、新聞紙を用意した。
試作例1及び2の生分解性防湿セロハン、並びに対照例1及び2について、それぞれを155mm×215mmの試験片に裁断してポリエチレン製の通気性があるネットに収容した。これらのネットごと、深さ20〜25cmの土壌中に埋設し、40日間放置した。その後、これらのネットを取り出して各試験片の外観を目視により観察した。
[生分解性能の結果]
試作例1及び2の生分解性防湿セロハン、並びに対照例2の新聞紙については、完全に分解されており、回収は不可能であった。
試作例1及び2の生分解性防湿セロハン、並びに対照例2の新聞紙については、完全に分解されており、回収は不可能であった。
一方、対照例1の従来品の防湿セロハンにあっては、基材セロハンの分解は認められるものの、樹脂フィルムは残存していた。
従って、試作例に係る生分解性防湿セロハンの生分解性能(土壌中の微生物による分解)は、良好であることが立証できた。
10,10S 生分解性防湿セロハン
11 基材セロハン
20 防湿層
30 セロハンテープ
11 基材セロハン
20 防湿層
30 セロハンテープ
Claims (5)
- 生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)と、
ポリイソシアネート樹脂(a)、重合ロジンエステル樹脂(b)、及びパラフィン(c)を有する添加剤(B)と
からなる被覆樹脂(C)を基材セロハンの片面側もしくは両面側に被覆し、
前記基材セロハンの片面側もしくは両面側に防湿層を形成したことを特徴とする生分解性防湿セロハン。 - 前記生分解性ポリエステルウレタン樹脂(A)が有機溶媒に溶解されている請求項1に記載の生分解性防湿セロハン。
- 前記被覆樹脂(C)に含有される前記ポリイソシアネート樹脂(a)の配合量が、その固形分重量比において、1重量%以上である請求項1又は2に記載の生分解性防湿セロハン。
- 前記被覆樹脂(C)に含有される前記重合ロジンエステル樹脂(b)の配合量が、その固形分重量比において、2重量%以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の生分解性防湿セロハン。
- 前記被覆樹脂(C)に含有される前記パラフィン(c)の配合量が、その固形分重量比において、2.5重量%以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の生分解性防湿セロハン。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013136210A (ja) * | 2011-12-28 | 2013-07-11 | Futamura Chemical Co Ltd | 再生セルロースフィルム積層体 |
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JP2021017000A (ja) * | 2019-07-22 | 2021-02-15 | 尾池工業株式会社 | ガスバリアフィルム |
-
2005
- 2005-02-28 JP JP2005053548A patent/JP2006231870A/ja active Pending
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